結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年11月05日(土曜日)

ロサンゼルス2日目・3日目の駆け巡りとニジヤ・ファームのオーガニック農場

ギリシャのパパンドレウ政権が、
国会の信任投票で153対145で信任された。

ギリギリ。

これで、解散総選挙となって、
金融市場大混乱の事態だけは、
一応、回避。

2009年10月、ギリシャ政権交代ののち、
財政赤字が公表数字よりも大幅に膨らむことが明らかになった。

企業でも新しい社長の体制になって、
前時代までの粉飾が判明したりする。
それと同じ。

そこからヨーロッパの経済危機が始まった。

金融市場で、財政の持続性への懸念が強まり、
主に南欧諸国の国債利回りが上昇し、
一部は資金繰り難に陥った。

金融システムが揺らげば、
危機が深刻化する。

肝心な情報が隠され、粉飾されたりする。
ここに根本の問題がある。

さて一昨日、ニューヨークからロサンゼルスに到着。

まず、ニジヤ・マーケットに直行。
20111105230823.jpg
ロサンゼルスを中心に、
サンフランシスコ、ニューヨーク、ハワイにも出店。
13店舗年商7000万ドルのスーパーマーケット。
日本人を中心にした客層をコア・ターゲットにしている。

入り口のトップ・アイランド。
20111105230656.jpg

そして右壁面の青果部門。
20111105230709.jpg
アメリカではどんな店も、
青果部門は見事。

ニジヤももちろん、
お見事。

ニジヤ・ファームという直営農場で作っているサツマイモ。
オーガニック商品だ。
20111105230722.jpg
これが優れもの。

惣菜部門がとりわけて強い。
20111105230742.jpg
日本食メニュー。

そして対面のフードサービス部門。
20111105230758.jpg

イートイン・コーナー。
ここで私たちは昼食。
20111105230811.jpg
ニジヤの皆さんには、
この後ずっと、ロサンゼルスでお世話になった。

ニジヤの駐車場に、
カレーのケータリング・バン。
新しいビジネス。
20111104215838.jpg

西海岸で大流行のビジネスモデルで、
ニジヤは日本食のカレーで勝負する。
20111104215845.jpg

次に向かったのはホールフーズ・マーケット
20111104215858.jpg

ただしこの店、あまりよろしくない。
20111104215908.jpg
もちろんホールフーズの基本は徹底されている。
しかしロケーションが的確でないと、
競争が激しいエリアでは、さすがに苦戦。

そしてフレッシュ&イージー。
ヘッドオフィスに近いこの店では、
さまざまな実験が行われる。
20111104221539.jpg
フレッシュ&イージーに関しては、
帰国してから詳解の予定。

英国発の小型店に隣接する
米国産小型店のトレーダー・ジョー。
目と鼻の先での競合になる。
20111104221656.jpg
この店はフレッシュ&イージーのイノベーションにあおられていて、
珍しく、大繁盛というわけではない。

ロスの競争も面白い。

最後にブリストルファーム。
20111104215927.jpg
私は30年も前に、この企業の第2号店のときに訪れた。
元気な二代目専務がインタビューに答えてくれたが、
その後、アルバートソンに買収され、
さらにそのアルバートソンが解体売却され、
現在はファンドの支配下にある。
だから店はほぼ死にかけている。

ホテルに着くと、荷物を置いて、
すぐにセミナー。
前半は林廣美先生の仕切りで、
ニジヤ・マーケット経営幹部の皆さんとの質疑応答。
20111104220004.jpg

辻野三郎丸社長。
もともとはカメラマン。
メキシコで苦労し、
ビジネスを起こし、
ロスでスーパーマーケットを始めた。
20111104220040.jpg

その相棒の副社長アルフレッド・ブランケンシーさん。
イギリス人。
20111104220054.jpg
辻野&アルフレッドの二人三脚で、
ニジヤ・マーケットは、
アメリカと日本の虹の架け橋となっている。

そして営業を一手に仕切る土井仁司さん。
コーポレート・オペレーション・ディレクター。
20111104220104.jpg
こちらのスーパーマーケットの仕入れ事情や経営数値を、
特別に披露してくれた。

後半は私の講義。
20111104220137.jpg
商品戦略マーチャンダイジング・チーム向けのレクチャー。

終わったのは夜の9時過ぎ。
3時間時計を逆戻したので、
実際には夜中の12時ということになる。
長い長い一日だった。
参加者の皆さんのご協力に感謝。

そしてロス視察最終日の昨日。
ニジヤ・マーケットの
オーガニックファーム
を視察。
MDコースの主目的のひとつだ。

朝からくもり空で心配していたが、
途中から怪しい雨模様。
20111105223520.JPG

辻野さんからファームの全貌の説明を受ける。
20111105234503.jpg
そして現場視察、
まずサツマイモの畑。
20111105223657.jpg

ハウスのなかで野菜栽培。
20111105223604.jpg

農薬を一切使わず、
虫退治と自然態系との闘い。
20111105223632.jpg

辻野さんの執念がこの事業を続けさせている。
20111105223554.jpg

私も見た、聞いた、食べた。
20111105234432.jpg

大根のオーガニック畑。
20111105223647.jpg

ニジヤ・ファームについても、帰国してから報告の予定。
乞う、ご期待。
20111105234528.jpg

さてニジヤ・ファームに続いて、
研修会最後の店舗視察。
まずはおさらいのためのウォルマート。
20111105223730.jpg
古いタイプのスーパーセンターだが大繁盛。

入り口でボンズとの価格比較をやっていた。
20111105223709.jpg

ボンズの商品を購入し、
レシートを対比させる。
20111105223720.jpg
そして31ドル83セントのお得、と表示する。

泥臭いが、
それが本来のウォルマートらしい。

その後、スプラウツ・ファーマーズマーケット。
MDチームにはこの新しいフォーマットを見てもらっていなかった。
20111105223824.jpg

スーパーマーケットという業態と、
ファーマーズマーケットというフォーマット。

そのセグメンテーションとターゲティング、
そしてポジショニングを理解してもらうのに、
これほどいい素材はない。
20111105223812.jpg

大型八百屋、そしてベジタリアン・スーパーマーケット。
20111105223802.jpg
いかがだろう。

最後に新しい企業。
マザーズ・マーケット&キッチン。
20111105223837.jpg

7店舗のインディペンデント。
惣菜が主力。
20111105223853.jpg

家庭の味で、おいしそう。
20111105223906.jpg

しかしきちんとしたスーパーマーケット。
20111105223934.jpg

最後に深夜、フレッシュ&イージー・エクスプレス。
20111105234707.jpg
11月2日にオープンしたばかりの超小型店。
この店、いい。

詳細は力を入れて、帰国後に報告。
アメリカでは新しいチャレンジが、
次々に行われる。

ものまね、猿まねのオンパレードではない。
自分の強みがある。
他との違いがある。
ポジショニングがある。
これです。

最後の最後に交流会。
20111105234545.jpg

浅野秀二先生得意の「中国人の女性」の話で、盛り上がった。
20111105234605.jpg

しかし私は疲れから居眠り、熟睡。
㈱万代惣菜部シニアマネージャーの吉川英樹さんは、
まだまだ元気。
20111105234617.jpg
良い日だった、
と夢の中で思った。

