結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年03月29日(金曜日)

小林製薬「紅麹」問題とチェーンストアのPB商品撤去

東京も横浜も開花宣言。

東京管区気象台の職員が、
午後2時に千代田区の靖国神社を訪れて、
その標本木に11輪が咲いたのを確認。

開花を宣言した。

神奈川県の基準木は、
横浜地方気象台構内にある。
横浜市中区山手町、
港の見える丘公園と外人墓地から近い。

昼は長くなって、
急に暖かくなった。
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週末はさらに天気がいい。
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さて、紅麹。

小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」など3商品は、
コレステロールを下げる効果をうたって、
機能性表示食品として国に届け出ていた。

しかし摂取との因果関係が疑われる死亡事例が、
とうとう5例となった。

食品衛生法に基づいて、
回収が命じられた。

同社の紅麹原料は他社にも供給されている。
菓子やパン、酒、みそなどに使われて、
自主回収の動きが広がっている。

チェーンストアのプライベートブランドも、
一斉に売場撤去が始まった。

商人舎流通SuperNews。
イオンnews|
「紅麹」使用のトップバリュ商品7品目を撤去
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ファミマnews|
「紅麹」使用の3商品を売場から撤去
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日生協news|
小林製薬「紅麹」使用のCO・OP2商品を供給中止・回収
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ヤマナカnews|
「紅麹」使用した豆福製造の3商品を自主回収

紀ノ国屋news|
小林製薬「紅麹」使用の5商品を回収

小林製薬は昨日、
大阪市内のホテルで株主総会を開催。
57人の株主が参加。

冒頭で小林章浩社長が謝罪。
総会の終わり際に涙を流してしまった。

続いて、今日は記者会見。

サプリに使われた紅麹原料の一部から、
想定外の物質が見つかった。

しかしそれが何かは特定できていない。
特定時期だけの問題なのかどうかも不明である。

厚生労働省は「プベルル酸」の可能性があると発表。
プベルル酸は青カビの一種が作る物質で、
抗菌作用があるものの、毒性が強い。

小林社長以下、
出席した幹部は誠実に答えているように見えたが。
後手に回ったことは確かだ。

小林製薬が最初に問題を把握したのは、
1月15日だった。
しかし国への報告は、
公表前日の3月21日だった。

遅い。

「機能性表示食品」は、
安倍政権が成長戦略の一環として、
2015年に導入した。

「トクホ」(特定保健用食品)のような、
安全性や有効性についての国の審査はない。

事業者が一定の情報を届け出るだけで、
表示が認められる。

消費者庁は6800の機能性表示食品のすべてを、
再点検するよう指示を出した。

小林製薬は、
医薬品とトイレタリーのメーカーである。
「製薬」と社名に入っているが、
トイレタリーのほうが有名だ。

1894年(明治27年)、
「タムシチンキ」などから始まった。

1939年(昭和14年)には、頭痛薬「ハッキリ」、
1967年(昭和42年)、肩こり治療薬「アンメルツ」、
1969年(昭和44年)、トイレタリー「ブルーレット」。

開発力があった。

さらに1970年(昭和45年)、「ポリデント」の、
日本総発売元となった。

1975年(昭和50年)、芳香剤「サワデー」。

1993年、パーシャルデント、
1994年、熱さまシート、
1996年、タフデント。

2001年、ケシミン。
2003年、杜仲茶、
2004年、命の母A、
2006年、ナイシトール。

日米の様々な企業から、
素早くブランドや商品を手に入れ、
あるいはその販売権などを譲り受け、
ユニークなネーミングをつけて、
ヒットさせてきた。

2016年にはグンゼ㈱から、
「紅麹」に関する研究・販売事業を譲受して、
それが今回の事件となった。

2023年12月連結売上高1734億5500万円、
経常利益273億3000万円。

チェーンストアが素早く、
商品撤去したのはいいだろう。

疑わしきは撤去。

顧客の信頼を得るために、
それは当然の行為だ。

小林製薬は誠意を尽くし、
できる限りの保証をして、
会社として再起してほしい。

そのためにも一刻も早く、
正しい原因を究明することだ。

国には機能性表示食品の制度の検証が、
強く求められるだろう。

商品を世に出すことの、
責任の重さを痛感させられる。

〈結城義晴〉

2024年03月28日(木曜日)

