結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年01月11日(木曜日)

似鳥昭雄の「ニトリ社長復帰」とイズミの店長「買収子会社社長就任」

1月11日。

昨日発行した、
月刊商人舎1月号。
もう多くの反響があった。
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ありがとうございます。

今年1年、圧倒的に学習する組織となる。

商売と仕事から学ぶ。
会社と上司と仲間から学ぶ。
顧客と取引先と地域から学ぶ。

聞いて学ぶ。
読んで学ぶ。
体験して学ぶ。

トップが率先して学ぶ。
部長や店長が学ぶ。
みんなで学ぶ。

そしてこのとき、
個人の学習なしに、
組織の学習はない。

個人の成長なしに、
組織の成長はない。

組織の学習が成果に結びつく。

このとき個人の学習は、
個人への動機づけと援助が必須だ。

組織の学習のためには会社の中に、
「教育機関」をつくるのが一番いい。
「教育機関」に派遣するのもいい。
ただし、その機関は厳選したほうがいい。

さて昨日は商人舎の新年会。
山本恭広編集長と鈴木綾子さん。
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商人舎オフィスから3分のところ。
九つ井 横浜店。
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入り口に大きなタペストリー。
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個室で乾杯。
水炊きのコース。
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先付け。
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そして前菜。
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生ビールと本醸造。

熊野の地鶏の水炊きを堪能して、
最後は雑炊と蕎麦。

大満足。

今年も1年、走り続けよう。

商人舎流通SuperNews。
ニトリnews|
似鳥会長が子会社ニトリ社長兼任/中長期計画の加速化図る

㈱ニトリホールディングスの人事。
子会社の㈱ニトリの社長に、
創業者の似鳥昭雄さんが復帰する。
10年ぶりのことだ。

似鳥さんは、
ホールディングスの代表取締役会長と兼任。
ホールディングス社長は白井俊之で変わらず。

ニトリホールディングスは、
「2032年、3000店舗3兆円」を掲げる。
これが中長期ビジョンだ。
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現在の武田政則ニトリ社長は、
ホールディングス取締役執行役員副社長として、
海外事業の管掌に専念する。

永井弘常務執行役員が、
ニトリ取締役専務として、
似鳥さんを補佐して国内事業を管掌する。

しかし国内事業において、
似鳥さんが陣頭に立つ。

正念場との認識だろう。

似鳥昭雄、79歳。
最後の現場勝負である。

大きな成果を期待しよう。

一方、
イズミnews|
大分のスーパーマーケット「サンライフ」を完全子会社化

㈱イズミが大分の㈱サンライフを買収する。
サンライフは大分県内に4店舗を展開、
2023年9月期売上高57億9500万円、
営業利益6000万円、経常利益1億600万円。

大分市と日出町はイズミの空白地帯である。
サンライフはこのエリアで事業展開している。

山西泰明イズミ社長のコメント。
「新たな市場への参入、
市場占有率の向上という、
わが社の経営戦略と合致しています」
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イズミは「2030年・300店舗」を、
経営計画として発表している。

なお、新たな人事も発表されている。
田中伸芳ゆめタウン黒瀬店長と、
皿谷尊正経理課長がサンライフに出向する。
そして社長と取締役管理本部長に就任する。

今年はこういったM&Aが頻発するに違いない。

スーパーマーケット産業には、
六重苦が待ち構えている。

とりわけ人手不足は深刻だ。
しかも万一「ゼロ金利」が解除されれば、
中小企業の資金繰りはひどく苦しくなる。

売り時、買い時である。

そしてそんなとき、
店長がいきなり、
社長に就任することも起こる。

そんな時代である。

しかし店長にとって、
社長を経験することは、
何よりの学習である。

学ぶ組織にとって、
M&Aはプラスになるのだ。

〈結城義晴〉

2024年01月10日(水曜日)

商人舎1月号特集「みんなで学べ。」の「個人の学習と組織の学習」

月刊商人舎2024年1月号、
本日発刊。
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新年号の特集は、
組織で学べ。
1年間、学ぶ組織であり続ける。
これに尽きる。

