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中山政男のPOP語り

中山政男のPOP語り

[第4回] 機械化と手書き

2012年04月19日(木曜日)
カテゴリー:
  • 中山×結城のSpecial対談
  
9:52 AM

機械化の弊害

結城義晴

せっかくコーナーパネルをつけていても、
商品で隠れてしまっている例もありますね。

スタッフ

POPにはいろいろな名称があるのですね?

結城

そう、「コーナーパネル」は各コーナーを明示するもの、
「プライスカード」は価格と商品名を分かりやすく表示するもの、
「ショーカード」は商品の説明をするもの。
それらを総称して「POP」というわけ。
最近、コトPOPが流行ってきたために、
ショーカードに使われる文字数がやたらと多くなってきているけど、
原則は15文字とされてきた。

中山政男

おもに、手書き作成中心の頃はPOPをつくる場合、
各企業もデザインには統一性に細かい基準があったんですよ。
だから担当者も基本をふまえてつくる。

結城

手書き世代の人たちですね。

中山

だから最初のうちは機械化しても、
その人たちが残っていたから、
現場で指示できていたんですよ。

ところが、いつの間にか、魔法の機械のようになって、
誰でもつくれるようになってしまった。
もちろん、私たちがPOPマシンを売ってきたのにも
責任があるんですけど。

ただ、「きちんとフォントを使ってレイアウトを決めた方が
読みやすく、手間が省けるよ」って教えてきたはずなんです。

私のつくった文字が色々なところで使われています。
これはとてもありがたいのですが、
タイトル用につくった文字が説明に使われていて、
結果、かえって読みにくくなってしまっていることがあったりするんです。

結城

タイトル用の書体が、中身の説明に使われてしまったり、
どんどん勝手に使われているわけですね。

中山

そうですね。
誰でも、必要なときに、好きなように使っている。

本部からデータで流れてくるような企業のPOPは、
さすがにそんなことはないでしょうが、
現場でつくられるものが多くなってきていると、
確かに、各店で独自に作って、
すぐに訴求すれば売上げにつながるんでしょうが。

.

下手な手書きがいい?

結城

そこに訓練されていない手書きPOPが入ってくるともう、
売り場はめちゃくちゃですね。
下手な手書きは素人芝居みたいなものです。
客は喜ばない。

中山

ただ中には、下手な方がいいって言っている人もいるんです。
でも下手な方がいいなんてことは絶対に無いと思うんですよね。
自分たちはよくても、それを見て買い物をするお客の方はたまらない。

結城

絶対にないです。
そんなことが言われているんですか。

中山

個性のある表現と下手な文字やデザインとは違います。
下手な方がいいとなると、もうお客の目線ではなくなって、
作り手の自己満足になっていってしまうんです。

結城

アメリカの「トレーダージョー」というスーパーマーケットのPOPがとてもいいんですけどね、
美術学校を出た専門のアーティストが各店舗にひとりいて、
その人が、プロとしてパネルボートやショーカードを書くんです。
やっぱりアマとプロでは、全然違います。

20120419_nakayama-no4-tj.jpg

20120419_nakayama-no4-tj2.jpg
<トレーダージョーのケチャップコーナーのトップパネル>

.

最低限の決めごとをつくろう

中山

私が言いたいのは、
「キレイにつくれ」ということよりも、
まずは分かりやすく、伝わりやすい文字で書いて欲しいんです。
読めなくてはPOP本来の役割は果たせない。

結城

「こだわりの品」って書いてあるのに、
字がこだわっていなかったりしますよね。

中山

読めないのもそうですし、文字が抜けてしまっていても
平気で貼ってあったり、漢字がまちがっていたり。
変換がちがっていたり。
一生懸命つくっていると、気付かないことは私にもありますが。

それにしても長い間、売り場でそのまま取り付けているのは、
やっぱりまずいですね。
品出しのときにもPOPにまで気配りがいかないのか、
そういう売り場は、各コーナーを見てもあまりまとまりが感じられません。

結城

そうですね。

中山

何が言いたいのか分からない、というPOPもありますよね。

結城

POPが原因で分かりにくい売り場になっているということですね。

中山

ちょっと手で書いてみようとしても、
どのように書いたらいいか迷うのは
手本となる基本的なたよりがないからでもあるんです。

最低限の決めごとは必要だと思うんですよ。
文字なり、形なりの。

それなのに、POPの“コト”で売れているんだと。
でも内容を見ると、対象商品のどの部分を伝えたいのか
分からないというようなことがありましてね。
その辺はぜひ整理しなくてはいけないですね。

.

20120419_nakayama-no4.jpg
<それぞれのPOPが商品をじゃますることなく、役割をはたしている>

つづく

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[第3回] POPの整理の必要性

2012年04月12日(木曜日)
カテゴリー:
  • 中山×結城のSpecial対談
  
9:30 AM

責任者はだれ?

中山政男

企業は、一度、自社のPOPを整理してみると気づくこともあると思います。
POPでもショーカードなのか、プライスカードなのか、
コーナーを知らせるトップボードなのか。
一番問題なのは、これを管理しているかどうかです。

結城義晴

売場主任なのか、店長なのか、販促担当なのか。

中山

例えば、店内にPOPマシンがある店に行きました。
各売り場担当者がそれぞれでPOPを作っている店です。
そこに、紙を4枚くらいつなげた、長尺POPがありました。
作っているのを見ていたら、30分くらいかかっている。
1枚30分も時間をかけ、
さらにそれに色づかいや文字数を多くすると、
際限なく費用がかさんでしまう。

結城

そうですね、人件費も含めるとそうなりますよね。

中山

そういったことを、責任者は果たしてどこまで把握しているのか、
と思うわけです。

POPづくりは、そこが後回しになってしまっている場合が多い。

結城

その意味では、売上至上主義になっているんですね。

20120412_nakayama-no3-yuuki.jpg

.

