結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年03月24日(日曜日)

令和大相撲の新星「尊富士」の「じょっぱり」と「ケハレ」

大相撲に新星が登場した。
尊富士。

新入幕で幕内のどん尻。
東前頭17枚目。
身長184cm、体重143kg。
青森県五所川原生まれの24歳。

新入幕場所で13勝2敗の初優勝。

新入幕で11連勝。
これは大鵬の記録と並んだ。

しかも初土俵から10場所で、
史上最速幕内総合優勝。

14日の取り組みで右足首を痛めた。
休場も危ぶまれたが、それでも出場。スクリーンショット 2024-03-25 010534

右の足首をテーピングで固めて、
10勝4敗と好調の平の幕豪ノ山と対戦。

張り手から左四つに組み止め、
土俵際に追い込んで、押し倒し。スクリーンショット 2024-03-25 0108273

見事な正統相撲だった。

初土俵から序の口優勝、
序二段優勝。
三段目と幕下も優勝こそなかったが、
順調に出世して、
十両優勝。

10場所での初優勝は、
貴花田(横綱貴乃花)と横綱朝青龍の24場所を、
半分以下に短縮した大記録。

大相撲史上110年ぶりの新入幕優勝。
その110年前は元関脇両国。

細身ながら足腰、腕力は強く、
稽古場では横綱大錦も勝てなかった。

尊富士は伊勢ケ浜部屋所属。
親方は元旭富士。

青森県五所川原市出身、
鳥取城北高から日本大学相撲部と経て、
2022年秋場所で初土俵を踏んだ。

夜のNHKのスポーツ番組。IMG_3273 (002)

優勝インタビューでは、
「記録よりも記憶に残る力士になりたい」

「これからが大事。
しっかりと怪我をしない体をつくりたい」

110年前の両国は、
最高位関脇で終わった。

優勝はその新入幕の1回だけだった。

このところモンゴル勢に、
上位を独占された観のあった大相撲。

上位に上がってくる、
これはという強い力士を見ると、
モンゴル出身者ばかりだった。

だから青森人の「じょっぱり」は、
久しぶりに日本人として、
胸のすく活躍だ。

尊富士は大鵬や貴乃花を超える、
令和の大横綱になる資質がある。

突き、押し、スピード。

それほど体が大きいわけではない。
だがこのスピードが現代相撲を象徴する。

敵は怪我だけだと思う。

日経新聞夕刊「あすへの話題」
料理研究家の土井善晴さん。
「ケハレ」
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文章の専門家ではないけれど、
この人のエッセイが好きだ。

「ケ(日常)とハレ(非日常)に、
けじめをつければいいと思う」

同感だ。

「現代のケは仕事や学業に励む日、
ハレは休日(楽しむ日)と考える」

「前者は心身を健やかにたもつ古来の食事。
後者は一週間がんばった後の
ご褒美で楽しみを享受する食事」

料理家らしい分析だ。

「何をハレとするかは、
それぞれの考えでよい」

これにも同感。

「ケにも小さなハレと言うべき喜びが
数々潜んでいる」

「淡々と時すぎるとき、
自然の移ろいや親切に、
気づき、心栄えする」

「美、喜び、哀れ、悲しみを、受け止めた心を、
日本では『もののあはれ』と言う」

「時計時間の横軸に、
もののあはれという縦軸の
楔(くさび)を打っていく」

「ケとは大自然の営みで、
ハレとは人間が意図した人工的行為」

「ハレ化した料理は、
食材を混ぜ、味付けて美味を作る
『それ以上』の努力による」

「それ以上は、喜びにもなり、
苦しみにもなる」

「ケの一汁一菜とは汁飯香」

「有るものを、気ままにいただくところに
喜びが生まれる」

「ケの人は、案外、積極的に食べている」

「ハレの食事は食べるだけでは
受け身になりがち、
より積極的な努力が要求されている」

「ケハレは日本の専有ではない。
西洋の一汁一菜は、スープ、パン、チーズ」

「ケの慎(つつ)ましい食事は
あたりまえの普通のこと」

相撲で言えば、
ハレは華やかな本場所の取り組み。
ケは稽古場の汗にまみれた稽古。

店づくりにも、
ハレの売場とケの売場が必須だ。

料理も相撲も、
商売も人生も。

ハレとケに、
けじめをつけるのがいい。

〈結城義晴〉

2024年03月23日(土曜日)

