結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年09月21日(水曜日)

「流通BMS」の「インフラ共有/店頭競争」と瀬島龍三の「自らの強み」

台風15号「ロウキー」、ただ今、
横浜商人舎オフィスの上空付近に、
接近中(?!)。

そんな感じで、
吹き荒れています。

本当に真上を通過すると、
台風の目の中に入るのでしょうが。

みなさん、用心しましょう。
台風用品、防災用品、
台風通過地域は、
品切れなく。

さて、今日、
㈱イースト・プレス書籍1部の編集担当、中西庸さんから連絡。
『店ドラ』
(店長のためのやさしい《ドラッカー講座》)が、
めでたく5刷決定!!

ありがたいことです。

ずっとコンスタントに売れていますが、
9月に入って、またまた、
書店で大きく動き始めたらしい。

ありがたいことです。

各紙朝刊の一面看板コラムのうち、
朝日新聞『天声人語』と読売新聞『編集手帳』が取り上げた。
愛知県日進(にっしん)市の花火大会のこと。
「福島製の花火」が「放射能をまき散らす」などの苦情がでて、
それだけで打ち上げを中止された。

全くの無知蒙昧のほんのわずかな市民の苦情と、
主催者の腰砕けによる風評被害。

わが店、わが会社のイベントに、
こんな苦情が寄せられたらどうするか。

常にそれを考えて行動したい。

私なら、正式に事情を調べたうえで、
きっぱりと内容を説明して、
「復興支援花火」として、
一番目立つように打ち上げる。

しかしきっぱりと苦情を退ける「知識と情報と見識」は、
あらかじめ備えておかねばならない。

静岡県知事の川勝平太さんの言葉。
「無知は恐怖の源です」

「災害についての科学的知識と防災の技術的ノウハウを高めれば、
いざという時も風評に惑わされず、冷静に対応できます」

風評被害には、
知識と情報で対抗する。

これ以外にない。

しかし日進市、有名になった。

さて日経新聞の記事。
「スーパー業界2団体、
取引システム統一促す」

この2団体とは、
日本スーパーマーケット協会(川野幸夫会長)と、
オール日本スーパーマーケット協会(荒井伸也会長)。

統一を進めるのは「流通BMS」と呼ばれる取引システム。
これは本当に有意義なこと。

「インフラは共有、店頭で競争」
それが業界の在り方。

これならば、「近江商人の三方良し」となる。
「売り手良し、買い手良し、世間良し」

BMSとはBusiness Message Standardsの略。
要は受発注のメッセージを業界標準にして、
効率を上げようという試み。

小売業の商品発注は今や、
オンライン方式が一般的。
しかし一部には、
電話回線やファックスや伝票まで残っている。

それを電子データをやりとりする新しい取引システムにする。
「新システムでは伝票類の発行が不要で、
小売業やメーカー・卸の負担が軽くなる」

さらに「発注データの送受信もインターネットで短縮でき、
各企業は天候や需要に合わせて機敏な発注が可能になる」

このブログで頻繁に登場するプラネットは、
日用品雑貨や化粧品で
このEDI(Electronic Data Interchange)のシステムを完成させ、
なくてはならない機能を果たしている。

それを食品スーパーマーケットで展開しようという試みだ。

今回の「最大のメリットは費用を抑えた点」
企業単独でシステム導入を図ると、
初期費用は最低数百万円かかる。

今回、2団体が導入するシステムは、
初期費用をほぼ無料とした。

「2団体の加盟社は155社にのぼっており、
規模のメリットを生かし普及を目指す」

まずは、日本スーパーマーケット協会副会長企業のエコスが、
採用する方向で検討を始めたという。

一歩、前進。
2協会とエコスに拍手。

さてさて、今月の日経新聞『私の履歴書』はためになる。
伊藤忠商事元会長・室伏稔さん。

伊藤忠中興の祖・瀬島龍三さんに学んだこと。
日常業務で指導されたのは、3点。
(1)報告書は必ず紙1枚にまとめる
(2)結論を先に示す
(3)要点は3点にまとめる

