結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年12月08日(金曜日)

イズミヤスーパーセンター跡に出店した万代紀伊川辺店の新境地

万代が和歌山に初進出した。
その1号店は紀伊川辺店。
11月17日。

商人舎流通スーパーニュース。
万代news|
和歌山県初出店の「万代紀伊川辺店」11/17オープンIMG_96773

和歌山に出張したので、
訪れた。

もともとこの店は2008年4月23日9時、
イズミヤスーパーセンター紀伊川辺として開業。

しかし15年後の2023年3月26日。
閉館した。

そのあとにカインズと万代が入居した。

広大な駐車場を挟んで、
ニトリとケーズデンキがある。IMG_96793
アメリカのパワーセンターと同じだ。

ショッピングセンターの構成要素としては、
良く整っている。

イズミヤスーパーセンターが、
業態として完成しなかった。

それが撤退の理由だ。

そのあとのワンフロア3000坪に、
カインズのホームセンターと、
万代のスーパーマーケットが、
もちろんレジを分けて入居した。

その万代紀伊川辺店。
新しい万代が登場した。IMG_95853

カインズは和歌山県に合わせた品ぞろえだ。IMG_96762

最強のホームセンターと、
最強のスーパーマーケット。

店舗運営担当取締役の和久正樹さんと、
相川徳央店長。
相川さんは万代知識商人大学一期生。
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丁寧に説明をしてもらって、
くまなく二巡した。

私、驚いた。

いい店だ。

この店は入り口に農産部門とデリ部門を設けた。
いわゆるダブルコンコースだ。

その惣菜はバックヤードを、
シースルーにして、
作業プロセスが全面的に公開されている。
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そのあとはワンウェイコントロールで、
部門がゾーニングされている。

従来のコの字型レイアウトではない。
実に意欲的だ。

スーパーセンターの広大な売場に、
カインズと店を並べて出店したから、
このワンウェイコントロール型が有効だ。

農産部門の左端には、
「オリジナル商品大集合」のコーナー。
これがよく売れる。 IMG_96023

惣菜からコーナーを曲がると、
水産部門の対面販売売場がある。
立ち売りをして活況を呈している。 IMG_97553

精肉から日配、そしてパン売場へ。
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奥主通路の左サイドが、
グロサリー売場。

いろいろ質問し、意見を言った。
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チェックスタンドのところで、
三人娘と写真。
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右が石本睦美フロントエンド部トレーナー。
万代知識商人大学五期生。
中は応援の中森なかもず店チーフ。
左がこの店の相谷フロントエンドチーフ。

笑顔が素晴らしい。

この店には完全セルフレジを導入した。

大阪の万代が兵庫、京都、奈良に出て、
和歌山の北側に進出した。

新しいエリアに出店することは、
チェーンストアに不思議なエネルギーを与える。

万代の新境地が現れた。
イノベーションである。
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月刊商人舎新春1月号で、
紹介し、分析しよう。

楽しみにしてください。

そのあと、エバーグリーンへ。
物流センターに併設された店舗。
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㈱廣岡、エバグリーン廣甚㈱の経営。
2023年2月期売上高は880億円。

そのスーパーエバーグリーンプラス。
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まだ荒々しいけれど、
面白い店で大繁盛店。

和歌山に新しい店が登場する。
従来のチェーンは自分らしさを探求する。

そして小さなイノベーションを生み出す。

㈱エコス会長の平富郎さんは言う。
「競争は商人を磨く砥石である」

その通りだ。

競争を嫌がってはいけない。
何よりも顧客たちは、
小売業の競争を歓迎している。

磨き磨かれて、
店がより良くなることを、
顧客たちは望んでいる。

はじめから競争に参画しない者、
すなわち競争を楽しめない者には
進歩も革新も与えられない。

だから私は言う。
「競争はあなたの仕事です」

〈結城義晴〉

2023年12月07日(木曜日)

オークワの講演テーマ「マネジメント」と“Practice comes first”

