結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年12月06日(土曜日)

日経・読売両紙の「衆議院議員定数削減」批判と「ゲリマンダー」

1日、ゆっくり休養した。

家にいて、ソファーに座って、
古い映画を3本観た。

夕方、散歩を兼ねて、
まいばすけっとに行った。
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そばにセブン-イレブンがあるが、
最近はこちらに足が向く。
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昨夜はコールドムーンだった。
「冷たい月」。
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さて、第219回臨時国会の会期は、
10月21日から12月17日まで。

自民党と日本維新の会が、
衆議院の議員定数削減法案を提出した。

日経新聞の政治面は最近、
よく取材して丁寧に書かれている。

第2面トップで取り上げた。
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「自民党は維新との連立維持を優先し、
党内の異論を押し切った」

「法案が成立・施行すれば、
1年間の『猶予期間』を確保し、
定数削減と衆院選挙制度改革に関して
超党派の合意をめざす」

維新の会の「一丁目一番地」の案件。

「法案が成立すれば与野党は2026年に、
衆院の協議会で定数削減と選挙制度改革を話し合う」

「1年以内に定数削減の具体策を
まとめられない場合は、
公職選挙法を改正した上で
小選挙区25、比例代表20を減らす」

「一方的に期限を設定して、
その間に与野党で改革案をまとめられなければ、
問答無用で衆院の定数を削減する」

読売新聞が社説で噛みついた。
与党寄りのメディアとして珍しい。

「衆院定数削減
憲政の常道に反する暴論だ」

「こんな乱暴な法案を、
政権を担っている与党が提出するとは。
見識を疑いたくなる」

「現行定数465の『1割を目標』として、
最低でも45議席を削減する」

「1年以内に結論を出せない場合には、
自動的に定数を削減する」

具体的な削減数も明記示された。
現行の小選挙区比例代表並立制を前提に、
小選挙区で[25議席]減、比例選は[20議席]減。

「選挙制度のあり方は民主主義の土俵である。
定数も含め、与野党の幅広い合意を得て
決めるべきものだ」

「そうした手続きを軽んじれば、
立法府の権威を貶(おとし)めることになりかねない」

私もこれは国会の在り方として、
おかしいと思う。

読売はそもそも論も展開する。

「そもそも衆院の定数は、
人口が7000万人余だった終戦直後の466と同水準だ。
人口比で見ると、他の主要国より少ない」

「定数を削減して国民の代表を減らすことがなぜ、
改革と言えるのか」

議員定数の話となると、
「ゲリマンダー」という言葉が浮かぶ。
綴りは「Gerrymander」。

選挙において特定の政党や候補者に、
有利になるように恣意的に選挙区を区割りすること。

高校の公民科や「政治・経済」の教科書に、
今も載っていると思う。

1812年、米国マサチューセッツ州の知事が、
自分の政党に有利なように選挙区を区割りした。
その結果、選挙区が不自然な形になってしまった。
そのうちの一つがサラマンダーに似ていた。

「サラマンダー」はヨーロッパに生息するトカゲ。

知事の名はエルブリッジ・ゲリーだった。
そこでゲリーとサラマンダーの合成造語で、
「ゲリマンダー」という言葉が生まれた。

今回のような性急な定数削減は、
「ゲリマンダー」と疑われても仕方がない。

それを読売新聞までが舌鋒激しく批判した。

小売業やサービス業、製造業の経営にも、
「スピード」は必要だ。

社会は凄い勢いで変化している。

しかし性急すぎる政策、歪な施策は、
絶対にうまくいかない。

読売新聞社説は書いている。
「自動的に定数を削減する条項は、
『身を切る改革』を掲げる
維新の要求で盛り込まれた」

「法案について、自民内からは、
『乱暴すぎる』といった反対意見が出ていた。
それでも法案提出に踏み切ったのは、
維新の連立離脱を避ける狙いからだろう」

「法案の内容に問題があることをわかっていながら、
連立維持を優先するとは自民もふがいない」

「自民と維新の危うい関係を見ていると、
長年続いた自民、公明両党の連立の協力関係が
政局や国会の運営にいかに注意を払っていたのかが、
改めてわかる」

民主主義的ではない。
デモクラティックではない。
ヒューマニスティックでもない。

それに対して私はいつも反対だ。

〈結城義晴〉

2025年12月05日(金曜日)

