結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年03月06日(金曜日)

コーネル・ジャパン、ヤオコーでの講義佳境に入る

川越に滞在したコーネル大学RMPジャパン2日目。
午前2時30分のモーニングコールに目を覚まし、
3時、ホテルロビー集合。

バスに乗り込んで、ヤオコー狭山物流センターへ。
バスのタイマーは3:11を示している。
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みな、眠そう。
私も、1時間の仮眠で、
熟睡の中から飛び起きた。

3時30分狭山物流センター到着。
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このセンターは、二つに分かれている。
ひとつが「グロサリーセンター」と呼ばれるドライ商品のセンター機能。
もう一つが「チルドセンター」と名付けられた生鮮・日配・惣菜のセンター機能。

まず、レクチャーから。
午前3時30分の講義。
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昨日から㈱ヤオコー顧問の大塚明さんには、ずっとお世話になりっぱなし。
プロデューサー役、ディレクター役、そして講師も。
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考え方と概要をレクチャーいただいてから、チルドセンターへ。
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ヤオコーのチルドセンターは3カ所。狭山はその一つ。
この3カ所に、パン以外の生鮮・日配・惣菜がすべて集荷され、
仕分けされ、各店配送が行われている。

スーパーマーケットとしてのヤオコーの要。
大塚さんはこのセンターを「仕組みとしての営業」と呼んで、概念づけている。
本部には「仕入れとしての営業があり」、
店舗には「販売としての営業」がある。
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そのチルドセンターでの「検質」。
惣菜を一品一品、品質チェックしていく。
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1カ所に集めて、品質を検査する。
それが何よりも、ヤオコーの品質の安定を確保する。
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精肉の豚肉を検質しているところ。
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鮮魚の検質は、まな板の上で行われる。
蛍光灯がともされている。
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商品は、朝8時に店着する。
だからこの午前4時という時間に検質し、検数する。
それが「検品」。
ベテランの専門家が検質することで、
鮮度や規格基準が、標準化され、向上する。
それがヤオコーのマーチャンダイジングに対する顧客からの信頼につながる。
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マグロの検質。
検質作業は、丁寧に、ルールどおりに行われる。
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鼻を近づけて、臭いも嗅ぐ。
検質し、問題があれば、
取引先に指導に入る。
それが、商品の改善改革につながる。
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さて、取引先からの商品の流れ。
取引先から店ごとに仕分けされたケースがセンターに入荷すると、
仕分けラインに載せられる。
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そのままベルトコンベアで、自動的に流れる。
センサーが付いていて、バーコードを読み取って、
店ごとに仕分けされていく。

ベルトコンベアの最終点。
カテゴリー別に6輪カートに乗せられ、
それが配送車へ。
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ルート別に、店舗に配送される。
店舗までの配送時間は最長で1時間半くらい。
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センターの視察研修が終了したら、
会議室に戻って、検質の説明。
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ヤオコーのチルドセンターでは、生鮮3部門で検質を実施している。
精肉では豚肉・牛肉。
鮮魚では、マグロ。
青果では、トマト。
極めて重要な商品品種について、
日付、温度、重量、規格などをチェックし、
肉ならば脂肪、真空漏れ、
マグロは色、血腺など、
トマトは色、鮮度、糖度などを、
丁寧にチェックする。

チェックマニュアルがあるが、
これは店舗では、品質基準マニュアルとなる。

欠陥品が見つかったら、それをチェックリストに記入して、
店舗に知らせる。
店舗は、そのチェックリストを見ながら、
商品化の修正を施す。

一方、チェックリストはコンピュータに打ち込まれ、
データベースとなる。
このデータによって、取引先ごとに、
問題点が明らかになる。
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次に問題点を取引先と共有し、
改善指導に入る。
取引先工場や産地に赴き、
改善改革の項目を見つけ、改善改革をする。

これこそマーチャンダイジングそのものだ。
ヤオコーでは、それを商品部とセンターが協働で進める。
だからロジスティック推進部という名称。

品質チェックし、規格外品を除去するのがセンターの役目ではない。
品質の安定化を図り、取引先とともに、
品質の向上やプロセス管理をすることが目的なのである。

センターの研修が終了して、やっと朝食。
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コーネル大学RMPジャパンのために特別に鮭定食をご用意いただいた。
心から感謝、そして完食。
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最後に教室に狭山物流センターの皆さんが来てくださって、
私たちからお礼。
ほんとうにありがとうございました。
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ヤオコー狭山物流センターは、
グロサリーセンターが伊藤忠食品㈱、
チルドセンターがアサヒロジスティックス㈱によって運営されている。
ヤオコーは両社に委託している。
三者の連携によって、ヤオコーの店頭に並ぶほとんどの商品が、
一括管理されている。
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センター研修の次は、バスで、川越南古谷店に移動。
すぐに、レジカウンター前で、大塚さんのレクチャー。
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センターでチェックされ、仕分けされた商品は、
カテゴリーごとにカートに載せられ、店につく。
配送者のドライバーがカートを、それぞれのショーケースの前に運んでおく。

