結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年12月04日(金曜日)

日本のトレーダージョーズ「NISHIYAMA」流サムシング・ベターの秘密[前編]

日本列島、昨日と打って変って、
今日はポカポカ陽気。
毎日毎日、変化を楽しむことができる。
しかし地球は温暖化が進む。  
ロシアの冬も超のつく暖冬。
なんとモスクワで気温8度という。

そんな暖冬の東京証券市場、
日経平均株価が1万円の大台を、
一瞬のことだが超えて、一安心。

それでもドバイショックのようなことが起こる。
すると地球規模で、一瞬の閃光とともに、
パニックが起こる。

ゆめゆめ油断がならない。

世界最大の労働組合のナショナルセンター「連合」が、
中央委員会を開催。
「5年ぶりに賃上げ改善要求を見送る」  
これを正式決定。

連合幹部は、何ともやるせないだろうが、
「賃上げ水準の維持と雇用の維持を最優先」する方針。

古賀伸明会長は、賃上げに関しては、
「参加の業界別労組や個別組合に判断を任せる」とコメント。

しかしこれによって、従業員・労働者に対して、
不当に低い賞与やサービス残業が、
幅を利かすようなことがあってはならない。

モティベーションを上げるだけ上げておいて、
その上で働かせるだけ働かせておいて、
その見返りを払わない。
正当な権利をも侵害する。
そうしておいて企業の存続を果たすだけ。
こんな経営者には、経営者の資格がない。

連合の意思決定が、
こういった風潮を蔓延させないことを望むものだ。

さて、今日と明日は2回にわたって、
スーパーマーケットNISHIYAMAの売場と商品紹介。  
1
先月6日に三田店を訪れた。
そのときにはダイジェストでお伝えしたが、
読者のためには、詳細を紹介した方が良いと考えていた。

何しろ、Retail is detailなのだから。

NISHIYAMAのsomething betterをご披露しよう。
前編は、生鮮食品と加工食品。
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「よいものをどんどん安く」  
中内功さんが言ったダイエーのスローガン。

いつでも、どこでも、
「よいものをどんどん安く」を実現できれば、
お客様は喜んでくださる。
「よいものをどんどん安く」提供しつつ、
適性の利益を確保できれば、
店は繁盛し、企業は繁栄する。
従業員も満足する。

その意味で「よいものをどんどん安く」という考え方は、
真理を突いている。

アメリカのトレーダージョーズは、
もうこのブログでもおなじみだが、
商人舎の2009米国チェーンストア・ランキングで55位。
年商72億ドル(1ドル100円換算で7200億円)。これは前年比10.7%プラス。
店数はもう326店で、こちらは11.6%プラス。

アメリカの小売業の好調組を私は「WWTC」と呼んだ。
ウォルマート、ウォルグリーン、トレーダージョーズ、コストコ。

彼らは皆、「よいものをどんどん安く」の企業ばかり。
食品専業は、トレーダージョーズだけ。
この会社とNISHIYAMAは、同じ考え方である。

まず、青果売場から。
カボチャ。
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「落合さんの栗かぼちゃ」
北海道・美深産。100グラム38円。
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これがうまい。
NISHIYAMAは自ら商品開発を積極的に展開している。
しかし残念ながら、素人がいくら努力して開発しても、
「よいものをどんどん安く」は実現できない。
プロの存在抜きには可能とならない。
そのプロフェッショナルとは、
専務取締役の古山勇起さん。

南高梅干898円。
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しかし南高梅つぶれ梅は748円。
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これが飛ぶように売れる。

「やまぶきたまご」は、
黄身に針を刺しても破れない。
強くて濃厚でおいしい卵。
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テレビでも紹介された「サンマみりん干し」。
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みりん干しは通常、生サンマとして出荷された残りでつくられる。
しかしNISHIYAMAでは、脂の乗った一番グレードの高いサンマで、
みりん干しをつくる。
だからとびきりうまくて、安い。

