結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年06月25日(火曜日)

糸井重里の「文章の覚悟」とドラッカー「ドキドキワクワクする仕事」

インターネット新聞『ほぼ日』。
糸井重里さんが巻頭言を書く。
「原稿用紙に、
鉛筆で文字を書いているころは、
あとで消したり直したりする手間のことを考えて、
もう少し慎重に文章を書いていた」

私はいまだに、長編の記事は
原稿用紙に万年筆で書く。
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短編やブログは、パソコンを使う。

だから原稿用紙は、
「結城義晴」専用。
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万年筆は現在、
太字のモンブランと、
細字のペリカンを併用している。

糸井さんは手書きの良さを強調する。
「うろ覚えの漢字があるときには、
はっきりと手が止まり、
辞書をひいて、
そいつをじっと眺めて書き写した」

「ある程度書き進めたところで、
気に入らない部分については、
二本線を引き
その文章をなかったことにして、
すぐ横に直した文を書いた。
それもうまくないなと思ったら、
さらに消して、書いた」

この後、凸版印刷の植字工の苦労、
オフセット印刷の写植の面倒さなど、
語られる。

私もこの世代の編集者、記者として、
若い頃を過ごした。

「ここまでで、十二分に面倒くさい。
だから、文章を書くということに
覚悟がともなった」

同感、私も覚悟して書いてきた。

「そうやって記事やら、
本やらが出来るというわけだから、
活字になるということに
資格や価値が感じられた。
本のありがたみというには、
そういう背景がある」

まったくその通り。

「いま、気軽にタイピングして、
消したり直したり、
印刷したりがいくらでもできるという時代に、
本が軽く見られるようになっているのも、
ま、そりゃ当たり前のことだなぁと思う」

最後に一言。
「線で文字を書くということは、
土を耕すことによく似てる」

だから私も原稿用紙と万年筆は、
死ぬまで使おうと決めている。

モノを考えるとき、
この組み合わせは必須だ。

文学者はもとより、
学者も政治家も、
官僚も経営者も、
ものが書ける人は、
「耕す」ことを心得ているのだろう。

そういえば、
㈱プラネット会長の玉生弘昌さんが、
本を書いた。
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ご自身、5冊目の執筆。
第Ⅱ章は、「問屋有用論」の数学的証明。
これが実に鋭くて面白い。

大いに勉強になる。

さて昨日今日、忙しかった。
昨日は㈱紀文食品で、
専務の高市泰明さんと対談。
月刊『食品商業』誌面の9月号掲載予定。

紀文の浜松町駅にほど近い海岸オフィス。
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1階の会議室で1時間半ほど対談。
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カメラマンとライターがいる。

㈱商業界の営業担当もいる。
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私の後ろには、大勢の関係者。
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そんな状況の中で、
髙市さんと私は、
コモディティとノンコモディティから、
新製品のマーケティング、
ロングセラー商品の重要性、
プロモーションと生活提案、
そして小売業とメーカーのコラボレーションなど、
大いに持論を展開し合った。
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高市さんの豊富な経験に、
触発されることも多かったし、
勉強になった。

感謝したい。

会議室の隣のキッチンスタジオ。
試食やメニューづくりが行われる。
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玄関を入ると創業者・保芦邦人氏の胸像。
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その視線の先にあるのが
保芦さんが愛用したイタリー製オートバイ。
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1929年モデルのモトグッチ・ファルコーネ。
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「グッシュ」と名付けたマシンで保芦さんは、
これに跨って各地を飛び回った
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いまでも車検を受け、
ナンバープレートをつけている。
だからいつでも走り回ることができる。
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こんなお宝を見るだけでも、
海岸オフィスに行く価値はある。

その後、日暮里。
一般財団法人ワンアジア財団。
評議員会と理事会。
私は評議員。
まあ、財団の監査役のような役目。

この財団はアジア各国の大学に助成することを、
一つの大きな機能としている。

日本、韓国、中国をはじめ、
台湾、モンゴル、インドネシア、タイ、
カンボジア、ベトナム
香港、シンガポール、
キルギス、カザフスタン、スリランカ、
そしてロシアの300の大学に、
ワンアジア共同体の講座を設けて、
助成活動をしている。

意義ある仕事が展開され、
私も微力ながら、
何らかのお手伝いが出来ればと考えている。

その後、立教大学池袋キャンパス。
7号館203教室で、
F&Bマーケティング講義。
今年は16人の履修生。

プライベートブランドについて、
集中的に語った。
授業が終わってから、
暑気払い。
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大いに盛り上がった。

締めの言葉で、
私は全員に言った。
「ドキドキワクワクする仕事をしよう。
ドキドキワクワクする研究をしよう」

社会人MBAの大学院。
みな、仕事をしながら、
必死の思いで勉強し、研究する。

それだけで貴重なことだ。
日本の学生はみな、
一度仕事についてから、
もう一度、大学院で勉強したらいいと思う。

その仕事と学問に、
どちらもドキドキワクワクして取り組めたら、
意義のある人生を送ることができるに違いない。

ピーター・ドラッカーが、
ジャック・ウェルチに会った時に言った。
ウェルチはゼネラル・エレクトリック前CEO。

「あなたの会社は何でもつくっている。
世界中に進出している。
しかしあなたたちが、
ドキドキワクワクする仕事だけに集中しなさい。
ドキドキワクワクしない仕事は人に任せなさい」

ここからウェルチは、
「選択と集中」のコア・イデオロギーを導き出した。

院生諸君には、是非とも、
ドキドキワクワクとともに、
モノを書く習慣をつけてもらいたい。

「文章力は人生を豊かにする」

〈結城義晴〉


2 件のコメント

  • 結城先生へ
    紀文が創業者・保芦邦人の胸像を作成して顕彰されていることに、感動しました。
    最近大和ハウス工業の、樋口社長が以下のように語ったのを読みました。
    「私は創業者の石橋信夫が亡くなる寸前まで、事業について相談する二人だけの役員会を開いてきました。そして 創業者が亡くなると奈良市に石橋信夫を記念館を建設したのです。社業がおかしくなった企業に、創業者の名前を尋ねても知らないことが多い、創業者の意志を継承することが大事です。趣意」今日の紀文は創業者・保芦邦人の志を持っておられるのだ感服しました。

  • いまちゃん、同感です。
    創業者の精神こそが、会社のポリシーです。
    それを貫くことこそ、自らの存在意義となります。

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