結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年07月02日(土曜日)

なでしこジャパン・U17「女子供」の世界ベスト8とドラッカーのマーケティング8つの現実

なでしこジャパン8強入り。
女子ワールドカップサッカー1次リーグB組で、
メキシコに快勝。
キャプテンの沢穂希選手(32歳)は、
みごとなハットトリック。

一方、こちらもベスト8のU17ワールドカップ。
若き日本のイレブンが18年ぶりに世界8強に入った。
チーム一丸の多彩な攻撃でニュージーランドに大量6得点。

失礼な言い方だが、
日本のサッカーは、いまだ、
「女子供」のほうが強い。

2011年の日本社会の縮図なのかもしれないが、
日本社会「女子供」にリードされている。

別に悪いことでは全然ない。
小売業やサービス業のマーケットも、
女子供に先導される。

家族がある。
財布を握るのは主婦。
そして主婦は子供を最優先する。
亭主は、それに引きずられる。

女子供に牛耳られる。

カップルがいる。
大抵は彼女が彼氏を引っ張る。
高齢のカップルでも、
おばあさんがカクシャクとしていて、
物忘れの激しいおじいさんの面倒を見ている。

ファッション店でも、
フードサービスでも、
アミューズメント・サービスでも、
女性と子供の心をつかんだら、
商品はヒットし、店は繁盛する。

昨日も引用したがピーター・ドラッカー。
1964年の著書『創造する経営者』。
原題は「Managing for results」
上田惇生先生はこの言葉を「成果を上げる経営」と訳しているが、
本のタイトルは『創造する経営者』となった。

この時代、マネジメントの本は、
経営者しか読まなかったからだろう。

1964年は昭和39年で、
この時代の商業界ゼミナールは、
主として店主・経営者のためのものだった。

この本の内容をドラッカーは一言で、
「事業戦略についての世界で最初の本」といい、
「何をなすべきかについての本」とも書いている。

この言葉の通り、
その後のドラッカーの経営戦略の根本思想がここにあり、
そしてその後もブレがないことに驚かされる。

この本の第6章は「顧客が事業である」。

この章のなかに、
「マーケティングの八つの現実」という節がある。

ここでドラッカーは言い切る。
「マーケティングは流行である」

それが、この時代までのマーケティングの現実であろう。
ただしその後、マーケティングはどんどん進化した。
しかしここにマーケティングの原点がある。

ドラッカーは言う。
「マーケティング分析から明らかになったことがある」
その八つとは。
①顧客と市場を知るのは顧客のみ
だから「顧客を見、顧客に聞き、顧客の行動を理解する」

②顧客は満足を買う
「顧客は製品を買っているのではない。
満足を買っている」
恐ろしい。

この時代に、マーケティングの本質を見抜いていた。

③競争相手は同業他社にとどまらない

ただし「通常、競争相手をあまりに広く、
あるいはあまりに狭く定義している」

④質を決めるのは企業ではない
「生産者や供給者が最も重要な特質と考えるもの、
すなわち製品の質が、
時として顧客にとってまったく意味がない」

この考え方を故渥美俊一先生は踏襲した。
「時として」というところを無視した感はあるが。

⑤顧客は合理的である
顧客を「不合理であると考えるのは危険である」

この中で食品と化粧品を買う時の主婦の行動を、
別人のようにとらえる姿勢を、
ドラッカーは「心理学のたわごと」と切って捨てる。

「全く異なる二つの役割において、
同一の基準を使わないことこそ、
合理的な人間にとっての唯一の合理的な態度である」

私は大好きです。
この言い回し。

⑥顧客の企業に対する関心は些細なものである
「顧客はいかなる企業いかなる産業も気にかけていない」
「市場は無情である」
「企業の倒産」も「市場にはさざ波さえ起らない」

⑦決定権を持つもの、拒否権を持つもの
「顧客とは支払う者ではなく買うことを決定する者である」

ここに今日の主題がある。
「女子供」がカギを握る現代の市場がある。

⑧市場や用途から顧客を特定する
「企業や業界が顧客を識別できない場合には、
顧客ではなく市場や用途からスタートすればよい」

なでしこジャパンとU17の「女子供」の活躍。
「女子供」に代表される購買の意思決定者。

あくまで合理的で、
企業や産業には無情で、
生産者や供給者の製品の質に迎合せず、
製品を買うのではなく満足を買う。

ドラッカーはそれを見通していた。

私は今日、立教ビジネスデザイン研究科の結城ゼミ。
その後、結城ゼミ&大久保ゼミ有志との懇親会。

皆さんも、良い週末を。

<結城義晴>

2011年07月01日(金曜日)

日本スーパーマーケット協会総会と正副会長ミニ講演会で示された「震災の使命感」

今日から7月。
1月から考えると、1年の折り返し点。

日本語では文月(ふづき)、
英語ではJuly。

語源由来辞典では、
文月は、「文披月(ふみひらきづき)」が転じたとする説をとる。
「短冊に歌や字を書き、書道の上達を祈った七夕の行事に因む」
7月は七夕の月なのだ。

Julyはユリウス・カエサル(Julius Caesar)の家紋名。
英語ではジュリアス・シーザーと発音する。

カエサルは紀元前にユリウス暦という世界初の太陽暦をつくった。
その時、7月に自分の家紋名を入れた。
7月13日がカエサルの誕生日だったから。

ユリウス暦が改良されて、現代の暦となった。
通称グレゴリオ暦。
1582年にローマ教皇グレゴリウス13世のもとでつくられた。

さて今日7月1日は、
海開き、富士山の山開き。
今年、私は富士登山はしないけれど。

忘れてならないのは、
今日からの15%節電スタート。
東北電力、東京電力管区内だが。

大口需要家に対して発令された電力使用制限令で、
石油危機以来37年ぶり。
東北は9月9日まで、関東では9月22日まで、
平日の午前9時から午後8時を対象として、
違反には100万円の罰金が課される。

7月4日はアメリカの独立記念日。
7月14日はフランスの革命記念日。

7月は革命が起こる「熱い月」のようだ。

7月前半の山は、
7日の七夕。

7月唯一の祭日は、
18日(月曜日)の「海の日」。

16日(土曜日)、
17日(日曜日)と、
海の日で三連休。

7月で一番、
売上げボリュームが大きいのが、
この三連休。

そして今年は21日(木曜日)が、
土用の丑。

今年の梅雨明けは、
九州南部がすでに6月28日。

ブログ「2週間天気予報」が好評の常盤勝美さんによると、
「もし7月の早い段階で梅雨明けのタイミングを逃してしまうと、
梅雨明けが7月末にずれ込むことも考えられる」

