結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年10月17日(金曜日)

Message「卵が先でしょ」と商人舎USスペシャル[夜の部/ダラス]

帰国して出社したら、
雑誌が刷り上がっていた。
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特集は、
自前のRetail-DX
両輪の「技術と人」をインソーシングする道筋

手に取ってみると、なかなかいい出来栄え。
ありがとうございます。

そして[Message of October]
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卵が先でしょ。

卵が先か、鶏が先か。
互いに循環する原因と結果。
その端緒を同定することの無益さ。
文字通りの解答は意味不明である。

XがY無しに生じ得ず、
YがX無しに生じ得ない場合、
最初に生じたのはどちらか。
形而上学的ジレンマ。

遺伝学のブルックフィールド教授。
鶏ゲノムを持つ最初の鶏は、
最初の鶏の卵から発生した。
だから卵が先だと考えた。

ダーウィンの進化論。
互いに異なる種の遺伝子の交配によって、
新種の遺伝子が生じるのだから、
極めて明快に卵が鶏より先にあった。

統計学は鶏の飼育数と卵の数とが、
予測可能かを調査した。
卵の情報からは鶏の数が予測できたが、
その反対はなかったから卵が先だと結論づけた。

イギリスの科学者チーム。
OC-17というたんぱく質を解析した。
成熟した鶏の雌が卵の殻をつくる。
だから母鶏がいてこそ卵ができる。

ユダヤ教とキリスト教。
創世記の神は鳥を創造し、
それらに産み殖やすよう命じた。
だから鶏が卵より先だ。

ニーチェは読み解いた。
何者も「最初」たりえない。
循環する時間において、
「最初」は存在しない。

DXの内製化もイノベーションも、
小さく始めて大きく育てる。
人の育成こそ最も重要な課題である。
ならば、卵が先でしょ。
〈結城義晴〉
2025-10Message

卵が先か、鶏が先か。
これはオクシモロンではないし、
トレードオフでもトレードオンでもない。

哲学的な問題も含む。

それを考えてMessageにしてみました。
味わってください。

さて2025商人舎US研修スペシャルコース。
テキサス州ダラスに3泊。
ニューヨーク州マンハッタンに3泊。

夜の食事は初日だけ全員参加のパーティだったが、
あとはそれぞれ自由に食べたり、楽しんだりした。

レストランを探したり、
スーパーマーケットの商品を買って来て、
ホテルで食べたり。

私の行動を中心にちょっとだけ紹介しよう。

[夜の部/ダラス編]

ダラス初日の晩は全員で、
「Texas de Brazil(テキサス・デ・ブラジル)」
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ブラジル料理のシュラスコ。
大きな串に刺した肉の部位を、
店員が次々に持って回ってくる。
自分が好きな肉を頼むと、
スライスしたりカットしたりしてくれる。
ここの肉は実に美味かった。IMG_9640

みんな、堪能した。IMG_9635

2日目の夕方、私たちは、
プレーノ市のトランジットビレッジへ。

街の中心の舞台で、
芝居をやっていた。IMG_6827 (002).jpg2

2日目からちょっと軟弱だったが、
Robata & Sushi EBESUへ。
日本人経営の日本料理屋。IMG_6831 (002)

プレーノ市はダラス市の北側の高級住宅地。
アメリカ人の顧客がほとんどだ。
バーで酒を飲む人もいる。IMG_6830 (002)

フロアは広くはない。IMG_6829 (002).jpg2

IPAのビールで大久保恒夫さんと乾杯。 IMG_9823 (002).jpg2

刺身盛り合わせ。
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寿司各種も美味だった。IMG_9826 (002)

食べ終わっても芝居は続いていた。IMG_6833 (002)

地方都市の中心街は高層ビルがない。
アイルランドの首都ダブリンのようだ。
ちょっと落ち着く。
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ホテルに帰って、
ロビー脇の朝食スペースに、
三々五々、集まってきた。IMG_3867 (002).jpg2

OICグループの福島さんが、
自ら調理して振る舞ってくれた。IMG_9831 (002)

オーパスワンのセカンドブランド「オバチャー」なども飲んだ。

トマトとモッツァレラチーズ。
これはうまかった。IMG_9832 (002)
自由参加で話しながら食べて飲んだ。

ダラス3日目の夜は、
ダラスのダウンタウンへ。
Y.O.ランチ・ステーキハウス。IMG_7051 (002)

シックな造りのステーキレストラン。IMG_0274 (002)

地元の顧客がやって来て食事を楽しむ。IMG_7053 (002)

骨付きテンダーロインステーキ(手前)、
ポーターハウスステーキ(右)など。
シェアしていろいろな味を楽しむ。 IMG_0278 (002)

ポーターハウスステーキを、
切り分けてくれる。IMG_0275 (002)

骨付きのトマホーク。IMG_0280 (002)

そして特別に注文したのが、
指さしているワニのソーセージ。
この店の名物。IMG_0281 (002)
意外にあっさりとしたソーセージだった。

このあともホテルに帰って、
昨日の続きの自由試食会。

レストランは地元のうまい店を探して食べる。
ホテルでは昼間の小売り店舗視察の際に、
惣菜や生鮮、乳製品、グロサリーを購入して、
もちろんワインやビールを買ってきて、
それを食べ比べる。

食品小売業は見るだけではわからない。
食べてみなければ理解はできない。

食べるが先か、見るが先か。

それは卵が先でしょ。

これこそスペシャルなコースなのだ。
みんな、それぞれに楽しんだ。
ありがとう。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2025年10月16日(木曜日)

New Yorkからの帰国と「Lookin’ for fun & Feelin’ Groovy」

帰国しました。

2025商人舎US研修スペシャルコース。

JALに乗るメンバー。
ダラス、ニューヨークの8日間。
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ANAで帰るメンバー。
こちらはサンフランシスコから、
ダラス、ニューヨークの12日間だった。
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㈱OICグループの福島道夫さんたちは、
サンフランシスコとサクラメントに行った。
それから商人舎研修に参加した。

こういったオプションも可能だ。
商人舎スペシャルコースの前後に、
その地に先乗りしたり、居残ったり。
自分たちでどこかを訪れることもできる。

かつて㈱ユニバースの故三浦紘一さんは、
ダラスに先乗りして予習してから参加した。

凄い勉強家で、私は本当に驚いた。

今回のホテルはマリオット・マーキス。
私の部屋は38階。

その窓から見下ろすマンハッタン。 IMG_7481

右下の谷底のようなところにタイムズスクエア。
有名な赤い階段(Ruby-Red Stairs)が見える。IMG_7480

高層ビルをじっと見ていると目がくらむ。IMG_7483

エスカレーターに乗って下降すると、
20階のあたりにトレーニングジムが見える。
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そして8階にレストラン。
朝食はここで食べる。
ローストビーフまであって、
うまいブレイクファストを楽しめる。IMG_7490