「どんな複雑なことでも要点は3つにまとめられる」
これが瀬島さんの口癖。

これは経営者にも実務者にも、
編集者にも、学生にも当てはまる。

瀬島さんの交渉術。
「用意周到、準備万端、先手必勝」

「とにかく徹底的に準備をしてから事を始め、
とにかく相手に先んじること」

これが「必勝の道」という教え。

身近にこういった素晴らしい先輩や上司がいる人は幸せだ。
万が一、そういった人がいなくても、
見渡せば、社外にたくさんいる。

私も、典型的な後者だった。

室伏さん自身も社長に就任した時に、
素晴らしい所信表明をした。
それが今朝のくだり。

室伏さんが社長になったのは、1990年。
バブルの崩壊と湾岸危機がやって来た年。

社長としての所信表明は、
「1つの目標、2つの信念、3つの基本姿勢」。
まず目標は、「国際総合企業の実現」。

重要なのは二つの信念。
国際派らしくどちらも英語。

第一は、
「Why not? Nothing is impossible」
「なせばなる」「不可能なことは何もない」
室伏さんは言う。
「企業同士の競争は究極的には人と人との競争である。
どこが最終的に勝つかは、
会社の規模や資金力でも知名度でも、
グループ企業の支援でもない、
社員個人の『気迫』にかかっている」

第2の信念は、「More Like CI」。
「CI(シーアイ)」はかつての伊藤忠の略号。
意味は、「より伊藤忠らしく」

これはピーター・ドラッカー教授言うところの「自らの強み」である。

「企業は建物でも、決算書でもない。人である。
人と人がつくる社風こそ企業を支える無二の資産であり、
それが企業を発展させたり、衰退させたりする」

室伏さんの信念がわかる。

企業は人であり、
社員個人の気迫。

私自身は、室伏さんに、
完全に同感するものではないが、
否定するものでもない。

むしろ瀬島龍三のクールさに魅かれる。

ただしバブル崩壊後の混沌を、
室伏さんの「人間の気迫」が、
乗り切らせたことも確かだろう。

その意味で、バブル崩壊後といっても、
いい時代だったのかもしれない。

いま、私たちの前には、
それ以上の難題が山積している。

組織全体でしか、
チームワークでしか、
乗り切ることができない難題が。

<結城義晴>

2011年09月20日(火曜日)

