結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年02月17日(水曜日)

銀銅メダルの後ろに「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」の永守信条あり

バンクーバーの冬季オリンピック。
スピードスケート男子500mで二人のメダリストが出た。

銀メダルの長島圭一郎選手、
銅メダルの加藤条治選手。

二人は同じ会社・日本電産サンキョーに属する。
旧社名・三協精機製作所のほうが通りがいい。

日経新聞の一面巻頭コラム「春秋」が取り上げている。

2003年度まで3年連続赤字で、
日本電産に買収され、現在に至る。

その日本電産社長の永守重信さんの持論。
「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」

日本電産は30坪の工場から始まった。
ハードディスク駆動装置のモーターで世界首位の企業となった。

その永守さんの信条こそが、
「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」

それが今回も、
長島、加藤両選手に貫かれていた。

旧三協精機買収後の再建の間も、
永守さんはスケート部を廃部にはしなかった。

そして永守さんは、
「金メダルをとってこいよ」と選手を送りだした。

だから、金メダルをとるまで、
スケート部は、あきらめないに違いない。

「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」
いい話だ。

私の本『メッセージ』の第7章[経営と組織]
「ウォルマートになぜ、大企業病がないのか」から。

そのためにウォルマートは三つの原則をもつ。
知らせる。すぐやる。徹底する。
ウォルマートには三つの鉄則がある。
知らせる。すぐやる。徹底する。

朝日新聞経済欄のコラム「経済気象」
「民を貴しとなす」のタイトル。

トヨタの大量リコール問題。
「運転者の感覚や反応への気配り」を欠いた。

コンピューター制御による最新技術ブレーキシステムを、
「誰もが当たり前に操作できるはず」と思い込んだ。

バーナンキ米連邦準備制度理事会議長。
米議会で辛くも再任承認。

オバマ民主党。
マサチューセッツ州で連邦上院補選に敗北。

日本政界では自民党の拙攻。
国民が何を切実に求めているかの理解がない。

だから鳩山政権の支持率が下がっても、
自民党の支持率は上がらない。

「グローバル化を背景に広がる『ポピュリズム』を、
経営者も政治家も官僚も理解できていない」。

ポピュリズムとは「大衆迎合主義」と訳される。
しかし「民を貴しとなす」に改めるべきだ。

私たちの日本国憲法。
「主権が国民に存することを宣言」する。

そのうえで、基本的人権の尊重と平和主義。
この三つの考え方を謳う。

すべての小売業・サービス業も、
この三つの考え方を基盤としている。

「ポピュリズム」に対して、
「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」

「民を貴しとなす」に対して、
「知らせる・すぐやる・徹底する」

政治家や役人だけではない。
実務家にこそ「ポピュリズム」は不可欠だ。

<結城義晴>

2010年02月16日(火曜日)