<結城義晴>

2011年11月04日(金曜日)

ニューヨークからロサンゼルスへ、ホールフーズの「製品を伴うサービス」への進化の過程を学ぶ

私は今、ロサンゼルスに来ている。

今回は、テキサス州ダラスから始まって、
ワシントンD.C.、ニューヨーク、
そしてカリフォルニア州ロサンゼルス。

中西部、東部、西海岸と、
全米を巡ることになった。

その最後の地がロサンゼルス。

それにしても疲れた。
両足にはジンマシンのようなものができて、
痒い。

林廣美先生に教わって、
塩をまんべんなく塗って、
一晩、放置する。

すると塩の殺菌作用で、
ぶつぶつが消えるという。

塩はトレーダージョーのプライベートブランド。
「シー・ソルト」
これはグラインダー入り食卓塩。
1ビン1ドル99セントの優れものの商品だが、
食卓に置いて食事に使うにはいいかもしれないが、
ジンマシン治療には向かないのか。

アメリカやヨーロッパに1週間以上滞在すると、
食生活に異変が起きる。

野菜が足りなくなる。
ビタミン不足。
そのうえ、寝る時間が減る。
睡眠不足。

そんなことから体調に異変が生じる。

とはいっても、足のジンマシン程度なので、
動き回ったり、講義したり、議論したりには、
何の支障もない。

だから目いっぱいやる。
手を抜かない。

それが私の主義。

ジンマシンも帰国して1週間ほどで治る。
ただし、旅行中はちょっと辛い。

しかし目いっぱい。
手を抜かない。

それに、もう少しで、
この旅も終わる。

ご一緒している人たち、
商品戦略MDチームの皆さんと、
目いっぱい学びたい。

ダラス、ワシントンD.C.、ニューヨークと帯同した経営戦略チームとは、
ニューヨークのジョンFケネディ空港で別れた。
大久保恒夫講師はじめ、全員無事で、成田に帰国。

まずは安心。
お疲れ様でした。

さて、午前7時、
明けきらぬマンハッタンから、
朝日に向かって空港に向かう。
20111104215424.jpg

早朝の空港は閑散としている。
20111104215634.jpg

SPコース、MDコース全員で最後の記念ショット。
20111104215621.jpg
商人舎第10回記念USA研修会だから、
両手を広げて10本の指で「10」を示した。

SPコースの皆さん、お疲れ様でした。

SPチーム・MDチームそろってチェックイン。
20111104215646.jpg

私の本を持ってきてくれた崎グリコ㈱東根聖賢さん(右)と、
㈱ユニバース石橋秋次さん(左)
にサイン。
20111104215727.jpg

初参加してくれた㈱マルト社長の安島浩さんとは固い握手。
20111104215717.jpg
安島さんにとっても、今年は大変な年だった。
東日本大震災で被災し、
その後の奮闘はご承知の通り。

その2011年の秋に、
安島さんと共に学んだことには、
感慨深いものがある。

前夜は部屋にワインを持ち寄って、
参加者と遅くまで語り合った。
安島さんもその一人。
安島さんは、その場を仕切って盛り上げてくれた。

大久保恒夫さんともここでお別れ。
㈱セブン&アイ・フードシステムズ社長。
SPコースのゲスト講師として参加し、
講義をしたうえで、最後には、
7つの総括をしてくれた。
20111104215705.jpg
心から感謝しつつ、
固い握手。

次は12月2日、
「ふたりのビッグ・ショー」です。

互いに、まったくの個人的活動ですが。

SPチームは東京・成田へ。
私は林廣美先生、浅野秀二先生、
MDコースの皆さんとロサンゼルスへ。

6時間のフライトでロスに着いたのは、
13時30分。
時差で、時計は3時間逆戻り。
20111104215739.jpg
3時間分得した気分。

しかし長い長い1日。

そのロサンゼルスは暖かい。
すぐにニジヤマーケットに。
林廣美先生のアメリカの指導先。
自社生産のオーガニック野菜を使った惣菜部門は、
売上げの30%を超える。

20111104215750.jpg
13店舗で7000万ドルの年商。
辻野三郎丸社長をはじめ、
幹部の皆さんが歓待してくれた。

辻野社長と固い握手。
20111104215803.jpg

その後、全員で記念撮影。
20111104215821.jpg
全員、まだまだ燃えている。

さてブログは昨日に戻って、続き。

ニューヨーク・マンハッタンに隣接するブルックリンで、
トレーダー・ジョーを訪れた。

エブリデー・ロー・プライスの話がちょっと長引いて、
ブログはそこで中断したが、
その後、フェアウェイマーケット・レッドホック店を訪問。
トレーダージョーのブルックリン店から車で10分ほどのところにあって、
彼の店が出店するまでは独占状態だった。
20111103151510.jpg

八百屋出身だけに、
青果部門の陳列は圧巻。
全米ナンバーワン。
20111104213340.jpg
店は朝8時開店で夜10時閉店だが、
青果部門は50人態勢で、夜を徹して作業する。

根菜類など比較的日持ちのする商品、丈夫なものは、
1週間に1回とか、3日に1回ほどだが、
葉物や果物などは、毎晩、
全商品を一度撤去し、1品ずつ検品しながら、
すべて並べ替える。

その結果、朝には、この売り場が出来上がる。
20111104213405.jpg
新鮮で、定価で、品質の良い青果。
「新しい、安い、良い」
それが最大の売り物。

今回は浅野秀二先生の尽力で、
ジョン・マネジャーにインタビュー

20111103151605.jpg

ここでは自由の女神をバックに写真を撮るのが恒例となっているが、
今回は店長を囲んでの記念撮影。
20111103151644.jpg

インディペンデント企業は、
店長が経営の根幹にかかわることを知っている。
そして自分の判断で話してくれる。
だから本質に迫ることができる。
心から感謝。
20111103151652.jpg

