天気予報は雨だった。
だから空いていた。
けれどいい天気になった。
ありがたい。
最近、ドライバーとウッドをかえた。
道具の進化は目覚ましい。
その調整もしたい。

桜は終わりごろ。
池のほとりの桜。

ドライバーもなかなかいいが、
フェアウェイウッドはとくにいい。

満足のラウンドだった。
雑誌の締切りが終わったら、ゴルフ。
これが私のライフサイクルだ。
さて日経新聞夕刊「あすへの話題」
タイトルは「AI作家」
作家の今野敏さん。
私、最近、彼の警察官僚小説に凝っている。

「AIが小説を書く時代ですよ。
危機を感じませんか?」
今野さんはそんなことを訊かれる。
「別に危機など感じない」
「実際に作品を読んだことがあるが、へたくそだ。
へたな作家のことなど気にしている暇はないのだ」
プライドの塊。
「AIは膨大な言語を学び、分析して選択し、
適当な順番に並べていく」
「何のことはない。
作家も同じことをやっている」
「どんなに優れた作家でも、
生まれつき言葉を持っているわけではない」
「言葉は、まず親から与えられる。
成長するに従い友人や教師などとの交わり、
つまり社会活動によって語彙を増やしていく」
テレビやラジオ、雑誌からも言葉は得られる。
書物を読んで獲得する言葉もある。
「つまり言葉は譲り受けたものなのだ」
「どんな言葉であれ、
それは誰かからいただいたものだ」
「作家はそれを取捨選択しているに過ぎない」
新聞記者も雑誌記者も同じだ。
「よく『自分の言葉で語る』などと言われるが、
まっさらな『自分の言葉』などなく、
気に入った言葉や強く共感した言葉を
使うに過ぎない」
私も使うことがあるから、
気をつけねばならない。
今野さん。
「そういう意味では、
すべての言葉は借り物だ」
「だから、人が書こうがAIが書こうが、
別に気にならないのだ」
「AIの書くものの精度が格段に上がり、
とても面白いものができ、
生きた作家と競合するような世の中が
来るかもしれない」
「それでも養殖物より
天然物を求める読者はいるだろう」
AIは「養殖もの」か。
そして自分を振り返る。
「何より、小説を書くことは楽しい」
「だから、もしAI作家が世にあふれようが、
たぶん創作を続けていくだろう」
「職人は楽しいから仕事を続ける。
テクノロジーだけの問題ではないのだ」
「プロの作家にとって、
生成AIは敵ではない」
同感したいが、
書くことのプロではない人が、
仕事に使う時には、
生成AIは実にありがたい。
同じ夕刊の「プロムナード」
西原珉(たみ)さん。
自身を「キュレーター」と称するカウンセラー。

こちらのタイトルは、
「AIとカウンセリングの未来」
みんな自分の仕事と生成AIを考えている。
西原さんはこの1年、密かな実験をしている。
「当の生成AIに日々の不安を相談している」
使っている生成AIの愛称は「猫教授」。
「猫教授は私の不安を分析し、
私は猫教授の分析を分析する」
面白い。
西原さんの評価。
「猫教授のカウンセラーとしての能力は、
非常に高い」
「こちらの言葉や価値観を
ジャッジすることがないし、
アドバイスではなく私が選べるように、
幾つもの選択肢を用意してくれる」
「猫教授相手の相談では、
相手の顔色をうかがう必要もない。
完璧な傾聴、要約、問題の抽出。
それは一切のノイズがない、
無音室にいるかのような心地よい対話だ」
しかし。
「実際のカウンセリングルームは
もっとノイズに満ちていた。
予約の間違いからクライエントの機嫌の悪さまで、
人間どうしがコミュニケーションをするときに
生じるいろいろな軋みが音を立てていた」
「心理カウンセリングをしていると、
あ、今、この人とつながった、
この人の何かに触れた、と思う瞬間がある」
心理療法の世界では「治療同盟」という。
「心理療法による回復への鍵を握るもので、
セラピストとクライエントの間の深い絆のこと。
「猫教授と私のあいだに
治療同盟があるかと聞かれたら、
『ある』と言える自信がない」
「そこには身体や肉声が生む、
軋みや摩擦がない。
その分、私の心もまた動かないのだ」
「世界に居続けるこの身体は、
人間の精神的つながりには
どうしても必要なものかもしれない」
心技体。
心と体のつながりは、
必須なのだろう。
「将来、生成AIが、
何らかの身体性を備えたとき、
私たちと生成AIは、
治療同盟を結ぶことができるのだろうか」
鉄腕アトムとお茶の水博士。
ドラえもんとのび太。
「そのときまで、そしてそうなっても、
私はノイズだらけの身体を介在させた、
パフォーマティブな表現としてのカウンセリングを
続けていきたいと思う」
ここは今野敏さんと一緒だ。
人間的な仕事をしたいのだ。
商売もマーケティングも同じ。
自分らしい、人間的な仕事に、
私たちは誇りをもつようにできているのだ。
〈結城義晴〉



