恩藏直人早大教授の「五つの顧客価値増大」と結城義晴「利益を上げる五つの方法」

ひと雨ごとにあたたかく、
ひと雨ごとに春がくる。

今週の横浜は、
まさにそんな感じ。

一昨日は、
完全徹夜。

だから昨夜は、
泥のように眠った。

そして今日、
単行本の集中校正の日。

勘案の仕事が、
もうじき終わる。

さて、日経MJが連載を展開。
「食品スーパー逆風下の活路」

デスクの白鳥和生さんが、
見出しを付けた。

「PB脱『粗製乱造』に転換。
質と割安感の両立 重要に」

この中で、甲府のいちやまマートの「美味安心」と、
ベイシアのPBの事例が最後に出てくる。

美味安心は、添加物を使わないPB。
ベイシアは、イオン、セブン&アイより1~2割安いPB。

「単に低価格PBをつくれば売れる時代は終わった。
いかにこの店にしかない商品としてPB開発を進めるか」

日経MJは、
こう結論付ける。

「顧客のニーズと、
自社店舗の個性」

両者の見極めが重要と、
日経MJは結論付ける。

もちろんここでいう「顧客」は、
自社のカスタマー。

自社のカスタマーのニーズに対応することで、
自社店舗のオリジナリティが出てくる。

いちやまマートの立地にも、
ベイシアの政策を喜ぶ客はいる。

ベイシアの商勢圏にも、
いちやまマートの美味安心を渇望する客はいる。

どんな顧客を、
わが社のターゲットにするか。

そのこと自体が、
自社の個性となる。

これをマーケティングでは、
「ターゲティング」という。

そして自社の戦略をマーケットの中で明確にすることを、
「ポジショニング」という。

プライベートブランド開発においても、
ターゲティングとポジショニングが必須。

それを最も丁寧に組織的に展開しているのが、
イギリス第一位の小売業テスコ。

1000万人のクラブカード保持者から得られた情報をもとに、
多様なテスコ・ブランドを開発している。

この時、開発の考え方には、
五つの方法がある。

五つの方法しかない。
そう考えたほうがいい。

早稲田大学商学学術院・恩藏直人教授の指摘。
二つの概念による五つの方法。

まず、顧客の得るものを「顧客のベネフィット」と呼ぶ。
顧客の失うものを「顧客のコスト」とする。

「ベネフィット÷コスト」。
これが「顧客価値」。

顧客価値を増大させる方法。
考え方は五つある。

第一は、ベネフィットを上げ、
コストを下げる方法。

顧客価値は最大化される。
ブルーオーシャン戦略はこの考え方。

第二は、ベネフィットを変えずに、
コストを下げる方法。

第三は、コストを変えずに、
ベネフィットを上げる方法。

ここまでは、わかりやすい。
しかし、あと二つ考え方がある。

第四は、コストも上がるが、
ベネフィットをさらに大幅に上げる方法。

質の提供とは、
この方法を意味する。

美味安心は、
この第四の考え方によって生まれた商品。

そして第五は、ベネフィットをあえて下げる。
しかしコストはもっと大幅に下げる。

ベイシアのプライベートブランドは、
この第五の考え方によって出来上がっている。

恩藏直人教授の
「顧客価値」を拡大する五つの考え方。

これに私は、重ねて考える。
「利益を上げる五つの法」

第一は、「利は元にある」
仕入れ調達説。

第二は、「利は売りにあり」
薄利多売説。

第三は、「利は内にあり」
経費削減説。

第四は、「利はこの品にあり」
商品開発説。

そして第五は、「利は他の品にあり」
プロダクト・ミックス説。

顧客価値増大の五つの考え方と、
利益を上げる五つの法。

この考え方の組み合わせが、
イノベーションを実現させる。

<結城義晴>  

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商人舎からのセミナーのお知らせ

3月9日(火)開催の商人舎発足2周年記念セミナー
「成城石井・大久保恒夫社長と結城義晴の二人のビッグショー」では
成城石井の“商品開発”“経営効率と生産性”“人づくり”を
大久保社長にじっくりと語っていただきます。
そして二人が『2010年知識商人の経営の流儀』を、
半日にわたり詳細に、面白く、深く語り合います。

ぜひ、ふるってご参加ください。    詳細はコチラ

2010年02月15日(月曜日)

ひと雨ごとに暖かくなる今週の「五輪」と「オリンピック」の違いから学ぶ

Everybody! Good Monday![vol⑦]

2010年2月第3週。
今週まで寒さが続く。
雨が降ったり、
霙になったり、
雪が舞ったり。
しかし、もう一息。

曇り空の下、
ひと雨ごとに寒さが薄れ、
徐々に春へと近づく。

そして来週、2月最終週は、
春めいて来る。
ずいぶん暖かくなる。
しかし2月最終週には、
花粉が飛び始める。

その次の週はもう3月。
すっかり春らしくなる。

つまり今週は、
最後の寒さの7日間。
気を引き締めて、
「質(たち)の良い売上げ・質(しつ)の良い仕事」
商人舎今月の標語。

私は、昨夜、完全徹夜。
仕事山積。
何事すべてが一点に重なってくる。
しかしそうしておいて、
集中力を高めて、一挙解決するのが、
私の流儀。

流儀と言えば、
「2010知識商人の経営の流儀」
商人舎二周年記念二人のビッグセミナー。
㈱成城石井・大久保恒夫社長と私のデスマッチ。
3月9日(火曜日)
場所は東京・お台場、タイム24。