災害列島「日本人の強み」とイオンの「2020年人材国際化・女性登用構想」

台風15号。
今度はなんと、
名付けようか。

またまたぐるぐる迷走した挙句、
スピードを上げて、
直進しつつ本州に上陸しそう。

名古屋では100万人以上に、
避難指示と非難勧告。
ことしの日本列島、
「水難」の相が深く刻まれた。

お見舞い申し上げ、
ゆめゆめご油断なきよう、
と喚起したい。

今日は、彼岸の入りの日。
先祖の霊も、
台風に驚いているに違いない。

今日から3日間は、平日。

私はこの間に、
溜まりに溜まった原稿執筆と、
10月の怒涛の海外視察のテキスト作り。

ご迷惑をおかけしている編集者の皆さん、
印刷所の皆さん、お詫びしつつ、
懸命に執筆。

読者の皆さんには申し訳ないけれど、
その合間に、ブログ執筆。

商人者ホームページで、
本編の[毎日更新宣言]の次にアクセス数が多いのが、
トップにある「行動予定カレンダー」

9月下旬からダラス、サンフランシスコ、
10月中旬にケルンとパリ、
10月下旬から11月にかけて、
ダラス、ワシントン、ニューヨーク、
そしてロサンゼルス。

ことしはスケジュールを入れすぎた。
しかし、頑張ります。

何というか、私の人生のピークのひとつが、
東日本大震災の今年に重なった。

考えてみると日本列島は、
地震、台風をはじめ、災害列島ともいえる。

それに1945年のヒロシマとナガサキの原爆、
そして2011年のフクシマの原発。

だから日本人は辛抱強くなった。
真摯で誠実な国民性を持つに至った。

これは災害列島に住む私たちの最大の「強み」でもある。

その強みを持った私たちが、
海外を訪れ、海外を知る。

それこそ「強み」を伸ばすことにつながる。

頑張ります。
人生最大のピークだと認識しつつ。

そして九州人の肝っ玉をご覧にいれます。

さて連休明けで、ニュースの少ない流通業界。
日経新聞に「イオン本社、社員の5割を外国人に」の記事。

千葉県幕張にあるイオンの本社、
その社員の外国人比率は現在、3%。

これを2020年までに5割に引き上げる計画。

まあ10年の長期計画だから、
先のこととはいえ、
いま、こういった計画を打ち出す意味は大きい。

当面はアジア展開がイオンの戦略。

それを加速するために最も大切なのが人材。
アジアの人材の戦力化を急ぐのが目的。

もちろん現地法人との人事交流も活発に進められる。

イオンはアジアでの売上高と営業利益の比率を、
2020年までに現在の数%から5割に拡大する構想を掲げる。

実際に、記事では、
「今年から中国やマレーシア、タイのほか、
米国と英国でも採用活動を始めた」とある。

そのためにアジア各国の有力大学と、
採用や教育に関する協定関係を広げる。
イオン名誉会長の岡田卓也さんは、三つの構想を掲げた。
「平和産業、人間産業、地域産業」

これが現在のイオンのテーゼでもある。

アジアの小売企業を標榜するからには、
アジアという地域産業であると同時に、
アジアの人間産業である必要がある。

このイオンのテーゼへの一歩が、
本部人員5割の外国人比率。

現在、国内外のグループ従業員数は約33万人。
すごいことになっている。
そのうち、外国人比率は約7%。

2020年ごろにはもう、どの企業においても、
これは、特筆すべきことでもなくなっているだろう。

しかし2011年のいま、
この構想を打ち上げることに意味がある。

私は、そう思う。

記事では同時に、
「女性取締役の比率」にも、
触れられている。

現在のイオングループ企業の女性取締役は、
連結会社のなかで社長4人を含め計25人、

約5%。

それを30%に高める計画。

日本の大手百貨店の取締役・執行役の比率は、
130名超のうち、3名だと聞いた。

日経の記事では、
「国内の主要企業の女性取締役比率は1%弱」と書かれていて、
イオンは現在でもその平均を大きく上回る。

イオンは、グループの現地法人からの出向や転籍を活発化させ、
人材の行き来を頻繁にし、
アジア人の女性社員をも、
経営層に積極的に登用する。

かつてイオンには、
岡田名誉会長の姉上の小島千鶴子さんという方が、
常務取締役で活躍した。

小島さんを超える女性取締役の登場を期待したい。
そのために、今後、
「優秀な人材は、幹部候補の研修」に参加させる。

私もイオンビジネススクールの講師を務めているが、
やがて外国人社員に、
『商売十訓』を教える日が来るに違いない。

ワクワクしてくる。

日本人の「強み」を生かしたうえでの国際化。
これはイオンに限らないことだ。

<結城義晴>

2011年09月19日(月曜日)

日本アクセス田中茂治の「なくてはならない卸」

Everybody! Good Monday!
[vol38]

Good MorningやGood Nightがあるのだから、
Good Mondayがあってもよいはず。

そんなことで始めた月曜日のご挨拶。
“Good Monday!”

今年1月第1週から数えて、
38回目になります。

9月第4週。
先週末の土曜・日曜から続いて、
今日は祝日の「敬老の日」で、
三連休。

新聞朝刊の一面看板コラム。

朝日新聞『天声人語』は、
「暑さ寒さも彼岸まで」で秋分の日の話、
読売新聞『編集手帳』は、
ジェットコースターと内閣支持率の話。
毎日新聞『余禄』は、
「東京・両国国技館」の栃東の優勝額の話。
<しかしなぜこの『余禄』の今日のコラムは、大相撲まで到達しながら、
そこにある「年寄り」という役職に気がついて、それに言及しないのだろう>