梅雨明けには高い関心を払っておきたい。
消費マインドがこれでガラリ、変わる。

それから7月は大きな祭りの月。

7月15日は福岡の博多祇園山笠追山、
7月17日は京都・祇園祭山鉾巡行、
7月25日は大阪の天神祭船渡御。

①前半の七夕、
②後半の「海の日」を含む三連休、
③そして土用の丑。

7月はイベントが多い。

震災後、5カ月目を迎えるが、
消費マインドを盛り上げるには、
最適の月。

震災を忘れることなく、
しかし「復興・振興」を志向して、
蒸し暑い7月を乗り切りたい。

さて7月の商人舎標語。
「明日のために今日を決める」
ご想像の通り、ピーター・ドラッカー先生の言葉。

『創造する経営者』(1964年執筆)にある。
そこから、『店ドラ』(96ページ)に引用した。
「未来を築くために初めになすべきことは、
明日何をなすべきかを決めることではなく、
明日をつくるために今日、
何をなすべきかを決めることである」

震災から5カ月、私たちは明日をつくるために、
日々、今日何をなすべきかを決める必要がある。
それがこの夏の仕事である。

さて昨日6月30日は、
日本スーパーマーケット協会(JSA)の定期総会。
総会後は、恒例となった正副会長パネルディスカッション。

場所は帝国ホテル本館3階「富士の間」。
会場には950名ほどの人々が詰めかけ、
途中、椅子席を追加するほどの盛況ぶり。
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パネルディスカッションに先立ち、
これも恒例となった大塚明専務理事によるスピーチ。
内容はスーパーマーケットの現状分析と展望。
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スーパーマーケットを取り巻く環境、
消費者の変化と競争の変化、
そして2010年代の課題が
スライドをつかって説明された。
総タイトルは、
「シナリオ2020」
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ヤオコーでの実務経験が長い大塚専務理事。
この解説を聞くだけでも参加の価値がある。
それがJSAの「強み」のひとつでもある。

そして、いよいよ15時から、
2時間にわたるパネルディスカッションがスタート。
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コーディネーターは結城義晴。
協会発足後の第1回は私の単独講演だった。
第2回から会長・副会長勢揃いのディスカッションが恒例となった。
この間、ずっと、コーディネーター役を仰せつかっている。
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今回のメインテーマは、
「歴史の節目『東日本大震災』後に
スーパーマーケット産業の戦略は変わるのか?!」

サブは、
「ライフライン・インダストリーとしての真の顧客主義を貫くために」
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スーパーマーケットは震災から何を学び、
どのように変わっていかなければならないのか。
これを、震災時の対応や今後の経営戦略とあわせて、
各パネラーに1人ずつ、講演スタイルで、
じっくりと語っていただいた。

初めにJSA会長の川野幸夫さん。
㈱ヤオコー代表取締役会長。
113店舗中4店舗が被害を受けた。
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「大震災後の企業経営、世の中のあり方として2つのことを感じた。
1つは、日本が生産者主権から生活者主権の国づくりに変わるということ。
日本の国民所得は、バブル崩壊後、20年間減っている。
これは世界でもまれなこと。国力が低迷している。
この大震災は、神様の厳しいお叱りなのかもしれない。
日本は生活者主権の国に変わらなければならない」

「2つ目は、リーダー、リーダーシップの大切さ。
政府も、会社も、組織はリーダーによって左右される。
店も店長によって異なる。
『リーダーシップをとれるリーダー』をもつ組織づくりが大切である」
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「スーパーマーケットはライフラインを担っている。
その重要な役割、意義を感じられたことは大きな財産になった」
協会長として川野さんはそう締めくくった。

そして副会長の平富郎さん。
㈱エコスの代表取締役会長。
エコスは千葉、茨城エリアの店舗を中心に多大な被害を受けた。
その状況を平さんは語ってくれた。
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「危機管理マニュアルは策定していたが、
現実には意味をなさなかった。
翌日には全店オープンの方針を打ち出したが、
天井が落ち、ゴンドラが倒れ、ガラスが割れ、落ちかかったり、
全店舗で商売できる状況になかった。
各店の店長がそれぞれに判断し、地域住民のために
売れるものを売り、タダで配るべきものは配った」

「店長のもと、皆が知恵を出し、
チームワークをもって対応した。
社長の名代は店長である。
店は店長というリーダーの器で決まる」

「普段目立たない店長が、
いざとなると頑張った。

青果部門のチーフはかなり寒い日だったのに、
Tシャツ一枚で汗だくで仕事した。
使命感が彼らを支えた」

「地域社会からのライフラインの要望にこたえた店は、
その後、売上げが伸びている。
地域のお客様が、危機の時の頑張りを、
よく見てくださったのだろう」

そして平さんは、こう言い切った。
危機を乗り越えたものは強い。
「東北から必ず大経営者が輩出するだろう」

続いて副会長の齋藤充弘さん。
全日本食品㈱代表取締役社長。
今回の震災は、ナショナルチェーンが活躍した。
ボランタリーチェーンの全国チェーンもそのひとつ。
全日食チェーン、CGCジャパンなどの活躍はめざましかった。
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「西は九州、広島、大阪、名古屋から必要な商品を調達し、
被災後3~4日後から、東北の被災地に、
関東、北海道、新潟からの3ルートで緊急物資を搬送した」

「1週間も過ぎると、沿岸部と異なり、
内陸側の需要は普段の生活、毎日の生活需要が高まる。
いっときの需要と普段の需要。
これらを情報システムによって見極め、商品を送った。
送った商品はきちんと、
キャッシュアウトできた」

「震災時には、情報の共有化が大切だ。
私自らが地震、放射能、商品についての必要情報を、
イントラネットで流した。
1カ月間で100号にもおよぶ情報発信をした」

「今回、メーカー・卸のサプライチェーンの情報が少なかった。
ライフラインを受け持つなら、
食品メーカーや卸は、
商品の生産、在庫の情報を、
小売りや消費者に発信してもらいたいところだ」

齋藤さんからのサプライチェーンに対する要望は
貴重な提言であった。

副会長の㈱平和堂社長の夏原平和さん。
平和堂はニチリウの主力企業であり、
地域住民からは「さん」付けで呼ばれるほど、
地域に根ざした企業として知られる。
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「ヨークベニマルさんをはじめ被災された地域企業は、
商品を継続供給できなくなることがわかった。
滋賀県でドミナント展開する平和堂も、
震災に見舞われたら、同じことになる。
『緊急時商品供給連絡会』のような、
商品供給・分配のネットワークをつくる必要がある」