知識商人大集合の記念セミナー。
是非是非、お集まりください。

お申し込みは、こちらから。

もうひとつのお知らせ。
商人舎アメリカ視察研修会。
2010年の第二弾「Basic編」
5月23日から28日。

ラスベガスに居座って、
「虫の目・鳥の目・魚の目」で、
アメリカ商業の全体像を解説し、視察する。

「Basic」と銘打つからには、
原理原則・基礎編・入門編・初級編。
それでいて高度で複雑な米国流通業を、
わかりやすくて、丁寧に解説し、体験してもらう。

難しいことを易しく。
易しいことを面白く、
面白いことをより深く。

私のモットー、
商人舎の信条。

その上、価格は298,000円。

私がずっとずっとやりたかった研修会。
老若男女、参加しやすい研修会。

現場第一線の若手社員から、
中堅社員、幹部候補生、
小売業以外のメーカー、卸売業の皆さん、
それ以外のサービス業の皆さん。

原理原則・基礎編だけに、
幅広いキャリアの人々に対応している。

いろんな人が集まるけれど、
たったひとつ共有してもらえば、それでうまくいく。
それは「知識商人」の志を持つこと。
是非是非、ご参加ください。

これもお申し込みは、こちらから。

さて、カナダ・バンクーバーでの、
冬季オリンピック。
私、「五輪」という字面や語感、
好きではない。

はっきり言って、嫌いだ。

なぜ、この言葉がよく使われるのか。

短いから。
便利だから。

しかし、「便利さ」はややもすると、間違いを起こす。

コーネル・ジャパンの講義の後、
首席講師の荒井伸也先生と話し合った。
元サミット㈱社長・会長にして、
オール日本スーパーマーケット協会会長。
そして作家・安土敏。

スーパーマーケットが、
なぜ誤解されているのか。

もちろんここでいうスーパーマーケットとは、
日本の商業統計で位置づけられている「食料品スーパー」のこと。

「スーパー」と短く便利に呼ばれたことに、
その一因があるのではないかという結論に落ち着いた。

1把ひとからげに「スーパー」と呼ばれたから、
「大手スーパー」「中堅スーパー」
「中小スーパー」と序列されてしまった。

大手スーパーは、総合品揃えの「総合スーパー」
その意味では、商業統計そのものも、
「スーパー」と略したことによって、
間違いを起こした。

最初にスーパーマーケットと呼ばれ始めた時、
頭を採って略された。
「スーパー」と。

一般の人はそれでもいい。
しかし専門家や学者、役人まで、
便利だから「スーパー、スーパー」と略した。
「スーッと出てパーッと消える」などと揶揄された。

私は何よりも「スーパーマーケット」を、
略すのが好きではない。
「スーパー」とか「SM」と呼ぶのが嫌いだ。

「スーパー」には意味があって、
それが独り歩きしてしまうからだ。

ここから先は荒井先生からの受け売り。

「スーパー」は、「超級」「特級」の意味。
「マーケット」は「市場(いちば)」

市場は、主に日常生活に必要な食品を扱う。

だから「スーパーマーケット」は、
近代的な特別のビジネスモデルの「市場」として、
この世に誕生した。

それを「スーパー」と略してしまったがために、
「超級」だけが独り歩きした。
そしてそれが当時、超級だった「セルフサービス」方式と結びついて、
規模の大きなセルフサービス店「総合スーパー」
中規模のセルフサービス企業「中堅スーパー」
零細小規模のセルフサービス店「中小スーパー」

こう呼ばれて、なおかつ位置づけられてしまった。

総合品揃えの機能を持つビジネスモデルと、
食生活を支える内食材料提供業のビジネスモデルが、
企業と店舗の規模の大小にすり替えられてしまった。

欧米人は「マーケット」と言えば、
「食品市場」と理解する。
生まれた時から、「あれがマーケットだよ」と、
教えられているからだ。

ウォルマート・スーパーセンターに行ってみると、
よくわかる。

7000坪の広大な店舗。
エントランスが二つ。
例えば左側の入り口の上には「ホーム&ファーマシー」
右側には「マーケット」と書いてある。

左が「家庭で使うものと薬屋さん」
右が「食品の市場」
「マーケット」だけで、顧客は食品売り場と分かる。

そして両方合わせて「スーパーセンター」と呼ぶ。

しかし「スーパーセンター」の名称はとてもいい。
「超級のセンター」

ただし、ここでも頭だけ切り取ってこのフォーマットを略すと、
「スーパー」となってしまう。
「SuC.」と言ったりするが、
これも私はあまり好きではない。

ウォルマートのあの店は、
面倒でも「スーパーセンター」でなければならない。

そんな間違いをたくさん起こしてきた。

「スーパーマーケット」は「超級の食品市場」。
そういい、そう理解すると、
業態として良いものになってくるから不思議。

コンビニエンスストアも、
最初のころは「深夜スーパー」と呼ばれた。

新聞の社会面では必ず、
「深夜スーパーに強盗」などと、
見出しがつけられた。

これでは、
「深夜に、スーパーに強盗が入った」のか、
「コンビニに、強盗が入った」のか、
まったくわからない。

そういえば、セブン-イレブンは最近、
「セブン」と略される。
はじめは7時から11時の開店時間だから、
「セブン-イレブン」と名付けられて、
それが店の特徴を端的に表わしていて、とてもよかったが、
「セブン」では、何が何だか分からない。