鼎占コンビニ業態の中のイオン「ミニストップ」最終赤字の意味

商人舎流通SuperNews。

2月コンビニ統計|
売上高8574億円で全店(5.4%)・既存店(5.7%)ともに増加

毎月の日本フランチャイズチェーン協会の調査。
2月のコンビニエンスストア統計。

調査対象企業は7社になってしまった。

あいうえお順で、
(株)セイコーマート、
(株)セブン‐イレブン・ジャパン、
(株)ファミリーマート、
(株)ポプラ、
ミニストップ(株)、
山崎製パン(株)デイリーヤマザキ事業統括本部、
(株)ローソン。

既存店売上高の7社総計は8574億円で、
前年同月比5.7%増。
3カ月連続のプラス。

客数は11億7350万人で4.3%増、
客単価は730.7円で1.4%増。

また全店ベースでは、
売上高8937億8600万円の5.4%増、
27カ月連続プラス。

一方、店舗数は5万5657店で、
前年からは0.3%減。
195店舗減少。

店舗数は減っているのに、
客数も客単価も売上高も増えている。

2月はパン、デザート、ソフトドリンク、
それに玩具などが好調に売れた。

閏年の影響もあり、
全店・既存店ともに売上高が前年を上回った。

閏日の1日分増加の影響を除いても、
売上高は前年を上回った。

私は商業界で『コンビニ』を創刊した。

はじめは1980年代に商業界食品商業誌から、
年に1回、別冊号として発行していた、
「コンビニエンスストアのすべて」。

1998年8月に、
食品商業臨時増刊号「季刊コンビニ」を創刊、
その2年後の2000年に「隔月刊コンビニ」、
さらに2002年8月、月刊化した。

私は専務取締役に就任して、
発行人となった。

しかし私は2007年8月に商業界を辞し、
月刊『コンビニ』は2015年、
㈱アール・アイ・シーに売却された。

その後、『コンビニ』は廃刊された。
前年なことだが、今はない。

コンビニエンスストアの業態も、
1980年代はチェーン店と単独店が、
半々くらいだった。

店数も売上高も拮抗していた。

故人となってしまったが阿部幸男先生が、
独自の調査をして、
単独コンビニの実態を追究していた。

それが今は毎月7社で統計される。

この7社に㈱JR東日本クロスステーションの、
「ニューデイズ」を加えて、
8社の寡占状態である。

その中でセブン-イレブンと、
ファミリーマート、ローソンが、
鼎占を構成している。

マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャーが残り、
マーケットフォロワーは、
ずるずると落ちていく。

4番手のミニストップ。
「2024 年2月期通期連結業績予想の修正」を発表した。
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連結の営業収益は790億円、
連結の営業収益は790億円、
営業損失が6億900万円、
経常利益は1100万円、
純損失が4億6700万円。

つまり赤字。

前期純利益は128億円の黒字だったし、
今期予算は9300万円の黒字だった。

商品売上高の伸びが見られなかった。

国内1855店(昨2023年11月末)。
前年から52店の減少。
新店は7店、閉鎖が59店。

いよいよイオンも、
ミニストップに関して、
判断のときが来たような気がする。

現場は頑張っているに違いない。

それでも鼎占の中に食い込むことができない。
完全なフォロワーである。

かといってニッチャーにはなり切れない。

イオンではまいばすけっとが好調だ。
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小型スーパーマーケット。
これは他の追随を許さない。

東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県に、
1025店舗(2023年2月末時点)の規模。

来週の3月29日には、
PBのトップバリュ特化型のまいばすが、
実験的に開業される。

今後は1都3県のミニストップを、
まいばすに変えていくことも可能だろう。
もちろんフランチャイズチェーンだから、
オーナーたちの了解が必要だろう。

しかしそれそろ時期が来たように思う。
結城義晴が勝手に思ったことだ。

あまり重く考えてほしくはないが、
コンビニを長らく見てきて、
ふっとそんな気がした。

トップバリュ主体のまいばすに、
大いに期待がかかる。

〈結城義晴〉

2024年03月22日(金曜日)

