結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年11月25日(水曜日)

谷川俊太郎の「詩情」を商売に持ち込め!

最初に、お知らせ。
[商人舎ホームページ探索紹介シリーズ第1回]  
この商人舎ホームページは、
商業・サービス業のための総合サイトを目指しています。
従って、[結城義晴の毎日更新宣言]は、
一応の看板ではありますが、
さまざまなブログの集積を図っています。

いわば、ブログのショッピングセンターのようなもの。

そこに、先週末から、新しいブログが登場しました。
このページをずっとスクロールして、
一番最後にボタンが並んでいます。
そこから選んでください。

新しいブログのタイトルは、
「中山政男が叱る!間違いだらけのPOP!!」 

日本商業のPOPに関する指導では最高権威の中山政男先生。
その渾身の「POP講座」
中山先生の持論は、
「POPは物言わぬセールスマン」  
中山先生は語ります。
「近頃、POPを見ていて胸やけのような症状が続く」  
「ふと思いだしたのは、以前、月刊『食品商業』(商業界刊)で、
結城社長が書いた「POPが危ない!チラシがやばい!」と
題した企画ページの内容だった」

中山先生のブログ。
役に立つし、考えさせられる。
是非のご愛読を。

もうひとつ、お勧めブログ。
82歳の飯能の仙人・杉山昭次郎先生のブログ。
杉山昭次郎の「流通仙人日記」
(正式には「ときどきエッセイ」というが私は勝手にこう言っている)

SMの競争力強化の視点第30回「トライ&エラー」  

「目標も手段も特定化することのできない条件のもとで、
手探りで問題解決を図ろうとするアプローチの方法を、
トライ・アンド・エラー(試行錯誤)という」  

「スーパーマーケットはもともと、
トライ・アンド・エラーを続ける社会機関なのである」

さて、日本チェーンストア協会の10月の発表。
朝日新聞も日経新聞も、
「スーパー売上高」と見出しで表現するから、
日本中の「スーパー」と勘違いされてしまうが、
これは「主に総合スーパーの売上高」と考えた方がいい。

その「総合スーパー」を中心とした10月の動向は、
既存店前年同月比マイナス5.2%。
2009年の売上高推測は、13年連続減少。
これは、極度の衣料品不振の「総合スーパー」のこと。

商業統計で分類される「食料品スーパー」ではないし、
もちろん「衣料スーパー」「住関連スーパー」ではない。

2010年初めから食品スーパーマーケットの統計が、
集計され発表されることになっている。

総合スーパーの売上げが減じている一方、
株価は、日経平均5日連続の「続落」で9401円。
7月17日以来4か月ぶりの安値を付けた。

米国市場ではダウ平均が130ドル超の値上がりで、
年初来、最高値をつけた。
「日本の一人負け」の様相。

さらにアメリカの7月・8月・9月の第3四半期GDPは、
2.8%のプラスだった。

「厳しさ」を覚悟しておかねばならない。

今年6月の商人舎標語を覚えていらっしゃるだろうか。
「最悪を覚悟して、最善を尽くす」  

さて、今日の日経MJの面白いコラム。
読まれた方も多いと思う。
オラクルひと・しくみ研究所の小阪裕司さんの「招客招福の法則」
小阪さんが、食品スーパーマーケットの店主から聞いた話。
その店では、賞味期限が近づいた商品を1カ所に集めて、
見切りコーナーを設けて、見切り販売をしていた。
そのコーナーのPOP広告に書いた文句。
「あと少しの命です。お助け下さい」  

このPOPをつけた後、顧客の行動に変化が表れた。
「笑顔でちゅうちょなく買ってくれるようになった」

見切り品を1カ所に集めてコーナーをつくることには、
賛成しかねるが、このPOPの文句は、
「顧客の気恥ずかしさ無くす言葉」と、
このコラムのタイトルになって、
評価され紹介されている。