その中で、日本経済新聞『春秋』。
アメリカの女優ベティ・デイビスの言葉を引いた。
「年をとるのは、弱虫にはできない」

「一癖も二癖もある悪女を演じてずぬけた女優」と評する。
「新藤兼人・私の十本」(立花珠樹著)に紹介されていた逸話。

このコラムは「弱虫にはできない……」から、
話が「作家・吉村昭のささいなこだわり」に移っていくが、
私は「年をとる」が大事だと思う。

「年をとるのは、弱虫にはできない」とすれば、
「弱虫は年をとれない」となる。

年をとっていくと、
いろいろなものを見、
いろいろなことを知る。
いろいろなことを経験し、
体験する。

それらに耐えなければならない。

辛いことばかりで、
だから弱虫は年をとれない、となる。

もちろんベティ・デービスは女優だったから、
年をとる醜さをさらすことができる女優は、
「弱虫ではない」といいたかったのか。

いや、この発言をすること自体そうだが、
年をとるとは、自分の矜持を確かにすることなのだろう。

ベティ・デービスは自分の女優としての「かわいさ」を知っていて、
あえてそれを誇示して見せたとも考えられる。

年をとると、「かわいらしさ」を取り戻す。
それは人間の本質に戻っていくからだと思う。

かわいい年寄り、
うつくしい年寄り。

するどい年寄り、
かしこい年寄り。

私の父母は、85歳。
私は59歳になった。

「年をとるのは、弱虫にはできない」
この言葉を父母に贈ろう。

第38週の今週は、
「敬老の日」から始まって、
火曜、水曜、木曜が平日。

そして金曜日の23日が祝日の「秋分の日」。
秋分の日は「彼岸の中日」で、
前後3日間が彼岸会。

だから明日の20日からお彼岸に入り、
来週月曜日に彼岸が明ける。

今週は一連の彼岸週間でもある。

こういった大きな風習やイベントがあるときの商売は、
たいてい、やることが決まっていて、
全力を挙げて、仕事に打ち込めばいい。

まさに「疾走せよ、疾駆せよ」
今月の商人舎標語。

さて、日経新聞の『私の課長時代』に、
日本水産社長の垣添直也さんが登場。

東京水産大学を出てから、日本水産に入社し、
13年間、捕鯨船勤務だった。

その時に経営のすべてを学んだ。

「駕籠かきの教訓」ではないが、
鯨を捕って、鯨油をつくる仕事をしながら、
経営の意思決定やマネジメントを学んでいた。

シケが迫る南極海で、
鯨を捕ることそのものの意思決定に関して、
船団長と論争していた。

「ここで究極の状況下での判断に直面」。
船団長から「極限での判断力の大切さ、
決断するリーダーの責任の重さを教わりました」

日本水産という会社の良さ、すごさが、
この言葉に出ている。

日経MJの『底流を読む』。

このブログではお馴染みの白鳥和生さんが書く。
白鳥さんは現在、日本経済新聞社消費産業部次長。

タイトルは「50年迎える問屋無用論」。
林周二著『流通革命』発刊から50年。
「現在問屋を通過している消費財中の相当部分は、
メーカーから巨大小売り連合の倉庫などへの直卸形態へ移行する」

その結果、「問屋機能は大幅に排除されるだろう」
これが林の指摘。

しかし私は、思う。
そうなったともいえるが、
そうではなかったともいえる。

白鳥さんは「問屋」に対して二つの提案。
第一は、「ROIを考えた販促策を提案できる力」
そのために「顧客ID付きなどのPOSデータを活用・分析し
クロスMDなどを推進できる人材の育成が求められる」

第二は、「物流・情報システムを活用したローコストオペレーション」。

中小卸の生き残りには「ラックジョバー」への道も提案。

最後に日本アクセス社長田中茂治さんの言葉、
「なくてもいい卸、あってもいい卸から、
なくてはならない卸を目指す」

しかしこの田中さんの言葉、
「卸」や「問屋」に限ったことではない。
「会社」や「店」そのものに当てはまる

「なくてもいい小売り、
あってもいい小売りから、
なくてはならない小売り」

「なくてもいい店、
あってもいい店から、
なくてはならない店」

「なくてもいいメーカー、
あってもいいメーカーから、
なくてはならないメーカー」

「なくてもいいメディア、
あってもいいメディアから、
なくてはならないメディア」

問屋無用論は、
どうも卸売業界全体に、
「被害妄想」というトラウマを与えてしまったようだ。

三菱食品最高顧問の廣田正さんは、
入社と同時に『流通革命』が発刊され、
地獄に突き落とされた気分だったが、
直後に米国から帰国した先輩が、叫んだ。
「廣田君、あのアメリカでも問屋が生き残る道があったよ」

廣田さんはここから出発して、
2兆円を超える「菱食」を作り上げた。

林周二の『流通革命」とは、
製造業、卸売業、小売業の社会的機能が、
転換を遂げ、新しい流通が生まれることを、
示唆したものだった。

その新しい流通を成し遂げた者だけが、残った。
残ったものは、巨大な「残存者利益」を享受した。

いまも、そうだ。

こんなに大きなイノベーションは今後、ないかもしれない。
しかし持続的なイノベーションを成し遂げる者だけが、
今後も生き残る。

そして、こうなるに違いない。

かわいい会社、
うつくしい会社。

するどい会社、
かしこい会社。

企業も店も、
問屋もメーカーも、
メディアも。

「敬老の日」
そんな思いが強い。

では、みなさん。
そして、父母へ。

Good Monday!

<結城義晴>

2011年09月18日(日曜日)

ジジと秋の結婚式[2011日曜版vol38]

