結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年06月03日(火曜日)

訃報「長嶋茂雄のその日その日にボクは深く深く頭をさげる」

長嶋茂雄が死んだ。

「ミスタープロ野球」
全日本人のヒーロー。

今年3月に肺炎にかかった。
そして2025年6月3日午前6時39分。
息を引き取った。

89歳。
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巨人は嫌いでも、
長嶋は好き。

そんな人が多かった。

私は福岡の西鉄ライオンズファンだった。
そして中西太を信奉していた。

それでも長嶋は好きだった。

日経新聞「私の履歴書」
長嶋茂雄編に目を通した。

千葉県の佐倉市。

小学生のころから、
野球で遊んだ。
小さくてもホームランをかっ飛ばした。

中学に上がると、
真っ先に野球部に向かった。

当時の皮肉な川柳。
「六三制、野球ばかりがうまくなり」

ここで1年から断然上手かった。
3年では当然、キャプテン。

佐倉高校に進んで、
ここでも図抜けた高校球児。

庭にある樹齢30年の柿の木の下で、
バットを振るのが日課だった。

「スター選手のバッティングの物まねを
一通りおさらいした」

長嶋も真似から入った。

大学は立教大学。
砂押邦信監督に死の特訓を受けた。

しかし長嶋は大学の4年間、
「自分が何をしたら
周りの人が喜んでくれるか、
自分をどう表現したらいいか、
そればかりを片時も忘れずに考えていた」

これを話すと、
学生の中からどっと笑いが起きた。

長嶋は述懐する。
「私は人生は表現力と思っている」

「プレー以外のどんな時でも
観客のすべての視線をひき付けようと意識した」

「見られる方はいつも集中して、
さらにプラスアルファの力が生まれるものだ」

長嶋はそれを人一倍強く意識していた。
それが原動力だった。

プロ野球で巨人軍に入った。

剛腕金田正一との最初の対戦。
4打席連続4三振の痛恨のデビュー。

「私に投じた19球のうち
10球スイングしたが、
バットにかすったのは1球だけ。
それも内角に食い込む直球に
のけぞってよけたバットにあたったもの」

「空振り9、見逃しストライクが2。
惨たんたる結末だった」

「下宿先でまんじりともしない夜を過ごした。
明け方まで悔しさと恥ずかしさがこみ上げて、
何度もガバッと布団をはねのけ、
闇の中でバットを振った」

巨人軍の日本一9連覇。

王貞治とのON砲。

「ライバルとよくいわれたが、持ち味が違う。
ホームランバッターの王さんが登場して
私は飛距離にこだわらず、
『勝負強さ』という1点に自分の打撃を
収斂させていった中距離バッターだ」

ライバルは隣にいた。

日本シリーズの前の合宿。
昼間は練習、夜もミーティング。

そのミーティングのリポート。
監督の川上哲治。
「王君の答案は『1、…。2、…』と、
個条書きでびっしり書かれていたのに比べ、
長嶋君のそれは『よく、わかりました』と、
たった1行だけ」

個性が真反対だから、
ライバルは輝いた。

ウォルマートとターゲット、
ホームデポとロウズ、
複占のポジショニング競争。

日経新聞はすぐに社説で弔意を示した。
[社説]戦後日本を照らした長嶋氏

74年に現役を引退するまで
本塁打444本、首位打者6回などの
記録を打ち立てた。
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もっともその真価は数字よりも、
人々の脳裏に刻み込まれた
数々の名シーンにあろう。

「選手として活躍したのは、
戦後復興から高度成長へと向かう時期に重なる」

「敗戦という過酷な体験を乗り越え、
前を向こうとする日本社会にあって、
時代を照らす明かりのような存在だった」

引退セレモニー。
「わが巨人軍は永久に不滅です」
昭和の時代と共鳴した不世出のスターだった。
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2004年に脳梗塞で倒れた。
右半身麻痺などの後遺症が残った。