第一屋製パン株主総会とセブン-イレブン「おにぎりの長鮮度化」

朝、東京小平。
第一屋製パン㈱の本社と小平工場。

10時から株主総会。

パンの香りがするこの工場の一角に、
株主の皆さんに集まっていただいて、
1年間の報告をし、
新しい取締役、監査役を承認してもらう。

私はパン屋がパン工場で、
株主総会を開催することは、
とてもいいと思っている。

上々の成果が上がって、
株主の皆さんとともに、
こころから喜んだ。

そのあとは株主総会後の取締役会。

新しい取締役が二人加わって、
雰囲気もいい方向に変わった。

そしてささやかな懇親会。

草門去来荘。
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和食と炭火地焼鰻の専門店。

経営は際コーポレーション(株)。
中島武代表取締役。
私と同郷の福岡出身。
レストラン界の天才。

75歳になった。

2023年10月末の年商263億円。
直営飲食店267店舗。

暖簾をかき分けて、
600坪の敷地に入る。

竹林が現れる。
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ここを歩いていると、
期待が高まる。
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その中に古民家風の店がある

象の絵画。
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懐石のお弁当。
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素晴らしい。

会食が終わってから、
竹林で写真。
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小山一郎副社長。

新しい年度も頑張ってほしい。

その後、武蔵野線と東横線に乗って、
横浜商人舎オフィスに戻る。

すぐに月刊商人舎4月号の入稿。

18ページほどを丁寧に編集して、
デザイナーに送った。

面白い1冊となりそうだ。
楽しみにしてください。

商人舎流通SuperNews。

セブン-イレブンnews|
「手巻おにぎり」消費期限を8時間延長

「手巻おにぎり」の改革。
販売時間を平均8時間延長。

従来は18時間だった。
それが24時間超となる。

つまりこれまで店頭では18時間を過ぎると、
廃棄処分したり、オーナーが自分で消費したりした。

それが丸1日の24時間以上となる。

現場にとっては大きな改革だ。
店舗での機会ロスと廃棄ロスが低減する。

セブン‐イレブンでは積極的に、
「長鮮度化」に取り組んできた。

だからオリジナルフレッシュフードは、
消費期限24時間以上の商品が多い。

2009年に最初に「チルド弁当」の長鮮度化を試みた。
2010年、「惣菜」の一部、
2011年、スパゲティ、
2018年、サンドイッチとサラダの一部。
2022年、ペストリーの一部。
そして今、手巻きおにぎり5アイテム。
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こうして現在、
オリジナルフレッシュフードの約85%が、
長鮮度商品である。

最後に残った主力商品の観のある手巻きおにぎり。
おいしさ・品質と長鮮度化の両立が難しかった。

新たな設備などを導入し、
京都の米の老舗「八代目儀兵衛」監修で、
複数種類のコメのブレンド比率を調整した。

それによって現行よりも、
平均で約8時間の消費期限延長を実現させた。

首都圏の店舗から順次導入し、
今夏を目途に全国に拡大する予定。

まずは定番の鮭・梅・昆布・辛子明太子、
そしてツナマヨネーズ。

5アイテムから取り組みを始めて、
対象アイテムは広がっていく。

日経新聞では、
青山誠一取締役常務執行役員のコメント。
「鮮度延長のため、洗浄などの衛生管理や
コメの劣化防止に力を入れた」

日経には他社のことが書かれている。
ローソンではちょっと先行して、
消費期限24時間超のおにぎりがすでにある。

ファミリーマートは「現状は1日未満」という回答。

セブン-イレブンの取り組みの中で、
加盟店のためになる政策は、
例外なく成果を上げる。

そこから離れると、
セブン-イレブンは悪くなる。

物言う株主のほうを見ていたり、
正論を吐く取締役の言うことを聞いていると、
現場から離れていく。

その意味で、
この小さな改革と見えることは、
実は大きなイノベーションなのである。

朝日新聞「折々のことば」
第3040回。

記憶は身体なしに
成立しえない
(三浦雅士『考える身体』から)
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三浦は青森県弘前出身の文芸評論家。
『ユリイカ』元編集長。

