結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年12月14日(日曜日)

浜田宏一の「アベノミクスのABE」とケインズの「あなたはどうか」

長野の善光寺から帰ってきたら、
横浜の妙蓮寺。

その竹垣。IMG_9147 (002)

氷雨が降って、木々も寒そう。IMG_9149 (002)

日経新聞の「大機小機」
このところの指摘は共感できる。

12月11日は「市場の反乱を招く前に」
コラムニストは希さん。

とてもいい。

「アベノミクスの師と呼ばれた浜田宏一氏が
高市早苗首相の経済政策を批判して、
日銀に利上げを求めたことが注目されている」

浜田宏一氏は東京大学名誉教授、
エール大学名誉教授。
第2次安倍晋三内閣官房参与。
89歳。
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「事実が変われば
私は考えを変える。
あなたはどうか」
ジョン・メイナード・ケインズの言葉。
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浜田教授もこの忠告を守っている。
だから今、高市経済政策を批判している。

コラムニスト。
「浜田氏の提言は経済学の教科書通りであり、
驚くことは何もない」

「アベノミクスが始まる頃、
日本経済の最大の問題はデフレであり、
産業界は円高を恐れていた」

2011年が1ドル79.7円。
2013年でも97.6円だった。

「だから金融緩和、財政出動という、
政策の方向感に関する異論はなかった」

「論点は政策金利がゼロにある中で、
これ以上の金融緩和に効果があるか否かだった」

日銀の黒田東彦前総裁のもとで、
量的緩和などの実験が試みられた。
結果は円安・株高などで、
デフレではない状態にはなったが、
2%のインフレターゲットとはほど遠かった。

「国債市場の機能不全など、
副作用も無視できなかった」

「現在の日本のマクロ経済環境は、
その頃とは大きく違っている」

2025年12月現在、155.8円。

「2%超のインフレが3年半以上続き、
人々は円安に伴う物価高に不満を募らせている」

「この状態で金融緩和を続け、
財政支出を膨らませれば、
円安・物価高に拍車をかけることは
明らかだろう」

正論だ。

「確かにインフレの結果、
政府債務残高の対名目GDPの比率は、
低下している」

「しかし、これは名目成長率が高まると、
直ちに税収が増える一方、
国債の金利負担は新発債の分しか増えない」

タイムラグがある。

「おまけにマクロの需要不足もほぼ解消した」

「だから、マクロ経済学の教科書に従えば、
今は財政赤字を抑制して、
金利を引き上げるべき時だということになる」

「ここで積極財政を唱えて、
経済対策の規模を21兆円超に膨らませた、
高市政権の経済政策には、
批判が高まってもおかしくない」

週明けの国会で決まってしまう補正予算は、
一般会計の総額で約18兆3000億円となる。

「筆者が知る限り、経済専門家の大多数は、
今年の経済対策に批判的な立場だ」

「それでも表立っての反対が目立たないのは、
高市首相への支持率が著しく高いことが
影響していよう」

期待は大きくても、
間違いは間違いだ。

コラムニスト。
「だが、外交問題などと違って、
経済政策には市場という審判がいる」

「ここ2カ月ほど円安が大きく進み、
国債の利回りが急上昇していることは、
金融市場が高市政権の財政運営に
強い不安を抱いている証左だ」

「首相には、市場の反乱を招く前に、
経済政策の弾力化を進めてほしいと願う」

実に正当な見解だ。

先述の浜田教授は2013年11月15日、
中央大学で講演して語っている。
「アベノミクスの三本の矢を、
大学の通知表にならって採点すると、
金融緩和はAプラス、財政政策はB
成長戦略の第三の矢はEだ」

あわせると「ABE」というダジャレ。

実際に第1の矢によるトリクルダウン効果が、
具体的に現れて国民生活を潤した。

トリクルダウンとは、
「富める者が富めば、
貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、
経済全体が良くなる」という、
シャンパンシャワーのような理論。

しかし第3の矢の成長戦略は、
Eの成績のごとく実行されなかった。
だからシャンパンは流れてこなかった。

それから12年、コロナ禍もあって、
富める者と貧しい者の格差は広がった。

現在の根本的な状況はここにある。

浜田教授も今年10月31日、
ニューズウィーク日本版Comに自ら書いている。
「SANAENOMICS AND ABENOMICS」
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「経済政策の舵取りとしては、
私は金融緩和でなく、むしろ、
円高を目指す金融引き締めへの転換を
高市政権には選択してほしいと思う」

