結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年03月18日(金曜日)

クラウゼヴィッツ「戦争論」の「重たい液体の中」

横浜にもどって来て、
牡鹿半島沖を震源とする地震の話を聞くと、
凄く揺れたらしい。

福井にいるとそれは全然わからなかった。
あらためてお見舞い申し上げたい。

日本列島もウクライナと同じように広い。

毎日新聞3月16日の巻頭コラム「余録」
「戦争における行動は
重たい液体の中で
運動するようなものだ。
ただ前進することも
水中では敏捷、正確には行えない」

クラウゼビッツの名著「戦争論」。
クラウゼヴィッツ

「思うにまかせぬ戦場での行動」を、
クラウゼヴィッツは「水中」に喩えた。

ドイツ帝国の基礎となった、
プロイセン王国の軍人。

この「戦争論」が抽象化されて、
経営における競争戦略としても使われる。

クラウゼヴィッツは、
ロシアに侵攻したナポレオン軍が消耗し、
敗退するさまを目の当たりにした。

この「戦争論」では、
戦場で軍の動きを拘束し、
その計画を台無しにする
予想外の偶然や事故の連鎖を、
「摩擦」と呼んだ。

コラムはロシア軍のウクライナ侵攻を、
この「摩擦」だという。

「自ら飛び込んだ水中でもがく
プーチン氏に同情の余地はないが、
より非道な武力行使を
救いのワラと思い込む錯乱が怖い」

同感だ。

会社の経営や店の運営も、
「重たい液体の中での運動」のようになると、
「摩擦」である。

朝日新聞DIGITALに、
ロシアの知識人女性の手記が載っている。

「おかあさんは侵略者の国にいる。
ほんとうだね」

翻訳は太田丈太郎熊本学園大学教授。

「2022年3月9日(水)
私たちは衝撃を受けています。
あぜんとしている。
がくぜんとしている」

「国外にいる息子が電話してきて、
私に言うのです。
おかあさんは侵略者の国、
占領者の国で暮らしているのだね。
そうね、ほんとうだね」

「どんな攻撃も罪悪です。
でもウクライナの人たちは、
実際私たちの親戚で兄弟なのです。
何世代にもわたって
同じ国で一緒に生きてきた」
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「プーチンが言っていることとは
ぜんぜんちがう。
とてもたくさんの親戚や友人たちが
ウクライナにいるのです」

「ヒトラーがキエフを爆撃したことを
私の父は覚えています。
ところが、こんどはプーチンです」

「私たちは今、
解放者の側でなく、
占領者の側にいる」

「ウクライナには、
ロシア人なら誰にでも友人や親戚がいます」

「連絡を取り合い、お互いに
電話をかけあったりしています。
力の及ぶ限り、
彼らのサポートをしています」

「これは私たちの戦争ではない、
私たちは彼らウクライナの味方だ、
ロシアの味方ではないと
証明しようとしているけれど」

「多くの人たちが国外へ去りました、
言論の自由のためにです」

「プーチンに従わず、
反プーチンのデモに
何年も参加してきた私たち自身、
いまとても悪い立場に置かれています」

「私たちは
プーチンにも、

西側にも、
自分自身の良心にも、

いちどきに
たたかれ続けているのです」

「戦争への態度を
表明することすらむずかしい。
戦争を戦争と言うことすらできない。
私たちのプロパガンダ用語では、
今起こっていることは戦争ではなく、
特殊作戦だという……。」

「戦争反対の署名のために
仕事を辞めさせられる。
デモに出れば、こん棒で殴られたうえに
監獄へ入れられる。
フェイスブックに
あからさまなポストをすれば、
これも監獄へ入れられるおそれがある」

「プーチンは
ウクライナばかりでなく、
ロシアをも殺したのです。
精神的にも、
経済のうえでも」

「今日、ロシアからマクドナルドが
撤退すると告知されました」

「マクドナルドには普段、
むしろ軽蔑的に接してきましたが、
ロシアにとってこれは
象徴的な撤退です」

「ロシアに
マクドナルドがやってきたことから、
あたらしい、ポスト共産主義時代が
始まりました」

「最初にマクドナルドが現れたとき、
行列が何キロもできたものです」

1990年1月31日のことだ。
モスクワマクドナルド1号店
「それまで一度もこういうものを
見たことのなかったロシア人は、
ビッグマックや袋に入ったフライドポテトを、
まるで高級フランス料理のように
見なしたものでした」

