結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2017年05月05日(金曜日)

こどもの日の元子供の考え方・在り方と「子供をダシにした商売」

こどもの日。

季節は違うけれど、
一番好きな一茶の句。
このブログでも、何度も引用している。

雪とけて村いっぱいの子どもかな
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こどもの日にあわせて、
総務省が子どもの人口を推定発表。
もとは国勢調査のデータ。

4月1日時点の子どもの数は、
1571万人。

昨年より17万人減った。
36年連続の減少。

ピークは1954年。
2988万人。

私もこの時、子どもの1人だった。

ピークのほぼ半数。

人口に占める子どもの割合は、
12.4%。
こちらは43年連続の低下。

子どもの割合が最も高かったのは、
1950年で35.4%。
その3分の1に近くなった。

人口4000万人以上の31カ国、
国別でみると、
アメリカ19.0%、
中国16.6%、
韓国13.4%。
日本の12.4%は最低。
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ただしここでいう子どもは、
15歳未満。

「子ども」の定義は、
法律上はおおむね、
「18歳以下の者」

「児童」の定義は、
児童福祉法第4条第1項で、
「満18歳に達するまでの者」

児童手当法や児童扶養手当法では、
「満18歳に達してから
最初の3月31日を過ぎるまでの者」

労働基準法第56条では、
「満15歳に達してから
最初の3月31日を過ぎるまでの者」

道路交通法第14条第3項では、
「6歳以上13歳未満の者」

国際連合憲章に、
「児童の権利に関する条約」があるが、
第1部第1条に記されている。
「児童とは、18歳未満のすべての者をいう」

まとめると、子どもとは、
一番大きなくくりでは18歳未満の人間。
次のくくりが15歳未満の者。
そして6歳以上13歳未満の者、
つまり小学生。

一番小さなくくりに関連するが、
「幼児」は児童福祉法及び母子保健法で、
「満1歳以上就学前の者」
道路交通法では「6歳未満の者」

「乳児」は同じく児童福祉法・母子保健法で、
「生後1年未満の者」

国際連合憲章にある一文。
「世界人権宣言において、
児童は特別な保護及び援助についての
権利を享有することができる」

その15歳未満の日本の子ども。
性別では、男子の方が38万人多い。
男子が805万人、女子が767万人。

年齢別では、
0~2歳294万人、
3~5歳304万人、
6~8歳317万人、
9~11歳321万人、
12~14歳335万人。

年齢層が低くなるにしたがって、
少なくなっている。

しかし、言うまでもなく、
これらのデータの責任は、
すべて大人にある。

日経新聞巻頭の『春秋』
吉村昭さんと池波正太郎さんに、
戦前の子どもの姿を描かせる。
そして、
「吉村さんも池波さんも、
ことさらにそんな時代を
美化してはいない。
貧富の差は激しく、
矛盾も多々あったはずだ。
それでも回想から伝わってくるのは、
地域が備えていた巧まざる教育力と、
おおらかさである」

「子どもの声が騒音扱いされる
現代の『こどもの日』。
大人たちが子どもと社会について
自問する日でもあろう」

朝日新聞『天声人語』は、
「手塚治虫は、
子どもたちを『未来人』と呼んだ。
子どもはわれわれ大人よりも
少し進歩しているはずだから、
彼らの夢を大事にしなければと
語っていた」

「どんな大人も昔は子ども。
いまの子どもたちの未来が
明るくなるかどうかは、
『元子ども』たちの振る舞いに
かかっている」

朝日新聞『折々のことば』
だいたい子どもというものは、
「親の目が届かないところ」で
育っていくんです。
(臨床心理家・河合隼雄)

鷲田清一編著者は、付け加える。
「先生の目が届かないところで」も。

「子供の自治が成り立つ場が今、
社会のあちこちに
埋め込まれているか?」

「子供は仲間とともに、
ときに少々怖い目にもあいつつ、
してよいことといけないこと、
どこまで人を頼りにできるかを学ぶ」

「これに親が信頼感をもてるかどうかに
子供の成長は懸かっている」

だから親は、
すべてに目を届かせてはならない。
子どもには子どもの世界がある。
それを認め、そんなスペースを、
つくってあげなくてはいけない。

「ほぼ日」の糸井重里。
「日本の祝日のなかに
『こどもの日』があるのは、
とてもいいことだなぁと思っている」

しろがねも 
こがねも たまも 
なにせむに
まされるたから 
こにしかめやも
(山上憶良)

そして糸井のまとめ。
「こどもの日に大人がするべきことは、
じぶんがこどもだったときの
切なさを思いだすこと」

「かわいがられて育とうが、
虐げられたり
無視されたりして成長しようが、
力のないこどもはみんな
切なかったはずだ」

「それを、この日に
思い出そうじゃないか、と」

子どもは切ない。

いや、大人も切ない。

人間はみな切ない。

しかし、「あらゆるこどもより、
大人のほうが幸せになりやすい」

そして最後に、
「ぼくは、こどものころに
戻りたいなんて1ミリも思わない」

私も若いころの人生をもう一度、
やり直したくはない。

切なすぎる。しんどすぎる。
そして思う。

子どもをダシにして、
大人を釣るなんて商売、
断じてやりたくない。

〈結城義晴〉

2017年05月04日(木曜日)

