過去と未来の間の「人生の平衡感覚」

沖縄は5月4日に梅雨入りした。
九州南部が6月1日、
四国が6月2日、
九州北部、中国、近畿が4日に梅雨入りした。
東海と関東甲信は、
そろそろ梅雨入り。
急に寒くなった。
梅雨寒(つゆざむ)か。
ゼイバーズのコーヒーを淹れて飲んだ。
梅雨寒の朝の珈琲まるやかに
〈安立公彦〉
それから音楽でも聴くか。
梅雨寒や部屋いっぱいにビートルズ
〈岡山敦子〉
今週は国会の衆議院と参議院の予算委員会で、
酷いやり取りを見せつけられた。
朝日新聞「折々のことば」
鷲田誠一さんが続けて、
同じ作家の言葉を紹介してくれた。
第3652回。
人は……過去(うしろ)へ引っぱられ、
未来(まえ)へ引っぱられ、
いわば前後に存在をひろげて
生きている。
〈古井由吉(ふるいよしきち)〉
「だがこの広がりが急に狭まると、
人は『現在地、現在時』を見定められずに
前後不覚に陥る」
「そして時に思いもしない凶行に及びさえする」
ん~、文春砲が報じた事件もこれに違いない。
「齢(よわい)を重ねると
『情熱の尽きた故の興奮』なるものに
襲われたりするが、これを抑えるのは
存外難しい」
これはドナルド・トランプだ。
わが女性首相も。
「脈絡を見失うと
人生の平衡感覚も崩れてしまうから」
人生の平衡感覚は、
いくら歳をとっても、
崩してはいけない。
つづいて第3653回。
過去は、
現在生きやすいようには、
積み重ねられていない。
蒲団(ふとん)を押入(おしい)れの中に
片づけるのとわけが違う。
〈古井由吉〉
「取り違えに物忘れ。
その一方で、知らないはずが知ったつもり」
「不安が濃くなるにつれて依怙地(いこじ)になり、
似ても似つかぬものの中に
『過去との符合』を強引に見てとる」
「前者では既知のものが消され、
後者では偽の既知感に覆われる。
だが根は一つ」
「年月が積もると、その重みに拉(ひし)げ、
歩行も鈍る」
これも随筆集『裸々虫記』から。
古井由吉は日比谷高校から東京大学文学部。
立教大学助教授。
1971年、『杳子』で芥川賞。
「内向の世代」と呼ばれた。
個人の内面に入り込んで描く作風の作家たち。
『裸々虫記』は古井49歳の随筆。
1937年生まれの作家は、
若いころから老成していた。
人生の平衡感覚。
現在地と現在時の認識。
49歳くらいから、
強く意識しておいたほうがいいだろう。
商人にとってこの平衡感覚はとても大切だ。
私くらいの歳になると、
それは必須の感覚となる。
年月を重ねてこれが失せると、
思いもしない凶行に及びさえする。
だから自分で珈琲を淹れ、
好きな音楽でも聴いて、
平衡感覚を取り戻す。
ありがたい。
〈結城義晴〉




































