結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2005年10月03日(月曜日)

凡事徹底・有事活躍

私たち㈱商業界には全国に商業界同友会という組織がある。毎月・毎週のように集まって、互いに研鑚し、勉強する商業人の集まりである。現在、北海道から沖縄まで、登録で約150、活発な活動中の同友会は90。すべての同友会にリーダーとしての会長が存在し、例会と呼ばれる月例の勉強会が開催されている。㈱商業界はこの全国の同友会のサポートをする機能という側面を有している。
彼ら同友の合言葉は「友情」。一生の友となる仲間の存在が、いわゆる「商業界精神」を高めつづけることに大きな勇気をもたらす。
 そんな各地の同友会は、地域ごとに連合同友会を形成している。そして地域ごとの連合同友会が主体となって、毎秋、7カ所で「商業界地方ゼミナール」が開催される。毎年2月に行われてきた「商業界ゼミナール」の地方版という趣旨の大きなセミナーである<商業界ゼミナールは地方ゼミナールに対して「本ゼミ」と呼ばれる。かつては開催地の名をとって「箱根ゼミ」とも呼ばれた>。
 今年は既に、9月2日に福井で北陸ゼミナール(720人参加)、9月7・8日山形・東根で東北ゼミナール(360人参加)、そして13・14日に佐賀・嬉野で九州ゼミナール(680名参加)が開催された。このあと、10月に入って、6日に山梨で関東山静ゼミナール、12日に京都で近畿ゼミナール、13・14日に三重・鈴鹿で中部ゼミナール、そして大トリは11月15・16日鳥取で中四国ゼミナールとして展開される。
 私は㈱商業界の社長として、これら地方ゼミナールの応援団長のような役回りを演じる。倉本初夫主幹とともに7カ所すべてに参加し、基調や訣別の講演、開講式や閉講式のスピーチ、懇親会での挨拶などをする。同時に若い同友を励まし、悩みの相談に乗る。
 商業界の同友会活動は、明らかにひとつの運動体である。その運動体が選んでいく方向を模索するとき、ともに悩みながら指針を示すのが、私たちの仕事である。

第40回九州ゼミナールの成果

 さて今年の地方ゼミナールの中で、第40回を誇る九州佐賀ゼミナールは、昨年9月に発足したばかりの佐賀同友会(山口健次郎会長・㈱サロンモード社長)が主管した。なぜか、九州の地で、これまで佐賀には同友会が誕生しなかったのだが、この生まれたてのグループが、40年の空白を埋めるような快挙を成し遂げた。それは参加したメンバー全員の心が一体となって終了した閉講式に象徴された。
 商業界のゼミナールは、どれをとっても、通常の経営研究会や経営セミナーとは大きく異なっている。
 それはある種の精神的な昇華現象が、参加者の中に湧き上がり、学んだことを「実行しよう」という強い意思の表明とともに、次につながっていく点である。
 どんな地方ゼミナールにも、そして本ゼミナールにも、この昇華現象が見られるのだが、今回の九州ゼミナールは、特に著しい波動のようなものを発した。
 その理由はゼミナールの企画・運営が素晴らしかったとともに、「凡事を徹底する」という考え方が、すべての講座に貫かれ、それが「有事に活きる」という結論に至ったからである。九州ゼミナールの講座と講師を順番にご紹介しよう。
①佐賀県知事・古川康「新地方の時代の改革」
②商業界主幹・倉本初夫「21世紀商業への出発」
③アシックス会長・鬼塚喜八郎「転んだら起きればいい」
④商業界社長・結城義晴、イズミ執行役員・脇坂徳男、イオン九州SC事業部長・宅島祥夫「激変する流通業界とイズミ、イオンの九州戦略」
⑤イエローハット相談役・鍵山秀三郎「心あるところに宝あり」
⑥熊本県公立菊池養生園名誉園長・竹熊宣孝「もう!そろそろ命一番」
⑦CASジャパンCEO・小林敬「集客の虎 勝ち残りの秘訣」
⑧南蔵院第二十三世住職・林覚乗「心ゆたかに生きる」
⑨ニチイ創業者夫人・西端春枝「縁により縁に生きる」
⑩熊本県立第一高校校長・大畑誠也「21世紀の人づくり」
⑪長崎県立国見高校校長・小嶺忠敏「指導力」
⑫日本旅行西日本営業部課長・平田進也「なにわのカリスマ添乗員、サービスの極意」
⑬志ネットワーク代表・上甲晃「人間松下幸之助翁に学ぶ」
⑭結城義晴「第3の場所になろう」