私はそのあとの長嶋は見たくなかった。
まったく個人的な印象だが。

私はああなったら、
表には出ない。

それでも長嶋茂雄は現役の時代に、
誰にもできないことをやり遂げた。

サトウハチロー。
「長嶋茂雄選手を讃える詩」

疲れきった時
どうしても筆が進まなくなった時
いらいらした時
すべてのものがいやになった時
ボクはいつでも
長嶋茂雄のことを思い浮かべる
長嶋茂雄はやっているのだ
長嶋茂雄はいつでもやっているのだ

どんな時でも
自分できりぬけ
自分でコンディションをととのえ
晴れやかな顔をして
微笑さえたたえて
グランドを走りまわっているのだ
ボクは長嶋茂雄のその姿に拍手をおくると同時に
「えらい奴だなァ」と心から想う

ひとにはやさしく
おのれにはきびしく
長嶋茂雄はこれなのだ
我が家でのんきそうに
愛児達とたわむれている時でも

長嶋茂雄は
いつでもからだのことを考えている
天気のいい日には青空に語りかけ
雨の日には
天からおりてくる細い糸に手をふり
自分をととのえているのだ
出来るかぎり立派に
長嶋茂雄はそれだけを思っている
その他のことは何も思わない
ボクは長嶋茂雄を心の底から愛している
自分をきたえあげて行く
長嶋茂雄のその日その日に
ボクは深く深く 頭をさげる
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心からご冥福を祈りたい。

合掌。

〈結城義晴〉

2025年06月02日(月曜日)

「令和のコメ騒動」の「マーケティングとイノベーション」

Everybody, Good Monday!
[2025vol㉒]

2025年第23週。
6月第1週。

6月号の責了日が迫ってきた。

ストレスがかかるときだが、
私は「FreeStyleリブレLink」の使用を始めた。

左上腕にセンサーを着ける。
それがグルコース値を測定してくれて、
スマホのアプリにリンクされる。
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常時、自分の血糖値を知ることができる。

風呂にも入れるし、
シャワーを浴びても大丈夫だ。

2週間、着装して、様子を見る。
血糖値が限界値を超えるとアラームが鳴る。
食事のあとのグルコースの変動、
運動のあとの変化など、
自分で確認しつつ、
体調をコントロールする。
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この測定値は、
大手町プレイス内科のパソコンに連動していて、
主治医の田嶼尚子先生に相談することもできる。

2週間、体調コントロールに勤しみます。

さて、日経新聞社説。
「令和の米騒動」機に農政出直しを

基本的に同感したい。

日本の農業政策は重大な岐路に立っている。
「令和の米騒動」はそれを浮き彫りにした。

米価高騰のきっかけは、
2023年の猛暑による高温障害だった。

小泉進次郎農林水産相は、
政府備蓄米をJA抜きで大手小売業に提供して、
価格の押し下げを目指した。

イオンとドン・キホーテを訪問して、
パフォーマンスを繰り返した。
それもいい。
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「供給量を一気に増やして、
相場の過熱を冷まそうとの判断は、
間違っていない」