「マクドナルドの撤退は
象徴的なできごとです。
これはかつての民主的なロシア、
ゴルバチョフとエリツィンの築いた
ロシアの終わりを意味するのです」

マクドナルドも、
イケアもZARAも、
そして最後にユニクロも撤退した。

フードサービスとリテールが、
ポスト共産主義時代を象徴しいていた。
新しい時代をイメージさせた。

ロシアの知識人たちは、
軽蔑的に接していたというが、
その撤退が象徴するものは、
自分自身の良心からもたたかれる時代だ。

昨日、PLANTの成長の話を書いた。
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「成長のスピード」

トップスピードのときに比べて、
今は遅いと感じるとしたら、
「重たい液体の中」にいることになる。

「摩擦」である。

PLANTにかぎらない。
トライアルもベイシアも。

イオンもセブン&アイも。
西友も、ユニー、ドン・キホーテも。

ヤオコーやヨークベニマルも、
万代やサミットも。
オーケーやロピアも。

前に進もうとしても、
正確さも、敏捷さもなくなったら、
それは「摩擦」があるからだ。

柳井正が一番恐れているのは、
この「摩擦」だと思う。

私が企業に接するときに、
一番気にしているのも、
「重たい液体の中の運動」である。

〈結城義晴〉

2022年03月17日(木曜日)

PLANT-3清水店の「スーパーセンター完成度日本一」

宮城県、福島県のみなさん。
お見舞い申し上げます。

震度6の地震。

4名の方々が亡くなられ、
107名の方々が怪我をした。

東北新幹線は列車が脱線して、
運転が中止されている。
これは長引く。

高速道路などでも被害が出ている。

物流も滞るし、
店舗運営にも支障が出る。

いつものように、
ここは踏ん張るしかない。

そのうえ、
東京電力福島第1原発の2号機では、
使用済み核燃料プールの冷却が停止。
その後、復旧したものの、
不安は募る。

安島浩さん、
マルトのみなさん、
頑張れ。

ウクライナの民を見ていると、
艱難を乗り越えながら、
強くなっている。

侵攻して攻めているロシア人よりも、
攻められているウクライナ人の方が、
日に日に強靱になっていく。

ひどく悲しいことだが、
それだけが救いだ。

日経新聞に掲載されている記事。
[FT]「内向き強めるプーチン氏」

執筆はフィリップ・スティーブンズ。
Financial Timesの、
チーフ・ポリティカル・コメンテーター。

タイトル以上にいいことが書かれている。

「自身の地位を守るためなら、
プーチン氏は喜んで
ロシアの未来を盗むような行為にも
手を染めるだろう」

しかしそれを許してはならない。

私は福井に一泊。

PLANT-3清水店。IMG_16442

2006年10月に福井市三留町にオープン。
PLANT-3だから3000坪級で、
この店はワンフロア3500坪。IMG_16462
PLANT-3としては清水店は4号店で、
そのまえにPLANT-6までを開発している。

2003年3月に、
PLANTー4聖籠店を新潟県北蒲原郡に、
同10月にPLANT-5見附店を新潟県見附市に、
2005年6月に、PLANTー6瑞穂店を、
岐阜県瑞穂市に出店している。
この瑞穂店がPLANT最大の売上げを誇る。

その巨大な店をつくった後の3型店舗。
よくこなれている。

入口の青果部門。
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青果部門はワンウェイコントロールだ。IMG_15452

突き抜けると店舗右翼に、
鮮魚から惣菜、精肉、日配品と続く。
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鮮魚は対面売場を設けて、
「よろこんで調理承ります」
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壁面の生鮮の反対側がグロサリー。
トップパネルは赤地に白文字で、
価格がデカデカと掲げられる。
Walmartそっくりだ。
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惣菜はPLANTの核部門の一つだ。
コロナ前はこの売場で、
バイキングを展開していた。
顧客が殺到した。
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現在はパック詰めとなっている。

精肉も対面売場をつくって、
それを核にしている。
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壁面には牧場のイラストが描かれる。
実はこれ、ポジショニング戦略の、
重要な要件だ。
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精肉売場を曲がったところに、
食品廃棄撲滅キャンペーンのコーナー。
もう5年前から展開していて、
好評を博している。
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コーナーを曲がって奥主通路沿いに、
冷凍食品売場がコの字型で構成されている。IMG_15832