「新物時鮭」
これも開発商品。
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北海道近海で水揚げされた時鮭。
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商品が「よいものをどんどん安く」だから、
プレゼンテーションの力が生きてくる。
売り方や見せ方だけが特徴的でも、
商品がそこそこでは、顧客にすぐに見破られてしまう。
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西山進社長も古山専務も口をそろえて強調する。
「サムシング・ベターは商品そのもの、そして人です」

刺身売り場。
「旬」「鮮度」「地域一番」
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「生紅サケとほたて貝柱」の刺身。
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「いいもん見つけてきました」のPOPが躍る。
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エンドでは、スパゲッティの開発商品。
p1
フィリッツスパゲティは、
イタリア産のデュラム・セモリナ100%使用で、
500グラム178円。
p2
「安くてうまい」はまさに本当。
自社発見商品。

調味料にも開発商品は多い。
「なつみかんとだいだいのポン酢醤油」
300グラム398円。
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「石橋ばあちゃんの手造り柚子こしょう」
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これもバスケットに陳列するだけで、
確実の固定客がつく逸品。

ゴンドラエンドの開発商品群。
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カレールー、そうめん、ちゃんこの素。

ワインも自社開発商品。
白ワインはシャルドネ、
赤ワインはカベルネソーヴィニオン&メルロー。
2アイテムだけ。
wine
フランスから持ってきたワインを詰めかえて、
「TANBAWINE」と命名。
丹波篠山のワインというわけ。
これなどトレーダージョーズのチャールズ・ショーのよう。

今日の最後は精肉売り場。
「不況には低価格タンパク源が売れる」とは林廣美先生の名言。
ご存知、日本最高の惣菜マーチャンダイジングの指導者。
NISHIYAMAのそのひき肉売り場。
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「トリプルミンチ100グラム100円」
これが飛ぶように売れる。
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自家製の「とろとろ煮豚」も特製の製法で、とびきりうまい。
100グラム198円。
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ナショナルブランドメーカーがコピー商品をつくるが、
NISHIYAMAの域には達しない。

日本のトレーダージョーズNISHIYAMA。
自分で開発し、自分でつくる。
巨大メーカーや従来の産地発想で、
見落とされていた商品の見落とされていた部分を、
プロフェッショナルが見つけ出し探し出して、
自社商品として開発する。

業界慣習や業界の常識の裏を行く。
だから「よいものをどんどん安く」になる。

それがNISHIYAMAのサムシング・ベター。(明日に続きます)  

<結城義晴>  

2009年12月03日(木曜日)

店頭では競争を、環境では協調を

昨日の日本全国晴れ模様から一転、
今日は全国的に雨模様。
昨日はポカポカ陽気、
今日は厚手のコートにマフラー。

12月の日本列島、変化に富んで面白い。

アラブ首長国連盟のアムル・ムーサ事務局長。  
カイロで記者会見。
「ドバイ・ショックは一過性のものだと思う」
そのうえで「迅速かつ適切に対処する。警戒は必要だが楽観している」と強調。

ニューヨーク株式市場のダウ工業株平均の終値は、
前日比126ドルの大幅高で、年初来高値を更新。

ドバイの信用不安に対する懸念が後退、投資意欲が高騰。

東京株式市場の日経平均株価も、
米国株上昇を受けて9600円台を回復。

内閣府の報告書「世界経済の潮流」。  
2010年の世界の実質成長率は2%台と成長を予測。
しかし、回復ペースは緩やか。

二つの要素での回復が期待されている。
第一は、中国向けの輸出。
第二は、各国の自動車購入支援策。 

主要国は軒並み、自動車購入支援の対策を導入している。
日本のエコカー減税だけではない。
それが世界で年間年間1000万台の需要を創出する。
これは年間生産台数5300万台の、何と2割にも及ぶ。

しかし、この予測、あくまで20世紀的だ。

昨日の稲盛和夫さんの「身の丈理論」を忘れてはいけない。
「資源を循環させて一定の豊かさを維持できる社会を目指す」  

日経新聞一面トップに、
「温暖化ガス2020年度の削減幅」の見出し。
同紙調査で主要製造業では、
国内排出量1990年比で13.9%に見込んでいることが判明。
鳩山政権が掲げる25%から大きく下回る。