最後に訪れたのは、ホールフーズ
20111103152109.jpg

ここでも1時間以上のレクチャーを受けて、
店内ツアー。
20111103152135.jpg

まず青果部門。
オーガニックとローカル、
そしてアンディスコア
について、
丁寧に説明してくれた。
20111104213424.jpg

アンディスコア1000と最高のケールを、
みなで食べる。
20111103152143.jpg
説明して、食べさせる。
そして買ってもらう。

「学び、食べ、買う」

これはイータリーと全く同じコンセプト。

まさに知識商人のシゴトだ。

鮮魚部門も全米最高。
ここではオーガニックはない。
オーガニックはあくまでも、
植物を中心にした有機生産物の体系。

だから鮮魚は関係ない。

しかしこの分野でも、
漁獲体制の面で、
長い目で見て環境破壊につながらない運動はある。

それがMSCやフィッシュワイズ
20111104213439.jpg

ホールフーズは先頭を切って、
そんな運動を展開している。
20111103152938.jpg

さらに精肉部門。
グラスフェッド牛肉を中心に販売。
さらに肥育中にストレスを掛けない段階を設定している。
ストレスのない牛は、味も良いとか。
20111103152215.jpg

その100%グレンフェッドの牛肉を、
大量に50人分用意してくれて、全員で試食。
20111103152231.jpg
食べて、学んで、買う。
イータリーと同じ。
最先端のスーパーマーケットは、
この世界に入っている。

最後に「ウェルネス・クラブ」
20111104213455.jpg

健康に関連したスクール形式のクラブ。
現在、ホールフーズの5店舗で、
実験的に展開中。

私たちもその学校で仮想授業を受けた。
20111103152859.jpg

ホールフーズの社員が講師となって行われるカリキュラムは、
毎日、数時間ずつ用意されている。
20111103152914.jpg
そしてウェルネスクラブの会員は、
カリキュラムに関連する商品を購入する際、
10%の割引を受けることができる。

これはフィリップ・コトラーの
製品を伴うサービスである。

コトラーは企業や店が提供するものを4つに分ける。
①純粋な有形財
②サービスを伴う有形財
③製品を伴うサービス
④完全な無形財

①から④へと進化しているが、
ホールフーズは③の段階を始めた。

今回のテキストでも、
私のサービス・マーケティングの講義に入っている。

レクチャーをしてくれた店舗マーケティング・メンバーに感謝。
20111103152956.jpg

そして「食べて、学んで、買う」フードサービス部門で昼食。
20111103153024.jpg

この後、5番街のユニクロ、ザラ、H&M、ギャップ、
アバクロンビー&フィッチを訪問。
ユニクロとアバクロが勝ち組。
それは次の機会に。

最後の晩は小林泰清先生とニューヨーク・ステーキ。
20111103153430.jpg

私はプライムリブのローストビーフ。
ワインはカリフォルニア。
20111103153419.jpg
満足、マンゾク。

そしてタイムズ・スクェアに繰り出す。
20111103153349.jpg

商人舎チーフ・コーディネーターの鈴木敏さんも一緒に、
最後の晩の最後のショット。
20111103153438.jpg

この後、部屋に帰って、
懇親。

大久保さん、安島さん、林先生、浅野先生も参加してくれて、
熱い絆を確認。

充実した1日が、
「惜しい惜しい」と言いながら、
去っていった。
(続きます)

<結城義晴>

2011年11月03日(木曜日)

マンハッタン視察2日目、スチューレオナードの停滞とトレーダージョーのEDLP&イノベーション

アメリカにいて、
日本時間に合わせてブログを書いていると、
曜日の感覚は完全に失われる。

日本の祝日に関してはもう、
完璧に実感できないが、
今日は「文化の日」。

その趣旨は、
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」こと。

「自由と平等」ならば、
アメリカやヨーロッパが本場だし、
文化を進めることなら、
日米欧、変わりがない。

だから今日はニューヨーク・マンハッタンから、
自由と平等を愛し、文化をすすめよう。

さて日経新聞に、
EDLP(エブリデー・ロー・プライス)の話。

日経の定義は、「毎日一定の低価格で売る手法」

ここに付け加えなければいけない。
「1年間売価を固定して売る方法」

「毎日一定の低価格」って、いつまで?
「ずっと、ずっと」

それでもいい。

しかしインフレもあるし、デフレもある。
原材料費の高騰も低減もある。

だから1年で見直す。

日経の説明は、続く。
「米ウォルマート・ストアーズが推進してきた。
加工食品や日用品を中心に通常の食品スーパーと比べて
1~3割安いケースが多い。
チラシ代など販売促進費や人件費などのコストを削り、
浮いた分を値下げの原資に振り向ける」

ここで「コストを削り、浮いた分を値下げの原資に振り向ける」とある。
そう見えるかもしれないが、
無駄なコストを削減するのは、
どんな業種業態でも、
どんな企業でもやっている努力。

浮いた分を「値下げ原資」にするか、
利益にするかはそれぞれの企業の勝手。

当たり前のこと。

「日本ではメーカーなどが提供する販促金を
原資とした『特売』が主流だったが、
価格志向の強まりから
平均購入単価が下がるEDLPを導入する店が増えてきた。
ただ仕入れコストを下げるため、
商品数は減り、選択の幅が狭くなる面もある」

ここも、逆だ。
商品数、ブランド数を
絞り込んで大量に売るから、
仕入れコストを下げる交渉ができる。

例えば一つの品種の品ぞろえを1社に絞り込むと、
その1社の商品の売上げは数社分のものになる。
その1社に1品ずつの利益を小さくしてもらう。
その1社は売上げは増える。
総利益も増えるギリギリのところで、
仕入れ原価を決める。
店側も小売業側も、
1品当たりの粗利益はギリギリにして、
安く売る。

そうすると1品当たりの売れ数は爆発する。
それがEDLPの本質。

あえて「選択の幅を狭くする」のが、
エブリデー・ロー・プライスのポイント。

なぜか。
なぜ、あえて「選択の幅を狭く」するのか。

コモディティ化現象が進んでいるから。

どの商品も似たり寄ったり。
品質や機能が同質化してくる現象。

だから数品目も品揃えする必要はない。
ならば1アイテムに絞って、
EDLPをする。

客は喜ぶ。
1社だけのメーカーも利益は増える。
小売業も利益は増える。
ただしここで重要なのは、
その品種がコモディティ商品なのか否か。

日経になぜこんな定義が出てきたのか。
それはダイエーがEDLPを導入するというニュースから。
「ダイエーは食品や日用品を
恒常的に安く販売する『毎日安売り』手法を本格導入する。
チラシの削減など店の運営費を約1割抑える分、
店頭価格を通常より2~3割下げる仕組みで、
来年2月末までに30店、2~3年で60店に拡大する」
いなげやは既存店を業態転換。
EDLP型の「いなげや ina(いーな)21」のフォーマットを開発。
30店と1年で4割増やす。