一方、今日の朝日新聞のオピニオンのページには、
谷川俊太郎さんが出ている。
私の尊敬する詩人。
「詩はどこへ行ったのか」  

「詩は、ミニマルな、微小なエネルギーで、
個人に影響を与えていくものです」
「権力や財力のようにマスを相手にするものじゃない」

商売にも、「詩」の要素がある。
特に現場には。

見切りのPOPが「詩」であるとは言わないが、
「詩」のようなものであると思う。

一粒の砂に 世界を見
一輪の花に 天国を見る  

谷川さんは、ウィリアム・ブレイクを出発点にしている。

「人間を宇宙的存在と社会的存在が、
重なっていると考えるとわかりやすい」

「生まれるとき、人は自然の一部。
宇宙的存在として生まれてきます。
成長するにつれ、言葉を獲得し、教育を受け、
社会的存在として生きていかざるをえない」  

「散文は、その社会内存在の中で機能するのに対して、
詩は、宇宙的存在としてのあり方に触れようとする。
言葉に被われる以前の存在そのものをとらえようとする」

「秩序を守ろうと働く散文と違い、
詩はことばを使っているのに、
ことばを超えた混沌にかかわる」

「あと少しの命です」が「詩」かどうかは、
意見の分かれるところだが、
現場にも谷川さんの語る「ポエジー」が必要なことは確かだ。

ポエジーとは、「詩情」のこと。

それは、さまざまなところにある。
絵画にも音楽にも舞踊にも。
そして「コミックスの中だったり、テレビドラマ、コスプレだったり」

だからスーパーマーケットのPOPの中にも、
詩情があってよい。
いや、ポエジーこそ、
そこに求められているのだ。

店には散文と詩とが同居していなければならない。

詩情、ポエジーのあるPOP。
詩情、ポエジーのある売り場。
詩情とポエジーのある店。

そんなところでは、
中山先生の「胸やけのような症状」は、
起こらないに違いない。

<結城義晴>  

2009年11月24日(火曜日)

「ダーウィン進化論150周年」と進化の帰結の人口減少

Everybody! Good Tuesday!  

勤労感謝の日が終わって、
いよいよ年末モードに邁進です。

昨日、一昨日と、
メールやこのブログへの投稿にご返事する間もなく、
忙しく動き回っており、
失礼しました。

今日、明日は、
非常勤取締役を務めている会社の役員会や、
顧問をしている会社の連続会議で、
フィールドワークとなります。
私にとって、とても重要な月末の恒例の仕事です。
会議も、現在の私にとってはフィールドワーク。  
現場を知ること、現場を体験することに直結しているからです。
ありがたいことだと感謝しています。

さて、昨日は「進化論150周年」の日でした。
朝日新聞が、わざわざ社説を使って、
「ヒトの未来を見つめなおす」と、
問題提起しました。

チャールズ・ダーウィンの『種の起源』発刊が、
150年前の11月23日だったそうです。  

一番強いものが生き残ったわけではないし、
一番賢いものが生き残ったわけでもない。
変化に対応したものだけが、生き残った。

経営者やコンサルタントが大好きなこの考え方を、
ダーウィンは残しました。

個体としての「強さ」「賢さ」よりも、
存在の「柔らかさ」が大切なのだと。  

「ダーウィンは、進化の原動力として、
生存や繁殖に有利な変異が広がっていく『自然選択』を提唱」
朝日新聞には、こうあります。

さらに朝日は、
故木村資生博士の「分子進化の中立論」を紹介します。
「残るかどうかは偶然」  
これが木村先生の説で、
今では、「自然選択説」と「中立論」が、
進化論を支える二本柱となりました。

一方、日経新聞では、
㈱リナックスカフェ社長の平川克美さんが、
日本の人口減少について語っています。
『インタビュー領空侵犯』
「人口減少は経済成長を妨げる要因ではなく、
経済成長の結果であり、
これまでの社会の進化の帰結なのです」