同紙の「第13回環境経営度調査」では、
業種別にランキングがでているが、
製造業では一位パナソニック、
二位シャープ、三位・三菱電機、
四位・NEC、五位トヨタ自動車とつづく。

小売り・外食では、
一位イオン、二位・丸井、三位・高島屋。

そんな昨日、(財)有機質資源再生センターの第2回シンポジウム開催。
テーマは「有機質資源の利活用多様化がもたらすもの」
場所は東京丸の内にある日本工業倶楽部の大会議場。
1

スーパーマーケットをはじめとする小売業、
さらに卸売り業、メーカーから、
120社150名ほどが参集。
4
同財団法人の中川武史事務局長の司会で、
3時間半にわたって講演、パネルディスカッションが行われた。
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初めに主催者を代表し、平富郎理事長が挨拶。  
ご存知のとおり㈱エコス会長。
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「資源、環境、エネルギーは世界的なテーマ。
スーパーマーケットから出される生鮮ゴミ、有機質ゴミの利活用は、
集荷から再生の技術、手間まで経済性が難しい。
しかし、CO2削減に貢献するためにも、
勉強して取り組んでいかなければならない」

平さんはこのセンターの活動を通して、
社会貢献していこうと真摯に向きあっている。

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基調講演は、東京工業大学総合研究院教授の柏木孝夫さん。  
「日本の低炭素力―バイオマス、有機質資源の高度利活用に向けて」がテーマ。
今、地球規模で、
化石燃料から非化石エネルギーへのパラダイムシフトが求められている。
太陽、風力、バイオマスといった新エネルギーへの転換によって、
低炭素社会を実現した国、企業が次代の勝者となる。

リサイクル、リユース型の店舗、商品開発の必要性、
エネルギーと情報の一体化によるスマート・グリッド構想など、
多くのイノベーションが求められている。

これは、京セラ名誉会長稲盛さんの考え方と一致してくる。

20世紀的な競争から21世紀的な協調へ。  

日経新聞のコラム「人こと」。
すかいらーく社長の谷真さんが恨み節。  
「減税やエコポイント制度で、
車や家電の耐久消費財の買い替えが進み、
外食まで回らなくなった」

「今回はかつてない価格引き下げ圧力を感じる」
「生き残るにはさらなる低価格に移行するしかない」

一昨日のこのBlog原田泳幸さんの発言を思い起こしてほしい。  
日本マクドナルドの社長兼会長。
「デフレだからといって、
企業側が焦っている印象だ」  
「商品価値が変わっていないのに値下げをするのは、
逆に消費者の不信感をあおる」
「メニューや利便性など有形無形の価値を高め、
消費者の支持を集めた」

トップの高いビジョンや固い信念が、
実は、良い業績を築き上げていることがわかる。

20世紀的な競争から、
21世紀的な協調へ。

店頭では競争を、
環境では協調を。  

「厳しさに学ぶ」とはこういったことだ。

それが現代化、ポストモダンの精神である。

<結城義晴>  

2009年12月02日(水曜日)

東大・伊藤元重さんの「1ドル119円説」と京セラ・稲盛和夫さんの「身の丈理論」

日本全国晴れ模様。
冬なのに 春みたいに あたたかい日。

「冬なのに 春みたいに あたたかい日には」  
(詩・鈴木順子)  