9時15分に集合して、
9時半にリムジンバスで出発。

マンハッタンを走ると、
五番街のルイ・ヴィトンのビル。
外装にはトランクのデザインが施されている。IMG_1079 (002)

イーストリバーのクインズボロ橋を渡る。
マンハッタンが見える。
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ホイットマンの詩にもこの橋が出てくる。

サイモン&ガーファンクルの1966年の楽曲は、
「フィーリン・グルーヴィー(Feelin’ Groovy)」。
軽いタッチで凄くいい歌だが、
原題は「The 59th Street Bridge Song」。
このタイトルの「59番街橋」がクイーンズボロ橋だ。

この橋を渡るときにはいつも、
あの歌声が浮かんでくる。

Slow down, you move to fast
スロウダウンしよう、急ぎ過ぎだよ
You’ve got to make the morning last
朝の気分を楽しまなきゃ
Just kickin’ down the cobble stones,
そうさ、小石を蹴飛ばして
Lookin’ for fun and Feelin’ Groovy
楽しいことを探して、気分は最高さ!
107
そんな気分でエアポートに向かう。

そのあと40分ほど、最後の車中講義。

今回はメーカーや卸売業からも参加してくれた。
だからカテゴリーごとの競争について、
寡占・鼎占・複占の話をした。

「寡占」とは少数(4者以上)の供給者が
ある一定の市場のほとんどを支配し、
互いに競争している状態。

「鼎占」とは三者によって、
市場のほとんどが支配されてしまう状態。
日本のコンビニ産業がこれだし、
日本のメガバンクもこれだ。

「複占」とは二者によって、
市場のほとんどが支配されてしまう状態。
アメリカのダラーストア業界、
ホームセンター業界など、
枚挙にいとまがない。

そしてその一方で、
多様なニッチ(Niche)化が進む。

フィリップ・コトラーは、
4者の競争を説く。

マーケット・リーダー〈Leader〉は、
市場・業界・業態をけん引する者。

マーケット・チャレンジャー〈Challenger〉は、
リーダーに挑戦する者、差異化作戦をとる。

マーケット・フォロワー〈Follower〉は、
リーダーに追随する者、模倣作戦で楽をする。

マーケット・ニッチャー〈Nicher〉は、
企業規模は小さいけれど存在感のある者。
小さなマーケットへの専門特化作戦。

私はこれに付け加える。
マーケット・ゲリラ〈Guerrilla〉は、
小規模で破れかぶれの戦いをする者、
奇襲作戦をとる。

このなかでフォロワーとゲリラが消えていく。

残るはリーダーとチャレンジャー。
これが複占の状況を生み出し、
一方、多様なニッチャーが残る。

現在のアメリカのバラエティストアは、
リーダーのダラーゼネラルと、
チャレンジャーのダラーツリー、
DAISOはニッチャーだ。

それから「ホッケースティックの関係」
第5段階の「大満足」まで伸ばしたい。

さらに「間接部門の顧客志向」
「もしあなたが、
顧客にサービスを
提供する仕事に
就いていなかったら、

顧客にサービスを提供する人に
サービスを提供するよう
行動しなさい」

最後はいつものように、
「自ら、変われ‼」 

自分が変わらねば、
仲間は変わらない。

自分が変わらねば、
職場は変わらない。

自分が変わらねば、
会社は変わらない。

ジョン・F・ケネディ空港に着いて、
チェックインを済ませて集合。

最後の「元気を出そうよ」
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そしてポーズ。
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そのあとは、
グリニッジラウンジでビール。
銘柄はブルックリンラガー。
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滑走路の向こうにマンハッタンが見える。IMG_7605

関西から参加したメンバーと写真。
関西フードマーケットと万代の面々。
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万代のお二人とは、
「阿部ポーズ」
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ありがとう。

JAL005便。
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飛び上がると曇り空。
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ロング島湾の絶景。
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写真の左上のほうにかすかにマンハッタンが見える。IMG_7612

ニューヨーク市ブロンクスのあたり。 IMG_7614

コネチカット州。
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雲の切れ目には密集した市街がある。IMG_7617

それからは雲に覆われた北アメリカ大陸。IMG_7618

14時間後に日本列島の千葉県。
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こちらも切れ切れの雲。
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日本も密集した市街が続く。
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そして東京湾。
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入国は早い。

最後に大久保恒夫さんとツーショット。
お疲れさまでした。
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2025商人舎US研修スペシャルコース。

無事、終了しました。

あとはみなさん自身に任される。
成果を出してください。
自ら、変わってください。

そして最後に、
“Lookin’ for fun and Feelin’ Groovy”

ありがとうございました。
(ブログは「夜の部編」につづきます)

〈結城義晴〉

2025年10月15日(水曜日)

’25ウェグマンズ・アスタープレイス店(Manhattan)の全貌

商人舎米国研修スペシャル編。

いよいよ大詰めを迎えた。
最終日は午前中に1店舗を集中的に学ぶ。

あとは自由研修。

全員で地下鉄に乗る。IMG_0768.jpg2

これも楽しい。
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地下鉄アスター・プレイス駅。IMG_0780

歩いて3分。

ロワー・マンハッタン地区、
ブロードウェイ770番地。

20世紀初頭に建造された歴史的建造物。IMG_0782

この1階と地下1階がウェグマンズ。
アスタープレイス店。
店舗面積は8万7500平方フィート(8129㎡:2459坪)。
1フロア1200坪の2層店舗。
エスカレーターでつながる。

いわば変則的なスーパーマーケットである。IMG_0917

店の前でレクチャー。
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「史上最大の百貨店王」と呼ばれたのが、
ジョン・ワナメーカー。

石油王ジョン・ロックフェラー、
ホテル王コンラッド・ヒルトンと並んで、
伝説の経営者といわれる。

ワナメーカーが1876年、
ペンシルベニア州フィラデルフィアに、
アメリカ最初の百貨店をつくった。
この店は増床して世界最大の百貨店となった。

ワナメーカーは1896年、
この地に百貨店の支店を出した。

2000年くらいまで営業されていたが、
経営は悪化し、売却された。

その後、ディスカウントストア「Kマート」が入居。
2021年に撤退。

その跡にウェグマンズが出店。
つまり百貨店立地。IMG_0791

店の内装は温かく居心地の良い雰囲気。
ヨーロピアンスタイル。

地上1階の入口には、
即食のフードサービス部門が配置される。
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それからチェックスタンド。IMG_0914

