特集は、
自前のRetail-DX
両輪の「技術と人」をインソーシングする道筋
[Cover Message]
「2025年の崖問題」はこれから5年で深刻化する。いかにクラウドコンピューティングが普及しようと、さまざまな「レガシーシステム」が残存する。既存システムはいわばデジタルの「遺物」である。俯瞰すると、打ち揃って崖の縁に立っている様子が頭に浮かぶ。そのためにこそ本気の「DX」(デジタル・トランスフォーメーション)が求められている。不思議なことにそんな喧騒のなかで、多くの企業に危機感が希薄である。ペーパーレスだとか、汎用型自動発注システムの導入レベルでは、「崖の縁」から逃れることはできない。しかも「技術と人」を両輪とするRetail-DXは一朝一夕に構築できるものではない。「後進の先進性」や「後発の優位性」を逆手にとりつつ、スピード感に優れた新興企業に一気に抜き去られてしまう可能性もある。長い目で見たインソーシング(内製化)はポジショニング戦略実現のためにも必須である。何から始め、どんな道筋を構想するか。先を行く企業はすでに「自前のRetail-DX」に挑戦して成果を上げているのである。
イオンリテールの西垣幸則常務に、
独白という形で登場してもらった。

それからアクシアルリテイリングには、
山本恭広編集長がインタビューして記事を書いた。
渾身の特集です。
特別企画は、
新生イトーヨーカ堂本格始動!!
ヨークフーズMARK IS葛飾金町店の全容

これも徹底取材の特別企画。
あのイトーヨーカ堂の現在が、
よくわかります。
最後に結城義晴の辛口の一言。
10月号もご愛読をお願いします。
さて私は10時55分に搭乗。
台風の影響もあって30分ほど遅れたが、
羽田空港を発った。

日差しが降り注いで、
テキサス州ダラスの大地と湖が見えてきた。

フォートワースのフリーウェイ。
そしてダラス・フォートワース国際空港へ到着。
空港でサンフランシスコ先乗りのチームと合流。
予定より入国審査に時間がかかった。
全員が揃うとすぐに専用バスで視察を開始。
最初に訪れるのは必ず、
ウォルマート。
最強のフォーマット「スーパーセンター」。
ダラス・フォートワース都市圏では、
170店舗を配して34.3%のシェアをもつ。
もちろんマーケットリーダー。
導入部の広い広い青果部門。
島型の平台を配して主要品目を単品量販。
古い店だが8月にリニューアルした、
フューチャーストアだ。
床はピカピカ。

デアリー売場。
壁面のリーチインと主通路の平ケース。
ここも床はウェットルック。
濡れたように見えるほどのクレンリネス。

衣料品売場の中央に、
マネキンのコーディネートディスプレー。
この数年、ウォルマートは、
マネキンを多用してアパレルを強化する。
スーパーターゲット。
ディスカウントストアのターゲットが、
ウォルマート対策として食品を強化したフォーマット。
この都市圏では4番手。
49店舗で、7.2%のシェア。
食品ゾーンの床はタイルを敷いてピカピカ。
天井には木を配している。
腰高の白木什器を多用した青果売場。
精肉売場で見つけた「インポッシブル」。
大豆ミートのひき肉。

㈱OICグループの福島道夫さんが購入。
「大豆だから大丈夫」と言いながら、
購入してバスの中で生のまま試食。
焼いたらおいしいだろうな。
ハロウィンのプロモーションは、
シーゾナルコーナーで大展開。
コスチュームに力を入れる。
そして、
クローガー。
全米ナンバー1のスーパーマーケット。
95店舗で18.5%のシェア。
視察したのはクローガーマーケットプレース。
非食品強化型フォーマット。
ボアーズヘッドの対面売場。
デリのコンセッショナリー。
ハムやチーズを切り立てで提供する。
チーズ専門店マレーズ。
ニューヨーク発祥のショップを導入していたが、
会社そのものを買収して、傘下に入れた。
右翼の主動線に
「フレッシュ・ファインズ・10ドル」。
10ドル商品を集積させたプロモーション。
レジの上部にあるQビジョン。
レジに3人目を並ばせないための仕組み。
ウォルマート、ターゲット、
クローガーの大型店が、
隣接して競争している激戦地。
午前中ということもあって、
客は少なかった。
それだけでなく、トランプ政権の
行政職員の解雇などが影響している。
「ガバメント・シャットダウン」
給料が払われていない人も多いので、
顧客たちは全体に節約ムードになっている。
オペレーションが素晴らしい。
それを見てもらうために、
必ず立ち寄る。