ヤオコーもEDLP導入店を増やしている。
3月末時点で25店だったが、
10月末までに全体の3分1に当たる35店まで増やした。

コモディティ化現象が広がると、
EDLPは増える。

ヤオコーまでやっているというのは、
その証拠。

こちらこそ、
強調されねばならない。

さてEDLPの本場アメリカ。
第10回記念USAスーパーマーケット研修会は、
マンハッタンでの2日目を迎えた。

経営戦略SPコースにとっては、
視察最終日。

朝7時半にホテルを発って、
まずはヨンカースのスチューレオナードに向かう。
バスは渋滞もなく順調に走り、あっという間についた。

ニューヨーク州には3日前に、季節外れの大雪警報がでた。
その雪が駐車場のいたるところに残っている。
20111103151426.jpg

8時過ぎのスチューレオナード。
スタッフが黙々と品出し作業に励む。
お客でごった返す、いつものスチューレオナードではないが、
これもまた、学ぶによし。
20111103154558.jpg
ただし、スチューレオナードに、
イノベーションはあるのか。

店数が4店舗で、単位当たりの販売効率が高い店。
しかしそれはよほどの意識改革を続けなければ、
イノベーションは起こらない。

理念や哲学の素晴らしさは、変わらない。
問題はイノベーションだ。

2番目の視察店は、
トレーダージョー・ブルックリン店。
20111103162209.jpg

キャプテンのジェイソン君、34歳にインタビュー。
20111103152015.jpg

「トレーダージョーはフェアな会社、オネストな会社」
20111103152025.jpg
なぜ、フェアな会社か。
「私たちはEDLPをやっている。
売価を変えない。
こんなフェアなことはない」

トレーダージョーのEDLPも、
メーカーを絞り込んでいる。
ただしほとんどすべてがプライベートブランドだが。
20111103193902.jpg
そのプライベートブランドが、
魅力に満ち溢れている。

しかも売価をくるくる変えないEDLP。
トレーダージョーの場合は、
1年間変えないのではなく、
「ずっとずっと」変えない。

ジェイソン・キャプテンが淡々と、
しかし胸を張って「フェアな会社」と言い切るのは、
コモディティ化現象のなかで、
ノンコモディティのEDLPを全面展開する、
トレーダージョーのポジショニングが際立っていて、
他の追随を許さないからだ。

そしてこの会社は毎年10数店から30店の新店を出す。
成長のスピードのなかにこそイノベーションが起こる。

インタビュー後の記念撮影。
20111103152040.jpg

お礼と感謝をこめて固い握手。
20111103152057.jpg

いいインタビューだった。
イノベーションの本質が見えた。
(続きます)

<結城義晴>

2011年11月02日(水曜日)

大久保恒夫・林廣美両講師とニューヨークへ/マンハッタンのイノベーションに遭遇

11月に入って、2日。
こちらでは昨日のニューヨーク株式市場で、
ダウ工業株30種平均が1万1657ドル96セント。
前日よりも297ドル05セント下がった。
これはマイナス2.5%。

先月下旬の10月20日以来の安値。
「欧州不安」が再燃し、株式市場がすくみあがっている。

さて、11月。
祝日は、ふたつ。
明日の11月3日「文化の日」と、
第4週の水曜日11月23日の「勤労感謝の日」。

昨年に続き今年も、
文化の日、勤労感謝の日とも、
三連休とはならない。

一昨年は勤労感謝の日が月曜日で三連休。
一昨昨年は、すごかった。
文化の日が月曜日で三連休、
勤労感謝の日は日曜日で月曜が振り替え休日となり三連休。

商売はやはり三連休がいい。

去年、今年と、それがない。

ただし、毎年のことながら、
11月にはいくつもの節目がある。

文化の日に続いて、
11月8日(火曜日)が立冬。

夏至と冬至が1年を二つに分ける。
その真ん中は、秋分の日。
この秋分の日と冬至の真ん中が、立冬。
「冬の気配が立つ日」。

それから11月15日(火曜日)は、「七五三」。
ただし多くの場合、12日の土曜日、13日の日曜日に、
七五三のお祝いが行われる。

11月17日(木曜日)はボジョレーヌーヴォー解禁日。
西友では、17日午前0時から発売。
それも「マスター・オブ・ワイン」といわれるフィリッパ・カール監修のヌーヴォー。
各社とも趣向を凝らして、解禁日に臨む。

そして11月23日水曜日の「勤労感謝の日」。
新嘗祭(にいなめさい)の日を起源として始まり、
その趣旨は「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」。

私は毎年、勤労感謝の日は、
「商業にとって特別の日」だと言い続けている。
「勤労を感謝する日に勤労する」のが小売業・サービス業だからだ。

従って、11月の商人舎標語は、
毎年、恒例で、同じフレーズを使う。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」

朝、店のシャッターを開ける。
その時には、心に希望を。

昼、店にお客様を迎える。
ひたすら努力。

夕に、店を閉める。
夕ではなく、夜だったり、深夜だったり、
あるいは24時間営業の店があるから、
その場合には、その日の終わりの瞬間、
心から感謝。

毎日は、この繰り返し。

だから、「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」

勤労感謝の日が終わると、
クリスマス年末商戦に突入。
そんな11月。

私は、怒涛の10月が終わって、
ちょっと余裕が出る。
しかし第1週に帰国し、
第2週は立教大学大学院結城ゼミ生の卒業論文仮提出の締め切り。
12日土曜日です。
みなさん、頑張って。

翌第3週の15日、16日は、
コーネル大学RMPジャパン補講の日。
サミットのご協力で、
レイバースケジューリングの実習。
一番人気のある講座。
よろしく。

この週の金曜日18日は、
日本チェーンストア協会主催のパネルディスカッション。
「東日本大震災への製配販の対応」
私がコーディネーターで、
パネラーはイトーヨーカ堂、日清食品、三菱食品から。

第4週は講演などが入っていて、
第5週は29日から中国上海視察。

なんだかんだ言いつつ、
11月も忙しい。
「心を亡くさない」ように気を付けたい。

さて、今、ニューヨーク・マンハッタンのパーク・セントラル・ホテル。
昨日は、朝8時すぎに、
ワシントン・ユニオン駅に到着。
駅は改装中。
20111102190906.jpg