ファミリーマートの「ファミマ」は、
妙な意味がないから、むしろいい。

マクドナルドは、
関東で「マック」。
関西で「マクド」。
どちらも愛嬌があっていいけれど、
これは一般人の愛称だから許される。

意味のある二つの言葉でできた用語を、
頭の部分だけに略されると、ほんとうに困る。

長々と書いてしまったが、
「五輪」と「オリンピック」の語感に関して感じたこと。

商人舎のアメリカ視察研修会「Basic」編。
こういったことの誤解や偏見、
日米の違い、思い込みや矛盾を、
私の知る限りの知識と知恵と情報を考察したうえで、
お届する。

難しいことを易しく。
易しいことを面白く、
面白いことをより深く。

そして「虫の目・鳥の目・魚の目」

これらは実は、
毎日の仕事にこそ、
役に立つ。

会議での発言、
顧客へのインフォーメーション。
POPの言葉。

それが「質の良い仕事」につながり、
「質の良い売上げ」という結果になる。

では、「ひと雨ごとに暖かく」なる今週も。

Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2010年02月14日(日曜日)

ジジと毛糸玉[2010日曜版⑦]

きょうはバレンタインデーです。
チョコレートをもらったり、
あげたりする日らしい。

ボクには、カンケイないけれど。
1
でも、ボクがねているときに、
ボクのすきなものが、
ころがされてきた。

毛糸だま。
2

ボク、はじめは、
気がつきませんでした。
3
だから、ねていた。

ボクが毛糸だまをすきなのは、
毛糸であそぶことができるからです。

いつも、毛糸が目のまえにくる。
ボクは、これがだいすき。
a
じっとみる。

右手を、だしてみる。
b

そして、ぺロリ。
c
毛糸は、あじはしないけれど、
とにかくすきなんです。

だから、ハナを、
ぺロリ。
d
ん~、マンゾク。

だからユウキヨシハルのおとうさん、
バレンタインデーの日に、
ボクに毛糸だまをくれた。
4
でも、ボクは、
ねています。

べつに、どうしても、
ねむいわけではないけれど、
ねています。

でも、ちょっと。
5
毛糸だまのミリョクには、
勝てそうもありません。

バレンタインデーのチョコレートって、
そんなものなのかもしれません。

<『ジジの気分』(未刊)より>  

2010年02月13日(土曜日)

プラネット玉生弘昌社長との「知識商人」対談は至福の時間

カナダ・バンクーバーで、
冬のオリンピックが始まった。  

不況や天候異変の中で、
人間が、自分の英知と肉体の限界に挑戦する。

この17日間、世界も日本も、
のびやかな気分になる。

とてもいいことだ。

小売商業・サービス業は、
目いっぱい、オリンピック選手を応援し、
さらに応援する顧客を支援し、
それを仕事として、励みたいものだ。

何でもかんでもきっかけにして、
自分を元気づけ、お客を勇気づける。

それが私たちの仕事。
ある意味で軽いし、
節操もない。

しかし、誰かにそれが、
今、求められている。
だとすればそれを担うのは、
商業・サービス業だ。

一心太助のように、
「あいよっ」と、
元気に引き受けて、
人を喜ばせる仕事に打ち込みたい。

バンクーバーといえば、
カレン・マグヌセンという銀メダリストがいた。  
フィギアスケーター。
確か私と同い年で、応援していた。

1972年の札幌オリンピックで、
金メダルはオーストリアのシューバに奪われ、
人気は銅メダルの米国ジャネット・リンに遅れをとったが、
それに屈することなく、
さわやかで懸命な演技を見せた。

人気も実は、ジャネット・リンと二分していた。

もう57歳のおばさんになってしまっているだろうが、
懐かしいものがある。

今日の日経新聞経済コラム「大機小機」。  
日本の若者が、自動車離れを起こしていることが書かれている。

「厳しい経済情勢の下で、
若者はリスクを取らない堅実な志向をより強めている」

「クルマを買わない日本の若者は、
デフレの時代を生きていく知恵を身につけている」  

「インフレ時代の生活から抜け出せない団塊世代よりも、
よほど賢いといえるかもしれない」

コラムニストの枯山水氏は、
その団塊の世代に違いないが、
「若者の知恵」を評価する姿勢には、
同感したい。

昨年亡くなったロバート・鈴木氏が、
ツアーのバスの中で紹介した「Today」紙のエピソード。

消費大国のアメリカ人も「もったいない」のマインドを持ち始めた。
カッコイイことを「in」といい、
カッコ悪いことを「out」というが、
inとoutに逆転現象が起こり始めた。  

