ヘモグロビンA1c「6.3%」と「債務膨張に揺らぐ世界」の憂鬱

午前中は大手町。
院長は田嶼尚子先生。
私の主治医。
毎月の血液と尿の検査。
そして診断。
ヘモグロビンA1cは、
なんと6.3%に下がった。
血糖値も尿酸値も良好。
血糖値センサーが効果を発揮して、
自覚が生まれた。
運動量も増えた。
すべて田嶼先生のおかげだ。
感謝しています。
この調子で自己管理します。
帰りに隣接するトモズに寄って、
処方箋で薬を手に入れる。
トモズのおかげでもあります。
感謝します。
それでも気分は完全には晴れない。
どこか憂鬱だ。
大手町から横浜に戻って、
商人舎オフィス。
倉本長治の本を3冊ほど読み漁って、
3000字の原稿を書き上げた。
そのなかの『日本商人史考』
1967年の労作だ。
長治68歳のときの著書。
ん~、すごい。
私の書きたい本のテーマでもある。
今も講義で使っている内容も盛り込まれていて、
実に興味深かった。
そして書き上げた原稿の結論のところで、
ある重大なことを発見した。
私自身にとっても、
励みになることだ。
それは原稿を読んでほしい。
朝日新聞「折々のことば」
第3450回。
批評の始まりは、まず
説明しがたい奇妙な細部を
見つけることだ
〈岡崎乾二郎「美術手帖」7月号から〉
「どんな絵にも、
うまく説明できない細部がある」
「そこで感じた違和を抑え込み、
既存の枠組みで説明しようとすると、
対象は歪(ゆが)んでしまう」
「逆にその違和をもはや違和としない、
理解の枠組みを組み立てるのが批評だ」
岡崎は69歳の造形作家、批評家。
編著者の鷲田誠一さん。
「これは科学上の発見や医師の診断にも
いえることだろう」
商売の技術論にも当てはまる。
それが商人舎8月号特集だ。
倉本長治にも若い時から、
この正当な批評の精神が宿っていた。
それには本当に驚かされた。
日経新聞「大機小機」
コラムニストは無垢さん。
いつも正論を吐く。
テーマは、
「債務膨張に揺らぐ世界」
「世界には債務膨張の危険があちこちにある」
同感だ。
「日本は参院選後の政治の混迷で、
債務がさらにかさむ」
「トランプ米政権による減税・歳出法で、
米国の債務膨張は必至だ」
「ウクライナ戦争は、
NATOの国防費拡大をもたらした」
「大砲(国防)もバター(民生)も」
これは世界経済危機を招く。
ドワイト・アイゼンハワー米国第34代大統領。
1961年の退任にあたって、
「軍産複合体」を警告した。
それが今、世界中に広がっている。
だから私たちは批評の精神をもたねばならぬ。
説明しがたい奇妙な細部を見つけねばならぬ。
「軍と軍需産業がもたれあい
防衛需要を頼みにする限り、
危機の時代は終わらない」
無垢さん。
「『力による平和』は幻想である」
理想論のように聞こえるかもしれないが、
私もそう思う。
だから「技術革新を安易に、
軍事力に結び付けるのは危険である」
「AIの進展はめざましいだけに、
AI兵器の全面禁止が求められる」
「軍拡競争と減税などによる債務膨張が続けば、
危機は世界中に拡散する」
2022年、リズ・トラス英国首相のとき、
「財源なき減税」によって金融危機が起こった。
それが「トラス・ショック」だ。
「通貨安、国債売り(長期金利上昇)、
株価下落という『トラス・ショック』は、
どこでも起きうる」
「その深度は、
トランプ関税による大混乱をも
上回るだろう」
私の憂鬱の真因はここにあると思う。
〈結城義晴〉