安倍時代は円高、高市時代は円安。
真逆の経済の中にある。

「事実が変われば
私は考えを変える。
あなたはどうか」

もちろん私は、考えを変える。

〈結城義晴〉

2025年12月13日(土曜日)

「牛に引かれて善光寺参り」の「戒壇巡りと小蝶」

長野は東京や横浜より寒い。
真冬用の厚手のコートを着てきた。

けれど朝から日が差して、
小春日和。
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春風や牛に引かれて善光寺
信州の俳人小林一茶。

私も善光寺へ。

大門町中央通り。
善光寺の門前通りだ。
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竹風堂が店を出しているので、
「方寸」を買った。

江戸時代から続く藤屋御本陳(ふじやごほんじん)IMG_9114 (002)
かつては大名や賓客を迎えた。

善光寺入り口。
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境内入り口の二天門跡から本堂まで、
長さ約460mの石畳が続く。
石畳は6479枚ある。 IMG_9117 (002)

光がまぶしい。
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歩いていくと仁王門。
1752年の建立、焼失して1918年に再建。IMG_2425 (002)

善光寺の山号「定額山」の額が掲げられている。IMG_2426 (002)

高村光雲・米原雲海による仁王像、
左が阿(あ)形。
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右が吽(うん)形。
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歩いていくと右に六地蔵。
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そして重要文化財の山門。
寛延3年(1750年)に完成。IMG_9124 (002).jpg4

正面に「善光寺」の額。
「善」の字は「牛」に見える。
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山門に登ってみようと思った。
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内部に入って怖いくらいの急な階段を、
手すりにつかまりながら2階に登った。

門前の石段が見える。
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2階の内部には山門本尊の文殊菩薩騎獅像がある。
その四方を四天王像が守護する。
天井欄間に四国八十八ヶ所霊場御分身仏が安置。

写真は禁止。

山門裏側からは本堂を眺めることができる。IMG_9126 (002)

本堂に向かう前に大香炉。
線香を供え、煙を体にかける。
無病息災の功徳が得られる。
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最後に善光寺本堂。
近世建築として東大寺大仏殿につぐ大建築。
屋根の広さは日本一。
1953年に国宝に指定された。IMG_9129 (002)

 

正面から見ると2階建のようだが、6メート
平屋建てで天井が高い。
間口24m、奥行54m、棟高26m。

もちろん本殿に入って参拝した。 IMG_2435 (002)

本尊は日本最古の一光三尊阿弥陀如来。
「絶対秘仏」と言って非公開だ。
ただし近年は七年に一度見ることができる。

善光寺は実は無宗派の単立仏教寺院だ。
どの宗教団体にも属してはいない。
ただし実際に守護し運営する役目は、
天台宗と浄土宗が担っていて、
したがって住職は二人いる。
天台宗の大勧進貫主と、
浄土宗の大本願上人。