新車をもつことはout、
公共交通機関を利用することがin。

ペットボトルで飲むのがout、
水道水を飲むのがin。

ラスベガスでギャンブルするのはoutで、
家でブラックジャックを楽しむのがin。

環境も安全も、健康も命の大切さも、
21世紀的なinであって、
20世紀の消費はout。

私たちの難しさは、
その中から新しい必需の消費を導きだして、
購買を促し、経済を活性化させることにある。

安かろう悪かろうで、
無理やり既存の消費を先取りし、
目先の成績を上げることではない。

「質(たち)の良い売上げ」をつくることだ。

そんなときに、顧客のマインドを知ることは、
極めて大事になる。
それがマーケティングのスタートとなる。

さて昨日は、午後から、東京・芝浦へ。
㈱プラネット本社。

玉生弘昌社長と「知識商人登場」の対談。  
CDオーディオセミナーの第19回目。
玉生さんとの会話は、私にとって、
至福の時間。

プラネットは、1985年にVAN運営会社として出発し、
現在は、メーカーと卸売業の間を結ぶ情報インフラの役割を果たす。
さらにメーカー・卸と小売業、小売業と顧客を結ぶ機能を獲得しつつある。
称して「総合インフォメーション・オーガナイザー」。

メーカーと・卸、および小売業間はEDI。
小売業と顧客はPOS、それもFSPが可能なID‐POS。
この両者を連携させて、
サプライチェーン全体で、
顧客との間に情報を還流させる仕組みつくることをECR。  

私はそう理解している。

用語の意味は、プラネットホームページの「用語集」から。
まずEDI(イーディーアイ、Electronic Data Interchange)は、
企業間電子データ交換のこと。
受発注や決済などの商取引情報を、標準的書式(標準フォーマット)に統一し、
企業間でコンピュータネットワークを介して電子的に交換する仕組み。

POSは(ポス、Point Of Sales system)は、
店舗で商品を販売するごとに商品の販売情報を記録し、
集計結果を在庫管理やマーケティング材料として用いるシステムのこと。
「販売時点管理」などとも訳される。

ECR(イーシーアール、Effective Consumer Response)は、
効率的な消費者対応のこと。
消費者ニーズへの対応を目的として、メーカー、卸業者、小売業者が連携し、
流通システム全体を効率化しようとする取り組み。
消費者を基点とした製品補充、販売促進、
品揃え、新製品導入の効率化が取り組みの柱である。

プラネットは、ECRを目指して、
日用雑貨・化粧品・ペット用品・OTCの分野で、
圧倒的な業界インフラとなるEDIを構築した会社で、
POSでのフリークエントショッパーズプログラムをも視野に入れる。  

玉生さんは、そんなコンセプトやこれまでの経験を、
すらすらと、流れるように語る。

プラネットは、昨年7月末の決算で、
年商24億9000万円、経常利益4億5000万円。
経常利益率はなんと18%。  
総資産が24億5300万円だから、
総資本経常利益率ROAが18%。
ジャスダックに上場する超優良企業。

会社は、大きくなくてもよい。
産業界や社会にとって、唯一で、
しかもなくてはならない役割を果たすのがよい。

そのモデルが、プラネットという会社なのだ。

今回のCDオーディオセミナーも、絶品。
是非のお試しをお勧めしたい。

今回、私は、完全に聞き手にまわった。
ときどき合いの手を入れて、
専門的なことに対して質問したり、
私なりの解釈で用語の解説などするだけ。
だからIT分野の話だったが、本当に分かりやすくなったと思う。

商人ねっとのスタッフたちも、
目からウロコで、うなづいてばかり。

とくにバイヤーの人たち、商品に興味のある人たちには、
プラネットの「バイヤーズネット」の活用を勧めたい。
IDとパスワードが必要だが。

対談の最後は、情報システムの「レガシー問題」。
それから「インフレ・ターゲット論」にまで至った。

コンピュータシステムが「残滓的遺産」となっている企業がある。
そんな会社にはCIOの存在が必要だというのが、
玉生さんの持論。
OFCとはチーフ・インフォメーション・オフィサーのこと。
情報システム担当経営者。
経営者が情報システムを勉強してCIOになるか、
情報担当を経営陣に抜擢して経営を勉強させてCIOにするか、
それともスカウトしてくるか。
この三つしかない。

