結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年08月20日(火曜日)

大腸内視鏡検査と「7月から風向きが変わった」

昨日は会社に出ながら、
1日3食、検査食を食べた。
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ささやかな夕食を食べ終わって、
午後9時に強い下剤を飲んだ。

夜中に何度も起きて排便した。

今朝は7時前に目が覚めて、
水を1杯飲んだ。

そして9時から、
経口腸管洗浄剤を飲み始めた。
モビプレップ。
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9時から、
水を溶かしたモビプレップ180mlを2杯と、
水を180ml。

9時半に同じくモビプレップ2杯と水1杯。

10時半に同じように2杯と1杯。
汚い話で恐縮だが、
排便は尿のようになる。

今回はまだ足りないと思ったので、
11時にモビプレップ2杯と水1杯。

全部でモビプレップ1440ml、水720ml。
2160mlを飲んだ。

そして消化器系の内臓を完全にきれいにして、
横浜労災病院へ行った。
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12時45分から、
大腸内視鏡検査。

2~3年に1度、
恒例にしている。

点滴で睡眠誘発剤を投与してもらって、
眠り込んだら40分ほどで、
検査は終わった。

それから1時間ソファで眠り込んだ。

起きて、着替えてから、
3時過ぎに医師の報告と診察。

大腸の写真を見せてもらって、
完璧に良好な状態であることを知った。

ありがたい。

2021年12月に、
慈恵大学病院に入院して、
大腸のポリープを摘出してもらった。

良性の細胞で安心した。

それから2年8カ月。
今度は自宅の近くの総合病院で検査した。

とてもいい医師で、
今後はこちらで検査することにした。

お陰様で良好です。

けれど体力はひどく消耗した。
2日間、エネルギーを補給していない。

それでも4時ごろ商人舎オフィスに出て、
少しだけ仕事した。

昨日は山本恭広編集長が、
胃カメラを飲んで検査した。

まだ暑いあつい夏だが、
商人舎は検査月間となった。

糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな
〈正岡子規〉

「糸瓜」は「へちま」。
「痰」は「たん」。

子規は労咳(結核)を患っていた。
糸瓜は漢方薬として痰や咳に効く。
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糸瓜は咲いたのに、
痰が詰まって仏さまとなった人。
子規はそれを一句にした。

さて商人舎流通スーパーニュース。

上段の「月次」のボタンを押すと、
ずらりと月次営業実績のニュースが出る。

アークスnews|
7月既存店1.8%減/客数2.5%減・客単価0.8%増

U.S.M.Hnews|
7月既存店1.8%増/カスミは3.5%増、マルエツ1.0%増

PPIHnews|
7月既存店2.7%増/ディスカウント・GMS両事業とも好調

セブン&アイnews|
7月既存店セブン-イレブン0.6%減/傘下各社前年割れ

イオンnews|
7月既存店イオンリテール0.5%増/主要7社前年売上増

ベルクnews|
7月既存店2.9%増・全店売上げ7.3%増

大黒天物産news|
7月全店売上げ3.0%増/買上点数2.5%減

リテールパートナーズnews|
7月既存店1.9%増/17カ月連続伸びを維持

ヤオコーnews|
7月既存店3.4%増/5%未満の伸びは2023年3月以来

ヤオコーは絶好調で、
ずっと7%、8%増だったが、
その既存店が7月は3.4%増。

昨2023年3月以来の低い伸びだ。

ベルクも既存店は2.9%増、
全店では7.3%増だが。

セブン-イレブンが0.6%減、
アークスは1.8%減。

7月から風向きが変わった。

子規はこんな句もつくった。
をとといのへちまの水も取らざりき

一昨日の糸瓜の水も取れなかったなぁ。

そんなことのないように、
8月の残り10日間、
気を引き締めて商売してほしい。

〈結城義晴〉

2024年08月19日(月曜日)

松山英樹10勝目の「Winning Shot」とセブン&アイ「買収提案」

Everyone, Good Monday!
[2024vol㉞]