「記憶は、脳というよりは
口の記憶、耳や手の記憶としてある」

わかる。

「詩歌はまずは
一つの口調として記憶され、
読むことのみならず思考も
文体に同調することで起動する」

「そして文字を介した
さらに抽象的な思考への展開さえも、
聴覚から視覚への移行という、
身体回路の変換に負う」

「経典の暗記も身体的訓練」
門前の小僧習わぬ経を読む。

編著者の鷲田誠一さん。
「とすれば、おそらく道徳も」。
鋭い。

だからスポーツは、
精神の鍛錬になる。

セブン-イレブンも、
組織として体で覚えた記憶を、
大切にし続ける限り、
衰えることはない。

頭で考えると、
すぐに駄目になる。

私はそれを指摘し続ける。

〈結城義晴〉

2024年03月27日(水曜日)

オーケーとドンキとロピアの都市型小型店開発続々

商人舎裏の遊歩道。

桜が咲いた。
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早咲き。
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そして今宵は満月。IMG_3314 (002)
3月の満月は「Worm Moon」。

米国農事暦の「芋虫月」。

低い位置に大きく見えた。

水の地球
すこしはなれて春の月
〈正木ゆう子〉

水の惑星と呼ばれるこの地球。
少し離れたところに春の月が浮かぶ。

今日も1日、横浜商人舎オフィス。

みんなで原稿を執筆し、
入稿した。

今月はCaseStudyばかりの雑誌となる

商人舎流通SuperNewsから。
オーケーnews|
日本橋に257坪「オーケー 日本橋久松町店」3/19開店

3月19日(火)に、
オーケー 日本橋久松町店オープン。
東京都中央区。
東京の真ん中の新築マンション1階への出店。

売場面積は218坪の小型店。

都営浅草線東日本橋駅から徒歩4分、
都営新宿線馬喰横山駅から徒歩4分、
日比谷線・都営浅草線人形町駅から徒歩5分。

競争相手はコンビニとまいばすけっと。

さらに、
オーケーnews|
4/17東雲店、4月下旬柏髙島屋ステーションモール店出店

4月には2店舗の新規出店。

4月17日(水)、
東京都江東区にオーケー 東雲店。
東京臨海高速鉄道りんかい線東雲駅から徒歩10分。
こちらは売場面積が472坪。
中型店だ。
駐車場は158台を整備する。

さらに4月下旬には千葉県柏市に、
オーケー柏髙島屋ステーションモール店。

こちらはJR柏駅直結の商業施設1階へ。
このところ高島屋の食品売場への出店が多い。

1973年に高島屋柏店として開業。

1992年に全面リニューアル。
高島屋柏店を核としたモールに変わった。
さらに2008年に新館を併設。
営業面積1万5000坪を超える、
大規模ショッピングモールになった。