「店頭義援金はすぐに集まった。
1万円札も多かった。
内食機会が多くなった。
結婚する若者が増えた。
震災を経て、
日本人の価値観やライフスタイル感が変わった。
それにどう対応していくかが課題になる」

「私たちの会社の主張や考えを伝えて、
共感していただけるお客様をたくさん増やしていく。
そうした平和堂とお客様の互いの理解が大事になっていく」

そして副会長の最後は、横山清さん。
㈱ラルズの代表取締役会長であり、㈱アークスの社長。
青森の㈱ユニバースを子会社とする記者発表をしたばかり。
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「災害は必ず来る。
『覚悟をせい!』と突きつけられた気がした」

「北海道でも3月は特需、
4月はまあまあ。
しかし5月は厳しかった。
震災ダメージが企業活動や消費活動に与える影響はこれからだ。
いいサービスがあれば、商品は売れるなんてことは絶対にない。
震災により、いままで以上に景気は悪化し、
人口減でさらに需要はダウンする」

「この商売を50年やらせていただいてきた。
お客様無視で仕事はできない。
利益を無視して継続はない」

「スーパーマーケット業界の地位を向上させるといっても、
生産性は低く、楽な仕事でもない。給料も低い。
だから、寡占化しないと生産性は上がらない」

「業界は業界、企業は企業。
過酷で厳しい競争環境の中で、
各企業が成長戦略を決めなければならない時期にきている。
ホールディングカンパニーの下で、
意思決定のスピードを上げていく」

「経営の地殻変動」が起こっている。
横山さんの視点は厳しくて、鋭い。

最後の最後に、協会名誉会長の清水信次さん。
この度、日本チェーンストア協会の会長にも就任された。
㈱ライフコーポレーション会長。
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「関東大震災では東京、横浜は全てのエリアが被災し、
計15万人の死者と55兆円ともいわれる損害があった。
それでも内務省の後藤新平が復興院を発足させ、
現在の貨幣価値にして40兆円の予算を付け、
日本は8年で復興を果たした」

「いま、二つの問題がある。
第1は国民の生活を守る使命があるということ。
第2は原発は是か非かの問題。
命がけで始末をつける覚悟がいる」

「政治がしっかりすれば、必ず立ち直る。
菅直人首相のときに起こった震災だから、
菅直人に死ぬ気で復興までやらせればよい」

85歳になるのに、清水節は健在。

今回のパネルディスカッションは、
ディスカッションの形式をとらなかった。
各パネラーに自由に語っていただいた。
会長・副会長、論客の講演を、
ダイジェストスタイルで堪能した。
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今回の講演会ダイジェストのキーワードは、
「使命感」だった。

小売業の使命感、
スーパーマーケットの使命感。
製造業や卸売業の使命感。
その製配販の使命感。

経営者の使命感、店長の使命感。
働く者の使命感。
政治家の使命感。

平和堂の夏原さんが紹介したポール・クローデルの言葉。
昭和の初めごろ駐日フランス大使を務めた詩人。
第二次大戦の終わりに、パリで発言した。
「日本人は貧しい、
しかし高貴だ。
世界でただ一つ、
どうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら、
それは日本人だ」

私は仕事をする時の日本人の使命感こそが、
この高貴さを生み出しているのだと思う。
東日本大震災でもそれが発揮された。

そしてこの使命感と高貴さこそ、
復興・振興の原動力である。

コーディネーターとして、
今回は控えめな発言に徹した。
発言いただいたパネラーの方々にも、
聞いていただいた皆さんにも、
満足していただける場をつくることができたならば、
私も満足。

ご清聴を感謝したい。

その後はこれも恒例の懇親会。

会長、副会長、専務理事、そして私も並んで皆様をお出迎え。
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次々と列をつくりながら、皆さんがご挨拶。
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セブン&アイ・ホールディングス名誉会長の伊藤雅俊さん、
㈱菱食特別顧問の廣田正さん、
社団法人新日本スーパーマーケット協会副会長の増井徳太郎さん。
増井さんは㈱紀ノ国屋ファウンダー。
会場入口で早速、記念のショット。
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来賓あいさつは農林水産省大臣の鹿野道彦さんと、
経済産業省副大臣の松下忠洋さん。
それぞれにスーパーマーケットの震災対応への感謝を口にした。
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そしてハイライトは川野会長の挨拶。
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私が大好きなのは次のフレーズ。
「スーパーマーケットが、
『スーパー』の本家であるとのプレゼンスが、
今回の震災で示された」

スーパーマーケット協会長として、
これ以上の言葉はない。

乾杯のあいさつとご発声は、
㈱菱食会長の中野勘治さん。
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この日は「菱食」最後の日。
7月1日からは「三菱食品」に商号変更される。

「震災で製配販の絆が確立された。

政治の世界と違って実務の世界は、
言ったことは成し遂げなければならない」
中野さんの辛口の挨拶はとてもよかった。

挨拶を終えた中野さんと写真。
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そして懇親。

イオン㈱の岡田卓也名誉会長。
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この日は、ずいぶん長くお話しさせていただいた。

面白かったのは、
中国共産党総書記の胡 錦濤の話。
精華大学での講演を岡田さんも聞いたそうだが、
胡が強調したことは、二つ。
「道徳とイノベーション」
日本の政治家で、
「道徳を説くものはいない」
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「だから今、ブームは孔子とドラッカーだ」
『店ドラ』へのお褒めの言葉。
心から感謝。

それから川野会長と清水名誉会長。
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今日は長時間の会合。
さらにチェーンストア協会長としての連日の激務。
さすがに椅子に腰を下ろしたが、
清水さんは本当にお元気。
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伊藤雅俊、岡田卓也、清水信次。
やはり「化け物級」。

この日の懇親会では、被災地支援のため
東北の食材を使った料理が供された。

岩手県産の牛乳をつかったグラタン。
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福島県産の野菜。
「食べて応援しよう!」のメッセージがいい。
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川野会長と日本調理師協会の代表の関幸雄さん
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私は前日の29日に、
㈱平和堂のアメリカツアーをコーディネートして、
帰国したばかり。
夏原平和さんに団員の活躍ぶりを報告した。
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齋藤充弘さんと㈱ライフコーポレーション社長の岩崎高治さん。
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久々にお会いする㈱いなげや社長の遠藤正敏さん。
今度、伺います。
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そして協会の前専務理事の並木利昭さん。
ライフコーポレーション常務取締役。
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並木さんとは言葉はいらない。

