「チェーンストアは、
小売業であり、

卸売業である」
ゴドフリー・レブハー。

1950年代の米国ジャーナリストの言葉。

鋭い。

チェーンストアの卸売業機能を担うのが、
商品部であり、バイヤーである。

カリフォルニア大学のデルバート・ダンカン教授。
「小売業は、
バイヤー(買う機能)であり、

セラー(売る機能)である」

買う機能が商品部であり、
売る機能が店舗である。

今日も、
ニチリウバイヤーセミナー。

梅雨明けの大阪は暑い。
けれど私たちはホテルに缶詰。
それはそれで快適だ。

2日目の午前中は結城義晴の講義。
3時間2講座。
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バイヤーの機能や仕事に関しては、
実践や経験が極めて重要だ。

しかしどんな仕事にも、
セオリーやメソッドはある。
それがバイヤーやマーチャンダイザーの場合、
意外にも理論化・体系化されていない。
企業のなかで継承されていないことも多い。

それを私がやっている。

初めにスライドを使って
「コモディティ化現象」を講義する。IMG_7290

「コモディティ化」とは、
⑴企業間における技術的水準が同質化して、
⑵製品やサービスの差別化が困難になること。
⑶どのブランドを取り上げてみても、
顧客からするとほどんど違いが見いだせない状況。

世界中の大潮流だ。
ブランドや商品のコモディティ化の進捗を、
バイヤーは大前提として仕事をしなければならない。
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工業型商品のコモディティグッズ、
農業型商品のノンコモディティグッズ、
情報型商品のノンコモディティグッズ。
それらの価格政策。

プライベートブランドは、
このコモディティ化現象によって、
主に4つに分類される。
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さらに競争のマーケティングも、
バイヤーの必須の知見だ。
取引先をカテゴリーごとに、
4つに分類しておかねばならない。

第1講義の最後は、
マーケティングの分析手法。
その中からSWOT分析とPPM分析。
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PPM分析における、
製品のライフサイクル。IMG_7306

これらの分析手法は商品開発の際に、
論理的なベースになる。
参加者たちも真剣だ。
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短い休憩をはさんで、
プライベートブランドの体系。
講義内容はより具体的になる。
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テスコやイオン、セブン&アイの事例。
PBを受託するメーカーの動静。
一番重要なところだ。

さらにバーチカルマーチャンダイジング。
垂直統合の大きな錯覚や誤解。
この講義は今、突っ込んで指摘する人はいない。

最後はチェーンストアのアパレル問題を、
一気呵成に語った。
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午後は昨日に引き続いて、
グループディスカッション。
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議論して結論を導き、資料をつくる。
いまやパソコンでの資料づくりは当たり前だ。
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そして9つの班の発表。
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受講者は、
プレゼンテーション内容を聞いて、
質問する。
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それに対して発表者が答える。
最後に結城義晴が講評する。
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発表内容は食品から衣料、住関連まで、
多岐にわたった。
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それぞれに商品開発の視点が良かった。
しかも2日間で学んだ
マーケティングの分析手法を使って発表してくれた。IMG_7338

ニチリウグループ企業の、
地域資源を活かした提案もあった。
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バイヤーたちは市場をよく勉強しているし、
グループでの議論や情報交換を通じて、
新たな知見を得る。
しかもグループ企業の理解も深める。
グループワークのいいところだ。

セミナーの最後は、
バイヤーの仕事の締めくくり。
すなわちサプライチェーンマネジメント。

最後にバイヤーのコミュニケーション。
ドラッカーのコミュニケーションを講義する。
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バイヤーの意義とその魅力を語ると、
参加者たちの表情が輝いてきた。
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2日間の講義を通して、
仕事の面白さと深さを感じてくれたら、
講義した甲斐がある。
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最後に拍手をもらった。
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ご清聴に感謝したい。

参加者全員を送り出して、
日本流通産業㈱人事総務部のお二人と写真。
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人事総務リーダーの松吉知子さん。
部長の酒井幸男さん。

このバイヤーセミナーは、
年々、充実して、
成果が顕著になってきた。

来年も開催される。

商人のことを英語で、
Merchantという。

マーチャンダイジングする人。

チェーンストアの主役のひとつが、
バイヤーであり、マーチャンダイザーである。

朝日新聞「折々のことば」
第3439回。

心のスタミナが
充分ではなかったので、
マラソン練習には苦労しました。
〈増田明美〉
増田明美

長距離ランナーとして、
めざましい記録を打ち立てた。
が、度重なるアクシデントに苦しんだ

「とくにマラソンでは、
心のスタミナが重要です」

「昔、修行僧のような顔つきで走っていたら、
ピクニックに行くようにして完走した
マラソンの先輩に、
楽しまないと続かないよと言われ、
人生の走りまで変わった」
〈『公研』6月号より〉

仕事は長いマラソンのようなものだ。
ピクニックに行くように、
楽しまないと続かない。

バイヤーの仕事は本来、
楽しいものだ。

健闘を祈る。

〈結城義晴〉

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