商人舎独特の表紙の一文。
[Cover Message]
2024年は完全にCOVID-19から脱した年として、歴史に刻まれることだろう。その新しい年に日本の小売業には6つの課題が横たわっている。①商品値上げ、②電気代高騰、③消費者物価上昇、④賃金上昇、⑤「2024年の物流費上昇」、そして⑥深刻な人手不足。昨年から指摘してきたが、このときに必須となるのが「トレードオフ」の考え方を退けて、「トレードオン」の両利き経営を志向することである。そしてその実現のために全社を挙げて取り組まねばならないのが、「組織で学ぶ」ことだ。学習する組織に風土と体質を変えることである。場合によっては「学習棄却」と訳される「アンラーニング」が求められる。井出武美イオンリテール社長、横山清アークス社長のロングインタビューと実例研究を通して、学習する組織の本質に迫る。

今号のコンセプトを表した巻頭言。
[Message of January]
みんなで学べ。

「まなぶ」は「まねぶ」から生まれた。
学ぶことは真似ることから始まる。
創意を尊びつつ良いことは真似よ。

商人は商売と仕事から学ぶ。
会社と上司と仲間から学ぶ。
顧客と取引先と地域から学ぶ。

話を聞いて学ぶ。
本を読んで学ぶ。
体験して学ぶ。

みんなが学ぶ。
しかし優先されるべきは、
個人が学ぶことだ。

個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織学習の基礎となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。

「みんなで学ぶ」とは、
「チーム学習」とは、
学んだ者同士が対話することだ。

対話を通じて、
ビジョンを共有し、
成果を最大化させることだ。

ポストコロナの2024年。
学習する組織をつくろう。
みんなで学ぼう。

個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織学習の力となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。
〈結城義晴〉

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個人の学習なしに、
組織の学習はない。

今年1年、貫徹すべきテーマは、
学ぶことだ。

その方法は簡潔に書いておいた。

[目次]
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2024年の提言が二つ。

[結城義晴]
「学習する組織」がトレードオンを実現させる!
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[小島健輔]
インフレ四重奏の年には「繁盛店」を目指せ!202401_kojima-768x504

そしてロングインタビュー。
[イオンリテール㈱社長]
井出武美「2024年の挑戦」
「総合の強みの最大化」と「全員経営」を貫く!
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[㈱アークス社長]
横山清の「競合は成長の粮(かて)
「似て非なるもの」を追求し続ける!
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横山さんが語る「似て非なるもの」こそ、
スーパーマーケット業態のなかの、
フォーマットの独自性である。
ポジショニングである。

業態は「似ているもの」であり、
フォーマットは「非なるもの」である。

一目で違いがわかる店づくり、売場づくり、
独自の商品づくり、サービス。
それが「非なるもの」でなければならない。

トレーダー・ジョーのように、
ウェグマンズのように、
ホールフーズのように、
HEBのように。

それぞれのケーススタディ。
イオン船橋店「改革の全容」
衣料・住余・キッズの再構築で、
「総合の強み」を最大化する202401_aeon-funabashi
イトーヨーカ堂が捨てた総合を、
イオンリテールはこうして改革した。

[店舗研究]
スーパーアークス白石店
954坪のビッグハウスを高効率店に大改装!202401_arcs-3

特別企画は、
西の万代/東のベルク
東西実力派スーパーマーケットの画期的新店スタディ

㈱万代は年商3622億円 (2023年3月決算)で162店、㈱ベルクは3108億円(同)で134店舗。関西圏と首都圏の有力リージョナルチェーンは、どちらも「良い品」を「どんどん安く」売る。派手さはない。けれど顧客から絶大な信頼を得ている。その東西実力派の最新店は画期的だ。

西の万代紀伊川辺店
イズミヤスーパーセンター跡への和歌山初出店で斬新な挑戦
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東のベルク古河諸川店
カスミ撤退跡にスクラップ&ビルドした高生産性店舗の秘密
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必読の記事であり、必見の店舗だ。

いずれも万代とベルクの、
組織学習の成果であると思う。

私の提言の最後に書いた。
「ヤオコーに限らない。
私の知る限り、
イオンにもアークスにも、
万代にもベルクにも、
組織で学習する態度は必須である」
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どこよりも学ぶ組織でありたい。
商売と仕事から学ぶ。
会社と上司と仲間から学ぶ。
顧客と取引先と地域から学ぶ。