現役専務理事の大塚明さん。
お疲れ様です。
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大塚さんとも言葉はいらない。

コーネル・ジャパン「伝説の第1期生」江崎グリコ㈱の渡辺武さん。
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日経MJデスクの白鳥和生さん。
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最後にホテルのロビーで、
拓殖大学商学部教授の根本重之さん。
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それ以外の方々にも、
たくさん会ったし、話もした。
名刺交換もした。

すべての皆さんに、感謝したい。

帰国翌日にしては、
私、頑張った。

「自分を褒める」などとは書かないが。

<結城義晴>

2011年06月30日(木曜日)

アサヒ・キリンの共同配送開始とアークス・ユニバースの経営統合で新しいパラダイムの時代始まる

帰国したら、途端に、
二つの画期的ニュース。

時差ボケはないけれど、
私自身、かなりの疲労。

それでも仕事の成果が上がっているから、
気力も体力も保たれている。

画期的なニュースの第1は、
「アサヒ・キリンがビール共同配送」。

なんとビール業界7割を超えるシェア二強が、
「共同配送」を始める。

きっかけは、東日本大震災だと思う。
かの震災では、両社ともに商品供給が滞った。
その反省を踏まえて、まず物流を見直す。

今秋、首都圏の1都3県から始められ、
順次、福岡県や愛知県、関西などに地域が広げられる。

両社ともに全国9カ所に工場をもつ。
そのうち工場が近隣に立地する地域から、
工場から取引先卸への物流を中継する配送拠点を相互に活用。

したがって同じトラックに両社の商品が混載される。
これによって積載効率は飛躍的に高まる。

両社のトラック台数は1~2割減少。
輸送距離は短縮され、
二酸化炭素(CO2)排出量は3割削減。

さらにこれが成功すれば、
資材の共通化や共同調達も視野に入る。

他業界にもこの影響は出そう。

何しろ金融では三井と住友が統合し、
三大メガバンクとなったほど。

キリンとサントリーがご破算になったあと、
ビール業界二強は、
まずは物流を手始めに、
実質的に21世紀を見通し始めた。

一方、第2はスーパーマーケット業界のニュース。
「アークス、ユニバースを子会社化」

アークスは北海道にドミナントを築く企業。
「八ヶ岳連峰経営」の小売業ホールディングカンパニー。
2011年2月期年商3036億0800万円、
経常利益100億6100万円。

ユニバースは青森県を中心に岩手県にしたローカルチェーン。
2011年4月期年商1025億8200万円、
経常利益41億7000万円。
超優良のスーパーマーケット企業。

両社ともに東京証券取引所1部上場。

その持株会社アークスの傘下にユニバースが入る。
株式交換によりユニバースがアークスの完全子会社となる。
ユニバースは上場廃止。

トータル売上高は、
4061億9000万円。

現在、食品スーパーマーケット業界の第1位企業は、
ライフコーポレーションで、
売上高は4808億2200万円、

経常利益98億5000万円。

アークスはライフに次ぐ第2位に躍り出る。

そのうえ、アークス、ユニバースともに、
業績の中身がいい。

ユニバース社長三浦紘一さんが、
アークス会長に就任する。
社長はアークスの横山清さん。

こういった合併の場合、
大切になるのは、
第1に人事、
第2に本部所在地、
第3にネーミング。

私はアメリカのスーパーマーケットのように、
ナショナルチェーンはマルチ・バナーがいいと考えている。

クローガーやセーフウェイは、
もともとのローカルチェーンの人事と管理、
ネーミングなどを活かす。
バナーとは「店舗ブランド」のこと。

この店舗バナーを合併した企業に、
踏襲させる。
全店統一ロゴなどには間違ってもしない。

アークスとユニバースはともに、
共同仕入れ機構のシジシージャパンに加盟している。
両者が統合したアークスは、
さらに南下政策をとって、
東日本での店舗拡大を志向する。

とりわけCGCジャパン加盟企業を中心に、
同志的M&Aを積極的に推進する。

横山社長の弁。
「売上高5000億円は目の前。
1兆円ぐらいまでやる」

わたしはこのM&A、高く評価する。

新生アークスは、
ローカルチェーンの新たな行き方を示した。

横山清アークス社長は語る。
「業績が好調な2社が組めば規模の拡大を続けられる」。

もちろんこれで、ニッチな企業がなくなるわけではない。
ある種の寡占化が進むと、なおさらニッチ企業が重要になる。
私は「範囲の経済」を信奉するものだ。
その範囲の中に、
第1にマーケット・リーダーが躍進する。
第2にマーケット・チャレンジャーが存在感を示す。
第3にマーケット・フォロワーが、これまで生き残ってきたが、
これらが脱落する。

そして第4のマーケット・ニッチャーは、
むしろ輝きだす。

いちばん危険なのは、
マーケット・フォロワー。
つまり3番手、4番手、5番手エトセトラの企業。

アークスとユニバースのM&Aは、
マーケット・リーダー志向を貫くものだ。

ここに評価のポイントがある。

時差ボケなどなっている暇はない。
震災からの復興・振興をグランドデザインしつつ、
むしろ胸躍る新時代が待っていると考えるべきだ。

両社の社員、取引先はもとより、
これからのスーパーマーケットを担う人たちも、
このM&Aの行方を見守りつつ、
モデルにしたいと考えるに違いない。

胸躍る時代がやってきたと考えるべきだ。

<結城義晴>

2011年06月29日(水曜日)

「イノベーション」と「自ら、変われ」を合言葉に帰国/日本小売業調査を俯瞰する

帰国しました。
全員無事。
大きな成果を携えて。

いま、関西国際空港のロビー。

日本では、今日が、
「震災総会」ピーク。
日経新聞の夕刊がトップで伝える。

3月期決算の企業1023社が、
今日6月29日に株主総会を開催。

それでも昨年より60社少なかった。

一方、日経MJは2010年度小売業調査を発表。
手元に新聞そのものがないので詳細は分からないが、
上位10社までのランキングをみると、
特徴的だし、感慨深い。

1位 セブン&アイ・ホールディングス
(年商5兆1197億円、前年比100.2%)
2位 イオン
(年商5兆0965億円、100.8%)

どちらもホールディングカンパニーで、
多業態を抱えるコングロマリット。
年商5兆円台で、「日本の2強」と呼んでも構わないが、
しかし1年間の伸びはないに等しい。
それだけ厳しい1年だった。