そして店舗中央を左右に、
コンコースが貫いていて、
次々に非食品売場が登場する。
これもウォルマートスーパーセンターと同じだ。IMG_15852

主通路には島型のアクションアレー。
これもウォルマートに学んだ。
ただしウォルマートは、
ここでポップアップセールを展開する。
つまり売り切れ御免の超特価品が、
これでもかと並ぶ。
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3500坪の売場をぐるりと回り、
レジの前にやってくるとアパレル売場。
これもウォルマートと同じ。

プライベートレーベルは、
「TARO&HANAKO」。
パネルの写真のモデルは、
従業員の女性たちが務める。
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言いたいことは多々、あるけれど、
やはりスーパーセンターとして、
日本で一番完成されていると思う。

店内を丁寧に案内してくれたのが、
古宿達也さん。
執行役員ブランド戦略本部長。
PLANTのプロパーで20年選手。
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ありがとうございました。

それから石原靖曠先生と、
石原靖一郎さん(右)。
㈱スペシャリティ研究所海外担当。IMG_16402

石原先生の指導でこの店が出来上がった。
実務指導は橋詰昇さんだった。

石原理論通りに出来上がった、
スーパーセンターPLANT。

満足そうだ。
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ありがとうございました。

月刊商人舎で、
もっと丁寧に紹介したいと思うが、
どうだろう。

その後、石原先生と食事をしながら、
意見交換。

日本のスーパーセンターは、
これからどうなるか。

条件が整えば、
PLANTがその中核を担うことは、
間違いない。

その条件とは、
「成長スピード」だと思う。

2003年から2010年くらいまでに、
PLANTがつくり出していたスピードだ。

成長がなければすぐに、
イノベーションは陳腐化する。
ピーター・ドラッカーの指摘である。

福井空港。
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小型ジェット機が待っていた。IMG_16492

空港施設からジェット機まで、
歩いていく。

のどかだ。
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そして乗り込む。
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入口は狭い。
乗客4人乗り。
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翼は細い。
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それでも速く飛びそうだ。
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機体はスリムだ。
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ジェットエンジンは勇敢に見えた。IMG_16592

白山連邦が見える。
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飛び上がると日本列島は雲に覆われていた。IMG_16612

飛行機雲をつくりながら、
ひっきりなしに小型ジェットが飛ぶ。
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世界は有事の中にある。
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1時間足らずで東京湾。
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羽田空港に到着した。
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パイロットのお二人が見送ってくれた。IMG_16752
ありがとうございました。

福井に行くなら、
プライベートジェットが一番。

Time is money!

機会があれば、
みなさんもどうぞ。

最後に思う。
自分の国や自分の会社の、
未来を盗むような行為には、
手を染めてはならない。

〈結城義晴〉

2022年03月16日(水曜日)

福井のPLANTで「スーパーセンター」の未来図を想像する

午前中は、
社外取締役の仕事。

自宅からオンライン会議に参加した。

そのあと、急いで羽田空港へ。

プライベートジェットで福井空港へ。IMG_14842

福井に行くのは、
これが一番早いし、
一番便利だ。
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翼は細い。
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飛び上がって東京湾。
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青い空にJA10MZの文字がくっきり。
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すぐに日本アルプス上空。
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日本の国土は広い。
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最高峰はまだ雪で覆われている。
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1時間で到着。
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こんなに小さな機体だった。
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初めて来た福井空港。
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白山連峰が見える。
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車で15分ほどで、
PLANT-2坂井店。
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ストアフォーマットは、
スーパーセンター。
「生活のよりどころとなる店づくり」に取り組む。
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1990年11月、
ホームセンター「PLANTー1鯖江店」出店。

1993年年4月、
食品を含めた日常生活必需品を網羅する、
「PLANTー2坂井店」を開発。

PLANT-2の2は、
「2000坪級」の意味だ。IMG_15162

その隣に㈱PLANTの本社。
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ここが商談室だ。
かっこいい。
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その奥にオフィス。IMG_15202