池野隆光JACDS会長対談の「ドラッグストアと商業の現代化」

横浜商人舎オフィスの裏の遊歩道。

桜が咲いた。
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横浜でも一番桜。
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昨日は朝10時から、
㈱True Dataの取締役会。

オンライン・ミーティング。IMG_3231 (002)
たっぷり2時間半。

丁寧な報告を聞いたうえで、
活発な議論を展開して、
新年度の予算を承認した。

ビッグデータマーケティングと、
デジタルトランスフォーメーション。
それによって消費産業に貢献する。

ゼブラ企業を目指す。
この米倉裕之社長の方針に、
私は全面的に賛同している。

今日は東京・お茶の水。
神田駿河台のKDX御茶ノ水ビル。
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一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会。
通称はJACDS(ジェイエイシーディーエス)。

3月7日に創立25周年のセレモニーが開催された。

池野隆光JACDS会長と対談。
ウエルシアホールディングス㈱代表取締役会長。ikeno&yuukiIMG_9630

1971年に埼玉県坂戸市で池野ドラッグを創業。
その後、23回の合併や経営統合を経て、
ウエルシアホールディングスとなり、
2022年度に業界初の売上高1兆円を達成した。

さらに2027年12月31日までに、
ツルハホールディングス㈱と経営統合する。

商人舎流通SuperNews。
ウエルシア&ツルハnews|
資本業務提携締結・経営統合の協議開始

それによって2兆円を超えるスケールの、
断トツのドラッグストアチェーンが生まれる。

そんな激動のドラッグストア産業を、
JACDSはリードする。

1999年、松本南海雄会長、
宗像守事務総長のもと、
協会は発足した。

私も微力ながら宗像さんに助力した。
懐かしい。

第2代会長は寺西忠幸さん、
第3代は関口信行さん、
第4代は青木桂生さん。

池野さんは今、その第5代会長だ。
今年80歳の傘寿。ikeno_IMG_9654

存分に語っていただいて、
私は一から十まで納得した。

日経新聞をはじめとして、
巷間言われている内容とは異なる。

「なるほど」とうなづくことばかり。
1兆円のチェーンストアをつくり上げてきた、
そしてこれからも成長を続ける、
そのエッセンスが語られた。

私は「商人の本籍地と現住所」の話をした。

マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャー、
そしてニッチャーが、
大きな森のような産業には必須であることも。

商業の近代化から、
現代化への道筋で求められることも語った。
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池野さんの語りは実に分かりやすく、
その考え方は説得力があった。

私はウエルシアの成長は、
米国のホールフーズに似ていると思った。

この内容は月刊商人舎4月号に、
たっぷりとスペースをとって掲載する。

ありがとうございました。
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1979年に書かれた故堤清二さんの『変革の透視図』

「流通産業の本質は、
“資本の論理”と“人間の論理”の境界に
位置しているというところにある」

池野さんの考え方と一致している。

「したがって、
ここまでは工業化するべきであり、
ここからは工業化してはならない、
といった2つの性格をもった産業」である。

これが商業現代化の本質である。

ドラッグストア産業の成長も、
この本質から外れると実現しない。

〈結城義晴〉

2024年03月21日(木曜日)

日経一面/イオン・ライフ・万代・ヤオコーの「非正規社員待遇改善」

春分が過ぎたのに、
酷く冷たい北風が吹く。

寒い。

春風や闘志いだきて丘に立つ
〈高浜虚子〉
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日経新聞一面、
トップ記事。
「非正規社員も待遇改善」