ライフ店長の「PB推し商品」とウォルマートの「南アフリカ出店」

今年最後のいつものゴルフ会。

朝は寒かったけれど、
後半のハーフはゴルフ日和。
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名門コースは両サイドに木々が配され、
フェアウェイをとらえなければ、
必ずペナルティが課される。IMG_8865 (002).jpg2

後半のハーフはボギーペース。IMG_8866 (002).jpg2

 

最後はパーで上がって満足。IMG_8867 (002).jpg2
ありがとうございました。

つくばエクスプレスと東海道線を乗り継いで、
横浜商人舎オフィスに戻る。

週末を迎える前は、
みんなの顔を見たい。

そして来月号の打ち合わせ。
頑張ります。

さて商人舎流通SuperNews。
いい話題。

ライフnews |
全店舗の店長に聞いたライフPBの推し商品

㈱ライフコーポレーションが、
店長約300名にアンケートを実施。

「ライフのプライベートブランドの推し商品」
店長たちの想いの詰まった推し商品。
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4つのプライベートブランド(PB)で約1800品目。
⑴スマイルライフ
⑵ライフプレミアム
⑶BIO-RAL
⑷スターセレクト

⑴はレギュラーブランド、エコノミーブランド。
⑵はクオリティブランド。
⑶はオーガニックのライフスタイルブランド
⑷はコンペティティブブランドで、
ヤオコーとの共同開発。

店長はそれらを知り尽くしている。

そのベスト5。

第1位は、
BIO-RAL 有機アガベシロップ。
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店長のコメントが紹介されている。
それがいい。
「食シーンで甘さ摂取を我慢しなくてもいい。
使用用途も広く、体を鍛えている人や
健康系食品に興味をもち始めた人にもおすすめ」

「なんといってもおいしい。
さっぱりとした甘さが魅力。
プレーンヨーグルトに入れて食べると
高級ヨーグルトに変わる」

第2位はライフプレミアム、
信州あづみ野おいしさ極だつはちみつヨーグルト。
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第3位はBIO-RAL、
鶏肉と塩だけでつくったサラダチキン。

第4位はBIO-RAL 油シリーズ。

第5位もBIO-RAL お茶シリーズ。

BIO-RAL のライフスタイルブランドが、
圧倒的な人気で4品。

それにクオリティブランドのプレミアムが1品。

それはよくわかる気がするが、
レギュラーブランドでもよく売れるアイテムは、
店長から「推し」があっていいし、
スターセレクトにもあるんじゃないのかなぁ。

それにしてもBIO-RALは、
実にいい商品群に育っている。

もうひとつのニュースは、
ウォルマートnews|
アフリカ大陸初の「ウォルマート」バナーを2店オープン

ウォルマートがとうとうアフリカ大陸に進出した。
やはりというか南アフリカ共和国。

まず11月22日(土)、
最大の都市のヨハネスブルグの郊外。
ルードポート地域。
「クリアウォーター・モール」内。
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次が11月28日(金)、
同じくヨハネスブルグ郊外、
「フォーウェイズ・モール」内。

ウォルマートは2011年、
南アの大手小売業Massmart(マスマート)を買収した。
株式51%を取得し、2022年に完全子会社化。
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マスマートは「Makro(マクロ)」などのバナーを、
約400店舗を展開しているが、
「ウォルマート」バナーの店舗を開設する。