天台宗も浄土宗も大乗仏教の宗派。

天台宗は隋の時代の中国で、
智顗(ちぎ)を開祖とする。
平安時代初期に最澄が唐にわたって、
これを学んで日本に伝導した。
だから最澄は伝教大師と呼ばれる。

帰国後、最澄は比叡山延暦寺を建立して、
後年、円仁や円珍など多くの名僧を輩出した。

「すべての衆生は成仏できる」
最澄はこの「法華一乗」の立場を説いた。

平安時代末期から鎌倉時代初めにかけて、
比叡山で法然や栄西、親鸞、道元、日蓮などが学び、
鎌倉仏教を開いた。

浄土宗はそのなかの法然が開いた。

栄西は臨済宗、親鸞は浄土真宗、
道元は曹洞宗、日蓮は日蓮宗を興した。

善光寺はその天台宗と浄土宗が守り、運営する。

善光寺本堂の中央に「善光の間」がある。
その東から地下へと七段の階段を降りる。
お戒壇めぐり

階段を折り切ると、
真っ暗な板廊下が続く。

ご本尊の真下あたりをひと周りして、
入り口の北に出る。

これを「お戒壇巡り」という。

私も真っ暗な地下の廊下を、
手探りで歩いた。

右手で板壁を触れながら、
足先で床を探りながら、
45mをそろそろと歩く。

長く感じられるが10分くらいだろうか。

回廊の終わりあたりに板戸があって、
そこに錠前(じょうまえ)が付いている。

この錠前を握ると極楽往生できる。
心がけのよくない者は錠前をつかめず、
犬になってしまうらしい。

幸いに私はしっかりとつかんだ。

しかしこの仕掛けはよくできている。
こんな暗黒の環境は経験がない。

そこに人間を追い込んで、
自分の心の中を覗かせる。

それが「戒壇巡り」だ。

明るい光が見えてほっとする

山門から俯瞰する長野の景色と、
階段巡りの暗黒の世界。

これが「牛に引かれて善光寺参り」の、
本当の意味なのだろう。

枯れてはいるが、本殿脇の蓮池。
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かいだんの穴よりひらり小てふかな
〈小林一茶〉

お戒壇めぐりの穴の中から、
ひらりと小さい蝶が舞い出てきた。

真っ暗な回廊と白い小蝶の対比。
一茶の鋭い感覚も、
善光寺参りに意味を添える。

「一生に一度は善光寺参り」

お薦めしたい。

自分の仕事も商売も、
一度、暗黒の中で、
考えてみたい。

〈結城義晴〉

2025年12月12日(金曜日)

長野出張のデリシア庄内店・川中島店取材と熱血懇親

今日は長野へ。

朝、新横浜から東海道新幹線こだまで東京へ。
そして東京駅から北陸新幹線かがやきで長野へ。
長野駅には雪がちらついていた。

さらにJR信越本線しなの8号で松本へ。
3時間30分ほどの旅。

㈱デリシアの取材。

DELOCIAmeals(デリシアミールズ)庄内店。
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2023年11月16日に改装。
ミールズは惣菜強化型のデリシアの新フォーマットだ。
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松崎岳雪取締役が説明してくれた。
店舗運営・販売本部本部長兼第3販売部部長。
デリシアの営業のトップだ。
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デリカテッセンの文字の下は、
ガラス張り。IMG_2276

広い作業場が見える。
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ガラスには美しい文字のペインティング。
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インストアベーカリーはクオリティ感がある。
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こちらも作業場が見える。
パートナー社員たちも生き生きと働いている。
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取材の目的はレンゴー㈱とデリシアの取り組み。
段ボール什器を使った青果売場。
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デリシア庄名店の奥原寿郎店長が
つきっきりで店内を案内してくれた。

奥原店長を真ん中に、
デリシアの皆さんとレンゴーの皆さんが揃って写真。
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私の左隣から奥原店長、藤原雅志さん、松崎取締役、
神戸(ごうど)綱幸さん、中村祐さん。

藤原さんは店舗運営部・販売本部第1販売部長、
神戸さんは商品本部営業企画部部長、
中村さんは経営企画部業務改革・CSR推進課長。

私の右はレンゴーの山本麻依子、縄田幸男さん、
そして松本工場の営業担当課長板垣文隆さん。

昼食は、庄内店自慢の惣菜と弁当を購入。
私は牛タン弁当と卵焼き、おはぎ。

至近距離にあるツルヤにちょっと立ち寄る。
やや小型の店舗。
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ツルヤらしい青果のワンウェイの動線。
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ツルヤとデリシアは、
長野県に本部を置くスーパーマーケットの両雄。

デリシアにとってはてごわい競争相手だ。

それから高速道路で2時間ほど移動。
デリシアミールズ川中島店。
今年10月9日にオープンした新設店。
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商人舎の流通スーパーニュースで取り上げた。

デリシアnews|
「川中島店」10/9開業/食生活提案型の「デリシアミールズ」

導入部は惣菜と青果のダブルコンコースを採用。
意欲的な店だ。
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森真也社長が駆けつけてくれた。
今年4月に社長に就任した。
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さまざまな取り組みを聞きながら、
気づいた点を指摘した。
48歳の若いリーダーだ。
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デリシアの皆さんはとても真面目で勉強熱心だ。
商人舎ミドルマネジメント研修会にも参加してくれる。