「進化の帰結の人口減少」  

だから「適正規模の人口に向けて調整が進む過程」と、
平川さんは見ます。

この考え方にも、私は共感します。

「企業であれば、
成長を前提とした事業計画委は見直すべきです」

「今後は成長率といった指標にはあまり意味がなくなり、
一人ひとりの生活の質がいかに充実できるかが、
大きな意味をもつようになるはずです」

平川さんは、企業経営にも問題提起する。

この面では、私は一部賛成一部反対。

事業計画に成長の指標を全く入れないのは、
どうかと思う。
例えば株式上場企業や上場を目指す企業では、
成長は企業価値を世間に認めてもらうのに不可欠の要素。

一方、株式上場をしていない中小企業では、
平川さんの言うように、従業員の「生活の質」を、
充実させることで、逆に良い人材を獲得して、
結果として、ゴーイングコンサーンを実現させることができる。

もちろん経営を維持するには、
企業体としての営業利益は、確保されねばならない。

粗利益は、現場をより良くすることの指標であって、
営業利益は、会社をより良くすることの指標。
当然、営業利益が優先される。

平川さんの「人口減少は適正規模へのプロセス論」と、
それに応じた「事業成長の指標を変える論」。

そして「進化論」の中の「自然選択説」と「中立論」。

私は最近、企業や経済と生命のメカニズムを、
アナロジーでとらえてみることは、
極めて重要だと考え始めている。

その意味で、昨日は、とても重要な「進化論150周年」だった。

私たちは、
「毎日進化」を志したいし、
「日々進化」を目指したい。  

それが自然から選択されることであり、
偶然に恵まれることにつながるからだ。

年末商戦へ向けての11月残りの1週間、
「日々進化」を忘れずに、仕事に邁進したい。

Everybody! Good Tuesday!  

< 結城義晴>  

2009年11月23日(月曜日)

勤労感謝の日に「働くこと」と「正規軍とゲリラ」を蘇らせる

Everybody! Good Monday!  

今日は、勤労感謝の日。
働く人と、その働きに、
感謝する日。

「働くこと」  

「働くこと」への深い理解が求められている。

働くことの中身。

働くことの実態。
働くことの動機。
働くことの目的。

そして働くことの喜び。
どんな環境の中で働くか。
どんな時間帯に働くか。
どんな制度の中で働くか。

どんな会社で働くか。
そこからどんな働き甲斐が生まれてくるのか。
私たちは誰もが、このことに対して、
自分なりの回答を用意しておかねばならない。

それなくしては、
企業活動も、
組織運営も、
日常生活もまっとうできない。

経営者は従業員に、
上司は部下に、
会社はパートタイマーに、
明快な「働くこと」の意味を示さねばならない。

そして従業員は経営者に、
部下は上司に、
パートタイマーは会社に、
同じように明快な「働くこと」の意思を伝えねばならない。

 
働くこと」を通じた意思疎通は、
「労働」への
深く、謙虚な理解からしか、
生み出されないのである。  

<『メッセージ』(結城義晴著・商業界刊)より>  

さて、3日前の注目すべきニュース。
中国共産党は、
21世紀に入って9年経過した現在も、
一党独裁、一党支配をつづけているが、
その共産党が民営企業や非政府組織に働く党員に対して、
通知を出した。
「社内に党組織を設置せよ」  
日経新聞の記事。
「党組織の建設作業が薄弱で、党活動に困難が生じている」
「健全な党組織の設立加速」

これまで中国では、
主に国有企業に党組織が設けられてきた。
共産主義社会の中に、
何と市場経済を導入するという離れ業を演じてきた中国だが、
市場経済の発展・成長は、
民営企業への管理不徹底の状況を生み出してしまった。