クリアウォーター店はスーパーセンターだ。
生鮮食品から食品全般、衣料品、ハードライン。
日本で言えば総合スーパー。

アフリカ版「Walmartショッピングアプリ」を開発して、
店舗から半径5キロメートル圏内には、
60分以内のオンライン速達配送を行う。
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クリアウォーター店では80名を新規雇用。
2025年4月に中小企業サプライヤー15社と契約。
「サプライヤー・グロース・サミット」を開いて、
取引先を選出した。

アンドレア・オルブライトさんは、
同社国際部門の上級副社長兼最高成長責任者。
マスマートのオペレーティング・パートナー。
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「南アフリカのお客さまに、
『save money and live better』を実現します」

「Save money and live better」は、
2007年秋から「Always Low Price」に代わって、
ウォルマートのキャッチフレーズになった言葉だ。

「ウォルマートの『spark』が、
南アフリカ全土に広がることを
とても嬉しく思います」

「spark」はウォルマートのロゴマークの星のこと。

アフリカ全体のGDPランキングでは、
第1位が南アフリカだ。

第2位エジプト、第3位アルジェリア、
第4位ナイジェリア、
第5位モロッコ。

南アフリカへの進出は妥当な判断なのだろう。

1人当たりGDPでは南アは第7位。
貧富の差は激しい。

ウォルマートの商品も、
南アでは中産階級以上を狙っているのだろう。

一度、見に行かねばと思うが、
ウォルマートのコンセプトは、
どこに行っても変わらない。

〈結城義晴〉

2025年12月04日(木曜日)

年頭向け「サミット社長合同会見」と「松川」の美味

月刊商人舎12月号責了の日。

最後の原稿を書き上げて、
それを校正して、
責了しました。

みんな、ありがとう。
今月もいい雑誌となりました。

最後にとても重要な提言をしました。

是非、読んでください。

さて、昨日はサミットの年末恒例行事。
「社長合同インタビュー」。

山本恭広編集長が取材に行った。
杉並区永福のサミット㈱本社。summit01

流通メディアの新年特集号向けに、
服部哲也社長が質疑応答に対応する場。

ということは新年号に掲載するということか。

本社1階エントランスには社内コンテスト、
キャンペーンの結果報告が掲示されている。summit02
社員のエンゲージメント向上につながっている。

会場は5階会議室。
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15社のメディアが集まった。

服部さん。
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各社が事前に出した質問項目に、
服部さんが一つひとつ丁寧に答えてくれる。

その質問数は20を超える。

2026年の競争対策、業界再編、
それから商品開発への考え方。

2027年度以降の中期計画に込める、
イメージまで語ってくれた。summit04
服部さんもコーネル大学ジャパン伝説の一期生。

新年号向けなので、
詳細は来年までのお楽しみ。

サミットは毎年11月に、
幹部が集まって合宿を行う。

次年度に向けた方針や施策を検討する。

今日の質疑応答の中には、
服部さんが構想していること、
社内に発信していることの、
一端が垣間見えた。

こういった「民主性」は、
荒井伸也さん以来のサミットのDNAだ。

それを服部さんや幹部たちが受け継いでいる。
とてもうれしいことだ。

さて私は今日、雑誌を責了してから、
六本木に出かけた。

「松川」

カウンター6席、個室が4室の店。
お任せ料理を堪能。

凄い蟹。
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名物の絶品料理。
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焼酎の「佐藤」をお湯割りで飲んだ。
これも絶品。

㈱OICグループの山田将一さん。
㈱ユーラス、利恵産業㈱などの社長。
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実にスリリングで楽しい食事だった。