この店もトレンドをきっちりと取り入れている。
そこは大いに評価したい。

森社長を囲んで、みんなで腕を組み記念撮影。IMG_2409

私の左隣は山岸健さん、商品本部デリカ部長。
森社長の右隣は亀田修一郎川中島店店長。

川中島店の意欲的な店づくりの詳細は、
月刊商人舎の次号で紹介しよう。

夜は今日一日、お世話してくれた
松崎さん、神戸さん、山岸さん、中村さんと会食。
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2008年から会社の立て直しを担ったのが、
前々社長の小磯恵司さん。

私は20代後半に西友ストアー課長研修に参加した。
外部からの特別参加だった。

上野光平副社長と細谷泰雄先生の講義を聞き、
最後は班ごとにロールプレイングをして、
マネジメントと問題解決を学んだ。

私は販売革新編集部員だった。

その課長研修同期生が小磯恵司さんだ。
小磯さんは西友で最後には、
執行役員スーパーマーケット事業部長を担った。

それから㈱ダイエーに転じて、
執行役員SM担当として、
巨大チェーンの再建に取り組んだ。

さらに㈱アップルランドに移って、
代表取締役社長、会長を歴任した。
ここでも企業再建に取り組んだ。

会社の再建とは財務を立て直すと同時に、
人を育てることだ。

松崎さんも神戸さんも、
小磯さんの薫陶を受けた。

根本にある考え方は、
西友の実質的創業者・上野光平の思想だ。

その哲学は私の中にもあって、
商人舎の研修のバックボーンとなっている。

前社長の萩原清さんも小磯さんとともに、
会社の立て直しに貢献した。

そのお二人の指導を受けた現在のデリシア幹部。
話は大いに盛り上がった。

おいしい寿司懐石と楽しい会話。
充実した1日だった。IMG_2421
ありがとう。

上野光平さんのことば。
「二度とない一生をかけて、
自分は何をやりたいのか、
何になりたいのか、
それをはっきりさせることだ」

「そしてそのために毎日を、
どのように生きるのか」

上野光平が問う「毎日の生き方」
それが問題だ。

〈結城義晴〉

2025年12月11日(木曜日)

紀文食品の打ち上げおでん大会とフレスタ宗兼光代さんインタビュー

1日中、自宅で原稿執筆。

請け負っている連載の新しいシリーズが始まった。
夕方、書き上げて、メールで送った。

それから東京・新橋に出かけた。IMG_8988 (002)

(株)紀文食品直営の出汁料理(おでん)専門店、
「楽でん」

新橋の烏森口の雑踏を抜けた、
静かな路地裏にある。

昨年も同じ頃にやってきた。IMG_8992 (002)

「おでん」を食べるには少し暖かいが、
夏の紀文正月フォーラムの打ち上げ。

ひょうたん型の鍋で、
さまざまなおでん種が煮込まれる。

メンバーは、
紀文食品の堀内慎也マーケティング部長。
「お正月」の専門家。
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こちらは左から和文化研究家の三浦康子さん。
(株)こどもりびんぐ編集長の岡﨑奈穂子さん。
野崎理悦(りえ)紀文食品執行役員商品開発室長。
高柳謙一郎同営業企画部部長。IMG_8997 (002)

三浦先生は基調講演とパネルディスカッション、
岡﨑さんもパネラー。

いいフォーラムだった。

おでんメニューはほとんどをいただいて、
それに旨い日本酒と焼酎。

堪能した。

今年末のお節や年始商材、
その発注は好調とのこと。

あとはみんなで売り切るだけです。
フォーラムの仲間は、
元気いっぱいだった。IMG_8998 (002)

一方、昨日は山本恭広編集長が、
広島に出張した。

㈱フレスタホールディングスを訪問。fresta-office

フレスタの店舗バナーで、
広島県を中心に山口県、岡山県に展開する。

本社は広島市安佐南区緑井にあって、
物流センターを併設している。
最寄り駅はJR西日本可部線・緑井駅。

宗兼光代さんにインタビュー。
取締役管理グループ人事総務部部長。fresta-munekane1

宗兼邦生会長の次女。
アメリカの大学を卒業後、
食品メーカーで営業職勤務。
当時、東日本大震災が起きた。
スーパーマーケットが、
生活インフラであることを強く意識した。