1階を奥まで歩いて、
エスカレーターを降りる。

すると青果部門が現れる。IMG_0805

天井は低いけれど、
島陳列が美しくて、
その低さを感じさせない。IMG_0806

スケルトンの黒い天井に板を渡すと、
圧迫感が薄れる。IMG_0807

青果部門の右横に「SAKANAYA」の看板。IMG_0808

真ん中が氷を敷き詰めたReady To Cook。IMG_0809

右側は丸物の生魚。
週に2回、東京の豊洲から空輸される。IMG_0814

日本のスーパーマーケットに負けない魚売場。IMG_0810

エイドリアン・ ハッチンズさんが、
わざわざ休暇の日に待っていてくれた。
通訳は富澤由紀子さん。IMG_0816

日本の魚力の熟練技術者から、
魚介類の調理技術とカット技術を学習。
このマンハッタン店では鮮魚技術の教育者となった。IMG_0832

学生としてウェグマンズでアルバイトし、
そのまま社員となった。

最初は寿司部門のスタッフだったが、
ブルックリン店で魚担当となり、
この店を立ち上げた。

熱のこもった話をしてくれた。
それからみんなから質問。IMG_0835

私もいろいろ聞きたいことがあった。

今、郊外のレギュラー店では、
POP UPセールで魚のイベントをする。

つまり売り切れ御免の商売。
それがアメリカでは一番いいらしい。
私もそう思う。IMG_0836

アメリカでは全消費の2%が魚だ。
それをアメリカ中に広めていきたい。

エイドリアンさんの願いだ。

説明を受けている間も、
後ろではスタッフが魚をさばいている。IMG_0837

魚をさばく手つきも見事なものだ。IMG_0846

リチャードさんが相棒。
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ハマチを三枚に卸して、
それから刺身をつくった。IMG_0857

私たちに振る舞ってくれた。IMG_0862

エイドリアンさんの説明は1時間以上も続いた。IMG_0866

全員で気合を入れて写真撮影。IMG_0875

心から感謝して固い握手。IMG_0880

そのあとアスタープレイス店を丁寧に見た。IMG_0885

地下1階の魚に続く肉の売場。
ウェグマンズのミートは全米第一のレベル。IMG_0888

対面売場と多段ケースのセルフ売場。
ウェグマンズはSKUを増やして、
購買しやすい商品づくりをする。
それが客層の拡大となる。IMG_0887

精肉からデアリー売場へ。IMG_0889

チーズの対面コーナー。IMG_0890

加工肉の対面コーナー。
チーズとハムを合わせて、
「デリカテッセン」という。IMG_0891

パルメジャーノレッジャーノは、
島陳列で大展開。IMG_0892

地下1階の奥がグロサリー売場。IMG_0893

アイランド陳列も実に美しい。IMG_0894

ホットゾーンプライスは、
ウェグマン流のEDLPだ。
かつてはコンシスタントロープライスと呼んだ。IMG_0896

ノンフーズの売場も整然と品揃えされる。IMG_0897

そしてオンラインピックアップの、
商品集積場。
この店は推定で200億円くらい売る。
その5割がオンライン販売だ。IMG_0898

さらに回り込んでリーチインの冷凍食品売場。IMG_0899

ジュース売場も多品目多SKU。IMG_0900

エスカレーターを囲むように売場が展開され、
地下中央の青果部門に戻ってくる。IMG_0902

壁面の多段ケースには、
パックと袋詰めのカット野菜が並ぶ。IMG_0903

エスカレーターを登って地上1階。
サラダパックの即食。IMG_0906

ホールフーズと同じセルフデリ。
日本人の私達でも実においしい。IMG_0908

顧客の注文に応えて作ってくれるのが、
ホットドックやサンドイッチ。IMG_0909

主通路にはスープバー。IMG_0910

POKE売場も大人気だ。IMG_0912
1階はウェグマンズのフードサービスの魅力満載。

その入り口脇に新規に「Next Door」がオープンした。
今年の4月30日。

寿司&和食レストラン。
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スーパーマーケットの「隣の扉」
アールデコ調の高級感のある空間。

目玉は寿司と炉端焼き。

ここも豊洲市場から直送される魚介、
ニュージーランド・ノルウェーなどの素材も。

ニューヨークのダイニングシーンに、
新しい風を吹き込む。

「食のデスティネーション」

監修はジョン・エマーソン氏。
27年間、ウェグマンズに携わる。

ドイツ出身のオリバー・ランゲ氏、
日本の松岡和也氏など、
国際色豊かな実力派ぞろい。

レストランで開発されたメニューは、
ウェグマンズの売場で展開される。

午前中は食べることができなかったが、
外側から店を見ただけで満足した。IMG_0797スパシャルコースのメンバーは、
ここで解散。

それぞれにマンハッタンを探索した。

今年からスペシャルコースは、
1日日程を増やして8日間にした。

その1日という時間は大いに生かされた。

倉本長治の言葉。
「この一瞬の積み重ねが、
君という商人の全生涯」
(つづきます)

〈結城義晴〉

2025年10月14日(火曜日)

ニューヨークの競争の「とんがり★こだわり」と「ひとりよがり」

私の持論が「ポジショニング戦略」。
あまり好きではないがわかりやすくするために、
それを「とんがり★こだわり」と表現する。

ニューヨークに着いて2日目。
滞在するのはタイムズスクエアに近い、
マリオット・マーキス。
周辺は劇場だらけ。
利便性はすこぶるいい。

今日は「コロンブス・デー(Columbus Day)」の祝日。
10月の第2月曜日。
偶然にも日本の「スポーツの日」と重なる。

2日目はマンハッタン島を出て西へ向かう。
ニュージャージー州へ。
あいにくの雨模様。

スチュー・レオナードIMG_0529

店頭に置かれるポリシーロック。
顧客満足のミッションを謳う。
㈱万代の利重まりさんとツーショット。
丹波橋店店長。
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入り口にはプロモーションコーナーがある。
これはいわば米国チェーンストアの鉄則。
とくに訴えたいアイテムを展開し、
セール品目を集積する。IMG_0619

直営の珈琲ショップ。
珈琲を飲みながら買物する顧客をよく見かける。IMG_0535

売場は迷路のように曲がりくねり、
完全なワンウェイコントロール。
バックヤードを見せて、商品力で引っ張る。
そして視覚、聴覚、五感に訴える
エキサイティングな売場づくりが特徴だ。

その一つがからくり人形たちのパフォーマンス。
ボタンを押すと音楽を奏でて歌ってくれる。

最初に登場するのが、
スチューズ・カントリー・ジャンボリー。
大人気のアトラクションは、
3分ごとに演奏してくれる。IMG_7154

サラダコーナーのアボカドガールズ。IMG_7157

青果売場でスマホを掲げる参加者たち。IMG_0567

視線の先には有名なバナナ娘。
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デイリー売場では、
ファームフレッシュファイブ。
頭にかぶった箱には、
スキム、リッチ、ローファットの文字。
メーカーが協賛している。IMG_7162