冬なのに 春みたいに あたたかい日には
動物園に行ってみて
ゾウの前など すわりこんで
パンでもかじりたくなるのです

冬なのに 春みたいに あたたかい日には
ゆくさき不明の汽車にのり
荷物のように がたごとと
はこばれてゆきたいと思うのです

   冬なのに 春みたいに あたたかい日には
   冬なのに 春みたいに あたたかい日には

冬なのに 春みたいに あたたかい日には
世界の平和のために
戦争をなくすために 生きてゆこうと
心の底から思うのです

冬なのに 春みたいに あたたかい日には
ネコと見つめあって
愛をたしかめあうことだって
できるのです

   冬なのに 春みたいに あたたかい日には
   冬なのに 春みたいに あたたかい日には

こんな日には必ず、
大学時代の仲間・鈴木順子さんの詩を思い出す。

そしてこんな日には必ず、
いいことがある。

そう思っていたら、
はがきが届けられた。

私の本へのお礼のはがき。
『お客様のために いちばん大切なこと』(中経出版刊)。
杉浦太西洋さん、ありがとうございます。
hagaki

さて、三越の早期退職者22%。  
新聞各紙で取り上げられたが、
正社員6700人のうちの22%の1500人が応募。
対象年齢は40歳が35歳までに引き下げられた。
退職金は数百万円上積みされたが、
それでも不況期で失業率5.3%の現在、
この退職者数には、ちょっと驚かされる。

会社へのロイヤルティが薄れてはいるのだろうが、
会社の命運よりも自分の人生を重視する人が増えている。

会社にとっては不幸なことだが、
悪い傾向ではないと思う。

その百貨店のうちの5社が、毎月1日に、
百貨店協会に先立って、業績数値を発表する。
2009年11月の百貨店既存店前年同月比実績。  

三越は、マイナス11.1%、
伊勢丹は、マイナス11.8%。

高島屋はマイナス10.5%、
大丸がマイナス6.4%、
松坂屋がマイナス5.0%。

依然として、絶不調。

三越伊勢丹ホールディングス社長の石塚邦雄さんは、
自戒する。  

日経MJの「消費見所カン所」というカコミ。
「ただ価格を下げるのではなく、
価値があって価格が安いものを、
そろえなければならない」

「約1兆4000億円の売り上げ規模の大きさを武器」にして、
「調達コストを抑制するなどの企業努力で、
価格引き下げを目指す」らしい。

しかし、私は、この考え方には疑問。

百貨店は、小売業におけるノンコモディティの代表選手。
ここは「スケールの経済」論理が成り立たない分野。
「価値があって安いもの」を、スケールで調達できるのは、
コモディティ・グッズの分野である。

それはもうユニクロが成し遂げている。

伊勢丹に、顧客はそれを望んではいない。

三越伊勢丹にも、
「厳しさに学べ」の12月となりそうだ。

まだまだ、「厳しさに学んではいない」
だからこんな発言が出てくる。

もしかしたら、石塚さんは、
もっと奥深いことを言おうとしていて、
それに理解が及ばないインタビュアーが、
自分の考えを書いてしまったのかもしれない。

しかし、「厳しさに学ぶ」ことができるかどうかは、
店と売場に出てくる。

三越と伊勢丹には、年末に訪れて、
それを確かめよう。

同じ日経MJのコラム「ニュースな見方」
東京大学大学院教授の伊藤元重さん。  
いいことを書いている。
「1995年に1ドル80円を切る超円高を経験してから、
現在までに日本の物価はほとんど変化していないが、
米国は約40%上昇している」

「この物価の差を考慮に入れて、
1ドル85円という円ドルレートを計算すれば、
1ドル119円になる」  

つまり1995年の1ドル80円に対して、
現在は額面は85円だが、
1ドル119円レベルだと、いうわけ。

日経新聞では、
京セラ名誉会長の稲盛和夫さんが語っている。  
「為政者が危機を乗り切るために、
ぶれない決意を世界に発信すれば、
国民も安心する」

「一方で、破綻状態の税制を長期的に立て直す」

これは現在の日本のことを言っているが、
企業経営者やリーダーにも、
全く同じ姿勢で臨むことが示唆されている。

行政刷新会議では、
「身の丈に合った歳出に抑えるしかない」  

そして、最後に言う。
「江戸時代は経済的には停滞したが平和で、
ヨーロッパ人が当時、
貧しいけれど礼儀正しく清潔な日本人に出会って驚いている」

「江戸時代に戻れとは言わないが、
資源を循環させて一定の豊かさを維持できる社会を、
目指せないだろうか」  

私も、この「身の丈理論」には大賛成。

日本の商業は、その時に、
大いに活躍しなければならない。

身の丈を自覚し、身の丈の良さを知るには、
「試練を潜り抜けねばならない」
「試練の果てに、己を知る」  

だからこの12月は、絶好の学びのとき。
「厳しさに学べ」  

冬なのに春みたいにあたたかい日には、
そんなことを考える。

<結城義晴>  

2009年12月01日(火曜日)