2024年第34週。
8月第4週。

お盆商戦と夏季休暇が終わり、
今年の夏の商戦の後始末の時期に入った。

今週の木曜日は、
二十四節気の「処暑」(しょしょ)である。
「暑さが峠を越えて後退し始めるころ」

連休明けはニュースが多い。

朝一番の朗報。
午前4時くらいからテレビ観戦。
米国テネシー州メンフィスから。

PGAのプレーオフ第1戦、
フェデックス・セントジュード選手権。
最終ラウンド。

松山英樹が3日目まで17アンダー。
5打差のリードでトップを走っていた。

14番ホールで池に入れ、
15番ホールでダブルボギーをたたいて、
2位に落ちた。

しかし17番、18番でバーディーを連取。
2位に2打差をつけて見事な優勝。
PGA10勝目を挙げた。
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その18番最終ホールのウィンニングショット。
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私はこの7月から、
この写真の松山のトップのとり方を、
真剣に真似ている。

松山はそのあとの振り抜きが素晴らしい。IMG_6074 (002)

ピンの下2メートルにオン。IMG_6069 (002)

このウィニングパットを迷いもなく決めて優勝。
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パリ五輪で銅メダルを獲ってから、
松山は少しだけ饒舌になった。
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本当に嬉しそうだった。
優勝賞金は360万ドル(約5億3280万円)。
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年間ランキングは現在、3位。
次のプレーオフ第2戦はBMW選手権、
そして最終戦のツアー選手権。

残り2戦でランキングトップを狙う。
賞金よりも勝利に満足そうだった。

横浜商人舎オフィスに出社すると、
午後1時過ぎ。

日経新聞電子版にスクープ記事。
「セブン&アイに買収提案」

セブン&アイ・ホールディングスが、
買収提案を受けた。

買収を仕掛けたのではなくて、
仕掛けられた。

カナダのアリマンタシォン・クシュタール。
Alimentation Couche-Tard。
フランス語でAlimentationは「食品」、
Couche Tardは「夜ふかし」。

北米や北ヨーロッパでコンビニチェーンを展開。
バナーは「クシュタール」や「サークルK」。
店舗数は世界約30カ国で約1万7000店。
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カナダのトロント証券取引所に上場していて、
2024年4月期の売上高は692億ドル(約10兆円)。

時価総額は約800億カナダドル、
約8兆6000億円。

セブン&アイは2024年2月期年商11兆4718億円。
世界20の国・地域で約8万5000店のコンビニを展開。
2030年までに約30の国・地域に10万店まで拡大する方針。
時価総額は16日時点で約4兆6000億円。

株価が低迷しているから時価総額は意外に少ない。

だからアリマンタシォンの買収も可能となった。

ただしこのニュースに反応して、
セブンの株価は1721円から2161円に跳ね上がった。

セブン&アイは独立委員会を立ち上げた。
社外取締役で構成される。

評価額など提案内容の精査を始めた。
その答申を踏まえて受け入れるか否かを検討する。

当然ながら、
受け入れるはずはない。
と、私は思う。

提案には法的拘束力がない。
出資比率や株式の取得方法など、
詳細は不明。

完全買収するには、
少なくとも5兆円以上が必要となる。

独立委員会の結論を踏まえて、
セブン&アイの取締役会が判断する。

受け入れるはずはない。

取締役会が提案を拒否した場合、
アリマンタシォンは同意がなくとも、
株式公開買い付けに乗り出す可能性がある。

商人舎流通Supernews。
セブン&アイnews|
カナダのコンビニ大手からの買収提案受ける

日経のスクープに対して、
セブン&アイがコメントした。
「買収提案されたとの一部報道があったが、
セブン&アイからの発表ではない」

しかし「内密に、法的拘束力のない、
初期的な買収提案を受けていることは事実」

こんな内密な情報が、
日経新聞に漏れることのほうが、
問題だと私は思う。

セブンのニュースのあとには、
アラン・ドロンの訃報。

フランスを代表する俳優、88歳。
親族に囲まれて安らかに亡くなった。

鷲鼻のジャンポール・ベルモンドと、
人気を二分したというけれど、
アラン・ドロンは圧倒的に、
フランス第一のスターだった。
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ご冥福を祈りたい。