牛乳売場に二頭の牛。
これは「モー」と鳴くだけ。IMG_7163

卵売場では鶏3羽のパフォーマンス。IMG_7165

ミート売場のチキンコーナーでは、
鶏たちがコーラス。
子ども連れのお客が見上げて、
一緒に歌う。
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チーズ売場のアイドル。
赤地に白のボタンを押す。
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かつてニューヨークタイムズに
「ディズニーランドのような店」と評された。
核売場のリカーを中心に大仕掛けを施し、
完全なワンウェイで顧客を誘導する。
子どものいるファミリーをターゲティングして、
ポジショニングする。

だから子どもたちも、
私たちも、楽しめる、
滞留型のスーパーマーケット。

ニュージャージー州の2店目は、
ウェグマンズ。
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見事な青果売場が出迎える。
ダラスのHEBが腰高什器を使った売場なら、
ウェグマンズは陳列線が低い売り方だ。
だから奥まで見通せる。
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リンゴのばら売り。
市場感があふれる。IMG_7258

その横ではリンゴの袋売り。
用途に応じた容量揃え。
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「パーフェクトペアリング」と称した、
カプレーゼの提案。
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調理済みのローステッドトマトのカップ商品と、
ポットに入ったフレッシュバジル、
加工したバジルペイストのカップ商品、
そしてモッツァレラチーズを品揃え。

主婦の悩みを解決する、
これこそミールソリューションだ。

カットフルーツのコーナー。
作業場が必ずセットになっている。IMG_7262

チーズの品揃えは専門店を超える。
世界中から調達して、
店内でカットして提供する。
カテゴリーマネジメントの典型売場だ。IMG_7274

青果の反対側には作業場をはさんで、
フードサービスゾーン。
インストアベーカリー、フードサービスデリ、
そしてミート・シーフードの売場。
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シーフードは氷を敷いて丸物を提供。
カッティングサービスも行う。
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ミートのミールキットコーナー。IMG_7306

金色のトレイに入った「ゴールドパン・ミール」。
レンジ加熱だけでメインディッシュが完成する。
金色のトレイはHEBがウェグマンズに学んで採用。
両社の業務提携効果が出たアイテムだ。IMG_7305

グロサリーや日用消耗品はEDLP。
「HOT ZONE Prices」とネーミングを変えた。IMG_0631

霧雨の中、ウェグマンズを背景に記念撮影。
全員の位置取りを指示する。IMG_0650

ウェグマンズに感謝しながら、
お奨めの高級ワインを頭に掲げながら、
皆、満足の笑顔。
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近隣にはストップ&ショップ。
ニューヨーク・ニューアーク地区では2位のシェア。
161店舗で13.7%。
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現在はオランダのアホールドデレーズ傘下。
セールや「Buy2 Get1 Free」のPOPが目立つ。
2個買ったら1個おまけ、の売り方。
売れない店の常とう手段。
顧客は必ずしも3個必要とはしない。
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寿司のコーナーだけアップデートされている。
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奥主通路に設けられた、
シーフードとミートの対面売場。
お客はいないし、従業員の姿もない。
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遅れたスーパーマーケットが、
形だけトレンドの対面売場を設けても、
商品力がなければ維持できない。

顧客の少ない売場を、
掃除ロボットだけが元気に動き回っていた。
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ショップライト。
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ニューヨーク・ニューアーク地区ではシェア1位。
ただしボランタリーチェーン。
115店舗で15.8%。
その中でも飛び切りの店舗がこれ。
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店舗導入部右側にファーマシーを設けた。
多くの店は店舗奥に配するが、
この配置は高齢顧客にとって便利だ。
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ショップの集積のような売場づくりが特徴。IMG_0686

ボアーズヘッドを大々的に導入。
切り立てのハムとチーズのショップ。IMG_0687

チーズ売場もボアーズヘッドとは別に、
店内でカッティングして島陳列する。IMG_0685

MURAと書かれた寿司売場。IMG_0697

ミート売場は対面からセルフへ誘導。IMG_0698

店舗の奥にマグネットの牛乳売場。
大きな手のサインが効いている。
これ、どこかの企業がやらないかな。
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酒もグロサリーもラック什器に陳列する。
手を掛ける部分と手を掛けないところ。
メリハリのある売場が良い。
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ここでわれわれはランチタイム。
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ウェグマンズのデリを持ち込み、
ショップライトのデリと食べ比べる。IMG_0720

食べながら交流する。IMG_0722

みんな、いい笑顔だ。IMG_0724

一番元気なのはこの2人。
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ショップライトと隣接するのが、
ドイツのリドル。
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アルディと同じ業態。
リミテッドアソートメントのボックスストア。
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店頭のパン売場は、
独自の縦型ケース什器で販売する。
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ほとんどの商品が99セント。
ランチの後だが、試食のために購入。
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アルディの1万平方フィートに対して、
リドルはその2倍の2万平方フィート。
そしてナショナルブランドを扱う比率も高い。IMG_0731

OICグループの福島道夫さんが、
ナショナルブランドとプライベートブランドを、
味と価格で比較研究している。IMG_0748

クラッカーのリッツとアルディのPBを購入。
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ホテルに帰って皆で試食する。

ニュージャージーの視察を終え、
マンハッタンへ戻る。

アッパーウェストのブロードウェイ沿い。
とんがり・こだわりの4店舗を徒歩で視察する。

まずゼイバーズ。
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ウクライナ出身のユダヤ人兄弟が創業。
2代目の協同経営者の一人、サウル・ゼイバース氏が、
10月7日に亡くなった。
97歳だった。

ニューヨークタイムズなどが一斉に報じた。
記事には「グルメショップ」と書かれている。
その名に恥じない深い品揃えが特徴。

チーズ売場のこの多品種の品揃え。IMG_7336

独自のおいしさを提供するデリ売場。IMG_7333

魚の燻製はこの店の強力なマグネット。IMG_7331

パン売場にも顧客がしっかり付いている。
IMG_7346

迷路のような動線の最後は、
コーヒーと紅茶の売場。
IMG_7347

このコーヒーは本当にうまい。
必ず購入する。
モカブレンドを2ポンド買った。

ブロードウェイを南に下ると、
ニューヨークデリのシタレラ。
IMG_7357

2層の狭い店舗。
価格は決して安くはない。
だが高齢者の上品なお馴染みさんが多い。
IMG_7359

シーフードの売場が強い。
デザインが特徴的。
IMG_7361

生鮮とデリは対面販売。
IMG_7363

隣接するのが、
フェアウェイマーケット。
マンハッタン型スーパーマーケットの王者だった。IMG_7364

道路に面して屋外売場を設ける。
IMG_7366

一時はナスダックに上場して、
郊外に15店舗を展開した。
現在はビレッジ・スーパーマーケット傘下。
この会社はショップライトを展開する。

フェアウェイは11店舗を売却して、
4店舗のみを運営する。

しかしこの本店の青果はいい。
IMG_7367

その良さは葉物の品揃えを見れば一目瞭然。
IMG_7369

オリーブは圧巻の品揃え。
IMG_7380

もちろんスーパーマーケットの基本は、
おろそかにしない。
肉と魚は対面販売方式。
IMG_7381

ただし鮮魚はずいぶん売場が狭くなった。
客数が減って鮮度を維持できないからだ。
IMG_7382

さらにさらにブロードウェイを南下。
トレーダー・ジョー。
ドラッグストアのデュアンリードが地上1・2階、
トレーダー・ジョーが地下1・2階を占める。
IMG_7394

