結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年11月27日(土曜日)

「格差を差別せず」の商売の精神と10月の内食&外食販売統計の変化

世界の農産物価格が高騰している。
その影響は食品のみならず、
衣料品や生活用品にまで及ぶ。
クリスマス・年末年始商戦に向けて、
「価格高騰」は大きな与件となってきた。

いかに取り組むか。

さて昨日、補正予算が成立した国会。
仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の問責決議案が可決。
菅直人内閣、どんどん追い詰められている。

いま日本に、絶対に必要なのは、「長期政権」
そのもとで、一貫した施策を実行し続けねばならないと思う。

会社でも同じ。

危機の時には、実行力のある長期的な経営陣が、
一貫したシナリオのもとに改革を続けねばならない。
次々に経営者が変わるのでは、
危機からの脱出はできない。

そんな中、昨日、プロボクシングに、
二人の世界チャンピオンが誕生した。

朝日新聞文化欄では、
「イクメン」や「草食系男子」のことを記事にしている。
その一方で、最もきついスポーツでの世界王者誕生。
フェザー級の長谷川穂積とスーパーフェザー級の栗生隆寛。
ともに2階級制覇のチャンピオン。

草食系男子とボクシング世界王者。

日本の若者には二通りの生き方があるのだろう。
それはそれで頼もしいことだと思う。

11月17日のこのブログで取り上げた「格差」。
朝日新聞のコラム『経済気象台』のコラムニスト遠雷氏は、
格差がバネ力を生む」という。

「失われたのは若者のハングリー精神である。
若者自身に怒りが乏しいことこそが危機である」
遠雷氏は、こう、訴える。
しかし、この日本に現在、
プロボクシング世界チャンピオン6人。
怒りやハングリー精神を持ち合わせた変革の担い手」が、
存在しないわけではない。

頼もしい限りだし、
「格差」を一概に無くすばかりがいいわけではない。
「格差そのものを差別視すること」こそ、
避けねばならない。

その点、商売はいい。
顧客を差別しない。

1673年の日本、「越後屋」を創業した三井高利が、
1683年に「店前現金無掛値」を訴えた。
「今度私工夫を以て呉服物何よらず格別やす値に売出し申候間、
私店へおいで御買上げ下さる可く候。
何方様えも持たせやり候儀は仕らず候」

「何方様えも」とは顧客を差別しない宣言だ。

1930年のアメリカでは、マイケル・カレンが、
スーパーマーケットを創業した。
カレンがロングアイランドの日刊地方紙に出した広告。
『最新型高級車にお乗りの方も、うば車をお引きの方も、ご来店歓迎。
流行遅れのお召物でも、そのままお気軽に、さあ、さあ、どうぞ!
金曜午後九時、土曜午後十時まで営業』

これも顧客を差別しないことの宣言だった。

商業の革新者二人のモットー。
「格差」の中で「差別」せず

さて昨日は午前中に、㈱いなげやの面々が揃って、
商人舎オフィスを訪ねてくれた。
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私の隣から、吉野繁美さん、
小森俊幸さん、
押木昌巳さん、
そして高橋一郎さん。

小森さんが私の著書『メッセージ』をご持参下さったので、
サインした。

心は燃やせ、頭は冷やせ」
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最近はこの言葉、大好きだ。

午後は、「スーパーマーケット販売統計調査」の記者発表。
東京・神田の社団法人新日本スーパーマーケット協会。
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一昨日の日本フードサービス協会の発表と見合わせると、
「10月の内食と外食の動向」が鮮明になる。

「10月の販売統計調査と11月の景況感調査」を、
まず協会副会長の増井徳太郎さんが流暢に報告。
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10月の総売上高は、7492億1083万円で
前年同月比102.1%。

食品合計は6424億4609万円(前年同月比102.6%)、
非食品合計は1067億6474万円(前年同月比98.9%)。

注目すべきは生鮮3部門。
3部門の合計は2419億2903万円で、
前年同月比104.2%だった。
そのなかで青果が前年比109.9%の993億3856万円。
これは、野菜の相場が高騰したための実績。
水産は相変わらず苦しく、前年比99%の659億4864万円。
そして、秋冬物の商材として畜産が売れ、
766億4183万円、前年比102%。
「昨年の年末は単価の低いものを発注しすぎて、
チャンス・ロスを出した。
この年末をどう乗り切るか。
昨年から学んでいれば、
各社知恵を絞るだろう」