目が覚めると、
眼下に和歌山城。
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紀州55万5000石。
そのシンボル。
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紅葉が真っ盛り。
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タクシーで㈱オークワ本部へ。
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本社下の本社中島店。
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関連会社が集まっている。
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隣接する教育研修センター。
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やっ来ました。
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午後1時から講演会。
7月27日に一度目の講演をして二度目。IMG_05713

朝から幹部と営業部隊が参集して、
販売会議が行われていた。

130名ほどが集合。
地方の店舗では、
オンラインで250名ほどが聴講。

講演テーマは、
「チェーンストアのマネジメント」IMG_05753
マネジメントとは、
例えば馬に乗るとき、
どう手綱を操ればいいか。
その手綱の使い方がマネジメントである。

安土聡さんは一言、
「段取り組み」と言ったが、
マネジメントは段取りを組むことでもある。
実に的確だ。

ドラッカーは、
「人の強みを生かすこと」と教えてくれる。
これは全くその通りだと思う。

そしてどんな会社にも、
ミッションがある。

そのミッションに基づいて、
5つのマネジメントが4つの段階に、
ツリー状、三角形型に構成されている。

ミッション・マネジメントの下の階層にあるのが、
ストラテジック・マネジメント。
経営戦略である。

前回の講演はこの戦略について、
最新の考え方を語った。

その次の階層には、
二つのマネジメントがある。
会社の外側に向けてアクションするのが、
マーケティング・マネジメントである。
会社の外の顧客、取引先、社会へ向けて、
様々なリサーチをし、
アクションを起こす。

それがマーケティングである。

一方、会社の内側に向けて行われるのが、
ヒューマンリソースマネジメントである。

そのマネジメントの基本は、
ドラッカーにある。

『エッセンシャル・マネジメント』を紹介して、
講義を始めた。
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そして今、日本のチェーンストアが陥っている、
共通のマネジメント問題を明らかにした。

それがマネジメントの歴史から、
鮮明に浮き上がってくる。

ちょっと難しいかもしれないが、
簡潔にその問題を語った。

マネジメント理論は、
他の理論と同じように、
一つではない。
多様である。

さらに対立することもある。

この理論の点で間違っていては、
マネジメント教育をすればするほど、
組織は間違ったほうに向かいやすい。

それが日本の大企業にも、
日本のチェーンストアにもある。
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一言で言えば、
大企業病である。

マネジメントの講義は、
この病気に処方箋を出すことだ。

私はドラッカーを使う。
拙著『店長のためのやさしいドラッカー講座』の、
骨格の部分を講義して、
それからコミュニケーションの方法。
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商人舎ミドルマネジメント研修会では、
丸々1日をかけて講義するが、
それをオークワ向けにダイジェストで語った。

最後は熱を込めて、
檄を飛ばした。

この12月商戦の機会に、
ドラッカーを実践してほしい。

今年最後の講義だった。
テンションが上がった。

オークワ人事部教育課課長の小澤一雄さん。
事務局として丁寧に対応してくれた。
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ありがとうございました。

和歌山駅。
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新大阪行きのくろしおに乗って、
東海道新幹線で横浜に帰った。IMG_97213

朝日新聞「折々のことば」
第2932回。

必要不必要で
物を論ずる日には、
大抵なものは
必要で無い。
(幸田露伴)

「煙草(たばこ)も紅茶も酒も
必要ないといえば必要ない」

「それでいくと、おまえは国家に必要か、
いやそもそも人類は世界に必要か
という話になる」

露伴は言う。
「要不要が世の中の標準だなんてご免だ」

そう言いつつ、菓子の話になって、
微に入り細に入り蘊蓄(うんちく)をたれ、
「最後はこんな談義こそ不必要だな、
“ハハハハ”」と煙(けむ)に巻いて終える。

文集『珍饌会(ちんせんかい)露伴の食』から。
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仕事の場では、
理論など不要だと言われたりする。