地下1階には採光窓。
IMG_7389

地下1階は青果・精肉、
そしてチーズなどのデアリー売場。IMG_7390

地下2階はパンとグロサリー、
冷凍食品、飲料。

地下1階と2階をエスカレーターでつなぐ。
この2層トレーダー・ジョーも、
完全なワンウェイコントロール店舗だ。

訪問したのは午後4時前後。
明日からは日常が戻る。
みな、買い出しにやってきている。
だから欠品があちこちで起こっている。IMG_7386

冷凍食品売上げ1位のマンダリンチキン。
在庫量を増やして、何度も補充しているが、
この時間帯は品薄。
IMG_7385

それでもまだレジ待ち行列は短い。
これから続々と顧客が押し掛ける。IMG_7388

ニューヨーク視察2日目は、
ニュージャージーからマンハッタンまで、
とびきりの「とんがり★こだわり」の店舗を視察。

とんがり★こだわりこそ、
ポジショニング戦略の肝となる考え方だ。

ただしそのとんがりとこだわりが、
自分の顧客たちから絶賛されて、
受け入れられ、支持されねばならない。

それがなければ、
「ひとりよがり」となって、
店は衰弱していく。

ストップ&ショップがそれを示している。
フェアウェイの郊外店も同じだった。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2025年10月13日(月曜日)

DallasからNew Yorkに移動/ホールフーズとトレジョを堪能

日本の政局は混乱の極み。
26年ぶりに自公連立が崩れた。

それを私は今、遠くから眺めている感じ。
客観的な見方ができる気がする。
悪くはない。

私は商人舎US研修スペシャルコース。

ホテルを朝5時半に出て、
ダラス・フォートワース空港。IMG_7055 (002).jpg2

搭乗前にカリスマ佐藤さんとツーショット。IMG_7421 (002).jpg2

3時間のフライト。
私は熟睡した。
疲れがたまっていた。

そしてニューヨーク・クイーンズ。
ラガーディア空港に到着。IMG_7058 (002)

ダラスはゆったりと動いていた。
ニューヨークはせかせかとしている。

それを一番に感じる。IMG_7059 (002).jpg2

アマゾンの「Just Walk Out」システムを使った、
レジレスコンビニがある。
使われている様子はない。IMG_7060 (002)

空港の改装開業は2018年から始まって、
大きくよみがえった。IMG_7061 (002).jpg2

到着するとリムジンバスで、
ブルックリンに向かった。

マンハッタンの対岸。

ここでホールフーズマーケット。
2013年12月開業の環境対策店舗。
屋上に有機菜園がある。IMG_7429 (002).jpg22

入り口を入ると青果部門。IMG_7062 (002)

世界最高のオーガニックスーパーマーケット。
青果部門がそのクオリティを象徴する。IMG_7065 (002).jpg2

オレンジの平台の美しさ。IMG_7070 (002).jpg2

手前が洋ナシ、上段がリンゴ。IMG_7064 (002).jpg2

バナナの陳列は吊り下げ方式。
ホールフーズが考え出した。IMG_7071 (002).jpg2

青果部門の充実こそが、
ス―パーマーケットの強さを示す。
IMG_7072 (002)

フィッシュマーケット。
鮮魚部門が独立している。IMG_7073 (002)

鮮度も品揃えも全米有数のレベルだ。IMG_7074 (002)

精肉部門の対面売場。 IMG_7075 (002)

ホールフーズは対面売場を重視する。
ここで顧客を引き付け、
コミュニケーションを図る。IMG_7076 (002).jpg2

乳製品は左右のリーチインケースで陳列される。
エネルギー効率が高く、環境対策の根幹となる。IMG_7077 (002).jpg2

店舗右サイドは対面コーナーのチーズ売場。IMG_7078 (002).jpg2

そしてデリとベーカリー。IMG_7079 (002)

これもホールフーズが考え出した「セルフデリ」。IMG_7082 (002).jpg2

左の炊飯器がブラウンライス、右がホワイトライス。IMG_7084 (002)

この紙の箱に自分で好きな惣菜を、
好きな量だけとって、
レジで重量を計って勘定する。IMG_7085 (002)

一方、対面売場は、
「サービスデリ」と呼ばれる。
好きなメニューを注文して買う。IMG_7087 (002)

対面デリの売場には、
集中的なライティングが施されている。IMG_7088 (002)

ピザは赤い窯で焼いて、
出来立てを販売する。
この赤い「窯」が凄くいい。IMG_7090 (002)

ベーカリーはパンだけでなく、
クッキーとケーキを提供する。
IMG_7091 (002)

2階にはイートインコーナーがある。
レンガ造りの店は、
12年が経過しても、
古さの良さが出ている。IMG_7095 (002)

駐車場の屋根はソーラー。
風車が回っていて、
店内で使われる電力を賄う。
IMG_7092 (002)

最近はアマゾンに買収されて、
オンライン販売が多くなった。

だから店頭の賑わいが減った。
店頭の在庫も少なくなった。

しかしこの店は全盛期のホールフーズの良さを、
今でも堅持している。
嬉しい限りだ。

トレーダー・ジョー。IMG_7110 (002)

銀行の支店跡の物件を利用した店舗。IMG_7109 (002)

入り口を入って、左手に行くと、
青果部門が多段ケースで展開される。IMG_7098 (002)

凄い客数でクルーは補充に追われる。IMG_7100 (002)

グロサリー売場に来ると、
レジからの行列が2列になっている。IMG_7101 (002)

高い天井の店舗は超快適だ。
グロサリーと乳製品、冷凍食品の売場。IMG_7104 (002)

店舗の奥はDairy、乳製品。
エブリデーロープライスを謳っている。
3000品目で95%がプライベートブランド。IMG_7103 (002)

デモンストレーションコーナーは、
コロナで消えたが、
いま簡易型で復活。IMG_7105 (002)

