結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年11月04日(水曜日)

「奢れる者は久しからず」と「鳥の目・虫の目・魚の目」

朝日新聞の社説「貧困が映す日本の危機」。
2007年の相対的貧困率15.7%。
2004年の14.9%は、
経済協力開発機構(OFCD)加盟30カ国中4番目に高い。
すなわち4番目に貧困層が多い。

ただしこれは、相対的な割合の問題。
国民の一人あたりの所得に比べ、
真ん中以下の人がどれだけの比率で存在するかという率の問題。

朝日新聞には書かれていないが、
2007年の一世帯あたりの平均所得額556万。
前年対比で1.9%マイナス。
過去を振り返って最高だったのは1994年の664万円。

この水準で国際比較すると、
4番目に貧困率が高いことは、
あまり問題とはならない。

ただし労働者1人あたり所得は313万で、過去最低。

日本は、非正規労働者が3割以上を占めていて、
この層が平均所得を押し下げている。

結果として、
「ひょうたん型」の所得社会になっている。  
中流層がやせ細り、
高所得者と低所得者に分かれる。

朝日新聞らしい主張で、
公平と平等の社会のために、
正規労働者と不正規労働者の間に、
同一労働同一賃金の原則やワークシェアリングの考え方を、
取り入れるべきだというもの。

私も、この面では賛成。

大多数の低所得者、
少数の高所得者。
これらによる「ひょうたん型」の消費社会。  

マーチャンダイジングとプライシング。
その基本的な考え方は、ここにある。

ドン・キホーテが好調を維持し続けたのは、
このひょうたん型社会をいち早く察知し、
対応しているからだ。

一方、日経新聞の今日の「交遊抄」がいい。
「おごれる者は」のタイトル。  
元米国日産社長の片山豊さんが、
デビッド・ハルバースタムとの交流を描いている。  

ハルバースタムは、
ピューリッツァー賞受賞のジャーナリスト。
名著『覇者の奢り』を書いた。

100歳の片山さんの見解の面白さは、次の言葉にある。
「エコカーは便利だし企業の利益には貢献するが、
人間の五感で運転する楽しさは乏しい」  

これを「自動車業界の憂うべき事態」と断じている。

この「エコ」全盛のときに、
「五感の楽しさ」を忘れるな、と教える。
これが、いい。
とても、いい。

こんな100歳に、私はなりたい。  

さらに片山さんは言う。
「経営陣も投資家も足元の損得に目を奪われがちだ。
堅実な自動車づくりと経営とは何か」

ハルバースタムとの会話を思い出しながら、
平家物語の教訓を静かに訴える。
「奢れる者は久しからず」  

さて、「鳥の目、虫の目、魚の目」。  

私がアメリカに降り立った時の第一声にしているのが、
この言葉。

たった1週間、10日間、アメリカを訪れて、
30店ほどの店を見る。
10数人のアメリカ人に会う。

それで、何を学ぶことができるのか。
「鳥の目」と「魚の目」がなければ、
役には立たない。

「虫の目」だけで、
アメリカ小売業を見てはいけない。
これが私の第一声。

「虫の目」とは、現場を見る力。  
細部まで丁寧に「見極める能力」。  
「Retail is detail」だからこれは大事。
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しかし、不慣れなアメリカ流通業を「虫の目」だけで見ると、
大きな間違いを起こす。

「鳥の目」は、大局を見る力。  
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。  
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従って、例えばスーパーマーケットならば、
それだけ見ても意味がない。
勉強にならない。
とりわけ、アッパーグレードの店だけ見ても、
何の意味もない。
ディスカウントの店だけ見ても、
間違いを起こす。

