結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年11月18日(金曜日)

コーネル・ジャパン最後の講義「サミットのレイバー・スケジューリング」のユニークさを学ぶ

今朝の日経新聞「消費」欄の見出しタイトル。
「クリ」出さず家で「スマス」

座布団1枚!

今年のクリスマスには、
外に繰り出さず、
家の中で済ます。

だから「クリ」出さず、
家で「スマス」。

覚えてください。
今年のトレンド。

それが「クリ」出さず家で「スマス」。

記事は、以下のように言う。
「節電意識の高まりや身近な人との『きずな』重視」で、
「自宅を中心に家族や恋人など、ごく親しい人たちと過ごす予定が多い」

「なるべく電気を使わないツリーや電飾が人気」、
「ホームパーティー向けのケーキ予約も好調」。
「家族同士で贈り物をする人も増える傾向」。

私はずっと言い続け、
『店ドラ』では本のなかにまで書いてしまった。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

それを「ホーム」で実感する。
「クリ」出さず家で「スマス」

「幸せ」と言えば、
来日中のブータンの国王夫妻。
ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王。
東日本大震災の被災地・福島を訪問してくれた。
ワンチュク現国王は世界最年少の元首。

その父君のジグメ・シンゲ・ワンチュク前国王が考え出したGNH。
国民総幸福量「Gross National Happiness」。
「国民全体の幸福度」。

1972年代というからもう40年も前のこと、
GNPの代わりに唱え始めた。

9つの構成要素がある。
1.心理的幸福
2.健康
3.教育
4.文化
5.環境
6.コミュニティ
7.良い統治
8.生活水準
9.自分の時間の使い方

日本の今年末も、
ブータンのGNHの気分が高まる。

これは私たちにとって、
決して悪いことではない。

さて昨日の11月18日木曜日。
コーネル・ジャパン第3期の最終講義。
実行の第3期生も、この最後の日を迎えた。

昨夜の酒もなんのその。
朝、8時に全員、元気に、
サミットミナノ分倍河原店に集合。
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店長をはじめ店舗サポート部のスタッフの皆さんが迎えてくれた。
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早速、朝の開店準備作業を視察。
青果のバックヤードで説明してくれたのは、
店舗サポート部生産性向上推進グループの椎名跣さん(いちばん左)。
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精肉部門の説明は、同じく吉田暁さん(左)。
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グロサリー部門の説明をしてくれたのは、
今年5月に商人舎USAベーシック視察に参加してくれた磯川雅樹さん(左)。
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成長している磯川さんと思わず握手。
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開店前8時50分には、レジ前に集合して、
チェッカーの朝礼を全員で見学。

毎年、この講義で見学するのがこれ。

どのスーパーマーケット店舗でも、毎朝、
例外なくレジチェッカーの朝礼をやっている。
その中で、サミットのチェッカー朝礼は、
とりわけすばらしい。
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50人の視察者に囲まれても、
動じることなく朝礼は淡々と進む。
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一通り朝礼が終わると、
見学者たちから拍手が巻き起こった。

朝礼が終了すると、もう8時58分。
各自が自分の役割を果たすべく、行動。
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9時オープンのために、
最後のクレンリネスチェック。
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そして9時。

朝日を浴びるサミットミナノ分倍河原店。
その一日が始まった。
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視察を終えた私たちは、
府中駅前のホテルにもどり、再び講義。

サミットのスタッフの皆さんにも参加願って、
レイバースケジューリングの考え方や実際の仕組みなどを、
レクチャーしてもらう。
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私の隣は、今回の視察研修を仕切ってくれた中村聖広報室マネジャー。
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中村さんからはミナノ分倍河原店の概要が説明された。
売り場面積831坪、バックヤード385坪。
このバックヤードから弾き出す年商35億1000万円。
駐車台数445台。

第1次商圏は4046世帯。
第2次商圏は1万6618世帯。

この商圏内に競争店は、
いなげや、コープとうきょう、さくら市場、京王ストアがある。
府中本町駅前にあったイトーヨーカ堂は撤退。
それがサミットの35億円の売上高にも影響している。

レイバースケジューリングの根幹にかかわる人員配置。
社員25名、パートタイマー73.7人。

人時売上高は、サミット全体の既存店で、
1万4000円。

この指標が基準になる。

中村さんの説明のあとで、
左から第8ブロックマネジャーの田村源栄さん、
ミナト分倍河原店店長の澤田洋さんの説明。
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写真右の店舗サポート部マネジャーの赤迫伸一さんには、
3年続けて、解説をお願いした。

澤田洋店長には、
開店前の忙しい中で対応してもらった。
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そして質疑応答。
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今年9月からサミットは、
1店舗を除いて、
100店で朝の開店時間を1時間繰り上げた。
すなわち9時開店。
従来は10時開店だった。

サミットはモニター制度を設けているが、
そのモニターからの要望のなかで強かったのが、
開店時間の繰り上げ。

9時に開店するが、
出勤時間は変わらない。
作業開始時間は8時。
そして開店9時。

1時間で開店できる状態をつくる。

ここにサミットのレイバースケジューリングが活きる。
レイバースケジューリング・システムがなければ、
開店時間の1時間前倒しなど、
できるはずがない。

どうするのか。

ひとつはマンアワーを投入して、
朝の時間帯の作業量を増やす。

しかし作業の平準化は、必須命題。
マンアワーを余分に投入しては、
利益を削ることになる。

そこで第2に、
前日の夜間にあらかじめ準備作業をする。

第3に開店時の売り場状態をコントロールする。
顧客の不便にならない範囲で、
品揃えの状態を下げる。

そして開店してから、状態を100%に持っていく。

こういった試行錯誤を店ごとに繰り返す。
そして最善のレベルを模索する。

その時にレイバースケジューリングの仕組みが活きる。
これなくしてはオペレーションの改革もできない。

サミットにとって、
レイバースケジューリングは、
イノベーションを生み出すものなのである。

私がコーディネートを務め、
質疑応答が繰り返された。

店長もブロック長も、店舗サポート部のメンバーも、
丁寧に一つ一つ答えてくれた。

途中から、髙野保男先生にも、質疑応答に加わってもらった。
高野さんはそのサミットのレイバースケジューリングの基礎をつくった人。
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高野さんが加わり、
サミットを取材し続けてきた私も解説に参加し、
9人で質問に答え続けた。

私の最後のまとめは、
「組織は戦略に従う」
そう、アルフレッド・チャンドラー・ジュニア。

そして「システムも戦略に従う」

トレーダー・ジョーには彼らのオペレーションがある。
ウェグマンズにも、ホールフーズにも、
その戦略に従ったユニークなオペレーションがある。

もちろんウォルマートにも、
実にユニークなオペレーション・システムがある。

優れた企業には優れたオペレーションの仕組みがある。
サミットのオペレーションは、
こういった国際レベルに引けを取らない。

最後にサミットの皆さんと記念撮影。
3年間、お世話になりました。
ありがとうございました。
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髙野さんにも2日間にわたり、講義いただき感謝。
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そして、この後、私の総括講義と
コーネル・ジャパン第3期生の修了証書の授与式イベント。
それは明日に続きます。

ユニークな戦略とユニークな組織。
それが企業の幸せをつくるのだと思う。

<結城義晴>

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