チェックスタンドは銀行方式で、
長い行列の顧客に負担をかけることなく、
公平に素早く対応する。IMG_7108 (002).jpg2

ブルックリンのトレーダー・ジョーも大繁盛。

高い天井は顧客に、
何とも言えない快適さを提供する。
トレーダー・ジョーの商品、
トレーダー・ジョーのフレンドリーさ。
それとともにこの空間の快適さが、
この繁盛を生んでいる。
私はそう思う。

ダラスから移動してきて、
ホールフーズとトレーダー・ジョーの、
凄い店を訪れて、
元気が出てくる。

今日はこれからホテルに入る。

その前にブルックリンのダンボ地区。
ブルックリン橋の下で記念写真。
IMG_7422 (002).jpg2

背景はイースト川、向こうがマンハッタン。

ダラスの濃密な店舗視察と講義。
ここでアメリカのチェーンストア競争の、
基本的な構図を学ぶ。

そしてニューヨークでは、
とんがり★こだわりを体験する。

その出だしがホールフーズとトレーダー・ジョー。
大満足でマンハッタンに入った。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2025年10月12日(日曜日)

ダラス3日目の現代の「カットスロートコンペティション」

商人舎US研修スペシャルコース。

朝8時から2回目の3時間講義。
IMG_0081

アメリカの消費産業と小売業を、
しっかり学んでほしい。
そのうえで結城義晴の理論や情勢分析を、
余すことなく伝いたい。

昨日訪れた店舗と企業の解説をして、
それから商品問題の講義。

コモディティ化現象と商品開発。
サム・ウォルトンのエブリデーロープライスの、
その根本的な戦略性。

そしてプライベートブランドの4分類の根拠。

よくわかってくれただろうか。IMG_0082

この中で重要なのが、
ネットネットプライシング。
丸裸の原価。

この構造がわからねば、
アメリカでも日本でも、
いい商売はできない。
IMG_0094

さらに業態からフォーマットへの転換、
そしてポジショニング戦略。IMG_0088

私が商人舎を創設して、
主張してきたことを一気呵成に語った。

そしてアメリカのRetaiⅼも、
日本のチェーンストアも、
その見立ての通りに進行している。
IMG_0090
3時間講義するとへとへとになる。

それでもすぐにリムジンバスで視察に出発。

まず、
ノースパークセンター。
ダラス有数の、
スーパーリージョナルショッピングセンター。
そしてこの商業集積が、
ライフスタイルセンターに変貌。

古典的なSC分類と、
新しいSC分類。

それが今、融合している。

店舗が業態からフォーマットに変わったように、
商業集積もフォーマット化した。IMG_6837

だからノースパークも、
いたるところに彫刻がある。
ライフスタイルセンターは、
憩いの場を提供する施設だからだ。IMG_6838

そしてこのノースパークに2020年12月、
イータリーがオープンした。
2階にメイン売場がある。IMG_6841

今、世界に45店。
アメリカに10店となった。

このダラスの店は実によくできている。
イータリーのコンセプトが貫徹されている。IMG_6884
コンセプトは一カ所で、
“学び、食べ、買う”店。

創業者のオスカー・ファリネッティは言う。
「市場であり、食堂であり、学校であるような店」

イタリア料理、イタリア食材で、
内食と外食が融合している。
いわばフューチャーストア。IMG_6849

1階は珈琲、ケーキ売場とカフェ。IMG_6858
こでそれぞれにランチを食べた。

次は米国ダイソー。

今回は㈱大創産業から、
加藤正樹さんが参加している。
日本の運営本部長。

アメリカのダイソーをみんなで視察。IMG_6886

店の入り口右の一丁目一番地では、
きちんとハロウィンの商品を展開。IMG_6893

アメリカダイソーは文具、化粧品、
そして菓子が売れ筋カテゴリー。
エンドでは、独自のストロベリーフェア。IMG_6890

同じオープンエアショッピングセンターに、
トムサム。
アルバートソン傘下。

アルバートソンは、
ダラス・フォートワース都市圏では3位。
105店舗で11.6%のシェアを稼ぐ。IMG_0153

トムサムはもともとこのダラスの、
ローカルス―パーマーケットだった。

残念ながらセーフウェイに買収された。
そのセーフウェイがアルバートソンと合併。
社名はアルバートソンとなった。

傘下に入っても、
地域に馴染んでいる屋号をそのまま使う。IMG_6894

良く管理された売場だが、客数は少ない。IMG_0155

その理由の一つはこのメンバー価格。
クラブカードを持つ顧客だけに、
割安価格で提供する。
これでは客層は拡がらない。
そして二重価格である。
IMG_6902
ポジショニングの弱い店。