「だが同時に向き合うべきなのは、
コメの需要に合わせて生産量を調整しようとする
これまでのやり方の限界だ」

その通り。

農業の生産性を上げることを黙視しては、
農業は蘇生されない。

大局的に見るとこれは、
コメのコモディティ化現象である。

「政府は食生活の変化によるコメ余りに対応するため、
1970年ごろから生産調整を始めた」

「当初は旧食糧管理制度の赤字を減らすためだった。
しかし食管制度を廃止して以降は、
米価を下支えすることが調整の目的になった」

しかしそれは機能しなかった。
価格動向を見れば明白だ。

「いくら生産を抑えても需要の減少に追いつかず、
およそ30年にわたって米価が下がり続けた」

「農家が経営体力をすり減らし、
後継ぎの確保を難しくした」

「逆に今回のように
相場が反転すると歯止めがきかなくなり、
備蓄米の放出という緊急対応を迫られた」

根本的な農政の問題だ。

「政府が価格をコントロールするのは、
そもそも無理がある」

商業においても製造業においても、
権力が価格統制をすれば、
産業は衰退する。
競争力を喪失する。

「需要と供給を均衡させることができない以上、
目指すべき方向は一つしかない」

「需要に対して生産量に十分に余裕を持たせることで、
米不足を防ぐことだ」

社説は歯切れが悪い。

減反政策を止めるべきだ。

「それが農政再構築の出発点になる」

しかし新たな課題も浮かび上がる。
国内の需要を超えた分のコメの扱いだ。

「輸出に回せばいいとの意見もある」

「ただ日本のコメは価格競争力がなく、
24年の輸出量は4.5万トンにとどまった。
輸出拡大は目指すべきだが、
軌道に乗せるには息の長い取り組みが要る」

これは減反政策によって、
日本のコメ産業の活力が衰退したからだ。

今からでも遅くはない。
日本の農業と農家の知恵と技術で、
生産性を上げて、
それが産業の発展になるよう、
政策を転換するしかない。

小泉農相は「スマート農業」を提唱している。
スマート農業

以下、社説はあれこれと問題を指摘する。

政府備蓄の増強。
輸入米の活用。
高関税の問題。

コメを対象にした所得補償型の補助金問題。
これは欧州などにすでに制度がある。

転作作物の麦や大豆などの振興。

27年度には水田政策の抜本見直しが、
予定されている。

「米不足という新たな懸念材料に
どう対処するかも念頭に置きながら、
食料供給を持続可能なものにするための
道筋をつけてほしい」

最後の一言は「農政の責務は重い」

脱コモディティの政策は、
さまざまな領域で世界的な研究が進む。

それらを次々に展開することだ。

求められるのは、
コメに関する商品化と販売の革新である。

ピーター・ドラッカー。
「企業の目的として有効な定義はひとつしかない。
すなわち顧客の創造である」

世界にコメの顧客をつくる。

「従って企業は二つの、
そして二つだけの基本的機能を持つ。
それがマーケティングとイノベーションである」

企業を「農業」と置き換えて考える。

「マーケティングとイノベーションだけが、
農業に成果をもたらす」

もちろん商業にも同じことが当てはまる。

では、みなさん、今週も、
顧客を創造し続けよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2025年06月01日(日曜日)

日曜日の雑記帳/自由が丘と妙蓮寺とドジャース観戦ツアー

6月に入った。

第1週は月刊商人舎6月号の入稿。

第2週は商人舎ミドルマネジメント研修会。
その間に、いくつかの協会の総会がある。

第3週は長野と東京で講演。
金曜日は㈱True Dataの株主総会。

そして第4週の後半から、
次の月刊商人舎7月号の入稿。
雑誌は入稿だけではつくれない。
企画を考案し、原稿依頼をし、
取材をして執筆しなければならない。

6月も毎週、
何らかのイベントがある。

それを目標にして生活する。

さて米国メジャーリーグ。
ヤンキースvsドジャース。IMG_3677 (002)

アーロン・ジャッジvs大谷翔平でもある。

ジャッジは201cm、128kg、33歳。
MVP2回、本塁打王3回、打点王2回。

大谷翔平は191㎝、95kg、30歳。
MVP3回、本塁打王2回、打点王1回。

ジャッジは右翼手だが、
大谷はDHと投手。

両リーグの象徴のベースボーラーだ。

その対決。

3連戦の2戦まで、
ゲームは大谷が圧勝。

しかし個人成績は、
ジャッジが3本塁打、
大谷が2本塁打。

大谷はゲームを先導し、
勝利に貢献した。

第1戦はドジャースが8対5で勝った。
第2戦もドジャースが21安打18点で圧勝した。

大谷翔平は、
それに満足しただろう。

黄金カードのこの対戦は今年はもう、
レギュラーシーズンで見られない。

ポストシーズンやワールドシリーズで、
大谷対ジャッジが見られるか。

私は9月19日に、
ドジャースタジアムで、
ロサンゼルス対サンフランシスコを、
観戦することになっている。

ロサンゼルスの話題の店舗も訪問する。

さて私はお昼ごろに自由が丘。IMG_3679 (002)

いつもの花屋、モンソーフルール。IMG_3684 (002)

パリの街角のようだ。IMG_3681 (002)

ここに来ると安心する。
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今日の売り物は切り花ではない。IMG_3683 (002)