その後は慶應義塾大学大学院経営管理研究科で、
MBAの修士号を取得。
それからフレスタに入社した。

フレスタは1887年、
宗兼清兵衛氏が菓子・タバコ販売店として、
ムネカネを創業したのが始まり。

その後、青果商を経て、
1960年、主婦の店に改組。

広島県でスーパーマーケット第1号店を開店。
ムネカネ横川店。

1991年、CIを実施して、
ムネカネから㈱フレスタに社名変更した。

当時、企業ブランディング事例として、
山本編集長が「食品商業」で取材をした。

2017年に持ち株会社を設立、
㈱フレスタホールディング。

スーパーマーケットのフレスタをはじめ、
酒販小売り、生鮮加工・卸売り、
それにマーケティングなど、
さまざまな機能会社を統括する体制となった。

いま掲げているのが、
「ヘルシストスーパーマーケット」

健康経営をミッションとしている。

キャッチフレーズは、
「ココロに、カラダに、スマイル」。fresta-room

そのことが伝わるオフィス。

CGCジャパングループに加盟していて、
中四国CGCの中核企業の一つである。

宗兼光代さんには人事管掌のトップとして、
さまざまな取り組みを語ってもらった。
部門横断のプロジェクトを立ち上げて、
採用・教育活動の改革などを進めている。

その後、フレスタ中筋店に移動。fresta-store

2020年11月オープン。
売場面積は約400坪。fresta-store2
いいい店だ。

商圏内に子育て世代が多いことから、
2階にイートインコーナーとキッズスペースを設置した。
木材の地産地消の観点から、
内装などに広島県内産木材を使用している。fresta-woodx

日本のチェーンストアにも、
女性経営者の時代がやってきている。

実に楽しみなことだ。

かつて渥美俊一先生は言った。
「”男並み女”なら問題はない!」
40年も前のことで、
当時は妙に説得力があった。

だからその声色までよく覚えている。

しかしその時代は終わった。
それを宗兼光代さんは証明している。

私の孫は今のところ二人とも女の子だ。
その時代が来ている。

実に楽しみなことだ。

〈結城義晴〉

2025年12月10日(水曜日)

商人舎12月号「リージョナルチェーンの盲点」と「勇気ある決断」

月刊商人舎12月号、
本日発刊!!
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特集は、
リージョナルチェーンの盲点
「商圏」と「商勢圏」を混同するな!!

[Cover Message]
小売業はナショナルチェーン全盛の時代に入っている。カジュアルファッションではユニクロとGU、そしてファッションセンターしまむら、無印良品。ホームファッションではニトリ、ドラッグストアは新生ツルハホールディングスとマツモトキヨシ。コンビニはセブン、ファミマ、ローソン。すべて47都道府県に出店が完了している。
しかし全業態の中核をなすスーパーマーケットと総合スーパーはリージョナルチェーンの時代である。そしてそのリージョナルチェーンをつくるための「商勢圏」の考え方に、大きな誤解と混同がある。
チェーンストアの基礎単位ローカルチェーンから、一歩抜き出たリージョナルチェーンへと展開する際の「盲点」が知覚されていないからだ。この「盲点」を克服できなければ、ローカルチェーンからの脱皮もできず、リージョナルチェーンとしての成長も展望できないのだ。

新しい雑誌ができる。
嬉しいものです。
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もちろん100%満足できるものではない。
けれど、いつもそれに近づけたいと思う。

ありがとう。
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目次。
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私が書いた特集のまえがきは、
是非、読んでください。
「Regional Chainと商勢圏を、
再定義する」
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今年最後の大事な提言です。

そのあとにケーススタディがずらり。

バロー、 「商業的爆弾」を投下す
「横浜下永谷店」
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ヤオコー、東京23区に侵攻す
「板橋四葉店」
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関西フードマーケット、融合する
「阪急オアシスマルシェ南千里店」
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マルエツ、「次世代旗艦店」で攻守する
「BLiX茅ヶ崎店」
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ロピア、飛び火商勢圏を構築する
「みらい平店」
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そしてアメリカのリージョナルチェーン。
HEB、商勢圏開発のお手本とせよ!
全米第4のダラス都市圏制覇の盤石セオリー
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「冒険」をしないチェーンストアは、
第二商勢圏、第三商勢圏を、
勢いよく制覇することはできない。