現場を重視しつつ、凡事を徹底する
 14講座15人の講師全員が強調したことがある。それは、「現場の重要さ」と「当たり前のことの徹底」である。
 政治家である知事、教育者、宗教家、経営者・経営幹部、指導家、そしてジャーナリスト。全員が全員、「現場重視」「当たり前の、凡事の徹底」を訴え、そのための忍耐力と使命感の必要性を唱えたのである。
 とりわけイエローハット創業者で、「日本を美しくする会」の主催者として名高い鍵山さんは、多くの人々を魅了した<同社は現在、497店、870億円のカー用品を扱うチェーンストア。「日本を美しくする会」は平成5年11月、鍵山さんの掃除哲学に学ぶ有志の集まりとして結成され、平成17年3月8日現在、日本国内98カ所、海外4カ所で掃除に学ぶ会が開催されている。
「大きな努力で小さな成果に耐えることが必要です。小さな努力で大きな成果を上げようとする人は、他人の努力を奪っているのです。最後には何にもならないことに努力する。だから人間として成長する。努力は無駄にはならない。必ず報われるようにできている。ただし、自分が望んだようには報われないけれど」
 鍵山さんはさらに続ける。
「幸せは自由の中に存在するのではない。甘んじて受ける義務の中にこそ幸せは存在する」
 鍵山さんは、信条の「凡事徹底」を切々と唱えて壇を降りた。

現代の商業にキーンと貫かれるもの
 熊本県内のいくつもの荒れた高校を蘇えらせた大畑校長は、「悪戦苦闘能力」をいかに生み出したかを、教育現場からの成果として報告した。
 まず「大きな声で挨拶することを徹底させる」。
 次に「朝飯を食べることを徹底させる」(⇒どうしても食べてこない生徒には、何と学校で朝食を用意した)。
「家の手伝いをすることを徹底させる」。
「思いをもたせる。それを想いへ、そして念いへと高めさせる」。
 そして「1日1回必ず図書館に顔を出させ、本を読ませる」。
 この5つの改革を一つずつ、繰り返し繰り返し生徒に体験させる中から、次々に高校が甦っていった。
 大畑校長は同じく最後に「凡事徹底」と大きく書かれた紙を高々と掲げて、ユーモアと感動に満ちた講義を終了させた。
 訣別講演で私は、イトーヨーカ堂グループの「基本の徹底と変化への対応」を引きながら、「小さく始め、ゆっくり進め、常に改善せよ」と訴えた。「小さく、狭く、濃く、深く」のディープ&ナロウを提唱した。「千客万来の客数主義」を主張した。それらを実行することの大切さを強調した。
 最後に私は、新潟県中越地震と阪神大震災の時の文章を読んだ―――。

小さな店も、大きな企業も、
皆が、この時こそと、日ごろの仕事の腕を発揮した。
いつもよりも素早く、力強く、黙々と。

店は客のために、
是が非にも開けておかねばならない。
有事の時にこそ、頭を柔らかくし、
冷静に活躍せねばならない。
人びとが立ちあがる礎にならねばならない。
商業人はどんな時にも、
明日を見つめていなければならない―――

私は「凡事徹底」と「有事活躍」を訴えかけたかった。それが、この第40回九州ゼミナールと現在の商業をキーンと貫く主題だったからである。

<『販売革新』10月号 Publisher’s Voiceより>
株式会社商業界社長 結城義晴


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2005年10月
« 9月 11月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.