12月の商人舎標語「厳しさに学べ」と倉本長治「不況は商人を鍛える」

今日から2009年最後の月。
12月、師走。

私も走り続けます。
大晦日の12月31日まで。

今月の商人舎標語。
「厳しさに学べ」  

この12月商戦は、厳しい。
アメリカのウォルマート副社長ジョン・フレミングの言葉。
「今12月商戦は厳しくて、本格化が遅い」  
それは日本も変わらない。

厳しい消費。
厳しい経済。
厳しい商売。
厳しい経営。

誰でも分かっている。

しかし、だからこそ、
その「厳しさ」に「学びたい」

その意味で、2009年12月には、
絶好の学びの機会が溢れている。

なぜ、厳しいのか。
世界の経済が回らないから。
なぜ、厳しいのか。
顧客の生活が苦しいから。
なぜ、厳しいのか。
自己変革ができないから。

「不況は商人を鍛える」  
昭和40年の「ミクロもマクロも不況」といわれた時、
商業界創始者の故倉本長治先生は言った。

その後、昭和47年、
新興勢力のダイエーが、
百貨店の王者・三越を追い抜いて、
小売業ナンバー1となった。

不況に学んだ者が、
まさに「自己革新」を遂げ、
成長を果たす。  

大きな成長でもいいし、
小さな成長でもいい。
必死になって、厳しさに学んで、
そして、年が明ける。

私はそのすがすがしさを、一緒に味わいたい。
すべての知識商人の12月の課題にしてもらいたい。

さて今年の12月商戦の特徴。  
第1週、第2週は、少ないとはいえボーナスが支給されるとき。
5日6日の土日、12日13日の土日。
この辺りまで、これも少なくなったとはいえ、
お歳暮商戦・ギフト商戦最盛期。

中だるみして23日の水曜日が天皇誕生日。
今年は、土日曜につながらない。
しかし23日の天皇誕生日、
次の24日木曜日はクリスマスイブ、
次の25日金曜日はクリスマス。

妙な組み合わせだが、
この3日間は、
バースデーがらみ。

そして25日のクリスマスの夜から長期の「おやすみ」。

私は、23日からもう、
長期休暇ムード一色になると思う。  

それをどうとらえるか。

『食品商業』11月号は創刊以来、年末商戦を大特集する。
今回は、「巣ごもりニーズ獲得のシナリオ」と題して展開。

山本恭広編集長自ら、
「“より安く”⇒値頃、
“より少なく”⇒適量 に加え、
“よりおいしく”」と訴えた。

この「巣ごもり」とは。

12月26日土曜日から1月3日日曜日までの9日間、
官公庁から民間企業まで冬の長期休暇に入る。

多くの消費者が、家庭に巣ごもりする。
それを捉えようとのマーケティング提案。

それもある。
おおいに。

だから「巣ごもり」対策は、
周到に打たれねばならない。

しかし、消費はさまざま。

高速道路を利用して、短いドライブに出る人もいるだろう。
依然として、お得な海外旅行に出掛ける人もいるだろう。
家庭で映画やテレビ、スポーツ観戦を楽しむ人もいるだろう。
各々のイベントに参加する人もいるだろう。

ヤオコー会長の川野幸夫さんのいうライフスタイルの変化。

かつて高度成長のころは、
「十人一色」の生活だった。  
その後、バブルを経験して、
「十人十色」の志向となった。  
さらに21世紀に入って、
「一人十色」のライフスタイルとなった。  

この「一人十色」が、
「自由に使える時間」が増えた今回、
不況とはいえ、大展開される。
いや、不況だから、知恵を絞って、
他人と違う行動をしたい。
差異性を楽しみたい。

違いのある生活に、
カネはかからない。
時間はかかるけれど。  

これが年末年始の日本人の生活の仕方だと思う。
私自身が、そうしたいと思っている。

さてイトーヨーカ堂は、今日から3日間、
「円高還元セール」を展開する。  

豚肉、果実をはじめ輸入食料品20品目を、
20%から50%、通常価格から値引き販売する。
いつもながら素早い対策。
円高になったからとて、
それがすぐに仕入れ原価に反映されることはないけれど、
顧客は納得して買ってくれる。

