昭和の日に考える「消費減税論」7つのポイント

昭和の日。
昭和天皇の時代は天皇誕生日だった。
平成天皇の時代になって、
「みどりの日」と変わり、
さらに2007年、祝日法の改正によって、
「昭和の日」と変更された。
みどりの日の祝日は5月4日となった。
今年は昭和100年。
降る雪や明治は遠くなりにけり
中村草田男、昭和6年、30歳の句。
ツツジが真っ盛りのときに、
私も、昭和は遠くなったなあと感じた。
このところ出張続きだったので、
二度寝して10時まで眠った。
さて日経新聞「ニュース一言」に、
柳井正さん登場。
ファーストリテイリング会長兼社長。
「真のグローバルブランドを目指す
全く新しいステージに入った」
「ここから先は
誰もやったことがない斬新な発想で
世界最高水準の商品やサービスを
作り出すことが必要だ」
ファーストリテイリングの2025年8月期の見込み。
連結純利益は5期連続で最高益を更新する。
トランプ関税で世界経済に不透明感が蔓延。
「発生する問題を一つ一つ解決し、
失敗を恐れず新たな挑戦を続けていく」
関税の問題も一つひとつ解決する。
失敗を恐れず挑戦する。
その通りだ。
日経新聞「大機小機」
先週金曜日版。
コラムニストは四つ葉さん。
「消費減税論への7つの問い」
同感することが多い。
「物価高や米関税措置への対策として、
『時限的な消費税減税』を求める声がある」
時事通信社の4月世論調査。
賛成68.4%、反対14.0%。
大きな差が出ている。
夏の参議院選挙を前に、
この議論は野党だけでなく、
与党からも賛成論が出て、
盛り上がるし、混迷する。
コラムニストは7つのチェックポイントを考えた。
⑴そもそも今はインフレである。
景気刺激のための減税はインフレを加速する。
「困っている人を助ける」ことが目的ならば、
受給対象を絞った給付金が適切なのではないか。
これはセオリーだ。
(2)今の日本経済は
需要が足りないというよりは
供給力不足が問題だ。
コメが典型的だが、
作る人が足りなくて値段が上がっている。
消費減税という政策は
人手不足という課題に対して全く無力である。
これも正論だ。
(3)いつから税率を下げるつもりなのか。
消費税率を変えるには法改正が必要であり、
国会が今すぐ取り掛かったとしても
年内実施は容易ではない。
年末商戦に間に合わせるために
10月1日から減税するとしよう。
その前にはかならず「買い控え」が発生する。
つまり増税時の「駆け込み需要」の
逆の現象が起きてしまう。
消費減税という政策には
即効性を期待しにくいのだ。
消費減税には即効性がない。
(4)時限的な消費減税を実施する場合は
「いつ元に戻すのか」という
問いがつきまとう。
「3年後に戻す」など手法はあるだろうが、
「一度下げたら二度と上げられない」という事態は避けたい。
下げたら戻しにくい。
(5)消費減税の際には、
かならず増税時と同じコストがかかる。
商店は値札を替えねばならず、
会計ソフトなども更新することになる。
納税する事業者の負担もお忘れなく。
これは商業にとっても、
極めて面倒だし、経費が掛かる。
(6)消費減税によって
個人消費が増えるという保証はない。
コロナ禍の際の10万円の給付金さえ、
ほとんどは貯蓄に回った。
「減税すれば税収が伸びる」という、
一部の議論は疑わしい。
個人消費は増えない。
(7)ひとつだけ確実なのは、
減税によって国の財政赤字が
さらに悪化することだ。
日本国債の格下げリスクも無視できない。
長期金利を上昇させ、
企業のコストを増やすとともに
住宅ローン金利などを通じて国民生活を圧迫しよう。
税収が減って、財政赤字は増える。
コラムニスト。
「以上は初歩的なシミュレーションである。
『減税は民意である』と唱える人たちは、
せめてこの程度は考慮しておいていただきたい」
「神は細部に宿るのである」
同感だ。
立憲民主党の野田佳彦代表。
食料品にかかっている8%の消費税率を、
1年間、0%に引き下げることを、
夏の参院選の公約に盛り込む。
ん~。
これも税収減は膨大だ。
その税収補填をどうするか。
食料品の売上げは上がるだろうし、
国民は助かるだろう。
しかしその分の家計費が、
減税されない領域の消費に転嫁され、
そちらの税収が増えるとは思えない。
それ以上に多くの問題がある。
神は細部に宿る。
正確なシミュレーションが必須だ。
〈結城義晴〉
1 件のコメント
消費税減税は典型的なポピュリズム政策だと思います。
不人気政策ですが、年金、医療等の社会保障費改革に真摯に取り組んで頂きたいです。その上で、セーフティネットをしっかりつくるべきです。
国民もそれほど馬鹿ではないと思います。