小難しいマネジメントやマーケティングも、
必要ないと考えられている。

もちろんそれだけを振り回して、
評論家のようになってはいけない。

しかし理論の本質をつかまねば、
組織は健全に動いてはくれない。

理論を口にはしないけれど、
理論を理解し駆使している経営者は多い。

ドラッカーのことば。
“Practice comes first”
実践が第一にくる。

“Theories follow events”
理論は現実に従う。

しかし論理なき行動は、
暴走である。

〈結城義晴〉

2023年12月06日(水曜日)

ヤオコー11月実績売上高7.5%増と「わが社・わが店の強み」

新横浜から新幹線で西へ。

すぐに丹沢山系が見えてくる。
10代のころ仲間と登った。IMG_95583

そして富士山。
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頂は雪をかぶっている。
50代に平富郎さんと登った。IMG_95633

眺めているとすぐに、
新幹線は富士川を渡ってしまう。IMG_95763

車中でパソコンに向かっていると、
浜名湖を過ぎる。IMG_95833

新大阪に到着して、
それから大阪駅に移動し、
紀州路快速で和歌山へ。

7月下旬以来半年ぶりだ。

ホテルに到着して、
夕食に出かけた。

市堀川の京橋のモニュメント。
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イルミネーション。
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遊歩道が続く。
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焼き肉レストランはま乃。
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満足しました。
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ホテルに戻ると、
和歌山城が見える。
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標高48.9mの虎伏山(とらふすやま)の山頂の城。IMG_96903
贅沢な旅だ。
ありがたい。

さて商人舎流通スーパーニュース。

11月の営業結果が発表されている。
昨日書いたのが良品計画。
22.6%。

無印良品週間が奏功した。
会員への全品10%オフ。

ユニクロもニトリも好調だった。

そして、
ヤオコーnews|
11月既存店7.5%増・全店9.2%増/14カ月連続前年超え

ヤオコーの11月の月次業績。
既存店伸び率は前年同月比107.5%。
14カ月連続の前年超え。

全店ベースでは109.2%。
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既存店の客数は103.6%、
客単価は103.6%。

1品単価が105.4%。
買上点数(PI値)は98.3%。

10月は97.7%だった。
0.6ポイント上がった。

9月のPI値は97.9%だった。

PI値はもちろん「Purchase Index」。
総買上点数÷総客数×100。

ヤオコーが重視している指標だ。

来店客1000人当たりの購買指数。
「支持率」と呼んで使っている企業もある。

ヤオコーは記者会見でも、
ニュースリリースの発表でも、
この点数PI値を公開してくれる。

社内でも頻繁に使われている。

ヤオコーに続いて、
スーパーマーケット各社の月次成績が発表される。

このことろ絶好調なのがベルクだ。
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10月は既存店売上高が前年同月比110.6%。
2カ月連続で2ケタ伸長した。
既存店客数は105.6%、客単価が104.7%。

9月は111.6%。
12カ月連続の前年クリア。
客数は106.6%、客単価が104.7%だった。

秋に入って絶好調が続く。

11月はスーパーマーケットでも、
好調な月だった。

あなたの会社、あなたの店は、
どうだっただろうか。

この好調が12月も続くといいのだが。

しかし12月商戦はもう、
決まっている。

態勢がひっくり返ることは、
そうあるものではない。

だから自分の顧客を大事にしながら、
自分の全力を尽くす。

それだけだ。

ピーター・ドラッカーは、
事業の定義を三つ挙げている。
これは「お店」の定義でもある。

第1に組織を取り巻く環境である。
事業や店は環境に影響を受ける。
そのなかの競争環境を見極めること。

年末商戦は1年の環境整理のときである。
それが来年につながる。

第2は組織の使命すなわち目的である。
12月商戦は改めて、
自社の使命やビジョンを、
確認することだ。

第3は使命を達成するために必要な、
強みについての前提である。

自社、自店の使命やビジョンに基づいて、
自社、自店の「強み」をはっきりさせる。

どんな企業、どんな店にも、
わが社、わが店の強みはある。

その強みを、
最大限に発揮する。

それが12月商戦だ。

一つになって、
頑張ってほしい。

〈結城義晴〉

2023年12月05日(火曜日)