従って私は、全体像を描き出す膨大な資料を用意し、
この解説に力を入れる。

ウォルマートの本質が分からなければ、
クローガーやセーフウェイの好調さを軽視しては、
ウェグマンズやホールフーズは理解できない。

そして「魚の目」は、流れを見る力。  
時間の流れの中で、現在と未来を「見通す能力」。  

アメリカ小売業は、日本よりも過激に、急激に動いている。
その時代の流れを見通さねば、「現在」は分からない。

私は、1978年9月に初めてカリフォルニアを訪れた。
ペガサスセミナーの一員として、
当時の米国チェーンストアを、
渥美俊一先生から直々に叩き込まれつつ、
猛勉強した。

1カ月後、今度は高山邦輔先生と、
2週間かけて、全米を回った。
ロサンゼルス、サンフランシスコの西海岸から、
カンザスシティ、シカゴといった中部アメリカ、
そして東海岸のニューヨーク、ニュージャージー。
これもアメリカの広さ、地域ごとの違いを、
私に学習させた。

1年半後に、今度は食肉の世界をバーティカルに学んだ。
フィードロットと呼ばれる牧場。
屠場と解体場。
プロセスセンターと小売業外食業、
さらに家庭のキッチンから食卓の上、
冷蔵庫の中まで。

このとき、私はアメリカンカッティング方式で、
枝肉のカッティングを実際に体験した。

渥美俊一先生にはとてもかなわないが、
そんなことを32年間続けてきて、
現在の私がある。

これは、私の「魚の目」になっている。
アメリカ小売業、アメリカ消費産業、アメリカ社会を、
観察し、考察し、分析するときに必須の「魚の目」。

そして商人舎のUSA視察研修会は、
この私の「鳥の目」「魚の目」をもとに、
全員で「虫の目」を働かせることに終始する。

全員に「鳥の目」「虫の目」「魚の目」を、
まっさらなところから学びとってもらうことを、
目標とする。

そのことで、「人」が「変わる」。
「自ら、変わる」。  
「イノベーション」と「モティベーション」が生まれる。  

ここで特に重要なのは、
「鳥の目」と「魚の目」なのだと考えている。

日本社会が「ひょうたん型」になってきた。
しかし、ここで成功を収めていても、
「鳥の目」「魚の目」がなければ、
「奢れる者は久しからず」になる。

もう一度、言おう。
「虫の目」とは、現場を見る力。  
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。

「鳥の目」は、大局を見る力。  
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。

「魚の目」は、流れを見る力。  
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。

知識商人に、三つの目が必須であることは、
論をまたない。

そして、あえて「四つ目の目」をあげるとするならば、
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」である。  

<結城義晴>  

[追伸]
商人舎第6回USA視察研修会は、
来年3月開催の予定です。
(㈱商人舎スタッフ一同)

2009年11月03日(火曜日)

文化の日の結城ゼミ合宿と「ドラッカーの時間管理」

文化の日です。  

今日は、晴天になる確率が極めて高い。
だから「晴れの特異日」でもある。

例によって、「祝日法」によると、
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」のが、
「文化の日」の趣旨。

わが日本国憲法は、
1946年11月3日に、公布され、
1947年5月3日に、施行された。  

そこで、11月3日を「文化の日」、
5月3日を「憲法記念日」とした。

その意味で、文化の日と、
ちょうど半年後の憲法記念日は、
対になっている。

ただし、11月3日は、明治天皇の誕生日。
明治時代には「天長節」、その後は「明治節」といって、
現在の12月23日の天皇誕生日の祝日のようなものだった。

明治節に日本国憲法公布を合わせて、
それを「文化の日」の祝日としたというのが、真相。

日本帝国憲法と真反対の日本国憲法を公布する日を、
帝国憲法をつくった明治天皇の誕生日「明治節」にした。

このあたり、マッカーサーの思惑だったのか、
日本特有の折衷主義だったのか。

とかく、曰く因縁の文化の日。
しかし今日も、快晴です。  

快晴といっても、昨日は、
近畿地方に木枯し1号が吹いて、
いよいよ、冬の到来。
例年より16日も早かった。

さて、昨日から埼玉県新座市。
立教大学新座キャンパス。
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その敷地内にある研修施設「太刀川記念交流会館」で、
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科・結城ゼミの合宿。
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太刀川記念交流会館は、
現在のソニー創業メンバーの故太刀川正三郎氏の篤志で設立された。
建物の外観、館内のデザイン、使い勝手が素晴らしい。
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私たちは、その会議室Aを二日間借りて、合宿。
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成果は、計り知れない。

