春分の日。
彼岸の中日。

朝日新聞「折々のことば」
第3600回。

戦争へ傾く発火点は
それほど高い温度ではない
〈丹羽宇一郎〉

伊藤忠商事㈱元社長、会長。
元中華人民共和国駐箚特命全権大使。
昨年12月24日、逝去。

国論なるものは、
「何かのきっかけでたやすく急変する」

「一度火が点(つ)くと、
世論はメディアの自己規制と同調し、
上書きするばかりで引き返せなくなる」

「一国の平和に欠かせないのは
防衛戦略ではなく安全保障戦略、
双方の『戦う意思を下げる』外交努力だ」

『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』
718opzMLI6L._SL1500_

高市早苗首相、
米国ホワイトハウスを訪問。

私は世界に対して、
恥ずかしい思いを抱いた。

丹羽さんは言う。
「日本にとって喫緊の課題は
軍事力よりも経済力を回復させることです。
経済力のない日本を
世界が相手にするとは思えません」

その通りだ。

「軍事力の強化を心強いととるか、
危険な兆候ととるかは人それぞれでしょうが、
日本が戦争に近づきつつあることだけは、
両者の見解が一致するところではないでしょうか」

ん~、その通りだ。

「日本はこのまま戦争へと近づき、
いつか再びどこかの国と戦争を
することになるのでしょうか。
そのとき戦うのは誰でしょうか」

彼岸の中日だからこそ、
そんなことを思う。

日経新聞「大機小機」
コラムニストは一礫さん。
「知識経済」で開く持続的成長の道

『知識経済の形成』
ジョエル・モキイア著。
ノースウエスタン大学教授。
81KXI9xjvtL._SL1500_
2025年ノーベル経済学賞受賞。
その6年前の翻訳出版。

知識には大別して、
命題的知識と指図的知識がある。

「命題的知識」とは、
自然現象などの観察、測定によって
発見される規則性や原理、
すなわちwhat。

「指図的知識」とは、
命題的知識を普及や応用に導く
テクニックなどに関するもの、
すなわちhow。

指図的知識を実践する人は、
必ずしもそれを支える命題的知識を
所有する必要はないが、
判断力、経験にもとづく暗黙知を
備えていなければならない。

教授は産業革命から情報化社会までを分析して、
成長やイノベーションを持続させるものは、
制度や文化や貯蓄率などではないと主張。

「肝心なのは、知識である」

これはピーター・ドラッカーの思想だ。

「命題的知識を支配している者と
指図的知識の中に含まれる
テクニックを実践している者との間の
相互作用」によって経済は成長する。

命題的知識に強いフランス、
指図的知識に強いイギリス。

わが国は、どちらかと言えば、
工夫と改良の面で優れている。
すなわちhow。

他方、米国は、
全く新しい革新を呼ぶ傾向が強い。
こちらはwat。

独創的な米国に対して、
工夫と改良の日本。

倉本長治に言わせれば、
「創意を尊びつつ良いことは真似ろ」

コラムニスト。
「人口減少が懸念されるが、
数では1億人以上おり、
わが国はまだ人口大国である」

「北欧など、500万〜600万の人口小国が
知識をエンジンに成長している」

「自由な発想にもとづく科学研究の振興と
創造的なネットワークづくりによって、
知識経済をしっかり軌道に乗せれば、
おのずから持続的経済成長の道は開けてくる」

丹羽さんはこのことを言いたかったのだ。

ちょうど1000年前に没した女流作家は、
じつに平易に、見たままの春分を詠んだ。

春分に桜のつぼみがほころびぬ

私たちには知識経済こそ、
ぴったりくるものだ。

そちらに力を注ぎたい。

〈結城義晴〉

1週間分をまとめて読む
流通スーパーニュース