そのあと車でつくばへ。
今夜はホテル日航つくば。

朝日新聞「折々のことば」
第3531回。鷲田清一さん。

自殺行為ともいえるほど
無茶苦茶に働くこと、
それが実は
なまけていることなのだ
〈ヨゼフ・ピーパー〉

「労働から離れている時間を、
のんべんだらり、休息と憩いの時間と
考える人は多い」

しかしピーパーは逆に、
その時間をこう説明する。
「人間が彼固有の尊厳に
ふさわしい生き方をなすためにある」

働きづめを愛で、
「存在するものに対して自らを開き、
受けいれ、耳を傾ける時間を
許さない時代は不幸だ」

『余暇と祝祭』(稲垣良典訳)から。
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ピーパーは1904 年生まれ。
ドイツのトマス主義哲学者、カトリック思想家。
ミュンスター大学名誉教授。
プラトン、アリストテレスやスコラ哲学を基礎として、
カトリックの教義的神学を明白に承認する。

鷲田誠一さんのチョイス。

例の「流行語大賞」に対する、
ピーパーと鷲田の解答。

同感だ。

無茶苦茶に働く時間と、
それから離れている時間。

それは人間の尊厳にふさわしい、
自分らしい生き方をするためにある。

いい仕事をして、
いい料理をいただいて、
満足です。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2025年12月03日(水曜日)

ドンキの実験店「Re:Price」と「外国人1割社会」へのまともな備え

12月3日。

13年前は立教大学のキャンパスに、
なぜか毎日通っていた。

昼は銀杏の葉が輝いていた。
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それが午後には、
色合いが変わった。
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今年の銀杏の落葉は異常なくらい多い。

そう思っていたら、
ドイツのベルリンも同じようなのだ。

日経新聞夕刊のエッセイ「あすへの話題」
芥川賞作家の多和田葉子さん。
いつもノーベル文学賞候補に挙がる。
ドイツのベルリンに住んで、
日本語とドイツ語で小説を執筆する。
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「今年は冬になっても、枯れ葉が、
道端にどっさり山積みになったままで
片付ける人がいない」

あらら、横浜も同じだ、と思った。

「それにしても、
落ち葉の量の多さには呆(あき)れる」

「自然は、経済的な考え方をしないのか、
春から夏にかけて多量の水や光を使って
生産した葉っぱを毎年枯らしてしまう」

ここで書くことの話。
「小説を書いていても、
『濡れ落ち葉』は大量に出る」

「クリックして消してしまうのは
もったいない気がして、
『肥やし』というファイルに入れて
保存している」

「そうしておけば、
将来の小説の肥やしになるのではないか
という気がするからである」

同じだ。

私は商業界時代は「日暮綴り」というファイル、
今は「良い情報ファイル」に収納する。

「しかし、このファイルに一度入れたものが
役に立った覚えは一度もない」

あはは、同感だ。

今日も1日、商人舎オフィス。
原稿執筆と手直し、入稿。
明日には終わらせる。

商人舎流通SuperNews。

ドン・キホーテnews|
オフプライス実験店「Re:Price」熊谷に12/16開業

㈱ドン・キホーテの新フォーマット。
「Re:Price」
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12月16日(火)に「熊谷ニットーモール店」を開業する。

ターゲットは30~50代女性。
美容・健康・タイパの驚安商品に特化した店。

「Re:Price」は、
「価格を再発見」するという意味らしい。
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タイパとコスパのいい買物。

アウトレット品やオフプライス品。
店内は⑴美容、⑵健康、⑶タイパの、
3つのカテゴリーに分けて展開される。
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埼玉県の熊谷市。
JRと秩父鉄道の熊谷駅近くの、
「ニットーモール」に入居する。

コスメ・スキンケア関連商品が約4割、
そのほかに食品、日用雑貨、理美容、衣料品など。
売場面積は65坪。
約2000~3000SKU。

アメリカのバラエティストアだ。

米国ではアウトレット品は、
アウトレットモールで売られる。

オフプライス品を買うには、
オフプライスストアの大チェーンがある。
TJXやロスドレスストアーズ。

日本にはこれがないから、
「Re:Price」も成立するかもしれない。

4桁を超える大チェーンになったら、
採算にも乗るし、面白い。

さて最後に気になったコラム。
日経新聞「大機小機」
コラムニストは神羊さん。
キリスト者なのだろう。

タイトルは、
「『外国人1割社会』への備え」

7月の参院選の参政党。
「日本人ファースト」を掲げた。

外国人政策への関心が一気に高まった。
排斥運動のような動きもある。

高市早苗政権も外国人政策を見直すらしい。

国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計。
総人口に占める外国人人口の割合は、
2020年の2.2%から70年には10.8%まで上昇する。