その顧客への説得力、顧客の納得性を、
イトーヨーカ堂はよく知っている。

一方、日本マクドナルドの原田泳幸さん。  
2009年も6年連続全店売上高増収企業の社長兼会長。
日経新聞のコラムで発言。
「デフレだからといって、
企業側が焦っている印象だ」  

「商品価値が変わっていないのに値下げをするのは、
逆に消費者の不信感をあおる」

好調企業トップの時代の見方。
「メニューや利便性など有形無形の価値を高め、
消費者の支持を集めた」

有形財を商品という。
無形財をサービスという。

その両方の価値を高めたことが、
マクドナルドの不況対策だった。

これは率直に学びたい。

昨日の、アイダスグループ代表の鈴木國朗先生の言葉。
鈴木さんは、特に商品と販促戦略において、
スーパーマーケット経営指導の第一人者。

「経営者に『これだ』という戦略がない。
みな、粗利を上げろとか、ロスを減らせとか、
同じような基本ばかり言っている。
自分の会社はこれだという戦略が必要だ」

マクドナルドの原田さんの発言は、
戦略をもった経営者の、それだ。

昨日も書いた。

激動の12月。
現場にデンと居続けよう。
浮かれることなく、
現場に根を下ろした仕事をしよう。

「厳しさに学べ」  
この姿勢が、私たちに、
充実した31日間をもたらしてくれるに違いない。

最後に「厳しさ」に立ち向かう時の心構え。

「元気を出そう」  
[結城義晴著『メッセージ』(商業界刊)より]

元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気をふりまこうよ。
それがあなたの役目です。

冷夏・残暑で売れなかった。
それはお客さんの元気がなかったからか。
暖冬でまたまた売れなかった。
お客さんたちが買うことに疲れたからか。

いいえ、そうではありません。
お客さんには欲しいものが見出せなかった。
買いたい気分が生まれなかった。
商品やサービスにがっかりした。

あなたの元気は商品に乗り移る。
あなたの元気は店を活気づかせる。
あなたの元気はお客さんを励ます。
仲間を、取引先を勇気づける。

   元気とは心の躍動です。
   元気とは強いコミュニケーションです。

天気は人間の力ではどうにもならない。
景気も組織の力で動かせない。
しかし元気だけはあなたの力で生み出せる。
そう、元気は自分で何とかなる。

だから、元気を出そうよ。
それが今、あなたの仕事です。
元気をふりまこうよ。
それがあなたの役目です。 

<結城義晴>  

2009年11月30日(月曜日)

「口は一つで耳は二つ」⇒少しだけしゃべり、たくさん聞くためだ。

Everybody Good Monday!  