アルバートソンの規模は全米第2位と大きいが、
店は特徴がなくなっている。

アメリカの競争の厳しさを象徴する店だ。

ここで少しだけ観光。

ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ。
第35代アメリカ大統領の暗殺現場。

1963年11月22日金曜日、
遊説中のケネディ大統領が、
ダラス市内をパレード中に銃撃され、
死亡した。

その現場を視察。
IMG_0172

ダラスのダウンタウンにある、
元教科書倉庫ビル。
この最上階の一番右の部屋から、
1発の銃弾が放たれた。
IMG_0169

2発目の狙撃点は道を少し下った先にある。IMG_0177

道路には✖印。
IMG_0174
ダラスの観光地は少ない。

その中でもっとも有名な観光地になった。
皆で記念撮影。
IMG_0180

ダウンタウンを後に、
今回のダラス視察の目玉の一つ、
ジョーヴィ・スマートショップへ。IMG_0194

HEBの倉庫型スーパーマーケット。
ディスカウントを打ち出す。IMG_6942

HEBの強みの一つは青果物。
ジョーヴィも腰高のクレート什器で、
多品種の果物や野菜を並べる。IMG_6913

ミートもHEBの強み。
大容量パック商品を低価格で販売する。IMG_0187

ヒスパニック系住民の多い地域だから、
メキシコ料理メニューが豊富だ。IMG_0193

OICグループの福島道夫さんが、
PBのアイスを購入してみんなに配った。IMG_6946

私はチョコアイスバーを試食した。IMG_6947

ジョーヴィ・スマートショップと近接した、
ウォルマート・スーパーセンター。IMG_0223

この店は改装したばかり。
ウォルマートが今年1月から進めているのが、
「フューチャーストア」

そのエッセンスを取り入れている。

サインは丸文字に変わり、
コーナー壁面には可愛らしいイラスト。
IMG_0201

ハロウィンの催事コーナー。
エンドのトップボードには笑顔のカボチャ。
IMG_0211

調剤薬局の壁面もご覧の通り。IMG_0213

アパレルを強化するウォルマート。
なかでもベビー・子ども服に進化が見られる。IMG_6976

人気ブランド「カーターズ」も導入。IMG_6971

男性的な売場づくりが特徴だったウォルマート。
女性客をターゲットに加えて、
新しい店づくりの実験が進んでいる。

一方、オンライン販売では、
ドローンによる即日配送の実験。
店舗からどんどん、
ドローンが飛び立っている。

敷地の一角にあるドローンの基地。IMG_0259

すぐそばにあるローカルスーパーマーケットに寄る。
リオグランデ。
スペイン語で大河。IMG_6990

ヒスパニック系のスーパーマーケット。
メキシコ人をターゲットにした店舗。IMG_6979
スカスカの店だ。
これでは勉強にならない。

さらにアルディ。
ドイツ出身の小型ボックスストア。IMG_7016

全米39州に2300店舗を配置。
リミテッドアソートメントで低価格を打ち出す。

青果を強化して、オーガニックも扱う。IMG_6991

パンの品揃えも増やした。IMG_6995

取り扱いアイテムは3000品目。
その95%がプライベートブランドだ。
IMG_7004

驚いたことに電子棚札を導入。
ローコスト運営をさらに進める。IMG_7013

ダラスの最後の視察店は、
ウィンコフーズ。
倉庫型のディスカウント・スーパーマーケット。
スーパーウェアハウスストアという。
IMG_0256

導入部には「The Wall of Values」
価値ある壁。

巨大なラック什器に超特売品を並べる。IMG_7022

そして近隣の競合店との価格比較で、
安さを強調する。
ナビスコの「リッツ」が2.98ドル。
ウォルマートは3.97ドル、
クローガーは4.49ドル。
IMG_7018

青果売場ではオーガニック商品も扱う。
オーガニックは定番コーナーになっている。IMG_7027

バルク売場が特徴の一つ。IMG_7031

この店は青果の次にベーカリー売場がくる。
基本のゾーニングでは最終コーナーに配置。IMG_7034

ディスカウントストアでも、
床はピカピカ。
スケルトンの天井には採光窓。IMG_0252

昨日はオーガニック御三家、
今日はディスカウント系の店々。

ライフスタイル型でも、
ディスカウント型でも、
どちらでもポジショニングを構築することができる。

ポジショニングのない店は退場させられる。
それが現在の米国の「喉を掻き切る競争」なのだ。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2025年10月11日(土曜日)

ダラス2日目のオーガニック御三家と最強のHEBの実力

商人舎US研修会スペシャル編。

コートヤード・バイ・マリオット ダラス アディソン。
ここがダラスの滞在先。

自室の部屋から見える日の出の気配。IMG_6667

ダラスに来て2日目。
会議室で8時から結城義晴の講義。IMG_0097

長い旅をしてから一晩熟睡。
それでも疲れは残っている。

朝の3時間講義。
IMG_0101

まずアメリカ視察研修の目的。

それからダラス都市圏の基本情報。
企業別のマーケットシェア順位。
1位ウォルマート34.3%
2位クローガー18.5%
3位アルバートソン11.6%
4位ターゲット7.2%

このランキングが米国全体のシェア順位と、
相似している。

いわばダラスはアメリカを象徴する地域なのだ。

それから初日に訪れた企業の戦略や最新動向。
ウォルマート、ターゲット、
クローガー、そしてHEB。

その合間に店舗のイノベーションの方法を語る。
Combineは重要な考え方だ。

ここからコンビネーションストアが生まれた。IMG_0109

途中休憩をとって、
オーガニックについてのガイダンス。
それからプライベートブランドの知識。IMG_0106

コンコース(主通路)の種類と、
店舗視察のポイント。
IMG_0110

講義が終わると、
11時に専用バスに乗り込む。

すぐに今日の行程の確認と、
視察先の情報を簡潔に説明する。
IMG_9651

最初の訪問店は、
HEBセントラルマーケット。
HEBの都市型アップスケールスーパーマーケット。
IMG_9652

入口のハロウィンのプロモーション。
色とりどりのカボチャが顧客を出迎える。
IMG_6668

セントラルマーケットは、
完全ワンウェイコントロールで顧客を誘導する。

導入部は果物ではなくて野菜。
左手は氷を敷き詰めたアイスウォールで、
鮮度感を演出。
IMG_9665

トマトの平台。
さまざまな品種のトマトが、
腰高の平台でばら売りされる。
まるでトマト畑。
IMG_6669

こちらは菌床栽培の装置。
インストアでマッシュルームを栽培する。
そのプロセスを顧客に見せる。IMG_9654

リンゴは朝食や昼食に必須のアイテム。
多様な調理材料としても使われる。

だから多品種が揃えられる。
小ぶりのリンゴはフィンガーフードでもある。IMG_9670

カットフルーツのコーナーのSKUが多い。IMG_9668

腰高の什器は見やすく取りやすい。
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青果売場を抜けると、
シーフードとミートの売場。
主通路を挟んで両サイドの対面売場で展開する。
右がシーフード、左がミート。
これがとてもいい。
IMG_9673

圧巻のワイン売場から、
デアリー(乳製品)の売場へ。
これはチーズのカッティング工房。IMG_6670

飲料はリーチインと多段ケースで顧客を誘導する。IMG_6671

一気に視界に広がるベーカリー売場。
さまざまなパンや焼き菓子を揃える。IMG_6673

作業場を見せるつくり。
パン工房のようだ。
IMG_6674

最後に惣菜デリ売場。
まずオリーブのコーナー。
品種、品目が多い。
それらを量り売りとパック売りで提供。IMG_9677

最後はデリカテッセンの対面売場。
IMG_6679

バイオーダーのサンドイッチ、
ピザや洋惣菜が並ぶ。
IMG_9678

私はスープバーのスープと、
焼き立てピザでランチ。
IMG_9664 (002)

完全ワンウェイコントロール方式は、
魅力的な売場を次々に配置して、
顧客を誘導する。

顧客にほとんどすべてのカテゴリーを見てもらう。

しかしそのためには商品力がなければならない。
HEBのセントラルマーケットはそれを実現している。

HEBのフード&ドラッグ。
同社のレギュラーフォーマットで、
店舗面積は3000坪。
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スケルトンの天井は、
店舗の開放性を担保する。
IMG_9684

レストラン「BBQ」で少し仕事をこなす。
最近の店舗にはBBQのファストフードが併設される。IMG_9683

入口の「ミールシンプル」コーナー。
簡便即食のミールキットなどを集積する。IMG_6699

基本的に、昨日視察したHEBプラスと、
食品売場は変わらない。
こちらはコの字型のゾー二ング。

青果が導入部。
テキサスのローカル野菜がメイン。IMG_9687 (002)

南アジアの野菜も揃える。
地域にアジア系住民が多いのだろう。IMG_9688 (002)