しかしCIOはどの会社にも必要。

インフレ・ターゲット論は、
ポール・クルーグマンが展開する大胆で激辛のデフレスパイラル対策。
玉生さんはそれに独自の見解を加えて、
鳩山政権に提案している。

最後に、玉生さんの座右の銘。
「堅忍不抜」  

ひょうひょうとした「堅忍不抜」を、私は堪能した。

対談が終わって、プラネットのオフィスから、
東京湾を望む。

3月初めにこの絶景のオフィスから移転する。
残念。

商人舎と商人ねっとの企画に、
プラネットが乗ってくれた。

しり取りみたいな対談だった。

多謝。

<結城義晴>  

追伸。
今週も商人舎ホームページと毎日更新宣言ブログを訪れてくださって、
心から感謝。

本ホームページの五十嵐ゆう子のWeb小説「Thank you~命をありがとう
ファン激増中。
ご愛読を。

よい週末をお過ごしください。

2010年02月12日(金曜日)

日本の労働力人口が6割を切った中での「百貨店120店説」

飛び石連休の間の金曜日。
私、このシチュエーションが大好きです。

1998年の祝日法改正で、
ハッピーマンデー制度が導入され、
土曜・日曜との3連続祝日が増えたけれど、
祭日が木曜日で、金曜日が仕事、
そして土曜日・日曜日と休暇になる。
いい感じです。

といっても、今の私には、祭日も土曜もないけれど。
日曜日は比較的に、ゆっくりすることができますが、
それでも必ず、原稿書きやレジュメづくり、レポート読み、
もちろんブログアップの仕事があります。

それでも、飛び石連休の間の出勤・登校の日は、
なんとなく、心が躍る。

お客様のそんな気分、読み取って、
仕事に勤しみたいものです。

さて、今朝の日経新聞。
一面に「労働力人口6割切る」の見出し。

労働力人口とは、
「15歳以上の人口のうち、
実際に就業している『就業者』数と、
働く意欲があって仕事を探している『完全失業者』数の総数」

それが昨2009年、59.9%となった。
比較可能な統計がある1953年以降、
初めて6割を下回った。
しかも2年連続。

団塊の世代の現役引退と、
就職活動をしない世代拡大の、
相乗効果によって、
国際的に見ても低レベルの労働力人口となった。

国際労働機関(ILO)の発表では、
同じ2009年段階で、
中国が73.7%、
アメリカ65.0%。
EUが59.1%。

EUも低いけれど、しかし、徐々にではあるが増えている。
労働力人口が減っているのは、日本だけだといいます。

2009年に日本は、前年比0.5%マイナス。
中国は1.0%プラス、
アメリカは0.4%プラス、
EUも0.1%ですがプラス。

政府は、59%台で止まるとの見解、
しかし国際労働機関の予測では、
2020年の日本の労働力人口56.3%まで減る。

商業・サービス業の雇用力が、
この数値の低下を押し止めねばならない。

それができるのも商業・サービス業なのです。

「商業の現代化」には、
雇用力が大事な要素となります。

朝日新聞の「声」の欄。
スウェーデン人のトミー・ジャクソンさんの投稿。
日本の消費税や所得税の低さに、
来日したばかりの頃はうらやましかったそうです。
しかし、税金を払っていても、
「本当に困ったときに何もしてもらえない」。

「奇妙なことではないだろうか。
教育のために巨額のお金を払うとは」

「日本の人口が減ってきているのは、
この問題が大きな理由だろう」
ジャクソンさんは、こう指摘しています。

それでもジャクソンさんは、日本に来て、
仕事をしている。
もちろん彼にも何らかの事情はあるのでしょうが、
日本は彼にとって、就労するにふさわしい国となります。
ジャクソンさん自身は、日本の就労人口の勘定には入らないけれど、
こういった労働力は、これからの日本にとって必要。

さて、10日水曜日の日経新聞一面記事。
「百貨店どう生き残る」
このなかでJ・フロントリテイリングの奥田務社長のコメント。
同社は、大丸と松坂屋を傘下に置くホールディングカンパニー。
「百貨店の数は今後、
人口100万人に1店ぐらいまで絞り込まれる」