イオングループの40社。
約40万人のパートタイマーを擁する。
国内最大。

2024年度以降、
正社員と同等の基本給や手当を、
パートタイマーに支給する。
その制度の導入を検討。

同一労働同一賃金。

まずはイオンリテールが先行して導入していた。

昇格試験に合格し、月120時間以上働くと、
この制度の条件をクリアして、
正社員と同じ待遇となる。

売場責任者を務める約150名が、
すでに登用されている。

一部地域では従来と比べて、
2割程度年収が上がった。

この制度を今後、
40社のグループ企業に広げる。

ライフコーポレーションも、
勤務する地域・店舗を絞った「限定社員」の種別を廃止。
正社員と同じ待遇とした。

限定社員から転換した正社員は、
年収が平均15%程度増加した。

万代ではすでに「ゼネラル社員」と称して、
同じように処遇している。

サブチーフアセスメントという試験をパスすると、
「ゼネラルさん」となる。
彼女たちが大きな戦力になっている。

さらにヤオコーも23年、
正社員のみ有給休暇扱いとしていた、
「配偶者出産休暇」を、
パートについても有給とした。

スーパーマーケットの従業員のうち、
非正規待遇の割合は2023年で71%。

2020年に同一労働同一賃金制度が導入された。
ごくごく当たり前の制度だが、
その後も正規雇用と非正規雇用の待遇格差はあった。

22年の1時間当たりの給与で比較すると、
非正規雇用は正社員の7割の水準。

まだまだ格差はある。

しかし同じ仕事をしていれば、
同じ報酬をもらうことは、
当たり前の公平の考え方だ。

いつも書くけれど、
イオンが先鞭をつけたことを、
斜に構えて見てはいけない。

創意を尊びつつ良いことは真似よ。

イオンやセブン&アイが始めたら、
それはやがて日本全国の水準になっていく。

人員確保の競争となる。

時給競争だけでは時代遅れなのだ。

同じ仕事をしてもらっていて、
賃金が低かったとしたら、
それは会社が搾取していたのだ。

そんな当たり前の時代になった。

経営者層、管理者層は、
そのことを強く自覚しなければならない。

再び虚子。
闘志尚存して春の風を見る

改革を成し遂げるには、
闘志が必須だ。

〈結城義晴〉

2024年03月20日(水曜日)

ウォルマートのスタートアップ企業「unspun」とのコラボの意義

春分の日。

昼まで寝ていた。
右膝を痛めて、
それでも歩いたら、
どこかに力が入って、
疲労が激しい。

そして一日、静養した。
膝はずいぶん回復してきた。

人間の体の自然治癒力。
凄いものだ。
有難いことだ。

夕方、出かけた。

桜の木はもう芽吹いている。
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そこに夕日が当たる。
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自由が丘の街。
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そしていつもの花屋。
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小学生の女の子が、
大人になったらなりたい職業。
やりたい仕事。

花屋とパン屋だそうだ。

それはわかるような気がする。

私はもう9年間も、
パン屋の一員だ。

今夜は久しぶりに家族で食事をした。
自由が丘のフランス風中華料理。

息子も娘も、みんな元気で忙しそうだ。

仕事のことなど聞いて、
安心した。

だから大谷翔平のゲームは、
ビデオで見ることになった。

韓国・ソウルで開催された、
大リーグの開幕戦。

ドジャース対パドレス。
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気のせいか自由が丘の街が、
いつもより空いているように感じられた。

みんな家でNHK放送を見ているのかもしれない。

さて、商人舎流通SuperNews。

ウォルマートnews|
生地廃棄削減のため3D織物技術の「アンスパン」とコラボ

ウォルマートがスタートアップ企業とコラボ。
「unspun」(アンスパン)。

スタートアップは、
革新的なビジネスモデルによって、
社会に変革をもたらす企業のことだ。

「spun」は「spin」の過去分詞。
spinは織ること、糸をつむぐこと。
だから「unspun」は「織らないこと」を意味している。

このアンスパンはカスタムデニム製造業で、
2015年に創業された。

10年に満たない新興企業だ。

衣料品は平織りや裁断などの製造のときに、
どうしても廃棄物を出す。
過剰在庫も多い。

アパレル製造では一般的に、
生地の10~15%ほどが無駄となる。

そこで同社は3Dテクノロジーを使って、
生糸から直接衣料品を製造する。

「地球上の二酸化炭素排出量を1%削減する」
これをミッションとして掲げて、
アパレルの無駄な廃棄物問題に取り組んでいる。

パーパス経営である。
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アンスパンの共同創業者の一人、
ベス・エスポネット氏は疑問をもった。
「なぜ衣服は、
1800年代初頭につくられていたのと
同じ方法で現在でもつくられているのか?」