今年は学ぶ競争の1年になる。

そしてこのとき、
個人の学習なしに、
組織の学習はない。

〈結城義晴〉

2024年01月09日(火曜日)

「人手不足と人材難」は産業と企業の「協調と競争」に委ねられる

今日あたりから日本中に、
完全に日常が戻ってくる。

能登半島にはまだまだ、
平常は帰ってこない。

死者は202人となった。
安否不明者は102人に減った。

日々、安否不明者が死者に変わっていく。
何とかできなかったのか、できないのかと思う。

ご冥福を祈り、お見舞い申し上げたい。

昨年大晦日の「第74回NHK紅白歌合戦」
視聴率は史上最低となった。
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ずっとダウントレンドだった。
当たり前のことだ。

第1回は1951年に始まった。

第14回の1963年には、
史上最高の視聴率81.4%。
司会は江利チエミと宮田輝。

翌年の1964年10月に東京オリンピック開幕。
そのためにテレビが急速に普及していた。

今回はもう74回。

史上最低でも視聴率は、
前半29.0%、後半31.9%だった。

旧ジャニーズ事務所からは出演者ゼロ。
それも視聴率に響いた。

そろそろこんな総花企画は、
終わりになるのだろう。

静かな大晦日、
それぞれの大晦日。
それが主流になる。

いいことだ。

今日の日経新聞「社説」
「構造的な人手不足に克つ大改革を」
日経社説

北海道新聞の今日の「社説」も、
「人材難 協調で乗り越える」

「2024年は人手不足が今まで以上に
大きな社会課題となる」

私の認識と同じだ。

「4月に時間外労働の上限規制が課される。
運輸・建設業をはじめ、
介護など福祉分野も人材難は深刻だ」

建設の従事者は、
ピーク時の1997年から3割減った。
運輸では何も手を打たなければ
2030年には約3割の荷物が運べなくなる。

長時間労働に頼ったままでは、
持続可能な事業とは言えない。

「2024年問題」は、
将来の危機を乗り越える試金石とすべきだ。

日経社説。
「労働力人口が先細るなかで、
問題の先送りは許されない。
構造的な人手不足の克服へ
官民挙げて聖域なき改革に踏み出すときだ」

賛成。

道新社説。
「米経営学者ドラッカーは39年前の著書で
『人口構造の変化ほど明白なものはない』
『もたらすものは予測が容易』と述べていた。
デジタル化や外国人労働など課題と向き合い、
競争から協調へと社会のあり方を変える
転機である」

これにも同感。

日経の問題提起。
そのために第1に、
多重下請け構造がもたらす弊害の解消。

「トラック運転手は長時間の荷待ちを強いられ、
荷役は無料の付帯サービスと見なされてきた」

こうした慣習を抜本的に見直すには
発注者や荷主の協力が不可欠だ。
「下請けとの協議を拒む企業を
公正取引委員会が監視するなど、
行政の一定の介入も必要だ」

第2に歩合給から固定給への転換。
「技能に応じて手当を上乗せするなど、
他産業に見劣りしない賃金水準に引き上げる」

第3に省人化の徹底。
「自動運転をはじめ、
ドローンでの測量や配達、
ロボットによる施工や積み荷など、
官民で普及を加速してほしい」

第4に貴重な労働力を分かち合う発想。
「他社との中継配送など」

第5に政府は中小企業の保護よりも、
業界再編を後押しすべきだ。
また規制改革を推進すべきだ。
「ライドシェアの解禁など」

第6に外国人労働者の問題。
「政府は問題が多い技能実習制度をようやく廃止し、
新制度をつくろうとしている」

にもかかわらず自民党は、
就労後2年間は転職できない
経過措置を設ける提言を出した。

ああ、自民党。

一方の道新。
「長らく”在庫を極力減らし、
必要な時に運ぶ”ことが効率的とされ
迅速配送は当たり前になった」

その頂点にセブン-イレブンがあった。

「都市部の荷主、消費者が”遅さ”を許容し、
過疎地に振り向けることも
物流網維持を図る鍵となる」

日経より道新のほうがわかりやすい。

「政府は人権問題が指摘された
技能実習生制度を廃止し、
今年抜本的な改革を図るが、
永住や家族同伴のハードルは高い」

「もはや経済大国とは言えぬ中で
危機意識が乏しくないか。
デジタル人材育成には熱心だが、
介護・福祉は後手の印象が拭えない」

日経は大胆なことも言う。
「生産性の低い企業が
人材を抱え込んだままでは、
日本経済は強くならない」

その通りだが、
生産性は企業規模の大小とは関係ない。
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「政府は労働市場の改革をさらに加速し、
人材の流動性を高めるべきだ」