会員全品10%オフの「無印良品週間」で前年比22.6%増

月刊商人舎12月号、
責了しました。

みなさん、ほんとうにありがとう。

お疲れさまでした。

いい雑誌になりました。
多くの人々のお役に立てると思います。
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さて、
国際サッカー評議会。
International Football Association Board。
略称はIFAB。

サッカーのルールを決める、
世界唯一の意思決定機関。

このIFABの決定に従って、
国際サッカー連盟が、
すべてのゲームにルールを適用する。
こちらはFIFAと略されるが正式には、
 Fédération internationale de football association。
フランス語である。

どちらもスイスのチューリッヒに本部を持つ。

そのIFABが存在感を出している。

サッカーのルールに、
ラグビーの「シンビン」を、
試験的に導入する。

シンビンは「sin bin」。
sinは「罪」、binは「ゴミ箱」。

ラグビーでは、
危険なプレーをしたり、
審判に異議を唱えたりした選手は、
一時的に試合から離れることを命じられる。

10分間の一時退場だ。

このルールによってラグビーは、
紳士のスポーツたりえている。

サッカーには、
イエローカードやレッドカードがある。
レッドカードは即、退場だ。
しかしイエローカードには、
ラグビーの一時退場がない。

そこでIFABはルールを変えることにした。
特定の場面で主将以外の選手が、
主審に近づくことを認めない。
審判員に敬意を欠く振る舞いをしたら、
選手も監督もより厳格に規則が適用される。

来年3月の総会で承認され、
7月から競技規則に加えられる。

すでにアマチュアのゲームなどで、
一部実施された。

イングランドサッカー協会の報告。
2018年から19年のシーズンで、
31のリーグでシンビンを導入した。

すると審判への異議が約38%減少した。

レフェリーへのリスペクト。
サッカーとラグビーでは、
ずいぶん違う。

アイスホッケーでも、
ペナルティが設けられていて、
マイナーペナルティの2分から、
4分、5分、10分、
残り時間すべてまで、
細かく決められている。

抗議も面白い、
なんてファンもいるかもしれないが、
サッカーがラグビーに学ぶ姿勢は、
とてもいいと思う。

こうして時代は変わっていく。

さて商人舎流通スーパーニュース。

良品計画news|
11月既存店22.6%増/無印良品週間で大きくプラス

11月度の国内売上高。
直営既存店+オンラインの売上高前年比、
なんと122.6%。

22.6%増。

大幅伸長。

客数は99.0%だったが、
客単価が123.9%。

既存店の部門別前年比は、
衣服・雑貨が既存店108.4%、
生活雑貨は138.0%、
食品は114.0%。

生活雑貨が売れた。

理由は「無印良品週間」の実施だ。
10月27日(金)から11月6日(月)まで、
会員向けセールを行った。
無印商品メンバーには、
全品10%オフのセール。
スクリーンショット 2023-12-06 090058
11月は6日間で、
土日は4日・5日だった。