立教大学院生には、11月14日までに、
修士論文、調査研究、ビジネスプランといった卒業課題の仮提出が求められる。

そのための最終合宿。

結城ゼミは、今年から始まった。
だから学生も指導教授の私も、真剣。
それが今年度、3回目の合宿となった。
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ピーター・ドラッカー教授の「ポストモダンの七つの作法」。
その最後の七つ目は「モダンの手法を使う」。
その代表的な手法の一つが、
「ドラッカーの時間管理」。  

まず第一に、「時間を記録する」。  
継続して時間を記録し、毎月それを見る。
忙しい人は、年に2回、4週間ほど時間の記録をとる。
自分で几帳面に記録してもいいし、
秘書やパートナーに記録してもらってもいい。
その自分の時間記録を、見る。

第二に、「時間を管理する」。  
1.まず、する必要の全くない仕事を捨てる
2.他の人でもやれる仕事はなにかを見つけ、それを他の人に任せる
3.自らがコントロールし排除できる浪費時間の原因を排除する

ここで気づくことの一つ。
意外にも、自分が他の人の時間を浪費しているケースが多いこと。

第三に、「時間をまとめる」。  
すなわち、自分で自由に使える時間を、
大きくまとめてつくること。

まる1日。あるいはまるまる2日、まるまる3日。
欲を言えば、1週間。さらに2週間。
1カ月もまとめて時間をつくることができれば、何でもできる。

単行本の2、3冊もかけるだろうし、
英語のマスターもずいぶん進むだろうし、
ゴルフのシングルにもなれるかもしれない。

ドラッカーは最後に言う。
「時間を管理できなければ、何もできない」  

この「時間をまとめる」のがゼミ合宿。
合宿は、その上に切磋琢磨という「おまけ」が付いてくる。

今回も、大きな成果が得られた。

夕食は、近くの「江戸沢」。
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ちゃんこ料理のチェーンレストラン。
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満腹と満足。
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しかし、まだまだ、
研究と執筆は深夜まで続いた。

私たちの文化の日は、
まさしく文化的な一日となる。

多謝。

<結城義晴>  

2009年11月02日(月曜日)

11月は「じっと我慢の月」「トータル在庫削減の月」「希望・努力・感謝の月」

Everybody! Good Monday!  

2009年も11月に突入。
あと2カ月。

悔いのない、充実した日々を、
送りたいものです。

この一瞬の積み重ねこそ、
君の真商人としての全生涯  

故倉本長治先生は、こう言って、
商人を鼓舞し続けました。

これは、ヤン・カールソンの『真実の瞬間』に通じます。
カールソンはスカンジナビア航空を立て直した人。

「われわれは毎日、
5万回もの『真実の瞬間』を経験している」  

こう語っています。

お客様との接点を「真実の瞬間」と呼びます。
それがサービス業や小売業には、
1日に5万回もあります。

その瞬間をマネジメントし、コントロールする。

たいへんな仕事ですが、
「真実の瞬間」を大切にし、
レベルを維持・向上させることができる店に、
顧客は続けて来店してくれるのです。

倉本長治先生は、「この一瞬」と呼びます。

これから12月末までの、
「一瞬一瞬」を、「真実の瞬間」を、
充実させたいものです。

さて、11月の祭日は、
明日11月3日の文化の日と、
23日(月曜日)の勤労感謝の日。  

そして、月末には、
多くの企業で従業員にボーナスが支給される。

だから、11月自体は、
「ずっと我慢の月」となります。
お客様もお店も。

「節約、倹約。もったいない」  
家庭でも、節約、倹約、もったいない。
家庭では、買い控えする。
無駄なものは買わない。
必要なものも我慢する。
本当に、今、必要なものだけ買う。

