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林廣美の今週のお惣菜

林廣美の今週のお惣菜

【#883】ふんわり柔らか「高野豆腐」

2025年10月17日(金曜日)
カテゴリー:
  • 和風惣菜
  
10:00 AM

20251016_hayashi

ふんわり柔らか「高野豆腐」
 ~秋の味覚は煮物のおいしさ~

季節が涼しくなると
煮物惣菜が注目され
売れるようになります
売場には色々な「煮物」が登場します

ただ最近の惣菜売場は
揚物オンパレードの広場
秋らしさはありませんね

そこで秋らしさを出すのが煮物商品
おいしいダシを使った煮物を
揚物と同じようにつくり立てを
常温販売をしたらどうなる?

スーパーマーケットの惣菜売場で
この難問題を試してみると
冷ケースの数倍、売れました!

とくに柔らかい「高野豆腐」は
料亭の味のようです! と
人気が高く
よく売れました

昔の高野豆腐は
スポンジのような食感
人によっては好き嫌いがあり
パサつきが苦手という人も

しかし新開発された
凝固剤を重曹で使ったものは
誰が調理しても柔らかく
つくれます

高野豆腐のメーカーが
惣菜用に原料商品を開発して
いるのでこれを使います

この商品の優れている点は
高野豆腐を水で戻さず
硬いままダシ汁に入れて
煮れることです

塩分の効いた「うどんダシ」などの
おいしいダシを利用して
面倒なダシをつくらずに
手軽に商品化もできます

ダシを鍋に入れて沸騰させ
開発された高野豆腐を
そのまま入れて煮るだけ

飛ぶように売れる商品では
ありませんが
「秋」を売るような味だと
人気です

気温に気を付けて
涼しい日に
売り込みましょう


★林廣美のワンポイント★

秋の時期は、惣菜商品が売りにくい時期。頑張っても売上げが伸びず、惣菜売場が揚げ物で広がり、とくに値段の安い商品が多くなりがちです。秋の季節商品の動きも鈍く、無理をして高額商品を売り込むと、ロスが出やすい時期でもあるので、売場は安く売れる煮物などが最適で人気になります。こんな時期は売上げよりも、おいしい商品で人気を取る作戦を立てます。

柔らか高野豆腐のつくり方は、高野豆腐のメーカーに相談して聞くのが一番です。コツを教えてくれます。


 

●林先生の家庭料理教室●

hayashi-hiromi_2

豆腐は植物性のたんぱく質。簡単に柔らかく煮える、新しく開発されたサイコロ型の柔らかい高野豆腐商品が一般食品の売場にあります。これを使ってつくる「卵とじ」が時短おかずになります。おいしいダシさえあれば、サイコロ型の「高野豆腐」を入れてさっと煮込んで、溶き卵でとじるだけで立派な一品になります。

くれぐれも気を付けるのは、材料を買い求める時に水戻し不要の「柔らかく炊ける高野豆腐」かどうかを確かめること。パッケージに印刷されているのでよく見て買うことです。ダシの粉末付きで手間いらずのものもありますが、ダシはおいしい手づくりを勧めます。少し塩味を効かせた味で炊き上げるとおいしくつくれます。

「うどんダシ」や「白ダシ」などを使って秋野菜の煮物をつくり、そこにサイコロ型の柔らかい「高野豆腐」を入れて煮てください。野菜を食べる煮物です。健康にも役立ちます。