私はプロテインバーガー。
バンズの代わりに、
レタスで巻く裏メニュー。

フォートワース市の南のバールソンまで南下する。
HEBプラス。
HEBはテキサス州出身のスーパーマーケット企業。
その非食品強化型のフォーマットが、
このHEBプラス。
ダラス・フォートワース都市圏では、
このフォーマットはたった1店舗しかない。
天井がスケルトンのローコスト店舗。
テキサスの農産物を豊富に品揃えする。
オーガニックはアメリカ農務省が認証。
その新ブランド「HEBオーガニックス」。

フィッシュマーケットの対面売場。
年々、品ぞろえと鮮度が充実していく。
ミートの対面売場。
プライムのグレードのアイテムが並ぶ。
さらに「WAGYU(和牛)」も。
アメリカンからジャパニーズまで、
ステーキのカッティングもバラエティがある。
クッキングコネクションの対面コーナー。
料理を作って試食を提案する。
新製品やおすすめ商品を集合させた売場を併設する。
「ミール・シンプル」と題された
即食・簡便なミールキットコーナー。
金色のトレイを使ったアイテムは、
ウェグマンズとの協業から登場した。
インストアベーカリーはいい香りを出している。
作業場がオープンになっている。
ミート売場で試食試飲販売。
万代の女性二人と一緒に試食。
ワインも試飲した。
奥主動線のミートからデアリーの売場は、
壁で上部を仕切らないスタイル。
この奥に積まれた在庫が見える。
最終コーナーの主動線上には、
お買い得品の島型陳列がズラリ。
ウォルマートは、
EDLPにアクションアレーを加える。
HEBもEDLPを導入して、
ウォルマートに対抗し、
同じように島陳列のポップアップセールを展開する。
HEBもオンライン販売に力を入れる。
このカートを引いてピッキングする。
ウォルマートからHEBまで。
ダラス・フォートワース都市圏の
有力企業の大型店を巡った。
最後は、
クイックトリップ。
ダラス出身のローカルコンビニ。
現在中西部への拡大戦略をとり、
21の州・地域に1169店舗を展開。
ホスピタリティ溢れる接客が売り物。
米国セブン-イレブンも、
クイック・トリップをベンチマークしている。
QTキッチンと呼ばれるオーダーメイドの、
ファストフードコーナーが特徴。
温かいバンズを引き出しから取り、
グリルで焼き上げられたソーセージをはさみ、
フレッシュなオニオンやカットトマトなどをのせ、
最後にケチャップなどで仕上げる。
みんな楽しそうだった。
視察を終えてホテルにチェックイン。
すぐに、懇親会会場へ。
「Texas de Brazil(テキサス・デ・ブラジル)」

乾杯のあいさつは大久保恒夫さん。
㈱リテイルサイエンス会長。
前㈱西友社長。

ダラス出身のシュラスカリア レストランチェーン。
その本店。
ビーフ、ラム、ポーク、チキンの
さまざまな部位と調理されたものを、
好きな量だけカットして提供してくれる。
おいしいサラダとスープとお肉、
ビールとワインで満足。
最後に㈱万代の女子2人、
左から夏山由香さんと利重まりさん。
夏山さんは第5運営部エリアマネージャー、
利重さんは丹波橋店店長。
日本を経ってからの長い長い一日だった。
しかしこれ以上ないくらい充実していた。
ありがとうございます。
〈結城義晴〉









