20110918170225.jpg
ジジです。

秋なのに、
あつい。

「残暑」です。

それでも、
ずいぶんと、
秋がやってきている。
20110918170248.jpg

たとえば、
寝やすい。
20110918171129.jpg

キモチよく、
寝ることができる。
20110918171139.jpg
これは、
秋がやってきている証拠です。

ダンボールのおうちのなかは、
ひるまでも、カイテキ。
20110918171222.jpg
これも秋がやってきている証拠。

ユウキヨシハルのおとうさん、
昨日は、結婚式に参列した。
20110918171100.jpg

むかしの教え子。
ツカサくんの結婚式。
20110918171119.jpg
結婚式があるというのも、
秋がやってきた証拠です。

「実りの秋」というくらいです。
20110918171233.jpg
ウェディング・パーティも、
シンプルでよかった。

おとうさんは、
いつものように、
ひとこと、ごあいさつ。

「インテグリティ」というコトバを、
ツカサくんにおくった。

ふたりのかわいいケーキカット。
20110918171157.jpg

そして
さいごにお礼のコトバ。
20110918171207.jpg
ツカサくんは、
おまわりさん。

制服が、とても、
よく、にあっていて、
りりしい。

ふたりのしあわせを、
いのりました。
20110918171243.jpg
秋になると、
いろいろなことが、
実をむすびます。

秋をつかさどるひとがいたとしたら、
それが、かれのシゴトです。

ツカサくんも、
いいシゴトをしてほしい。

おとうさんは、
そう、おもいました。
20110918171252.jpg
そしておとうさんも、
いいシゴトをしようと、
おもいました。

秋は、
そんなときです。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年09月17日(土曜日)

『私の履歴書』室伏稔さんが語る伊藤忠・中興の祖「瀬島龍三の心得」

尾崎放哉。
自由律俳人。
人をそしる心をすて豆の皮むく

うつろの心に眼が二つあいてゐる

私は、渥美清の風天もいいし、
もちろん種田山頭火も好きだ。
自由律俳句の先駆者・河東碧梧桐の勇敢さは、
すごいと思う。

しかし江國滋さんは、
『俳句とあそぶ法』の中でこき下ろしている。
江國さんは演芸評論家、エッセイストで、
滋酔郎という俳号を持つ俳人。

分け入れば水音
 山頭火

「これを俳句と呼ぶ気に、
私はどうしてもなれない」

「同じく放浪俳人――というより、
『物乞いアル中俳人」といったほうが
実像に近いと思われる尾崎放哉の句にいたっては、
もっとひどい」

咳をしても一人

肉がやせて来る太い骨である

「これが俳句といえるだろうか。
咳をしても一人。
甘ったれるのもいい加減にしろ。
肉がやせて来る。
不摂生の報いじゃないか」

江國さんはまとめる。
「俳句は、五七五がよろしく」

「憲法にさえ五七五はある。
日本国憲法第二十三条。
学問の自由はこれを保障する」

江國さんからいただいた私の蔵書には、
ご自身のサインがある。

エラそうなことばっかりぞ日記果つ

私は、是々非々派。

必ずしも五七五にはこだわらない。
よいものは、よい。

今週は、ふと、風天に巡り合い、
そこから自由律俳句の間を、
ちょっとだけ漂った。

そんな気分だった。
そう思ってください。

台風去り
残暑残りて
秋に入る

そんな季節の変わり目の私の心に、
自由律俳句が入ってきた。
それだけのこと。

さて日経新聞最終面の『私の履歴書』
元伊藤忠商事会長の室伏稔さんの連載は好調。
今朝は「瀬島龍三さん 短い間だが謦咳に接す」

今日の冒頭は、
「室(室伏)さん、ありがとう。
伊藤忠を頼むよ。日本を頼むよ」

瀬島龍三さんとの最後のお別れ。
「小さな声で私にこう言うと、
ほっとしたように目を閉じられた。2007年夏」

瀬島龍三は戦前、帝国陸軍参謀本部の作戦参謀。
敗戦、シベリア抑留、帰国、そして伊藤忠入社。
繊維専門商社を総合商社に業態転換させた「伊藤忠の中興の祖」。

「瀬島学校」と呼ばれた業務本部のスタッフ集団は、
参謀本部の組織モデルを採用したともいわれるが、
瀬島の考えは「重要な部署ほど少数精鋭」
これ、本当に大切です。

ただし、
少数であっても、
精鋭でなければならぬ。

室伏さんが瀬島さんから「耳が痛くなるほど強調された」のが、
縦割り組織に対する横ぐし。

「総合商社にとって強さと弊害の両面性を持つ『部門縦割り』に
部門横断的な総合調整機能という『横ぐし』を通すことの重要性」

そのうえで、瀬島龍三がつくった「心得」。
これがいい。

(1)「着眼大局 着手小局」
――目標は高く、広く、長期的に。実行は着実、綿密に

面白いことに、
着眼大局・着手小局は、オクシモロンで、
シンク・グローバル、アクト・ローカルに通ずる。

(2)戦略は戦術をカバーするが、
戦術は戦略をカバーできない

これは「組織は戦略に従う」
アルフレッド・チャンドラー・ジュニア。

だから「縦割り」に対する「横ぐし」の発想が出てくる。
こちらはチェーンストアの作演システムに通ずる。
こちらは安土敏。

(3)心得メモ

・仕える上司の意図をよくつかみ、誠心誠意仕えるべし
・勉強せよ。経済情勢、業界情勢、営業・商品知識
・謙虚たれ
・営業部門とは御用聞きのつもりで接するように

私は「謙虚たれ」と「勉強せよ」が好きだ。

室伏さんが瀬島龍三のことを悪く書くはずはないが、
その瀬島への批判も、実は多い。

ここでも、是々非々で判断するのがよかろう。
「瀬島心得」は是なり。

今日から三連休。
月曜日の「敬老の日」まで。
みなさん、良い週末を。

<結城義晴>

2011年09月16日(金曜日)