みどりの日の俳句物語と童謡「みどりのそよ風」でいい日だ。

みどりの日。
5月4日の祝日として11度目。
1989年から2006年までは、
4月29日だった。
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以下、「櫂未知子の金曜俳句」から。
みどりの日の俳句を、
ストーリー仕立てで楽しむ。

憲法とこどもが仲間みどりの日
5月3日の憲法記念日、
5月5日はこどもの日。
仲間に挟まれて、みどりの日。

みどりの日の朝。
朝食はオムレツ一つみどりの日

みどりの日の食事。
グリーンサラダの大鉢に盛るみどりの日
みどりの日だけに、グリーンサラダ。

ちょっと手軽な食べ方も。
みどりの日カップ麺には乾燥葱
一応、乾燥ネギも緑だが。

食事が終わったら、
外に出てみる。
風吹ひて葉も光りをりみどりの日

そしてアクティブな日。
歩いたり走ったりして緑の日

こんなこともある。
みどりの日森突き抜けて鳥居かな

いかにも。

そして、いい日は、いい。
恋人の四肢のびやかにみどりの日

みどりの日は、憲法記念日よりも、
音楽的だ。
みどりの日雑踏にチェロ背負ふ人

持ち歩きできない楽器も俳句になる。
チェンバロの修理終わりしみどりの日

人間との交流だけではない。
犬侍るオープンカフェやみどりの日

犬と緑のなかを歩く。
犬の目に映りて我やみどりの日

一方、猫は。
みどりの日出窓に猫の寝てをりぬ

家の中でみどりの日を楽しむ。
窓に寄りミステリー読むみどりの日
私の場合、今は、ロバート・B・パーカーだ。
スペンサーとスーザン・シルヴァ―マンの物語。

部屋の中のみどりの日。
折鶴のみな天を向くみどりの日

しかし今日は、特別のことはない。
さて何をするわけでなしみどりの日

もう一句。
なんとなく無為に過ごすもみどりの日

そしてすぐに夕方はやって来る。
夕近く口の重たきみどりの日

あっという間に時間は経過する。
一日の軽く過るやみどりの日

俳句で綴るみどりの日の一日。
しかしこれは一般消費者の一日。

店を運営し、
顧客をもてなしている人たちは、
忙しい。

ただし、今日は店によって、
ひどく格差が激しい。

昨日の黄金週間後半初日は、
全国的にどの店も繁盛した。

明日のこどもの日も、
全国的に変わりなく客数は多いだろう。

しかし、その合間の今日は、
格差が激しい。

これは現代のマーケティングの特徴だ。
マス・マーケティングから、
状況に応じたマーケティングへ。
そしてワンツーワンマーケティングへ。

みどりの日は、そんな日だ。
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最後に童謡。
「みどりのそよかぜ」

朝、起きてから、出かけるまで、
なんとなく一つのメロディーが浮かぶ。

そうしたら、その一日、
そのメロディーがずっと耳に残る。
歌詞が口をついて出たりする。

そんなことがよくある。

今日のメロディーはこれだった。

みどりのそよ風
いい日だね♪

蝶蝶もひらひら
豆のはな

七色畑に 妹の
つまみ菜摘む手が
かわいいな♪

一番しか知らなかったが、
五番まである。

みどりのそよ風 いい日だね♪
ぶらんこゆりましょ 歌いましょ

巣箱の丸窓 ねんねどり
ときどきおつむが のぞいてる

三番は野球の歌だ。

みどりのそよ風 いい日だね
ボールがぽんぽん ストライク
打たせりゃ二塁の すべり込み
セーフだおでこの 汗をふく

四番はフナ釣り。
こどもの遊びの歌だ。

みどりのそよ風 いい日だね
小川のふなつり うきが浮く
静かなさざなみ はねあげて
きらきら金ぶな 嬉しいな

なんとうちの花畑でイチゴが摘める。

みどりのそよ風 いい日だね
遊びにいこうよ 丘越えて
あの子のおうちの 花ばたけ
もうじき苺も 摘めるとさ♬

作詞・清水かつら、作曲・草川信。
1948年(昭和23年)1月に、
NHKラジオで発表されて広まった。

旋律はいいけれど、
歌詞はいまひとつ。

清水かつらには「叱られて」など、
名作があるのに。

しかしそれでも、
この歌も69年。

日本国憲法の1947年よりも後だが、
みどりの日よりも、長い歴史を持つ。

4月29日の昭和の日は1989年まで、
天皇誕生日の祝日だったが、
それも昭和23年7月20日に、
公布され施行された祝日法から始まった。

だからこの歌は、
それよりも古い。

ずっとずっと、
日本人の耳元に浮かび、
口ずさまれてきた。

みどりのそよ風 
いい日だね♪

いい日は、いい。
商売の活力に生かしたい。

そして静かに今日らしく終わろう。
みどりの日しづかな森のごと眠る

〈結城義晴〉

2017年05月03日(水曜日)