店舗でも、節約、倹約、もったいない。
お客様の買い控えに対応して、少容量、小サイズ展開。
お客様の無駄に呼応して、品揃えを絞り込む。
本当に必需のものをぎりぎりの低価格で提供する。
そして店頭でも後方でも、センターでも、取引先でも、
在庫を最小限にして、商品回転を上げていく。

ここで重要なのは、
後方、センター、取引先の在庫。  

自分の店頭在庫だけ、後方在庫だけ少なくても、
センターや取引先に在庫を抱えさせてはいけません。

11月は、
「トータル在庫削減月間」 
というくらいに位置づけるべきでしょう。 

それが「節約、倹約。もったいない」の意味。

そうしているうちに、23日の勤労感謝の日がくる。
21日・土曜日、22日・日曜日、23日・月曜日と3連休。

それでも「節約、倹約。もったいない」

アメリカでは、「サンクスギビングデー」が11月26日(木曜日)。
この後、ほとんどの人が1週間くらいの短い休暇をとります。

良い風習ですが、日本では3連休のみ。
そのまま、12月に突入。

このお客様の気持ち、気分、マインド。
よく理解して11月の仕事としなければなりません。

けれど大切なのは「この一瞬」であり、
「真実の瞬間」です。

そこで、今月の商人舎標語。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」  

一日の始まりの朝、希望を持って、始める。
一日の大半の昼、ひたすらの努力によって、充実させる。
一日の終わりの夕、心からの感謝で、閉じる。

この繰り返しが、私たちの全生涯。

私の著書『お客様のために いちばん大切なこと』(中経出版)に出てきます。
私が、講演のたびに使うフレーズ。
それを、この11月の標語にしたいと考えました。

希望、努力、感謝。
希望、努力、感謝。
これを続けながら仕事に励めば、
日本では11月23日に勤労感謝の日となる。
アメリカでは、11月26日にサンクスギビングデーとなる。

2009年11月。  
「じっと我慢の月」
「節約、倹約。もったいない」の月。
「トータル在庫削減月間」
そして「希望と努力と感謝」の月。  

Everybody! Good Monday!  

<結城義晴>  

2009年11月01日(日曜日)

ジジとスローフード[日曜版]

今日から11月。
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秋まっさかりです。

ベランダには、
秋のお花がさいている。
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花のにおい。
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でも、ボクは、
花よりダンゴ。

と、おもっていたら、
タッキュー便が、
とどきました。
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ロックフィールドの岩田弘三さんから、
ユウキヨシハルのおとうさんへ。

なに? これ。
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ハコをあけてみたら、
本が、でてきました。
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「スローフード大全」  

カタツムリは、
とてもゆっくりと進む。
スピードが人間を
軽率で愚かにすることを
私たちに教えているのだ。

<フランチェスコ・アンジェリタ>  

「おいしい、きれい、ただしい」食の実現のために、
わたしたちは周囲に存在する無秩序を、
もはや恐れる必要はない。

<カルロ・ペトリーニ>  

なんだか、ボクには、
むつかしい。
けれど、きれいな風景や食べ物の写真が、
たくさんのっています。

でも、ボクは、
ハコのなかが、
気になる。
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ハコのふたに、
お手紙がはってありました。
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安藤忠雄さんからのことば。

ふたをあけてみると、
リッパなカキ。
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大きさのばらばらな、
大きなカキが、
12コも、はいっていた。

ボクは、びっくりしました。
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ロックフィールドの人たちがつくったカキ。
スローフードのカキ。
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うしろがわ。
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はんぶんに、きってみる。
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なんだか、なつかしいカキです。
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そして味は、
それぞれに、ちがいます。
このカキは、熟していて、
とっても、甘い。
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スローフードは、
おいしい、きれい、ただしい。