<By 林廣美>

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【#882】コンソメ味の「チキンカツ」

2025年10月10日(金曜日)
カテゴリー:
  • 洋風惣菜
  
10:00 AM

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コンソメ味の「チキンカツ」
 ~オカズになる一口カツ~

安くて 旨くて ボリュームあり
そんな惣菜が欲しい
目を皿のようにして探す客
惣菜は今 値上がりでピンチ

インフレ値上がり
惣菜も例外ではありません

インフレになると
安いたんぱく質が注目されます
たんぱく質は食事の中心になる
人としての本能的な要求
大切な栄養素だからです

たんぱく質は大事な食材だけに
多少の値上がりは我慢ですが
だからと言って
おいしさの値下がりは
我慢することはできません

そこでたんぱく質の肉や魚の中で
安く食べられる鶏肉に注目
それは鶏ムネ肉!
でもパサついてイマイチな人気
それを超えるのがこの商品

鶏ムネ肉の皮を剥いて
薄めの厚みで一口大の
斜めスライスに

包丁で厚みをそろえるように切ります
厚みが変わると
油で揚げた時に火通りが
ばらばらになるからです

おおまかに厚みが揃えばOK
多少の不揃えは気にしません

次に㊙しっとり液をつくります

水の分量に対して
塩 3%
砂糖 5%
を入れた液をつくります
(例)水300g 塩9g 砂糖15g

カットしたムネ肉をこの液に入れて
一晩漬け込みます

一晩冷蔵庫で漬け込んだ鶏肉に
フライ用のバッターとパン粉
をよく付けてから
時間をかけ過ぎず
揚げ過ぎないように
フライにします

カラッと揚がったフライに
スープなどに使う調味料の
「コンソメの素」の粉末を全体に
振りかけて味をからめます

かけ過ぎないように
茶こしなどの小さな網を使って
ふりかけます

おまけに…
はがした鶏皮は熱湯で茹でてカット
唐揚げ粉をまぶして
カリッと揚げて別商品に
利益確保の売り込みです


★林廣美のワンポイント★

コンソメ味の粉を最後に振りかけるのが売れるコツです。かけ過ぎには注意。ほのかに風味を感じるくらいがベスト。この一口チキンカツを山盛りトレーで売り込みます。鶏皮の唐揚げも人気商品なので、別盛トレーで販売。パサつきやすい鶏ムネ肉も、㊙の液に漬け込むことでしっとり触感になりおかずに最適。手づくりっぽい見栄えも人気となります。


●林先生の家庭料理教室●

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鶏ムネ肉の皮をはぎ取り、スライスしてポリ袋に入れ、㊙液を加えて、空気を抜いてペっちゃんこの状態を確かめて平らにして口を縛り、冷蔵庫に入れておきます。後で袋ごと茹でるので、平らにして前の晩に仕込んでおくと便利です。

次の日に鍋に湯を沸かし、仕込んでおいたムネ肉の袋をそのまま入れて、3~4分ほど茹でます。袋の中の肉が白っぽくなればOKです。火を止めて鍋に蓋をして、そのまま冷まします。完全に冷めなくとも素手で触れるくらいになったら、取り出してザルに揚げて鶏ムネ肉だけを取り出します。サラダチキンの完成です。サラダ用野菜と共に器に盛り付けて、好みのドレッシングで食べます。