「雇用調整助成金のように
現状の雇用を温存するのではなく、
安全網を整えながら
働き手のリスキリングを強く後押しする
北欧型の労働政策に変えていく必要がある」

ん~、観念的。

「賃金や仕事そのものの魅力を高めなければ
人材は流出し、淘汰されていく」

これは国や道も、
産業や企業も、
認識すべきことだ。

知識産業、知識企業になることが、
魅力ある仕事に直結している。

米国FORTUNE「働きがいのある企業」がそれだ。

「課題は多岐にわたっており、
各省庁が緊密に連携しなければ
根本的な解決は難しい」

それができていない。
優秀とされる官僚たちも、
縦割り意識の中にある。

「司令塔としての機能が
政府には求められる。
政策を結集し、首相が先頭に立って
改革を断行すべきだ」

ん~、この最後の提言こそ、
むなしい。

首相の頭には今、
パー券スキャンダルからの逃避しかない。

かくて問題解決は、
産業と企業に委ねられる。
その協調と競争に任される。

ああ。それでも頑張る。

〈結城義晴〉

2024年01月08日(月曜日)

土井善晴の「七草粥」と新成人106万の中の「知識商人」

Everybody, Good Monday!
[2024vol②]

2024年第2週、
そして今日は成人の日の祝日。

昨日のホームコース。
千葉の空。
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関東は暖かい冬の日だ。IMG_0605 (002)4
なぜ木は垂直に立っているのだろう。
まっすぐに空に向かっている。

昨日は七草の日。
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日経新聞夕刊エッセイ。
「あすへの話題」

料理研究家の土井善晴さんが、
連載陣に加わった。66歳。
土井勝さんの次男で、
跡を継いだ。
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タイトルは「春の七草」 

七草粥のおいしいつくり方、食べ方を、
簡潔に教えてくれる。

「前日に、八百屋さん、
いやスーパーに並んだ
パック入りの七草セットを買い求める」

「我が家では、2人だから、
米は1/2カップ」

「手のひらに米をとって
擦り合わせるようにして洗い、
蓋のできる雪平鍋に入れ、
6~7倍の水を注ぎ、
強火にかけて、
煮立てば底からひと混ぜして火を弱め、
蓋を少しずらして、20分以上炊く」