このカキも、
おいしい、きれい、ただしい。

ボクは「シンプル・ライフ」。

どこか、
にているかんじがしました。

ボクのシンプル・ライフは、
スロー・ライフでもあるからです。
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おとうさん、
ボクたちも、
カタツムリから、
学びましょう。

<『ジジの気分』(未刊)より>  

2009年10月31日(土曜日)

「JAL再生タスクフォース」の指摘するレガシーコスト問題の処方箋

今日は、10月31日のハロウィン。  

アメリカではハロウィンの売上げが、
7割程度に落ち込むという発表がなされた。

今年のクリスマス商戦も、
ハロウィンと同じように、
落ち込むのだろうか。

第3四半期に、国内総生産が3.5%のプラスに転じ、
消費支出が3.4%ととやや持ち直したというのに、
ハロウィンは、まだまだ低調。

ウォルマートのジョン・フレミング副社長の言うように、
「今年末商戦は厳しくて、本格化が遅い」  
だから、その前のクリスマス商戦も、
さりげなく、つつましく、
「節約、倹約。もったいない」  
このトーンで進むにちがいない。

だから今年注目すべきは、
12月19日からの米国クリスマス直前商戦そのものだ。

日本では、ハロウィンは、
上昇志向のイベントである。

新しい風習に、新しい期待が高まる。

さて昨日、「日本航空再建対策本部」が設置された。
本部長は、前原誠司国土交通大臣。

この判断の基準になったのが、
「JAL再生タスクフォース」の報告。  
これは国土交通相直轄の専門家チームで、
リーダーは高木新二郎元産業再生機構の産業再生委員長。

産経新聞の、この内容記事が面白い。

まず、このチームの結論は、
「事業再生計画案に基づいた日航の再生は可能」ということ。

「日航再生については、かなりの規模の公的資金による出融資が必要になる」
「できるだけ早く支援開始すること」

その中で、語られたのが、
「レガシーコスト(負の遺産)」  

過去の出来事が財務面、組織面、経営体質において、
レガシーコストとなっている。
「これを断ち切らないと、潜在力を発揮できない」

JALに関する事業戦略には3つの過剰がある。
第一は『機材』。  
航空機は、大きく古い機材が多い。
第二は『路線』。  
儲からない運営路線が多い。
第三が『組織』。 
まさに大企業病。

ダメになった会社や病んだ小売企業にも、
同様のレガシー問題はある。
第一は、「古くて使いにくい店舗」
第二は、「儲からない店舗運営や販売促進手法」
第三は、「中小企業大企業病」  

整理すると、
第一は、ハードウェアのレガシー。
第二は、ソフトイウェアのレガシー、
第三は、ヒューマンウェアのレガシー。  

この三つが別々の問題ではなく、
三位一体の構造になっている。  

特に組織に関しては、深刻だ。

高木リーダーたちはこう語る。
「レガシーコストは目にみえる問題だけでなく、
組織や心の中にもある」

JALのレガシー経営体質は、三つ。
①ある種の“お上”志向
②内向き志向
③先送り体質  

「軋轢(あつれき)の起こる部分や、
ややこしい問題についてはふたをする」

だから経営の問題に関しては、
「不連続を作ることが大事だ。  
徹底的にやらないといけない」

「限られた時間で、
相当に腹をくくって集中的にやらないと、
病巣を取り残すことになる」

これが、コンサルタント集団としての、
「再生タスクフォース」の決意。

本来、コンサルタントは、
会社がよく運んでいるときには、
まったく必要ない。

会社が病んできたとき、
根本的な問題を解決するのが、
コンサルタントの役割。

むかし昔、以下のように宣ったコンサルタントがいた。
「好調企業だけコンサルするのが、
コンサルタントの極意」

会社の専属医療機関とも言えるコンサルタントは、
会社が病気にかかった時、
あるいは病気にかかりそうな時に、
必要となる。

さて、日航の救いは、次の言葉に表される。
「今回限られた時間で完成度高い計画案ができたのは、
日航の若手中堅の連中が情熱を持って骨格を作り上げてくれたからだ。
そういった現場、若手中堅の力がこの会社の礎だ。
大胆なダウンサイジングは、
若手から絶対やるといって上がってきた中身だ」