そこで、民営企業への党組織の設置が不可欠と判断したわけだ。

もちろん、外国資本も、この対象となる。
もちろん、日系企業も、この対象から外れることはない。

「共産主義」とは、読んで字の如く、
「財産の共有」を実現させる思想。  

「マルクス主義」は、
生産手段の私的所有を、社会的所有に転換させる社会運動であった。
同時に社会保障制度を充実させる運動のはずであった。

しかし、中国は、社会保障を充実させる前に、
労働者を国営企業から民営企業に大量に移した。
そのための大量解雇を行った。

さらに今、中国共産党は、
民営企業の労働者だけでなく、
民間企業経営者など資本家の入党まで、
加速化させようとしている。
中国に生まれた新階層を党内に取り込み、
体制基盤の強化に努める。

私は、「働くこと」への理解は現在、
どんな国家、どんな体制においても、
不可欠だと思う。

それがなければ、
どんな国家も、どんな会社も、
長続きはしないと思う。

日本の勤労感謝の日、
アメリカのサンクスギビングデー。
だからこそ、
「働くこと」の意味を、
真剣に考えてみたい。

一方、日産自動車のカルロス・ゴーン社長の発言。
同じ日の日経新聞。
「インドや中国に学ばなければならない」  

その心は、
「ゼネラル・モーターズの二の舞いを避けるため」

具体的には、
「新興国メーカーとの提携で低価格車の開発などを急ぐ」

カルロス・ゴーン社長は、
「今後、業界再編が本格化する」と語る。
自動車業界は、中国、インドをも巻き込んで、
国際的再編を視野に入れる。

そんなときにも、
「働く人」と「働くこと」への、
真摯で深い理解が、なくてはならない。

経営者は従業員に、
上司は部下に、
会社はパートタイマーに、
明快な「働くこと」の意味を示さねばならない。

そして従業員は経営者に、
部下は上司に、
パートタイマーは会社に、
同じように明快な「働くこと」の意思を伝えねばならない。  

為政者も経営者も、
正しく、働きに報いなければならない。

国民も労働者も、
正しく、働かねばならない。

20世紀の共産主義の描いた「労働」から、
21世紀の知識社会の「労働」への、
パラダイムの転換が、不可欠である。  

最後に再び、『メッセージ』から。

「正規軍とゲリラ」  

正規軍は、勝たなければすなわち負けである。
ゲリラは、負けなければ、それで勝ちになる。

ベトナム戦争におけるアメリカ軍は明らかに前者であったし、
ベトコンは確かに後者であった。
古くは共和制時代のローマ軍とカルタゴ軍の間でも、
長らくこの対立関係が続いた。

湾岸戦争ではなぜか、
ブッシュもフセインも、
正規軍とゲリラ軍に分かれつつ、
どちらも勝った気でいた。

減収減益が相次ぐ今。
そして、消費マインドが停滞しきった観のある現在。
「勝たねば負け組」には、つらい逆風が吹く。
「負けねば勝ち組」には、意外にも順風が潜んでいる。

「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」
この野村克也の言葉の、勝ちの不思議は「神風」である。
「勝った負けたとさわぐじゃないよ」
こう歌う水前寺清子は、「あとの態度」を大事にする。

これは、「負けに不思議なし」を言っている。

あなたはゲリラか、はたまた正規軍か。
逆風を選ぶか、順風を好むか。

どちらであっても、小売流通業は常に、
不思議の神風を感じる機会にめぐまれている。
ビジネスそのものが、不思議の神風を知るために為されている。
しかし、そのとき、これだけは忘れてはならない。

労働法無視のゲリラになるな。
顧客不在の正規軍になるな。  

今日は、勤労感謝の日。
働く人と、その働きに、
感謝する日。

Everybody! Good Monday!  