記事は続ける。
「奥田社長の指摘通りだと百貨店は120店に減る計算だ」

一昨日、食品流通研究会会長の井口征昭さんは、この記事を指して、
「結城理論通りですね」と言ってくださった。

私が書き続け、指摘し続けている見解と、
奥田社長のコメントが一致してきた。

しかし私は、言い続けています。
「衰退業態は立地が限定される」

百貨店の社会的存在価値が極端に低くなるわけではない。
120店の百貨店は依然、顧客にとって欠かせない存在であるし、
繁盛するに違いない。

今、必要なことは、
第一に、その地区で一番巨大な面積。
第二に、その地区で最も便利な立地。
第三に、その地区で最も先鋭的なマーチャンダイジング。

これらの相関係数を導き出してみる。
その最大値を示す、その地区の1店に顧客が集中し、
他の店には、空いていることが好きな顧客しか足を運ばなくなる。

新宿、池袋、日本橋、銀座、梅田エトセトラ。
商圏人口が500万人、1000万人のエリアでは、
1位、2位の店に客が集中するが、
他は閑古鳥が鳴くに違いない。
とりわけ、売り場面積が雌雄を決するだろう。
マーチャンダイジングやマーケティングは、
コモディティ化の傾向を免れないから。

もちろん、百貨店ほど、
ロイヤルカスタマーをつかんでいる業態はないから、
それぞれのロイヤルカスタマーは変わらず、
購買してくれるだろうけれど。

百貨店も、総合スーパーも、
日本の消費人口や労働力人口の推移に、
敏感に反応してしまうところに、
田村正紀先生が指摘する「業態の盛衰」がある。

<結城義晴>

2010年02月11日(木曜日)

司馬遼太郎の「リアリズム」と第44回SMトレードショーの総括

2010年の建国記念の日。  

毎年のことだが、なぜかこの日には、
司馬遼太郎の『この国のかたち』(文藝春秋)に手が伸びる。
その「四」の「日本人の二十世紀」。

明治維新と『坂の上の雲』についてのくだり。
「開国という、ときに卑屈なほどのリアリズムの開幕でありました」  
「十九世紀後半の明治人は、どの時代の日本人よりも現実的でした」

ここでいう「リアリズム」と「現実的」

私は、いまこそ、それが大切だと、
今日こそ、思う。

ロシアとの日本海海戦に戦勝したときから、
日本人のリアリズムが崩れていく。

「戦勝の報告によって国民の頭がおかしくなっていきました」
つまりリアリズムの喪失。

「自己を正確に認識するというリアリズムは、
ほとんどの場合、自分が手負いになる」  

だから「大変な勇気が要ります」

司馬遼太郎さんの指摘は、まるで、今を予想したように映る。
1992年から93年の、バブル崩壊後の述懐。

日経新聞一面の真ん中にドンとある囲み記事。
「国の借金871兆円」の見出し。  

国債や借入金、政府短期証券を合わせた債務残高の合計額。
2009年12月末時点でそれが871兆5104億円となり、これは過去最大。
最大額の更新は3期連続。

「今年1月時点の推計人口(概算値)で計算すると、
1人当たりの借金は約683万円」  

2010年度末には約973兆円にまで膨らむ。
財務省自身の推定。

主因は、麻生政権の2009年度第1次補正予算での国債の増発。

さて、いかにリアリズムを取り戻すか。

読売新聞の「編集手帳」では、
鳩山由紀夫総理の誕生日のエピソードを披露している。

「鳩山一郎元首相は、その日の日記に書いている。
〈今朝、安子、男児を生む。
威一郎は平和になつた其日(そのひ)に生れ、
其子(そのこ)は紀元節に生る〉」。
ここで書かれた「其子」が由紀夫総理。
1947年(昭和22年)2月11日生まれ。

由紀夫の名の「紀」は紀元節の紀だろう。

「きょうは政権を担って初めて迎える鳩山首相、63歳の誕生日である」
編集手帳は、この新聞の主張で、朝日と正反対の立場を取るが、
この後、強烈に鳩山政権を皮肉って終わる。

しかし、鳩山首相や民主党に限らない。
私たち日本人全員が、
日露戦争日本海海戦勝利の瞬間に失った「リアリズム」を、
考える必要がある。

今日こそは。

さて、昨日終了の第44回スーパーマーケット・トレードショー。  
日本の「国の借金」とは正反対だが、
過去最高を記録した。
エキジビター数もビジター数も。
そしてその盛り上がりや内容も。

会場東1ホールのセミナー会場でトリを飾ったのは、
「変わる流通、変わる店長」のパネルディスカッション。

第2回ベスト店長大賞受賞者の二人がパネリスト。
ハローデイ綾羅木店の戎谷秀彦店長、
サンシャインチェーン・カルディア店の野町一志店長。
コーディネーターは㈱イズミヤ総研の金原由香取締役主席研究員。

