「違法な戦争に関わるな」と「理想がなければニンゲンではない」

新聞全国紙の社説。
テーマはみんな同じ。
「ホルムズ海峡」の問題。
今、日本の焦点はここにある。

まず日本経済新聞。
タイトルは、
「自衛隊の中東派遣は国益熟慮し判断せよ」
「国益を熟慮した慎重な判断を高市早苗首相に求める」
派遣してはいけないよ、という主張。
読売新聞社説。
「安全確保へ国際協力体制作れ」
「今回の米国・イスラエルの攻撃は、
国際法違反の可能性が高い。
この状況で日本が米国に協力することに
国民の理解が得られるのか。
日本の信頼も傷つきかねない。
戦闘状態にあるホルムズ海峡に
自衛隊を派遣することは、
現状では困難と言わざるを得ない」
毎日新聞社説。
「日本は外交でこそ貢献を」
「事態の打開に必要なのは外交である。
原油の9割超を中東に依存している日本にとって、
最優先すべきは戦闘の停止を実現し、
ホルムズ海峡の平和と安定を取り戻すことだ。
「首相はトランプ氏に、
即時停戦を働きかける必要がある」
朝日新聞社説。
「混迷する世界と日本
『法の支配』土台に立て直しを」
朝日新聞はひねくれ者だ。
タイトルにそれが出ている。
「現状で、自衛隊を派遣できるような
法的な根拠は見当たらない。
今は中東情勢を一刻も早く
沈静化させることが最優先である。
戦闘の長期化やガソリン価格の高騰、
世界経済の減速は、
米国にとっても好ましくないはずだ」
「トランプ氏が攻撃の停止と
交渉による事態の収拾に動くよう、
首相は訴える必要がある」
最後のところは毎日と同じ。
産経新聞社説。
「首相は海自派遣の決断を」
「高市早苗首相はホルムズ海峡でのタンカー護衛へ
海上自衛隊の派遣を決断すべきだ」
ちょっと驚くが、右翼系メディアは、
戦争に参加せよと言っている。

産経より部数の多い中日新聞社説。
「違法な戦争に関わるな」
「米国とイスラエルによるイラン攻撃は
明白な国際法違反だ。
日本は軍事的に関与すべきでなく、
身勝手な要求に応じる必要はない」
中日新聞が一番直接的で、
全うなことを言っている。
違法な戦争に加わることは、
現時点の憲法違反である。
そのために知恵を絞れ。
日本の正念場だ。
日本国のポジショニングを守れ。
いつもの「折々のことば」
尊敬する鷲田誠一さんの編著。
第3597回。
世間では
理想をかかげる者を
バカにするけど、
理想がなければ
ニンゲンではない。
〈田中小実昌〉
「言論人・長谷川如是閑(にょぜかん)は、
『現実的』に過ぎる同時代の政治家を警(いまし)め、
明治の初めにはもっと気高い
信念や理想が語られた」と言った。
長谷川は大正デモクラシー期の代表的論客。
本名は山本萬次郎。

新聞記事・評論・エッセー・戯曲・小説など、
約3000本の作品を残した。
文化功労者、文化勲章受章者。
長谷川。
「『国のため』として精神統一を図るのは
末期の組織の焦慮にすぎず、
重要なのは学問の奨励だと説く人たちもいた」
それを承(う)けた作家・田中小実昌(こみまさ)。
2000年に74歳で没した。
直木賞作家。
禿げ頭に手編みの半円形の帽子。
夏には半ズボンにサンダル履き。
「コミさん」の愛称で親しまれた。
すっとんきょうな表情と、
ウィットに富んだユーモア。
しかし根は生真面目だった。

その随筆「如是閑と蘇峰」の中の言葉が、
「理想がなければニンゲンではない」
鷲田さん。
「理想とは空理ではなく、
世界の筋目を問う
大きな視点のことなのだ」
その通り。
「筋目」は「物事の道理」。
今、世界の道理を問題として、
「大きな視点」をもたねばならない。
政治だけではない。
仕事でも商売でも、
道理が通った、
大きな視点が求められる。
それはあなたにとって、
どんなことか。
私にとって、
どんなことか。
明後日は、そのことを、
私自身が語ろう。
〈結城義晴〉


