<結城義晴>  

2009年11月22日(日曜日)

ジジとススキ野原[日曜版]

ボクの名は、ジジです。
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ボクの目のまえには、
ネコ草がありました。
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ボクは、いつものように、
ネコ草を食べました。

ネコ草は、ボクたちにとって、
たいせつな食べもの。
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ふと、気づくと、
ユウキヨシハルのおとうさんは、
写真をとりに行きました。
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富士山と芦ノ湖。
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「秋」  

葉鶏頭の

繁みのかげで

子猫が二匹

遊んでいるよ

遊んでいるよ

   夕暮れ色の

   お部屋のすみで

   こおろぎコロコロ

   歌っているよ

   歌っているよ

風にゆれてる

ススキの原を

トンボの群れが

わたってゆくよ

わたってゆくよ

(詩・鈴木順子)  

ハコネの千石原のすすき野原。
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ススキの山。
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すすき野原。
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ススキの段々。
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すすきの波。
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ゆれる。
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ゆれる。
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ボクは、じっと、
みていました。
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日が暮れる。
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光が当たる。
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光の中のすすき。
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秋が深まってきました。

美しいものは、
もっともっと、美しくなってゆきます。
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ずいぶん寒くなってきました。
もっともっと、寒くなってゆきます。

皆さんも、秋を楽しんでください。

カゼなど、ひかないように、
気をつけてください。

ボクは、ボクなりに、
美しさや寒さを、
たのしんでいます。

<『ジジの気分』(未刊)より>  

2009年11月21日(土曜日)

デフレの中のユニクロ60周年10億円還元感謝セールと商売人の「心の目」

信頼している人から理解されないことほど、
悲しいものはない。

商人舎で展開しているアメリカ視察研修会は、
お陰様で、第5回を数え、大好評。

しかし私は、アメリカ小売業の情報屋ではないし、
単なる紹介屋でもないつもりだ。

基本的にアメリカの小売業界から、
謙虚に、真摯に、学びたいと考えている者だ。  

だからアメリカの小売業を研究する。

世界でアメリカほど、
小売業の規制が少ない国はない。
だから、理論化が容易である。  

皆さんも、小学校や中学校の理科や化学で、
実験したことがあるだろう。
試験管やビーカー、シャーレの中で、
実験は行われる。

試験管、ビーカー、シャーレは、
完璧に洗浄されていて、
仮説に、他の要素が加わらないように設定される。

規制が少ないアメリカ社会は、実験室のようなものだ。
だからアメリカの小売業の競争と発展は、
実験室における競争と発展のようなものとなり、
だからアメリカから学ぶ価値が生まれる。

実験室の結果は、理論化が容易だ。
その理論が、日本の小売業の競争や発展を、
「鳥の目」「魚の目」で読み取る時に大いに役立つ。

私は、アメリカ小売業を見るとき、
「虫の目」「鳥の目」「魚の目」で見る。  

11月4日のこのブログで書いた。

「虫の目」とは、現場を見る力。   
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。
 
「鳥の目」は、大局を見る力。    
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。

「魚の目」は、流れを見る力。    
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。

そして、「四つ目の目」は、
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」である。  

私は、日本の小売業、
特にスーパーマーケットや総合スーパー、
そしてコンビニを、
長年にわたって研究してきた。

「虫の目」「鳥の目」「魚の目」、
そして「心の目」で。

とりわけ「心の目」が大切であることを、
最近は、実感している。

ピーター・ドラッカー教授は、
「ポスト・モダンの七つの作法」の中で、
自ら「見ること」の大切さを、第一に挙げている。

私は、日本の小売商業・サービス業界のドラッカーになりたいと、
密かに、しかし心から願って、努力している。

だから私は、
アメリカ通でもないし、アメリカの情報屋でもない。

私のアメリカのパートナー浅野秀二先生も、
アメリカの情報屋ではない。
商人舎のホームページをご覧いただけば、よくわかる。
浅野先生は、アメリカを通して、人生を説いている。

私たちは、誰よりも、アメリカ小売業に対して、
謙虚で真摯な研究者でありたいと考えている。  

そのために欠かせないものは、
謙虚で、真摯な「心の目」である。

もちろん「虫の目」「鳥の目」「魚の目」のどれかが欠けても、
たとえ試験管や、ビーカーや、シャーレの中の実験といえども、
結果を正確に見ることはできないし、
正しく判断することはできない。