そこで最後に「Message of December」

勇気ある決断

私たちは
いつも
勇気を
もたねばならない。

弱い人も、
強い人も。
小さな人も、
大きな人も。

力ある人も
知恵ある人も。
地位ある人も、
将来ある人も。

最後の最後には
勇気ある
決断を
しなければならない。

恐れてはいけない。
くじけてはいけない。
悔やんでもいけない。
逃げては、もちろんいけない。

日々の
小さな意思決定にも
勇気が
潜んでいなければならない。

人生一度の
大きな勝負どころには
勇気が
あふれていなければならない。

四面楚歌の
窮地には
勇気でしか
立ち向かえない。

勇気とは
未知なる世界に一歩、
目隠しで踏み込む
心のあり方だ。

ローカルチェーンから脱皮するためにも、
リージョナルチェーンで伸び続けるためにも、
ナショナルチェーンを完成させるためにも、
そして現状を維持するためであっても。

人びとが
すべて
勇気ある決断を
しつづけなければいけない。
〈結城義晴〉
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2004年に商業界から刊行した『Message』
とても気に入っている一篇を。
この特集向けにアレンジしました。

朝日新聞「折々のことば」
第3538回。

哲学者の鷲田清一さんの編著。
鷲田さんのように日々、
新しい知見を追いかけつつ、
生きていきたい。

熟練し、洗練された魂で
生きている人は
本当にすばらしい。
生まれたままの幼い子供より
ピュアだと思う。
〈漫画家さくらももこ〉

「知識は役に立つが、
あくまで道具にすぎない。
それを使いこなすのが知恵だ」

その知恵とは、
「面倒臭くても辛(つら)くても、
物事に向き合わなければ得られない」もの。

「紆余(うよ)曲折を経て
そこへと至り着いた人は美しい」

「逆に知識だけ増やし、
小手先ばかり器用な人は、
自分には『汚い大人』に見える」

随想集『おんぶにだっこ』から。
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2018年、乳がんのために、
53歳で逝去。

漫画を描き続けて、
ここに到達した。

私が思っている「知識商人」は、
さくらももこさんの考えと同じだ。

知識だけ増やして、
小手先ばかり器用な人は、
「汚い商人」だ。

紆余曲折を経て、
そこへ至りついた商人は美しい。

〈結城義晴〉

2025年12月09日(火曜日)

OICグループNYC研修「事前講義」と「カインズ吉川美南店」内覧会

12月8日午後11時15分ごろ、
青森県八戸市で震度6強の地震。

岩手県の久慈港で70センチの津波。

今回の地震は日本海溝・千島海溝沿いの、
巨大地震想定震源域内で発生した。

震源は青森県東方沖で、震源の深さは54km。
地震の規模はマグニチュード7.5と推定された。

さらにより大きな地震の可能性が高まっている。

そこで気象庁から、
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表された。

まだまだ予断は許されない。

私たちは地震列島の上で生活している。

私のところにはすぐに、
青森県の㈱ユニバースの状況が報告された。

現地の皆さんに、お見舞いを申し上げたい。

さて今日は東京・丸の内。
丸ビルのとなりの三菱ビル。

㈱OICグループ丸の内オフィスは13階。 IMG_8965 (002)

会議室に入ってパソコンで準備。
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グループ企業㈱商人ねっとのスタッフが、
丁寧にフォローしてくれる。
ありがたい。
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15時まえから90分のオンライン講義。
今回はパワーポイントを使った。
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OICグループのニューヨーク研修は、
来年も開催される。