続いて、株式会社マルトの安島浩代表取締役社長。
マルトはいわき市において圧倒的シェアをもつ。
安島さんの販売動向についての話は、
謙虚ながらも、自信にあふれていた。
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マルトは地元シェア50%を誇るスーパーマーケット企業。
いわき市内では3kmおきに店舗をかまえ、どの道を通っていても、
必ずマルトの店舗に行きつくような展開がなされている。

「マルトが大切にしているのは、健康な食品を売ること。
そのため、マルトのお弁当は腐ります。
温かいお弁当はおいていません」

「先ほど販売統計の説明では、
水産が苦戦しているとの話だったが、
マルトでは魚は売れている。
昨対で129%伸びている。

これはちゃんと品揃え、商品づくり、アピールするなど
手間をかけた結果」

「経常利益は昨対で3割伸びた。
これは昨年が悪すぎたのと、
あいみつを取るなど、基本をしっかりしたから」

「しかし、マルトは地域密着企業。
多少値が高くても、地元を大事にします」

「たとえば、ヨーグルトや乳製品は120%伸びている。
地元の味を大事にしながら売る。
しっかり根付いているから売れているのです」

一方の、日本フードサービス協会
10月の外食産業市場動向調査」。

全体で前年同月比プラス2.7%。
4カ月連続の前年同月クリア。

内食の2.1%プラスを0.6ポイント上回った。

外食は内食の水先案内人。
外食の落ち込んだ部分を内食がかすめ取るといった構図からは、
一刻も早く抜け出して、内食・外食協力して、
「食の喜び」「食の楽しさ」を日本中の消費市場に知らしめたいもの。

10月の外食の客数はプラス4.4%、客単価はマイナス1.7%。
とはいっても客単価も、
9月の前年対比マイナス3.4というレベルから抜け出しつつある。

外食産業で唯一、伸び続けてきたファストフード。
10月の売上高プラス2.7%。

外食全体のトレンドと同じ水準。

客数はプラスの5.4%、客単価はマイナス2.6%。

ずっと悪かったファミリーレストランは、
リニューアル効果が実って売上高3.5%増。

客数がプラス3.5%、客単価はプラマイゼロ。

ディナーレストランも売上高プラスの4.2%。
客数3.1%、客単価1.1%、ともにプラス。

10月の統計で見ると、
コンビニ既存店の売上高は前年同月比マイナス5.9%。

総合スーパーを中心としたチェーンストアは、
前年同月比マイナス0.3%。

たしかに、生活の何かが変わりつつある。

「格差が差別」につながらないことだけを祈りたい。

良い週末を。

<結城義晴>

2010年11月26日(金曜日)

「言論の府」が「口論の場」に変わっていることとiPadによる会議での「思考」

「国会は言論の府のはずが、
このところ口論の府になり下がっていないか」

朝日新聞『声』欄の投書を『天声人語』が取り上げた。

「たしかに実のある議論は少なく、
ののしりの声ばかり大きい」

テレビの影響か、衆愚世論の反映か。
酒場の酔っ払いの政治論議もどきが、
日本国国会で展開されている。

イギリス議会の論戦など見ていると、
つくづくそれを感じる。

しかし、政治家ばかりにこの責を負わせるわけにはいかない。
私たちの社会全体のことだと受け止めねばなるまい。

私たち自身のなかに、それが巣くっているのだと。
イギリスの鉄道や地下鉄の乗客には、
新聞を読んでいる者が多い。

読む習慣と能力は、
考える習慣と能力に比例する。

考えずに、口に出すことが多い。
だから「口論」となる。

『広辞苑』によると、「言論」は
「言語や文章によって思想を発表して論ずること」。

根底に「思想」がなければ、
「口論」になりやすい。

以って自戒とすべし。

さて、昨日、一昨日と、
顧問先の丸まる2日間の事業報告会議。

その会議は初めてiPadを使って行われた。
したがってペーパーレス。

これが意外な効果をもたらした。

まだまだ改善の余地はおおいにある。
しかし膨大な紙の資料が配られ、
それを読み合わせるようにして進行される会議は、
行き過ぎると時間の無駄にすぎなくなる。

iPadの画面にふさわしい分量と体裁の資料群は、
まだまだリニューアルが要求されるが、
コンパクトでシンプル。

だから、会議に参画する者は、
「考える」時間を提供されるようになる。

膨大な紙の資料はともすると、
「口論」の「口による争論」のごとき暴力性を持つ。

iPadによる資料とプレゼンテーションは、
「思想」を論ずるごとき「思考」の世界に人々をいざなう。

もちろん、その「思想」と「思考」の水準が、
常に進化していなければ、
やがてこの新しいツールも、
紙以上に膨大な暴力的「口論」の武器に、
変貌してしまうだろうが。