代表取締役社長は、
三ッ田佳史(みったよしふみ)さん。IMG_E15192
スーパーセンターの話を聞いた。
アメリカ視察の話などで、
大いに盛り上がった。

コーディネートしてくれたのは、
石原靖曠先生。

石原先生は、
PLANTの開発を指導した。

久しぶりのツーショット。IMG_15302

最後は三ッ田さん行きつけの音楽バー、
「ジェイク」へ。
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歌手はユミさん。
その松田聖子の歌に合わせて、
三ッ田さんが、ドラムで加わった。IMG_1672-1

三ッ田さんはドラマーであり、
ギタリストでもある。
このドラムは自前のセットで、
この店に置いているそうな。IMG_15372

ホテルに帰って寝る前に、
宮城県や福島県など東北地方で、
最大震度6強の地震を知った。

まだまだ、
東日本大震災の余震は続いている。

人間による破壊、
自然による破壊。

それらに耐える人間。

小売業やサービス業は、
その人間を支える役割をもつ。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
あすへの希望。

スーパーセンターも、
「生活のよりどころとなる店」として、
地域と社会に貢献する。

世界最強のフォーマットは、
ウォルマートのスーパーセンターだ。
アメリカでもっとも強いリテールビジネスだ。

日本でも多くの企業が、
このスーパーセンターに挑戦した。

しかしいずれも芳しい成果は、
上げられない。
つまりウォルマートのように、
中核業態にはできない。

そのなかで専業チェーンは、
九州のトライアルスーパーセンターと、
北陸出身のPLANT。

PLANTは、
2010年4月にジャスダックに株式上場。
2012年8月、東京証券取引所第二部に、
2014年8月に、東京証券取引所第一部に上場。

14の府県25店舗を展開、
2021年9月期年商962億円。

まだまだ飛躍が見込めるはずだ。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
あすへの希望。

「生活のよりどころとなる店」の追求。
その未来図を考えてみたいものだ。

〈結城義晴〉

2022年03月15日(火曜日)

ウクライナの「V対Z」とFoocot2号店の「石を投げられても」

山陽新聞の巻頭コラム「滴一滴」

「英文字の”V”は、
ビクトリーの頭文字で、
“勝利”を意味する文字として使われる」

「第2次世界大戦中には、
英国を率いたチャーチル元首相が、
人さし指と中指を広げて立てる
Vサインを掲げ、国民を鼓舞した」
チャーチル⑵

「Vサインはやがて、勝利だけではなく、
“平和”も意味するようになった」

「一方、こちらの文字はなんとも不気味だ」
そう、ロシア軍の「Z」

「ウクライナに侵攻した
ロシアの戦車や軍用車両に、
白色で大きく書かれている」

ロシア語では、
「勝利のために」は”За победу”、
「西」は”Запад”(ザパド)、
大統領ゼレンスキーは”Зеленский”。
この頭文字「З」がアルファベットの「Z」だ。

ロシア国内では、
軍事行動を支持するシンボルになっている。

マイカーにZマークを塗ったり、
Zの手製ブローチを襟に着けたり。

一文字のZもVもインパクトがある。

月刊商人舎3月号特集は、
販促X。
商人舎20223月

このXにも特別の衝撃がある。

Xは未知なるもの。
そしてXformation。
つまりTransformationの、
大変革。

販促にも未知なる変革が訪れた。

商人舎2月号のMessage。
「AがWを超えるごとく!」
確かに時代は変わる。
コロナが時代を変える。
WからX、Y、Zと進んで、
再びAへと戻る。

AはZまでをも包含すると、
(うそぶ)く――。

Falling letters of English language. Colorful messy sketch flying words of Latin alphabet. Foreign languages study concept. Incredible back to school banner on white background.
このAはアマゾン、
Wはウォルマート。

AがWを超える時代が来る。

しかしウクライナでは、
VがZを制してほしいものだ。
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滴一滴のコラム。
「流血の惨事を止めるすべはないのか。
最後にVサインを掲げるのが、
どうかウクライナの人々であってほしい」