さらに2023年9月からリニューアル。
今春、31店舗のテナントが順次オープン。

その目玉がオーケーの257坪。

これも300坪以下の小型店。

都心の小型店。
オーケーの出店が連続する。

一方、
ドンキnews|
東京都台東区に「ドン・キホーテ鶯谷店(250坪)」4/16オープン

ドン・キホーテの新店。
4月16日(火)、東京都台東区。
ドン・キホーテ鶯谷店開業。

これも250坪。

JR山手線鶯谷駅北口から徒歩約1分。
駅前立地だ。

鶯谷駅周辺は、歴史的建造物や大衆酒場など、
独特の文化が混在する。

しかし近年は新築マンションが建設され、
ニューファミリー層が増えている。

この小型店は店長と
パート・アルバイト社員だけで運営する。

昨日のブログで、
ロピア沖縄国際通り店のことを書いた。
フランチャイズ店ではあるが、
これも312坪の小型店だ。

都市部の立地は限られる。
しかも狭い、高い。

だからディスカウントの、
スーパーマーケットは、
これまで出店を控えていた。

低粗利益で収支をとる業態は、
できるだけ不動産費を低くしなければ、
経営が成り立たない。

例外はドン・キホーテ。

同社は意外にも高粗利。
30%を超える利益率だ。

それは売場販売効率が高いからだ。

坪当たり売上高で、
不動産費を吸収する。

オーケーがそれに気づいた。

銀座店が教えてくれた。

ロピアはまだ、
フランチャイズでしか出店はしていない。

300坪の小型モデルで、
ロピアの魅力が顧客に伝わるか。
それがカギを握る。

しかしユニオンの人たちは、
やり遂げるだろう。

国際通りという一等地が、
それを可能にする。

都市部への人口集中は今後も続く。
世界中の大都市圏の共通の特徴だ。

だから成長のためには、
小型店開発は必須の条件となる。

アメリカでは、
トレーダー・ジョーはもともと、
1万平方フィートの小型店だ。
280坪。

ホールフーズも、
サンフランシスコで小型店の実験をした。

それができるチェーンとできないチェーンがある。

オーケー、ロピア、ドンキ。

高い不動産費と狭い店という条件を乗り越えれば、
むしろ空白のマーケットが待ち構えている。

コロナ明けにそれが顕著になってきた。

サミットもヤオコーも、
それぞれに取り組む開発テーマだ。

水の地球と春の月。

魅力的なスーパーマーケットと、
都市中心部の小型物件は、
マッチング要件をもっている。

〈結城義晴〉

2024年03月26日(火曜日)

大谷翔平の記者会見と初FC「ロピア沖縄国際通り店」オープン

横浜は今日も雨。
1日中、商人舎オフィスで、
原稿の手直し。

いい記事となった。
ご期待ください。

山陽新聞の一面コラム「滴一滴」
地方新聞の巻頭言を読むのも好きだ。

「春本番となってきた」

「心弾む春だが、
この季節ならではの注意すべきことがある」

「春の5K」
花粉、黄砂、強風、乾燥、寒暖差。
ローマ字表記で頭文字がKとなる五つ。

納得。

気象キャスターの片山美紀さん。
著書『気象予報士のしごと』で、
「春の8K」を紹介する。
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先の5Kに三つを加える。
雷、火災、変わりやすい天気。

コラムのまとめ。
「きちんと、気を緩めず、気を付ければ、
きっと、心地よい春になる」

その通り。

しかし、
心地よい春とはならなかったのが、
大谷翔平。

ロサンゼルスのドジャースタジアムで、
記者会見を開いて、 声明を発表した。
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水原一平元通訳の違法賭博問題。
450万ドル(約6億8000万円)を、
大谷の口座から送金した窃盗の疑い。

大谷は自身の関与をきっぱりと否定した。
しゃべり方や表情を見ていたが、
嘘がないことがはっきりした。

安心した。

政倫審の自民党安倍派幹部たちとは、
まったく違っていた。

「僕が口座からブックメーカーに対して
誰かに送金を依頼したことは
まったくありません。
結論から言うと、一平さんが、
僕のお金を盗んでうそをついていた」

現時点で判断すれば、
説明責任は果たしたと思う。

しかし今回の問題は、
FBIの捜査で判明した。

大谷の口座から違法なブックメーカーへ、
多額の送金があったからだ。

大谷が疑われるのも、
ある意味で仕方ない。

一平通訳も当初は、
自分の負債を大谷が肩代わりしたと、
話していたらしい。

しかしその後、発言を翻した。
「翔平は何もしらなかった」

大谷が知ったのは、
韓国でのパドレス戦のあとだった。
それを大谷自身が説明した。

信頼し、頼っていた相棒に裏切られた。
「ショックという言葉が正しいとは思わないし、
それ以上のうまく言葉で表せないような感覚で
1週間過ごしていた」

これは正直な言葉だ。

心中察するに余りある。

あとはプレーに集中してほしい。
それが私たちの願いだ。

さて商人舎流通SuperNews。
ロピアnews|
3/25「ロピア沖縄国際通り店」/フランチャイズで沖縄県初進出

昨日の3月25日(月曜日)にオープンした。
OICグループ初のフランチャイズ方式。
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「ロピア」フォーマットの商品と売り方とブランドを、
パッケージ化して展開する。
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オープン前日の24日から、
いつものように取材に行こうと考えていた。

那覇の国際通りの1032㎡(312坪)の店舗。
ロピアとしては小型店である。

しかしこれは米国のトレーダー・ジョーに、
化けるかもしれない。

OICグループの新年度方針発表会で、
激励講演をした際に、
ロピア幹部とも相談した。
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そして、
店頭が落ちついてから訪れることにした。