全品10%割引は、
良品計画の場合、効果が大きい。

かつて関西スーパーの北野祐次さんが、
「全品10%割引の日」を設けて、
大成功をおさめた。

それと同じだが、
違うのは会員制であること、
11日間の長丁場であること。

初めての試みではない。
今回は前年実績を上回るペースで推移した。

なかでも生活雑貨は、
スキンケアおよびキッチン用品などの
日用消耗品が売上げに貢献した。

ただしセール後は、
店舗の売上げに反動減が見られた。

これ、様々な業態で、
応用の価値はある。

ちなみに、
ユニクロnews|
11月国内既存店10.0%増、気温が低下で冬物商品が好調

ユニクロの11月も、
既存店(739店)+Eコマースは前年比110.0%。
好調だった。

11月後半に気温が低下して、
冬物商品が動いた。

感謝祭商戦、コラボ商品も好調だった。

さらに、
ニトリnews|
11月既存店8.5%増/気温低下で季節寝具寝装品の売上好調

既存店前年同月比108.5%。
客数は107.0%、客単価は101.3%。

TVCM効果、気温の低下が理由だ。

専門店チェーンの御三家、
11月好調。

仕掛けをしたから、
成果が出た。

それにしても、
MUJIの全品10%オフ。

価値のあるものすべてを1割値引きすると、
これだけ売れる。

価値が認められないものを、
いくら値引きしても売れない。

〈結城義晴〉

2023年12月04日(月曜日)

小松左京「大阪万博奮闘記」の「手段と目的」

Everybody! Good Monday!
[2023vol㊾]

2023年第49週。
12月第1週。

いよいよ年末商戦です。

商人舎流通スーパーニュース。
ヤオコーnews|
2024年もSCを除く全店で1月1日~3日に店休日

ヤオコーが来年の三が日、
臨時休業すると発表した。

社員や従業員が年始を、
家族と過ごしたり、
規制したりできるようにするためだ。

近年はそんなチェーンストアが増えている。
万代はずっと三が日休業だし、
ロピアは4日まで営業を休む。

もちろん正月元旦に営業するイオンなどもあっていい。

それぞれの企業の理念に沿って、
それぞれに営業するのがいい。

みんなで足並みをそろえる必要はない。

しかしヤオコーはそれを、
12月1日に発表した。
いいタイミングだ。

今日は1日、月刊商人舎12月号の執筆と入稿。

午前中に来客。
小阪裕介さん。
ご存知、レジェンド小阪。
㈱JTB大阪第三事業部営業第四課長。
商人舎担当責任者。
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今年もお世話になりました。
来年もよろしく。

今週の私のスケジュール。
月曜は雑誌の記事執筆と入稿。
火曜はその責了。

きっぱりと終わらせます。

そして水曜には和歌山に出張。
店舗視察をして、
木曜は講演。

金曜は横浜商人舎オフィスで、
林博美先生と懇談。

今週も慌ただしい。
師走です。

朝日新聞「天声人語」
SF作家の小松左京。
1964年、学者ら7人で万博の研究会を発足。

『大阪万博奮闘記』に、
その奮闘ぶりがつづられている。
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そして1970年の大阪万博のテーマを決めた。
それは「人類の進歩と調和」

そして主張した。
「万博は手段であり、
目的ではない」

目的は「人類全体のよりよい明日を見出すこと、
(略)苦しみのすくない世界をつくりあげて行くこと」

コラムが問題にするのは、
開幕まで500日を切った25年の大阪・関西万博。

「聞こえてくるのは理念ではなく、
弁明や責任逃れの言葉、
経済効果の皮算用ばかりだ」

それもそうだが、
ハッとさせられることがある。

私たちの店は、
手段であって、
目的ではない。

私たちの雑誌も、
手段であって、
目的ではない。

最後は万博と同じだ。
「人類の進歩と調和」

そして顧客のための、
ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
あすへの希望。

この目的を見失ってはいけない。

弁明や責任逃れ。
経済効果の皮算用。

もちろん経済効果の議論は必須だ。
それは目的のために必須なのだ。

年末商戦の中でも、
よくよく考えておかねばならない。

それは手段であって、
目的ではない。

では、みなさん、今週も、
目的のために、
手段を使おう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年12月03日(日曜日)

植木等の「ウンジャラゲ」と「商売繁盛の1週間」

日曜日になると、
口をついて出てくる。

植木等の「ウンジャラゲ」

月曜日はウンジャラゲ
火曜日はハンジャラゲ
水曜日はスイスイスイ
木曜日はモーリモリ
金曜日はキンキラキン
土曜日はギンギラギンの
ギンギラギンの
ギンギラギンのギン
日曜日はランラランラ ランラン