心から同感したい。

商人舎流通スーパーニュース。
フーコットnews|
2号目のフーコット昭島店(東京都)3/15オープン
フーコット2号店

ヤオコーの新フォーマット、
「Foocot」2号店が今日、オープン。

残念ながら記者発表はない。
私自身、今日は行けなかった。

それでも興味深い。

ヤオコーが果敢に挑戦したのが、
ディスカウント・スーパーマーケット。

昨年8月3日に第1号飯能店がオープン。
フーコット1号店
そのスタディは、
月刊商人舎2021年9月号。
[特別企画]
ヤオコー「Foocot」の正体

お手元にこの雑誌がある方は、
もう一度読み直して、
今度は昭島を訪れてほしい。
IDとパスワードを保有している人も、
それを再読してほしい。

かつてダイエーがDマートに挑戦した。
アメリカのKマートと提携して、
そのノウハウを学んでから、
新フォーマットを開発した。

しかし、失敗した。

イトーヨーカ堂はザ・プライスをつくった。
これは最初からうまくいかなかった。

イオンはザ・ビッグを、
延々とつくり続けて、
やっと収益が出始めた。

しかしそれも、
広島の㈱みどりが、
1989年に開発したディスカウント店だった。
粗利益率を3分の1に下げて、
廉価販売をする。
それを商品回転率を高めて補う。

私は第1号店だったか、
取材に行ったことがある。
月刊食品商業に記事を書いた。

その後、みどりは、
マックスバリュ西日本に吸収された。

レギュラーチェーンが、
ディスカウント業態をやっても、
ほとんどが失敗する。

みどりは「背水の陣」でこの転換を行った。
だから最初の実験で一定の成功を収め、
それがイオングループに定着した。

西友はウォルマートの傘下に入り、
ウォルマートのDNAによって
ディスカウントスーパーマーケットに変わった。
もともとの西友のDNAは捨てた。

つまり、ディスカウントは、
企業全体の体質をつくり換えるようにして、
挑戦しなければ成功はしない。

私はいつも言う。

「石を投げられても、
唾をかけられても、
これこそ我々ができる唯一の、
社会貢献の仕事だ」

そう考えることができなければ、
ディスカウント業態をモノにすることは、
絶対にできない。

世界のウォルマートがそれだ。
ヤオコー傘下のエイビイがそれだ。

ヤオコーのフーコット部隊に、
それができるのか。

エブリデーローコストに、
徹することができるのか。

そこにかかっていると思う。
私はその点を見に行く。

出来たら、すごいことだ。

ウクライナの民も、
Vに命を懸けている。

だから欲得ずくのZには負けないのだ。

〈結城義晴〉

2022年03月14日(月曜日)

大越健介はポーランドに飛び西友は価格据え置きを宣言す

Everybody! Good Monday!
[2022vol⑪]

2022年第11週。
3月第3週。

関東地方もめっきり春めいてきた。
今日は5月の陽気だとか。

それでも、
一月、往ぬる。
二月、逃げる。
三月、去る。

この3月ももう半分が過ぎて、
今日は14日のホワイトデー。

スイーツ・クッキー・チョコレート・ケーキ、
などなど、売れたのでしょうか。

今日は横浜商人舎オフィス。
裏の遊歩道の桜も、
芽が出てきた。
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夕方、自由が丘。
いつもの花屋。
モンソーフルール。
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春らしい色とりどりの花。IMG_14792

夕闇が迫って来て、
パリの街のようだ。
一組の恋人たちがベンチに座っている。IMG_14822

夜になって、
ライトアップされて、
花が輝きだした。
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日本は平和です。

ロシアによるウクライナ侵攻は、
2月24日から始まった。

それから20日が過ぎた。

時間の軸はさらに早まった感じです。

「ベトナム戦争ではテレビでお茶の間に、
湾岸戦争でリアルタイムで、
衛星放送とケーブルテレビ、
イラク戦争でネット、
ウクライナ戦争でSNSと、
戦争と社会を結ぶメディアも
時代とともに変わっている」
と、鈴木一人東京大学公共政策大学院教授。

現在は、
地上波テレビでも衛星放送でも、
インターネットでもSNSでも、
多様なチャネルで、
戦争というものの実態を、
見せられてしまう。

便利なようで、
実は恐ろしいことです。

何も知らされないロシア国民と比べれば、
その認識は天と地ほどの差が出る。

ただし、如何にリアルな映像であっても、
映像は映像だ。

現場の空気、現地の音や臭い、
それらは現場に行かねばわからない。

だから流通業に関して、
私は必ず現場に行く。

ネットスーパーと、
リアル店舗との差は、
ここにある。

いま、大越健介キャスターが、
ポーランドに飛んでいる。
タイトルなし
NHK「ニュースウオッチ9」で、
メインキャスターを務め、
昨年6月に60歳定年を迎えて、
テレビ朝日にスカウトされた。