種田山頭火の「自由律俳句」と「菱食」廣田正の「商人の二つの条件」

心に残って、
風天の句を、
もうすこし。
昨日のつづき。

「風天」とは、
フーテンの寅さんこと、
故渥美清の俳号。

赤とんぼじっとしたまま明日どうする

これは、種田山頭火に通ずる。

続いて、風天。
コスモスひょろりふたおやもういない
ひょろり、がいい。

ベースボール遠く見ている野菊かな
私はこの視線が好きだ。

股ぐらに巻き込む布団眠れぬ夜
これは、寅さんのフーテンかと思いきや、
やはり風天だ。
寅さんには眠れぬ夜があるかしら、
いや、ないはずだ。

酒飲みの句もある。
一っ杯めのために飲んでるビールかな

とりあえずビールではじめて、どぶろくで終わる。
どぶろくやはらかく噛んで眠くなってくる

いいですね。

対して種田山頭火。
山頭火は尾崎放哉と並んで、
自由律俳句の秀作を溢れる如くつくった。

山頭火は家業の造り酒屋が破たんし、古本屋の商売も失敗し、
離婚し、出家し、後年は、山を歩き、放浪した。

造り酒屋だけあって、
酒飲みだった。

泥酔への過程。
「まず、ほろほろ、
それから、ふらふら、
そして、ぐでぐで、
ごろごろ、ぼろぼろ、
どろどろ」

「肉体に酒、心に句、
酒は肉体の句で、
句は心の酒だ」

山頭火は風天に通ずる。
しかし渥美清は、酒に関して、
「ぐでぐで、ごろごろ、
ぼろぼろ、どろどろ」では、
なかった。

山頭火の句で、もっとも知られているのが、これ。
分け入つて分け入つても青い山

挫折の句が、またいい。
まつすぐな道でさみしい

これもひとり山歩きの句。
すべつてころんで山がひつそり

しかし、うれしいこともある。
こんなにうまい水があふれている
小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

いま、ちょっと大きな書店に行くと、
俳句コーナーには山頭火の本が連なっている。
お天気がよすぎる独りぼつち

自然と自分。
その対比。
こころ疲れて山が海が美しすぎる

何というか、常とは異なる残暑のいま、
自由律の俳句がぴったりの気分。

さて「リアルとネットの融合(?)」。
日経新聞に、記事。
「全国1200店の価格、グーグルで比較」

グーグル日本法人が、
「グーグルローカルショッピング」をスタートさせる。
「ローカル」と銘打っているところが味噌。

全国リアル店舗約1200店の商品価格や在庫情報を、
毎日、インターネット上に公開するサービス。

リアルはいまのところ、7社の店舗。
ヨドバシカメラ、マツモトキヨシホールディングス、良品計画、
東急ハンズ、ローソンHMVエンタテイメント、
「ブックファースト」の阪急リテールズ、
そして福岡のスーパーマーケット西鉄ストア。

7社は、商品情報を毎日、グーグルに提供。
消費者は検索サイトを通じて商品価格などを比較できる。

値決めや在庫情報がネットを通じて公開される。

パソコンやスマートフォンでの利用を想定する。
「当初は数百万点の商品が検索可能」。

「併せてネット通販サイトでの価格・在庫情報も表示」される。

手順はシンプル。
小売企業は基本的に、毎日1回以上、
売価と在庫のデータをグーグルにインターネットで送る。
小売企業の参加費用はない。無料。

逆に、グーグルに情報提供するのだから、
小売業に「チャリン」と代金が入るかというと、
それはない。
グーグルは、
コンビニやカジュアル・ファッションチェーンなどとも交渉中。

「来年末までに参加企業を100社程度」に増やしたい意向。
もちろんこのサイトにはリスティング広告などが入って、
検索件数が増えれば増えるほど、
広告収入は高くなるし、広告本数は増える。
つまりグーグルが儲かる。

問題は小売業側。
記事では、こう表現されている。
「流通側にとってはグーグルを通じて非公開だった情報を流す形になる」
そして「自社サイトだけで価格情報などを公開するより、
消費者の利用が格段に期待できるグーグルと組むことで、
『新しい消費者に来店してもらう機会につながる』メリットがある」

