結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年05月03日(金曜日)

日本国憲法の「戦争の放棄」と「ジャンクな情報」

憲法記念日。

ゴールデンウィーク後半の4連休。

日々の商売となれば、
2連休は毎週末に必ずあるから、
対処法や成果も「ルーチン」となっている。

3連休は2連休にもう一つ加わるから、
特別のストーリーをつくって、
そのうえで具体的な作戦を立てて、
3日間通しの成果を最大化する。

さて4連休となると、
どう組み立てるか。
ここは知恵の出しどころだ。

客数も多いだろうし、
予期せぬ出来事も起こるだろう。

みんなが気分よく仕事できるように、
それぞれに気を配りつつ、
店を守りたい。

昔々、倉本長治先生が、
徳島のキョーエイに贈った言葉。
「市民生活を守る砦たれ」

連休のときにも、
生活を守る砦でありたい。

さて日本国憲法。

お薦めしている。
篠田英朗著『はじめての憲法』
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この憲法の特徴は、
「第2章 戦争の放棄」である。
とくにその「第九条」。

一項。
「日本国民は、
正義と秩序を基調とする
国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、
永久にこれを放棄する」 

二項。
「前項の目的を達成するため、
陸海空軍その他の戦力
これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない」

国際政治学者の篠田英朗さん。
神奈川県出身の56歳。
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。
大学院生時代に国連PKOボランティアに参加。
さらにアジアやアフリカの紛争地域で、
ボランティア活動に従事した。

『平和構築と法の支配』で大佛次郎論壇賞、
『「国家主権」という思想』でサントリー学芸賞、
『集団的自衛権の思想史』で読売・吉野作造賞を、
それぞれ受賞している。

元大阪市長の橋下徹との論争は痛快だった。
完全に論破した。

その篠田さん。
第九条に以下の文面を加えて、
その部分の改憲をすればいい、
と主張する。

去年もそれを紹介した。

三項。
「前二項の規定は、
本条の目的にそった
軍隊を含む組織の活動を
禁止しない」

篠田さんに賛成している。

憲法九条の本来の趣旨は、
「国際法遵守」である。
九条はそれを宣言したものだ。

二項の「戦力(war potential)」は、
一項の「戦争(war)」と「放棄」に対応して使われている。

つまりここで言われるのは、
「戦争のための戦力」である。

自衛隊は自衛する組織だから、
戦争のための戦力に該当しない。

二項の「交戦権」とは、
戦時中の大日本帝国が国際法を蹂躙した事実に対して、
日本国憲法はそれをしないことを誓った規定である。

憲法九条は「国際法遵守」を宣言しているのだから、
それ以上に制約を課してはいない。

「戦争の放棄」を、
「原理」と主張するひとたちがいる。

「戦争」は絶対にいけないものだから、
それを「原理」ととらえる考え方は、
わかりやすいかもしれない。

しかし「戦争の放棄」は「目的」である。

「軍隊を含む組織の活動を
禁止しない」

これを第三項として加えるだけで、
「自衛隊」という組織が正当化される。
自衛隊という言葉を使わずに、
それが憲法に記される。

篠田英朗、
頭、いい。

いまさら自衛隊の存在を否定することはできない。
それを「軍隊」に変える必要はない。

しかし自衛隊は、
誰が見ても異論や疑念がわかないように、
憲法の中に位置づけられねばならない。

今の自衛隊の位置づけは、
ごまかしだ。

朝日新聞「折々のことば」
第3073回。
知的であるためには
ある種の無防備さが必要だ
(内田樹)

「無知とは知識の欠如でなく、
ジャンクな情報で頭がぎっしり詰まっていて
新しい情報の入力ができない状態のことだ」

なるほど。

「これに対し、学びとは、
入力があるたびにそれを容(い)れる器そのものの
形状や容積が変化してゆくこと」

『だからあれほど言ったのに』から。
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ジャンクな憲法情報に毒されていると、
新しい概念が頭に入ってこない。

がちがちの改憲論者も、
原理主義の護憲論者も、
新しい状況が生まれ、
新しい情報や新しい考え方がでてきたら、
それを受け入れる柔軟な器をもつ必要があると思う。

憲法に限らない。
チェーンストア理論でも、
原理や原則を補助線として使え。

ドラッカーのポストモダンの方法である。

〈結城義晴〉

2024年05月02日(木曜日)

