「スターバックス日本」売却検討の話の考察

梅雨の花。
雨が降る。
米国のスターバックス・コーポレーション。
日本事業を売却する検討を始めた。
日経新聞が報じた。
日本はスターバックスコーヒージャパン㈱。
本家スタバは1971年にシアトルで創業。
当時はコーヒー焙煎会社で、
パイクプレースの1号店は、
今でも観光スポットになっている。

1982年にハワード・シュルツが、
マーケティング取締役として入社。
その後、いろいろあったが、
シュルツは1987年に会社を買収して、
CEOとなるとともにチェーン展開を始める。
1990年代後半には、
年間数百店ペースで出店し、
1999年には世界で2000店を超える。
その間、1996年には、
角田雄二さんが提携して、
日本に進出。
2002年、世界で5000店を突破、
2005年には1万店の大台を達成。
しかし2020年のコロナパンデミックのあと、
徐々に停滞が始まり、
2024年第4四半期に、
既存店売上高が6%減少。
低迷期に入った。
値上げ続きで客数が減った。
過密出店でカニバリゼーションが起こった。
またマクドナルドやダンキンが、
コーヒーで盛り返してきた。
一方、スタバジャパンは、
1995年に角田雄二さんが創業。
順調に成長して、
2001年10月10日にジャスダックに上場。
だが米国スタバに買収され、
完全子会社となって、
2015年3月23日に上場廃止。
現在は米国スタバが5割以上の株をもつ。
だから売却には何の障害もない。
米国スタバの業績低迷で、
ジャパンが売却される。
よくある話だ。
本家は悪いが、
ジャパンは好調。
日経の記事は言う。
「米本社が忘れた創業時の経営理念やスタイルを
忠実に守っているからにほかならない」
「アルバイトであっても
数十時間の研修を施す現場教育の徹底」
「それに基づく顧客本位の接客、
感謝を伝え合う社内コミュニケーション――」
「個店経営の重視や地域社会との連携」
これ、セブン-イレブンに似ている。
シュルツは「第三の場所」を標榜した。
角田さんもそこに感動した。
拙著『お客様のためにいちばん大切なこと』に、
そのことは書いた。
1995年、角田さんは、
ロサンゼルス1号店を体験して、
3日間でニューカスタマーから、
リピートカスタマーへ、
そしてロイヤルカスタマーに変わった。
それがスターバックスの本質だ。
日経の記事は、
日本法人の森井久恵CEOの言葉を紹介する。
「スタバ流の経営を、
『ロマンスと効率の両立』と説明する」
ここで言う「ロマンス」とは、
単なる接客マインドではなく、
顧客の心を動かす情熱と、
それを支える組織文化を指す。
アメリカでは、
「デジタル化で資本主義経済のスピードは増し、
格差が拡大」
「激しいインフレのもと、
労働条件の改善を求めて、
従業員のストライキが頻発する」
「日本でも賃上げや物価高は続くが、
従業員は1000円台の時給できめ細かく働き、
スタバの理念を忠実に実現しようとする」
日経記事。
「日本は米国に比べると変化が緩やかで、
スタバの価値観を育むには最適の環境なのだろう」
ん~。
米国スターバックスの低迷は、
セブン-イレブンに似ていると思う。
アメリカのサウスランド社の経営が悪化し、
イトーヨーカ堂グループが買い取った。
いまではセブン&アイの子会社だ。
スタバはそこまではいかないのだろうが、
日本流の「おもてなし」が、
コーヒーショップチェーンには必要か。
アメリカでもスタバのコーヒーを買う。
クローガーにもターゲットにも、
いろいろなホテルにも、
スタバの店はある。
しかし今の印象は「高い」だ。
アメリカのインフレが、
顧客の価格コンシャスに大きく影響する。
それは「ビッグスマイル」や「おもてなし」で、
挽回できるものではないと思う。
マクドナルドのコーヒーは、
許せる値段に映る。
記事。
「日本法人の『ガラパゴス化』が進む一方、
理念を失いつつある米本社が
日本事業を売却するなら皮肉な話だ」
「米本社がロマンスと効率の精神を失えば、
ありきたりなカフェチェーンとなる」
この指摘も妥当だろう。
しかし米国のインフレを甘く見てはいけない。
向こうで生活した実感だ。
そしてそれが日本の「円安インフレ」に、
伝染しないとは考えにくい。
〈結城義晴〉




