店での検品は一切ない。
荷受作業もない。

ドライバーが、店のカギを開けて、通路やバックルームに、
カートを置いていくだけ。
先ほどセンターで仕分けされていた黄色いケースが、
台車に積まれて、通路に並ぶ。
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加工食品のダンボールも。
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店舗奥の壁面沿い主通路にも、こんな具合に並ぶ。
前日が全店挙げての「99円セール」で、
大量に売れたため、木曜日の5日は入荷量が激減した。
だからこんな状態。

しかし、南古谷店は年商40億円を超える大繁盛店。
土日祭日は、通路にカートが満載される。

そんな朝の時間帯に、検品や荷受け作業が一切不要となっている。
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鮮魚部門のショーケースの前。
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日配部門の前。
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店の入り口付近の青果の平台前。
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パンの売り場前。パンだけは取引先から直納。
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コーネル大学RMPジャパンの研修とあって、
小澤三夫店長塾塾長が顔を見せてくれた。
ご存知、第1回日本スーパーマーケット店長大賞受賞者。
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惣菜の作業場では、開店に向けて、おはぎがパッキングされていた。
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揚げ物も、急ピッチで商品化作業が進む。
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店舗バックヤードの通路の壁には、
お知らせのボードがある。
店長やスーパーバイザーのさまざまな取り組みが、
表示してあって、だれでも見ることができるようになっている。
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やっと本来の講義。

南古谷店に隣接したヤオコーの研修センターをお借りした。
この研修センターも優れもの。
大塚さんにご案内いただいた。
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そして時間を早めて講義スタート。
大塚講師は「ロジスティックスとセンター問題2」
先の「仕組みとしての営業」という位置づけ。

ロジスティックスの概念や戦略を理路整然と講義してもらった。
ヤオコーの物流センターの発展は、3つの節目があって。
①1970年代後半に、問屋物流からセンター物流へ。
②1984年から87年の間に、窓口問屋制度へ。
③1990年代後半に、一括物流へ。

それが現在の段階になる。
一括物流になってから、急速な多店化が進んだ。
「仕組みとしての営業」が確立してから、
チェーンストアとしての発展が可能となった。
そしてマーチャンダイジングの重要な機能も、
このセンターで担うことになった。
それらの全体像がよくわかる講義だった。
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大塚さんの講義にはゲストスピーカーとして、
アサヒロジスティックス㈱社長の小川修さんが登場。
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センター経営の経緯と安全対策品質対策環境対策、
そして物流業界の課題など語ってくださった。

打って変って、第2時限は富田弥生講師。
「チェックアウトの基本と接客の在り方」
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「ボイスタッチトレーニング」など実技も交えて90分。
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講義のあと、第1期生で㈱成城石井社長の大久保恒夫さんから、
同社のレジチェッカー教育の一端をご紹介いただいた。
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そして、昼食。
もちろんヤオコー南古谷店で買い物して、それを食べる。
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早朝の店内とは激変して、
こんなに明るく、しかもたくさんのお客様を集めている。
店には、お客様が不可欠です。
カートがふさいでいたパン売り場の前も、
こんなにきれいになっていた。
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青果部門には、みずみずしい葉物が並んでいた。
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研修センター2階のホワイエで、購買したヤオコーの惣菜や寿司で昼食。
今回の講義は長い。
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午後は、山口廣治講師の「食品表示と安全問題」
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食中毒問題と表示問題は、つながっている。
そして品質問題は、営業強化になる。
それが中核となる考え方。

最後は、加藤津代志講師。
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先のスーパーマーケットトレードショーで、大塚さんと私と3人、
「店長が変わるとこんなに数字が変わるのはなぜだろう?」
パネルディスカッションを展開したあの加藤さん。
今回は「競合店対策と既存店活性化問題」。
加藤さんらしい、熱い講義だった。

最後の最後に荒井伸也首席講師。
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荒井先生の締めの講義があるから、
コーネル大学リテール・マネジメント・オブ・ジャパンは、
他の追随を許さないものとなっている。
スーパーマーケットのチェーンストアとしての本質、
そして「知見」の弁証法的発展について整理してくださった。

長い長い第6回講義だった。

最後の最後に私も、コストコとセブン-イレブンの営業と物流について語った。
仕入れやマーチャンダイジングからロジスティックス、
そして店舗までが一貫していなければならない。
この一貫性が経営の質をつくる。

しかし考え方には、いくつかの違いがある。
問題は首尾一貫性。

私がヤオコーに見たものは、それだった。

ヤオコーの皆さんに、心から感謝。
ヤオコー代表の大塚さんと、荒井、大高、結城で写真。
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まさに、この気持ちをこそ、多謝という。

<結城義晴>  

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