2009年11月30日、最後の日です。
明日から、今年最後の月・師走。

そんな12月に、
大変なことになってきました。
世界の金融経済。

ドバイのバブルがはじけかけて、
それが世界株安連鎖につながった。

1929年10月24日、
「ブラックマンデー」に始まった世界恐慌も、
ニューヨーク証券取引所の株式暴落が端緒となった。  

アメリカ株式市場のパニックが、
次々と他国へと波及し、
結果として世界的規模に広がった。

このときのアメリカ株式市場は、
1924年中頃からの「投機を中心とした資金」の流入によって、
実は、長期上昇トレンドに入っていた。

投機バブルが、世界恐慌の原因であった。  

それからちょうど80年経過した現時点の世界連鎖株安は、
波及スピードが想像もつかないほどの瞬時性をもっている。

だから油断がならない。

投機や株式の恐慌的低落は、
経済不安を促し、
消費不安へと飛び火する。  

人間はいったい、歴史から学習しているのだろうか。
成長を遂げているのだろうか。

こんな時に、私たちがやらねばならないこと。
それは自分の城を守ることだ。  

大統領や首相は自分の国を守る。
社長・会長は自分の会社を守る。
店長は自分の店を守るし、
一人ひとりは自分の仕事や自分の家を守る。

なにかを守る時に必要なのは、
とにかくそこに存在することだ。

デンと居続けることである。

この12月、私たちは、
現場に居続けねばならないと思う。
今週も、来週も、その次も、
私たちは顧客とともに、仲間とともに、
自分の現場に居続ける。

現場には、世界恐慌を引き起こした投機的な要素がない。
現場にあるのは確かなものだけだ。

それを体で感じ取り、自ら確かな仕事を果たしていく。
それが今週の、そして今年の12月の私たちの姿勢である。

今日からの1カ月は、
とても大切な日々である。
これまで以上に、自分の現場から、
学びとることができる日々。

その12月の心構え。
故上野光平先生の『自己啓発のすすめ』  
そのあとがきは、以下のようにまとめられている。

「学ぼうと思えば、誰からでも学べる」  
それがこの12月には、自分の現場にこそある。
「ごく普通の人が、それと知らずに他人に教えてくれる」

さらに、上野先生は続ける。
「我々の耳は二つで、口は一つだ。
つまり少なくしゃべり、たくさん聞くためだ」  

12月こそ、たくさん聞く1カ月だ。

「不正確な知識は、無知より始末が悪い」  
つまり「愚かな人ほど教えたがり、賢い人ほど学びたがる」

「教育とは他人が考えたことを教えるのではなく、
どう考えたらよいかの方法を教えること」

従って、
「本当の勉強とは、
学んだものをすべて忘れてしまった後でも、
なお自分に残っているものをもつこと」である。  

激動の12月。

浮かれることなく、
現場に根を下ろした仕事をしたい。

それが、私たちに本当の「学び」を教えてくれる。

Everybody Good Monday!  

<結城義晴>  

2009年11月29日(日曜日)

ジジの試食[日曜版]

ボクは、
うとうと、
していました。
1
最近の定位置。
椅子のうえ。

ふと気がつくと、
なにか、届いたようです。
2
いったい、
なんでしょう。
3

届けられたのは、
ボクの食事。

「銀のスプーン」といいます。
ユウキヨシハルのおとうさんへ。
届けもの。
g
左の大きいのが、
ビスケット。
右上がゼリー、
右下が缶詰。

さて、どんな味なのか。
a
ビスケットのフクロを、
開けてもらいました。

ボクは、生まれたときから、
ビスケットしか食べません。
それも「シーバ」というブランドだけ。

ときどき、おとうさんがワインを飲むとき、
チーズをひときれ、もらってべたりしますが。

こんかいは、
おとうさんのすすめもあって、
新しい味を、
試食することにしました。

ボクは、いちおう、
新しいものには、
キョーミがあります。
b
ビニールのフクロを開けてもらったら、
新しいにおいが、してきました。

ちょっと、かんがえます。
1

試食しなければならないことは、
よくわかっているんですが。
2
すこし、まよいます。

ニンゲンもネコも、
食べることには、
「保守的」です。

「コンサバティブ」というそうです。
3

でも、おもいきって、
食器に、鼻づらをつっこむ。
4

「んー」
5

もいちど、鼻づらをつっこんで…。
6

「バリバリバリ」
7

もいちど。
8
「バリバリ」

「むむっ」
9

「バリ…バリ…」
10

「……」
11

「ああ、コンサバティブ!」
12

「さて、さて、どうしたもんだ」
14

「でも、ありがとうございました」
13

「ごちそうさまでした」
15

かくて、ジジの試食はおわりました。
スギヤマさん、ありがとう。

缶詰とゼリーは、
やはり「ノー」でした。

ビスケットは、
食べました。
シーバとの併用になるようです。

ジジは、保守的です。

生まれてこのかた、
ひとつのメニューしか食べたことがありません。
そのジジが新しい味を受け入れたことは、
かなり大きなチェンジです。

人間も、同じようなものかもしれませんが。

<『ジジの気分』(未刊)より>  

2009年11月28日(土曜日)