今日は高石ともやの死も明らかになった。
フォークシンガーの草分け、82歳。
受験生ブルースは売れた。
あんまり好きじゃなかったけど。
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合掌。

夕方4時には来客。
枝野彰彦さん(右)。
ウエルシアホールディングス㈱秘書広報部長。
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ウエルシアのことを1時間弱、
熱心に語ってくれた。

私は広報には二つの機能があると話した。
対外的な機能と対内的な機能。
後者は忘れられがちだ。

枝野さんはしっかりとそれを把握していた。
これからもよろしく。

連休が明けると、
怒涛のようにニュースが押し寄せる。

それもまた良し。

では、みなさん、今週も、
慌てず、急げ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年08月18日(日曜日)

シマウマ模様の「シマウシ」と夏目漱石の「集注点」

ちょっと暑さは緩くなった。

七十二候(しちじゅうにこう)は、
二十四節気をさらに5日ずつの3つに分けた期間。
これも古代中国で考案された。

今は寒蝉鳴(ひぐらしなく)。

記録的な暑さが続くけれど、
そういえばヒグラシが鳴いている。

朝日新聞「天声人語」が面白い。
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蚊や虻(あぶ)、蚋(ぶよ)の話。

「蚊帳のなかは暑苦しい」
物理学者の寺田寅彦がエッセーで不満を言った。

「しかし蚊に責められるのは
それ以上に嫌いだから仕方なしに
毎晩此(こ)のいやな蚊帳へもぐり込んで
我慢して居る」

私の子どものころは蚊帳があった。
ちょっと大きくなってからも、
田舎の親戚の家などに泊まると、
夏には蚊帳を吊ってくれた。

今はクーラーを利かせて窓を閉めて寝る。

コラムニストは想像する。
「屋外の動物はどうしているのだろう」

山形県の置賜(おきたま)総合支庁の実験。
「放牧している黒い和牛を
シマウマのような柄に塗ったところ、
尻尾や頭を振って虫を追い払うしぐさが
激減したそうだ」
〈置賜総合支庁提供〉
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愛知県などで先行例があった。
それを参考に半信半疑でやってみた。

そうしたら「本当に虫が来なくて」

コラム。
「シマウマの模様は敵の目をくらませるため」
私も聞いたことがある。

「だが虫刺され防止の効果があったとは」

面白い。

朝日新聞の今年2月8日の記事。

牛のストレスが減ることで繁殖力が向上する。
他の牛からのいじめもなかった。

置賜総合支庁農業振興課の担当者。
「牛に虫がたかる様子をかわいそうに感じ、
放牧をためらう生産者もいる」

「シマウマ模様の『シマウシ』にすることで、
ゆっくりと食事や休息ができ、
健康な牛に育つことが期待できる」

放牧は餌代が削減できる。
その放牧の拡大にいかされる。

一方、寺田寅彦。
「さしたることではないと
見過ごされがちな現象に疑問を抱き、
真理を探る」

寺田の師、夏目漱石の句。

落ちさまに虻を伏せたる椿哉(かな)

漱石は凄い瞬間を観察していた。

寺田はこの句をきっかけとして、
落下運動に関する論文をまとめた。

そして書いている。
「科学者は”のみ込みの悪い”人物でなければならない」

コラムニスト。
「虫とシマ模様。
実験のことを聞いたら、
さぞ喜んだに違いない」

このコラムを読んだ俳人の杉田菜さん。
寺田寅彦の『夏目漱石先生の追憶』から引用する。
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「俳句はレトリックの煎じ詰めたものである」

「扇のかなめのような集注点を指摘し描写して、
それから放散する連想の世界を
暗示するものである」

さらに漱石は寅彦に教授する。
「花が散って雪のようだといったような、
常套な描写を月並みという」

「秋風や白木の弓につる張らん
といったような句は佳い句である」

「いくらやっても俳句のできない性質の人があるし、
始めからうまい人もある」

漱石の言葉をきっかけに、
寺田寅彦は俳句に傾倒する。

扇のかなめのような集注点を指摘し描写し、
それから放散する連想の世界を暗示する。

椿の句はまさにそれだ。

シマウシの縞も、
扇のかなめのような集注点だろう。

商売や仕事の集注点を見つけ出し、
指摘し、発言して、
改善を先導するのが、
腕の立つ「知識商人」である。

〈結城義晴〉

2024年08月17日(土曜日)

