結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年03月22日(金曜日)

「権力を手中にして気持ちよくなった者」と消費税還元セールの禁止

今朝の日経MJに寄稿しました。
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毎月1回、
マーケティングスキル欄に、
2000字書く。

考えてみると1年に12回しかないので、
出し惜しみせず、
その時点で最高の内容を盛り込む。

今回は、プライベートブランドの最新動向。

ご愛読ください。

ところでこのマーケティングスキル欄、
春の人事異動で編集担当者が変わった。
これまでは竹蓋幸広さんだった。
ありがとう。

これからは白鳥和生さん。
デスク自ら、担当してくれる。
よろしく。

さて今日から、
第85回選抜高校野球大会。
全慶應義塾大学野球部監督の鬼島一司さんも、
NHK解説者として長期出張している。

開催期間は今日3月22日から13日間。
もちろん甲子園球場での野球だから雨天順延。
順当ならば4月3日に終わってしまう。

この大会が始まると、
「春休みが始まった」と期待したものだ。
そしてそれが終ると、
「春休みが終った」と実感した。

日本のプロ野球は、
来週の金曜日3月29日開幕。

甲子園とプロ野球が重なり合って、
「球春」は本格化する。

昨日はファイターズの新人・大谷翔平が、
二刀流を披露して夢を抱かせてくれた。

この時期、桜も満開で、
日本人として、いい季節。

朝日新聞『オピニオン』欄に、
鳩山由紀夫元総理登場。
「実現できもしない理想を語ったあの人。
そんなあの人に期待を寄せた私たち。
甘かった。だまされた・・・・・」

ずいぶん失礼なリード文だが、
「いま、あえて、
鳩山由紀夫さんに語ってもらいました」

写真が出ているが、
鳩山由紀夫、ちょっと太った。
「巨人、大鵬、卵焼き、
そして自民党なんですよね。

強い者には強くあってほしい。
巨人が弱いとプロ野球自体が
面白くないというのと同じで」

鳩山さん、巨人ファンなんだ、きっと。

この認識自体、
ずれていると思うが。

「権力を手中にすると気持ちよくなるという
人間の本性を軽く見過ぎていたのかもしれません」

鳩山由紀夫、反省の弁だが、
「権力を手中にすると気持ちよくなる」
これは、覚えておいた方がいい。

春。

人事異動や昇格人事で、
「権力」を手中にする人、
「権力」が少しだけ強くなる人、
そんな人が増える。

しかし、絶対に、
「気持ちよく」なってはいけない。

さてその権力を手中にした自民党政府。
今日、特別措置法案を閣議決定。
日経Web刊。

まず、小売り現場での価格表示は、
「総額表示義務」を時限措置として緩める。
目的は事務負担を軽減するため。
これは素晴らしい。

だから「100円+税」のように、
本体価格と税を分けて表示することを、
「認める」らしい。

「認める」というのも変な話で、
「気持ちよくなっている者」の論理だ。

もともと総額表示だけというのが、
消費者や国民には不親切だ。

「本体価格+税」というわかりやすい商売を、
認められるのは、これはおかしい。

総額表示義務を果たしたうえで、
「勝手に外税表示もしよう」
それが私の主張。

そう、オーケーの考え方。

それが「外税表示を認める」措置が取られた。
これは総額表示をしなくてよいということでもある。

さらに「気持ちよくなっている者」の決定では、
来年4月の消費増税に合わせて、
小売業「消費税還元セール」が禁止される。
消費増税分をポイント還元することも認めない。

私は本来、消費税還元セールは、
商売として邪道だと思う。

税金は納めるもの。
それが国民の義務。
国民の義務を小売業が肩代わりするのは、
僭越すぎる。

謙虚さが足りない。

義務は義務として国民に果たしてもらい、
本体価格の部分は企業努力で引き下げ、
お客様にご奉仕する。

これが正論。

しかし、どんなものであれ、
「セール」を禁止するのは、
権力の行き過ぎた行為だ。

「仕入れ側が納入業者に値下げを迫り
増税分の上乗せを拒んだ場合は
公正取引委員会が是正を勧告する」

これは公取委の本来の仕事。
「しっかりせんかい!」と言っておこう。

今回は、「消費税価格転嫁等対策室」を設置。
「転嫁拒否の実態を調べる調査官を各省庁に置き、
書面調査や立ち入り検査などで調べる」

特措法案の目的の一つは、
「商取引で立場の弱い中小企業などの納入業者が、
仕入れ側の企業に商品を納める際、
増税分を価格転嫁できない事態を招かないようにする」こと。

だから、納入業者が資本金3億円以下の中小企業の場合、
仕入れ側企業が増税分の価格転嫁を拒否することを禁じる。
価格転嫁と引き換えに商品を購入させるといった行為も禁止。

違反した場合は、
業界を所管する省庁などが指導する。
公正取引委員会は悪質な場合に是正を勧告し、
企業名を公表する。

さらに「中小企業が価格転嫁をしやすいように、
独占禁止法で禁止されているカルテルを一部容認」。

カルテル(Kartell)とは、
企業事業者間で価格や生産数量、販売地域などを、
協定することだが、
消費増税分を価格転嫁するカルテルに関して、
参加企業の3分の2以上が中小企業であれば、
独禁法を適用しない。

特措法の期限は17年3月末まで。

麻生太郎副総理・財務・金融相。
「消費税を転嫁できないという話は、
本人たちが努力してもなかなかできない」

公取委担当の稲田朋美行政改革相。
「中小事業者等が消費税を的確に転嫁しやすい環境を
整備していくことが極めて重要な課題だ」

商業者をずいぶん、
下に見ているもんだ。

商業などという遅れた世界では、
恒常的に「公正な取引」が行われていなくて、
だから「消費増税」のように税金が絡むときだけでも、
不公正な取引をやめさせよう。

「士農工商」の序列感覚が、
「権力を手中にした者たち」から
感じられる。

現実的に公正な取引が行われていないとしたら、
それはそれでこちら側が襟を正さねばならないことは、
もちろんだが。

鳩山由紀夫が、
朝日新聞に貶められつつ登場したことも、
まったく意味がないわけではない。

〈結城義晴〉

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