古希を迎えた日本国憲法の「部分的な真・善」「部分的な偽・悪」

「ひとになぞらえれば、
いよいよ古希である」

日経新聞の社説。

70年目の日本国憲法を評する。

その憲法記念日。

「あちこちガタが来てもおかしくない。
だから、大事にいたわるのか、
それとも手術に踏み切るのか」

「思案のしどころだ」と諭す。
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やけあとの
つちもめぶきて
あをみたり

ほこなき国を
はるふかみつつ

〈金田一京助〉

毎日新聞の社説は、
全20巻の「昭和万葉集」から、
金田一の新憲法を詠んだ歌を引用。

「ほこなき国」は、
「武器を持たない国」

金田一京助は、
明治15年生まれ、昭和46年没。
1882年~1971年、満89歳で逝去。
言語学者、民俗学者で歌も詠む。

金田一は、焦土に芽が吹いて、
木々の緑が深まる情景を詠み、
平和憲法の誕生を称えた。

日本国憲法には、確かに、
この「ほこなき国」の精神がある。

再び日経新聞社説。
「立憲君主制の元祖である英国には
憲法がない」

不文憲法である。

「英国は王の権力を少しずつ制限してきた」
これが1297年のマグナ・カルタ。

「国民は基本的人権や立法権を獲得し、
行政権と司法権の分離がなされた」
1688年の権利の章典。

「ひとつにまとめた憲法典はないが、
過去の勅令や法律を総称して、
憲法と呼ぶ」

そして英国民は、
「最古の立憲国家であることを
誇りに思っている」

日経は主張する。
「要するに、
形式よりも中身だ」

「明治憲法は
大正デモクラシーを育んだが、
政党が政争の具にしたことで
軍部独裁を生んだ」

「護憲か改憲かだけが、
憲法論議ではない。
まずは身近なところから、
憲法が果たす役割を考えたい」

改憲護憲論議から、
逃げた、という印象。

毎日新聞『余録』

「他国の憲法に比べて条文の簡素なことは
日本国憲法の特徴でもあるという」
「『憲法改正』の比較政治学」からの引用。

簡素な憲法には、
適応力がある。

「つまりは制度の改憲は不要だった」

「象徴天皇制や
平和・人権条項への主権者たる
国民の支持が生んだ改憲なき70年だった」

「もし目指されているのが
改憲のための改憲ならば
現憲法の『不磨』の70年を
軽んじすぎていないか」

朝日新聞社説は、
「個人」にフォーカスする。

だから日本国憲法13条。
「すべて国民は、個人として尊重される」

近代立憲主義の根底に流れるのは、
「憲法は一人ひとりの人権を守るために
国家権力を縛るものである」という考え。

英文では「as individuals」
つまり「個人として」

翻訳家の柴田元幸さんは、
この「as individuals」に対して、
「固有の権利を持つ人間」のニュアンスを感じた。

「as humans(人間として)」だったら、
「単に動物ではないと
言っているだけに聞こえます」

福沢諭吉は『文明論之概略』で、
「individual」の訳語に試行錯誤した。

「ひとり、一身ノ身持、独一個人」
そして福沢は嘆いた。

「日本の歴史には、
『独一個人の気象』がない」
「どくいつこじん」と読む。

伊藤博文が明治憲法を起草した際、
憲法を創設する精神について力説した。
第一に「君権(天皇の権限)を制限」し、
第二に「臣民の権利を保護する」

むろん、その明治憲法の「臣民の権利」は、
一定の範囲内でしか認められなかったが。

朝日は、5年前の自民党憲法改正草案が、
「個人」を「人」にしたことを指摘する。

つまり「as individuals」を「as humans」に。

一方で、自民党草案の前文に、
「和を尊び」の一節が加えられた。

そう、聖徳太子の十七条憲法。
その第一条。
「一曰、以和爲貴、
無忤爲宗」

一つ曰く、
和(やわ)らぎをもって貴しとなす。
忤(さか)ふることなきを宗とせよ。

「忤」はさからうこと。

朝日は指摘する。
「ただでさえ
同調圧力の強いこの社会で、
和の精神は、するりと、
『強制と排除の論理』に入れ替わりうる」

「『個人』を削り、
『和』の尊重を書きこむ」

「そこに表れているのは、
改憲草案に流れる憲法観――
憲法は歴史や伝統などの
国柄を織り込むべきもので、
国家権力を縛るものという考えは
もう古い――である」

朝日は「天賦人権説」を持ち出す。
人はすべて生まれながらにして、
自由、平等で、幸福を
追求する権利をもつという思想。

ジャン=ジャック・ルソーなど、
18世紀の啓蒙思想家が主張した。
アメリカ独立宣言、フランス人権宣言、
そして日本国憲法の「基本的人権」にも、
この精神が貫かれている。

自民党起草案は、
この天賦人権説を、
「西欧由来のものとして排除し、
憲法を、国家と国民がともに守るべき
共通ルールという位置づけに変えようとする」

そして朝日の断定。
「これは憲法観の転覆にほかならない」
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最後に改憲派の読売新聞社説。
「国民主権、平和主義、基本的人権を
3原則とする憲法は、
国民に広く支持され、定着した」