この歌は植木等ショーで、
紹介された。

クレージーキャッツの植木と、
作曲家の宮川泰が、
即興のようにして作った歌だ。

私はそのテレビ番組を生で見た。
1968年の7月から12月まで。
高校生だった。

半年で終わった番組だったが、
音楽性と思想性の高い内容だった。

今、YouTubeで一部を見ることができる。
(クリックしてみてください↓)c3bd7bf02c8fcc5df07deb5f12121c4a

月曜日は休み明けで、
ウンジャラゲの気分。

火曜日はそのウンジャラゲが、
半分になってハンジャラゲ。

水曜日は仕事に慣れてきて、
スイスイスイ。

木曜日は週末に向かって、
モーリモリ。

金曜日は明日から半ドンと休みで、
キンキラキン。
(当時、土曜日は半日だけ働いた。
学校も半日の授業だった)

土曜日はもう、
ギンギラギンのギンギラギンの、
ギンギラギン。

日曜日はランラ ランラ ランラン♫

これで1週間。

しかしこのウンジャラゲ、
「商売繁盛の1週間」に、
置き換えることができる。

月曜日は日曜日のあとの、
ウンジャラゲの商売。

火曜日はさらに、
ハンジャラゲの商売。

だからイオンは、
火曜日を盛り上げようと、
「火曜市」を開催する。

万代は毎週火曜日に、
「大均一祭」を展開する。

ハンジャラゲの商売を、
盛り返そうとする。

水曜日はスイスイスイの商売。
スイスイとこなしていこう。

木曜日はモーリモリの商売。
週末に向かって元気が出てくる。

金曜日はキンキラキン。
Black Fridayも金曜日だ。

土曜日はギンギラギンのギンギラギンの、
ギンギラギンの商売。

商売繁盛、ありがたい。

そして日曜日は、
ランラ ランラ ランの商売。

これで1週間。

このウンジャラゲを、
4回やると1カ月、
13回繰り返すと、
四半期になる。

52回展開すると、
1年になる。

その1年の締めくくりが12月だ。

ウンジャラゲから、
ランラランラランで、
やり抜こう。

朝日新聞「折々のことば」
第2928回。

内容のある抽象的な観念は、
抽象的と感じない。
(岡潔)

「人間の思考は、
内容のない観念だけを相手にしていると
いずれ破産する」

江戸時代の関孝和と並んで、
日本史上最高の数学者と言われる。
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世界は「わかりきったことほどわからない」し、
人も「大きな心配ほど心配しない」もの。

「その限界を越えたければ、
逆に手許(てもと)にある
個人の問題を離れてはいけない」

商売は典型的な、
手許にある問題だ。

「実際、自己の問題を
個性的に究めたものほど
人も”共感がもちやすい”」

小林秀雄との対談『人間の建設』から。
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文系的頭脳の歴史的天才、小林秀雄。
理系的頭脳の歴史的天才、岡潔。

一つ違い。

その雑談。

本の宣伝文句。
「日本史上最も知的な雑談」

小林秀雄は1902~1983。
東京生れ。
東京帝国大学仏文科。
日本の文芸評論を確立した。

岡潔は1901~1978。
大阪市生まれ。
京都帝国大学物理学科と数学科。
「多変数解析関数論」の難題を解いて、
世界的な数学者と認識されている。

二人の雑談の中の、
岡潔の言葉。

植木のウンジャラゲは、
抽象的だ。

しかし内容があれば、
イメージが広がって、
抽象的とは感じられない。

今日も明日も、明後日も、
ウンジャラゲから、
ランラランラランで、
1週間。

それが商売の本質でもある。

〈結城義晴〉

2023年12月02日(土曜日)