2015年からはじめて12年目になる。
コロナで2年だけ中止したから、
実際は10回目。

2026年度は1月と2月、
それに4月に開催する。
全部で5班、240人ほどになる。

ロピアの店は凄いスピードで増えている。
だからチーフも店長も増えている。
OICのスタッフも増えている。

だから研修参加者も増える。

今回は私から提案して、
その「事前講義」。

イオンリテールでも平和堂でも、
事前講義をして成果が上がった。

ロピアの研修は3泊5日の超弾丸ツアーだが、
事前講義と事後の発表会を開催する。
もちろん研修中は全力講義をする。

はじめに「成長と膨張」
会社が大きくなる。
その際に二つの現象が起こる。
一つは膨張でもう一つが成長だ。

今、OICグループは急速な規模拡大を進める。
膨張であってはならない。
成長でなければならない。

「膨張」とは、
経営の質は変わらないまま
量だけ拡大されたもの。

「成長」とは、
経営の質の変化が原因となって、
量の変化が結果されたもの。

故田島義博先生の言葉だ。
成長と膨張

経営の質の変化は、
Innovationによってもたらされる。IMG_8963 (002)

それから初歩的な内容も丁寧に講義する。
アメリカの経済、消費、小売業の情勢。
米国スーパーマーケットの必須数値。

最後は「店舗視察のポイント」
IMG_8962 (002).JPG2
ご清聴、感謝したい。

すべて終わってからスタッフ全員で写真。
心からありがとう。
IMG_8956 (002)

そのあと偶然、相川博史さんと川山博秀さんに会った。
相川さんは北海道東北営業本部長兼㈱Firsto社長。
川山さんはFirsto施設管理部長。
IMG_8961 (002)

さらに人事総務本部のお二人と打ち合わせ。

OICグループの丸の内本部。
ロピアの店舗とはまた違った活気があった。

一方、今日は朝から、
カインズの新店内覧会が開かれた。
埼玉県吉川市。

JR武蔵野線の吉川美南駅から徒歩1分、
駅前と言ってもいい場所。
IMG_2165

カインズ吉川美南店。
実質的なオープンは12月11日(木)。

その前に記者を集めてお披露目。
商人舎ゼネラルマネジャーの亀谷しづえが取材した。

高家正行社長CEOと石井幸太郎店長(右)が、
揃って記者会見した。
IMG_2031
この店はカインズの「次世代型店舗」だ。

記者は30名ほど集まった。
IMG_2034

高家社長CEOは動画を交えながら、
詳しく説明してくれた。
IMG_2021

美南店は3720坪で10万点を揃える。
デジタルを駆使したさまざまな仕掛けで、
顧客にワクワクする買物体験を提供していく。

その後、広報部の説明を受けながら店内ツアー。
IMG_2041

敷地内に併設された、
「CAINZ Mobile Store(カインズモバイルストア)」
24時間営業の無人レジレス店舗。
IMG_2016
吉川美南店の営業時間外に、
緊急で必要になった商品を購入できる。

1200アイテムほどを品揃えする。

ホームセンターのトップ企業カインズ。
その「次世代型カインズ吉川南店」。
実に楽しみだ。

その取り組みは月刊商人舎1月号で報告しよう。

新しい店舗をつくっていけば、
企業は大きくなる。

そこにイノベーションがあれば、
「成長」である。

それがなければ「膨張」になる。

OICグループもカインズも、
真の、大きな成長を遂げてほしいものだ。

〈結城義晴〉

2025年12月08日(月曜日)

「艱難は商人を鍛える」連載最終回と「スカスカおせち」の教訓

Everybody! Good Monday!!
[2025vol㊾]

2025年第50週。
あと5週間。

二十四節気では、
昨日から「大雪」
雪が激しく降り始めるころ。

いよいよ冬だが、
今日はまだ暖かい。

商人舎オフィスに、
『セルコレポート』が届いた。
2025年12月号。
IMG_8937 (002)