「一方で、一度も改正されていないため、
内外の情勢が大きく変化する中で、
様々な歪みや乖離が生じている」

この点は日経社説と同じ。

読売は憲法9条を問題にする。

「自衛隊は軍隊や戦力でないため
憲法に反しない。
今の政府解釈は確かに、
極めて分かりづらい」

その通り。

「国民投票で過半数の賛成が必要という
改正のハードルの高さを踏まえれば、
幅広い合意形成を優先するのは当然だ」

「首相は13年に、
改正要件を緩和する
96条の改正を唱えた」

そして「先行改憲」などと批判され、
96条改正論を封印した。

「9条は憲法改正の本丸だ。
国論を二分しかねない、
重いテーマでもある」

まるで政府顧問のような読売の主張。
「自民党は、
衆参両院の憲法審査会の議論を踏まえ、
民進党とも丁寧に意見交換し、
戦略的に取り組まねばならない」

折しも安倍晋三総理は、
憲法記念日に寄せて、
ビデオメッセージを発信した。
「2020年を新しい憲法が
施行される年にしたい」

改正項目の9条は、
「1項、2項を残しつつ、
自衛隊を明文で書き込むという考え方は
国民的な議論に値する」

その日本国憲法9条1項。
「日本国民は、
正義と秩序を基調とする
国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、
永久にこれを放棄する」

戦争の放棄。
それも永久の。

そして2項。
「前項の目的を達するため、
陸海空軍その他の戦力は、
これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない」

戦力の不保持。

この1項、2項を残しつつ、
自衛隊を明文化する。

はて?

それが「ほこなき国」では、
ないだろうことは、たしかだ。

改憲論、護憲論、加憲論などなど。
それぞれの論議を聞いていていると、
あの明治憲法さえもなんだか、
良かったように思えるから不思議。

改憲の前に、
東北をどうする。
福島原発はどうする。
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最後にパンセ抄。
ブレーズ・パスカル。

「この世では、どんなものも、
部分的に真であり、
部分的に偽である」

安倍改憲論がそれだ。
朝日も毎日も、読売も、それだ。

「本質的真理というのは
このようなものではない」

「完全に純粋で、
完全に真でなければならない」

「真と偽の混同は、
本質的真理を損ない、
絶滅してしまう」

読売にはこれが当てはまる。

「純粋に真であるものはない。
つまり、真というものを純粋に
真であるという意味に解したとしたら、
いかなるものも真ではない」

これは朝日や毎日に言っておこう。

「わたしたちは真も善も、
部分的にしか持ちえないのである。
その真と善にも、
悪と偽が、
混じっているのだ」

(断章三八五)
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憲法記念日からの5連休。

読もう。知ろう。考えよう。
「ほこなき国」は存在し得るのか。
それが問題だ。

〈結城義晴〉

2017年05月02日(火曜日)

アクシアルの過去最高決算と「もったいない、ありがたい。」

夏も近づく八十八夜
立春を起算日(第1日目)と数えて、
88日目が今日、八十八夜。

野にも山にも
若葉が茂る

あれに見えるは
茶摘ぢやないか
あかねだすきに
菅の笠♪

文部省唱歌の「茶摘み」。
作詞・作曲ともに作者不詳。

(天竜区観光協会春野支部より)
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一年で一番、いい季節。

横浜商人舎オフィスの裏の遊歩道。
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ハナミズキが美しい。IMG_1239.JPG-7

今日は月刊商人舎5月号最終責了日。
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本当にいい雑誌になりました。
ご購読、ご愛読をお願いします。

さて、日経電子版経営者ブログ、
鈴木幸一さん。
IIJ代表取締役会長。

タイトルは、
「世界でいちばん
居心地の良い
日本の連休」

鈴木さんが知人から、
牡丹の花を贈られる。
立てば芍薬、
すわれば牡丹、
歩く姿は百合の花。

しかし鈴木さんは、
「頼りなげな染井吉野の桜を好む」

だから牡丹は、
「艶やか過ぎる」

同感。

しかし、今は、
「ぼんやりとした青空が広がり、
木々が芽吹く春爛漫」

「世界の緊張をよそに、
平和で安全、世界でいちばん
カンファタブルな日本」

ヨーロッパの緊張。
イギリスのEU離脱。
今週日曜日には、
フランスの大統領選挙。

アメリカ合衆国は、
トランプ大統領そのものに緊張。
中国とロシア、
そして韓国と北朝鮮。

世界中が緊迫している。
日本の周りの国々も、
緊張感でいっぱい。

しかし世界一カンファタブルな日本。

「頭をまったく空にするのも、
そう簡単なことではない」

昨日の朝日新聞「折々のことば」
第741回。
鷲田清一さん編著。

テレビ出身の人の歩幅は
どうしても
狭くなるんですが、

映画の人の歩幅は
大きいんです。
(「無冠の男 松方弘樹伝」から)