そこで生地ロスの出ない、
3Dウィービング(織物)技術「Vega 3D」を開発した。

ウォルマートはアンスパンの技術を導入して、
まずは男性用チノパンの製造テストから開始する。

2030年までにVega3Dの機械を、
全米各地に350台導入する。

いい話だ。

ファーストリテイリングは、
ニットの島精機製作所とコラボしている。
同社も「縫わないニット」を標榜している。

商人舎3月号特集は、
「アパレル改革」

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ウォルマートも、
環境対応という側面から、
アパレル改革を行っている。

アンスパンのようなパーパス経営企業は、
買収する気にはなれない。

パーパスは小さな企業にとって、
サバイバル戦略でもある。

とてもいい話だ。

花屋さんとパン屋さんも、
同じだ。

〈結城義晴〉

2024年03月19日(火曜日)

「マイナス金利政策解除」と小売業の「価格政策競争の本番」

日銀のマイナス金利政策が解除される。

利上げは17年ぶりである。

政策金利のマイナス0.1%が、
0〜0.1%程度に引き上げられる。

植田和男総裁。
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2%のインフレターゲットに対して、
「持続的・安定的に実現していくことが
見通せる状況に至ったと判断した」

ここまでの大規模緩和政策に対して、
「役割を果たした」

それでも、
「当面、緩和的な金融環境が継続する」

これを受けた東京株式市場。
日経平均株価は上がった。
終値は4万0003円60銭。

円相場は1ドル150円台まで下落した。

マイナス金利政策は、
金をあずける側が金利を払う。
異常な政策だ。

金融機関は当座預金を日銀にあずける。
その一部(現在は5%)に、
マイナス0.1%の金利がかけられる。
ばかばかしい預金だ。

だから金融機関は金を日銀に預けたら、
金利をとられる。

そこで金利が低くても、
日銀にあずけるよりも何らかの融資をする。
結果として低い金利での融資が進む。

これがマイナス金利の狙いだ。

2008年にリーマンショックが起こった。
そのあと通常の量的緩和では、
まったく事態が改善されない状況に陥った。

そこで12年7月にデンマーク中央銀行が、
はじめてマイナス金利政策を導入した。

14年6月に欧州中央銀行、12月にはスイス国立銀行。

日銀は黒田東彦前総裁が16年2月に導入した。
「黒田バズーカ」第3弾。

しかしそのマイナス金利政策の解除は、
正常化に向かう転換点となる。

これによって、
世界でマイナス金利を導入する中央銀行はなくなる。

日本の金融機関の基準金利は上がる。
変動型の住宅ローン金利には上昇圧力がかかる。

0.2%台などの超低金利で金を借りられた。
その環境は変わる。

一方、預金金利も上昇する。

当たり前の「金利のある時代」。

2022年は値上げラッシュの年だった。
主要食品メーカー195社では、
通年の値上げ品目数は2万5768品目に及んだ。

昨2023年はさらにそれが進んで、
累計で3万710品目となった。

一方、2023年の賃上げは、
平均妥結額1万1245円だった。

前年の22年は6898円で、
賃上げ率3.60%。

前年の2.20%に比べて1.40ポイント増。

今年もそれを上回る賃上げが予想される。

日本経済は、
物価と賃金が先行して、

金利が上げられた。

そして消費と経済は、
ダイナミズムを取り戻しつつある。

ポール・クルーグマン。
2008年度ノーベル経済学賞受賞。
ゼロ金利を超えたマイナス金利を日銀に提言した。
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「金融緩和は、
人々の期待を変えないかぎり
効力を発揮しない」

「そして、期待を変えることは
簡単ではない」

黒田バズーカは、
人々の期待を変えたか。

植田新総裁の「マイナス金利解除」は、
人々の期待を変えるか。

小売業の価格政策も、
人々の期待を変えないかぎり、
効力を発揮しない。

そして低価格政策は、
このダイナミズムの中でこそ、
実は生きるものだ。

「金利のない時代」には、
低価格の効果は薄かった。

これから、
「価格政策」が重要な意味を持つ。
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「金利のある時代」こそ、
価格によるポジショニング競争の本番である。

〈結城義晴〉

2024年03月18日(月曜日)

千野和利離創協理事長の「情熱・行動」と関西スーパーの社長交代

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑫]

