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林廣美の今週のお惣菜

林廣美の今週のお惣菜

【#806】煮干しダシの「タケノコと蕗の煮物」~本当の季節の手づくり煮物~

2024年04月12日(金曜日)
カテゴリー:
  • 和風惣菜
  
10:00 AM

202404011_hayashi

煮干しダシの「タケノコと蕗の煮物」
 ~本当の季節の手づくり煮物~

惣菜の和風煮物が大ピンチ
一昔前は「惣菜」といえば
店で手づくりの煮物商品が
主力商品でした

今では惣菜売場は揚げ物が花盛り
そんな馬鹿な!
売っているでは無いか!と言われても
売場にある煮物商品は
昔の味の煮物ではありません
メーカーがつくっている
「煮物風」のものです

本当のおふくろの味を
今の奥さまたちは
母親から教わらなかったので
つくれません

メーカーの工場では「だしの素」
「液体だしの素」を使うので
おいしいけれど
何か違う

だから売れないのです
だから売れ残りも多いのです

煮物はダシを食べるもの
和食ではそれが基本です
食べれば本能で分かるのです

おふくろの味の季節の蕗は
煮干しを野菜と一緒に煮るので
手間がかかりません

昔から季節の蕗を煮る時には
相性が良い煮干しダシを
使うことが多かったのです

天然ダシの煮物は食べた人が
おいしいと宣伝してくれますよ
本物の味を売り込みます

トッピングに茹でた青菜を
見栄えよく盛り付けます


★林廣美のワンポイント★

煮干しは産地により大き目のものを煮干し、小さいものを「じゃこ(雑魚)」と言います。どちらを使っても構いませんが、新鮮なものを使います。和風の料理人は、「煮干しのはらわたを取って」などと面倒なことを言いますが、惣菜ですからそのまま使ってつくります。煮干しも食べられるように大きな煮干しではなく、小さな「じゃこ」を使います。

煮物味のレシピはその土地の味にします。東日本は濃い味に、西日本は薄味に仕上げます。


 

●林先生の料理教室コーナー●

家庭料理の季節の定番です。面倒ですが、蕗は青果で売っているものを3~4本大きく切って茹で、茎の皮を手でむき、スジを取って一口大に切ります。生タケノコは処理が大変なので、今回は外します。

昔は煮干しと蕗だけの煮物がよく食べられていました。蕗の味には山菜のアクがあり、煮干しの旨味はそのアクと相性がいいので、よく使われてきました。蕗と煮干し(小型の煮干し7~8匹)を鍋に入れ、ひたひたの水と調味料(醤油、酒、砂糖)を入れて火にかけ、15分ほど煮上げます。

季節の味を楽しむ料理です。もし蕗の葉が付いていたら葉は捨てずに、細い茎と共に細かく刻んで胡麻油で炒めてから、味噌と味醂、砂糖で佃煮風に煮含めると、人気のある「蕗味噌」という、季節の珍味「ご飯の友」ができます。本来は蕗のトウでつくるのですが、蕗の残り物の葉や茎でも簡単に作れるので、おすすめですよ。私はよくつくります。


<By 林廣美>

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【#805】モチモチ和風「焼うどん」~ランチタイムに売れる必須商品~

2024年04月05日(金曜日)
カテゴリー:
  • 麺類
  
10:00 AM

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モチモチ和風「焼うどん」
 ~ランチタイムに売れる必須商品~

茹でうどんを炒めた焼うどん
ランチタイムでよく売れる
必須「昼ごはん」メニュー

焼きそば
お好み焼き と合わせて
「粉もん」メニューとして
焼うどんは人気メニューです

材料は
茹でうどん
小間切れ肉
キャベツ
ネギ 玉ネギ など
これらの肉や野菜は先に炒めて
味付けしておきます

問題は伸びた茹でうどんを
モチモチの触感にすること
ただ炒めるだけでは
自慢のメニューには
なりません

食べた時に「モチモチ触感」
になれば最高です

伸びた柔らかなうどんを
モチモチにするには
どんな方法があるのでしょうか

中華鍋を使ってうどんを
炒めまくる
それだけです

すると不思議
伸びきったうどんがモチモチに
変わってくるのです
炒め終わったら
和風味の調味料を
加えてさらに炒め
炒めておいた野菜と
混ぜ合わせます

伸びたスパゲッティも
炒め続ければ
モチモチになります

喫茶店のナポリタンも
茹でておいた伸びた麺を
しっかりと炒めることで
アルデンテを再現して
誕生しました

 