人々がものを考えるという志向で、
ITツールが活用される。

そしてそれが瞬時にデータベース化される。

こんなに素晴らしいことはない。

私は実際に使ってみて、感じた。
「ITほどチェーンストアに相性のいい道具はない」

もちろん、「××とはさみは使いよう」というがごとく、
ものを考える水準を上げる方向で活用されなければ、
「言論」が「口論」に堕してしまいつつあるかに見える日本国国会と同じ。
その空気を醸成しているだろう日本社会と同じ。

うまく使えば、「思考」のレベルは、
格段に飛躍する。

ドラッカー先生が生きていたら、
これをどう評するだろうか。

そんなことを考えた。

<結城義晴>

[追伸]
今日の「新着ブログ」Today!に二つ。
一つは「杉山昭次郎の流通仙人日記」の新論文。
「本格的スーパーマーケットの“店づくり”」
淡々とした杉山節、いいですね。

もうひとつは「林廣美の今週のお惣菜」
第116回「カニ風味入り いなり寿司」
これはおいしそう。

今週は火曜日が「勤労感謝の日」でしたが、
毎日このブログおよびホームページに来て下さったことに、
感謝します。
ありがとうございました。

今週にはより良い決着をつけて、
心地よい週末をお過ごしください。

2010年11月25日(木曜日)

延坪島砲撃とワンアジア市場の中の日本

北朝鮮による韓国・延坪島(テヨンピョンド)砲撃。
民間人も2人死亡。

アメリカと韓国は、黄海での大規模合同軍事訓練実施を決定。
対して中国は曖昧な姿勢を崩さず。

日経新聞のコラム『大機小機』。
コラムニスト三角氏が書いている。
「アジア・アズ・ナンバーワンの日本」
1979年の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」。
著者はアメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲル。

それから31年。

三角氏は、訴える。
「『日本が』という単独主義の発想を変えれば、
新たな道がみえてくる」

私もこれには賛成したい。

「日本を含むアジアが世界の成長センターとなり、
日本もそれに貢献しながら果実を得て再成長へ進む」

これが「衰退を逃れる唯一の道」

日本・中国・インドにその他アジアの国を加えたGDPは、
2009年で世界の24.7%。
「これが2030年には、40.5%まで上昇する」

「個人消費は32兆ドルに増加、世界の43%を占める」

アジア全体が「世界の工場」であると同時に、
「世界の市場」に変わる。

私は「ワンアジア財団」の評議員を務めているが、
この財団法人もその方向での活動をしている。

隔世の感があるが、
アジアが「世界の被侵略国」から、
「世界の工場」へと変貌し、
さらに「世界の市場」へと、
ポジションを変える。

その意味でも、北朝鮮の砲撃と中国の対応、
米韓の対処など、日本のかかわり方は大切。

「ワンアジア」の思想を持って、
2030年を見定めるといった視野が不可欠だと思う。

そのアジアからの顧客で潤う日本の百貨店。
10月は32カ月ぶりの売上高プラスを記録した。

日本百貨店協会の91社・261店舗の前年同月売上総額、
プラス0.6%の約5121億円。

主力の衣料品が40カ月ぶりに前年同月をクリア。
もっとも1カ月前の9月の外国人観光客の売上高は、
マイナス7.0%だった。
これは尖閣諸島船長逮捕事件の影響が明らか。

一方、日本ショッピングセンター協会の10月の売上高。
こちらも既存ショッピングセンターの前年同期比はプラス1.9%。
26カ月ぶりに増加した。

新設商業集積も含めた全体の総売上高は、
推計ながらプラス3.0%。

大型商業集積や百貨店のように、
人が集まるところでの消費が活発化しつつある。
そろそろ「節約・倹約、もったいない」の消費に、
飽きがきつつあるのか。

クリスマス、年末商戦がちょっと楽しみになってきた。

<結城義晴>

2010年11月24日(水曜日)