インターネット・モールの楽天などと同様に、
「胴元儲かる」の図式。
小売業側には「乗り遅れたらまずい」の意識が生まれるかもしれない。

記事はまとめる。
「参加企業が増えれば、
従来以上に価格競争にさらされる可能性もある」

ある消費者が、ある商品名を打ち込む。
するとこのサイトに協力している店の売価が比較される。
サイトに出ていない店は、存在しないかのごときものとなる。

ただし、それも、このサイトを、
どれだけの消費者が、どんな時に、
見るかにかかっている。

韓国ではもう、10年以上も前から、
「割引店」や「スーパーマーケット」の価格が、
ネット上で公開されて、使われていた。

価格を上げたり下げたりの商売、
すなわち「ハイ&ロー」の場合は、
これも役に立つかもしれない。

家電のように新製品が次々に出て、
価格競争する場合も、このサイトの意味はある。

しかしエブリデーロープライスの企業や店の場合、
顧客にとってどれだけの意味を持つか。

グーグルは昨年末、アメリカでこのサービスを始めた。
百貨店メーシーズや家電量販店ベスト・バイなど数十社が参加。
一定以上の成果が上がっているというが、
やはり高額品ならば、ニーズがあるということだ。

さて今日は、大阪からとんぼ返って、
東京・平和島の三菱食品本社。
20110916143401.jpg

最高顧問の廣田正さんと面談。
20110916143416.jpg

「廣田の前に廣田なく、
廣田の後に廣田なし」

菱食という会社はまさに、
そうなってしまって、
いま、三菱食品。

食品産業のこと、
スーパーマーケット産業のこと、
卸売産業のこと。

今日は廣田さんから、
いつも以上に辛口のコメントが発せられて、
私はすべて、同感。

産業化するときには、
ビジョンが必須です。

それがないと、
産業とは呼べない

大きくなっても、
統合しても、
烏合の衆では、
意味がない。

学習院大学院長だった故田島義博先生の有名な言葉。
「膨張と成長は異なる」

私は、日本産業全体の空洞化が叫ばれる中で、
むしろ、流通業・サービス業の基幹産業化の軌道が、
明確になったと、意見を述べた。

20110916143430.jpg
コーネル大学ジャパンについても、
廣田さんは率直に語ってくださった。

最後に、廣田さんは提唱する。
「商人の二つの条件」。

第1にプレゼンス。
すなわち存在価値、存在の意義。
それがない商人は、残らない。

社会にお役立ちする存在。

それがなんなのか。

変わっていく社会の中で、
いかに存在の意味を見出していくのか。

流通業やサービス業だけではない。
すべての企業、すべての人間が、
自らの存在価値を明確にしなければいけない。

そのうえで、
第2はベネフィット。
つまりは利益を出すこと、
しかし相手に、顧客に、
その自分の利益以上のベネフィットを提供すること。

これなくしては、
存在することはできない。

こんなにうまい水があふれている
山頭火の視点は、
商売にも当てはまる。

<結城義晴>

 

 

 

2011年09月15日(木曜日)

故渥美清・俳号「風天」の「蓋あけたような天で九月かな」と大阪屋友の会での「店ドラ」講演

新聞の「社説」欄。
各紙の主張がストレートに出て、
比較すると面白い。

一昨日の野田佳彦新首相の所信表明演説を受けて、
昨日、各党の代表質問があり、
今朝の社説は、その与野党のやり取りへの注文が並んだ。

朝日新聞の社説のタイトルは、
「代表質問―谷垣さん、広い度量で」。
谷垣自民党総裁に対して、注文を付ける。
「批判の中身にはうなずける点もあるが、
激突ばかりで政治を停滞させてはならない。
自民党は与野党協議に応じるべきだ」

一方、日経新聞のタイトルは、
「各党は論争通じ責任果たせ」

日経は民主党に一番、注文を出す新聞。
「野党との政策連携に意欲を示したが、
どう接点を見いだしていくのかという戦略は伝わってこなかった」

最後に読売新聞。
社説のタイトルは、
「代表質問 与野党協調の国会へ転換せよ」
踏み込んで、「与野党協調⇒大連立」を主張する。
「与野党に求められているのは、
不毛な対立ではなく党派を超えた協力である」