アメリカの企業ならば、
両者ともに並みレベルか、それ以下。
まだまだ頑張れということ。

3位はヤマダ電機(年商2兆1532億円、106.8%)
この会社が国際レベルで成長企業と呼べる。
しかしエコポイントなど追い風ビュービューのお蔭。

4位から減収企業が並ぶ。
つまりかつての実績でこのランクにいるが、
ダウントレンドは免れない企業。
こちらも頑張らねばならないということ。

4位 三越伊勢丹ホールディングス(1兆2207億円、94.5%)
5位 ユニー(1兆1127億円、98.1%)
6位 Jフロントリテイリング(9501億円、96.7%)
7位 ダイエー(9118億円、93.3%)

百貨店と総合スーパー(欧米では「ハイパーマーケット」と呼ぶ)。
いわゆる総合大型店を中心に展開してきた企業。

8位から10位に専門店チェーン。

8位 エディオン(9010億円、109.9%)
9位 高島屋(8697億円、99.1%)
10位 ファーストリテイリング(8148億円、118.9%)

このままの傾向で行くと、
来年はエディオンとファーストリテイリングが、
ごぼう抜きで6位、7位に入りそう。

俯瞰すると、
第1に二社のトップ争いは変わらない。
第2に専門店チェーンが伸び続けている。
第3に総合大型店のダウントレンドは続いている。

これは上位の話。
つまり規模を追いかける企業群のこと。

企業価値はそれだけでは測れないし、
それだけが重要なことではない。

アメリカを見てきたばかりだから、
余計にそれを感じる。

ウォルマートは40兆円企業だし、
セブン&アイやイオン以上の規模を誇る企業が7社。
しかもいずれも展開フォーマットが絞られている。
パワーがあるということ。

さて私たちはサンフランシスコ国際空港から、
UA885便で、関空へ。

その前日、視察最終日の昼食。
アメリカ一番のハンバーガー・チェーン「イン&アウト」。
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ハンバーガーもフライドポテトも、
サービスも価格も、
マクドナルドとの違いを鮮明にした企業。
すなわちポジショニングが確立された企業。

イン&アウトのハンバーガーは、基本に忠実。
パティ(肉)、レタス、トマト。
いずれも鮮度よく、うまいし、安全。
それにバンズ(パン)がおいしい。

フライドポテトは、
インストアでスライスし、フライしたてのものを供する。

そのオペレーションがまた、
感動的。

店員が全員きびきびしている。
まるでプロフットボールのチームみたい。

そのイン&アウトを堪能。

店外ではドライブスルーの注文を受けている。
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これもさりげないホスピタリティ。
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全員、満足。
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そしてバスに乗り込んだ。
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夜は、さよならパーティ。
場所はホテルから歩いて5分のステーキレストラン。
「ジョンズ・グリル」
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昼はイン&アウトのハンバーガー、
夜はステーキのニューヨークカット。
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視察研修が終わった安堵感と、
最後のディナーへの期待に胸が踊る。
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地元ビールで、まずは乾杯。
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乾杯の音頭とご挨拶は、
副団長の谷口昇さん。
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谷口さんは経営企画部長。
平和堂の経営戦略をもとに、
研修の成果を活かしてほしいと要請したうえで、
全員で乾杯。

サラダ、スープ、パン、ステーキを堪能した後、
全員が順に感想や決意をコメントした。

素晴らしかった。

私、平和堂社員を、心から見直した。
もちろんこれまで低く見ていたわけでは全くない。

しかし、このコメントは、一人残らず、素晴らしかった。

最後に、我がパートナーの五十嵐ゆう子さんのスピーチ。
ゆう子さんもスピーチの素晴らしさを語った後、
「霧のサンフランシスコ」独唱。
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I left my heart in San Francisco♪
high on a hill,it calls to me♪

アカペラの独唱、素晴らしかった。

その後、トリは結城義晴の総括スピーチ。
私はクレイトン・クリステンセンの「イノベーション」を語った。

持続的イノベーションと破壊的イノベーション。
そして最後に持続的イノベーションのポイント。
「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」
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スピーチが終了したら、
ピンクのパーカー姿、登場。

そう、ダラス・フォートワース空港で、
私がお薦めし、みんなのお奨めで購入したパーカー。
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そのパーカーへのサイン。
周到にマジックまで用意されていた。
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書き始めた言葉は、
「ひとつず・・・・」

サポーターが胸のところから押さえて・・・。
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「ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ」

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完成すると、
みんなにご披露。
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平和堂衣料品事業部レディス課チーフバイヤーの北川知二さん。
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ダラス・カーボーイズのピンクのパーカー。
北川さんが仕入し、開発する衣料品、
これからピンクが増えるかもしれない。

それでもきっといい仕事をしてくれるに違いない。
期待したい。

突発的なサイン会で湧いた後、
全員で最後の記念写真。
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横になって転がっているのは、
これもアイドルとなった添乗員の山口高徳さん。

この後、最後の夜(いや朝までだと思うが)、
San Franciscoは平和堂で盛り上がった。

明けて最終日。

7時50分、ホテルのロビー集合。

それからバスに乗り込んで、
最後の車中講義。
「ロイヤルカスタマーとイノベーション」

最後の最後は、
「自ら、変われ!」

そしてサンフランシスコ国際空港到着
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最後の写真。
右から団長の取締役教育人事部長・村上茂人さん、
副団長の谷口さん、
私の隣はダブル・コーディネーターのゆう子さん、
そして添乗員の山口高徳さん。
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「おつかれさま、ありがとう」

現地時間午前11時すぎ、UA855便に乗り込んだ。
空港付近は雨。
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11時間後、関西国際空港。
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一人ずつ固い握手。
「自ら、変われ」
期待したい。

そして出発ロビー。
夕方、5時50分発で羽田へ。
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大阪は快晴。
しかし蒸し暑い。
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1週間の旅だったが、
サンフランシスコは避暑地のようだった。

5月、6月、本当に忙しかったが、
それもひと段落。

成果が上がっていることで、
疲れも吹っ飛ぶ。

すべての人に、
心から感謝。

<結城義晴>

2011年06月28日(火曜日)