夏の甲子園「早実対大社」のサヨナラ試合/ブレイキンと雑草

台風一過。
そしてフェーン現象。

暑さはつのる。
体に堪える。

2024年の盆が明け、
夏の大型連休も終わりに差し掛かる。

Paris2024が終わり、
日本中の注目は夏の甲子園大会へ。
第106回全国高校野球選手権大会。
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ナショナリズムから、
ローカリズムへ。

3回戦が終わって、
ベスト8が残った。

外は暑いので終日、家にいた。
その甲子園大会3回戦。

全部見たわけではないが第4戦。
早稲田実業高校(西東京)対大社高校(島根)戦。

凄いゲームで延長11回、
大社がサヨナラ勝ちを収めた。

2対3。

伝統校による名勝負。
甲子園球場には2万2000人の大観衆。
沸きに沸いた。

しかし大勢は県立高校の大社寄り。
NHKテレビのアナウンサーも、
完全に大社の応援に回った。

大社が1回裏に1点を先取。
5番の左翼手下条心之介の、
見事なライト前のタイムリーヒットだった。

早実は何度もチャンスをつかんだが、
決定打が出ない。

それでも6回表にヒットを連ねて同点にする。
さらに7回表、センター前のゴロのヒットを、
中堅手が後逸してボールは、
転々とバックスタンドまで転がった。
打者はダイヤモンドを一周して、
ホームイン。

早実が1点をリードして、
そのままゲームは終わるかと思われた。

しかし2対1で迎えた9回裏。
早実は守備の乱れで同点に追いつかれて、
なおも1死二、三塁。

一打サヨナラのピンチ。
スクイズバントでも終わる。

ここで早実の和泉実監督が奇手を放った。

左翼手を守備要員に替えたうえで、
投手の横に配置して、
スクイズバントに備えた。

外野手を1人減らす極端な変則シフトだ。

案の定、打者の打球は、
その投手の横にいた左翼手の正面を突いて、
ダブルプレー。

延長のタイブレークに持ち込まれた。

ここまで来ると、
早実が有利に見えた。

タイブレークのやり方は、
ノーアウトでランナー1塁・2塁から始まる。

10回・11回と早実は、
このチャンスをつぶした。

ここにも手に汗握るドラマがあった。
しかし11回表のタイブレークのときに、
監督は3番の遊撃手・高崎亘弘に強攻を命じた。

バントで1アウト2塁・3塁にして、
スクイズや外野フライで、
確実に1点を獲るのが定石。
それをやらなかった。

定石破りの変則作戦は、
二度は続かない。

失敗して、ダブルプレー。

大社も10回のタイブレークは、
早実の堅い守りでチャンスを逃した。

そして11回裏。
早実の守備の乱れで、
ノーアウト満塁となった。
打者はエースで4番の馬庭優太(3年)。

馬庭はサヨナラタイムリーヒットを打って、
ゲームは終わった。
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大社高校はこの夏の大会の第1回の、
地方大会から皆勤出場している。