「どんな仕事に就くときも
スケールというものが大事」
無頼派俳優の松方。

だから歩幅は大事。
狭いのはテレビ人間。
大きいのが映画人。

「とても叶わないと思うものに
まず挑むほうが、
自分にもできそうな
等身大の課題から始めるより、
のちのち大成する」

そのためには、
「長丁場の現場で、
泥まみれになるほうがいい」

考えてみると、
ゴールデンウィークの商人も、
長丁場の現場にいる。
そこで泥まみれになって、
仕事に励むのがいい。

歩幅はなるべく大きく。
とても叶わないと思うものに、
挑んでほしい。

毎日新聞の巻頭言『余禄』
エンゲルベルト・ケンペルの言葉。
江戸時代に長崎出島に来たドイツ人医師。
欧州人として初めて『日本誌』を書いた。

「他の諸国民と違って、
彼ら日本人は非常に
よく旅行する」

その理由は、道中に、
親切な宿や茶屋が整っていたから。

江戸時代の人々の旅心は、
旅人をもてなす心と表裏一体だった。

いい話だ。

この黄金週間の旅行の出発は、
明日の5月3日がピークとなる。

国内旅行、海外旅行、ともに。
その旅人の数は2300万人。

カンフォタブルな日本は、
江戸時代からつづく、
われわれのDNAに基づいている。

「どの土地のどんな旅人も
親切にもてなした、
心意気の健在も信じたい」

賛成だ。

さて、連休のはざまの、
Daily商人舎ニュース。

アクシアルニュース|
売上高2289億円、経常利益6.4%増で過去最高

アクシアルリテイリング(株)の決算報告。

ご存知、新潟・長岡の原信と、
同じく新潟・上越のナルスが、
2006年に経営統合した。

さらに2013年、
群馬・前橋のフレッセイが加わって、
アクシアルリテイリングが誕生した。
代表取締役会長は山崎軍太郎さん、
代表取締役社長は原和彦さん、
そして代表取締役副社長は植木威行さん。

山崎さんはナルス、
原さんは原信、
植木さんはフレッセイ。

三人仲良く持株会社に参集して、
連結売上高は2288億9900万円。
前年同期比2.3%増。
営業利益は90億5300万円、6.0%増、
経常利益は91億8500万円、6.4%増。
純利益は57億8400万円、24.0%増。

いずれも過去最高。

素晴らしい。

私は常々、言い続けている。

もうローカルチェーンも2000億円が、
一つのメルクマールになる。

山崎さん、原さん、植木さんは、
それを成し遂げた結果、
営業利益率は3.6%、経常利益率は4.0%。

これも立派だ。

グループ年度方針は「変革への挑戦」

やることなすこと、オーソドックス。
そのうえTQMをずっと続けている。

月刊商人舎2013年10月号で、
原和彦さんにinterview。
Total Quality Management。

このTQCに基づいて、
「価格以上の価値が認められる商品」
「ライフスタイルに合った商品」
それを、コツコツと提供した。

「名物商品の開発、
既存商品の磨き込み、
優良産地からの商品調達、
品揃えの見直しに努めた」

経費コントロールの効果も表れた。
自動発注の仕組み導入による、
労働生産性の改善。
省エネルギー機器による、
水道光熱費の削減。
環境維持活動への取り組み。

月刊商人舎4月号特集と共通する。
商品ロス管理×Sustainability

先月号のMessageを再掲しよう。
もったいない、
ありがたい。

「売れない」のではない。
「売っていない」のだ。
「売り損なっている」のだ。

鈴木敏文さんが言い、
故緒方知行さんが追従(ついしょう)した。
これは機会損失撲滅の本質を突いた。

だからセブン-イレブンは、
加盟店とスーパーバイザーに徹底した。
「売れ筋でロスを出せ!!」

しかし残念ながらこの時代は終わった。
値下げロス・廃棄ロスと機会ロスは、
本来、二律背反の関係にあるからだ。

だから戦略的に、組織的に、
もう1人、もう1品、もう1円の改善。
そしてもう1パーセントの努力。

フィリップ・コトラーが読みきった、
マーケティング1.0は、
製品中心の時代だった。

マーケティング2.0は、
消費者志向の時代で、
売り手市場から買い手市場に移行した。

そしてマーケティング3.0の今は、
価値共創の時代である。
ソーシャルマーケティングの時代である。

「売れない」のではない。
「もったいない」が足りないし、
「ありがたい」が少ないのだ。
〈結城義晴〉

もったいない、
ありがたい。

これで黄金週間を乗り切りたい。

そのほかのDaily商人舎ニュース。

セブン&アイニュース|
セブンプレミアム10周年記念カップ麺を日清と開発
ドンキニュース|
電子マネー「majica」会員が500万人突破
ニトリニュース|
台湾27店舗目「桃園(とうえん)JC PARK店」オープン
キリン堂ニュース|
調剤薬局4店展開のメディカルトラストの全株式取得
セキドニュース|
インバウンド減少で今期損失、リユース事業で黒字化へ
ラオックスニュース|
「千葉ポートスクエアポートタウン」開業