ハラリの「Humility」(謙虚さ)と政治資金party券の「Rollback?」

7日間の戦闘休止。

束の間の平穏は去った。

イスラエル軍が、
パレスチナ自治区ガザへの攻撃を再開した。

すぐに196人の人々が死んだ。

この地ではなんと命が軽いのだろう。
これが2023年12月2日の世界の現実である。

深い悲しみしかない。

ユヴァル・ノア・ハラリ。
1976年、イスラエル・ハイファ生まれの、
歴史学者、哲学者。
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私より二周りも若い学者だが、
尊敬している。

『21lessons』では、
イスラエルの首相を評価した。
「シリアの内戦に巻き込まれなかったこと」は、
「ネタニヤフの最大の政治的業績だろう」

「イスラエルは、
あれほどの軍事力を持ち、
政治家は好戦的な発言をしているが、
戦争から得るものなどほとんどないことを、
承知している」

しかしそのネタニヤフが今、
一方的な戦争をしている。

ハラリ。
「悲しいかな、二十一世紀には、
戦争がそんな企てであり続けたとしても、
平和の絶対的な保証にはならない」

「人間の愚かさは、けっして
過小評価するべきではない」

「人間は個人のレベルでも集団のレベルでも、
自滅的なことをやりがちだから」

対処策は見つからないが、
少しだけヒントがある。

「人間の愚かさの
治療薬となりうるものの一つが
謙虚さだろう」

国家、宗教、文化。
もう少し現実的で、
控えめになってもらう必要がある。
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Humilityが謙虚さだ。

You are not the center of the world.
「あなたは世界の中心なんかじゃない」

ネタニヤフこそ、
それを知らねばならない。

プーチンも習も。
ゼレンスキーも。

もちろんバイデンもトランプも。

私もあなたも。

一方、日本の政界。

自民党の最大派閥安倍派。
年1回、政治資金パーティーを開催。
この際、所属議員には、
パーティー券の販売ノルマが課された。

そしてノルマを超えて販売した分は、
議員にキックバックしていた。

まだ、あくまでも疑いの段階。
東京地検特捜部が強気の捜査をしている。

政治資金規正法に抵触する。

安倍派の政治資金パーティー収入は、
2018~22年の4年間で合計約6億6000万円。
しかし収支報告書にキックバック分が、
記載されていない。

政党助成金を与えられた上に、
まだこんな姑息なことをやっている。

世界のウォルマートは、
エブリデーロープライスを展開する。
IMG_74343

毎日、特売価格で販売して、
1シーズンの間、長ければ1年間、
売価を変えない。
つまり価格を固定する。

しかしこれだけでは販売に変化が乏しい。

だから「ロールバック」をする。
エブリデーロープライスから、
さらにディスカウントする。
IMG_77233
写真の右の青いPOPがEveryday Low Price 。
左の赤いPOPがRollback。

その原資は、
計画以上に販売した商品の、
ベンダーと店の利益を充当して生み出す。

当初の期間契約において、
販売数量や販売金額を決めておく。
それを超えて販売すると、
その超えた分はキックバックされる。

ウォルマートは、
そのキックバック分を、
「ロールバック」と呼んで、
顧客に還元する。
IMG_77293
それがエブリデーロープライスの売場に、
さらにエキサイティングを生み出す。

カスタマーたちは、
躍り上がって喜ぶ。

自民党の政治資金パーティーは、
ウォルマートの売場ではない。

財界から無理やり金を集める場だ。

そのノルマや計画を超えた分は、
キックバックされて、
議員の懐に収まる。

故安倍晋三派閥会長は、
これらによって多数の議員を派閥に集めた。
そして最大派閥になった。

ウォルマートのロールバックは、
余分に買っていただいたら、
それは顧客に還元される。

安倍派のキックバック分は、
どこに還元されるのかわからない。

議員の懐から先のことは、
誰にもわからない。

だからRollbackじゃない。
収支報告書にも載らない。

ここには謙虚さはない。
Humilityはない。

You are not the center of the world.
「あなたは世界の中心なんかじゃない」

〈結城義晴〉

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