そして10月4日から、
「報道ステーション」へ。

しかし初回視聴率は11.6%と低調。

徐々に視聴率を上げ、
ロシアによるウクライナ戦争の20日間で、
挽回し始めていた。

そんななかで現地へ飛んだ。

現場の事実を伝える。
現場の本当のことを伝える。

どんな番組ができるか。
それはわからない。

東大野球部のエースとして、
東京六大学新人戦で準優勝を果たした。
NHKでは政治記者として活躍し、
ワシントン駐在もした。

経験と実績を積んだジャーナリストだ。

けれども大越健介自身、
ウクライナの隣国の緊張感、切迫感を、
新人記者のように体感できるはずだ。

私も行きたいくらいだ。

どんなことでも、
現場が第一である。
現場にしかわからないことがある。

朝日新聞「折々のことば」
今年1月26日の第2274回。

ほんとうのこと
というものは、

ほんとうすぎるから、
私はきらいだ。
(坂口安吾「恋愛論」より)

「人は死んでしまえばそれまでだとか、
恋愛は一時の幻影で必ず醒(さ)めるとか、
そんな”あたりまえすぎる”ことを
言って何になるのか」

私は大学時代に、
安吾を読み漁った。

そして無頼派を気取った。
なりきれなかったけれど

しかし、よくわかる。

「死も恋愛も、
各人がそれぞれにあがき、
振り回されつつ
向きあうほかないもので、
そこに正解はない」

「”ほんとう”らしき物言いは、
人生の厳しい”格闘”に怯(おび)え、
無難にやりすごすための口実でしかない」

恋愛にかぎらない。
戦争もマルチチャネルで見ることができる。
隣国だろうが現地へ飛んで、
その空気を知ることもできる。

しかし、そこで知るのは、
ほんとうのことは、
ほんとうすぎることだ。

眼をそむけたくなろうが、
きらいだろうが、
見なければならない。

やんちゃな安吾では、
いられない。

そこに何かがあるし、
何かが生まれる。

だからバイヤーは、
産地や製造現場を訪れねばならない。
店長は、
リアルの売場をより良く、
充実させねばならない。

さて、商人舎流通スーパーニュース。
西友news|
「みなさまのお墨付き」全1254品目を6月末まで価格据え置き

3月11日の記者会見で、
大久保恒夫社長が価格凍結を宣言した。
「がんばるプライス」
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食品の値上げが相次ぐなか、
自社商品の価格を据え置く宣言。

イオンはいまのところ3月末日まで、
トップバリュの「価格凍結」を実施している。

大久保恒夫、
絶妙の舞台での、
実にうまいタイミングでの宣言だった。

2023年には、
みなさまのお墨付きの構成比を、
グロサリーの25%に高めていくという。

成城石井時代の「イチニッパ」作戦と同じだ。

4月に向かって、
新しいことを芽吹かせる。

そんな時期である。

ではみなさん、今週も、
現場第一で、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年03月13日(日曜日)

那珂太郎「鎮魂歌」の「何かを始めるには」

ウクライナの人たちには、
曜日はなくなっているのだろう。

ゼレンスキー大統領。
3月7日の月曜日にビデオ投稿。
「私は大統領府にいる」
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そして、
「月曜日は”ヘビーな日”だが、
戦争中の今は、
毎日が月曜日のようだ」

ロシア民謡「一週間」は、
日曜日から始まる。

♫日曜日に市場へでかけ
糸と麻を買ってきた

テュリャ テュリャ テュリャ
テュリャ テュリャ テュリャリャ
テュリャ テュリャ テュリャ
テュリャリャ

月曜日におふろをたいて
火曜日はおふろにはいり

水曜日にともだちが来て
木曜日は送っていった

金曜日は糸まきもせず
土曜日はおしゃべりばかり

ともだちよ これが私の
一週間の 仕事です♬

ウクライナの民もロシアの民も、
こんな一週間を過ごしたいのだろう。

私も同じだ。

闘いなどしたくはない。
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那珂太郎(なか たろう)詩集。
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鎮魂歌