通勤客や旅行客が次々とやってくる。
20111102190916.jpg

ワシントンD.C.に3日間いて、
ニューヨークへ移動する。
20111102190941.jpg

今回はアムラック-56の列車の旅。
今年は列車旅行が多い。
先日はケルンからパリまで、
タリスの旅だった。
これもドイツ・ベルギー・フランスの農村が見られて、
とてもよかった。

マンハッタン・グランドセントラル駅までは、
3時間半の旅程。
20111102191000.jpg

始発電車だから、全員が同じ車両に乗り込む。
列車での移動は、心が落ち着く。
20111102193238.jpg

海辺を走り。
20111102191026.jpg

川を渡り。
20111102191035.jpg

12時半、少し遅れたが、
着きました。
グランドセントラル駅。
20111102191101.jpg

政治の街、ワシントンD.C.とは違うニューヨークの活気。
20111102191051.jpg

マンハッタン最初の視察店は、
超話題のイータリー。
20111102191121.jpg

昼時とあって、店内は超混雑。
20111102191139.jpg

TVクルーまでやってきて、ビデオ撮影。
20111102191154.jpg

われわれも、イータリーで昼食を楽しむ。
店内には10カ所のイートインスペースがある。
立って食べるスペース。
20111102191207.jpg

美味しいイタリアンとワイン。
20111102191216.jpg

ニューヨーカーの気分。
20111102191225.jpg

私たちは、店内レストランで、
席をとって、野菜料理を食べた。

これがおいしかった。
林廣美先生も、
「野菜料理に新たなヒントを得た」とご満悦。
20111102191237.jpg

次の視察は、
デュアン・リード・ウォールストリート店。
20111102191312.jpg

全米の話題の2店舗を真っ先に見る。
今回の研修会のテーマである「融合」を体感してもらうため。
20111102191338.jpg

百貨店のようなハイソサエティな売り場。
そこで展開される「フードとドラッグ」の融合。
20111102191351.jpg
すばらしい。

そして次に向かったのはディーン&デルーカ。
20111102191421.jpg

ニューヨーク・デリの繁盛店。
20111102191439.jpg
デリを中心にしつつ、
スーパーマーケットの部門構成をもつ。
しかしイータリーが出現してから、
やや古さを感じさせる。

店に入ってすぐに参加者は、
人気のショッピングバックのコーナーへ。
スタッフが商品を補充するほど、売上げに貢献。
「異常値」をたたき出した。
20111102191451.jpg

50メートルほどのところにあるユニクロ・ソーホー店。
20111102191506.jpg

ニューヨーク第1号店でのユニクロは、
すっかり定着。
ニューヨーカーが目の色変えて、
ヒートテックを買いあさる。
20111102191520.jpg

林先生も、ヒートテックをお買い上げ。
20111102191542.jpg

夕方になってしまったが、
定番のゼイバーズ。
20111102191609.jpg

「まあ、なんということでしょう!」
20111102191639.jpg
圧巻のチーズ売場。

最後は、驚きのマンハッタン内ショッピングセンター。
20111102191652.jpg
1000台は入るかという立体駐車場。

そして2階にターゲット。
ウォルマートと覇を競うスーパーセンターが、
マンハッタンに登場。
20111102191750.jpg

総面積が若干狭いので、
食品を絞り込んだ。
20111102191838.jpg
しかし牛乳など、品切れ寸前の売れ行き。
きちんとターゲットらしさを出した。

1階にコストコ。
20111102191920.jpg
これまたコストコの良さを失っていない。
両サイドの定番ラック売場はそのまま、
中央のシーゾナル売り場を大胆にカットし、
レジのそばに移動させた。
20111103034654.jpg
「絞り込み方はこうする」のお手本。

3階にベスト・バイ。
全米ナンバーワンの家電店。
20111102191934.jpg
全米チェーンストアランキング第9位。
年商371億ドル(3兆7100億円)、1312店。
20111103063452.jpg
3階にはギャップのオールドネイビー。
全米第1位のカジュアルファッションチェーンの低価格店舗。
20111102191946.jpg
ギャプは全米チェーンストアランキング第30位。
米国内年商117億1800万ドル、世界年商145億ドル。

オールド・ネイビーは、こういった大型店がいい。
そのパワーが発揮される。
20111103063504.jpg
かくして、マンハッタンに登場したパワーセンター。
大繁盛間違いなし。

私が保証するまでもない。

ディベロッパーの勝利。
すごい。

マンハッタンの商業機能が、
変わりつつある。

と、感動していたら、
急にサイレンが鳴って、
停電。

救急車まで出動した。
20111102192022.jpg

慌てて退避。
20111102192036.jpg
私はベスト・バイの店内にいたが、
真っ暗になって、サイレンが鳴り響いた。

ニューヨークだけに、
新手のプロモーションかと思ったら、
停電。

何が起こるかわからないニューヨーク。
刺激的な時空に身を置く。

それがまたいい。
(続きます)

<結城義晴>

2011年11月01日(火曜日)

ワシントンD.C.で訪れたWWWTとお客様と従業員の、お客様と従業員のための、 お客様と従業員による店づくり。

大久保恒夫。
㈱セブン&アイ・フードシステムズ社長、
㈱セブン&アイ・ホールディングス取締役。
20111102084159.jpg
林廣美。
日本フードサービス専門学院院長。
20111102083145.jpg
今、ワシントンD.C.でご一緒しているお二人。
明日の11月2日、それぞれがテレビにご出演。

大久保さんは、NHKのEテレ『仕事学のすすめ』
「こうして企業は再生する」と、
サブタイトルがつけられている。

林先生は『ひるおび』
こちらはTBS系で放映されるお昼の番組。
「総菜の達人直伝!」というコーナー。

是非、是非、ご覧下さい。

さて、そのお二人と、
「ジョージ君」こと浅野秀二先生、
そして結城義晴の4人が講師陣を務めるUSA研修会。

経営戦略SPコースと商品戦略MDコースが合流して、
ワシントンD.C.での二日目を迎えた。
20111101190516.jpg

すばらしい1日だった。

朝一番で、ウェグマンズを訪問。
20111102083803.jpg
言葉にならないほどいい店で、
しかもインタビューに答えてくれたマイク店長が、
またナイスガイ。
20111102083828.jpg
世界最高峰のレベルを示してくれた。