もったいない、
ありがたい。

よろしく。

〈結城義晴〉

2017年05月01日(月曜日)

初摘み新茶の季節と「クールビズ」スタートの5月1日

Everybody! Good Monday!
[2017vol18]

2017年も第18週。
そして5月第1週。

ゴールデンウィーク真っただ中。
今日、明日を休暇にすれば、
9日連続の大型連休。

ただし昨年も一昨年も、
一昨昨年からも、
「安近短黄金週間」の性格は、
強まるばかり。

つまりは「ハレとケ」でいえば、
新しいハレの登場である。

民俗学者の柳田圀男が指摘したのが、
「ハレとケ」の概念。
「ハレ」は非日常、「ケ」は日常。

大型連休の安近短消費行動で、
この「ハレとケ」にも変化が生じる。

地域ごとに、そして店ごとに、
ライフスタイルが変わる。
ハレとケも変わる。

それとともに、
ケがハレ化する。
日常が非日常的なやや高級化を見せる。

ハレもケ化する。
非日常の部分が低価格化する。

それもクラスター分析などで、
わが店の顧客のライフスタイルを、
想定し、見定めなけばならない。

面倒だけれど、
それが必要になる。

きのふでもあしたでもなきけふのはな
〈朝日俳壇より 糸魚川市・早津邦彦〉

そう、昨日でも明日でもない。
今日でしょ。

ひとひらは蝶になりたる日の斑(ふ)かな
〈同 神戸市・玉手のり子〉

木漏れ陽が斑点になって落ちる。
この斑点を「日の斑(ふ)」という。

消費も日の斑のごときもの。
黄金週間に変化する。

花の声ひとりになりて聞こえくる
〈同 藤岡市・飯塚柚花〉

花の声を聞き取るには、
一人にならねばならない。
つまり、考えに没頭することだ。

さて今日は5月1日。
国際的には「メーデー」、
すなわちMay Day。5月の日。
国連によって定められた国際デー。

日本の労働界は分裂していて、
連合は4月29日に、
メーデーのイベントを行った。
残る非連合系の全労連や全労協などが、
今日、メーデーの集会とデモ行進をした。

「働き方改革」を政府が主導して、
経営界や労働界と共同しようという時、
労働界同士で、メーデーの日程も、
合わせることができない。

ああ。

今日、初摘みの新茶が、
贈られてきた。
O

(株)伊藤園副会長の江島祥仁さんから。
「今年は気温が低く、
新茶が遅くなりました」
添え書きがある。
O

それでもありがたく頂戴して、
丁寧にいただこうと思う。O
その今日から、
「クールビズ」が始まった。

朝日新聞がそのクールビズへの、
大手小売業の対応を取材した。

高島屋の目玉は、
素材メーカーと開発した「洗える商品」

たとえば絹糸を50%使うジャケット。
この商品は、絹糸に、
乾きやすい加工を施した。
だから手洗いができる。
しかも裏地を少なくして、
セーター1枚の軽さ。
約290グラム。

夏の発汗に対するための手洗い商品。
さらに洗濯可能なビジネスシューズ、
革のトートバッグ。

高島屋は今年、クールビズ関連で、
売上高6%増を目指している。

一方のそごう・西武は、
「足もと」に注目。
細身のパンツを前年より2割品揃え増加。
5㎝短いくるぶし丈の裾上げを提案。

クールビズでも王者のユニクロは、
張りのある素材の、
小さい襟のポロシャツを投入。
ビジネスシーンで着るシリーズとして、
売り込む。

今夏は流行りそうだ。

各社、もう、クールビズはスタートした。

さて今月のスケジュール。
7日の日曜日まで、
ゴールデンウィーク。

その後は、1週間経った14日の日曜日に、
母の日が来る。

これには、
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」

二十四節気で見れば、
5月5日のこどもの日は、
立夏。夏が立つ。

そして5月21日が小満。
「万物が次第に成長して、
一定の大きさに達して来るころ」
もう夏です。

梅雨はもうすぐ。
5月中の梅雨入りは3地区。
沖縄が、昨年は5月16日ごろ、
平年は5月 9日ごろ。
奄美は昨年5月16日ごろ、
平年5月11日ごろ。
そして九州南部の昨年が5月24日ごろ、
平年は5月31日ごろ。