売場のセンターにチーズショップ。
そして、右サイドにミート、
左サイドにベーカリーとデリを配置。IMG_6690

デリは人気の「ボアーズヘッド」ブランドを導入。
切り立てのハムとチーズを提供する。IMG_9694

ミートのセルフ多段ケース売場。
1ポンド1~5ドル台のユニット単価で売る。IMG_9697

冷凍肉のコーナー。
大容量の畜肉を品揃えする。
テキサスは畜産の州だ。
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フローズン売場。
簡素な内装でもカラーリングで顧客を惹き付ける。IMG_9706

ビア&ワインの売場。
白木の什器でナチュラルさを演出。IMG_9698

最終コーナーのプロモーションは、
もちろんハロウィン。
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そしてエンドは「SAVE!」の文字で、
お買い得商品を訴求。
IMG_9705

HEBの売場には必ずクーポンが取り付けてあって、
顧客はそれをちぎってもっていく。
そしてレジで値引きしてもらう。

生鮮の強さとEDLP。
ウォルマートの戦略に真っ向から対峙して、
その上を行く。

もちろんネットスーパーにも力を入れる。
この奥にずらりとピッキングされた商品が、
カートにのせられて出荷を待つ。IMG_6696

ウォルマートのスーパーマーケット、
ネイバーフッドマーケット。IMG_9717

導入部は対面のデリ。
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そしてベーカリーが続く。
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この店はまだ最新のモデルに改装されていない。
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サインやPOPは黒をベースにした従来の仕様。IMG_6702

早くもレジ前ではクリスマスプロモーション。
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ウォルマートではコロナ期間中に、
ネットスーパーの需要が大幅に伸びた。
どの店でもピッキングする姿が目に付く。IMG_6701

派手ではないが、
催事・行事には適切に対応する。
IMG_6704

㈱OICグループの福島道夫さん。
夜にリッツの食べ比べを企画。
ウォルマートのクラッカーのPBを購入。IMG_9722

トレーダー・ジョー。
2023年にオープンした。
小型のリミテッドアソートメントが特徴。
IMG_9744

その前で全員で記念写真。IMG_9728

斜めに配置された平台で、
常温野菜や果物を品揃えする。IMG_9739

多段ケースの野菜コーナーで、
気づいた優れものがこれ。IMG_9732

玉ネギ、ニンジン、ブロッコリをみじん切りした商品。
スープにも炒め物にも使える。
こんなカット野菜があってもいい。IMG_9735

壁面は地元にちなんだペインティング。
1店舗に2名ほどのアーティストがいる。IMG_9743

アーティストは壁面だけでなく、
エンドのトップボードやPOP、
プライスカードまで手書きする。IMG_9737

EDLPだからできる。
電子棚札もトレーダー・ジョーには関係ない。

スプラウツ・ファーマーズ・マーケット。
2024年9月にオープン。IMG_9745

入り口のガラスに、
20%オフのシールが貼られている。IMG_9747

右壁面のシーフード、ミート、デリの売場。
IMG_6722

売場の至る所で、
20%オフを謳う。
IMG_9759

この店は最新の内装デザイン。
ただし、バルク売場や青果売場が縮小されている。IMG_9752

奥壁面に配置された青果売場。
青果の陳列ボリュームも少ない。IMG_9749

壁面の売場もシンプルになった。
以前のような「大型の八百屋」というイメージは薄れている。IMG_9756

各エンドでも20%オフ。IMG_6724

スタッフに聞くと、1周年のセールだそうだが、
苦戦している様子がありあり。

ホールフーズ・マーケット。
8月にオープンしたばかり。IMG_6752

ホールフーズらしいスケルトンの天井。
以前に比べて陳列在庫量が少ない、
しかしすっきりした印象。IMG_9760

ナチュラリーの壁面。
テキサス産の農産物を訴求する。
IMG_6728

バナナやリンゴなどを集積して
朝食のフルーツの提案。
IMG_6729

「LAND+SEA」のサイン。
ミートとシーフードの対面売場だ。IMG_6731

奥主通路は広い通路幅。
グレーを基調にした洗練された店だ。IMG_6734

ただし陳列量も少ないし、
顧客も少ない。

奥主通路ではアパレルのセール。
IMG_6736

デアリー売場の美しい壁面装飾。 IMG_6737

チーズショップの対面コーナー。
IMG_6742

左翼のベーカリーとデリゾーン。
これらの売場も商品在庫数が少ない。IMG_9766

セルフデリのコーナー。
夕方に訪問したので、客数は少ない。
デリゾーンは昼食時には賑わうのだろう。IMG_6744

オープンして1カ月半ほど。
まだまだ知名度が低いのだろう。
あるいは、オンライン販売の比率が高いのか。IMG_6748

ホールフーズ、トレーダー・ジョー、
スプラウツのオーガニックスーパー御三家。
三者三様の売場づくりだが、
人気を博していたのはトレーダー・ジョー。

ただし背景にあるのは、
HEBのダラス北部への出店だ。
3000坪級の大型店ではオーガニックを強化する。
その影響がジワリと及んでいる。

クローガーのマーケットプレース。
今年1月にオープンした非食品強化型の大型店。IMG_9768

入口の華やかな花卉売場。
IMG_9770

桜の花と永楽通宝(えいらくつうほう)。
日本でも広く知られた渡来銭の一つ。
これをディスプレー。
IMG_6754

ハロウィンのプロモーション。
IMG_6756

スターバックス。
定番のテナント。
IMG_6757

カラフルな青果売場。
もちろんオーガニックを強化する。
IMG_6760 (003)

アボカド10個10ドル。安い。
IMG_6755 (002)

スイカの売り方も訴求力抜群。
IMG_6810

左翼のベーカリーとデリ。
IMG_6765

シーフードとミートの対面売場。
壁面の設えはホールフーズのよう。IMG_9787

日本のビールを島陳列。
日本の食品と飲料のプロモーションを仕掛けている。
桜の花と永楽通宝はその企画の一つだ。IMG_9773

ワイン売場も紫を基調にして美しい。IMG_9786

非食品強化型で定番なのは、
調理器具などを集めた「キッチンプレース」。IMG_9802

奥主通路のデアリー売場。
IMG_9801

そしてレジ前ではアパレルの展開。IMG_9808

ベビー服も充実している。
だから子供連れ客が多い。
IMG_6758

HEBのダラス進出で、
市場シェア2位のクローガーが変貌している。
そんな店だった。

最後にオプションでホームデポを訪問。IMG_9819

世界ナンバー1のホームセンターチェーン。
もちろん全米1位だ。
年商1595億1400万ドル。伸び率4.4%。IMG_6822

ハロウィン売場は最高だった。
IMG_6824 (002)

参加者たちは童心に帰って楽しんでいた。
IMG_6825 (002)

2日目の充実した視察と研修。
みんな、大満足。

ありがとう。
(つづきます)

〈結城義晴〉

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