約束ばかりしている感じがするが、
この店の紹介は、帰国してからじっくりと。

そのあと、ウォルマートへ。
20111102083852.jpg
これが面白かった。
ふるいロゴが奥、
新しいロゴが手前。
両方のロゴが並ぶ店。

1962年にサム・ウォルトンが始めたディスカウントストア。

それが「ウォルマート」。
非食品総合ストア。

その後、1987年にハイパーマートUSAという実験が行われた。
これはフランスのカルフールをモデルにしたフルライン総合スーパー。
サム・ウォルトンも存命だった。

このハイパーマート実験は成功せず、
しかし翌1988年、ハイパーマートをコンパクトにして、
「スーパーセンター」がお目見え。

それ以来、日々、すさまじい改善改革が進められ、
スーパーセンターは最強のフォーマットとなった。

だからスーパーセンターは、
大きな意味で言えばハイパーマーケットという業態の、
ウォルマート仕様のひとつのタイプ。

訪れたのは、ディスカウントストアをスーパーセンターに、
まさに改装真っ最中の店だった。
20111102083840.jpg

ふるいディスカウントストアの部分の左サイドに、
ビニールの幕が張られている。
20111102083914.jpg
その向こう側で改装中。

旧店舗は営業している。
顧客も入っている。
そしてドライ食品の部分だけ、
オープン。
20111102083926.jpg

ビニールのなかをのぞいてみると、
什器が並んでいる。
20111102083938.jpg

もうすぐオープン。

隣に、BJ’sが並んでいる。
20111102083956.jpg
メンバーシップ・ホールセールクラブ第3位。
20111102084011.jpg
だからコストコやサムズ・クラブのようなパワーがない。
売場にそれがよく表れている。

三番目に訪れたのは、
ワシントンD.C.のダウンタウン。
セーフウェイ・ニューライフスタイルストア。
20111102084025.jpg
この店も繁盛していて、
ニューライフスタイルストアのなかでは、
上出来の店。

ここで食事。
20111102084035.jpg

そして9月にオープンしたばかりのホールフーズ。
20111102084120.jpg

キムさんが、かわいい扮装で、
出迎えてくれた。
20111102084140.jpg
「今日はハロウィン!」

地下1階と地上1階に2フロアの都市型小型店。
1階サービスデリとイートインのコーナーが、
月曜日というのに異常に混んでいた。
20111102084130.jpg
ホールフーズは、全米消費者から、
出店を待ち望まれている。

この店の詳細も、帰国してから紹介。
お約束が増えてきて、
11月も忙しくなりそう。

そのあと、トレーダー・ジョーへ。
20111102084049.jpg
ふるい古い店だが、
これまた素晴らしかった。

客数が多い。
一番大事なバロメーター。

そうするとよく売れる。

売れると発注する。
商品部からおすすめの新商品も、
どんどん並べる。

品ぞろえが豊かになる。
だからまたよく売れる。
積極的に、怖がらずに、
どんどん発注する。

だからまたまた品揃えが、
楽しく、面白く、
豊かになる。

またまた売れる。
それがこのトレーダー・ジョー。
20111102084108.jpg

『メッセージ』より「良い品をどんどん安く」。

「良い品をどんどん安く」
この言葉のもつ本来の強靭さは、
生態系のごとく循環の構造を有するところにある。

良い品を売る。
適切な品質を提供する。
すると、顧客は喜ぶ。
そんな顧客が増えると、品はどんどん売れる。

どんどん売れてゆけば、一品一品が安くなる。
売れれば売れるほど安くなる。
「利は売りにあり」で利益が生じる。

利益が、次の良い品をつくることに貢献する。
この新しい「良い品」によって顧客はもっと喜ぶ。
そしてますます、どんどん売れる。
ますますどんどん売れれば、さらに一品一品は安くなる。
安くなるから、いっそう大きな利益が生まれる。
それが、さらにさらに良い品をつくることに機能する。
こうして「良い品」のレベルは飛躍し、
「どんどん」の量は爆発し、
「安く」の水準は国際級になってゆく。

真理は、常に循環しつつ、構成要素そのものを高めていく。
真理は、この体系にこそ宿っている。
真理とは、自ら進化する構造を内包するものなのだ。

だから「良い品をどんどん安く」の一挙実現を図ると、失敗する。
三つの要素をいっぺんに果たそうとすると、挫折する。
仕事や商売の成長と発展に、短絡はない。

いつも三段論法で、一つ一つ確かめながらこつこつと積み上げる。
その蓄積のパワーが、循環の体系を拡大再生産に向かわせる。
循環と螺旋のイメージを解し、信じる者だけに、真理は味方するのである。

WWWTC。
Walmart ウォルマートに、
Whole Foods ホールフーズ、
Wegmans ウェグマンズに、
Trader Joes トレーダー・ジョー。

Costcoコストコこそなかったけど、
WWWTを訪れ、
しかもいずれも素晴らしい店で、
商売の真髄を教授され、堪能した。

その後、閑話休題。
ちょっとだけワシントンD.C.の観光。

まずリンカーン記念堂。
20111101190541.jpg

リンカーン像の前で、お決まりの写真。
20111101190707.jpg

ゲティスバーグの演説。
20111101190554.jpg

その最後のパラグラフ。
20111101190652.jpg
名誉ある戦死者たちが身を捧げた大義に、
私たちも一層、身を捧げること。
戦死者たちの死を決して無駄にしないこと。
神のお導きのもと、この国に自由をもたらすこと。
そして、人民の、人民による,人民のための政府を、
この地上から絶やさないこと。
これこそが、私たちの前に残されている大いなる責務なのです。

すばらしい。

感動した。

そのあとは合衆国国会議事堂へ。
20111101190808.jpg

見晴らしの良いポイントを見つけて。
20111101190753.jpg

お決まりの記念写真。
20111101190834.jpg

大久保さん、林先生、
そして㈱マルト社長の安島浩さんと。
20111101190849.jpg

もちろんジョージ君・浅野秀二先生とも。
20111101190902.jpg

急いでホテルに戻り、セミナー。
20111101192432.jpg

最初は、大久保恒夫講師。
20111101192444.jpg
「アメリカ小売業に学んだことを
どうやって日本に取り入れるか」

つぎは林廣美講師。
20111101192456.jpg
「アメリカのスーパーマーケットから学ぶ
店全体がお惣菜という店づくり」

最後に結城義晴。
「アメリカに学ぶポジショニング競争の本質」
20111102083131.JPG
何度でも言おう。
ポジショニング競争とは、
コンテスト型競争であって、
私たちが馴らされたレース型競争ではない。

アメリカで3時間3本立てのセミナー。

充実していた。
満足した。

そして私たちは、
ニューヨークに向かう。

お客様と従業員の、
お客様と従業員のための、
お客様と従業員による店づくりを、
求めて。
(続きます)

<結城義晴>

2011年10月31日(月曜日)

商人舎第10回記念USA研修会、ワシントンD.C.で経営戦略コース・商品戦略コース合流!