「論理」と「事実」の協働と、コンビニ・総合スーパーの10月販売統計

先週のコーネル大学RMPジャパン第3期の講義。
荒井伸也先生の時間の中で語られたこと。
「学問は突き詰めると論理ということです」

私は、はっとした。

荒井先生はコーネル・ジャパン首席講師。
サミット㈱社長、会長を歴任され、
現在、作家であり、オール日本スーパーマーケット協会会長。
さらにコンサルタントとしても活躍されている。

斯界随一の「識者」荒井先生の見識。
その表現力。

恐れ入った。

「産学協働」が盛んに叫ばれているが、
これは「実務」と「論理」の融合である。

実行したら、検証し、論理化する。
この論理化が、次の実行に役立つ。

一方、ジャーナリズムは「事実」を伝える。
この事実も極めて重要。

通常、事実は当事者にしかわかりにくい。
しかし当事者は自分の「事実」しか経験していない。
だからジャーナリズムは、
多くの事実を集めてきて、
それを正確に伝える。

ジャーナリズム、学問、どれも役割が違うということだ。
役割が違うから、どれもが大切な機能ということになる。

実務家とジャーナリストと学者の協働は、
だからこそ重大な意味を持つ。

ここで、荒井先生の認識を借りると、
「学問を否定する者は、
論理を否定していることになる」

ジャーナリズムを否定することは、
「事実の集積を否定することと同じである」

そして実務を否定することは、全否定となって、
論理は矛盾し、事実はゆがめられる。

ピーター・ドラッカー先生は、
ドイツでジャーナリストとしてスタートした。
その後イギリスでは投資銀行に勤めつつ、新聞記者でもあった。

やがてアメリカにわたって学者となった。
学者として研究を続けつつ、
コンサルタントとしてゼネラルモーターズから依頼を受け、
その実務体系を調べた。

そして膨大な報告書を書いた。
それが第3作「企業とは何か」に結実する。

すなわちジャーナリスト、学者、コンサルタント、
三足のわらじをはいていた。

ここでいうコンサルタントは、
実務指導する者ではない。

その会社の診断をする役割を担う。
端的にいえば「医者」のようなものだ。
商業の世界では故渥美俊一先生がそれだった。

渥美先生は読売新聞のジャーナリストとして、
キャリアをスタートさせ、
コンサルタントに転身した。

診断には論理性が不可欠だ。
だから学者兼コンサルタントは多い。
商業の世界では故川崎進一先生がそれだった。

渥美・川崎、お二人を合わせたようなキャリア、
それがまさにドラッカー先生だった。

重要なことは、
論理と事実からスタートしたということ。

もちろんどんな役割にも、
理想形と現実形がある。

つまり理想形の学者やジャーナリスト、
コンサルタントや実務家がいると同時に、
現実形のそれらも存在する。

理想的なコンサルタントと現実形の学者を比較して、
どっちがいいとか悪いとか評するのはお門違いというもの。
逆に現実形のコンサルタントと理想形のジャーナリストの比較も、
意味がない。

論理的に話を進める場合、
理想形と理想形の比較がいい。

そうすると、それぞれの役割が明確になって、
別々の役割の協働や連携も理解できる。
さて、10月の販売統計。
コンビニと総合スーパーから発表された。

まず日本フランチャイズチェーン協会発表のコンビニ統計調査月報。

既存店の売上高は前年同月比マイナス5.9%。
タバコ景気が終わって、4カ月ぶりダウン。
もともとコンビニはずっとダウントレンドにあった。
それが現れてきたということ。

店客数マイナス4.4%、
平均客単価マイナス1.5%。

店舗数は1.7%増えて、4万3268店。
1カ月の来店客数は2.6%減って11億5065万人。
平均の客単価はマイナス1.1%の558.8円。

コンビニの客単価559円は覚えておかねばならない数字のひとつ。
みなさんも覚えておいてください。

いろいろなことの基準のひとつになる。

一方、日本チェーンストア協会の発表。
この協会の会員企業62社、7872店。
そのうち、売上高の49%が、
8社の総合スーパー企業によって占められている。

そこに食品スーパーマーケットやホームセンター、
ホームファッションチェーン、100円ショップなどが加わる。
つまりは体制は総合スーパーの統計ということ。

その総合スーパーを中心とした10月の売上高、
前年同月比マイナス0.3%で、1兆0090億円。

23カ月連続ダウン。

商業統計では、総合スーパー業態は、
1997年をピークに、もうずっと13年もダウントレンドにある。

食料品は前年同月比で0.0%。
まったく変わらず。
「安定の食品」の面目躍如。

コンビニも食品販売中心の業態だから、
コンビニのマイナス5.9%は、
いかにこの業態がタバコに依存していたかを鮮明にした。
タバコの売上げだけでなく、
タバコを買いに来るという購買動機に連動した売上げ。

