結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年04月22日(水曜日)

故原島功さんの「お別れの会」とベルクの『商売六訓』

日経平均株価。
4月10日以来、
再び2万円台を超えた。

海外ではNikkei225と呼ばれる。
東京証券取引所一部上場の225銘柄の平均。

225銘柄には小売業が8社入る。
イオンとセブン&アイ・ホールディングス、
それにユニーグループ・ホールディングス。
三越伊勢丹ホールディングス、
高島屋、J.フロント リテイリング、
丸井グループ。
そしてファーストリテイリング。

ファミリーマートと統合すると、
ユニーグループが消えて、
どこかが入る。

平均株価は素っ気ないほどの単純平均。
例えばファーストリテイリングは、
今日、4万9245円。
ユニーグループは694円。
両社の今日の株価を単純平均すると、
2万4970円。

このようにして全産業の225銘柄を平均する。
それが2万円台を超えた。

イオンの今日は1551円、
セブン&アイは5316円。

いずれにしても、日本の株価は好調。

今日は正午から、
パレスホテル東京。
DSCN2203-5
故原島功さんの「お別れの会」
㈱ベルク会長。

3月20日に永眠。
DSCN2202ー5

多くの人が、お別れに訪れた。
DSCN2195-5

原島さんは祭壇で、
いつもの真顔だった。
DSCN2194-5

献花をすると、
次の間には写真が展示され、
昼食が供された。

そこでは笑顔。
DSCN2200-5
いい写真だと思った。

2006年7月31日、
イオン社長の岡田元也さんとの写真。
DSCN2196-5

そして最期の言葉。
DSCN2199-5
ベルクの商売六訓。
一、損得よりも善悪を優先しよう
二、お客様の立場で物事を考えよう
三、働いている従業員も健康で幸せになろう
四、経常利益をしっかり確保しよう
五、今まで以上に経営を合理化しよう
六、良い事は何でも真似しよう

その第三訓を原島さんは、
強く願っていた。

このベルクの商売六訓。
ご存知、倉本長治の『商売十訓』を、
お手本にしている。

一 損得より先きに善悪を考えよう
二 創意を尊びつつ良い事は真似ろ
三 お客に有利な商いを毎日続けよ
四 愛と真実で適正利潤を確保せよ
五 欠損は社会の為にも不善と悟れ
六 お互いに知恵と力を合せて働け
七 店の発展を社会の幸福と信ぜよ
八 公正で公平な社会的活動を行え
九 文化のために経営を合理化せよ
十 正しく生きる商人に誇りを持て

ベルクの商売六訓の五訓は、
長治十訓の一、二、三、四と、
九に似ている。

第一訓はそっくりだ。

しかしベルクの第三訓の考え方は、
ベルクだけのもの。
働いている従業員も健康で幸せになろう

それを原島功は最期まで願っていた。

良いことは何でも真似る。
しかし独自の三訓をもつ。

それが原島経営の真骨頂。

原島さんは30代後半で、
癌を患った。

この20数年間、
癌と闘いながら経営を続けた。

だから多くのことを試しはしなかった。
しかし絶対にブレなかった。
シンプル・マネジメントが貫徹された。

それがベルクの強みだった。

これからのベルクの経営陣が、
いかにブレずに方針を貫けるか。
何よりもそれが問われる。

原島功の経営は、
自身の命と引き換えるがごとく、
従業員の幸せの実現を目指した。

原島功の息遣いが、
店と商品と会社に染みわたっていた。

お別れの会では、多くの人と会った。
原島さんの奥様にもご挨拶した。
甥の増田有一郎さんにも会って、
マスダのことを話した。

川勝利一さんとは、待ち合わせしていた。
川勝さんは商人舎エグゼクティブディレクターで、
原島さんと個人的にも懇意にしていた。

㈱セイミヤ社長の加藤勝正さんも、
原島さんとはごく親しかった。

セイミヤは潮来主婦の店。
ベルクは秩父主婦の店。

加藤さんはひどく寂しそうだった。

パレスホテルを辞して、
加藤さんと一緒に、
日本チェーンストア協会へ。
DSCN2207-5
久しぶりに、
商業経営問題研究会。

加藤さんもそのメンバー。

私は座長を務めているのに、
このところ多忙で、
例会を欠席している。

そこで今日は、
私からの3時間ほどのレクチャー。DSCN2204-5
ネットスーパーと移動スーパー、
コンシャス・リテイリングなどなど、
最近の世界小売業の動静を語り、
みなで、議論した。

ホールフーズマーケットのCEOは、
ジョン・マッケイ。
そのコンシャス・リテイリング。
月刊『商人舎』1月号の特集。

マッケイも見事にストイックな経営者だ。
原島功に共通するものがある。

マッケイの経営の中心にあるのは、
第一に存在目的とコア・バリュー。
それを三つの要件が取り囲む。
第二のステークホルダーの統合、
第三のコンシャス・リーダーシップ、
そして第四のコンシャス・カルチャーと、
コンシャス・マネジメント。

マッケイのコア・バリューは7つ。
①手に入るあらゆる製品の中で、
最も品質の高い自然食品・有機食品を販売する
②お客さまを幸せにし、満足させる
③従業員の幸せと向上心をサポートする
④成長と利益を通じて富を生み出す
⑤地域コミュニティと環境に配慮する
⑥サプライヤーとのWin-Win関係を構築し、
これを継続していく
⑦健康的な食の教育を通じて
ステークホルダーの健康増進を図る

ホールフーズのコア・バリューにも、
「従業員の幸せ」や「健康的な食」
という言葉が含まれている。

一方、ベルクのコア・バリューは、
商売六訓。

そして原島功自身のリーダーシップが、
ステークホルダーと、
トップ&ミドルのマネジメントを引っ張った。

それがベルク従業員のカルチャーを構築した。

ここまで書いてきても、
何度も思う。

惜しい。

早すぎる。

しかし原島功は、
癌と背中合わせの経営をしていた。
従業員の健康を祈りつつ。

働いている従業員も健康で幸せになろう

「健康」という言葉が、
重く重く、響く。

なんと皮肉な経営なのだろう。
なんと幸せな従業員たちなのだろう。

惜しみつつ、
こころから、
ご冥福を祈りたい。

今日のベルクの株価は、
3515円で、イオンよりも上だった。

合掌。

〈結城義晴〉

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.