「1年で最も好きな月」と老いることの「軽さ」

ゴールデンウィークが終わった。
東京新聞コラム「筆洗」
物理学者の寺田寅彦。
5月ファンだった。
「初夏の若葉時が年中でいちばん気持のいい、
勉強にも遊楽にも快適な季節になって来た」
同感だ。
「なって来た」というのは、
若いころの寺田は5月が苦手だったから。
「理由のない不安と憂鬱(ゆううつ)」を感じていたが、
年齢を重ねて好きになったという。
五月病だったのか。
一方、お天気博士の倉嶋厚さん。
1年を1日にたとえた。
冬至を真夜中の0時とすれば、
5月は「午前10時」に当たる。
「まだ昼食前、
期待に満ちた長い午後も残されている」
倉嶋さん、さすが。
いい表現だ。
これにも同感。
その5月、私は明日からアメリカへ。
ラスベガスで商人舎USベーシックコース。
今日は横浜商人舎オフィス。
いろいろなレターを書いた。
月刊商人舎5月号贈呈文。
商人舎発起人にみなさんに、
毎月、手書きのレターを、
雑誌に同封して送っている。
原稿用紙一枚に、
一気呵成で手書きする。
英語でHandwriting。
手書きは気持ちが伝わる。
3月期の増収増益決算が発表されている。
商人舎流通SuperNews。
アクシアルnews|
年商2819億円4.3%増・経常127億円3.1%増の増収増益
新潟県を中心とする㈱原信と㈱ナルス、
群馬県を中心とする㈱フレッセイ。
その3月期連結売上高は2819億円、
前年比4.3%増。
営業利益121億円(2.4%増)、
経常利益127億円(3.1%増)。
売上 高、経常利益は過去最高。
営業利益率4.3%、経常利益率4.5%。
グループ全体では130店舗となった。
素晴らしい。
来期は3000億円の大台か、と思いきや、
2026年3月期は2860億円、1.5%増。
厳しい1年だととらえている。
その考え方はよろしい。
一方、
ノジマnew|
年商8534億円12.1%増・経常512億円55.4%増の増収増益
連結売上高は8534億円、前年比12.1%増。
営業利益484億円(58.3%増)、
経常利益512億円(55.4%増)。
こちらも売上高と営業利益は過去最高。
営業利益率5.7%、経常利益率6.0%。
3月末時点の店舗数は1297店。
手堅い経営。
しかもメーカーなどからの派遣販売員を置かない。
自社従業員が店頭に立って、
コンサルティングセールスを貫徹する。
売上金額を上げるのではなく、
質を売る「家電質販店」を標榜する。
家電チェーンのなかで、
際立つポジショニングだ。
素晴らしい。
ノジマの2026年3月期は、
5.5%増で大台の売上高9000億円。
1兆円が視野に入った。
さて川崎先生で思い出した。
最後に「老人力」
ほぼ日の糸井重里さん。
「ぼくの尊敬する先輩たちは、
だいたい年をとってくると、
そのことについての文章を書くようになる」
この「老人力」という逆説的なコンセプトに
赤瀬川さんが気づいて文章にしたのは、
ご本人が60歳になりかけたころだった。
糸井さん。
「いまのぼくから思えば、
ぜんぜん『老人』じゃなかった」
私も同感。
この本、実に面白い。
「横尾忠則さんも、
ずっと『老い』『老人』を語っている」
「『老い』よりもずっと前から、
『死』のことを言っている。
合間合間に『病』も語っているから、
筋金入りだ」
「吉本隆明さんは、
海の事故からあと、持病もあって、
ある時期からはじぶんの『老い』を、
もっとも近くにある自然として
観察しはじめた」
もっとも近くにある自然。
凄い。
朝日新聞「折々のことば」
第3395回。
軽くありたいという希望は、
どの老人にも共通する、
いちばん切実なことだと思います。
〈幸田文〉
「高齢者には
食料品の買い出しも重さがこたえる。
白菜一個で手一杯。
着物も洗いざらした軽いのがいい」
「ついでに責任、義務、仕事、財産、
交際も軽くしたい」
「人生の処し方を体で知るのが老いの季節」
そういえば若い独身者を「身が軽い」と言い、
他の命を宿す人を「身重」と言う。
倉嶋さん流に人生を1日にたとえると、
自我のない無意識のころが午前6時まで、
少年、青年は午前12時まで、
自我を確立する。
午後6時までが壮年。
目いっぱい仕事する。
そして老年は午後6時以降か。
そう考えてみると、
老いるのは一番楽しい時間帯だ。
その時期にこそ、軽くありたい。
ありがとう。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
自分が最も身近な自然とは考えたこともなかったです。
デカルト的二元論にハマってたのかもれません。
なるほど。違うものが見えてくる気がします。
吉本さん、隆明さんは凄いですね。