「火加減は蓋の隙間から覗(のぞ)いて、
静かな煮立ちを確かめる」

「粥(かゆ)は米粒が開いて、
花が咲けばよし」

「水気が残る感じにさらりと炊き上げる。
ボテボテするまで煮てはいけない」

ここまでずっと粥のつくり方。

ここから七草を入れる。
「粥を煮る間に七草を刻む。
餅はこんがりと焼き上げる」

刻んだ七草と、
焼き餅。

焼き餅は入れたことがなかった。

「火を止める直前の粥に
七草を混ぜ込み、
火を止めて、
香ばしい焼き餅を入れる」

「茶碗にそっと装い、緑を楽しみ、
自然塩でいただく」

以前は土井さん、
七草を下茹でしていた。
「生を直(じか)に入れるようにしてからは、
緑の味が際立って迫力がある」

「せめて1杯目は、炊き立ての
さらりとしたのをいただきたい。
この分量で2人が軽くおかわりできる」

軽くおかわり。
この程度が粥にはちょうどいい。

今年は餅を入れてみた。IMG_0625 (002)4
美味かった。

土井さん。
「食事は文化だ。
文化が私たちの身を守る」

「この列島の文化は、
豊かな自然を背景に生まれた」

「自然の普遍を思う。
お天道さまの秩序という道筋に
美しいものは生まれる」

「料理する人は自然を信じれば良い。
自然にあるものを料理する」

スーパーマーケットや食品小売業は、
自然にあるものをまず提供したい。

それが文化をつくる。

今日、成人式の若者たちにも、
この文化は伝えたい。

能登には雪が積もった。
今日8日の午後2時現在、
死者は168人に増えた。
ご冥福を祈りたい。

安否不明者も323人に増えた。

避難所で暮らす人たちに、
七草粥は届くのだろうか。

一方、池田佳隆衆議院議員が、
逮捕された。
名古屋選出の57歳。

2人の政策秘書とともに、
政治資金規正法違反の疑い。
派閥パーティー券のキックバック事件。
もちろん安倍派。

自民党は党紀委員会で、
池田議員を除名処分にした。

除名にしたからといって、
自民党の責任が消えるわけではない。

金権体質は一掃しなければならないし、
金がついて回る現在の選挙も、
根本的に改めねばならない。

成人する若者たちに対して、
私たちは全責任を負っているのだから。

総務省の推計では、
今年の新成人は106万人だ。
昨年より6万人の減少。
男性55万人で女性52万人。

このうち何人が商人になってくれるのだろう。
そして何人が政治家になるのだろう。

私はそれを思う。

朝日新聞の「天声人語」。
作家の中島らも。
私と同年だが故人となった。
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「人は所詮(しょせん)、
なるようにしかならない」

「不幸とは、
夢中になれることから目をそらせて
自分を不自然に
たわめていくことの中にある」

同感だ。

自戒を込めて、
新成人たちに伝えよう。

夢中になれることから、
目をそらせてはいけない。

それでも何人が、
知識商人になってくれるのだろう。

では、皆さん、今週も。
霧中になろう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年01月07日(日曜日)

ワイプラザ輪島の「役に立ちたい」とやなせたかしの「ヒーロー」

成人の日を含む三連休。

2024年最初の三連休だ。
それでも正月休みの延長の連休だから、
国民は休み慣れしている。
大型連休とするならば、
12月28日から明日の1月8日までで、
12日間となる。

それはそれでいいのだろう。

私が二十歳になったときには、
成人の日の祝日は、
1月15日と決まっていた。

それが1999年まで続いて、
2000年からハッピーマンデー制度が導入された。

もともと1月15日は小正月(こしょうがつ)である。
対して元日、あるいは七草の7日までを、
大正月(おおしょうがつ)という。

正月の終わりが小正月で、
切りがいい。

そして小正月に元服の儀が行われた。
「元服」は男子が成人に達したことを示す儀式だった。

奈良時代の貴族から始まって、
鎌倉時代には武士まで広まった。
そして室町時代には民間にも普及して、
戦国時代、江戸時代と続いた。

だから成人の日と元服の小正月は、
歴史的に伝承している。

どちらかといえば、
成人の日は15日がいいと思う。

さて、
朝日新聞「天声人語」

「能登半島地震の被害の甚大さは、
いまだその全容が見通せない。
倒壊した家屋の下にはまだ人がいる。
救援は十分には届いていない。
孤立した集落も残っている」

「困窮と寒さのなか、
助け合う被災者たちの言葉に、
胸が震える」

その数々の言葉の中で、
輪島市宅田町の「ワイプラザ輪島」
㈱ヤスサキが経営するショッピングセンター。
2003年12月オープン。

スーパーマーケットの「グルメ館」、
ホームセンターの「ワイホーム」、
衣料品の「ファッションプラザ」。
そのコンビネーションタイプの店だ。

店の人たちが地震発生の翌日から、
売場を片付け始めた。

そして状態のいい食料品や衣類、生活用品を、
かき集めて4日の朝、開店にこぎ着けた。
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グルメ館の食品営業本部長の大道豊春さん。

「今はみなさん困っているとき。
少しでもお客さんの役に立ちたい」

素晴らしい。

一部の生活用品を除いて、
商品の値段は税込み100円に揃えた。
低価でわかりやすい。

「利益を上げることは、
後で考えればいい」

従来の売場は天井や棚が崩れている。
そこでイートインスペースを仮設売場にした。
余震が起きてもすぐに避難できる。

阪神淡路大震災のときも、
新潟県中越地震のときも、
東日本大震災のときも、
全力を尽くして、
店を開け、売場に立つ。

それが商人の役割だ。

朝日新聞「折々のことば」
昨日の第2960回。

困っている人の
一番の困りごとは

「助けて」と言えないことです。
〈Colabo(コラボ)〉

Colaboは女子高生サポートセンター。
困難を抱え、帰る場所もない少女たちを
支援する一般社団法人。
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そのホームページの一文。