Everybody! Good Monday!
[vol44]

2011年第44週。
10月最終日が今日で、
今日はハロウィンで、
明日から11月第1週に入る。
20111031181859.jpg[マーケット・ストリート]
アメリカでは、
いま、ハロウィン・イベントの真っ最中。
20111031182043.jpg[HEB]

それでいて、11月第4木曜日、今年は24日の、
サンクスギビングデーの休暇を視野に入れつつ、
さらにその1カ月後のクリスマス商戦を見通す。
20111031182901.jpg[ターゲット]

アメリカでは秋の大プロモーションが、
3段階で用意されている。

私は日本でも、この3段階は、
大いに使えると思う。

①10月31日のハロウィン。
②11月23日の勤労感謝の日。
③12月25日のクリスマス。

さて、今、私はワシントン。
そう、アメリカ合衆国の首都。
20111031183607.jpg

商人舎第10回記念USA研修会は、
順調に進んでいて、
経営戦略specialコースは、
ダラスで巨大チェーンの最も激しい競争状況を学び、
ワシントンにやって来た。

ダラスでは、
ウォルマート・スーパーセンターの実験店プラノ店、
さらにスーパーセンターのエコストアHE型最新店、
20111102083343.jpg
そしてネーバーフッド・マーケットを巡った。
20111102083356.jpg
このタイプは、順次、ウォルマート・マーケットと名を変えていく。

さらにウォルマートのライバル・ターゲット、
20111102083409.jpg
ウォルマートのサムズ・クラブのライバル・コストコ。
どちらもがっぷり四つに組んで、
覇を競っている。

前者はハイパーマーケット(総合スーパー)での競争、
後者はメンバーシップ・ホールセール・クラブでの競合。

ダラス・プラノ地区のこの凌ぎあいは、
私たちの定点観測の対象。

しかもウォルマートではインタビューをくり返し、
逐次、改善改革の進展の様子を知ることができる。
20111030181500.jpg

ターゲットとコストコは、
「自らの強み」を活かして、
ウォルマートに堂々と立ち向かっている。

それがとてもいい。

だからウォルマートにもイノベーションの気概があふれてくる。

その後、クローガー・シグニチャーと、
20111102083421.jpg
セーフウェイ傘下のトムサム・ニューライフスタイルストア。
20111102083437.jpg
アメリカ二大ナショナル・スーパーマーケットチェーン。

そして話題の中心・ホールフーズ。
20111102083206.jpg

もう108店になったスプラウツ・ファーマーズマーケット。
20111102083507.jpg
この地のローカルチェーン・ユナイテッドのマーケット・ストリート。
20111030181449.jpg
ホスピタリティを最大の特徴に、
名だたる競合店たちのなかで、
ポジショニングを築こうとしている。

そしてテキサスに侵入し、
荒らしまわっているハードディスカウンター・アルディ。
20111102083222.jpg
もちろんHEBのフード&ドラッグとセントラルマーケットは、
初日に訪問して、元気づけられた。

ここには、大河ドラマのような、
役者勢揃いの競争があって、
私の解説の見せ所、聞かせどころ。

圧倒的に時間が足りない。

ダラスでは二度のセミナーを用意した。
二度目はメリッサ・フレミングさんと共演
フレミングさんは元HEB上級副社長で、
対ウォルマート作戦とプライベートブランド構築の立役者。
20111030181635.jpg
良いレクチャーだったし、
私の見解と一致。

当然のことだ。
毎年会って、講義を聴き、情報を交換しているのだから。

昨日、ダラスを後に、ワシントンD.C.へ。
朝5時半、暗いうちにホテルを出発。

ダラス・フォートワース空港で、朝日を拝む。
20111031185812.jpg
ニュースでは、ニューヨークには雪が降ったとか。

窓から見える風景にも、雪が混じっている。
20111031185826.jpg

それが緑に変わって、
ワシントンD.C.に到着。
20111031185838.jpg

空港には模型飛行機。
20111031185852.jpg

休む間もなく、
目指すはウェグマンズ
20111031185943.jpg

この店、素晴らしい。
一同、息を飲む。

ウェグマンズは2010年度年商55億9900万ドル。
100円換算で5599億円。
日本のスーパーマーケット第1位のライフコーポレーションよりも、
アークス&ユニバース連合軍よりも規模は大きい。
店数は76店舗。

1店平均、なんと7367万ドル(73億6700万円)。

その原動力は、第1に人。
ホスピタリティあふれ、イノベーションに燃える人財集団

第2は、店と商品。
ミールソリューションの最高峰
20111031190044.jpg
ウェグマンズが1986年に始めた「プリペアードフード」と、
1990年にスタートさせたフードサービス部門が、
世界のスーパーマーケットに進化を促した。

そして第3が、コンシステント・ロープライス
ウォルマート対策のエブリデーロープライス。

この店はきっと、年商100億円くらいは目指していると思う。

ウェグマンズを後に、
ブルームへ。
20111031190113.jpg

アメリカのスーパーマーケット業界第5位は、
ベルギー資本のデレーズ・アメリカ。
その中核はフードライオン。
10%台の低経費体質で1990年代後半に注目された、
あのフードライオン。

2004年に開発されたのが、このブルーム。
買い物簡便性を志向したアップスケールタイプ。
20111031190225.jpg
しかしこの地では、完璧な負け組。

ウェグマンズのあとで訪れたので、
その客数の違いに、一同、唖然。

決定的に欠けているのは、
フード&ドラッグではないこと。
だから隣にCVSファーマシーがはいっている。
20111031190253.jpg
これは完全な時代遅れ。

三番目は、このエリアナンバーワン占拠率のジャイアントフード
20111031190316.jpg
40%を超えるシェアで、
地域第1位の企業

この会社は1998年にオランダのアホールドに買収され、
現在、アホールドUSA傘下。

アホールドUSAは全米第4位のスーパーマーケット企業で、
デレーズ・アメリカのひとつ上。

アメリカのスーパーマーケット業界は、
第4位と第5位が外資ということになる。

そのジャイアントフードだが、
よく健闘している。
20111031190415.jpg
しかし店づくり、品ぞろえなど、
20世紀型のコンベンショナル・スーパーマーケットそのもの。

時代遅れ。

店舗奥主通路のサービス・デリと調剤部門が核だが、
青果、精肉、鮮魚など、ひどく弱い。
結局、ラガードの顧客がグロサリーを買いに来る店となっている。

ラガードとは伝統顧客とでも訳したらいいか、
保守的で、意地っ張りの顧客のこと。

最後に、ハリスティーター
20111031190446.jpg
205店舗で年商40億ドル(4000億円)クラスのローカルチェーン。
ただしノースカロライナに本社を持つラディック社の傘下にある。
アメリカのローカルチェーンは何らかの形で、
別資本のもとであることが多い。