現地では記者発表会が開かれた。
日経新聞が現地記者の報告を掲載した。

開業初日は約1万人の顧客があった。

FC責任者の相川博史取締役が発言した。
「商業地としての沖縄県の可能性は大きい。
将来的には20〜30店舗を出していける」

フランチャイジーは㈱野嵩(のだけ)商会。
「フレッシュプラザユニオン」を20店展開する。
同社の仲村知充専務に会って話したが、
経営陣も現場もやる気満々。

ロピア九州営業本部の店で研修を受けて、
商品化やオペレーションを学んだ。

手ごたえを感じているようだった。

私はこの店の成功を確信した。

全国のスーパーマーケットから、
フランチャイジーの申し込みが殺到するかもしれない。

沖縄県では、
㈱サンエーや金秀商事㈱、イオン琉球㈱と、
激しい競争が展開される。

チェーンストアが、
新しいエリアに出店する際、
同じような店が増えるだけで、
価格競争が激しくなるだけでは、
社会的な意味がない。

それまでになかったフォーマットで、
それまでになかった購買や消費を、
生み出さねばならない。

関西に進出した時にも、
中京や仙台、福岡のときにも、
私はそれを指摘した。

沖縄でも同じことだ。

それが現代の競争である。

〈結城義晴〉

2024年03月25日(月曜日)

「検査と診察」の上々の成果と日本政治の「熱殺蜂球」

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑬]

2024年第13週。
3月第5週。

今週から月刊商人舎4月号の入稿。

毎月毎月、仕事とはいえ、
大変です。

大変だから面白い。

むずかしいことをやさしく。
やさしいことをおもしろく。
おもしろいことをよりふかく。

これが商人舎のモットーです。

願はくは花の下にて春死なん 
その如月の望月のころ
〈西行〉

日経新聞の一面コラム「春秋」

如月は旧暦2月、
望月は満月で15日ごろ。

新暦に直せば今日がその日にあたる。

西行は願いの通り2月16日に亡くなった。

今日は午後から東京へ。IMG_32754

日本の玄関、東京駅。IMG_32764

大学の卒業式の日らしくて、
はかま姿の女子大生が多い。

そこで自撮り。
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雨の中、大手町を歩く。
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高層ビルの間に裸の銀杏の木。
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大手町プレイスタワー。
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毎月の検査と診察。

血圧は上が105、下が64。
私は血圧には問題がない。
むしろ低血圧の傾向がある。

ヘモグロビンA1ⅽは6.8%。
「青年、壮年の基準は6.2%が上限ですが、
70歳を超えると6.5から7.0が理想的」
田嶼尚子先生がそう言う。

中性脂肪だけは、
ちょっと上がった。

しかしnon-HDLコレステロールは116mg/dL。
これは”総悪玉”コレステロールとも言えるもので、
170mg/dLを超えるとまずい。

尿酸値も4.3。
安定している。

上々の成果が出た。

さて日本の政治は今、上々とは言えない。

日経新聞「オピニオン」の「核心」
芹川洋一論説フェローが、
いつも骨のある論陣を張る。
「政治の2024年問題を解く」

「日本政治がうまく回っていない」

「派閥の政治資金パーティー問題をめぐり右往左往、
自民党政治の方向舵(ほうこうだ)が失われている」

そこで3つのQuestion。

Q1 自民の現状を問う

「緊張感なき裏金政局」と斬って捨てる。

同感。

Q2 野党の状況を示せ

野党各党ともチャンス到来と意気込んでいるものの、
現状では自民党にとって代わるだけの力はない。

野党も「成算なき競争状態」と辛らつだ。

これにも同感。

Q3 今後の見解を求む

野田佳彦元首相のたとえ話を紹介。
「ミツバチとスズメバチの話」

ミツバチは天敵である大きな体のスズメバチに、
一対一なら食べられてしまう。
ところがニホンミツバチには、
スズメバチから身を守るための特有の行動がある。

「熱殺蜂球」という。

数多くのニホンミツバチが一斉に
1匹のスズメバチに襲いかかり、
胸の筋肉をふるわせて熱をおこし、
集団でスズメバチを蒸し殺す。

蜂球の内部は47~48度になる。

致死温度はスズメバチが45度。
ニホンミツバチは50度近く。
最初にかみ殺される十数匹以外は生き残る。

「野党がニホンミツバチになり
ひとつの塊となって、
自公スズメバチを追い込む
熱殺蜂球に出るチャンスのはずだ」

「野党が大同団結に動けば
政治は一気に引き締まり、動く」

この小さな二ホンミツバチの「熱殺蜂球」。
チェーンストアの理論そのものだ。

1970年代まで、
百貨店というスズメバチに対して、
新興チェーンストアは二ホンミツバチとなった。

その総合スーパーをはじめとする新興勢力が、
スズメバチになって、
コンビニという二ホンミツバチが、
熱殺蜂球を展開した。

今、政治の成果は上々とは言えない。
与野党含めた政治全体が、
「2024年問題」の中にある。

熱殺蜂球が必要だ。

では、みなさん、今週も、
熱殺蜂球で。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年03月24日(日曜日)