彼女らの多くは、
「自分の問題なんだから、
自分でなんとかしなきゃ」
という気持ちでいる。

だからそのままだと
「ひとりではどうにもならない事態」に
行き着き、追いつめられて、
性的被害に遭うことにもなる。

彼女らに必要なのは、
「特別な支援ではなく、当たり前の日常」だ。

「助けて」といえない人たち。
そんな人たちを助ける。

それが本来、政治であり、行政である。
政府であり、地方自治体である。

それらが足りないとき、まにあわないとき、
小売業、サービス業が助ける。

漫画家の故やなせたかしさん。
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「『アンパンマン』を創作する際の僕の強い動機が、
『正義とはなにか』ということです」

「正義とは実は簡単なことなのです。
困っている人を助けること」
「ひもじい思いをしている人に、
パンの一切れを差し出す行為を
『正義』と呼ぶのです」

「困っている人、飢えている人に
食べ物を差し出す行為は、
立場が変わっても国が違っても
『正しいこと』には変わりません」

「絶対的な正義なのです」

「だから正義って相手を倒すことじゃないんですよ。
アンパンマンもバイキンマンを殺したりしないでしょ」

「それに正義って、
普通の人が行うものなんです。

政治家みたいな偉い人や
強い人だけが行うものではない。
普通の人が目の前で溺れる子どもを見て
思わず助けるために
河に飛び込んでしまうような行為をいうのです」

「ただし普通の人なので、
助けに行って自分が代わりに
溺れ死んでしまうかも知れない。
それでも助けざるを得ない」

「つまり、正義を行う人は、
自分が傷つくことも
覚悟しなくてはいけない」

「怪獣を倒すスーパーヒーローではなく、
怪獣との闘いで壊された街を復元しようと
立ちあがる普通の人々が
ヒーローであり、
正義なのです」

「ワイプラザ輪島」の人々こそ、
ヒーローであり、正義なのだ。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2024年01月06日(土曜日)

セブン・ローソンのアセアン戦略の可能性と意義

令和6年能登半島地震。
死者が100名になった。

安否不明者は221人。
まだまだ増える。

痛ましい。

自衛隊の逐次投入ではなくて、
初動から全力投入できないのだろうか。

ヘリコプター総出動で、
迅速な救助・救済はできないのだろうか。

命を救うことはできないのだろうか。

それにしても岸田文雄首相の防災服姿。
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閣僚も対策会議メンバーも、
揃って防災服姿。20240105kaigi_01

災害が起こるとこの青色の作業服姿で現れ、
記者会見や会議に出てくる。

「現場で作業にあたる人であれば
しっくりきますが、
政治家が下ろしたてのような
アイロンの効いた作業服で
会議に臨む姿が滑稽に映るという人は
やはり多い」

ネット上の揶揄。
「作業するわけでもないのに、
なんで作業服姿で会見するのだろうか」
「誰も行かないのに作業着コスプレ」

岸田政権に限ったことではない。
東日本大地震発災のときも、
菅直人首相、枝野幸男官房長官らが、
「安易なパフォーマンス」と皮肉られた。

現地に飛ぶのならばまだしも、
首相官邸で語るだけならば、
やはりパフォーマンスと言われても仕方ない。

商人舎流通SuperNews。

能登半島地震news|
チェーン各社で店頭募金活動広がる

チェーンストア各社の店頭募金活動。
意義のあることです。

松井秀夫さん。
大木ヘルスケアホールディングス会長。
フェイスブックのコメント。

「今年の大木の団結の象徴一文字は、
『交わる』『力』、 すなわち『効』」

「国際経済の中でも交わる力を発揮して
一人負けはなんとか挽回していきたいものです」

同感です。

交わる力、効。
素晴らしい。

「セルコレポート」新年号が届いた。
私の連載はもう21回。
タイトルは「艱難は商人を鍛える」
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今回のテーマは、
「虚子とドラッカーの貫く棒のごときもの」