さて、政府は、
現在の日本経済の「緩やかなデフレ」を正式に認めた。  
2006年6月以来、3年5カ月ぶりのこと。
昨日のこのブログでも、そのことには言及した。

政府の「デフレ発表」を見越したかのように、
「ユニクロ」は、「創業60周年記念大感謝祭」を始めた。  
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期間は、11月21日から12月31日まで。
総額10億円を顧客に還元する。  
方法は5000円以上お買上げごとに、
抽選で10万人に1万円のキャッシュバックをするというもの。
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今日の朝刊に、大々的にチラシを入れ、
朝6時から、約400店で値引きセールを開催。

東京・銀座店には2000人以上、
大阪・梅田店は約650人が並び、
「予想以上の大盛況」(ユニクロ広報室談)。

ユニクロ1号店は1984年に広島でオープンした。
そのオープンの朝6時という設定を再現し、
同時に、店の前に並んだ顧客に、
「朝から感謝」の意を込めて、
朝食用のアンパンと牛乳を配った。

柳井正ファーストリテイリング会長兼社長の意気込みが、
私には、ひしひしと伝わってくる。
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ユニクロのチラシは、
衣料品を販売しているにもかかわらず、
スーパーマーケットの「日替わり特売」を採用している。
これも柳井さんが自ら、最終チェックまで見ている。

日本中がデフレに騒いでいるときに、
創業60周年の感謝を込めて、
25年前の「ユニクロ」1号店の初心に帰る。

ここには、したたかな「商売人」の算盤と、
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」がある。

<結城義晴>  

2009年11月20日(金曜日)

阪急オアシス御影店ニューフォーマットと脱デフレのマーケティング

【巻頭のお知らせ】  
本ホームページ、本日4本の新着記事が
あがっています!
是非、ご覧ください。

日経新聞が煽っている。
今日20日の一面トップ記事。
「食品・日用品の6割値下げ」の見出しが踊る。  

「日経POSデータ」を活用した主要60品目の7月~10月の調査。
6割弱の34品目が値下がりし、22品目が値上がり。
値下がりは、
ティッシュペーパー4.4%、
ラップ5%、
バター3.6%、
サラダ油3.3%など。

日経は「特売の常態化、集客の目玉」と表現しているが、
これらは典型的な工業型商品のコモディティ・グッズ。

22品目の値上がり品は、
食パン2.5%、
シャンプー1.6%、
牛乳0.5%。

コモディティの値下がりが続き、
農業型・情報型のノンコモディティは下がらない。
メーカーが脱コモディティ化に邁進し、
情報型商品化によって、値下がりを食い止める。
それらは下がらない。

これから年末にかけて、重要なポイントだ。

私は、「何でもディスカウント」はないと思う。
反対に「何でもわけあり、何でも適正価格」もあり得ない。

商品市場と顧客市場の関係性の中で、
さらに地域における競争関係の中で、
価格は決定され、自分の顧客に受け入れられる。

このことを忘れてはならない。

一方、東京株式市場も続落。  
日経平均株価は前場で前日比119円88銭(1.26%)安、
9429円59銭と、9500円を割った。  

「東京市場一人負け」と朝日新聞が報じたが、
19日にはアメリカのニューヨーク株式相場が続落。
それが東京の9500円割れに影響を与えた。

私は、株はやらない主義だ。
ジャーナリストとしての矜持。

しかし株価の動きは、
回り回って商品相場にダメージを与える。

「デフレ」が叫ばれるが、
そのなかに価格を維持している商品がある。

価格が維持されるということは、
供給量よりも需要量が多い商品ということ。

つまり、買い手市場と見られている中に、
売り手市場の商品があるということ。

売り手市場の商品は、顧客が買いたがっている。
そんな商品は多くはないけれど、存在する。

売り方次第で「売り手市場の商品」になることもある。

昨日は、午前中、兵庫県神戸市東灘区へ。
阪神本線御影駅前の阪急オアシス御影店。  
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8月にテレビ番組のワールドビジネスサテライトで紹介されて、有名な店。
阪神百貨店の食品売り場を、㈱阪食が担当する。
だから番組では「百貨店の低価格化」特集の事例として取り上げられた。