「連載/結城義晴の艱難は商人を鍛える」
第44回で最終回。
IMG_8935 (002)
最後は「倉本長治と結城義晴の艱難」

倉本長治が創立し、
結城義晴が第七代社長を務めた会社。
株式会社商業界が自己破産した話。

会社はなくなったけれど、
長治先生は商業の「近代化」を果たし、
結城は「現代化」に貢献する。

その決意表明で終わりました。

現代化はまだまだです。

44回のご愛読を感謝します。

来年の1月からは新しいタイトルで、
再出発します。

よろしくお願いします。

これまで書いた分量は、
3000字×44回。
13万2000字。

私の単行本は7万字から8万字でしょうか。
8万字で400字詰め原稿用紙200枚。
10万字ならば250枚。

これまでの連載からかなり削除して、
構成を立て直し、推敲すれば、
十分に成立する分量です。

ただし単行本にするとなると、
私はまた書き足したくなる。

さてどうしたものか。

書きかけの重要な単行本もあるし、
さらに単行本の構想は尽きない。

このブログから抜き出して、
毎年単行本にしていくことも考える。

セルコレポートの新シリーズも、
楽しみにしてください。

さて師走第2週も結構、
スケジュールが入っている。

火曜日はカインズの意欲的な新店オープン。
これには行けそうもない。
午後からオンライン講義。
そのあとアメリカ研修の打ち合わせ。

水曜日は月刊商人舎12月号発刊。
そして「セルコレポート」新年1月号の〆切り。
午後はオンラインでアメリカ視察の打ち合わせ。

もう来年の予定を決めねばなりません。

木曜日の夜は紀文食品の皆さんと、
「おでん大会」
楽しみにしています。

それから金曜日と土曜日は、
長野出張。

これも楽しみです。

来週も対談や取材が待っている。
そして来週と再来週で、
月刊商人舎の新年号を執筆し、責了する。

商売をやっている皆さんと同様に、
年末まで「無呼吸泳法」で泳ぎ切る。

ともに頑張りましょう。

さて日経新聞夕刊の「プロムナード」
岩尾俊兵さん。
新進気鋭の経営学者。
慶應義塾大学商学部准教授。
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毎回、感心させられる。

タイトルは、
「スカスカおせち事件」

「一昔前にスカスカおせち事件が、
世間をにぎわせた」

「とある飲食店が、
お正月の豪華おせち通常税抜き2万円を、
特別価格1万円で販売しますといって
500人ものお客を集めたが、
いざ届いたシロモノは宣伝とは
似ても似つかなかった、という事件だ」

岩尾さんはこの店のそばに住んでいて、
何度か裏話を聞き込んだ。

「この裏話というのが、
経営学の教科書に載せてもよさそうな
典型的なオペレーションの失敗例なのである」

最初から顧客をだますつもりはなかった。

それどころか、この企画者は、
飲食店業務のかたわらで、
1日50食分のオードブルを、
比較的余裕を持って作ったことがあった。

50食のオードブルを片手間でさえ
余裕を持って作れるのだから、
年末に店を閉めて数日間、
おせち作りだけに集中すれば、
つまり手間を10倍にするだけで、
500食のおせちくらい簡単に作れると考えた。

岩尾さんが使うのは、
「オペレーションズ・マネジメント」という言葉。

オペレーションが変則化する年末年始と、
通常時のオペレーションを、
同一だと考えてはいけない。

「それに50食を作る手間を、
10倍にするだけで500食を作れるわけではない」

「手間を10倍にしても
設備は10倍にならない」

だから人ではなく、
設備がボトルネックになる可能性が高い。

案の定、おせち作りを始めてみると、
すぐに食材を置く場所がなくなった。

通常は1日に何度も食材の搬入があるが、
年末年始はまとめて一気に納入される。
しかも、豪華おせちを作るために、
食材の種類が通常より多い。

さらに1種類ごとに梱包が異なるから、
食材に対する梱包材の割合が大きくてかさばる。

あっという間に調理場は、
段ボールで埋もれてしまった。

足の踏み場もない調理場では、
いつものように手早く料理を作ることはできない。

仕方なく、フライパン調理をあきらめて、
オーブン調理に切り替える。

すると、いつになく酷使してしまった結果、
突然オーブンが壊れてしまう。
修理を頼もうにも年末年始でどこも休みだ。

「一事が万事この調子で、
冷蔵庫の調子も狂い始め、人も倒れ、
あきらめてスーパーに駆け込んでも
500個分の総菜など売っておらず……
という具合」

結論。
「善悪に関係なく、
オペレーションに失敗すると
顧客を裏切る結果になる」

スーパーマーケットなど、
年末年始のオペレーションには、
店長もチーフもスタッフも、
経験し、精通している。

しかし「スカスカおせち」と同じような、
不慮の出来事や細かな失敗は、
いつでも起こるのだ。

これからの4週間、
オペレーションのマネジメントが必須だ。

では、皆さん、今週も、
念には念を入れて。
Good Monday!  

〈結城義晴〉

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