去年今年貫く棒の如きもの
1950年(昭和25年)、
高濱虚子が76歳の12月に詠んだ句。

この句は高く評価され、
虚子が在住した神奈川県鎌倉駅に掲示された。
それを偶然、川端康成が見て、
えらく衝撃を受けた。

去年(こぞ)と今年(ことし)、
まっすぐな棒のように変わらないものだ。
そんな意味の句である。

虚子の孫にあたる俳人・稲畑汀子が書いている。
「時間の本質を棒というどこにでもある
具体的なものを使って端的に喝破した
凄味のある句である」

「この棒の、ぬっとした
不気味なまでの実態感は
一体どうしたことであろう。
もしかすると虚子にも説明出来ず、
ただ『棒』としかいいようがないのかも知れない。
敢えて推測すれば、
それは虚子自身かも知れないと私は思う」

私たちもそれぞれに、
「棒」の意味を実感したい、この正月です。

日経新聞一面トップ
「セブン・ローソン、
アジアでコンビニ1万店増」

セブン-イレブンとローソン。
23年2月期時点のアジア・オセアニアの店舗数。
両者合わせて約5万3000店。

国内は現在、約3万6000店。
すでに日本国内を上回る。

そのアジア・オセアニアで、
今後3年間、1万店を増やして、
6万3000店規模にする。

セブンは現地企業とのライセンス契約方式で、
23年2月期約4万6000店。
今後3年でさらに3600店増やす。

これによってアジアの店舗数は、
26年2月期までに5万店体制になる。
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ローソンは中国5620店、タイ181店、
インドネシア256店、フィリピン101店。
それを3年で約6800店増やして、
アジアで約1万3000店体制にする。

セブンが3600店増で、
ローソンが6800店増。

両社合わせて1万店増は、
意味のある数字ではないが、
日経記事はローソンがセブンを、
出店数で上回ることを示したかったのだろうか。

人口減少傾向の日本国内市場は、
飽和感状態だ。

鈴木敏文前セブン&アイ会長は、
頑として「飽和はない」と言い続けたが、
鈴木さんがいない今、限界は近づいている。

23年2月期のセブンとローソンの出店数は、
純増数で50店にとどまる。

業界全体の国内総店舗数は6万店弱。
これも頭打ち。

一方、東南アジアのコンビニ市場規模は、
年率2桁ペースで拡大している。

人口対比のコンビニ店舗数の割合も、
日本の半分程度で、
成長余地は大きい。

1人当たり国内総生産(GDP)が目安となる。
3000ドルを超えるとコンビニ普及期に入る。
ちなみに2000ドルを超えると総合スーパーが成立する。

イオンはこの基準でアセアン戦略を採用している。

22年のベトナムが4110ドル、
21年のフィリピンが3572ドル。
多くの東南アジア諸国がコンビニ普及期に入る。

ラオスは21年に2595ドルで、
3000ドルをうかがう水準だ。
だからセブンが23年9月に初出店した。

日本のコンビニは、
4大原則をはじめ、格段に経営水準が高い。
それがある意味で成長を保証する。

ファミリーマートは、
フランチャイズ方式で提携する現地企業と、
昨夏に契約解消してタイから撤退した。

セブンなどとの競争で劣勢だった。

それでもマレーシアや台湾などで再拡大を狙う。

アジアでは現地コンビニとも競う。
中国最大手の美宜佳控股(メイイージアー)は、
22年末で中国で3万店規模。

ただしアジア各国のコンビニの平均日販は、
日本に比べてはるかに低い。

だから日本のコンビニ各社は、
アジアからの利益がほとんど得られていない。

重点課題は店舗数よりも利益だろうが、
それは平均日販にかかっている。

そしてそれは各国のGDPの向上に影響される。
時間が経てば必ず利益が出る。

そんな考えで店舗数を増やす競争をしている。

チェーンストアは人口増の地域で展開せよ。
商売は1人あたりGDPが増えるエリアでせよ。

これは成長戦略の鉄則である。
ただしその地域で競争力を持つ店でなければならない。

〈結城義晴〉

2024年01月05日(金曜日)