1階奥に、阪急オアシスのスーパーマーケットが入っていて、
ベーカリーのポンパドウルがショップを展開している。
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ポンパドウルの向かいは、阪急オアシスの惣菜売り場。
これがいい。
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お昼時になると、フルメンバーで、活気をつくる。
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惣菜とともに強いのが青果部門。
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アイランド方式の売場の真ん中に作業場がある。

「スーパーマーケットは、
売れれば売れるほど易しくなる商売」  

それがこの青果部門にも表れている。
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バラ売りのコーナーは、人気が高い。
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阪急オアシス御影店自慢のトマト売場。
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これだけの品質、鮮度、品揃えのトマト売場となると、
それだけで客がつく。

バナナも島陳列で、単品大量販売。
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ひとつの品種を掘り下げて、大量に陳列する。
それが、顧客にアピールする。

「売り方」によって、需要をつくり出すことができる。

しかし、精肉部門はウィークデーはつらい。
M

鮮魚売場も、いい商品が並んでいるが、
惣菜・青果ほどではない。
F
平日の展開をどうするかが、目下の課題。

売場をぐるっと回ると、
ケーキコーナーが目に付いた。
「シュークリーム・バイキング」
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加工食品は絞り込まれ、「これ」というアイテムを品ぞろえしている。
g

売場の中ほどに「キッチン・ステージ」がある。
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料理提案のコーナー。
私鉄沿線の特急が止まる駅の百貨店。
その食品売り場。
「ライフスタイル提案」は必需の要素だ。

駆け足で、視察し、
神戸ブロック長の金子栄治さん、御影店店長の高田清司さんと写真。
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売場面積1700㎡で年間売上目標は26億円。
「デフレ基調」の昨今だが、
まずは25億円を確保して、
ブレークすれば30億円を視野に入れることができる。

顧客は百貨店の食品売場ととらえている。
だからそのイメージを大切にしながら、
「今日はこんなに安いものがある」と、
小さな喜び、小さな発見を、丁寧に、顧客に提供し続けること。
それが、30億円への道を拓くに違いない。

売場の左に料理教室があって、
バリラ・ジャパン豊田安男社長が、
自らクッキングスクールを開催中だった。  

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旧知の豊田さんの講義を、私もちょっとだけ聞いて、
ちょっとだけ試食させてもらった。

10人ほどの女性客が集まってのパスタ料理の講習会だが、
みんな満足そうだった。
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豊田さんは毎月1回、このセミナーの講師となって、
大人気。
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贅沢な講師選定だが、
それはこの店の戦略にぴたり当てはまっている。

世の中、「デフレ、デフレ」の大合唱。
しかし、日本人全員が貧しくなったわけではない。

お金のいる世代、必要な世帯に、回らなくなってはいるが、
逆に、金を使おうにも使い道がない世代、世帯がある。

そこに、いかにターゲットを絞って、
いかにアピールするか。

ただし豊かな世代も、
超のつく合理主義者ばかり。  

理屈に合った楽しみ方、合理的な価格。  
それが求められる時代に入ったということ。

まさに「知識商人」出番の時だ。

阪急オアシス御影店を訪れて、
そんなことを感じた。

阪食社長・千野和利さんは、
前夜、早朝と、携帯電話で自らアポイントをとってくださった。
心から感謝したい。

<結城義晴>  

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2009年11月19日(木曜日)

玉生弘昌プラネット社長の持論「社会インフラの5条件」

今日から、ボージョレヌーボー解禁。  
h1

写真は、兵庫県御影の㈱阪食「阪急オアシス御影店」の今日の売り場。
h2

ワインコ―ナーは別のところにあるが、
特別にレジの近くにボージョレヌーボー売場を、
アイランドディスプレーで設けた。
h3
「知識商人」は、是非とも味わってみること。
売るばかりではいけない。
自分の部門に関係ない、ではいけない。
お客様と同次元で、同じ体験を積み重ねること。