「外国人1割社会」が視野に入ってきた。

「経済的なプラス面として、
人手不足対策がしばしば挙げられるが、
これは正しくないだろう」

「日本側の都合で、人手不足の穴埋めに
外国人人材を充てることを続ければ、
いずれ外国人材の確保は難しくなる」

しかも円安が進んで、
日本の賃金の魅力は下がっている。

「アジアを中心とする外国人人材にとって
日本の魅力は高い技能をしっかりと
身に付ける場所であることだ」

仕事の技術はまだ国際的に一流だ。

「外国人側の視点を持たないと日本は早晩、
外国人材に選ばれない国になってしまう」

外国人技能実習制度は見直されて、
新たに27年4月から育成就労制度が始まる。

外国人実習生に過酷な労働環境を強いて、
人権侵害を生んでいるケースもあった。

外国人実習生を特定技能1号から、
より高度な特定技能2号へと、
順次移行させることで、
質の高い人材を長い間確保していく。

「外国人1割社会」が生まれる70年ごろには、
外国人の増加によって、日本の成長率は
毎年0.2%以上押し上げられる計算だ。

「特定技能2号のもとで、
在留資格が事実上無期限となり、
さらに家族の呼び寄せができるようになれば、
それは人口の増加、出生率の向上にもつながる」

「こうした経済的なメリットを
正確に理解した上、
必要な対策を講じつつ
外国人との共生を日本は
しっかりと目指していくべきだ」

実にまともな発言だ。

コンビニにもスーパーマーケットにも、
フードサービスにも、
きちんとした外国人の店員さんは多い。
現場を支えてくれている人は数多だ。

きちんとした対応をしている雇用側の企業も、
これまた多い。

デモクラティックな組織ならば、
まともな対応ができる。

それがとくにアジア諸国との国際関係を、
よりよくしていくことになると思う。

〈結城義晴〉

2025年12月02日(火曜日)

「障害者、18歳人口から除外」と「デモクラティック」な組織・社会

組織はすべからく、
民主的であるべきだ。

小売業やサービス業は、
人間産業であるから、
とくに民主的な組織でなければいけない。

『サミットスタディ』(1993年商業界刊)。
サミットスタディ

巻頭のインタビューで、
荒井伸也さんが言った。

「スーパーマーケットは、
デモクラティックなビジネスです」IMG_8825 (002).jpg2

私はこの言葉を忘れない。

ピーター・ドラッカーも究極のところは、
デモクラティックな組織を説いた。

今日も1日、商人舎オフィス。

二人の来客。
鎌田真司さんと上本寛子さん。
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鎌田さんは㈱BSK代表取締役社長、
㈱シジシージャパン顧問。
上本さんは有限会社BAMBI取締役、
マーケティングデザインプロデューサー。

この秋によく来ていただいて、
情報交換し、ディスカッションしている。

テーマは「女子力」

スーパーマーケットが、
デモクラティックであることを、
証明する内容だ。
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毎日新聞の昨日の一面トップ記事。
スクープといっていいだろう調査。
「障害者、18歳人口から除外」
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文部科学省の「学校基本調査」は、
教育政策の重要指標だ。

そのなかの「18歳人口」は、
大学の進学率の算出などに使用される。
中央教育審議会が参照する基本調査だ。
審議会は文科相の諮問機関である。

この重要な集計から、
「特別支援学校」の卒業者が除外されていた。

「特支」と略されるが、
障害のある児童や生徒が通う学校のことだ。

視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、
そして病弱などの様々な障害に対応して、
幼稚園から高等学校までに準じた教育をする。