自宅に戻ると、
最寄り駅は妙蓮寺。
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日蓮宗長光山。
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境内には大きな樫の木がある。IMG_3693 (002)

山門脇には住職の言葉が掲げられている。IMG_3690 (002)
便利も過ぎれば不便の元」

それはその通りだが、
皮肉なことに駅のそばには、
セブン-イレブンとファミリーマートがある。

便利なコンビニも、
2店もあれば不便なのか。

セブンが先に出店し、
あとからファミマが出た。

ずっとセブンが勝ち続けていた。
横浜でも代表的な繁盛店だった。

しかし最近はファミマが盛り返した。
顧客は使い分けている。

そして3分歩いたところに、
まいばすけっとがオープンした。

私はその模様をずっと観察していて、
新しい試みや販促が展開されると、
買物がてら訪れる。

そして三者を評価するときに使う。

気分のいい日曜日だった。
原稿執筆やテキストづくりも、
少しだけ進んだ。

感謝しよう。

〈結城義晴〉

2025年05月31日(土曜日)

5月の「忙中閑あり」とアイスランド女性大統領の「見ること」

5月最後の日。

忙しい1カ月間だった。
ゴールデンウィークの最中に、
月刊商人舎5月号を責了した。

特集は、
「現場の生産性」
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私はヨーロッパ生産性本部の定義に、
感動した。

「生産性とは、何よりも精神の状態であり、
現存するものの進歩、あるいは、
不断の改善をめざす精神状態である」

「それは、今日は昨日よりも
良くなるという確信であり、
明日は今日に優るという確信である」

「それは、現状がいかに
優れたものと思われていて、
事実、優れていようとも、
改善していこうとする意志である」

「それはまた、条件の変化に
社会経済生活を不断に適応させていくことであり、
新しい技術と、新しい方法を
応用しようとする不断の努力であり、
人間の進歩に対する信念である」

いい出来栄えの、
お役に立てる一冊となった。

ゴールデンウィークが終わると、
アメリカ・ラスベガスに行った。
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商人舎US研修会ベーシックコース。
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よく学び、よく楽しんだ。
成果が上がった。

オメガマートも見た。
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帰国すると翌週は、
2025大阪・関西万博に行った。
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大屋根リングを歩いた。
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レンゴーのブースを訪れた。
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その翌日は第10期万代知識商人大学で講義した。
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フィナンシャルマネジメント。
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翌週は東京・丸の内で、
OICグループNY研修の報告会。
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5時間近く32件の報告を聞いて、
総括し評価した。
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その足で新潟に入った。

翌朝6時にロピアムサシ新潟店に行った。
すぐに賄いをいただいた。
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8時からの全体朝礼も見学した。
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今週は月刊商人舎6月号の入稿。

この間、スクワットを続けた。
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「忙」は「心を亡くす」と言われるが、
そうとは限らない。

忙中閑あり。
忙しい中にも時間はある。
その忙中の時間ほど貴重だ。

朝日新聞「折々のことば」
5月27日の第3409回。
「見ることができないものには、
なることができない」
〈ハトラ・トーマスドッティル〉
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1975年、アイスランドの女性の9割が、
仕事や家事から離れるストライキを打った。
このストライキは「女性の休日」と呼ばれた。

そして5年後、初の女性大統領が誕生する。
それがヴィグディス・フィンボガドゥティル大統領。

爾来(じらい)、この国は、
「ジェンダー平等最先進国」と言われてきた。

トーマスドッティル現大統領は、
2人目の女性元首。

その前方にはいつも、
先達の後ろ姿があった。

編著者の鷲田誠一さん。
「先達が見ていたものを、
その背中越しに見つめてきたのだろう」

アイスランドはイギリスの北にある島国。
日本の北海道と四国を合わせたくらいの面積。
人口は約39万人。

世界経済フォーラムの男女平等調査で、
アイスランドは5年連続で1位。
2022年の世界平和度指数と安全度指数でも1位。

いい国だ。

見ることができないものには、
なることができない。

だから多少、忙しくとも、
私は何でも見に行く。

現場主義である。

見ることができないものは、
知ることができないし、
理解することができない。

そして理解できなければ、
それを評価することもできないし、
それに近づくこともできない。

だから私はできるだけ、
現場に赴くことにしている。

それによって忙しくなる。
しかしそれは心を亡くすことではない。

5月ほどではないけれど、
6月も少しだけ忙しくなる。

けれど「忙中閑あり」を忘れない。

〈結城義晴〉

2025年05月30日(金曜日)