衣料品はマイナス1.4%、
住関品はマイナス1.1%。
この住関連にはニトリの貢献も織り込まれていて、
だから総合スーパーの住関連がまだまだ改善されていないことを物語る。

コーネル・ジャパンの講義中にも、
「総合スーパー」業態をどうするかがテーマとなった。

大久保恒夫先生、荒井先生、私、三者三様の解ながら、
決め手は見つかりにくい。

これこそ論理と事実との協働によって、
次の視点が要求されている課題である。

<結城義晴>

2010年11月23日(火曜日)

「勤労感謝の日」の朝刊一面コラム・コンパリゾンとドラッカー「目標管理&時間管理」

「勤労感謝の日」です。

日本国民のほとんどは、勤労者とその家族。
その勤労に感謝する日。

今月の商人舎標語。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」

この心持ちで、今日を送りたい。

さて、新聞朝刊各紙の一面コラム。
「勤労感謝の日」をどのくらい取り上げているか調べた。

昨日、柳田稔法務大臣更迭事件が起こったばかり。
各紙がどう取り上げたか。

まず読売新聞『編集手帳』
「火災現場でダジャレを言う消防士はいない。
手術中に漫談をする外科医もいない」

勤労と柳田問題を少しからめた。
これがまあ、一番無難な線。

産経新聞『産経抄』
「法相を辞任した柳田稔氏は25歳のとき、
すし職人になるのをあきらめた」

「柳田氏は、板前修業は人生修養でもあった、と語っている。
だとすれば、もう一度挑戦することをお勧めする」

これも柳田と勤労を関係づけた。

毎日新聞の『余録』
「ヘマなことを口走ることを、英語で
『足を自分の口に踏み入れる』という言い回しをする。
日本語でいえば『ドジを踏む』のような表現」

「言わずもがなのことをしゃべる癖を『フット・イン・マウス』病という」

知識を引っ張り出して、揶揄する書き方。

東京新聞の『筆洗』は「本音」をテーマにした。
「<本音を読み取る><心理を見抜く>。
そんなキャッチコピーで売り出されている本が結構ある。
それだけ、世の中には本音を隠して生きている人が多いということなのか」

「柳田稔前法相は、本音をあけすけにする珍しい政治家だった」

ただしこのコラムはひねりも関連付けもない。

さて朝日新聞の『天声人語』
知事選挙真っ最中の沖縄問題を選んだ。
「地元では『沖縄差別』という言葉も噴き出した」
「いまに残るのは、ヤマトによる『無関心』という差別かもしれない」
「小指の痛みは全身の痛み」
沖縄問題に対して「健忘症」になってはいけないと訴える。

しかしなぜ今日の天声人語なのか。
政治好き新聞の「正義感」は法相更迭や勤労感謝を凌ぐのか。

最後に日本経済新聞『春秋』
ここだけ、正面から「勤労感謝」を取り上げた。

ドイツの童話作家ミヒャエル・エンデの『モモ』。
コラムニスト氏はずっと、
勤労感謝の日にはこのテーマを書こうと決めていたに違いない。
だから柳田更迭にも見向きもせず、
ミヒャエル・エンデから入った。

「働くことの意味、人生のあり方を考えさせる童話」
「時間は人間に与えられた財産。
大切な時間を守り、どう使っていくかは結局、
自分で決めるしかない」

「人生の目標は何か、
自分にとって何が大事なのかを
振り返ってみるのも悪くはない」

これ、「目標管理」と「時間管理」。
そう、ピーター・ドラッカー先生の考え方。
従って、私の思考法と同一。

読売・産経の柳田更迭に勤労感謝をからめる書き方、
毎日、東京新聞の柳田問題揶揄型。
朝日の我関せず、政治的正義感振り回し型。
そして日経新聞の勤労感謝と「人生の目標管理」を結び付ける主張。