日本航空は、今、
最後で最大のチャンスを迎えている。
レガシーコストと決別するための。

そしてこのことは、日航に限らない。

日本中の多くの会社にとって、
レガシーコストとの決別が迫られている。  

レガシー問題の三位一体。

三位一体をトータルに、一挙に、断ち切らねば、
最大にして最後のチャンスを逸する。

日本航空はもちろん、
小売企業も、サービス業も、
製造業も、卸売業も、
そして出版社やコンサルティング会社自身も、
同様の課題の前に立っている。

<結城義晴>  

2009年10月30日(金曜日)

アメリカGDP急速回復を支える小売業・サービス業に学べ

今年7・8・9月期のアメリカの国内総生産。
その米国GDP実質成長率が、
年率換算で前期比3.5%プラスとなった。  

前期比とは、4・5・6月の第2四半期との比較のこと。
その第2四半期は、第1四半期比マイナス0.7%だったから、
米国は急速に経済が回復していることになる。  

これは2007年第3四半期の7・8・9月期以来の高い伸びで、
2008年第2四半期以来のプラス成長。

米国の「戦後最長の不況からの脱出」が論議を呼びそう。

アメリカ経済は2007年12月から、景気後退が続いていた。
それが、2年たたずして、復調したことになる。

アメリカでは、
GDPの約7割を個人消費が占める。  

すなわち小売業、サービス業が占める消費支出の比率が高い。
それがアメリカ経済の特徴。
いわゆる内需の貢献度が高い。

その消費支出が3.4%のプラスとなった。  

このうち耐久財は22.3%増、非耐久財も2.0%増。
民間住宅投資も23.4%の増加。

もちろん、米国の9月の失業率は9.8%で、
予断を許さない状況。

雇用不安が解消されない中での、
内需と消費の回復。

アメリカ人の楽天的消費スタイルが根底にあるとはいうものの、
彼の地の小売業・サービス業の奮闘が、
この経済回復の兆候をもたらした。

リーマン・ショックは昨年9月のことだった。
米国のGDPは、その9月を含む第2四半期に、
マイナス2.7%と落ち込んで以来、
今年第1四半期の1・2・3月期には、
マイナス6.4%の大きな下落を見せていた。

消費大国アメリカの消費産業。

彼らの自覚とプライドを、
私たち日本の消費産業を担う者も、
見習いたいものだ。

いつまでも、
「不況だ、不振だ」とは言っていられない。
「低価格競争だ、いや価格競争はだめだ」といった、
不毛の論議を続けてもいられない。

「私はこれだ」と信じたことを、
それぞれが貫く。

他力本願でなく、自力で顧客に訴え続ける。
それが自分のカスタマーに響く。

そしてそれが全体として、
国内総生産の7割を占める個人消費を押し上げる。

さて昨日から熱海。
そのニューフジヤホテル。
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アイダスグループの研修会。
通称「AG研修会」。
4年ぶりの開催。

ニューフジヤホテルは、もう10年前になるだろうか、
商業界ゼミナールを開催したホテル。
私には、懐かしさいっぱいの地。

到着してすぐに、原稿書き。
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いつも慌ただしくて、恐縮。
写真左に写っているのは、小森勝先生。
コンビニエンスストアの専門家。

2時30分、全員揃って、いよいよ開始。
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アイダスグループ鈴木國朗代表の開催の挨拶。
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そして私のレクチャー。
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「変わる潮目の中の経営戦略」  
私の持論の全面展開。
4年ぶりのAG研修会。
だから2時間近くの講義となってしまって、
再び恐縮。

