結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年06月02日(水曜日)

横浜開港記念日の花火と日本人の「分けてもらう役割好み」

6月2日。
横浜開港記念日。

新型コロナワクチン。
1回以上接種した国民は、
1000万人を超えた。

医療従事者が465万3566人、
65歳以上の高齢者が573万4023人。
合計で1038万7589人。

6月21日からは、
12~64歳の国民への接種が始まる。

国際的に見れば、
少しは遅れを取り戻したか。

私も6月6日に接種が決まっている。

今日はいい天気。
横浜商人舎オフィス裏の遊歩道。IMG_35641

緑が生き生きとしている。
IMG_35631

一日中、オフィスで原稿書きと入稿。
月刊商人舎6月号の締め切りが迫る。

夕方の7時を過ぎて、
「ドン、ドン」と音がする。

オフィスビルの10階に上がってみると、
横浜港の方から花火が打ち上げられている。
IMG_35681

ビル群の合間から、
それが見える。
IMG_35731

「ああ、今日は、開港記念日だ」
やっとそれに気がついた。IMG_35771

意外に近くに見える。
IMG_35861

しかし密を避けねばならない今、
遠くから見るのが今年の花火だろう。IMG_35891

8時きっかりに盛大に打ちあがって、
これが最後かと思った。
IMG_35921

やはり、これで「キャズム」の花火は終わった。IMG_35941
それでも開港記念日の花火。
見ることができて満足だ。

ちょうど一年前の今日、
横浜市特別定額給付金の封筒が届いた。DSCN9550001-448x257
昨年4月28日の国会衆議院予算委員会で、
当時の安倍晋三首相が表明した。
全国民への一律現金10万円支給。

令和2年度補正予算で計上された事業費は、
12兆8802億9300万円だった。
給付事業費が12兆7344億1400万円で、
事務費が1458億7900万円。

国家予算一般会計の12%強。

私は書いている。
「生活に困窮している人たちに、
半分くらいは素早く給付して、
残った予算をPCR検査などに、
投資したらいいとは思う」

国産ワクチンの開発にも、
惜しみなく投資したらよかった。

超低金利は去年も同じ。
普通預金で年率0.01%など、
預金者にメリットは全くない。

それでも将来が不安であるから、
預金に回したり、
箪笥預金にしたり。

これが日本国民のジレンマであり、
アベノミクスの矛盾だった。

菅義偉政権もその矛盾を認めるからこそ、
今年、特別定額給付金は支給されない。

今年も配れ、というのではない。

昨年もそれはわかっていたのに、
アベノマスクにしろ、
10万円支給にしろ、
人気取りのためにやってしまった。
〈アベノマスク〉
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日経新聞「大機小機」
タイトルは、
「コロナ禍が示す国民の行動様式」
コラムニストは一直さん。

2021年1~3月期の実質国内総生産(GDP)。
成長率は年率換算でマイナス5.1%。
米国の6.4%とは対照的である。

昨年1年間の成長率も、
日本がマイナス4.7%、
米国はマイナス3.5%。

日本の落ち込みが激しかった。

国際通貨基金(IMF)の4月の世界経済見通し。
日本の成長率は3.3%、米国は6.4%。

日本経済の復元力は弱い。

半面、新型コロナによる死亡者数は、
日本は4月末に1万人を超えた。
しかし米国は足元で59万人、
イタリアやフランスは10万人以上。

「日本は人的被害に比べて、
経済的損失があまりにも大きい」

原因は何か。

コラムニストの推測。

「基本的にはリスク回避的な日本人の
行動特性から説明できるのではないか」

行動経済学や社会心理学の分野に、
面白い実験がある。
「独裁者ゲーム」

「2人でペアを組み、
そのペアは主催者からお金をもらう。
1人はお金を”分ける”役割、
もう1人は”分けてもらう”役割を分担する」

故山岸俊男北海道大学名誉教授。
2018年に70歳で亡くなった社会心理学者。
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日本人の性向を分析するが、
「分けてもらう」役を選ぶ人が多いという。

分けることには責任が伴う。
日本人はそれを嫌う傾向が強い。

「自立心をもって
自己責任で行動することが苦手で、
用心深く自己防衛的」

「最初の緊急事態宣言が出た昨年4月以降、
欧米のロックダウン(都市封鎖)のような
強制措置がなくても
日本国民は町から姿を消した」

他国に比べて人的被害が少ないのに
経済的損失が大きい理由は、
「ここにあるような気がする」

「広く社会的、公共的な課題より
目先の自分の問題に目が行き、
長期的で戦略的な発想に乏しい」

困ったことだ。

「新型コロナワクチンの開発の遅れや
接種体制の不備の根本原因は
ここにあるのではないか」

政治ばかりの責任ではない、と、
コラムニストは暗に言っている。

「今回のコロナ禍は、
政策決定や長期戦略に向けた
企画立案のありかたを考えるには、
日本人の行動原理への理解が
不可欠であることを教えてくれている」

日本人のポイント好きにも、
それは表れている。

行動原理や統計心理学。
鈴木敏文さんが言い続けたこと。
セブン&アイ・ホールディングス前会長。
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ニューノーマルや新常態といっても、
日本人全体の行動原理が、
社会的・公共的でなく、
長期的・戦略的でないとしたら、
それを商売に適応させることも、
ある程度は必要だ。

ただし経営者やリーダーは、
この日本人の行動傾向から離れたところに、
自分を置かねばならない。

そしてそれができる限り、
競争優位に立てるということになる。

〈結城義晴〉


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