ドバイ・バブルからの世界連鎖株安と矢沢永吉の二つの重責

今週は、商人舎ホームページのお知らせWEEK。
[商人舎ホームページ探索紹介シリーズ第4回]の今日は
ホームページの一番上にある
「商人舎行動カレンダー」。
意外にこのカレンダーのアクセス数が多い。
このカレンダーをクリックすると、
結城義晴の講演・研究会、勉強会などの行動予定や、
各協会の公式行事が分かるようになっている。

立教大学大学院ビジネスデザイン科の講義やゼミ、合宿の予定も、
できるだけ入れるようにしている。

その行動予定や行事の日付をクリックすると
テーマ、時間、場所などの詳細がわかる。
できるだけ、丁寧に記載するようにしているので、
各協会の広報担当の方は、
公式行事案内を、ぜひ、商人舎までお送りいただきたい。

もう一つは、この毎日更新宣言を、
毎日ご覧になれない方、
まとめて見たい方にお勧めなのが、
「1週間分をまとめて見る・読む」の青いボタン。
記事の最初と最後の2箇所にある。
まとめてみると、結城義晴が、
今週、何を考え、どう行動したかが、
また違った視点で見えてくる。
ぜひ、お試しを。

さて、ドバイの信用不安を契機に、
世界に、株安の連鎖が起こっている。  

主要株式市場が軒並み下落。

27日の日経平均も、輸出株の急落を受けて
301円安の9081円52銭。
約4カ月ぶりの安値水準。

円高はさらに進み、
早朝には一時、1ドル84円台に急騰。
藤井裕久財務相が円売り介入をけん制したため、
86円台に戻したが、円高基調は強い。

われわれ現代人は、
何度バブルを経験したら、
済むのだろう。  

自分で経験して、
痛い目に逢わねば、分からないし、
経験したことでも、
他人のこと、他国のこととなると、
ぎりぎりまで感知しない。

ドバイも、明らかに、バブルに踊っていた。
それが、一昼夜のうちに地球を回り、
世界株安連鎖。

この世界レベルの無自覚感が、
私は、恐い。  

さて、矢沢永吉。
それこそ「世界のYAZAWA」  
日経新聞の連載第4回。

「両肩に食い込む二つの重責」  
シンガー矢沢と総務部長・矢沢永吉。
後者は、「チームYAZAWA」を統率する職責。

チームの全員が彼を呼ぶ。
「ボス」と。

バンドメンバー、舞台演出家、舞台監督。
それに事務所スタッフ。

「しばいて、しばいて、上に上がる」
ジャパニーズスタイル。

総務部長スタイルは全員に「染み渡っている」という。

矢沢がつくったのは過去300曲。
「作曲家の仕事は、微妙な振幅具合を創意工夫し、
決定、記録すること」
矢沢には、この仕事はなんら苦にならない。
しかし、作詞は、矢沢にとっても楽ではない。
矢沢は、自ら言う。
「詞がバリバリ生まれるような才能がないんだね」
謙虚というか、自分を知っているというか、
とにかく、驚かされる発言。
「メロディーはバカバカできるんですよ」
だから作詞家との交渉事が、
総務部長を兼ねる矢沢の仕事になる。

「こっちに強いものをつくるんだという意識があるから、
妥協しない気持ちで行く」

「俺、我慢しない永ちゃんだからね」

ライブ制作、自主興行、外国人招へい、ライセンス取得、
そしてキャラクターグッズ管理など、
矢沢永吉が先駆けとなって、
現在の音楽界の常識となったことは多い。

日本レコード協会・石坂敬一会長がコメントする。
「矢沢氏は経営者であり、
哲学者、一種のカリスマ的リーダーの顔をもつ。
もちろんまぎれもないロックンローラーだ」

その矢沢の言葉。
「こんな時代、誰が想像しました?  
インターネットの時代ですよ。
リスナーが自宅でダウンロードできる。
盤が売れない時代ですよ。
流通を持って、
おれたちはメーカーでございますって時代は、
崩壊しつつあるんです」  

矢沢永吉、還暦にして、
ますます燃える。

二つの肩書は、私も同じ立場。
矢沢のエネルギーは、私にも伝染する。
心から感謝。

<結城義晴>  

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