NHKの新しい朝ドラ「ばけばけ」。
松江の没落士族の娘・小泉セツと、
小泉八雲ことラフカディオ・ハーンがモデル。

朝ドラそのものは見ていないが、
主題歌はいい。
「笑ったり転んだり」
番組の冒頭に曲が流れるけれど、
歌の2番から始まる。
日に日に世界が悪くなる
気のせいかそうじゃない
そんなじゃダメだと焦ったり
生活しなきゃと坐ったり
「日に日に世界が悪くなる」には、
なぜか今、共感するところがある。
夕陽がとても綺麗だね
野垂れ死ぬかもしれないね
ニューヨーク市の市長選挙。
ゾーラン・マムダニ候補が当選。
現在、民主党のニューヨーク州下院議員。
1991年、ウガンダ生まれ。
アフリカ中東部の共和国。
ナイル川の源ビクトリア湖の北に位置する。
東にケニア、南にタンザニア、
西にコンゴ、北に南スーダン。
そのルワンダから1999年に、
ニューヨーク市に移住。
イスラム教徒の34歳。
〈ニューヨーク州議会議員ゾーラン・K・マムダニのホームページより〉

父のマフムード・マムダニ氏は、
もちろんウガンダ生まれのインド系3世。
アフリカの文化人類学、政治学者。
コロンビア大学人類学部教授、
ハーバート・リーマン政治学教授、
アフリカ研究所長など歴任の知識人。
マムダニ新市長はボウディン大学卒業後、
2020年に29歳でニューヨーク州議会議員選挙に当選。
2022年と2024年に再選を果たしている。
政治団体「アメリカ民主社会主義者」(DSA)に属しつつ、
民主党に入党した。
民主社会主義(Ⅾemocratic socialism)は、
「民主主義の下で社会主義政策を行う」
それが政治思想だ。
だから共産主義やマルクス・レーニン主義には、
強く反対する立場をとる。
社会主義(Sociaⅼism)は、
共産主義(Communism)の前段階とされる。
緩やかなコミュニズムである。
もっと緩やかなのが、
社会民主主義(Social democracy)。
これは穏健的社会主義思想で、
イギリス労働党、フランス社会党も、
社会民主主義だ。
民主社会主義は社会民主主義の左派といったところだ。
だから日経新聞米州総局長の大越匡洋さんは言う。
「社会主義を掲げつつ、
市場経済の原則を尊重しながら
格差是正や社会保障の充実などを重視する
DSAの立場は欧州や日本のリベラル派と変わらない」
今回のマムダニ新市長の公約は、
⑴公営スーパーマーケットの設置
⑵保育料の無料化
⑶市営バスの無料化
⑷家賃上昇の凍結
⑸年収100万ドル以上の富裕層への2%課税
私など公営スーパーマーケットというところに、
ひどく反応してしまう。
来年、ニューヨークを訪れるとき、
もしオープンしていたら、
行ってみようと思う。
ベルリンの壁とソビエト連邦の崩壊のあと、
すでに共産主義国は、
世界に5カ国しか残っていない。
中華人民共和国、
キューバ共和国、
ラオス人民民主共和国、
ベトナム社会主義共和国、
そして朝鮮民主主義人民共和国。
もう共産主義思想は破綻した。
しかしあまりに貧富の格差が激しくなると、
社会民主主義や民主社会主義が、
人々から支持される。
これが「日に日に世界が悪くなる」ことなのか。
それともその前の現段階が、
「日に日に世界が悪くなる」で、
「野垂れ死ぬかもしれないね」だから、
マムダニ市長が誕生したのか。
アメリカ共和党はMAGAに支配され、
アメリカ民主党はⅮemocratic socialism化していく。
両者はますます離れていく。
そして「中道」が空洞化していく。
主題歌「笑ったり転んだり」の1番。
毎日難儀なことばかり
泣き疲れ眠るだけ
そんなじゃダメだと怒ったり
これでもいいかと思ったり
そして「日に日に世界が悪くなる」につながる。
「中道の空洞化」こそ、その実態なのだろう。
〈結城義晴〉









































