日経のポジショニングが際立つし、
これは私たち商人舎のスタンスでもある。
背景にドラッカー哲学があるのもいい。

日本国民のほとんどは、勤労者とその家族。
セグメンテーション、ターゲティング、
そしてポジショニングに徹すれば、
「客層」は広がる。

だから日経新聞は、経済新聞でありながら、
どの新聞よりも国民全体に客層を広げることに成功した。
日経の「勤労感謝の日」の一面コラム『春秋』がそれを証明している。

「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」
この心持ちで今日を過ごしたい。

最後に、ユニクロの「創業感謝祭」。
11月20日(土)の日本国内直営全店およびネット販売の売上高。
ユニクロ史上初めて100億円を超え、
1日売上高過去最高。
約101億5368万円。

ユニクロの1日平均売上高が16億円だから、6倍強。

アメリカの「感謝祭」商戦は、
クリスマスの前哨戦と位置づけられる。

ユニクロはまったく、
日本のクリスマス・年末商戦の前哨戦を、
制してしまったことになる。

ここにも「創業感謝祭」がある。

「感謝を表し行動する者に福来る」

<結城義晴>

2010年11月22日(月曜日)

「勤労感謝の日」翌日から売場をガラリとクリスマス・年末商戦仕様に「劇激変」させるのがドラマティック!

Everybody! Good Monday!
[vol47]

最近、私が凝っていること。
“Good Afternoon!”
“Good Evening!”

別れ際にこの言葉を使うこと。

日本語にすると、
“Good Afternoon!”は「こんにちは」
“Good Evening!”は「こんばんは」

午後や夕方、人に出会った時のご挨拶のように考えられているが、
しかし“Good Afternoon!”には、
文字通り「良い午後をお過ごしください」
“Good Evening!”には、
「夕方の時間をよりよく過ごしてください」
そんなニュアンスが込められている。

ちょっと古いイギリスのドラマなど見ていると、
そんなシーンが出てくる。

例えば、アガサ・クリスティ、
コナン・ドイル。

この会話、なぜかとても、いい。

だから今日は一日中、使える。
“Good Monday!”

さて、2010年第47週の始まり。
今週を含めて、あと6週。
雷さんではないが、
「月日のたつのは早いものだ」

今年1年、「今週は第〇週です」といい続けて、
「ウィークリ―・マネジメント」を訴え続けてきた。

ずいぶん理解され、浸透してきた。
そのことが素直にうれしい。

もちろん、1月第1週を「第1週」と決めつける必要はない。
2月末決算の会社は、
3月第1週を「第1週」とすればいいし、
3月末決算の会社は、
4月から「第1週」を始めればいい。

数字というのは不思議なもので、
それだけで一瞬のうちに、ある概念を想起させる。
使い方によっては、
マネジメントにとって極めて都合が良い代物。

「3割」といえば野球選手にとって、
一流の打者であることが一瞬のうちにわかる。

「90」といえば、ゴルファーにとって、
ボギーペースでラウンドしたことがすぐわかる。

「第47週」といえば、
どんな週で、何をしなければならないか、
顧客の生活がどうなっていて、
だから我々はどう行動すれば、
お客様を喜ばすことができるか。

そんなことが一瞬のうちに、
全従業員にわかる。

それが私は理想の組織だと思う。

理想の組織運営のために、
「数字」を上手に使うこと。

これはとても面白いし、
意欲がかきたてられることだ。

さてその第47週の今週。
明日の火曜日11月23日が、
「勤労感謝の日」の祭日。
例によって、1948年に公布され、施行された『祝日法』によって、
趣旨が決められている。
「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」
「たっとび」とは「尊び」と書くが、
たっとぶものが「勤労」、
祝うのが「生産」、
そうして「国民互いに感謝しあう」。

ここで現在では「生産」は、
「財」を「生産製造」し、「流通」させ、
「小売り」するところまで含まれてくる。

マーケティング・コンセプトの発展段階は5つある。
故田内幸一先生著『マーケティング』に出てくる。
第1が「生産志向コンセプト」、
第2が「製品志向コンセプト」、
第3が「販売志向コンセプト」、
第4が「マーケティング志向コンセプト」、
そして第5が「社会マーケティング志向コンセプト」。

