結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年11月17日(土曜日)

「人間」の如き会社の「信用」とアマゾン・キンドル「ショールーミング」

10月から11月初旬にかけて、
23日間アメリカにいた。

帰国してから今度は、
第2回商人舎ミドルマネジメント研修会。
ご参加に心より、感謝したい。

上田惇生先生をはじめ、
鈴木哲男講師、
高野保男講師、
白部和孝講師、
そして結城義晴。

鈴木さん、高野さん、白部さんは、
もちろん私を含めて、
それぞれ互いによく知り、
互いに信頼が深い。

社会的にも信用され、
互いに信用し合っている。

だから全体の論理にブレがない。

自分で言うのもなんだが、
素晴らしい研修会だったと思う。

さて、『ほぼ日刊イトイ新聞』。
糸井重里さんが書く巻頭言「今日のダーリン」。

今日は「信用」について考察する。

信用されることは、
とてもよいことだと思うのだけれど、
「信用されよう」としちゃぁいけな
い。

実に、糸井さんらしい切り出し。

つまり、自然にあなたが(わたしが)やっていることが、
人に信用されているということなのだから、
「信用されよう」としてやっていることは、
ただの、「中身のないカタチ」になっちゃうからだよね。

「信用されよう」としてきたことが積み重なって、
信用されるしかないというくらいまでに
信用が貯ったら、信用されてもいいのかもしれない
‥‥のだけれど、かっこよくはないなぁ

糸井さんは「かっこよくない」と表現する。
私は「美しくない」と思う。

「信用されよう」としてじゃなくて、
「たがいに気分よくいたい」くらいの気持ちで、
当たり前のようにやっていたことが、
あんまり好感度の得点を上げられなかったとしても、
そっちのほうが、美しいような気がする。

やはり「かっこいい」と「美しい」は同じ意味だった。

たぶん、人間は、無意識でそういうことを思ってて、
「信用されよう」としている人の集めた「信用」と、
「信用されよう」としてない人の得ている「信用」とを、
なんかちがうんだよなぁ、と嗅ぎ分けているのだろう

鋭いなぁ、糸井さん。

企業とか組織っていうのは、
「機械」というか「道具」だから、
「信用」だとか「かっこよさ」だとかについて、
意識的、戦略的に増やそうとする。


「機械」なんだから、これも自然なことだよな。

ピーター・ドラッカーは、
その組織や企業や産業を徹底的に突き詰め、
「美しいか、美しくないか」というレベルに至った。

なのに、それでも、
「信用されよう」と目的にするんじゃなく、
「信用」されている企業だってあるように思
う。

「店の暖簾」だとか「会社の信用」だとか、
本物は、結果として「信用」されている。
糸井重里、こんな結論に到達する。

「機械」じゃなく、それより
不完全な「人間」に似せた
会社なんじゃないだろうか

人間はみな、不完全。
機会のような「完全」な存在ではない。

しかしかっこいいし、美しい人がいる。

「不完全な人間」のような会社、
人間のような「組織」。
それが美しくて、かっこいい。

ながらく美しくあれば、
それが自然な「信用」となり、
「暖簾」となる。

不完全でも、
人間らしい美しさ。
それが店や会社に、
にじみ出てくる。

ここで岡田徹詩集より。

小さな店であることを
恥じることはないよ。
その小さなあなたのお店に、
人の心の美しさを
いっぱいに満たそうよ。

岡田先生、ありがとう。

さて日経新聞一面の記事。
「アマゾンのキンドル、
ヤマダなど販売見送り」

ヤマダ電機とエディオン、ヨドバシカ メラの3社。
アマゾン・ドット・コムの携帯端末「キンドル」シリーズを販売しない。

アマゾンは来週月曜日の19日から、
日本国内でまず電子書籍端末「キンドル・ペーパーホワイト」を売り出し、
12月には小型タブレット「キンドル・ファイア」を発売する。
さらに高精細液晶搭載の「キンドル・ファイアHD」が続く。

「キンドルペーパーホワイト」が8480円と1万2980円。
「キンドル・ファイア」は1万2800円、
「キンドル・ファイアHD」は1万5800円。

破格の値段。

「キンドル・ペーパーホワイト」は、
Wi-Fiでネット接続する機種が8480円。
NTTドコモの3G携帯電話回線も使える機種が1万2980円。

3Gの通信料金はアマゾンが負担。
利用者は無料でアマゾンの電子書店「キンドルストア」に接続、
もちろん購入には金がかかる。
電子書籍は約5万冊。

キンドル・ファイアとファイアHDは、
電子書籍の他、音楽やゲームの購入、
もちろんインターネット接続は可能。
楽曲数は2000万曲。

アマゾンCEOのジェフ・ベゾスの発言。

「日本語を美しく表示できるよう特別なフォントを開発した。
世界最高の端末とサービスを用意した」

「ショールーミング」と呼ばれる現象がある。
リアル店舗が「ショールーム」化してしまうこと。

実際の店舗で見て触って、
ネットで買う。

土地を手当てし、
建物を建て、
什器・備品を準備し、
人を配置して、
商品を販売する。

それが有店舗。

対して無店舗販売は、
ネット上で見せて、
ネット上で決済し、
しかも安い。

唯一の弱点は、
顧客が商品に触れられないこと。

その商品との接触をリアル店舗でやって、
購買はバーチャル店舗。

これでは有店舗販売はたまったものではない。

そのうえネット王者のアマゾンが、
プライベートブランドを開発し始めた。

そしてキンドルそのものが、
アマゾンの通販サイトなどへの顧客流入につなげる機能。
だからリアル側は、それを販売しない。

日本では、ビックカメラ、ケーズホールディングス、
上新電機などが販売。

アメリカでは、
ウォルマートが初めは売っていたが、
販売中止。

リアルで販売していても、
最終的にはアマゾンで購入する人が多い。

はてさてこのヤマダ、エディオン、ヨドバシカメラの政策、
さらにアマゾン・ドット・コムの戦略。

かっこいいのはどっちか、
美しいのはどっちか。

アマゾンの方が、頭はいいし、
かっこいい。

リアルの側には、
リアルとネットの融合で、
ネット・オンリーを打ち破るアイデアが求められる。

週末。

自分くらいは、
美しくありたい。

<結城義晴>

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