夏の甲子園大会には32年ぶりの出場。

今大会1回戦では、
春の選抜大会準優勝の報徳学園を破った。
さらに107年ぶりに2つの勝利をおさめ、
そのうえで早実を破って3勝目を挙げた。

夏の全国選手権大会3勝は初の快挙だった。
それが93年ぶりの8強入りになった。

初物尽くし。

NHKのアナウンサーは、
自ら興奮状態となって、
完全に大社寄りの実況中継をした。

伝統校とはいえ、
大社高校は甲子園では無名だった。
雑草とは言わないけれど。

それがひまわりのような早実を破った。
多くの人々の共感を呼んだ。

昨年の夏の甲子園では、
神奈川の慶応高校が優勝した。

相手は連覇を目指した仙台育英高校。

慶応は大正時代の第2回大会以来、
107年ぶり2回目の優勝を果たした。

けれど判官びいきの甲子園では、
すべてを敵に回した。

高校野球では仙台育英のほうが、
エリート集団なのだけれど。

慶應、早稲田には、
敵が多い。

朝日新聞「折々のことば」
第3177回。

私にとってブレイキンは
自己表現であり、

アートとか写真とかに
近いもので…

〈金メダリストのAMI(湯浅亜実)〉
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「それが競技になり
勝負がすべてになって、
『オリンピックって大きいものに
潰されてしまうんじゃないか』
と不安にもなった」
(NHKテレビのニュース「おはよう日本」から)

わかる。

だから私は、AMIが好きだ。

ブレイキンは、
米国の貧困地区で生まれた。
集団間の勢力争いを暴力でなく、
ダンスで決したのが起源だ。

だから個性を研(と)ぎあうのが主眼。

そんな種目が、
現代オリンピックにあってもいいと思う。

しかしAMIの言う通りに、
ブレイキンは五輪に潰されてしまうのか。
次のロスサンゼルス大会では、
採用されないことになった。

新潟日報の巻頭コラム、
「日報抄」
「熱戦に沸いたパリ五輪とは次元が異なるが、
まだまだ終わらない夏場の戦いがある」

「帽子をかぶり、手袋をはめ、敵に向かう。
肩に背負うのはエンジン式刈り払い機。
手ごわい雑草との戦いに挑む」

コラムニストが自ら、
実家の雑草を刈る。
新潟らしい話題だ。

「雑草」を表す外国語の意訳。

ドイツ語は「植物にあらず」。
フランス語とスペイン語は「質の悪い草」。
イタリア語では「醜くて役に立たないもの」。
(ニーナ・エドワーズ『雑草の文化誌』)
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植物学者の牧野富太郎。
「雑草という名の草はない」

御意。

『雑草の文化誌』にある。
「生えてはいけない場所に生えたら雑草。
バラが小麦畑に繁茂したら雑草になり、
根こそぎ抜かなくてはならない」

コラムニスト。
「雑草かどうか決めるのは、
環境や人の主観であり、
草に罪などない」

ブレイキンは五輪種目として見れば、
いわば雑草のようなものである。

環境や人の主観で決められるし、
ブレイキンに罪などない。

社会全体で見れば、
雑草のような存在は不可欠である。

〈結城義晴〉

2024年08月16日(金曜日)

自民党総裁選候補乱立とパリ五輪ビーチバレーの“Imagine”