令和大相撲の新星「尊富士」の「じょっぱり」と「ケハレ」

大相撲に新星が登場した。
尊富士。

新入幕で幕内のどん尻。
東前頭17枚目。
身長184cm、体重143kg。
青森県五所川原生まれの24歳。

新入幕場所で13勝2敗の初優勝。

新入幕で11連勝。
これは大鵬の記録と並んだ。

しかも初土俵から10場所で、
史上最速幕内総合優勝。

14日の取り組みで右足首を痛めた。
休場も危ぶまれたが、それでも出場。スクリーンショット 2024-03-25 010534

右の足首をテーピングで固めて、
10勝4敗と好調の平の幕豪ノ山と対戦。

張り手から左四つに組み止め、
土俵際に追い込んで、押し倒し。スクリーンショット 2024-03-25 0108273

見事な正統相撲だった。

初土俵から序の口優勝、
序二段優勝。
三段目と幕下も優勝こそなかったが、
順調に出世して、
十両優勝。

10場所での初優勝は、
貴花田(横綱貴乃花)と横綱朝青龍の24場所を、
半分以下に短縮した大記録。

大相撲史上110年ぶりの新入幕優勝。
その110年前は元関脇両国。

細身ながら足腰、腕力は強く、
稽古場では横綱大錦も勝てなかった。

尊富士は伊勢ケ浜部屋所属。
親方は元旭富士。

青森県五所川原市出身、
鳥取城北高から日本大学相撲部と経て、
2022年秋場所で初土俵を踏んだ。

夜のNHKのスポーツ番組。IMG_3273 (002)

優勝インタビューでは、
「記録よりも記憶に残る力士になりたい」

「これからが大事。
しっかりと怪我をしない体をつくりたい」

110年前の両国は、
最高位関脇で終わった。

優勝はその新入幕の1回だけだった。

このところモンゴル勢に、
上位を独占された観のあった大相撲。

上位に上がってくる、
これはという強い力士を見ると、
モンゴル出身者ばかりだった。

だから青森人の「じょっぱり」は、
久しぶりに日本人として、
胸のすく活躍だ。

尊富士は大鵬や貴乃花を超える、
令和の大横綱になる資質がある。

突き、押し、スピード。

それほど体が大きいわけではない。
だがこのスピードが現代相撲を象徴する。

敵は怪我だけだと思う。

日経新聞夕刊「あすへの話題」
料理研究家の土井善晴さん。
「ケハレ」
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文章の専門家ではないけれど、
この人のエッセイが好きだ。

「ケ(日常)とハレ(非日常)に、
けじめをつければいいと思う」

同感だ。

「現代のケは仕事や学業に励む日、
ハレは休日(楽しむ日)と考える」

「前者は心身を健やかにたもつ古来の食事。
後者は一週間がんばった後の
ご褒美で楽しみを享受する食事」

料理家らしい分析だ。

「何をハレとするかは、
それぞれの考えでよい」

これにも同感。

「ケにも小さなハレと言うべき喜びが
数々潜んでいる」

「淡々と時すぎるとき、
自然の移ろいや親切に、
気づき、心栄えする」

「美、喜び、哀れ、悲しみを、受け止めた心を、
日本では『もののあはれ』と言う」

「時計時間の横軸に、
もののあはれという縦軸の
楔(くさび)を打っていく」

「ケとは大自然の営みで、
ハレとは人間が意図した人工的行為」

「ハレ化した料理は、
食材を混ぜ、味付けて美味を作る
『それ以上』の努力による」

「それ以上は、喜びにもなり、
苦しみにもなる」

「ケの一汁一菜とは汁飯香」

「有るものを、気ままにいただくところに
喜びが生まれる」

「ケの人は、案外、積極的に食べている」

「ハレの食事は食べるだけでは
受け身になりがち、
より積極的な努力が要求されている」

「ケハレは日本の専有ではない。
西洋の一汁一菜は、スープ、パン、チーズ」

「ケの慎(つつ)ましい食事は
あたりまえの普通のこと」

相撲で言えば、
ハレは華やかな本場所の取り組み。
ケは稽古場の汗にまみれた稽古。

店づくりにも、
ハレの売場とケの売場が必須だ。

料理も相撲も、
商売も人生も。

ハレとケに、
けじめをつけるのがいい。

〈結城義晴〉

2024年03月23日(土曜日)