インディペンデントとして、
自己資本で経営を続けることが難しいからだし、
安定した資本のもとで、
存分にス―パーマーケットを展開したほうが、
安全でもある。

このハリスティーターは、
21世紀アップスケール型に変身している。
20111031190542.jpg

部門ごとに「マーケット」と称してショップ形式をとり、
顧客囲い込み戦略を展開している。

そのため小型店、旧型店を次々に閉鎖し、
企業全体のイノベーションを志向中。

結局、ワシントン郊外のこのエリアは、
ウェグマンズとハリスティーターの21世紀タイプと、
フードライオン、ジャイアントフードの20世紀型との闘いの構図になっていて、
勝者は明らか。

図らずも、20世紀型はヨーロッパ資本の外資企業ということになる。

とてもいい学習素材が提供された1日となった。

一方、30日11時30分に成田から出発した
商品戦略MDコース
の面々。
11時間30分の長旅を終え、
元気にダラス・フォートワース空港に到着。
20111031135043.jpg
㈱廣甚の若い2人はもちろん、
㈱今治デーパートの佐伯誉さんも笑顔。

ダラスからは国内線に乗り換えワシントンD.C.へ。
その合間にダラスの空気を吸い込む。
㈱サンエーの皆さんと中込美津子さん(左)。
20111031135023.jpg

こちらのコーディネーターは林廣美先生
先生をかこんで、記念撮影。
20111031134953.jpg

ワシントンD.C.には午後3時過ぎに到着。
早速向かったのは、こちらもウェグマンズ。
その最新店。
20111031135109.jpg
ワシントンD.C.から北東に30分ほど行ったショッピングセンター立地の店。

周辺にはコストコ、JCペニーなど多くのナショナルチェーンが出店し、
まだまだ開発途上の商業エリアだ。
20111031135153.jpg

売り場のいたるところに、
コンシステント・ロープライスやセール品のPOPが張り出されている。
20111031135235.JPG

新店だけに、価格訴求は一段と強い。
20111031135211.JPG

ウェグマンズの前で再び記念撮影。
20111031135300.jpg

林先生の車中解説を聞きながら、再び市内へ。
20111031143846.jpg

二番目の視察はハリスティーター
20111031142943.jpg

この店の周辺には若い共働き世帯が多く、都市型の店。
20111031143018.jpg

2階がス―パーマーケット、
1階にファーマシーの変則的都市型店舗。
20111031143101.jpg

この時点で宵闇が迫り、体感温度もぐっと下がってきた。
今日の視察はこの2店舗で終了し、宿泊ホテルへ。
20111031143747.jpg

ホテルでSPコース、MDコースが合流。
そして、シーフード&ステーキレストランのピア・セブンへ移動。
ステーキ・ディナー・コースを食しながらの
楽しい合同懇親会

乾杯の発声は㈱マルトの安島浩社長
20111031150851.jpg

明日からの研修の充実を祈念し、声高らかにカンパイ!
20111031151028.jpg

参加企業の紹介と、
参加目的などを語ってもらいながら、
それぞれに懇親。
20111031151215.jpg

朝早いSPコース参加者も、長時間フライトのMDコースも、
疲れているはずだが、楽しんでくれた。
20111031152836.jpg

もちろん先生方も、みんなの話を真剣に聞き入った。
20111031151255.jpg

お酒が入り、リラックスしてきた。
20111031151141.jpg

最後はゲスト講師陣からのメッセージ。

初めに大久保恒夫さん
㈱セブン&アイフードシステムズ社長。
20111031150026.jpg

大久保さんの話は、熱かった。
自身の経歴を振り返りながら、
最後は小売商業の地位を上げるために、
皆で頑張ろうと締めくくった。
20111031150059.jpg

そして林廣美先生。
日本フードサービス専門学院学院長。
もちろん日本の惣菜マーチャンダイジング指導の第一人者。
スーパーマーケットの惣菜の現場で起こっている問題に触れ
明日から何を学ぶべきかを語った。
20111031150123.jpg
ちょっと長かった。
酒を飲みながら、大事な講義を聴いた気分。
20111031152901.jpg

そして現地コーディネーターの浅野秀二先生
商人舎サイトで連載中の『ジョージ君、アメリカに行く』が絶好調。
「健康になるとセクシーになる」
この話の続きは車中でもっと、語ってもらおう。
20111031150147.jpg

最後に私からも一言。
20111031150926.jpg
「ポジショにング競争の時代。
それはレース型競争ではない。
コンテスト型競争だ」

ホテルに戻って、
㈱むすんでひらいて社長の原田政照さん、林先生、浅野先生と。
原田さんは商人舎ツアー2度目の参加。
20111031151354.jpg

明日からは全員そろって、ワシントンD.C.へ。
ゲスト講師の講義も楽しみだ。

気合は十分。
体力は気力でカバー。

では今週も、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2011年10月30日(日曜日)

ジジとおとうさんのシゴト[2011日曜版vol44]

おとうさんは、
いません。
20111030181104.jpg

おとうさんというのは、
ユウキヨシハルさんのこと。
20111030181118.jpg

ナリタ空港。
20111030181151.jpg

アメリカのダラスに向かった。
20111030181202.jpg

ナリタで講義。
20111030181128.jpg

80分ほど。
20111030181213.JPG

それからのりこんで、
11時間。
20111030181224.jpg

今年、6回目になります。
20111030181138.jpg

ついたらバスのなかで、
すぐに講義。
20111030181307.jpg

それでもたのしそうです。
20111030181255.jpg

ボクはジジ。20111030181243.jpg

うちでまってます。
20111030181657.jpg

おとうさんは、ランチ。
20111030181318.jpg

それからインタビュー。
20111030181333.jpg

いつも、楽しそうです。
20111030181409.jpg

そして写真。
20111030181349.jpg

またインタビュー。
写真。
20111030181500.jpg

ここでもうれしそう。
20111030181418.jpg

そしてみんなで写真。
20111030181449.jpg

握手。
20111030181438.jpg

これもおとうさんのシゴトのひとつなんです。
20111030181646.jpg

講師のメリッサ・フレミングさん。
20111030181635.jpg

とてもいいおはなしだった。
20111030181624.jpg

ドラッカー先生が言っています。
「自分の目で見、耳で聞く」
20111030181613.jpg
それが大切なこと。

おとうさんのシゴトは、
それです。

<『ジジの気分』(未刊)より>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2025年6月
« 5月  
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.