中小小売業者の「備蓄古古古米」申請開始と紀文の「SURIMI」の力

5月30日だが、
3月下旬のような氷雨。

1日中、横浜商人舎オフィス。

毎月、月末・月初は、
雑誌づくりの仕事が待っている。
月刊商人舎6月号の入稿。

さて、
備蓄米の随意契約による売渡し。
中小の小売業者の申請受け付けが始まった。

ただし今回は2021年産の「古古古米」8万トン。

当初の30万トンは2022年産20万トンと
21年産10万トンだった。

22年産に申請が集中して、
すでに予定量に達してしまった。

今回の対象は21年産 “古古古米”

年間1000トン以上1万トン未満の、
中小小売業者には6万トン、
精米設備をもつ米販売店には2万トン。

価格は60kgあたり消費税込みで1万886円。
5kg換算で907円で売り渡す。

大手優遇の措置が改善された。
ただし古古古米。

コンビニエンスストア3社は、
この枠組みで申請する。
セブンーイレブン、ファミリーマート、
それにローソン。

コンビニは1万トンに達しなかったため、
対対象から外された。

ファミリーマートが1000トン、
セブン-イレブンとローソンは500トンを申請。

「これはあと1年経つと、
家畜の餌として出すために持っていたお米」
玉木雄一郎国民民主党代表が言った21年産だ。

そのセブン-イレブン。
日経新聞の記事だが、
「100円おにぎり・5年ぶり復活」

6月におにぎりの割引セールを実施する。
同社のリリースには公開されていない。

約40SKUのおにぎりを販売しているが、
全体の約6割を税別100円に値下げする。

ファミリーマートも、
おにぎりの割引回数券を販売する。

どちらも政府の備蓄米放出に対して、
コメを使った商品の割高感を払拭する意図らしい。

セブンは6月11〜14日の4日間限定。
「おにぎり・寿司スーパーセール」

税別170円以下のおにぎりを、
税別100円に値下げする。

171円以上200円以下を150円、
201円以上の商品は200円にする。

セブン-イレブンのコメント。
「これまでに調達したコメを前倒しで使う。
備蓄米は活用しない」

ファミリーマートは、
決済アプリ「ファミペイ」を刷新し、
決済頻度の多い顧客に割引回数券を販売する。
回数券は10枚つづりで500円。
おにぎりは1枚当たり100円安く買える。

さてこの「備蓄米便乗商法」
顧客に受け入れられるか。

セブン-イレブンの加盟店オーナーたちには、
値下げや安売りはひどく評判が悪い。
粗利益率だけでなく粗利益額が下がるからだ。

今日は午後4時に、
紀文食品のお二人が来社。

堀内慎也マーケティング部長(中)と、
高柳謙一郎営業企画部部長(右)。
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紀文正月フォーラムは、
今年も8月27日(水)・28日(木)に開催される。
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毎年ご参加の皆さん、
時間を空けておいてください。