「勤労感謝の日」 の趣旨にある「生産」は現在、
その(生産志向)の後の「製品志向」「販売志向」から、
さらに「マーケティング志向」「社会マーケティング志向」へと、
展開発展を見せている。

小売りサービス業は、
この「勤労感謝の日」にも勤労する。

だからこそ、他産業以上に、
「勤労感謝の日」の主役の意味が重いんだと思う。

勤労感謝の日のおおもとは、
飛鳥時代・皇極天皇の世に始まった新嘗祭に遡る。
「にいなめさい」あるいは「しんじょうさい」と読む。

1872年の明治4年から戦前の大日本帝国時代まで、
新嘗祭として11月23日に祭日が設定されていたが、
戦後、米国占領軍GHQによって「勤労感謝の日」に改められた。

だから「勤労感謝の日」は、
アメリカ・カナダの“Thanksgiving Day”の日本版でもある。
ウィキペディアは表現する。
「戦前日本と米国の祝日の要素を
密かに併せもつ一種異様なハイブリッド」。

その米国感謝祭は、11月第4木曜日。
「ナショナルホリデーNational Holiday」のひとつ。
日本と比べ物にならないくらい盛大に行われる。
これもウィキペディアの表現では、
「たくさんの親族や友人が集まる大規模な食事会」。

多くの州では、木曜日の感謝祭翌日の金曜日も祝日となる。
だから4連休のDay After Thanksgivingとなって、
日本でいえば、「冬休み」「春休み」のかわりの「秋休み」のようなもの。

小売サービス業における感謝祭は、
完全に「クリスマス・セールの前哨戦」。

感謝祭当日の木曜日の翌日・金曜日には、
特別セールが行われる。
この日を「ブラック・フライデー」と呼ぶ。
「黒字」になるから。

そして近年、週明けの月曜日が、
「サイバー・マンデー」と呼ばれるようになった。
オフィスからのネットでクリスマス・プレゼントが売れるから。

日本に適用して考えると、
「勤労感謝の日」の翌日から、
売場をガラリとクリスマス・年末商戦仕様に、
「劇的な激変」をするのがドラマティック。

いかがだろう。

今週は水曜日から、
あるいはちょっと譲っても、
土曜日から「クリスマス・年末年始商戦」が始まっている。

柳田稔法務大臣が辞任したことなど、
気にしてはいられない。

日経新聞調査の「今冬のボーナス」中間集計が、
全産業1人当たり前年比マイナス1.17%となったことも、
さして問題視しなくてよろしい。

一途に、顧客を喜ばせることに邁進する。
そんな冬の商戦が始まる。

今月11月の商人舎標語。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」
毎日毎日、この心構え。

それが充実した日々を、
私たちにプレゼントしてくれる。

Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

[追伸]
五十嵐ゆう子さんのWEB小説「Thank you~命をありがとう~」が、
先週木曜日をもって、40回の連載を終了しました。

五十嵐さんに「命をありがとう」と、
お礼の言葉を贈りたいと思います。

心から感謝します。

〈どこかの出版社の編集者の方、
単行本にしませんか?
結城義晴と浅野秀二が責任を持って販売しますよ〉

2010年11月21日(日曜日)

ジジと小春日和の落ち葉[2010日曜版vol47]

ジジです。
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小春日和がつづきます。
「こはるびより」

秋のおわりから冬のはじめに、
おだやかであたたかい日があります。
それを、こはるびよりといいます。

小春というのは、
むかしの暦で10月のこと。
いまでいえば11月です。

春のようにあたたかいから、
ちいさな春とでもいったかんじで、
小春とよばれるようになりました。

こはるびよりには、
ボクは、ねむくなる。
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でも、小春になって、
落ち葉がちりはじめました。
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地面のうえに落ち葉。
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ボクも、落ち葉、
すきです。
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木のねもとに、
落ち葉。
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パラパラと落ち葉。
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落ち葉のもよう。
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小春日和の日に、
落ち葉がまいちる。

毎年毎年のくりかえし。

「くりかえされることのなかに、
真理がやどる」

ボクは、もの思いにふける。
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あれ?
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雨の音。
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こはるびよりのなかから、
冬の足音がきこえてきます。
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そうすると、
冬にまっしぐら。
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もの思いもそろそろやめにして、
ボクも、冬ごもりのしたくを、
しなければなりません。

<『ジジの気分』(未刊)より>

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