台風7号。

横浜は朝の段階では穏やかだったが、
昼に近づくにつれて雨風が強くなった。
そして大雨警報、暴風警報、波浪警報が出た。

私は1日中、家にこもっていた。

東海道新幹線は始発から、
東京‐名古屋間で終日運休を決めた。

イトーヨーカ堂と同様に、
早めの意思決定だった。

そのほうが乗客の混乱もない。

東京新聞の巻頭コラム「筆洗」

「終戦の日の翌日の1945年8月16日。
福井の敦賀駅では、
北陸線上下各8本の旅客列車が発着した」

「旅客列車の運休が1本もなかった」

「北陸線に限らず日本では
終戦を迎えても列車は走った。
敗戦という未曽有の事態にあっても、
自分の仕事に徹した鉄道員たちがいた」

日本の鉄道員の意志を感じる。

コラム。
「焦土でも定時運行に努めるのが日本人なら、
計画に皆が従い混乱を回避するのも
日本人らしい気がする」

ん~、玉虫色。

終戦直後の日本の鉄道員たちの矜持と、
79年を経過した鉄道マンたちの理性と割り切り。

日本人はずいぶん変わったのだと思う。

旧国鉄が編んだ『鉄道終戦処理史』
「全国民ひとしく虚脱状態のさ中にあつて
人々の心にほのかな希望の光をともしたのは
『鉄道は動いている』という事実であつた」

新幹線は別にして在来線など、
「鉄道は動いている」という事実は、
私たちに勇気を与えてくれる。

さて、その台風来襲のとき、
自民党の総裁選に、
立候補を表明した、
あるいは意向を固めたという報道が相次ぐ。

小林鷹之前経済安全保障相(旧二階派、49歳)、
林芳正官房長官(旧岸田派、63歳)、
加藤勝信元官房長官(旧茂木派、68歳)。

その元派閥会長の茂木敏充幹事長(68歳)。

河野太郎デジタル相(麻生派、61歳)。

上川陽子外相(旧岸田派、71歳)、
高市早苗経済安全保障相(無所属、63歳)、
野田聖子元自民党総務会長(無派閥、63歳)。

さらに斎藤健経済産業相(無派閥、65歳)まで、
どさくさに紛れて出馬の意向を表明した。

本命は石破茂元幹事長(67歳)と、
小泉進次郎元環境相(43歳)か。

11人も総裁選への出馬意向をもつ。

43歳の小泉、49歳の小林から、
71歳の上川、68歳の加藤まで。

派閥にはこういった乱立を防ぐ効果もあった。
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今年1月18日に岸田文雄総裁が突如、
自民党の派閥解消を言い出した。
そして自分の岸田派を解散した。

唯一と言っていいかもしれない、
自分の意思決定だった。

私は政治センスが感じられない、と書いた。
子どもがいいことを思いついたと考えて、
すぐに行動してしまうような印象だった。

政治的センスは、
あっちを押したらこっちが動く、
こっちを押さえたらあっちが変わる。
それだ。

事実、それによって、
自ら退陣しなければなくなった。

一方で、
小泉・石破・河野の「小石河連合」は、
いったいどうなったのか。
将来を見通して話し合いはしないのか。

茂木と加藤、林と上川、
旧派閥の同志の争いもある。

まるで競馬の出走枠のようになった。

総理総裁になったとして、
どう、党と国を運営していくのか。
旧派閥は機能してしまうのか。

解散していない麻生派が、
またキャスティングボードを握るのか。

総裁選は自民党規程によって、
9月20日から29日の間に投開票される。

それまでに絞り込みは行われるのだろう。
それにしてもどさくさ紛れに、
「記念出馬」のような候補もいる。

さて、パリ五輪のいい話。

ビーチバレー女子決勝。
エッフェル塔スタジアムで行われた。
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ブラジル対カナダ。

ブラジルのペアが2-1で競り勝って、
金メダルを獲得した。

この試合は白熱した。

ブラジルがリードし、
カナダが追い上げて11対8に縮めた。

このとき両チームはネットに近づいて、
互いに罵り合いを始めた。
審判が介入したけれど、
醜い状況となった。
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日本のテレビでも報道された。

このとき五輪ビーチバレーのDJ。
険悪になった両チームの選手たちが、
ようやく離れてスタートポジションに戻った。

その瞬間、ジョン・レノンの“Imagine”を流した。
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選手たちは思わず笑顔。
ジョンと選曲に拍手を送った。

その後、観客も加わって、
“Imagine”を歌い始めた。

会場の雰囲気は一変。
世界一を決めるにふさわしい舞台に戻った。

これこそ音楽がもつ力だ。

勝手なお世話だけれど、
自民党総裁選の候補者乱立に、
“Imagine”を流す者はいないのか。

〈結城義晴〉

2024年08月15日(木曜日)

終戦の日の「戦争は解決ではない」と台風来襲の「両利きの経営」

8月15日。
終戦の日。

私が子供のころから長らく、
終戦記念日と言われた。

それが今は記念すべきことでもないのか、
シンプルに「終戦の日」。

世界的に見ると、
大日本帝国敗戦の日である。

現在の日本政府は、
「戦没者を追悼し平和を祈念する日」として、
全国戦没者追悼式を開催する。
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私の父も叔父たちも、
関東軍に従軍した。