その打ち合わせ。

詳細は紀文食品から発表される。
しかし堀内さんも高柳さんも、
一つ抜け出した観がある。

いい提案ができそうだ。
私も時代を見つめて、
明快な提言をしたい。

高柳さんと堀内さんは、
新しいポジショニングを構築しつつある。
それが年末年始商戦に発揮される。
大いに期待したい。

すでに新製品にはそれが表現されている。
「すりみのちから」
紀文すり身

SURIMI BARのアイテム群。
紀文②

私は関西に出張するといつも、
新大阪の駅でビールとつまみを購入する。

そのつまみの定番が、
チェダーチーズ入りカニ風味バーだ。

堀内さんも高柳さんも、
紀文正月フォーラムに向けて、
提案内容を練り上げていく。

楽しみにしてください。

朝日新聞「折々のことば」
第3411回。
「みんなが知っているものを、
知っている別のなにかに
変換するからこそ、
共感してもらえます」
〈田中達也〉

「眼鏡を自転車に、ブロッコリーを大樹に、
ドーナツをCT検査機に」

田中達也さんは、
日用品や食品を別の何かに見立て、
ミニチュア写真を撮るクリエーター。

「見立てとは、今あるものを組み合わせて
新しい価値を生みだす術(わざ)だ」

「異文化を前にしても、
生存の同じ課題にこうした眼を向けると、
世界は同じだと気づく」
『みたてのくみたて』(ダイヤモンド社)から。
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練り製品を「SURIMI」に。
それは「みたてのくみたて」だ。

今日は遅くまで原稿を書いて、
夜食はいきなりステーキ。IMG_3674 (002)

最後に彫刻家・平櫛田中(ひらぐしでんちゅう)
「今日もお仕事、
おまんまうまいよ」

〈結城義晴〉

2025年05月29日(木曜日)

吉田直樹PPIH社長の小泉進次郎農相宛て「コメ流通意見書」

梅雨は間近だ。
私にはわかる。

紫陽花。
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酸性の土壌に咲く紫陽花は、
青い花をつける。
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マーガレットストロベリーホイップ。
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濃いピンクからピンクへ、
そして白色へと変化する。IMG_3669 (002)

昔、若いころにつくった歌。

マーガレット
マーガレット
くるくるマーガレット
あの子の髪に
マーガレット咲いた♬

マーガレット
マーガレット
ゆらゆらマーガレット
あの子の髪の
マーガレットゆれる♬

旋律が美しい歌となった。

明日は雨だ。

さて3日続けて農水省の備蓄米放出問題。

商人舎流通SuperNews。
農水省news|
「随意契約による政府備蓄⽶売渡し」5/28申込確定

5月27日時点の33社が、
28日時点では61社に増えた。

27日の総申し込み量15万7073トンが、
28日には21万9691トンに増えた。

スーパーマーケットでは、
ライフコーポレーション、
ヨークベニマル、
バローホールディングス
アークスなどが新たに申請した。

総合スーパーのイズミ、平和堂、サンエー。
ドラッグストアのコスモス薬品。
さらにコストコホールセールジャパンも、
⽇本⽣活協同組合連合会も申し込んだ。

申し入れ数量の多い順に記すと以下になる。スクリーンショット 2025-05-29 230350

コスモス薬品が2万トンで、
イオン商品調達㈱と並んでトップとなった。

日経新聞の記事では、
コンビニ3社は申請が受理されなかった。

「コメ全体の取扱量年間1万トン以上」の、
受け渡し条件を満たさなかったため」らしい。

ファミリーマートとローソンは、
30日以降に再び申し込む。

これも日経新聞の記事。
PPIHの吉田直樹社長が、
小泉進次郎農相宛てに、
意見書を提出した。

日経はその全文を入手して掲載した。
なかなかの正論だ。
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「流通が自由化されたが、米は、
生鮮食品でありながら、
加工して製品化した状態でしか買えない」

「まず、米の集荷役であるJAから
一次問屋に米が卸される」

「流通の自由化というものの、
集荷役のJAと取引している一次問屋は、
実質的に特約店のように決定しているため、
新規参入が難しい」

「一方、二次問屋、三次問屋については、
参入障壁が著しく低い」

「実際、ブローカーなど、
利益目的だけの業者が横行し、
当然、利益のみの目的のため、
今回のような
需給のバランスが崩れたときには、
流通に協力するのではなく、
利益を優先させるため、
供給を抑える原因の一つになっていると
考えられる」

「また『銘柄米』と銘打っている米の中には、
等級の異なる米が混ぜて売られていることも多い」

「最終顧客である消費者には、
その中身がわからず、銘柄の情報のみで
購入の決定を行わざるをえない」

「このため、同じ銘柄米であっても、
値段が極端に異なることがあり、
一層不透明な米流通になっている」

そして課題➀②③があげられ、
解決策提案がそれぞれ➀②③で記されている。

[課題①]は、
「参入障壁が高い一次問屋の構造」

【解決策提案①】
多重構造を解消し、集荷役であるJAなどと
卸売価格の取引が直接できるようにすること。
また小売りから、店頭までの流通を担う
二次問屋、及び三次問屋へ
依頼をかけるような取引形態にすること。