二人の店長には、この賞を一生背負ってもらいたい。
小売業の店長の地位を上げ続け、
若者がなりたい職業にしてもらいたい。
アメリカのウェグマンズやナゲット・マーケット、
ホールフーズやスチュー・レオナードのように。

三日目となると、会場の熱気も落ち着いてくる。

㈱イシダ専務の吉岡典生さん。

よねや商事㈱社長の佐々木隆一さん。

佐々木さんは明るい経営者。
今の時代にぴたり。
その上で勉強家。

㈱イズミ食品部デイリー課長の矢野靖ニさんとバッタリ。

お分かりでしょう。
あの大創産業㈱社長の矢野博丈さんのご子息。
年を重ねるごとに、瓜二つの度合いが増してくる。
矢野さんは、伊藤雅俊さんや川野幸夫さん、横山清さんと並んで、
わが商人舎発足の会の発起人。

デイリーフーズ課バイヤーの野田慎吾さん、
デイリーフーズ課中四国地区バイヤーの友岡誠さんと、
全員で写真。

イズミも、実によく勉強する会社。
山西泰明社長の「リアリズム」に根ざした勉強の姿勢が貫かれている。

最後の最後は、バリラジャパン㈱社長の豊田安男さん。

バリラジャパンは、この展示会の中で、
実にユニークなマーケティングを展開している。

ほとんどすべてのブースが、
このフェアへのすべての来場者を対象にしている。

だからオープンエアーのブースづくり。

道行く人を引き入れるパリの「オープンカフェ」と同じ。

これはいわばコモディティの考え方。

それに対してバリラジャパンは、
クローズ方式。

はじめからすべての来場者を相手にはしていない。
ロイヤルカスタマー主義。

ノンコモディティの商品の売り方は、
ロイヤルカスタマー主義でなければならない。  

これが広大なフェア会場での「ブルーオーシャン戦略」となっている。
あのW・チャン・キムとレネ・モボリュニュの「ブルーオーシャン」。
私はいつも豊田さんの戦略性に感心している。

しかしだからといって、すべてのブースがこの方式ではいけない。

日本の消費市場でコモディティ化が進んだからといって、
すべてがノンコモディティを志向したら、
何よりも顧客が困る。

ただしウォルマートは、
最大マスマーケットのコモディティ分野で、
ロイヤルカスタマーを獲得することによって、
「ブルーオーシャン」を実現させてしまった。  

そんなことを考えつつ、
イタリアンレストランLA BETTOLAの落合務シェフの味を楽しんだ。

日本製粉とバリラジャパンが落合さんと提携して、
様々なプロモーションを展開している。

これはまさしく「ノンコモディティ戦略」。

食品流通研究会会長の井口征昭さんと帰路につく。 

井口さんは、食セレクションブースを担当し、
セミナーでも好評の講演を展開した。

さて、祭りの後の寂しさを感じつつ、
2010のスーパーマーケット・トレードショーの総括。

第一に、出展者・来場者、その内容、すべて過去最高だった。  
特に出展者のブースの充実が際立っていた。

つまり、生産者・製造業・卸売業の充実。
これは日本商業全体の財産。

それを自分たちの顧客に、
いかに「リアリズム」のもとに伝えていくか。
小売業やスーパーマーケットの役割。

我々の近い将来は、決して暗くはない。
「既に起こった未来」はむしろ明るさを示している。

第二は、今回も全国の中小企業の出展が多かったこと。  
地方行政や地方金融機関の活躍が、それを実現させた。

アメリカのFMIが展示会の隔年開催へと後退した理由は、
「コモディティ展示会」になってしまったことにある。

FMIでは、入り口をコカコーラとネスレのブースがデンと占める。
それはそれでコカコーラやネスレを批判はできない。
むしろアメリカ社会が全体に、
コモディティ化現象の真っ只中にあることを証明してしまった。
それではわざわざFMIの展示会に行く必要がない。

ヨーロッパの食品フェアにはそれがない。
パリのシアルもケルンのアヌーガも、
ヨーロッパ中の村々、町々の産品が参集される。

つまりノンコモディティ・グッズの、1年に一回の大集合の場なのだ。
だから楽しいし面白いし、新しいし、革新的である。
そしてそこには食品消費産業の「リアリズム」がある。

日本の2010スーパーマーケット・トレードショーは、
日本産業界に先駆けて、それを証明した。

ここに大きな意義があった。

「私たちの明日は明るい」  
明治人の「リアリズム」に学べば、
日本人本来の「リアリズム」に目覚めれば。

建国記念の日に、これだけは言い切りたい。

<結城義晴>  

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