鈴木敏文セブン&アイ元会長が日経MJに登場して語ったこと

今日は二十四節気の処暑。
「暑さが峠を越えて後退し始めるころ」
第107回全国高校野球選手権大会決勝。
沖縄尚学高校が日本大学第三高校(西東京)を、
3対1の投手戦で破って初優勝。
沖縄尚学は春の選抜大会を2度制覇している。
1999年と2008年。
しかし夏は初めて。
一方の日大三校は、
夏の甲子園で2度優勝している。
私の長男が東京地区で高校野球をやっていた。
最後は東東京の第2シードだったが、
その前の練習試合で日大三校と戦った。
プレイボール前に向かい合って並んだら、
全員が大人と子供ほどの体格の差だった。
それだけ日大三校は、
体力のある選手ばかり集めていた。
今回も、どの選手も鋭い振りをしていた。
2年生が多い。
来年がある。
さて日経MJに、
鈴木敏文さん、ご登場。
92歳。
タイトルは、
「セブン&アイ、激動の20年」
セブン&アイ・ホールディングスは、
この9月1日に設立から20年を迎える。
鈴木さんは1963年に、
イトーヨーカ堂に入社した。
東京出版販売(トーハン)からの転職だ。
1973年にヨークセブンを実質的に設立し、
そのセブン-イレブンが奇跡的な成功を収めた。
1978年、㈱セブン-イレブン・ジャパン社長。
1992年、㈱イトーヨーカ堂社長。
2005年からセブン&アイ会長兼CEO。
2016年、退任。
鈴木会長時代に社長として右腕となったのが、
村田紀敏さん、今、81歳。
このインタビューは村田さんが説明役となり、
核心の一言を鈴木さんが語った。
その鈴木さんの言葉だけを拾った。
プライベートブランドを開発したとき、
最初は「安さ」を狙おうとした。
しかし鈴木さんは違った。
「時代の変化を見ないで、
自分たちがやってきたことの延長で
ものを考えていた」
「ところが、実際には、
世の中が変わっていく。
世の中の変化に対して
どう対処していくかを
考えなくてはいけなかった」
「要するに、
モノを売る側から考えるのではなく、
消費者である顧客の側に立って
考えるように変化した」
ヨーカ堂やデニーズの今の停滞に対して。
「さっきも言ったけどね、
売り手側の立場で考えるな。
消費者である買い手側の立場で考えるように
変わったということよ」
「セブン-イレブンは最初から
顧客の立場で考えていた」
いまコングロマーチャントから、
コンビニ業態への集中を決定した。
「なんて言ってよいのかな、要するに、
世の中の変化に立ってモノを考えることに
変わってきたということだろうね」
「時代とともに変わる。
モノが不足していた時代は
売り手側の立場で考えれば良かったが、
今は買い手側の立場で考えるように変わった」
セブン-イレブンの商品や味について。
「商品はまず身近であること。
味は時代とともに変わる」
今のセブン-イレブンに満足しているのか。
「いや、満足ということはあり得ない。
どんな時代になろうとも満足はあり得ない」
「売り手側も変わるが、
もっと変わるのは買い手側。
お客さんが変わるということは
売り手側はそれに合わせないといけない」
「ということはね、
もっと努力した方がいいなと思います。
何もやっていないということではなくてね」
「限界はないのよ。
なぜなら世の中は変化するから。
日本の流通業の変化はほとんど、
我々が先頭に立ってきたからね」
アリマンタシォン・クシュタールが、
セブン&アイに買収提案した。
「あのね、色々な考え方があるが、
それは見極めないといけない」
加盟店オーナーからは不安と期待の声がある。
「店の立場から言えばそうでしょう。
店からすると売上げや利益が
増えることはうれしいこと」
人材の育成について。
「次の社長をつくるというより、
自分たちが新しいモノに挑戦するということ」
「次の時代の人たちがそれに追随して、
考えるようになるんじゃないの」
次の経営者に伝える言葉は。
「世の中の変化よ」
イオンをどう見ているか。
「あんまりね、同業他社がどうとかこうとか、
そういう目で見たことがない」
「まずは自分たちの成長だ」
新聞に載った写真は、
眼鏡をかけていなかった。
だから余計に92歳の年齢を感じさせた。
かつての鈴木さんは、
いつもピカピカに磨かれた眼鏡を、
キリッとかけていた。
今回も眼鏡は欲しかったなあ。
同じことを言っているように見えるが、
それはずっと変わらない。
同じなのだ。
私は商業界社長の時代に、
鈴木さんと相対で問題解決をしたことがある。
商業界とセブン&アイとの間の問題だ。
10年くらいかかったが、
2004年の年末の12月30日に、
二人だけで話をして、
お許しをいただいた。
このブログの2005年1月の項に、
さりげなく書いている。
「2005年1月の20日〆行動日誌」
これは両者にとって歴史的なことだった。
商人舎の社長になってからも、
退任した鈴木さんにインタビューを申し込んだ。
もちろんセブン&アイの広報を通してだが。
丁重にお断りの返事が来た。
予想通りだったし、
そのことは十二分に了解している。
お話をしたかった。
ただ、それだけ。
「世の中は変わる」
「とくに買い手側が変わる。
だから顧客の立場で考えねばならない。
売り手はそれに合わせなければいけない」
「いつも新しいものに挑戦する。
自分たちがやってきたことの延長で
考えてはいけない」
「人がどうかなどということも考えない」
「満足ということはあり得ない。
もっと努力したほうがいい」
御意。
ありがとうございました。
〈結城義晴〉