日日

午后三時――
何かを始めるには遅すぎる
または早すぎる時刻
とは半世紀昔の
実存主義作家の文句だけれど
私にとつてそれは日に日に
郵便物が配達されてくる時刻
ときに親戚の娘の結婚式の案内状が舞ひ込み
ときにもうこの世にはゐない友人から
〈すてきな人生〉といふ本が送られてきたり

〈すてきな人生〉なんて
何と楽天的な、
と感心して頁(ペエジ)をめくると
〈みんな、のんきな顔をしているけれど
いずれ地球は、ひびだらけになり
ヒトは消えてしまうのを
とっくに心得ているのだ〉
なんて書かれてる

〈滅びない星なんて、ありはしない〉
これはこの世におさらばする寸前のかれの
ささやかなさりげない憂鬱なユウモア
彼は去年の暮にお骨(こつ)となって
わが家から歩いて十数分の処に葬られたのだ

ときにかれの処まで散歩がてら訊ねてゆく
生きてる間は遠く離れて住んでゐたのに
好きな碁を打つわけにもいかぬお骨となつて
こんな近所に引越してくるなんて

いくさのさなかの半世紀昔
二十歳のぼくらは
七十歳の老人よりはるかに
〈死〉の至近距離にあつた
いま七十歳は二十歳より
確実に〈死〉に近いか
いやタルコフスキイの父親の文句をもぢれば
すべての人は不死すべての物は不滅
十七歳でも七十歳でも
〈死〉からはかぎりなく遠い

午后三時でも 七十歳でも
さう、何かを始めるのに
遅すぎることも
早すぎることもありはしない
けふ一日(ひとひ)の心やりのために
数行の言葉を列(つら)
三十年後のために苗木を植ゑて水をかけ
あすは親戚の娘の結婚式に出かけるとしよう

*〈すてきな人生〉は北村太郎遺稿詩集

那珂太郎は1922年(大正11年)、
福岡に生まれる。
1943年、東京大学文学部国文科卒業。
海軍予備学生として土浦海軍航空隊に入隊。
終戦まで海軍兵学校国語科教官。
戦後、都立の高校、玉川大学等で教鞭をとる。

いま、ウクライナの二十歳は、
七十歳の老人よりはるかに、
〈死〉の至近距離にあるか。

日本の戦時と同じだ。

那珂太郎の言うタルコフスキイは、
アンドレイ・タルコフスキイ。
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「映像の詩人」と呼ばれた旧ソ連の映画監督。
深い精神性を探求し、
晩年にかけては、
人類の救済をテーマとした作品を、
自ら制作、監督した。

表現の自由を求めてソ連から亡命し、
故郷に還ることなく、パリで客死。
54歳だった。

そのタルコフスキイの父親は、
著名なウクライナの詩人、
アルセニイ・タルコフスキイ。
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その言葉が、
「すべての人は不死
すべての物は不滅」

だとすれば、
十七歳でも七十歳でも、
〈死〉からはかぎりなく遠い。

ウクライナの若者は今、
父タルコフスキイの詩を口ずさみながら、
闘っているのかもしれない。

そして私たちは、
午后三時でも、七十歳でも、
何かを始めるのに、
遅すぎることも、
早すぎることもありはしない。

〈結城義晴〉

2022年03月12日(土曜日)

戦争に関する「マクドナルド理論」とイセ食品経営破綻

「マクドナルド理論」
あちこちで取り上げられている。
「黄金のM型アーチ理論」ともいう。
『レクサスとオリーブの木』で論じられた。
トーマス・フリードマンの2000年の著書。
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「マクドナルドのある国同士は
戦争を行わない」

ある国の経済が発展していって、
マクドナルドが出店し、
チェーン展開を始める。

すると大抵、大人気を博する。

これはその国に中流階級が形成されて、
そこまで発展すると、
その国の国民は戦争を望まなくなる。
「むしろ、ハンバーガーを求めて
列に並ぶ方を選ぶ」

おもしろい観察だったが、
マクドナルドのほうが巧みだったのか、
この理論そのものが、
一時の現象をとらえただけのものだったのか。

1998年のコソボ紛争や、
2008年の南オセチア紛争によって、
マクドナルドの店があっても、
戦争が起こった。

そしてこの理論は批判を浴びた。

ロシアには850店を展開しているが、
すでに営業を中止している。

ウクライナにも20都市以上に、
100店くらいは出店しているが、
こちらも営業どころではないだろう。
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いずれにしても、
「マクドナルド理論」は破綻した。