盲学校(もうがっこう)、聾学校(ろうがっこう)、養護学校は、
特殊教育諸学校と称していたが、
2007年4月1日から同一の学校種として、
「特別支援学校」となった。

特別支援学校には、
幼稚部、小学部、中学部、高等部、
それに「高等部の専攻科」がある。

「学校基本調査」は国の「基幹統計」の一つだ。

学校数や児童・生徒数、入学者・卒業者数などを、
幼稚園や小中学校、高校、大学、
そして特別支援学校などから毎年、
聞き取って集計される。

毎日新聞はこの学校基本調査報告書を、
遡って調べた。
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大学進学率は1999年度の報告書から登場した。
「大学入学者」の数を「3年前の中学校卒業者」数で、
割り算して計算される。

これが一般に「進学率」と発表されるものだ。
中学卒業時点の数字を利用したのは、
義務教育段階で網羅的に集計できるからだ。

ところが1954年の初出の時点で、
「中学卒業者」の中に、
特支中学部の卒業者が含まれていなかった。

そして「特支」を除外する運用は、
今も続いている。

2024年の18歳人口は106万3451人だった。
その24年度の大学進学率は59.1%と算出された。
これは過去最高だったと説明された。

一方、学校基本調査の特支中学部の卒業者は、
24年に1万892人だった。

99年と比べると3000人以上増えている。
発達障害への理解が進んだためだ。

ここで2021年の特支卒業者9836人を、
「中学卒業者」に合算すると、
18歳人口は107万3287人になる。
そして大学進学率は58.6%に下がる。

1999年以降の特支中学部卒業者を含めて、
大学進学率を計算すると、
文科省が公表している数字のほうが、
0.17~0.54ポイント高くなるし、
その差は拡大傾向にあった。

特支中学部卒業者を合算しない理由について、
文科省の担当者は説明している。
「特支では就学猶予などによって
年齢と学年が一致しないことがあり、
特支を加えると18歳人口に18歳を超える人も
含む可能性があるため」

これも言い訳にしか聞こえない。
「特支で就学猶予を受ける人数は、
卒業者全体と比べるとごくわずか」

そのうえ通常の小中学校でも、
けがや病気で留年する仕組みがあるから、
年齢と学年が一致しなくなることはある。

教育にかかわる文科省側に、
差別意識がなかったとは言えない。

大学進学率を高く報告したいという、
そんな忖度(そんたく)があったかもしれない。

教育はデモクラティックでなければならない。

それを担当する行政府に、
わずかでも官僚化がはびこることは、
私たちの社会全体の衰退を招く。

小売業、サービス業、製造業も卸売業も、
デモクラティックな組織でなければならない。

民主的な社風でなければ、
生存も成長もできない。

忘れてはならない。

〈結城義晴〉

2025年12月01日(月曜日)

ツルハ&ウエルシア経営統合と「競争はあなたの仕事です」

Everybody! Good Monday!!
[2025vol㊽]

2025年第49週。
カウントダウンすれば、
あと6週間。

今日から師走で、
あと1カ月。

今年の商人舎の仕事納めは、
12月26日(金曜日)。

25日の木曜日が来年の1月号責了の日。
つまりあと1冊分、雑誌をつくる。

それまでトップインタビュー、
店舗取材などが目白押し。

そして新年号をつくって、
今年が終わる。

頑張ります。

ただし27日(土)、28日(日)は、
恒例の拡大名人会。

そのあとの年末際は30日まで、
今年も店舗視察をする。
詳細はまだ決まっていない。

13年前の12月1日。
立教大学池袋キャンパス。
銀杏が美しかった。
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今日は1日、横浜商人舎オフィス。
月刊商人舎12月号の原稿執筆と入稿。