バークレーボウル、ナゲット、ウィンコ、フレッシュ&イージー歴訪

アメリカ米商務省発表の5月小売業売上高。
季節調整済みで前月比マイナス0.2%。
これは11カ月ぶり。
4月はプラス0.3%だった。

こちらにも東日本大震災の影響があった。
すなわち自動車売上高の減少。

ただし自動車を除く小売売上高はプラス0.3%。
4月はプラス0.5%だった。
それでも昨2010年7月以来の小幅増加率。

さらにガソリンを除く小売売上高はマイナス0.3%。
4月はプラス0.1%だった。

ガソリンスタンドの売上げはプラス0.3%。
食品・飲料はマイナス0.5%、
スポーツ用品・趣味関連マイナス0.4%、
電子製品・機器マイナス1.3%。
衣料・装身具はプラス0.2%、
建設資材・庭用設備はプラス1.2%。

消費意欲の減退が見られる。

一方、日本の経済産業省発表の5月商業販売統計速報。
小売業販売額は、
前年同月比マイナス1.3%。

10兆9170億円。
日本は前年同月比で出してくる。

東日本大震災発生の3月以降、減少が続く。
それでも救いは、マイナス幅の減少。
4月はマイナス4.8%だった。

扇風機やクールビズ衣料など節電関連の売り上げが好調だった。
飲食料品小売業はプラス1.7%、
その中で コンビニエンスストアがプラス7.3%。
特に東北地方のコンビニはプラス10.9%だった。

代わりに大型小売店はマイナス1.3%。

日米ともに消費が減退。
ともに東日本大震災の影響がある。

しかし、だからこそ、
「元気を出そうよ、
それがあなたの仕事です」

さて、サンフランシスコでの3日目。
宿泊はホテル日航サンフランシスコ。
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よく利用するが、とても快適。

近くにユニオンスクェアがあって、
ケーブルカーが走り、
いつもにぎわっている。
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そのホテル日航の3階会議室で、
朝からセミナー。
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団長から個人課題レポートやチーム別発表の要請があってから、
私の2時間講義。

今回のテキストは201ページ。
事前テキストが25ページあったから、
226ページになる。

そのテキストを2回の早朝講義とバスの中での講義で、
すべて語りつくす。
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だから最後は、ビデオテープの早回しのようになる。
ご清聴を感謝したい。

今回、強調したのは競争局面での闘い方。
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もちろん、フォーマットとポジショニング、
クリティカル・マスや範囲の経済、
コモディティとノンコモディティなどの概念は、
アメリカ小売業を理解し、学習し、
日本に帰ってから仮説を構築するために、
必須の理論体系。

日本でも同じ課題がくっきりとしてきたからだ。
ただし、日本ではこの考え方、
しっかり理解されていない。

アメリカを見ると、それが鮮明で、
驚くほど、理解度が高まる。

講義の後は、最後の視察。
「話題の店舗を訪れる」というのが今日の趣旨。

まずバークレー・ボウル(Berkeley Bowl)。
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店舗数は2だが、
総売上高1億2000万ドル。
これは前年対比でプラスの20.0%。

2009年にバークレー・ボウル・ウェスト店を開店した。
そのウェストを訪問。
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私は今年、3月、5月に続いて3度目の訪問。

日系人のグレン・ヤスダさんが経営するインディペンデント企業。
それでも圧倒的な青果部門によって、
大繁盛店となっている。
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超大型の八百屋。
それにフルラインのスーパーマーケット商品構成が付設されている。

まるで青果市場のような売り場。
珍しい野菜や果物、
季節の野菜や果物が満載された売り場。
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カリフォルニアは青果物の大産地だから、
この生産力を背景に全米第1を誇る品ぞろえが実現できる。
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ヤスダさんはその1品1品を、
丁寧に育ててきた。
新しい品種の商品、
珍しい商品は、
食べ方を教えながら、
試食を多用し、
安く提供し続ける。

そうすると顧客がその商品を、
よく知るようになる。

そしてこのアイテムがヒットすると、
バークレー・ボウルのオリジナル商品のようになる。

この店で売られる青果物はみな、
ノンコモディティ・グッズ。
それがいわば、
バークレー・ボウルのプライベートブランドと化している。
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ポケットに一昨夜のレストランの爪楊枝が入っていたので、
それを使って試食の青果物はすべて食べた。
まさに「サンプル・ライフ」。

鮮魚・精肉は対面売り場。
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青果ほどの圧倒的な品ぞろえはないが、
青果部門と商品レベルが統一されている。
それが最も重要なこと。

「大型八百屋」がスーパーマーケットの商品構成をつくると、
青果はいいが、あとはからきしダメな売り場になることが多い。

野球選手で言えば、打撃はいいが、
守備、走塁は全くダメな選手。

バークレー・ボウルはそうはなっていない。
ここがこの店のカギを握るところ。

もちろん青果部門は間違いなく全米第一。

店舗入り口の生花のコーナー。
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レジ前のグロサリーのエンド。
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月曜日の朝にもかかわらず、
開店前から顧客が並んでいた。

バークレー・ボウル健在なり。
私は無性にうれしかった。

続いて、フリーウェイを1時間以上も飛ばして、
ナゲット・マーケットNugget Marketへ。
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ご存知、「インポッシブル」な店。
店舗数9で、年商2億8800万ドル。
これは前年比プラス0.3%。

「フォーチュン」誌の働きたい企業ランキング100で、
2011年は堂々の第8位。
昨年は5位だった。

この店も青果部門が圧巻。
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品ぞろえはバークレーボウルが勝るが、
芸術的な出来栄えは、
これまた全米第一。

店舗をアートの世界に引き上げた。
それがナゲット・マーケット。
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店舗入り口の何気ない特売陳列も、芸術的。
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もちろん青果部門だけでなく、
対面の精肉・鮮魚、サービス・デリも、
セルフサービスの乳製品、冷凍食品、グロサリーも、
いずれも芸術的。
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コスメティクス売り場はとりわけて、
アーティスティック・レベルが高い。
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考えてみると、
女性の顔や体は、
まさに芸術品であるし、
そのレベルを高める商品群を売る場が、
芸術的でなければならないことは、
自明の理。

ウォルマートのネイバーフッド・マーケットでも、
コスメティクスの売り場は異常に美しい。

ナゲットではレジ後ろに「価格調査結果」を掲示している。
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セーフウェイ、レイリーズなど競合店と、
25品目の価格比較をしてその結果を月別に示している。

この価格調査には顧客も参加する。
調査に参加してくれた顧客に対して、
月間一人だけ1000ドルを進呈する。

調査結果はナゲットが圧勝している。

良い品が安い。
そして店は芸術的。

これを「インポシブル(不可能)なことを可能にする店」と、
自ら称する。

さらにホスピタリティ。
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アルバイトが顧客のカートを押し、
車に運ぶサービス。
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インディペンデントやローカルチェーンが採用するサービス。
競争がますます激しくなり、ナゲットにも気合が入ってきた。
そんな印象を受けた。