トーマス・フリードマンの評価は別にして、
この理論は破綻してほしくはなかった。
マクドナルドには世界中に出店して、
戦争が起こらないことを実証してほしかった。

フリードマンは、
グローバリゼーションを語った。
それはアメリカ中心の理屈だった。

アメリカの理屈と、
マクドナルドを好む人間の特性は、
一致はしなかった。

つまり「専制主義」と言われる国でも、
変貌した「共産主義」の国でも、
健全な中産階級が形成されていなくとも、
マクドナルドは人気を博する。

ではセブン-イレブンは?
イオンは?
ユニクロは?

戦争との関係で、
セブン-イレブン理論や、
イオン理論、ユニクロ理論が成り立つとしたら、
商業の発展と平和理論がリンクすることになる。

それはそれで、
私としてはうれしいことだ。

ただし「マクドナルド理論」は、
ウクライナ危機で反証されてしまった。

キエフ総攻撃を、
世界中が固唾を飲んで見守っている。

土曜日にもかかわらず、
商人舎オフィスに出て、
いろいろな打ち合わせ。

コロナ禍によって、
商人舎の事業も停滞した。

その間に単行本は書けたけれど。

この春から夏にかけて、
事業の再構築をし、再浮上を期す。

みなさん、よろしくお願いします。

さて商人舎流通スーパーニュース。
イセ食品news|
「森の卵」の鶏卵トップ企業会社更生手続き

鶏卵のイセ食品㈱が、
会社更生法手続きに入った。
負債は453億円だという。

一般新聞が次々に報じた。

イセ食品のホームページでは、
保全管理人となった髙井章光弁護士が、
コメントを発表して、
会社再建を目指すとしている。

イセ食品は鶏卵のトップ企業の一つだ。
全国に14の生産拠点をもち、
アメリカ、中国、インド、アセアンに進出している。
イセ食品

「森のたまご」などのブランド名で、
全国の食品小売業に卸していた。

鶏卵業界の企業としては、
日本農産工業㈱がトップだが、
同社は畜産飼料や肉なども販売するため、
鶏卵に関しては、
イセ食品が一番手だ。

ヨード卵光の日本農産は、
三菱商事の傘下にある。

一方のイセ食品は独自路線を歩んで、
伊勢彦信前会長の強気の経営で、
年商500億円程度に成長していた。

卵は「物価の優等生」などと言われて、
価格が安定している商品の代表だ。
96%が国産である。
特売頻度も高い。

その卵の価格は、
「エッグサイクル」と呼ばれた。
2、3年、あるいは5、6年の周期で、
価格の変動が訪れた。

しかし年次変動の幅が狭くなり、
最近は低価格水準で推移している。

生産は安定し、供給過剰。
しかし飼料や燃料など生産コストは上昇した。
シェアが高止まりすれば、
売上げは伸びず、経費だけ高騰する。
それがイセ食品倒産の根本的な理由だ。

私も40年くらい前に、
鶏卵のGPセンターを取材したことがある。
GPは「グレーディング・アンド・パッキング」。
GPセンターは格付・選別・包装施設のことだ。

当時は全農が支配する世界だった。
そこにイセ食品などが台頭して、
やや強引な拡大政策をとって成長した。

その挙句の倒産である。

2018年、イセ食品は、
関西圏の「スーパー玉出」を、
約50億円で買収した。
売上高約450億円で45店舗。

玉出の現在の経営は、
㈱フライフィッシュ。

伊勢彦信前会長の個人出資会社が、
フライフィッシュの親会社だ。

イセ食品の会社更生法とは、
資本関係はないはずで、
だから玉出はこれまで通り経営される。

伊勢彦信氏には会ったことがないが、
日本を代表するアートコレクターだという。
日本画、洋画、陶磁器などを幅広く所有し、
とくに中国陶磁のコレクションは、
2017年にパリの国立ギメ東洋美術館で、
企画展が開催された。

2007年にはフランス政府から、
シュバリエ勲章を受章している。

『卵でピカソを買った男』
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生産過剰で価格安定。
そんなマーケットで成長を続けた。
しかし根本的な経営経費構造によって、
大きな破綻を招いた。

私には鶏卵業界のほうが心配だ。

〈結城義晴〉

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