結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年11月02日(土曜日)

「年収の壁」への「部分連合」と岩崎高治・川野澄人の発言

経新聞「ニュース一言」
岩崎高治さんが登場。
㈱ライフコーポレーション代表取締役社長。
日本スーパーマーケット協会会長。
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「103万円の壁」問題に一言。

その意識がパートタイマーに根づいている。
現行制度が維持されながら、
最低賃金が大幅に引き上げられると、
人手不足に一層拍車がかかる。

1年の最後に年末調整をしなければならない。

時給が上がれば上がるほど、
パートタイム従業員の人たちは、
就労時間を調整する時期が早まる。

その結果、年末に人手確保が難しくなる。

「103万円の壁」問題に関して、
足元で見直しの動きが出ている。

「パートの収入増や消費喚起にもつながる」
岩崎さんは早期の制度改正を訴えた。

その足元の政治情勢。

衆議院総選挙で自民党と公明党が大敗した。
立憲民主党と国民民主党が躍進した。

このままでは少数与党となる。

そこで国民民主党へ秋波を送る。

新聞各紙が報じた。
とくに毎日新聞が熱心に取り上げる。

しかし日経新聞がこの問題に対しては、
産業寄りで公平だ。

「公明党、国民民主党と
年収の壁協議へ」

公明党の西田実仁幹事長。
国民民主党の榛葉賀津也幹事長と会談した。

「税や社会保険料の支払いを避けるために、
働き控えをする『年収の壁』の解消など、
案件ごとに政策を協議すると申し合わせた」

小売産業やサービス産業などは、
パートタイマーによって成り立っている。

この年収の壁問題は、
散々言われたにもかかわらず、
なかなか進まなかった。

しかし皮肉なことに、
少数与党になって急に進み始めた。

国民民主党の公約は、
所得税の非課税枠103万円を、
178万円に引き上げようというものだ。

公明党の西田幹事長は、
「103万円の壁」に加えて、
手取りが減る「社会保険料壁」も指摘した。
106万円と130万円の壁がある。

そしてこれらの問題に取り組むために、
「年収の壁突破チーム」の設置を提起した。

西田さん、わかってるねぇ。

自民党と公明党の与党に、
国民民主党が「部分連合」で是々非々で加わる。

そうすれば過半数を超える。

しかし国民民主党は11日の首相指名選挙で、
決戦投票になっても玉木雄一郎代表に投票する。
自公連立政権には加わらない。

野党のままの立場で、
経済対策や予算編成、税制改正で、
与党と協議する。

つまり衆議院で、
「キャスチングボート」を握る作戦だ。

公明党は衆院選で8議席減らして24議席。
国民民主党は4倍増で28議席。
自民党は復党組6人が加わって197議席。

国民民主と公明は微妙なバランスだし、
三党合わせれば過半数を超える。

1990年代初頭に「パーシャル連合」が生まれた。
自民党が公明、民社両党と連携した自公民路線だ。
自民党は小沢一郎幹事長、
公明党は市川雄一書記長、
民社党は米沢隆書記長。
個人的な関係がベースとなった。

「一強」時代には強い産業が優遇された。
票のまとまりやすい業種や金を出す組織が、
族議員を擁して利得を得た。

少数与党という状況は目の付け所によって、
一強時代よりも民意が反映されるのかもしれない。

月刊商人舎7月号。

[日本スーパーマーケット協会25周年記念]
正副会長パネルディスカッション誌上公開。
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川野澄人副会長は発言した。
㈱ヤオコー代表取締役社長。
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「ヤオコーでは、
パート社員の勤務形態は大きく分けて、
1日8時間の5日間、週40時間の勤務と、
1日4時間で5日間、週20時間の勤務という
2つが基本の形でした」

「現在は、週40時間勤務者が全体の35%、
1日6時間勤務という人もいますので
週20~40時間勤務者が20%です。
20時間勤務者は5%、そして、
20時間未満が40%となっています」

「5年前は20時間勤務の契約者が20%でしたが、
現在は5%です」

「この5年間で15%の人が、
勤務時間の調整をしているということになります」

「パートナーさんに対してアンケートしてみると、
時間を調整している人が40%います。
20時間未満で働いている人の40%とほぼ同数です」

「そのうち年収の壁には、
103万円の壁と社会保険の106万円の壁がありますが、
ほとんどの人は103万円以内に調整しています」

「税の問題と社会保険の問題が、
きちんと理解されていないのだろうと思います」

「ヤオコーでも、
税の壁、社会保険の壁の制度について、
店長の理解を促していくことを進めている状況です」

「政府の壁対策は利用していませんが、
社会保険の壁を越えたくないと思う人が多いので、
勤務時間のコントロールを
会社としてもしっかり行っていこうと考えています」

そして言う。
「税と社会保険がセットで変わって
シンプルにならないと
解消は難しいと思っています」

「社会保険を変えても、
パートナーさんの頭の中から
103万円の壁が消えません」

素晴らしい。
そうなってきた。

税と社会保険をセットで変えて、
シンプルにする。

「部分連合」よりも、
全会一致のほうがいいだろうが、
このシンプル化を進めてほしい。

衆議院与党敗北の、
最大の成果となるかもしれない。

〈結城義晴〉

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