その他の地域の梅雨入りは6月。

私の今月のスケジュールは、
連休明けの8日・9日が、
万代知識商人大学。

11日がその万代の「改善チャレンジ」
これを見学する。

翌週の16日から22日は、
Las Vegasで商人舎ベーシックコース。

大人気のコースです。

帰国後、月刊商人舎6月号の取材をしつつ、
26日(金)は学習院マネジメントスクール。
流通概論をたっぷり講義する。

翌週はもう最終週で、
月刊商人舎の最後の責了まで。

来月6月はベトナムツアーと、
ヨーロッパツアーが待っている。

それから6月20・21・22日は、
第11回ミドルマネジメント研修会。

ご参加ください、ご派遣ください。

さて最後に今月の商人舎標語。
そしてこれは月刊商人舎6月号の、
[Message of May]
「カ・カタ・カタチ」の福音を聴け。

メッセージは月刊商人舎誌面にて。

最後に連休のはざまの、
今日のDaily商人舎。

オーケーニュース|
狛江市内2店舗目の「オーケー狛江中和泉店」オープン

ヤオコーニュース|
「YAOKOネットスーパー」2号店の志木宗岡店を開業
ドンキニュース|
MEGAドンキ渋谷本店がマルハンタワー跡にオープン
ニトリニュース|
中古住宅再生事業のカチタスと業務提携
イオンニュース|
マックスバリュ九州が構造改革と役員委嘱業務変更
ファミマニュース|
JA「ジャコム石川」とFC契約締結で一体型店舗開発
イオンニュース|
マックスバリュ九州が「ロアッソ熊本WAON」発行
3月大店立地法新設届出|
神奈川県内最大のイオンモール座間3万4000㎡申請

何はともあれ、5月は、
ゴールデンウィークを乗り切ってから。

この一瞬の積み重ねが、
君という商人の全生涯。
〈倉本長治〉

では、みなさん、今週も、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2017年04月30日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その39】こいのぼり

猫の目で見る博物誌――。
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猫の目はいつも季節を感じる。
ボクはこの世にいないけれど、
空を泳ぐこいのぼりは、
ボクの近くにいます。

青い空のこいのぼり。
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(いらか)の波と雲の波、
重なる波の中空(なかぞら)を、
(たちばな)かおる朝風に、
高く泳ぐや、鯉のぼり。

開ける広き其(そ)の口に、
舟をも呑(の)まん様見えて、
ゆたかに振う尾鰭(おひれ)には、
物に動ぜぬ姿あり。

百瀬(ももせ)の滝を登りなば、
(たちま)ち竜になりぬべき、
わが身に似よや男子(おのこご)と、
空に躍るや鯉のぼり。

小学唱歌『鯉のぼり』
〈作詞者不詳、作曲・弘田龍太郎〉

大正2年の1912年、
大正デモクラシーの初めのころ。
赤い鳥運動の直前の歌。

もうひとつは、『こいのぼり』。

やねよりたかいこいのぼり
おおきいまごいはおとうさん
ちいさいひごいはこどもたち
おもしろそうにおよいでる
〈作詞・近藤宮子、作曲・不明〉

20120429125721

漢字で「鯉幟」
「皐幟」(さつきのぼり)と言ったり、
「鯉の吹き流し」と呼ばれたり。

江戸時代の武家や商家から始まった。
ただし当時は江戸中心、関東中心、
上方(関西)では見られない風習だった。

もともとは旧暦の「端午の節句」に、
男児の出世と健康を願って、
鯉の形に模してつくった幟を、
屋敷の庭先に上げた。

吹流しは風をはらませて、
たなびいた。

旧暦5月5日は、
今年2017年は5月30日。

重要な点は、
5月5日まで飾られたこと。

現在のイメージは、
晩春から初夏の晴天の青空。

なぜ、鯉なのか。

出展は中国の正史『後漢書』の故事。

黄河の急流に「竜門」という滝がある。
この滝を多くの魚が登ろうと試みた。

しかし鯉だけが登り切って、
竜になることができた。

つまり「鯉の滝登り」
これが「立身出世」を象徴して、
男児の祝いに使われた。

「登竜門」の言葉は、
この故事に基づいている。

江戸時代は黒い真鯉だけだった。
明治時代から真鯉と緋鯉の対になった。
昭和時代に入ると、
ファミリーを表して、
青い子鯉が添られた。

最近では、緑やオレンジ、ピンクまで、
華やかな色の子鯉も出回っている。
O

一般的には、
竿の先に回転球やかご玉、
その下に矢車。
そして五色の吹き流しが一番上、
その下に真鯉、緋鯉を、
大きさの順に並べて揚げる。

ゴルフ場には、
230ヤードの地点を示す吹き流しがある。
これらも端午の節句までは、
小さなこいのぼりにしたらどうだろう。

こいのぼりの名所。
まず生産量日本一の埼玉県加須市。
(加須市ホームページより)
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長さ100メートル、重さ350kg。
世界最大のこいのぼり。

1988年の「さいたま博覧会」の際に、
加須青年会議所がつくってPRした。

その後、毎年5月、
利根川河川敷の市民平和祭で、
巨大な姿を見せる。
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群馬県館林市では、
「こいのぼりの里まつり」
掲揚数世界一で、
2005年、ギネス世界記録に登録。
3月下旬から5月中旬まで開催。
(「健康一番 http://amccrh.com/1253.html」より)
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5000匹以上のこいのぼりが、
4カ所で掲揚される。
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もうひとつ、
熊本県阿蘇郡小国町の杖立温泉。
3500匹のこいのぼりが立てられる。
(杖立温泉観光協会より)
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江戸っ子は皐月の鯉の吹流し

やはり江戸から始まったこいのぼり。
ただしこの五七五には、下の七七がある。

口先ばかりではらわたは無し
O
なるほど。

青空にたなびくこいのぼり。いいなあ。
生きている実感があります。
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桜の季節は桜を楽しむ。
こいのぼりも5月5日まで、
楽しんでください。