24年の商品値上げ一段落と「じゃましないこと」

1月5日、商人舎は仕事始め。

オフィスに出てみると、
年賀状がたくさん届いていた。
ありがとうございます。
心から感謝しつつ、
拝受いたします。

岡田卓也さんからの年賀状は、
いつも元気づけられる。

岡田文化財団が、
三重県「さくらプロジェクト」を始めた。
県内45地区に3年間で5000本の桜を植える事業。

岡田さんのメッセージ。
「さくらは平和の象徴であり、
平和のもと成り立つ産業である小売業も
また平和の象徴であります。
最大の環境破壊である戦争のない、
平和な世界を皆さまととともに祈ります」

素晴らしい。
ありがとうございました。
IMG_0544 (002)3

柳井正さんの年賀状は、
恒例のレンチキュラー印刷だ。
見る角度によって絵柄が変わる。

ひとつは1984年の第1号店オープンの写真で、
「SINCE1984」とある。
IMG_0545 (002)4

もうひとつはユニクロ・パリ・オペラの写真で、
「HAPPY NEW YEAR2024」
IMG_0548 (002)34
どちらにも右下に「40th」とある。
40周年なのだ。

ありがとうございました。

私たちは全員揃って、
サクサクと業務に臨む。

商人舎流通SuperNewsが再開しました。
今年もよろしくお願いします。

そのSuperNews。
帝国データバンクnews|
2023年の値上げは30年間で類を見ない3万2396品目

昨年の商品値上げの最新の結果。
主要食品メーカー195社の値上げ品目数。
2023年累計は3万2396品目。
22年累計は2万5768品目だった。
6628品目上回って、25.7%増。

過去30年で類を見ない「値上げラッシュの年」だった。

今年は1月から 5月までに、
3891品目の値上げが決まっている。
これは昨年比で39.8%の水準。
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一段落ではある。

私はアメリカテキストの仕上げをしている。
1週間後の1月12日出発。
ニューヨークに10日ほど滞在して、
1月21日に帰国。

ニューヨークの気温は今、マイナス2度。
暖冬の東京・横浜とは大きく異なる。

それでも厳寒の世界最大の都市。
楽しみではある。

さてほぼ日の糸井重里さん。
毎日の「今日のダーリン」

「じゃましない」
とても大事な応援であり、
手伝いであることは多い。

結城義晴のモットーも、
「じゃましないこと」

子どもたちも、
教え子たちも、
そしてこれまでの部下たちも、
その成長を「じゃましない」で通してきた。

「もちろん、わかりやすいかたちで、
手伝いたい、とか、
アドバイスしたいとか、
ヒントを出してやりたいとか、
外れていそうな道を正してやりたいとか、
役に立つものを渡してやりたいとか、
教えたいとか、
とてもいっぱいあるよ」

「それがぴったりハマったときには、
とてもありがたいし、
手を貸したほうの人も
満足度が高いとは思う。

「でも、それを求められてないときにやっても、
“じゃまになる”だけってことが、とても多い」

同感だ。

「応援でも、手伝いでも、
支えになるでも、導くでも、
やる側も、ほんとうにむつかしいと思うんだ」

「だって、無関係な”目もくれない”人だって、
実際、”じゃましない”とも言えるからね」

「手を貸したいと思いながら”じゃましない”のと、
結果的に同じといえば同じなんだ」

「つい”じゃまになる”ような人というのは、
そのことに耐えられないんじゃないかなぁ」

同感だ。

「わたしが手伝った、わたしが助けた、
わたしが教えた」

「それは、実は相手を手伝うのではなく、
その”わたし”の勝手な自己実現だったりもする」

これは気をつけねばならない。
政治家に多い。

「”じゃましない”からはじまることに、
この先、なにかできることが
見つかるかもしれない」

「しかし、そのときがきても、
“じゃましない”が大事だ」

基本の姿勢はこれだ。

「ほぼすべての人間は、
“じゃまされない”ことによって
育てられてきた、とも言えるのだ」

深く、同感したい。

糸井さんの締めの言葉。
「”じゃましない”けど”愛してる”
という簡単な難問」201812_message-ec自動発注

そう、じゃましないけど愛してる。
だから「このとき」という大事なときにだけ、
手伝う、助ける、支える、導く。

能登半島地震にも、
全力で応援しながら、
じゃまをしてはいけない。

〈結城義晴〉

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