★林廣美のワンポイント★
調味料は「味塩」と「粉末和風ダシ」と少なめの「液体の和風ダシ醤油」です。茹で麺は塩を軽くもみ込んで下味をつけておきます。中華鍋に油を熱して塩をもみ込んだ「茹でうどん」と調味料を入れてしっかりと炒めあげます。やり過ぎかな?というくらいに炒め続けると、「茹でうどん」がモチモチに変わってきます。儲かる商品だけに手を抜かずに炒めてください。
昼と夕方にはでき立てを売り込みます。売れたらつくって、補充する。これが基本です。原価の安いうどんが、モチモチのおいしいうどんに大変化するので人気商品に変化します。儲かる定番の惣菜商品です。


●林先生の料理教室コーナー●

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茹でたうどん、パスタのスパゲティなど、たくさん茹でて残った時に、伸びた麺を食べるのは辛いものです。そんな時に助かるのが麺の炒め物です。焼うどんやナポリタンなど、炒めておいしく食べましょう。

つくり方はいつもの自慢のレシピで結構。麺の味付けは後にして、フライパンに油を熱して、伸びた麺を強火で炒めます。するとだんだんと伸びていた麺が、モチモチに変わってきます。やり過ぎかな?と思うくらいになるとモチモチが強くなるので頑張って炒めます。うどんなら「醤油」と「粉末和風ダシ」、スパゲッティなら「粉末コンソメの素」と「ケチャップ」を少なめに入れてさらに炒め続けます。焦がさぬように手早くしっかりと炒め上げてください。味が足りなければ塩で仕上げるとモチモチが上手にできます。水分の少ない調味料で仕上げるのがコツです。夏の素麺チャンプルーなどにも応用するとよいと思います。


 

<By 林廣美>

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【#804】シラスと新ワカメの酢の物~季節の定番和風おかず~

2024年03月29日(金曜日)
カテゴリー:
  • 和風惣菜
  
10:00 AM

20240328_hayashi

シラスと新ワカメの酢の物
 ~季節の定番和風おかず~
春には新ワカメが
出てきます
売場に季節のおかずを
提供するのも惣菜の役目です

酢の物は地味な商品
それだけに季節が大事
とくに惣菜の基本商品は
はずせません

店が海に近ければ
生の原料を使います
採れたて生ワカメを
熱湯でさっと茹でて
地域を強調

海から遠い内陸の店の場合は
三陸などの有名産地で採れた
塩蔵ワカメを水で戻して
塩抜きをします

ここからが本番です
ワカメは緑の色が大事
生は茹で過ぎないこと

塩蔵は柔らかく
色の良い原料を選ぶこと

次に大事なのは甘酢です
地域で人気の甘酢を調べて使います
ユズを使ったり
ダイダイの絞り汁を使うなど
その土地ならではの
昔からのつくり方にします

つくり方はやさしいのですが
惣菜の「酢の物」は
商品化と売り方が難しいのです

大切なのはワカメの色
売場の中で目立ちます

次が値段です
大盛りで安く売ります
客はワカメの値段を
知っています
だから店でつくって陳列
混ぜるだけなので
安く売れます

昔からの商品だからこそ
気配りが大切なのです


★林廣美のワンポイント★
ワカメが新鮮な地のものなら、「地元の産地」を表示します。三陸などの場合は「柔らかい三陸ワカメ」と表示、そして地元の甘酢味なら「地元産の果汁使用」など強調します。食べた時の酸味が強くならないように甘酢をつくり、男性や子どもの好みを考えて口当たりの優しい酸味のメーカーの甘酢を使うなど気を配ります。