上場企業の7割増益と「禍福の転変に備えよ!」

月刊商人舎5月号、
書き終わった。
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特別企画のPrologueとEpilogue。
特集のまえがきの提言。

それからMessage of May。
表紙のCover Message。

編集後記を書いて終わり。

風邪をひいてしまって、
体調は良くなかった。

けれど仕事となると、
手は抜かない。

商人舎5月号、
期待してください。

すべて終わって、
山本恭広編集長とツーショット。
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日経新聞一面。
「上場企業の7割増益 前期」

2024年3月期決算、
上場企業の業績が好調だ。

小売業の2月期決算も絶好調である。

3月期企業のうちの16%の企業、
時価総額で28%の企業が発表を終えた。

東証プライムに上場する173社。

その7割に当たる120社が増益。
増益社数の比率は、
過去10年で2番目の水準となった。純利益が増えた企業が69%ある。

前の期比14ポイント増。
22年3月期は73%で、
この10年の最高だったが、
それ以来の高水準となった。

鉄道や空運、食品、機械など、
幅広い業種で増益企業が増えた。

新型コロナウイルス禍に伴った制約がなくなったからだ。

純利益合計は前の期比27%増。
決算未発表企業の会社予想を加えて、
上場企業全体では16%増となる見込みだ。

3年連続で最高益となる。

小売業もチェーンストアも、
全体では「最高益」だろう。

産業全体を見れば、
「円安」は輸出企業を中心に利益を押し上げた。
輸出採算が改善したり、
外貨建て取引の差益が膨らんだりした。

日米金利差を背景に円安が進んだ。
そして対ドルの平均レートは、
145円だった。

前の期比9円の円安に過ぎなかったが、
約34年ぶりの円安水準となった。

しかし今年度の「円安」は、
さらに激しい。

しかもこれは、
人々の生活に直結する。

大企業を中心に賃上げは進んだ。
それでも日本全体でみれば、
どのくらい給与水準が上がり、
それが消費や購買に結びつくのか。

前期の好調な決算。
増収増益。
そして最高益。

チェーンストアでは、
イオンが増収増益の過去最高。
セブン&アイ・ホールディングスは、
減収ながら最高益。

ライフコーポレーションも、
過去最高の営業収益で、
利益はコロナ特需の特異年に次ぐ、
過去二番目の高さだ。

それ以外のチェーンストアも、
とくにスーパーマーケットは、
増収増益、最高益が続出。

そこで商人舎5月号の[Message of May]
今月の商人舎標語でもある。
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禍福の転変に備えよ!

吉凶(きっきょう)禍福(かふく)
禍福倚伏(いふく)
幸いと災いは、
因果的に繰り返される。

人間万事塞翁が馬。
塞の老人の馬が逃げてしまった。
悲しんでいるとその馬は、
駿馬を連れて戻ってきた。

喜んでその馬に乗っていると、
翁の息子は落馬して足を折った。
今度は悲しんでいると戦争がはじまり、
息子は兵役を逃れることができた。

コロナ禍で世界中が萎縮した。
しかし想像を超えた特需が生まれた。
次の年にはその大きな反動に沈んだ。
4年が経過して今、最高益が生まれた。

けれど事実を見つめると、
次の災いの根は深くはびこっている。
円安は国民生活を冒し続ける。
チェーンストアに改革を求める。

吉凶禍福のない企業に目を向けよう。
禍福倚伏が起こらないチェーンに学べ。
そして「塞翁が馬」の故事を噛み締めよう。
禍福の転変に備えよう。

幸いと災いは、
因果的に繰り返される。
その因と果を考え続けよう。
今、頭脳と意志が試されるときだ。

〈結城義晴〉

2024年05月01日(水曜日)