言葉の氾濫

中山

ある店では平ケースにスタンドPOPが羅列されていました。
そこには、「超特価」、「お買い得」、「おすすめ」…
あらゆるタイトルのプライスカードが取り付けられていまして。

結城

言葉が氾濫してるんですね。

中山

これでは何が言いたいのか、伝わりにくい。
1枚1枚、POPをつくる時に、
「何をどのタイトル、キャッチでつくって売るのか」
ということが細かく浸透してないように思う。
とにかく色を使って、デザインを変えよう、目立たせよう、
ということばかりに気が向いてしまって。
だからそのデザインにも統一性もなくなってしまいます。

結城

本当ですね。基本の考え方がない。

中山

取り付けも、重なって商品名や価格がかくれてしまってたり、
大きさが商品に合わなかったりする。
こういったことが、ここ5年くらいでしょうか、
特に顕著にみられるようになった。

結城

非常にもったいないですね。

20120412_nakayama-no3.jpg
<この売り場は、各POPの制作から取付けまで、管理が行き届いている>

つづく

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[第2回] POPにかかる経費

2012年04月05日(木曜日)
カテゴリー:
  • 中山×結城のSpecial対談
  
1:05 PM

無駄な経費

結城義晴

ドラッグストアのPOPもすごいですよね。

中山政男

ものすごい量のPOPが貼られていますよね。
私がシステムを開発して、
パソコンでのPOPづくりを薦めてきたせいもあるんですけど、
手書きでPOPを書ける人や、
手書きをピシッと教える人が減ってしまったんです。

dscn4280-1.JPG

結城

そうですね。

中山

手書きができないから、パソコンに頼る。
でもこれは本当にもったいないことなんですよ。
「無理・無駄」が、ここに、ものすごく出てしまうんです。
それこそチェーン店だと、
トナー代が毎月、何百万円もかかってきてしまいます。

結城

印刷するためのトナー代は盲点ですね。

中山

慣れない人がPOPを作る場合、
特に試行錯誤しながら何枚もPOPをつくる。
そして同じPOPを何枚も何枚も貼るものだから、
売場もめちゃくちゃになってしまいます。

結城

例えば、コストをかけずに安く販売する「99円均市」の売り方なのに、
売場をPOPだらけにして経費をかけては、
論理矛盾ですね。

中山

私がよく、いろんなところでこの話をすると、
「いや~、先生、うちは売れてるんですよ」って言うんですよ。
「売れてるから何が悪いんだ」って。

結城

それなんですよね。

中山

でも、私が思うのは、
大量のPOPで売れているんではないと思うんですよ。
絶対に。

結城

その通りです。
例えばフェイスを3倍にして、POPをたくさん貼ったら、
「マグロが130%売れました」と言う。
でもマグロは確かに売れたかもしれないけれど、
本来、そこにイカとハマチを並べておいたら、
それらも売れて、バランスよくお客さんも喜んだはずなのに。
マグロだけが売れて、あとが売れなくなったら、
全体で利益になっているのか、
こういった計算も大切です。

中山

できていないですね。

.

POPをつくるのにいくらかかるのか

中山

今はかなり低価格なプリンターなどがありますし、
色の使い方などで変わってきてはいますが、
POPを一枚作るのにだいたい、
30円から、50~60円くらいはかかるでしょう。
でも同じPOPを何枚も何枚も貼ったり、ベタ塗りをすると、もっとかかる。
プリントアウトなどの時間や人件費を入れると、
千円単位でかかっている場合もあります。

結城

例えばB4サイズのPOPだと、一枚、どれくらいかかるのですか?

中山

B4サイズで50円くらいですね。

結城

ということは、一つの商品にPOPを6枚並べて貼ると、
300円くらいかかりますね。

中山

さらに、スタンドPOPの大きいサイズは、
トナー代だけで一枚100円以上します。
これをプリントアウトしているのを見ていると、
10分も20分もかかってるんですよ。
だから一枚で何百円もコストがかかります。

.

20120405_nakayama.jpg
<大量陳列の例。あまり大きなPOPを付けず、効率がよい>

つづく

****************************************************

第1回掲載から1年ぶりの復活です。
これはひとえに、事務局の不手際。
読者の皆様と中山先生にお詫び申し上げます。
本連載は、これから毎週木曜日に全12回にわたってお届けいたします。
ぜひ、ご愛読ください。

[商人舎事務局]

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中山政男プロフィール

株式会社POP研究所代表取締役

日本のPOP広告研究の第一人者として、POP広告40年の経験と実績をもとに、POPツールデザイン・制作、また各企業店舗の活性化に取り組む。

全国のスーパーマーケットや各種小売店の、読みやすく、美しい、訴求力のあるPOP広告作りの指導実績は高く評価されている。手作りPOP用具開発、またコンピューターPOP制作のソフト開発にも多数参加。

全国スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会等のPOPコンテスト審査委員歴任。

現在スーパーマーケット数社のPOPコンサルタント、POP広告店舗診断で全国を奔走中。

株式会社POP研究所

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