サービス&クォリティ・スーパーマーケットの次は、
ディスカウント・タイプの代表。
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ウィンコ・フーズWinco Foods。
年商50億ドル(約5000億円)。
この企業が1年に16.3%伸びている。
店舗数も78になった。

スーパー・ウェアハウス・ストアと称するフォーマット。
倉庫型ディスカウント・スーパーマーケット。
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単品大量販売を基本とするが、
鮮度も品質も良好。

精肉部門は長い陳列線が続く。
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一般の消費者も来店するが、
飲食店などの業者も多い。

グロサリーはラックで高く積み上げてある。
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出店エリアは、カリフォルニア州が30店舗と中核で、
ワシントン州、オレゴン州、アイダホ州、
さらにネバダ州、ユタ州に店がある。

商品は全品センターから供給されるが、
そのセンターは4カ所。
オレゴンに2カ所、カリフォルニア、アイダホにそれぞれ1カ所。
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この店も極めて高いレベルのウェアハウス・ストアで、
前年比16%増にも納得させられる。

周辺のレギュラータイプのスーパーマーケットはもとより、
ウォルマートにも打撃を与えているに違いない。

ウォルマートは敵だらけになってしまった。
そんな感慨を持つ。

ウィンコはウォルマートと似ている。
第1は、従業員持ち株制度がウォルマート以上であること。
第2は、以前の店名、社名がWaremartだったこと。

社名変更し、Winning Companyを略して「Winco」とした。

従業員もウォルマートに対しては、
燃えるに違いない。

最後の最後の訪問店は、
フレッシュ&イージーFresh & Easy。
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イギリスのテスコがアメリカに進出した1万平方フィートの新フォーマット。
店舗数は176、年商は4億9500万ポンド(7億4300万ドル 1.5ドル換算)、
743億円のチェーンストアになってきた。

吉幾三似の店長ジョンさんがインタビューに応じてくれた。
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ジョンさんは、健康や安全面で、
フレッシュ&イージーがセーフウェイなどよりも、
まじめで誠実であることを強調した。

私はいつもこの店の店頭をチェックしている。
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フレッシュ&イージーのプライベートブランドが、
やっと店外でアピールされるようになってきた。

少しずつブランドが定着してきた証拠。

ただし、店舗入り口にはまだ、
ペプシコーラとドクターペッパーがうずたかく積まれている。
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ここもプライベートブランドになってきたら、
フレッシュ&イージーは本物になる。

CEOのティム・メイソンは、発言しているようだ。
「400店になったら損益分岐点をクリアする」
いまだ道半ば。

しかしそれでも確実に小さなイノベーションを続けている。
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特に青果部門がよくなった。

品種が増えたし、品質も確かになった。
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働く女性やコンビニエンス志向の顧客に対応する商品開発は、
むしろスピードアップした。
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「NEW」のスポッターがついているのが、新商品。
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簡便でおいしそう。

対面の試食サービス・コーナーも充実。
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店舗奥の主通路。
店づくりもクレンリネスも、
少しずつ洗練されてきた。
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ワインをはじめリカーコーナーも、レベルアップ。
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レジ前の冷蔵ケースには「エクストラ・ロー・プライス」のコーナー。
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簡便・健康、そのうえ低価格。
実に欲張ったコンセプトだが、
一歩ずつ実現に向かう。

実現のバロメーターは店数。
400店が目安だろうが、
まずは200店。
その200店が目前。

収益性も高まるだろうし、
この店に必須の「立地選定」も、
これからは吟味するようになるに違いない。

「サンドイッチ・すし」などのコーナー。
これもレジ前で、コンビニエンスな売り場となっている。
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レジの後ろにメッセージ。
「あなたが何を考えているか教えてください」
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今月の商人舎標語。
「顧客からのスタート」
こんなところでお目にかかって、
ちょっと感激。

フレッシュ&イージーの小型店作戦が軌道に乗ると、
アメリカの小型店競争は、
ますます激化する。

現在の両横綱はトレーダージョーとアルディ。
これらはどちらもドイツのアルブレヒト・ファミリー傘下。

フレッシュ&イージーは、この二つのフォーマットを、
足して二で割った欲張りなフォーマット。

そしてウォルマートはまた、新フォーマットを開発した。
「ウォルマート・エクスプレス」。

「マーケット・サイド」の実験は芳しい結果をもたらしていないようだが、
それでもその修正版としての「エクスプレス」の登場。

役者がそろって、
ますます面白くなる。

役者の中にテスコはいてほしいと思うのは、
私だけだろうか。

<結城義晴>

2011年06月27日(月曜日)

故斎藤眞さんの「米国空間論」による「文明宣教の意識」と商業集積の新しい大潮流と「顧客からのスタート」

Everybody! Good Monday!
[vol26]

2011年第26週、6月の最終週。
週末の金曜日から7月。

今年ももう半分が過ぎようとしている。
そして3月11日からは、16週間。

月が変わるたびに、思う。
「あれから何週間、あれから何か月」

亡くなられた魂に哀悼の意を表し、
ご冥福を祈りたい。

そして生き残った私たちは、
この命をよりよく燃やしたい。

合掌。

読売新聞の一面コラム『編集手帳』。
政治学者の故斎藤眞さんに触れた。
アメリカ研究の大御所。

その斎藤さんはアメリカを「空間論」で捉えていた。
「大西洋で隔てられ、
欧州の権力政治に関わることのなかった米国は、
欧州文明と異なる文明を広める『文明宣教の意識』をもつ」

「文明宣教」。
その文明の一つが消費産業や小売商業。

心を委ねて、
「宣教」されている気分。
この地に来たら、
それが一番。

そして日本に帰って、
冷静に「日本文明」を顧みる。

さらにヨーロッパとの対比を明らかにし、
三者の比較・検討を試みる。

消費・小売産業の視点からそれを展開すると、
自分にも仕事があるのだと自覚できる。

それが私の生きるエネルギーとなる。

私は今、サンフランシスコ。
テキサス州ダラスは35度を超える熱暑だった。
そこから朝晩は12度のカリフォルニア州サンフランシスコへ。

東京・横浜から軽井沢へ避暑に来た。
そんな感じの霧の街サンフランシスコ。

I left my heart in San Francisco
これが一番の歌詞の冒頭。
二番の始まりは、
My love wait there in San Francisco

