「党利党略」ではない参議院と「細幅鍵盤」のピアノ

暑い日だ。
今日、猛暑日地点が、
今年最多の139地点となった。
1日の最高気温が摂氏35度を超える。
それが猛暑日。
第27回参議院選挙の選挙運動も、
この猛暑日では辛いだろう。
朝日新聞の「天声人語」
参議院の独自性を問題にする。
「人は生まれた時は0歳で、
誕生日を迎えて一つ年をとる」
「今では当たり前だが、
かつては生まれた時点で1歳とし、
1月1日に一つ年を加える数え年が普通だった」
現在は「満年齢」だ。
還暦や古希まで満年齢で祝ったりする。
1949年、
「年齢のとなえ方に関する法律」が成立した。
これは参院の発議が発端となった。
「当時、発議の理由を説明したのは、
作家で参院議員の山本有三だった」
文部委員会で発言した。
「税金は取られ、モノはない。
国民は非常に暗い気持ちになっております」
戦後4年が経過して復興が進んでいた。
しかしGHQ主導の超緊縮策で、
倒産や解雇が相次いでいた。
暗い時代だった。
山本はだからこそ、
満年齢に変えるべきだと訴えた。
数えより年齢が減るので、
「若くなったような気がいたしまして、
国民の心が何となく明るくなるような気がする」
コラム。
「諸政一新の戦後の空気と、
『良識の府』の懐の深さ、
ちゃめっ気も感じる」
初期の参院には、今よりも独自性があった。
政党間の争いで紛糾する衆院を尻目に、
議員立法や法案修正で存在感を示した。
首相への代表質問で、
啖呵(たんか)を切った参議院議員もいた。
「衆院は数の政治だが、
参院は党利党略の場所ではない」
そんな参議院議員、いないかなぁ。
こんなに暑いのだから、
サマータイム導入でも訴えてほしい。
現金給付か消費減税か。
私はどちらも反対だ。
個人の力で、
党派を超えて仲間と声を揃えて、
社会を明るくする参議院議員。
出てきてほしい。
さて新潟日報の巻頭コラム、
「日報抄」
ピアノの鍵盤の標準幅は、
1オクターブ約16.5センチ。
バッハやショパンが活躍した時代は、
今より約8ミリ細かった。
現在の幅になったのは1870年ごろ。
「手の小さな人にとって幅の違いは切実だ」
「女性を中心に手の小ささが妨げとなって
演奏家の道を断念する人や、
ピアノをやめる人がいる」
新潟市の黒田千亜紀さん。
「細幅鍵盤」の普及に取り組む。
ユニバーサル鍵盤と呼んでいる。
オーストラリアで、
ピアノを弾く人を調べたら、
女性の約9割、男性の2割超が、
現在の幅を弾きこなすには
手の大きさが不十分だった。
わかる。
私も手が小さい。
とくに小指が短い。
それなのに学生時代は、
ベースギターを弾いていた。
ピアノもバイエルから練習したが、
オクターブを引くのがつらかった。
黒田さんも、
手は1オクターブがぎりぎり。
無理に指を広げて練習し、
手を痛めたことがある。
細幅鍵盤を手に入れて、
初めて弾いた時には、
「今までの苦労は何だったのと、
くらくらした」
そして演奏をより楽しめるようになった。
オクターヴ演奏時のX線像。
『ピアニストの手』酒井直隆著より
グランドピアノなら、
鍵盤は標準幅と容易に交換できる。
海外で細幅も選べるピアノコンクールが始まった。
「目指すのは自分に合う鍵盤を
選べるようにするという当たり前のことです」
コラム。
「それぞれの人に合わせた
道具や環境があればいい。
ピアノに限った話ではない」
同感だ。
私は昨年の5月に、
ラスベガスでlittle Martinを衝動買いした。
ちいさなギターだ。
それがとてもいい。
参議院選挙も、
自分に合った議員を選べるといい。
政党色の強い議員は、
参院にはもう必要ない。
個性豊かで個人の主張をもった議員が欲しい。
〈結城義晴〉