2024年第12週。
3月に入ってもう第4週。

一月、往ぬる。
二月、逃げる、
三月、去る。

今週の水曜日は、
春分の日。
もちろん祝日。

春分と秋分を二分(にぶん)と言い、
夏至と冬至を二至(にし)と呼ぶ。

合わせて「二至二分」。
1年を4つに分ける区切りだ。

何事も区切りは大事だ。

今日は東京・有楽町。IMG_32034

駅前には 有楽町マルイ。
2007年10月12日の開業。IMG_32024

右手を見ると、
奥に有楽町マリオン。
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1984年10月6日、
有楽町西武と有楽町阪急を両核として、
有楽町マリオンがオープン。

2010年12月25日に有楽町西武が閉店。
そのあとに2011年10月28日、
ルミネ有楽町が開業。
JR東日本系のファッションビル。

有楽町阪急も阪急メンズ東京として、
リニューアルオープン。
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その阪急の 11階。
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窓の外には東京駅が見える。
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叙々苑の游玄亭。
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千野和利さんとランチミーティング。
千野さんは離創協(りそうきょう)理事長。
一般社団法人離島振興地方創生協会。IMG_E32114
ちろん千野さんは、
㈱阪急オアシスの中興の祖。
高質スーパーマーケットを創造して、
同社の最盛期をつくり上げた。

離創協の活発な活動の成果を聞かせてもらった。
千野さんの情熱と行動力は、
どんどんコンセプトを広げている。

離島振興と地方創生が相互作用し始めた。

凄い。

私はアメリカのオーガニックは、
ローカル(地産地消)のコンセプトを加えて、
さらにブレイクしたことを話した。

叙々苑の焼肉ランチ、
絶品だった。
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ありがとうございました。

さて商人舎流通SuperNews。
関西スーパーnews|
4/1付で社長交代、中西淳専務が代表取締役社長就任

4月1日付で新社長が生まれる。
中西淳専務取締役営業統括本部長が昇格。
53歳。

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名門関西スーパーマーケット。
初代社長は伝説の北野祐次さん。
日本のスーパーマーケット・システムを、
創り上げた人。

日本のスーパーマーケットの恩人。
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二代目社長が井上保さん。
2014年11月2日早朝、
67歳でご逝去。

本当に惜しい人だった。

そして跡を継いだ三代目が福谷耕治さん。
福谷さんはオーケーによるTOBなど、
艱難を乗り切って今の体制に繋いだ。

10年間、社長として舵を取り続けた。
コーネル大学RMPジャパン伝説の一期生。
ご苦労様、と労おう。
福谷さんは特別顧問になる。

柄谷康夫常務取締役も退任する。
コーネル大学ジャパン奇跡の二期生、
そのリーダーで「番長」と呼ばれた。

寂しい限りだが大役を果たし続けた。
柄谷さんにもお疲れ様、と感謝しよう。

中西さんは四代目社長である。
社内外からの評価は高い。
大いに期待しよう。

役員や執行役員は大幅に若返った。

関西スーパーnews|
4/1付執行役員の人事発表、14名体制

会社はシンプルな組織となった。

中西代表取締役社長営業統括本部長と、
瀧原康夫取締役経営企画室長
因 敏樹取締役管理本部長兼情報システムグループマネジャー
宮崎 孝取締役開発グループマネジャー。

営業統括と営業企画、
管理本部と開発グループ。

スーパーマーケット・チェーンの、
骨組みだけのようなトップ体制。

それに親会社から林克弘取締役。
関西フードマーケット代表取締役社長、
エイチ・ツー・オー リテイリング㈱代表取締役副社長。

今の関西スーパーにとって、
シンプルな組織はとてもいい。

私は1978年の3月に、
関西スーパーの1週間研修を受けた。
それが私の原点となった。

どれだけ感謝しても足りないくらいだ。

そのころの関西スーパーは、
エネルギーに満ちていた。
イノベーションの連続だった。
ダイナミズムに溢れていた。

若いトップと若い幹部には、
エネルギーとイノベーションと、
ダイナミズムを忘れないでほしい。

頑張れ。

では、皆さん、今週も、
情熱と行動力を。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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