一番は「私」が主語。
二番は「愛する人」が主語。

いい歌です。
いつもここに来ると思い出す。

その旅も、もうあと3日。

昨夜はどっと疲れが出て、
部屋に帰るなり、
まさに「バタン、キュー」。

朝4時頃起きだして、
メールをチェックし、
新聞に目を通し、
ブログに取り掛かる。

さて、この二日間。
ダラス、サンフランを駆け巡った。

ダラスでは、
朝一番でアルディの新店。
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アルディは1000店を超えてから、
ますます磨きがかかった。

その後、大注目のウォルマートの新店。
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「Appliance Market」のショップが入ったスーパーセンター。
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店全体にもイノベーションの息吹が満ち溢れている。

そして2005年オープンのウォルマート・エコストア。
マッキーニ店。
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酷暑地対応エコストアだが、
大繁盛店として地域になくてはならない店になっている。

エコストア実験店が大繁盛店。
これがウォルマートの良さ。

ちなみにウォルマートを私は、
「エブリデーロープライス宣教企業」と評する。

ダラスの最後は、
HEBの「セントラルマーケット」。
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日本語にすれば「中央市場」。
各地に「セントラルマーケット」のバナーを使う店があるが、
テキサスの雄HEBのセントラルマーケットが、
最も強烈なインパクトを発している。

それからサンフランシスコにやってきて、
昨日はまずトレーダージョー。
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すごい店長とすごい店。
トレーダージョーの357店の中で、
ニューヨーク・マンハッタンのユニオンスクェア店に次いで、
二番目の売上げを誇る店。

ユニオンスクェアの店ほどの超大商圏ではないのに、
この実績。

マニー・ボベル店長の力量が半端ではない。
1万平方フィート(280坪)の店をマネジメントしていて、
年収18万ドル、1800万円。
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このインタビューは帰国してから掲載予定。

次がスプラウツ・ファーマーズマーケット。
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Sprouts Farmers Market
年商は未公開だが、店舗数61。
ヘンリーズ・ファーマーズマーケットと合併して、
100店間近の企業となる。

何度も書くが、
「社会的機能」としてのスーパーマーケット業態が分化してきた。
その分化は「戦略行動」と「ポジショニング」によってフォーマットとして確立された。
このフォーマットの一つがファーマーズマーケット。
この店はスプラウツの最高峰。

その後、ホールフーズ・マーケットへ。
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全米チェーンストア41位。
年商80億3200万ドル(伸び率1.0%)
純利益2億8400万ドル(+20.4%)
店舗数273。

いつも驚かされる。
常にイノベーションがある。
それが売場にくっきりと出ている。

オーガニック&ナチュラル・スーパーマーケットだから、
ホールフーズが優れているのではない。

イノベーションの気運を失わないところが、
優れているのだ。

これは企業風土とマネジメントそのものである。

それから「サンタナ・ロー」へ。
2002年にオープンした「ライフスタイルセンター」。
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いま、アメリカのショッピングセンターは、
「ショッピングセンター」という呼称がつかない商業集積が伸びている。

「パワーセンター」
「アウトレットモール」
そして「ライフスタイルセンター」

古典的な分類のショッピングセンターもたくさんある。
小型のネイバーフッドショッピングセンター。
中型のコミュニティショッピングセンター。
大型のリージョナルショッピングセンター、
そして超大型のスーパーリージョナルショッピングセンター。

これらからすべて、
「ショッピング」という言葉が、
取り去られようとしている。

「物を売る商業集積」は、
パワーセンターとアウトレットセンターが受け持ち、
「安らぎや憩、癒し」を提供し、
ついでに買い物も提供するのが、
ライフスタイルセンター。

小型・中型の小商圏・中商圏の商業集積はパワーセンター化し、
大型・超大型の大商圏・特大商圏の集積は、
ライフスタイルセンターでなければ、
置き去りにされるほどのトレンド。

それがサンタナ・ローに現れている。

その後、セーフウェイの小型店「ザ・マーケット」。

さらにトレーダージョーと、
セーフウェイ・ニューライフスタイルストア。
それらが核となったコミュニティ型のライフスタイルセンターへ。
ライフスタイルセンターに出店しているから、
どちらも並み以上に繁盛している。

そう見ることができる。
最後に、サンフランシスコ市街のホールフーズ小型店。
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新バナーはつけれらていないけれど、
ホールフーズの新フォーマット。

充実した視察行だった。
私も満足。

五十嵐ゆう子さんとドライバーの杉さんに、
心から感謝。

すべての店に共通していること。
今月の商人舎標語の「顧客からのスタート」
これを忘れた店や商業集積は廃れる。

それを唯一・最大のポリシーにしている店や商業集積は栄える。

「文明宣教」しているアメリカから、
強く強く学んだこと。

Everybody! Good Monday!
今週もよろしく。

<結城義晴>

2011年06月26日(日曜日)

ジジと独立記念日[2011日曜版vol26]

ジジです。
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ユウキヨシハルのおとうさん、
また、いません。

アメリカのテキサスです。
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いそがしい。
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6月いっぱいは、とても。
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そして7月になると、
アメリカでは「インディペンデンス・デー」
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国が独立したことを記念する日。

この国のひとは、
旗をたいせつにします。
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天井からぶらさげる。
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たかいところにかかげる。
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ニッポンとは、ちがう。
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売場にかざる。
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POPにもかざる。
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ニッポンとはちがいます。
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商品にも国の旗をあらわす。
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旗まで、売ります。
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やっぱりニッポンとはちがう。
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そこが、おもしろい。
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売場を飾るときにも、
国の旗、使います。
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インディペンデンス・デーがくるから。

おとうさんは、きょう、
ダラスからサンフランシスコへ。
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ダラス・フォートワース空港は、
ハブ空港。
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空港のショップ。
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サンフランシスコはさむいから、
ダラス・カーボーイズのパーカーを、
団員におすすめしました。
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そうしたら、おにあい。

でもサンフランシスコにきたら、
もうすぐおわり。
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そして、かえってきます。
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ロッキー山脈をこえて。
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アメリカ大陸をとんで。
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ベイエリアへ。
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サンフランシスコの夜景が、
みえてきました。
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いい街です。
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きっと、たのしんでいます。
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もっともっと、たのしんできてください。
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そしてアメリカのエネルギーやエッセンスを、
もちかえってください。
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それが、おとうさんのシゴトです。
それが、おとうさんのヤクメです。
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「ちがい」をだすこと。
「差異」をみとめること。
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それがアメリカの良さ。
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おとうさんは、
この「ディフェレンス」を、
たいせつにしています。

<『ジジの気分』(未完)より>

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