私が強調したかったのは、
「廃藩置県以前の藩単位のマーケティング」。  
それが日本の場合、ローカルチェーンのサイズにぴたり合致する。

とりわけ食品スーパーマーケットは、
地域食文化との強い絆をもつビジネスだ。

それが「藩の単位のマーケティング」の重要性を示唆している。

だから藩の単位で、
ナンバー1、ナンバー2に入ること。
もしくは藩の単位の中で、
ユニークな食文化を提供し続けること。  

その後、全員が10分くらいずつスピーチ。
これがこの研修会の特徴。

そして夕食、入浴。
さらに部屋での懇親会。
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ここのところ毎日、このブログに登場する二人。
松井康彦さんと『食品商業』編集長の山本恭広さん。
鈴木先生と荒木祐一郎さん。
荒木さんは、熊本県山鹿市のスーパーマーケット荒木屋の社長。

そして浴衣姿の三人。
左から桑原孝正さんと松浦克幸さん。
桑原さんは㈱セルバ社長。
セルバは山梨県富士吉田に本部をおくスーパーマーケット。
松浦さんはブルーチップ㈱常務取締役。
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今年8月の富士登山の話題で盛り上がった。
そう、㈱エコス会長の平富郎さんと私の富士登山の話。

来年は、みんなで登るのか?

たいへんなことになりそう。

それでもこの夜の懇親は、
懐かしさと親密さが、
いっぱいに溢れていた。

私は、小売業の役割の重さを、実感していた。

<結城義晴>  

2009年10月29日(木曜日)

「散弾銃の価格競争」から「ライフル銃の競争」へ

大企業の冬の賞与は、
前年比15.91%のマイナス。  

日本経団連の調査と発表。
従業員500人以上の東証一部上場企業、
14業種99社の平均。

マイナス幅が16%に近づき、
1959年の調査開始以来最大。
しかし平均妥結額は74万7282円。

大幅減少しても、75万円は、でる。

これが中小企業となると、
軒並みボーナス無しレベルの会社となる。

だから今年の年末商戦、
「厳しくて、遅い」  
ぎりぎりまで消費は動かない。

「節約、倹約。もったいない」のマインドが、
ぎりぎりまで続く。

その自分の顧客の気持ちに、
いかに同期できるか。

私は、ここにかかっていると思う。

さて先日の世界経営者会議の柳井正さんの発言。
ファーストリテイリング会長兼社長。
「経営をするなら、
いつも危機と思わなければいけない。
逆に本当の危機の時、
経営トップは『危機だ」などと言ってはいけない。
悠然と構えて、
『いや、自分たちの未来はこうするんだ』と社員に語り、
高い目標を掲げなければいけない」  

そのとおりだと思う。

「商品を売る前に、
店を売り、企業を売る。  

ブランド、イコール信用を、
つくっておくことが大事だ」

これにも、大賛成。
「企業ロイヤルティやストアロイヤルティは、
ブランドロイヤルティに優先される」
これは、結城義晴の持論。

さて、昨日は、東京・お台場。
ホテルグランパシフィック。
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「全日食躍進チェーン大会」  
地下1階のパレロワイヤルに3000人からの人々が集まった。
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第1部は記念講演。
早稲田大学政治経済学術院の若田部昌澄教授が講演者。
テーマは「経済危機を克服する」
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現在の経済危機の実態を明らかにし、
危機克服のヒントを歴史に学ぶ。
こういう構成。
ここでいう歴史とは、1929年の世界恐慌。
そこからの学習成果は、「金融緩和」。
だから若田部さんは、今、
金融大緩和が危機克服策だと主張する。
財政政策だけの片肺飛行は最悪だという。

私は、その先が聞きたかった。
その先どうするのか。
残念ながら、
それは皆さんが考えること、
皆さんがやること。
そんな風に聞えた。
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講演会の次は、第2部・チェーン大会。
大会会長挨拶は、
全日本食品㈱代表取締役社長の齋藤充弘さん。
全日食チェーンのリーダー。
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齋藤さんの話が面白かった。
現在の価格競争をたとえて、
「誰かが勝つ競争ではなくて、
誰も勝たない競争」という。
だからそこから脱しなくてはならない。
しかし、「価格競争に負けてはいけない」