午後3時半からオンライン記者会見。

㈱ツルハホールディングスと、
ウエルシアホールディングス㈱が
経営統合を完了した。
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2社合わせて5659店舗、売上高2兆3124億円。
国内ドラッグストアチェーンとして、
圧倒的な規模の企業が誕生した。
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統合後の2026年1月以降は、
ウエルシアがツルハの100%子会社となる。

社名はツルハホールディングス。

そしてイオン㈱は、
ツルハHDの株式50.9%を所有する。
つまり新生ツルハホールディングスが、
イオンの子会社となる。

イオン吉田昭夫社長(左)と、
ツルハ鶴羽順社長(中)、
ウエルシア桐澤英明社長(右)が、
壇上で会見した。
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リアル会場とZOOMによる開催。
私はZOOMで視聴した。

当初、新中期経営計画を公表する予定だったが、
株価影響およびのれん算出の影響を考慮して、
数値目標や業績見通しの開示はなかった。

そこで両者の「経営統合後ビジョン」の発表となった。

新生ツルハホールディングスの鶴羽社長は、
「規模の追求ではなく、理念の追求」と表現して、
統合の意義を語った。
堂々としていた。
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店舗の目指す姿として、
「ライフストア(LIFE STORE)」のコンセプトを示した。
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ライフストアの定義は、
顧客の「人生そのものに寄り添う」店。

食品、日用品などを中心とする、
今までのドラッグストアの機能に加えて、
未病、予防など顧客の人生に寄り添う店を目指す。

実現に向けて、2段階のフェーズを設定する。
2029年2月期までをフェーズ1として、
ヒト、モノ、金、情報を統合して、
ライフストアづくりのための基盤構築を図る。

2032年2月期までのフェーズ2では、
介護領域を含めたライフストアへの進化と、
海外展開を進める。

イオンの吉田社長。
「健康社会をリードするグローバル企業に近づいた。
統合効果を発揮するために新生ツルハを力強く支える」

「フォーマット開発から、
インフラ、人材交流まで、
支援を惜しまない」
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統合会社の桐澤取締役営業管掌は、
「ウエルシアにとって未来への大きな一歩。
医療や介護のニーズも多様化している。
変革に挑戦する」と語った。

また両社共通のプライベートブランドは、
「+1(プラスワン)」と命名し、
現在の既存ブランドを廃盤にして、
「ドラッグストアならではの付加価値」を追究する。

月刊商人舎11月号。
「薬+食」の正体
ドラッグ&フードに傾いていく日本消費市場202511_coverpage

新生ツルハホールディングスは、
「ドラッグ&フード」のフォーマットを開発する。
フードが24.5%くらいの構成比だ。

マツキヨココカラ&カンパニーは、
「HBC中心型」である。
食品が10%以下のドラッグストアがこれだ。

コスモス薬品は食品の構成比61.2%で、
「フード&ドラッグ」フォーマットを貫徹する。
食品が5割を超えるのが「フード&ドラッグ」。

三者三様。

ほとんどのドラッグストアは現在、
「ドラッグ&フード」から「フード&ドラッグ」へ、
移行中だ。

「薬+食」のコンバインは、
想像を超える「パワー」をもつ。

この号の問題提起は、
「食品専業スーパーマーケットや、
コンビニエンスストア、
食品頼みになってきた総合スーパーは、
この『ドラッグ&フード』の躍進を、
指を咥えて眺めていていいものか」

ここにある。

そんななかでいよいよ、
新生ツルハがスタートした。
年商2兆3000億円。

食品だけの売上げ規模は、
約5665億円。

日本スーパーマーケット番付と比較すると、
4位のオーケーや5位のアークスに迫る。

「フード&ドラッグ」や「ドラッグ&フード」の躍進で、
食品消費市場の競争は別の次元に入る。

つまり来年は異業態間競争が、
さらに激しくなる。

そんなことを感じた記者会見だった。

では、皆さん、今週も、
競争はあなたの仕事です。
Good Monday!  