また冷ケースで長時間陳列していると、ワカメの色が黒く変色して、売れなくなります。色を気にするなら常温販売で売ってもいいでしょう。その方が色が持ちます。

材料を合わせてつくるだけなので、昼に売る分は午前中、ピーク時の夕方に売る分は午後につくるなどの工夫も大事です。人手が難しい時ですが頑張ってください。


●林先生の料理教室コーナー●

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テーブルに並んだ時、ワカメの色がきれいだと誰でもうれしくなるものです。塩蔵ワカメは水で戻してカットして使いますが、戻した時に緑色がいい、柔らかい、ワカメを選びます。塩抜き戻しをしてから2~3日は冷蔵庫で日持ちするので、時間のある時に戻しておいてポリ袋などに入れておくとすぐに使えて便利です。

甘酢はスーパーで販売されているものを使います。残念ですが普通の甘酢のレシピでは酸味を抑えきれません。男性や子どもは酸味の強い味が苦手です。そんな場合は甘酢に「本みりん」を少し加えるとおいしく食べられます。みりんは小さな器に入れてレンジでチンをしてアルコールを飛ばします。この手間でアルコールが無くなるので子どもでも安心です。昔でいう「煮切りみりん」です。必ず本みりんを使ってください。みりん風調味料では効きません。入れる量は甘みを見て調整します。和食で一味足りないなと思った時のみりんのマジックです。調理人の㊙技術です。


<By 林廣美>

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プロフィール

<林 廣美>

日本フードサービス専門学院 学院長

週刊誌編集長、料理雑誌「魚菜」編集長を経て74年料理研究家として独立。 同年、(株)シェフを設立、代表取締役となる。一流メーカーの販促企画メニュー開発など食材および調味料マニュアルの指導にあたる。 食品総合コンサルタントとして活躍の傍ら、日本フードサービス専門学院を設立、デリカの調理理論、実技指導を担当。惣菜業界の第一人者として講演依頼も多数。

【執筆活動】
『惣菜の教科書』(商業界)、『ミートデリカ入門』(食肉通信社)など。月刊誌『食品商業』(商業界)の常連執筆者。

<山中 典子>

フードプランナー・日本フードサービス専門学院 講師

東京家政大学短期大学部栄養科卒業後、辻クッキングにて副校長を務めた後、退社。キッコーマン(株)商品開発室に入社し、「タレ・メニュー開発」を担当。 その後、キッコーマンデリカ(株)にて全店のメニュー開発・商品開発・企画にたずさわる。現在は、フードプランナーとして、フリーで活動中。

【現在の活動】
日本フードサービス専門学院講師、コーディネータースクール講師、レストランのテイクアウト商品のアドバイザー、食品メーカーのメニュー開発・撮影、展示会のメニュー開発・デモンストレーション・展示品作成、食品関係の撮影、料理教室主宰

【免許・資格】
衛生管理者、フードコーディネーター、野菜ソムリエ、食品衛生責任者、食生活アドバイザー、雑穀エキスパート、フードアナリスト、食の検定(食農検定)、食育指導士、介護食アドバイザー、中級食品表示診断士、普通自動車運転免許など多数。

<大塚 長務>

株式会社明治屋 代表取締役

1975年12月19日大分県竹田市生まれ
高校卒業後、大阪あべの辻調理師学校に入学。その後、京都の料亭、福岡、現ミシェラン三ツ星獲得料亭を経て、和食では、ほとんどなかった真空料理・新調理法を10年以上前から自社で取り入れ指導者とし全国を中心に活動。調理人としての感覚と工業的調理知識を取り入れた調理技術の伝道師として、経済誌などに掲載され実力を認められている。

【資格】
国家技能調理師・調理師免許・河豚調理師免許・利き酒師

【趣味】
食べ歩き

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