そのとおり。

価格で勝つことは、できない。
たとえ価格で顧客を捕まえても、
価格でその顧客をとられる。
しかし価格競争で負けては、
「高売りの店」の烙印を押されてしまう。

齋藤さんは、どうすればいいといったか。
「現在は散弾銃の価格競争。
私たちは、ライフル銃の競争をする」  

すなわちZFSPと呼ばれる技術の開発である。

FSPはフリークエント・ショッパーズ・プログラム。
その全日食チェーン版が、ZFSP。
新規顧客を上位顧客にする。
その上位顧客がスーパーマーケットの50%の売上げを占める。
上位顧客をライフル銃で狙う競争。
それが全日食チェーンの「新・商品政策」の次にくるもの。
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いい話だった。

メーカーや卸売り業の人々にもよくわかるはず。

1時間の休憩の後は、祝賀会。
冒頭に、江刺公夫さんの挨拶。
全日食チェーン商業協同組合連合会副理事長。
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そして衆議院議員・小泉進次郎さんの来賓祝辞。
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こんなに人が集まって、写真。
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人気は高い。
自民党代議士のなかで、恐らく人気だけはナンバーワン。

その後、経済産業省商務流通審議官の瀬戸比呂志さんの祝辞。
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続いて、農林水産省からは、関東農政局長・皆川芳嗣さん。
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そして乾杯。
乾杯の音頭とショートスピーチは、澤田浩さん。
日本製粉㈱代表取締役会長兼社長。
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懇親会は、大盛況。
たくさんの人にお会いしたが、
ダイジェストで写真紹介。

まず、廣田正さん。
㈱菱食特別顧問。
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コーネル大学RMPジャパンの11月に講師として、
ご出講いただく。

さらに㈱菱食会長の後藤雅治さん。
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このブログのご愛読者。心から感謝。

国分㈱会長兼社長の國分勘兵衛さん。
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デジカメについて、情報交換。

そして明治屋相談役の磯野計一さん。
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磯野さんもお元気で、私、うれしい。

今週はよく会う伊藤園の本庄大介社長と本庄周介専務。
それに商人舎エグゼクティブ・プロデューサーの松井康彦。
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ハウス食品㈱社長の浦上博史さんと会長の小瀬昉さん。
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㈱ロッテ取締役副会長の重光宏之さん
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寺岡精工㈱社長の寺岡和治さん。
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その寺岡専務で、㈱テラオカ社長の高野公幸さん。
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そして日本食糧新聞社社長の今野正義さん。
ジャーナリストの大先輩。
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最後に、田中彰さん。
全日食チェーン商業協同組合連合会理事長。
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田中さんは、現在、全日食チェーンの精神的支柱。
日本のボランタリーチェーンの精神的な柱といってもいい。

最後の最後はこの人、
全日本食品社長の齋藤充弘さん。
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中締の挨拶と万歳三唱の音頭は、寺岡さん。
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元気の良い万歳三唱だった。

番外で、内輪の紹介。
まず、コーネル・ジャパン第二期生から。
三井食品㈱執行役員量販営業本部本部長の稲田雄司さん。
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もう一人、コーネル第二期生。
国分GMS事業部副部長の山崎佳介さん。
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そして今週、何度も会っている㈱商業界の仲間。
山本恭広『食品商業』編集長と中嶋正樹取締役営業統括。
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長い付き合いの仲間と歓談し、飲酒していると、
時間はすぐに過ぎる。
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そしてこんな感じになる。

齋藤充弘さんの話と柳井正さんの言葉が、
頭に残った。

小売業にとって、
店のブランド化は、第一の条件。  

Zチェーンもユニクロも。

これは間違いない。

人間にとっても、
自分のブランド化は,
もしかしたら第一の条件かもしれない。

<結城義晴>  

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