私たちは、それぞれの新聞の主張は、
全く無視してよろしい。

誰かが言ってるな、程度でいい。

自分の目で見、耳で聞き、
自分で考え、判断する。

他は、あくまでもその材料。

私たちは政治に対しても、
「脱グライダー」でなければならない。

しかし自分のビジネスに関しては、
新聞における「社説」のようなものが必要だ。
小売業やサービス業の店にも、
「社説」があってよい。

かつて私は商業界の雑誌の巻頭言に書いた。
「沈黙は金、雄弁は銀」ではなく、
小売業やサービス業では、
「雄弁こそ金」
である。

だから日々、
「社説」のようなものがほしい。

社長の社説、
店長ならば「店説」。

できればそれが、
商品やサービスとして、
具現化されていてほしい。

読売新聞の一面コラムは『編集手帳』。
今朝は故渥美清の俳句を取り上げた。

渥美さんは、俳号を「風天(ふうてん)」と称した。
『男はつらいよ』の主人公“フーテンの寅”からとった「風天」。

その秋の秀句を紹介。
〈ゆうべの台風どこにいたちょうちょ〉
〈秋の野犬ぽつんと日暮れて〉
〈赤とんぼじっとしたまま明日(あした)どうする〉

すごく、いい。
風天の句は自由律で、
必ずしも五七五ではない。

俳人尾崎放哉は種田山頭火が好みだったらしい。
放哉の句。
「咳をしてもひとり」
「心をまとめる鉛筆とがらす」

これなど渥美の句に繋がる。

自由律、いい。

渥美さんの句集も出版されている。
『渥美清句集 赤とんぼ』(本阿弥書店)
『風天 渥美清のうた』(大空出版)

私は<ちょうちょ><赤とんぼ>が好きだが、
以下の句もとてもいい。
蓋あけたような天で九月かな
渥美47歳の句。1975年。

朝寝して寝返り打てば昼寝かな

これも47歳の作。

やわらかく浴衣着る女のび熱かな

1992年、64歳の句。
これ、渥美清らしくなくて、
しかし渥美清の本質の部分が出ていて、いい。

さて今日は、朝から大阪。
出版取次販売会社の大阪屋は、
西日本に強い書籍・雑誌の大手問屋。
業界第3位。

1995年から、東大阪市に、
「関西ブックシティ」という出版流通拠点を設けているが、
「大阪屋友の会」という書店のグループを組織している。

今回は大阪屋友の会の講演。
20110915192520.jpg

副会長の高坂喜一さんが最初にご挨拶。
㈱コーサカと高坂書店の代表取締役社長。
20110915192534.jpg

司会は、冨士原純一さん。
有限会社冨士原文信堂代表取締役。
20110915192601.jpg
講師紹介や講演後のまとめなど、
丁寧に対応してくれた。

書店の経営者、店長の皆さん対象ということで、
『店ドラ』の内容をわかりやすく解説しようと思った。
20110915192548.jpg

もちろん、アメリカのアマゾン・ドット・コムが、
店数0店ながら、毎年25%も伸びていて、
現在329億ドルの巨大企業となっていること、
対して書店第1位のバンーンズ&ノーブルは、
1343店ながら、売上げ57億1500万円で、
このところ赤字続きで、
売却の話題に事欠かないこと、
第2位のボーダーズは、
連邦破産法適用申請してしまったことなど、
「紙(カミ)と網(アミ)」についてもコメントした。
20110915192627.jpg
そのうえで、
第1章の「お客様」から、
第2章の 「お店」、
第3章の 「マネジメント」、
第4章の 「組織づくり」まで、

丁寧に語った。

この中で、第2章の「事業〈店〉の三要素」
第一は、組織を取り巻く環境。
第二は、組織の使命すなわち目的。
第三は、使命を達成するために必要な強みについての前提。

環境と使命と強みの三要素によって、
事業や店舗は決まってくる。

強調したのは、
「マネジメントの三つの役割」。
第1は自らの組織に特有な使命を果たすこと。
第2は、仕事を通じて働く人たちを生かすこと。
そして第3は、自らが社会に与える影響を処理するとともに、
社会の問題について貢献すること。

さらに、第5章の 「マーケティング」と「イノベーション」。

付録は「時間管理」と「フィードバック分析」。
これはドラッカーの考え方を実践する方法。

あらためて『店ドラ』を語って、
私は気分爽快だった。

ご清聴を感謝する。
20110915192614.jpg
ドラッカーは、読む者を、
気分爽快にしてくれる。
頭の中をすっきりさせてくれる。

語るだけで、爽快になる。
聞くだけで、すっきりする

蓋あけたような天で九月かな

風天の句を、
思い出していた。

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人
海外研修会
2026年USA研修会
国内研修会
第18回 ミドルマネジメント研修会

東北関東大震災へのメッセージ

商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2026年8月
« 7月  
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.