祖父は日露戦争に行った。

私の世代は、
ベトナム戦争を外から見ていた。
それは1975年まで続いた。

それから
1979年から10年間、
ソビエト連邦はアフガニスタンに侵攻した。

1980年から1988年には、
イラン・イラク戦争が起こった。

1982年にはフォークランド紛争。
イギリスとアルゼンチンが争った。

冷戦後の1990年には、
湾岸戦争が勃発した。
イラクがクウェートに侵攻し、
連合軍がそのイラクを攻撃した。

21世紀に入ると、
2003年にイラク戦争が起こって、
サダム・フセインは捉えられ、
2006年に処刑された。

そして2014年、
ロシアがクリミアに侵攻し、
2022年に今度は、
ウクライナ戦争が起こった。

さらに昨年から、
パレスチナ・イスラエル戦争。

残念なことに現在も、
世界で二つの戦争が
続いている。

終戦の日の天皇陛下の言葉。
「終戦以来79年、
人々のたゆみない努力により、
今日の我が国の平和と繁栄が
築き上げられましたが、
多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、
誠に感慨深いものがあります」

「これからも、私たち皆で心を合わせ、
将来にわたって平和と人々の幸せを
希求し続けていくことを心から願います」

同じ思いだ。

朝日新聞「折々のことば」
第3176回。

戦争に敗れた側は、
戦争の理念を失います。
戦争の理念を失うというのは、
「戦争は解決ではない」と
思い知ることです。
(長田弘)

「逆に、戦争に勝った側には、
戦争の理念が残る。
戦争の理念とは、
『戦争は解決である』と
信じることだ」

長田は1939年、福島生まれの詩人。

「昭和の戦争に敗れた日本は、
経済力でも軍事力でもなく、
『経験をくみあげて、新しい概念をつくりだす』
そういう言葉の力をこそ培わねばならない」

「あれほどの命を失ったからには」
『すべてきみに宛てた手紙』から。
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私たちは戦争は解決ではないと考えている。
アメリカ人は戦争は解決であると信じている。

だから私たちは、
言葉の力を培わねばならない。

同感だ。

Paris2024が終わったと思ったら、
台風7号がやってきた。
千葉県のイトーヨーカドーは、
早々と臨時休業を発表した。

イトーヨーカドー姉崎店、
イトーヨーカドー四街道店、
アリオ市原とイトーヨーカドーアリオ市原店、
アリオ蘇我とイトーヨーカドーアリオ蘇我店。
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ホームページに告知された。

【臨時休業のご案内】
台風の影響により、
8月16日(金)は休業させていただきます。
お客様にはご迷惑をおかけいたしまして
誠に申し訳ございません。

一方、イオンは、
イオンモールや総合スーパーなど、
顧客と従業員の安全を確保しつつ、
営業を続ける。

千葉県の房総半島が直撃されそうだ。

そのエリアの店舗を中心に、
状況を見て営業の継続や時間短縮を検討する。

台風7号によって、
関東を中心にお盆商戦は、
想定とは大きな違いを見せる。

顧客が急に増える店、
逆に減る店。

こんな時には、
どんな店も在庫を持っていること。

生活のインフラを支える商品、
さまざまな防災用品。
即食できる商品。

小売業の本質は、
店舗在庫である。

緊急のときや異常事態には、
その本質が求められる。

それが店舗在庫である。

条件が整っているときには、
生産性を求めて最適のシステムを営む。

逆に条件が揃っていない場合には、
むしろ原理的な社会的機能を全うする。

そして両者は正反対のアクションとなる。
全体最適の在庫と過剰な在庫のように。

これはいわば「両利きの経営」である。
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ここでは商才が商売を大きく分ける。
おもしろい。

〈結城義晴〉

2024年08月14日(水曜日)

岸田文雄首相の自民総裁選不出馬とお盆時期に思う「命の大切さ」

岸田文雄首相が退陣する。

9月の自民党総裁選挙に出馬しないことを、
首相官邸の記者会見で表明した。
〈首相官邸ホームページより〉
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「今回の総裁選挙では、
自民党が変わる姿、新生自民党を
国民の前にしっかりと示すことが必要です」

