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[第8回] POP制作機械の問題| 中山政男のPOP語り

中山政男のPOP語り

[第8回] POP制作機械の問題

2012年05月24日(木曜日)
カテゴリー:
  • 中山×結城のSpecial対談
  
10:06 AM

機械化による無駄なコスト

中山政男

POP制作システムを販売する側も、
情報提供などをすべきだと感じます。
売った後のフォローをもっとすべきだと思う。

結城義晴

メーカーのトップが言っていましたが、
POPマシンが普及してしまうと、システム会社はやることがない。
せいぜいアフターケアくらいだって。
だから、あまり関心を持っていないようですね。

中山

普及するまでは、メーカーも、
より使いやすさを求めて工夫していたんです。
でも、だいたい市場に行き渡ってしまいました。
そうなると、その後は消耗品に気が向いてしまいがちになります。
保守契約をしているんですが、
修理のときもお客のためになる情報提供が少ない。

結城

だから、たくさんのPOPを作らせる風潮になるんですかねぇ。
あるスーパーマーケットの女性社員が商人舎のアメリカ研修会に参加して、
「アメリカにはコトPOPがないんですね」って、ほんとうに驚いていました。
POPの意味を勘違いしている感じもします。

アメリカも優秀な店ばかり見てもらうんですが、非常にシンプルで、
なおかつ重要なところはきちんと書いてある。
そういった本来のPOPやショーカードを理解できない人もいる。

.

正常に戻すには

中山

必要以上に手間ヒマがかかっているという現状を、
どう、正していけばよいか。

結城

単位当たり営業利益を出してみればいいんですがね。
すべての資材、POPコスト、人件費などを粗利益から引いて、
営業利益を算出する。
それを売場面積で割って、単位当たりの営業利益を出して比較すれば、
無駄なことをやっている部門が判明します。
粗利益に占めるPOP関連のすべてのコストを、
「POP分配率」として算出してもいいですね。
これなら一目瞭然です。

中山

私はよく、失敗したPOPの量を見るんです。
そうすると、ものすごい量が捨ててあったりする。
ある店はトナーの在庫が大量にあると聞きました。
決算をしてはじめて、その実態がわかるようです。

結城

商品在庫ではなく、トナーの在庫ですか。

中山

非常にもったいないことです。
販促室は気付くべきだと思います。
オーナー企業であれば、指摘してすぐに改善できますが、
そうでないと今までの仕組みを変えるのに時間がかかる。

あるドラッグストアでは、
POPだけで企業規模に合わないほどの費用をかけている。
本当にもったいない。

結城

ドラッグストアのPOPはすごいですからね。

.

コーポレートカラーがPOPから消えた

スタッフ

たとえばウォルマートは青、ターゲットは赤と言うように、
アメリカでは企業カラーがありますよね。
そのカラーに合わせた販促物を考え、訴求しているように思うのですが。

中山

以前は、POPにコーポレートカラーを入れるように、
デザインマニュアルを作成したものです。
それこそ、20店舗以上になればマニュアルはキチンとありました。
思えば、以前の方がコーポレートカラーを活用するということに、
こだわりが強かった感じがします。

自分がデザインをやっているから言うわけじゃありませんが、
やっぱりデザイン意識は必要なんですね。
デザインを少し変えただけで、
月に何百万もコストダウンできるということだってあるわけです。

だけど今は、そこまでこだわっている企業は、
少なくなってきているようです。
私は、今こそ、専任を2、3人置くべきだと言いいたいんです。
資材コストやトナーコストをコントロールすれば、
十分、専任スタッフを置くだけの費用は出ますから。
そうすれば違うこともできるようになります。

結城

なるほど。

.

時間がもったいない

中山

もったいないことに、バイヤーや店舗スタッフが
POP制作に時間を費やしてしまっているケースがあります。

すばらしいPOPを作るのに時間を要したというのはいいとしても、
バクダンなどの装飾をつけたり、文字を大きくしたり、
色を変えたりするってことに、時間を費やしてしまっているんです。

スタッフ

POP制作をしていると、
クリエイティブな業務をしていると思えるんでしょうか。

中山

1枚のPOPを作るのに1~2時間ぐらいかけてしまっていることもあります。
商品の説明文から色使いなどに迷うこともあるようです。
プライスカードやショーカードなどは、
基本的なレイアウトだけでも決めておけば、
時間も短縮できると思うのですが、
あまりマニュアルが活用されていないようで残念です。

20120524_sashimi.jpg
<コーナーパネル、イメージベルトですっきりと効率よくコーナーづくりをしている>

つづく

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中山政男プロフィール

株式会社POP研究所代表取締役

日本のPOP広告研究の第一人者として、POP広告40年の経験と実績をもとに、POPツールデザイン・制作、また各企業店舗の活性化に取り組む。

全国のスーパーマーケットや各種小売店の、読みやすく、美しい、訴求力のあるPOP広告作りの指導実績は高く評価されている。手作りPOP用具開発、またコンピューターPOP制作のソフト開発にも多数参加。

全国スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会等のPOPコンテスト審査委員歴任。

現在スーパーマーケット数社のPOPコンサルタント、POP広告店舗診断で全国を奔走中。

株式会社POP研究所

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