知識に欠かせないことは、好奇心。
商人に欠かせないものは、向上心。
だから「知識商人」には、
新しいものに対するどん欲さは欠かせない。

今年のヌーボーは、うまいという評判。
今夜は、赤ワインで。

さて、東京株式市場は「一人負け」
朝日新聞が報じている。

6営業日連続で、株価は下落。

東京証券取引所一部上場株全体の値動きを示すのがTOPIXの指数だが、
昨18日には、半年ぶりの安値となってしまった。
日経平均株価は、9679円80銭。
こちらは約1カ月半ぶりの安値。

一方、海外株式市場では、相次いで今年最高値を更新。
ニューヨーク市場のダウ工業株平均は、
2日続けて今年最高値を記録し、
ロンドン市場、香港市場の主な指標は、
16日の月曜日、17日火曜日から今年最高値。

東京市場の「一人負け」の状況だ。

日本の成長戦略が見えにくい。
中国への投資に資金が回っている。

日本証券業協会の安東俊夫会長の発言。
「新政権は経済成長の重要性への言及が少ない半面、
財政支出のムダ減らしが前面に出すぎている」

金融経済が破綻し、それへの社会的信用が失墜した。
しかし株価をはじめとする貨幣経済の健全化は、
日本国民全体の問題である。

東京株式市場が「一人負け」であることは、
良く認識しておかねばならない。

さまざまなところに、その余波が表れる。
商売に直結してくる。

これも「知識商人」の条件だ。

さて、昨日から大阪。
梅田のホテル阪神。

プラネットユーザー会2009。
先週の東京に続いて、記念講演。
まず、玉生弘昌社長のご挨拶。
p1
プラネットは雑貨・化粧品・薬品のEDIの会社。
もうこの世界にプラネットなくして、
商品流通はあり得ないくらいのインフラとして機能している。

インフラの条件を、
玉生さんは5つに整理している。
①安全
②中立
③標準
④継続
そして⑤安価  

これを見事に果たしたプラネットは、
情報交換サービス機能として唯一、
最高のレベルに達した。

しかし考えてみれば、「社会インフラの5つの条件」は、
スーパーマーケットやコンビニ、
ドラッグストアといった小売業にも当てはまる。

いや、これから外れた基本業態には、
健全な成長はない。

私の講演は、「製配販協業化の鍵を握るもの」
p2
テキストは東京と同じで、ストーリーはほぼ同じだが、
強調するところを少し変えた。

自分自身、新鮮な気分で講演できるし、
主となる聞き手の地域性や年齢層、職位によって、
力点を変えねばならないから。

今回は、「コモディティ」に関する部分を丁寧に説明した。

ご清聴を、心から感謝したい。

記念講演の後、ケーススタディやプラネットからの報告があり、
すぐに夕方を迎えた。
p3
大阪でも、当然ながら、
秋の日はつるべ落とし。

17時20分から懇親会。
乾杯の音頭は、ピップフジモト㈱の植田恭好さん。
p4
「顧客には最高の品質を提供し、
社内では最大の効率を実現する」  

いい言葉です。

P&Gの玉置肇さん、西脇満さんとは、
ちょっとした議論。
「パワーレード裁判」は、だいじな教訓。

牛乳石鹸共進社㈱の宮崎悌二さんには、
「複占」の面白さをレクチャー。
絶対に面白い仕事です。

懇親会終了後、玉生社長、石橋光男専務と三人で写真。
p5
「よくできました」
玉生さんが、社員にかける言葉。

私は、これ、大好きだ。
プラネットは、まるで「玉生学校」のような会社。
それがこのユーザー会に、独特の気品と価値を与えている。

<結城義晴>  

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