[課題②]は、
「参入障壁が低い二次問屋以降と
生産者直接取引」

【解決策提案②】
米の保管設備や実際の取引先物量や
販売物量の証明、開示など、
届け出制や許認可制の導入により、
公平性を担保しつつ、
利益目的のプレイヤーの参入を防ぐ。
または、仕入れ取引のなかで、
販売後に還付されるような仕組みを導入する。

[課題③]は、
「銘柄米の銘柄名における
ルールの消費者認知の低さ」

【解決策提案③】
青果などは、「優・秀」などの
明確な品質基準があり、これの基準が
消費者にも広く認知されているため、
相場と大きく乖離した販売価格に
なりづらい構造になっている。
米についても、等米表記を行うなど、
消費者に広く認知される
品質の基準設定を行うことで、
品質と連関性がある売価設定が担保でき、
過度な売価上昇を抑制することが
可能と思料する。

➀の多段階性は、
早急に解消する必要がある。
学問的にも証明された遅れだ。

②も多段階性の問題だ。

しかし今回の備蓄米のJA外しは、
図らずもこれらの問題を解決してしまった。

③の品質基準の明確化は、
産業として健全な成長には必須。

アメリカ農務省の牛肉の格付けは、
牛肉産業の発展を支えた。

今回の備蓄米問題が、
日本のコメ産業の発展につながれば、
これに越したことはない。

吉田直樹さん、
この意見書はよかった。
ありがとう。

〈結城義晴〉

2025年05月28日(水曜日)

備蓄米問題に対する宮﨑文隆君の「正論」に賛同する。

朝から東京駅。
IMG_3656 (002)

その北口天井のレリーフ。
IMG_3658 (002)

私は大手町プレイス内科。
毎月の血液検査、尿検査。
今回はレントゲンと心電図の検査もやった。

主治医は田嶼尚子先生。

その田嶼先生が、
東京慈恵会医科大学教授のころの、
新聞のインタビュー記事。
IMG_3653 (002)
今回の検査結果は良好だった。
ヘモグロビンA1cは改善された。
中性脂肪も尿酸値も基準内。

レントゲン撮影の画像を見せてもらった。
田嶼先生は「若者のようよ!」と褒めてくださった。
ありがとうございました。

さて、自宅のそばにある、
まいばすけっと。
イオンの小型スーパーマーケット。 IMG_3663 (002)
今年2月末時点で1204店舗。
昨年2月決算で2904億円。

レジ前のコメの売場。
IMG_3662 (002)

こちらは商人舎オフィス近くのまいばすけっと。
コメ売場は完全に売り切れ状態。
IMG_6190 (002)
下段の5kgのあきたこまちは本体4099円。
中段の2kgのあきたこまちは1999円、
コシヒカリは2099円。