〈結城義晴〉

2025年11月30日(日曜日)

「知識の量」と「問いを生む力」と「常に棚を向く目線」

11月最後の日。

銀杏並木。
IMG_8787 (002)

天まで昇れ。
IMG_8789 (002)

日経新聞の一面コラム「春秋」

「世界で一番古い国は?」

コラム子がグーグルの検索窓に打ち込んで調べた。
「日本です。紀元前660年に建国され、
約2700年の歴史を持つ国です」

同じ質問を英文で打ち込む。
回答は変わってくる。

「諸説あるが」と前置きして、
「イラン、エジプト、サンマリノなどの名が挙がる」

「英語のネットサイトには、
さまざまな基準による、
『古い国ランキング』があるからだ」

ん~。

私は英語版のほうだと思う。
日本の場合は「神話」ととらえている。

「伝承も有効なら日本は上位だが、
もっと『古い』国も結構多い」

「多様な物差しの共存とは
こういうことかと感心する」

その通り。

多様なものの見方が求められる。

そしてコラム子。
「そもそも最初の質問にある
『古い国』の定義が曖昧だったのだ」

「知力とは知識の量ではなく
問題設定、つまり『問い』を生む力を指すと
改めて感じる」

同感だ。

SNSに正反対の説明が、
互いに自信ありげに登場する時代には、
「問い」こそが大事になる。

一方、東京新聞の巻頭コラム「筆洗」

「不思議な名刺を一時、お持ちだった」
作家の嵐山光三郎さん。
11月14日、83歳で亡くなった。
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「住所も電話番号もない名刺で、
『旅行中につき住所不定』と印刷してある」

「人をおもしろがらせたい。
遊び心にあふれた筆はいつも、
そうたくらんでいた」

椎名誠、東海林さだおとともに、
「昭和軽薄体」と呼ばれた。

軽妙な文体。

「二葉亭四迷」と聞くと、
なんだか身構えたくもなるが、
嵐山は「鋤焼(すきやき)」を毎晩、食べ、
犬にも肉をやってしまう人」と表現する。

コラムニスト。
「知識で武装した遊び心の人だった」

嵐山光三郎は、
その知識の量によって、
問題を煮詰めた。

問題など設定する前に、
Knowledgeの量によって、
自動的に「面白いこと」がわかっていた。

ご冥福を祈りたい。

日経新聞「このヒト」
ジョン・ファーナー登場。
ウォルマート・インクの次期CEO。

ニューヨークの朝田賢治特派員の報告。

2026年2月に就任する。
前任のダグ・マクミロンCEOに続いて、
アルバイト出身のたたき上げが
トップに上り詰めた。
〈ファーナー(左)とマクミロン(右)〉
Walmart_John-Furner_DougMcMillon (1)

本社のある米南部アーカンソー州の農場で育った。
地元大学に進学し、学費を賄うため
最も身近なウォルマートの園芸コーナーで
アルバイトを始めた。

選んだ理由は「シフトが柔軟だったから」。

すぐに頭角を現して、
20代半ばで店長に昇格した。

口癖は「店員の質は棚に表れる」

サムズクラブのトップを務めていたとき、
店頭の従業員の給与を
管理部門の社員と同等に引き上げた。
離職率が下がるとともに顧客満足度は上昇し、
業績はV字回復を遂げた。

新CEOに与えられた課題は、
AI時代でも小売業をリードし続けるための
組織とマーケティングの変革だ。

「米オープンAIと提携し、
上場先をニューヨーク証券取引所から
ナスダックに変えるなど布石を打つ」

テクノロジー重視もあくまで
現場主義の延長線上にある。

「AIは私たちの力を強化する助けで、
店舗こそが私たちのハブだ」

ジョン・ファーナー。
目線は常に棚を向いている。

現場を大切にするトップが出てくる。
それは創業者のサム・ウォルトンのDNAが、
厳然と継がれていることを示す。

幸せな会社である。

サムも「問い」の名人だった。

〈結城義晴〉

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