ボクもそばにいます。

(『猫の目博物誌』〈未刊〉より by yuuki)

2017年04月29日(土曜日)

昭和の日に「symbol」と「model」を考えた。

Showa Day。
新緑の昭和の日。
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祝日法に記されたその趣旨は、
「激動の日々を経て、
復興を遂げた昭和の時代を顧み、
国の将来に思いをいたす」

私は昭和27年生まれだから、
64年まであった昭和を、
37年ほど生きていた。

それから平成に変わって29年。

その昭和の時代の4月29日は、
「天皇誕生日」だった。

昭和天皇のお生まれは、
1901年4月29日。
これは明治34年。

そして崩御は1989年1月7日。
この年の初めの7日間が昭和64年だった。

1月8日から平成元年となった。

昭和天皇は、日本の第124代天皇。
幼少時の称号は迪宮(みちのみや)。
諱(いみな)は「裕仁」(ひろひと)。

「諱」は「生前の実名」。
天皇の実名は、
生前にはあまり使われない。
口にすることをはばかる。
それを「諱」という。

諱にはもう一つ意味がある。
人の死後にその人を尊んで贈る称号。
諡(おくりな)ともいう。

昭和天皇崩御の後、
「天皇誕生日」の4月29日は
「みどりの日」となった。
昭和天皇は生物学者であり、
自然を愛した。

だから昭和天皇をしのぶ日として、
「緑の日」とすることになったが、
その後、2007年から「昭和の日」となり、
「みどりの日」は5月4日に移った。

降る雪や明治は遠くなりにけり
〈中村草田男〉

昨日の「折々のことば」

よくぞ今まで
生きてこられましたね。
今、生きている自分を
褒めてあげてください
〈柳田邦男〉

柳田は次男を自死で喪った、
ノンフィクション作家。
幼子を亡くしたある母親から、
手紙をもらう。
そして、もがきながらでも、
生きていこうとすることの、
重さを思い知る。

以後、深い悲しみの中にある人には
こう声をかけようと思う。

編著者の鷲田清一さんの述懐。
「自分を褒めるということに
抵抗を憶(おぼ)える私も、
これを誰かにそっと
背後から言われたらきっと
号泣するだろう」

昭和の時代には、
「深い悲しみ」があった。

みんな、よくぞ、
ここまで生きてきた。
いま生きている自分を
褒めてあげよう。

さて、その昭和生まれの糸井重里。
「ほぼ日」の巻頭言で、
「モデル」を考察する。

「東京タワーは、おそらく
エッフェル塔がなかったら、
誕生しなかったのではないかと思う」

「鉄骨を組み上げてむやみに
高い塔を立てるということが、
アイディアとして
ひょいっと出てくるかどうか、
また、あのようなかたちで
できたかどうかを想像すると、
やっぱりちょっと考えにくいものがある」

「エッフェル塔という『モデル』が
あったせいで、その後の世界に
エッフェル塔的なものが
増えていたのだ」

その通りだ。
このエッフェル塔のたとえ、
さすがの糸井だ。

「人間の姿かたち、
装いの流行などにも、
もちろんモデルの存在が
大きく影響している」

このたとえは、
「矢沢永吉」と「木村拓哉」
それが「永ちゃん的」な人びと、
「キムタク的」な人びとを
たくさんつくった。

「ヘアスタイルや、服装、
ことばのくせ、趣味嗜好などが、
人びとに憶えられ、コピーされることで、
モデルの役割は強められていく」

逆に見れば、
「モデルがあることによって
そのコピーがしやすくなる」

これが「プロトタイプ」などといわれる。

「賛成、反対、憧れ、軽蔑、
なんでもしやすくなる」

「あれみたいなもの」だとか、
「あの人みたいな存在」とか、
「すぐに目に見えるように語り合える」

そこで問題解決的な考察。
「いろんなものごとを、
どうにかしようと思うときには、
あれこれすべての準備を
整えるなんてことより先に、
modelが動き出すことが
大事なんだよね」

「うまくいったら、ああなるのか」

「modelが元気で動き出せば、
その先の未来に行って見たくもなる」

昭和の時代の途中まで、
天皇はmodelだった。
政府がmodelを通して、
行動を提起した。

しかし日本国憲法によって現在、
天皇は「象徴」となった。

象徴は「symbol」
GHQのマッカーサーは、
昭和天皇に対して、
「symbol」という言葉を使った。

いろいろな会社にも、
「symbol」はあるし、
人格としても存在するかもしれない。

しかし会社を営むには、
「symbol」ではなく、
「model」こそが必要だ。

そして何かをするとき、
「model」が動き出す。

もちろんsymbolがあってもよろしいが、
社長はsymbolではいけない。
modelでなければならない。

本部長こそ、
modelそのものだ。

店長や部門長も、
symbolではいけない。
modelでなければならない。

そしてあなたは、
modelたり得ているか。

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新緑や昭和も遠くなりにけり。
昭和の日に、そんなことを考えた。

〈結城義晴〉

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