「そのためには、透明で開かれた選挙、
そして何よりも自由闊達(かったつ)な論戦が重要です」

「その際、自民党が変わることを示す
最も分かりやすい最初の一歩は、
私が身を引くことであります」

「私は、来る総裁選には出馬いたしません」

「総裁選を通じて選ばれた新たなリーダーを、
一兵卒として支えていくことに
徹してまいります」

岸田文雄が身を引けば、
自民党が変わるのか。

論理的なつながりは、
まったくない。

政権発足から1046日。
在職期間は戦後8番目の長さ。

戦後の首相の在位期間。

1 安倍晋三 3188日
2 佐藤榮作 2798日
3 吉田 茂 2616日
4 小泉純一郎 1980日
5 中曽根康弘 1806日
6 池田勇人 1575日
7 岸 信介 1241日

この次が岸田文雄1046日。

次が橋本龍太郎 932日、
田中角榮も886日と意外に短い。

期間は8番目に長いが、
成し遂げた成果と存在感は、
希少で希薄だった。

麻生太郎は358日に過ぎない。

朝日新聞。
7月末、岸田は周囲に弱音を吐いた。
「来秋までには衆院選も参院選もある。
状況を変えたい議員心理はあるよな。
複雑だ」

「総裁選で勝っても、
衆院選で勝つのは難しい」

これが本音だったのだろう。

後見人の麻生太郎副総理は、
直接言った。
「世論調査の支持率を考えた方がいい」

岸田首相が自ら派閥解消を断行した。
しかし麻生派だけは解散しなかった。

パリ五輪が終わって、
8月15日の終戦記念日がやってくる。

お盆期間とはいえ、
不出馬の表明は14日しかなかった。

自民党も政治家も、そして国民も、
関心は誰が次の総裁になるか。

それだけ、「次」が期待されていて、
「今」に望みが薄いと考えているということだ。

何よりも政治に対する信頼が薄れている。
「次」の方にはそれを取り戻してほしいものだ。

さて、お盆の最中。
8月13日が盆の入り、
16日が盆の明け。

今夏の帰省者は昨年以上だとか。

お盆にはいつも「命」のことを考える。
8月15日は終戦の日である。

新潟日報の「日報抄」

暑かろう淋(さび)しかろうと墓洗う
〈大野初枝〉

墓参りをする人も多いだろう。

2023年の日本人の平均寿命。
「女性が87歳台で世界1位、
男性は6年短い81歳台で5位である」

寿命が延びたのは3年ぶり。

新型ウイルス感染症によって、
国内では4年前から多くの人が亡くなった。

しかし平均寿命は、
伝染病とともに戦争に影響される。

1947年の日本の平均寿命は、
男性が50歳台、女性は53歳台、
戦禍の影を引きずっていた。

それがわずか5年後には出生数も急増し、
平均寿命は男女ともに60歳前後になった。
平和が寿命を約10年も延ばした。

平均寿命が70歳を超えたのは、
女性が1960年、男性が1971年。

さらにが80歳を超えたのは、
女性が1984年、男性は2013年。

今、パレスチナ自治区ガザでは、
戦闘開始から10カ月で死者が4万人に迫る。
そのなかで児童・生徒の死者は1万人を超えた。
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一方、ロシアに侵攻されたウクライナ。
今年上半期の死亡者は、
戦闘の犠牲者を含めて約25万人。
出生数の3倍にも上った。
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コラム。
「戦地の平均寿命は日々短くなる。
世を去った人々の弔いは
満足にできているだろうか」

「このお盆の墓参りは
遠い戦地の犠牲者にも思いをはせ、
手を合わせたい」

同感だ。

パレスチナやウクライナで亡くなった人たちが、
寿命をまっとうしていたら、
どんなに素晴らしいことができただろう。

太平洋戦争の死者数は、
日本軍の軍人が230万人、
内地での戦災死者数は約80万人。
総数310万人が犠牲になった。

その人たちが生き通していたら、
どれだけのことをしただろう。

私たちの父母や祖父母の時代に、
思いを馳せる。

それがお盆の時期の私たちの在り方でもある。

一番大切なのは、
命である。

それは間違いない。

人の命を大切にする政治家に、
私たちのリーダーになってもらいたい。

小売業や消費産業は、
その命を守ることを使命としている。

私たちはそのことを噛み締めたい。

〈結城義晴〉

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