<By 林廣美>

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【#881】おいしさたっぷり「揚げ煮びたし」

2025年10月03日(金曜日)
カテゴリー:
  • 和風惣菜
  
10:00 AM

20251002_hayashi

おいしさたっぷり「揚げ煮びたし」
 ~手づくりのでき立て新おかず~

材料費総値上げで
人気惣菜が苦戦中!
売上げの頭打ちに加えて
人件費も上昇

そのせいか
冷凍食品原料を揚げるだけの
揚げ物売場がどんどん広がって
味の変化が無くなって
客の評判も微妙に

昔から惣菜には
「揚げびたし」という
商品があります

鶏肉や魚、野菜を
油で素揚げしてから
おいしいダシに浸す
ただそれだけで
十分に客料理になりました

惣菜といえば昔は煮物でした
そして天ぷらでした
その天ぷらを手間をかけずに
グレードアップさせて
新しい煮物に仕立てます
これが「煮びたし」です

高級感も加わって
食事にふさわしいおかずとなり
人気の惣菜商品となりました

鶏肉
カボチャ
ナス
ベビーコーン
オクラ
厚揚げ など

天ぷらにする材料を
利用すれば手がかからず
つくれます

材料に薄く小麦粉をまぶして
低温の油で素揚げをします
熱いうちに「ダシ汁」に
漬け込んで味を含ませ
トレーに盛り付けて
大根おろしを
トッピングします

この商品のキモは
漬け込む濃い目のダシ汁のおいしさです
手軽でおいしいダシを
つくるのが基本

手軽につくるには
ダシ醤油を薄めて
鰹節を多めに加えてひと煮立ち
加工用デンプンの粉で
薄いトロミを付けます
鰹ダシの効いた煮びたしのダシが
客を惹き付けます

素揚げをした材料を熱いうちに
つくったダシに浸して冷まし
ダシを少し加えてパックします

秋の新商品としての販売です
できるだけ安く販売します


★林廣美のワンポイント★

ダシのおいしさが重要なポイントになります。味付けに注意します。惣菜は家庭用のオカズなので、少し濃い目の味付けにします。ダシの好みや塩味の強さは地域によって違うので、それぞれのエリアに合わせて加減します。ダシの味が売上げを左右します。

つくってから4~5時間置いて、試食して味を決め、商品化します。長時間のパック陳列販売の場合には加工用デンプン(惣菜加工用)でダシに弱めのトロミを付けて漬け込みます。普通の片栗粉だとトロミを長時間保持できず、水っぽくなってしまいます。こうした細やかな技術が惣菜には必要なのです。


●林先生の家庭料理教室●

hayashi-hiromi_2

惣菜で販売されている「天ぷら」を利用して「煮びたし」にします。麺つゆをベースに鰹節パックを加えて、レンジで加熱。鰹風味を加えることで、ワンランク上の味に仕上がります。

買ってきた天ぷらをレンジで加熱して、熱いうちにダシに浸して5分ほど冷まし、盛り付け、ダシ汁をかけてでき上がり。時間の無い時に助かります。チューブのワサビを添えると、新しい味に変化します。

注意点として、この料理は冷蔵庫での保存ができません。天ぷらの衣がふやけてまずくなるからです。つくり立てを食べましょう。時間があれば買ってきた天ぷらは電子レンジではなく、オーブントースターで温め直してつくると、衣がパリッとします。


<By 林廣美>

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プロフィール

<林 廣美>

日本フードサービス専門学院 学院長

週刊誌編集長、料理雑誌「魚菜」編集長を経て74年料理研究家として独立。 同年、(株)シェフを設立、代表取締役となる。一流メーカーの販促企画メニュー開発など食材および調味料マニュアルの指導にあたる。 食品総合コンサルタントとして活躍の傍ら、日本フードサービス専門学院を設立、デリカの調理理論、実技指導を担当。惣菜業界の第一人者として講演依頼も多数。

【執筆活動】
『惣菜の教科書』(商業界)、『ミートデリカ入門』(食肉通信社)など。月刊誌『食品商業』(商業界)の常連執筆者。

<山中 典子>

フードプランナー・日本フードサービス専門学院 講師

東京家政大学短期大学部栄養科卒業後、辻クッキングにて副校長を務めた後、退社。キッコーマン(株)商品開発室に入社し、「タレ・メニュー開発」を担当。 その後、キッコーマンデリカ(株)にて全店のメニュー開発・商品開発・企画にたずさわる。現在は、フードプランナーとして、フリーで活動中。

【現在の活動】
日本フードサービス専門学院講師、コーディネータースクール講師、レストランのテイクアウト商品のアドバイザー、食品メーカーのメニュー開発・撮影、展示会のメニュー開発・デモンストレーション・展示品作成、食品関係の撮影、料理教室主宰

【免許・資格】
衛生管理者、フードコーディネーター、野菜ソムリエ、食品衛生責任者、食生活アドバイザー、雑穀エキスパート、フードアナリスト、食の検定(食農検定)、食育指導士、介護食アドバイザー、中級食品表示診断士、普通自動車運転免許など多数。

<大塚 長務>

株式会社明治屋 代表取締役

1975年12月19日大分県竹田市生まれ
高校卒業後、大阪あべの辻調理師学校に入学。その後、京都の料亭、福岡、現ミシェラン三ツ星獲得料亭を経て、和食では、ほとんどなかった真空料理・新調理法を10年以上前から自社で取り入れ指導者とし全国を中心に活動。調理人としての感覚と工業的調理知識を取り入れた調理技術の伝道師として、経済誌などに掲載され実力を認められている。

【資格】
国家技能調理師・調理師免許・河豚調理師免許・利き酒師

【趣味】
食べ歩き

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