鼎占コンビニ業態の中のイオン「ミニストップ」最終赤字の意味

商人舎流通SuperNews。

2月コンビニ統計|
売上高8574億円で全店(5.4%)・既存店(5.7%)ともに増加

毎月の日本フランチャイズチェーン協会の調査。
2月のコンビニエンスストア統計。

調査対象企業は7社になってしまった。

あいうえお順で、
(株)セイコーマート、
(株)セブン‐イレブン・ジャパン、
(株)ファミリーマート、
(株)ポプラ、
ミニストップ(株)、
山崎製パン(株)デイリーヤマザキ事業統括本部、
(株)ローソン。

既存店売上高の7社総計は8574億円で、
前年同月比5.7%増。
3カ月連続のプラス。

客数は11億7350万人で4.3%増、
客単価は730.7円で1.4%増。

また全店ベースでは、
売上高8937億8600万円の5.4%増、
27カ月連続プラス。

一方、店舗数は5万5657店で、
前年からは0.3%減。
195店舗減少。

店舗数は減っているのに、
客数も客単価も売上高も増えている。

2月はパン、デザート、ソフトドリンク、
それに玩具などが好調に売れた。

閏年の影響もあり、
全店・既存店ともに売上高が前年を上回った。

閏日の1日分増加の影響を除いても、
売上高は前年を上回った。

私は商業界で『コンビニ』を創刊した。

はじめは1980年代に商業界食品商業誌から、
年に1回、別冊号として発行していた、
「コンビニエンスストアのすべて」。

1998年8月に、
食品商業臨時増刊号「季刊コンビニ」を創刊、
その2年後の2000年に「隔月刊コンビニ」、
さらに2002年8月、月刊化した。

私は専務取締役に就任して、
発行人となった。

しかし私は2007年8月に商業界を辞し、
月刊『コンビニ』は2015年、
㈱アール・アイ・シーに売却された。

その後、『コンビニ』は廃刊された。
前年なことだが、今はない。

コンビニエンスストアの業態も、
1980年代はチェーン店と単独店が、
半々くらいだった。

店数も売上高も拮抗していた。

故人となってしまったが阿部幸男先生が、
独自の調査をして、
単独コンビニの実態を追究していた。

それが今は毎月7社で統計される。

この7社に㈱JR東日本クロスステーションの、
「ニューデイズ」を加えて、
8社の寡占状態である。

その中でセブン-イレブンと、
ファミリーマート、ローソンが、
鼎占を構成している。

マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャーが残り、
マーケットフォロワーは、
ずるずると落ちていく。

4番手のミニストップ。
「2024 年2月期通期連結業績予想の修正」を発表した。
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連結の営業収益は790億円、
連結の営業収益は790億円、
営業損失が6億900万円、
経常利益は1100万円、
純損失が4億6700万円。

つまり赤字。

前期純利益は128億円の黒字だったし、
今期予算は9300万円の黒字だった。

商品売上高の伸びが見られなかった。

国内1855店(昨2023年11月末)。
前年から52店の減少。
新店は7店、閉鎖が59店。

いよいよイオンも、
ミニストップに関して、
判断のときが来たような気がする。

現場は頑張っているに違いない。

それでも鼎占の中に食い込むことができない。
完全なフォロワーである。

かといってニッチャーにはなり切れない。

イオンではまいばすけっとが好調だ。
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小型スーパーマーケット。
これは他の追随を許さない。

東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県に、
1025店舗(2023年2月末時点)の規模。

来週の3月29日には、
PBのトップバリュ特化型のまいばすが、
実験的に開業される。

今後は1都3県のミニストップを、
まいばすに変えていくことも可能だろう。
もちろんフランチャイズチェーンだから、
オーナーたちの了解が必要だろう。

しかしそれそろ時期が来たように思う。
結城義晴が勝手に思ったことだ。

あまり重く考えてほしくはないが、
コンビニを長らく見てきて、
ふっとそんな気がした。

トップバリュ主体のまいばすに、
大いに期待がかかる。

〈結城義晴〉

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