「お客さまへ」のPOPでは、
「お一人様1点のみ」の告知。
IMG_6191 (002)
の状態からは早急に脱しなければならない。

商人舎流通SuperNews。
農水省news|
5/27/14時時点の「備蓄⽶売渡し」の申し込み状況

イオン商品調達㈱をはじめ、
イトーヨーカ堂、ヤオコー、
万代、OICグループなど、
主だったチェーンが出揃った。

5月27日午後2時時点。
その後は公開されていないから最新の情報。

申し入れ数量順に並べると以下となる。スクリーンショット 2025-05-29 062703

イオン調達が2万トン、
PPIHが1万5000トン。
サンドラッグが三番手で1万2866トン。

オーケーが1万500トン。
1万トンがOICグループ、
アイリスアグリイノベーション、
楽天グループ。

次にヤオコー9944トン。
なぜ1万トンで申請しなかったのか。
きちんと数字の裏をとって、
この申し込みになったのだろうが、
ヤオコーらしい。

それから万代の8000トン。
万代はもっと売ると思うが、
「松竹梅」の考え方が基本にあるのだろう。

イトーヨーカ堂とシジシージャパンが5000トン。
控えめな印象だ。

いずれも2022年米の申し込みが多い。

宮﨑文隆君が、
facebookに書いている。

まさしく正論で大いに賛同したい。

「備蓄米という公共財の適正な供給方法として、
販売実績(年間1万トン以上)に基づいた、
事実上大手小売業限定の随意契約について、
なんとなく違和感が生じた」

この違和感は確かに、大いにある。

「まずは制度劣化による失策を棚上げして、
さもスピード感をもってやっています、
という姿勢がそもそも、
気に食わないというのもある(笑)」

「(笑)」は書かないほうがいい。

「これは選挙対策と小泉贔屓の、
メディアクロスだから仕方がないか」

その通り。

「だがリアルオプションとして、
拙速でも実行する、という点は評価したい」

これにも同感。

「国民の生活を守るという大義名分で
大手小売業が随意契約に参加するのも、
筋は通る」

そのとおり。

「だが緊急性とスピード実現性を盾に、
①大手に絞って客数に直結する、
コモディティである米を安価に提供
②随意契約を結んだ企業が値下げする
③中小は追従を迫られ体力を失う
④結果的に寡占化が進行、
ということにつながらないだろうか」

そのとおり。
現象として寡占化が進むことは確かだ。

この理屈は日本の農業全体に向けても、
今後、当てはめられるだろう。

「本来は、立法府が、
今回のような状況を想定した公共財の
適正な供給方法についての
ガイドラインを提示すべき」

そのとおり。

「行政や公取が、
公共財の選別供給が市場におよぼす影響を調査し、
事前シミュレーションすべき」
これも正しい。

「中小企業庁は、販売実績がなくても
『共同申請枠』を確保するなどの
中小にも目を向けた施策を検討、入れ込むべき」

これもそのとおりだ。

「『大手で当初の上限達してしまいました』では、
まさにお粗末極まりない」

言い切ったが、そのとおり。

「緊急性を盾に、
ただでさえ退廃、劣化が深刻な
政治行政の裁量に無批判に任せれば、
商業の多様性、倫理、適正な競争も
奪われていくのではないか、と考えてしまう」

宮﨑君は商業界時代に私が採用し、
販売革新編集長に任命した人財だ。

正論を丁寧に、論理的に述べてくれて、
実にうれしい、頼もしい。

私が書かなければいけなかった、
と反省したほどだ。

「本来、公的資源の配分には、
『透明性、公正性、説明責任』が問われるが、
『緊急対策』『物価抑制』という大義名分のもと
基準なく裁量の発動、選別的恩恵付与は、
行政倫理の根幹をも揺るがすものではないか」

「かつて渥美俊一先生は、
GHQが主導した商業民主化政策の中で、
『これからの流通は
国家の制度設計に頼ることなく、
民が自ら設計し、管理し、
育てていくべきもの』と喝破し、
『自主独立形体のチェーンストア企業』づくりを
単に小売業の効率化、規模化を
目指したものではなく、
他に任せず志ある商人たち共働し、
国民生活を支える経済インフラを築く
運動体に仕立てたことを憶い起こす」

これにも同感だ。

渥美俊一の「経済民主主義」である。
その志は私たちが継がねばならない。

倉本長治主幹も渥美先生も、
政治と宗教には口を出さない、
と言い続けたが、
今のような状況が生まれたら、
政治の考え方を正しただろう。

ただし、イオン調達をはじめ、
多くのチェーンが申し込みをしたことに対して、
リアリストの倉本も渥美も、
「誰よりも早く、どんどんやれ!」と、
奨励したに違いない。

渥美は寡占を否定はしなかった。
むしろ推進した側だ。

倉本も渥美も、
政治に媚びるな、
インディペンデントであれ、
と諭した。

それでも商売は、
「利は元にあり」と言った。

備蓄米に関しては、
倉本長治と渥美俊一に、
学ぶことができる。

それは私たちの矜持であり、
強みである。

〈結城義晴〉

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