5月1日「メーデーの孤独」とイズミ「ランサムウェア被害」の回復

5月1日。

2024年に入って、
3分の1の時間が過ぎた。

毎日毎日、欠かさず仕事をし、
生活をしてきた。

大仕事をやり遂げていなければならないが、
それが進捗していない。
単行本『チェーンストア』後編の執筆だ。

読者の皆さんはもとより、
編集者やデザイナー、印刷所など、
待たせっぱなしだ。

本当に申し訳ない。

発刊は大幅に遅れます。
しかし強いプレッシャーの中で、
頭はいつも単行本のことで埋まっている。

月刊誌の原稿を書いていても、
それは単行本につながる。

実際に今年に入ってから、
ここまで5冊の雑誌をつくったが、
単行本に使うべき新たな内容が、
次々に浮かんできた。
論理が深まってきた。

貴重な熟成の期間となった。

風邪が完治しないまま、
今は月刊商人舎5月号に集中する。

頑張ります。

今日は5月1日。
連休の合間の、
メーデーの日。
国際労働者の日。
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今日はあいにくの雨。
それでもデモや集会をやったのだろう。

雨降らば降れメーデーの旗滲(にじ)
〈原田種茅〉

20代、30代の前半までは、
私も商業界労働組合の組合員だった。
だから必ずメーデーに参加した。

一方、管理職になると、
会社に残って仕事をした。

商業界はユニオンショップ制をとっていた。
つまり社員は全員が組合に入るというルール。
だからメーデーの日には組合員は全員、
会社に来ない。

メーデーに参加する人も、
参加せずに勝手に有給休暇にする人も、
どちらも仕事を放棄した。

管理職が会社や仕事を守った。
ガランとした会社で、
編集長や部長だけが仕事をしている。

「静かでいい」などと言う人もいた。

現在は連合系が4月28日(土)に開催。
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芳野友子連合会長が中央実行委員長となって、
あいさつした。
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ここには岸田文雄首相もやって来た。
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隔世の感がある。

首相はあたかも自分が、
賃上げを先導したかのように、
薄笑いを浮かべつつ発言したのだろう。

今日の5月1日は、
全労連系が集会を開き、デモをする。

かつては二大労働組合連合体があった。
総評(日本労働組合総評議会)と、
同盟(全日本労働総同盟)。

総評が日本社会党を支持し、
同盟が民社党を押した。

それが1989年に合併して、
連合(日本労働組合総連合会)を結成した。
世界最大の労働組合だ。
現在のUAゼンセンも連合傘下である。

それとともに社会党も民社党も衰退した。

代わって民主党が連合と組んで、
政権交代を果たした。

一方、連合を「右傾化」と批判して、
左派の組合によって結成したのが、
全労連(全国労働組合総連合)だ。
日本共産党との関係が深い。

これら総評や同盟、のちの連合や全労連を、
「ナショナルセンター」と呼ぶ。
全国組織である。

現在は連合も全労連もよろしくない、
という団体がある。
全労協(全国労働組合連絡協議会)である。

それぞれに全国でメーデーを開催する。

総身(そうしん)の雨にひたぬれメーデー歌
〈瀧尻佳子〉

全身びっしょり濡れながら、
メーデー歌を声を限りに歌う。

そのメーデー歌。

聞け 万国の労働者♪
轟き渡るメーデーの
示威者に起る足どりと
未来をつぐる鬨の声♪
聞いたことはあるでしょう?
しかしこのメーデー歌は、
旧日本軍歌「歩兵の本領」の替え歌だ。
万朶(ばんだ)の桜か襟の色♪
花は隅田に嵐吹く
大和男子(やまとおのこ)と生まれなば
散兵線(さんぺいせん)の花と散れ♪
真逆の思想、真逆の歌詞が、
同じ旋律に乗って、
高らかに歌われる。
実に不可思議な現象だ。
一度、深く考えてみる必要がある。
それから去年のブログでも紹介した一句。
いい句はいい。

メーデーの列とはなつてをらざりし
〈稲畑汀子〉

見たまんまが滑稽。
さすが高濱虚子の孫、
汀子の真骨頂。

メーデーに参加して、
いつも最後はこうなる。

メーデーの遂に一人の家路にて
〈伊丹丈蘭〉

人が集まって何かをする。
それは結局、それぞれの人に、
孤独を自覚させることになる。

私たちはその孤独に耐えねばならない。

人間は一人で生まれて、
一人で死んでいく。

さて、商人舎流通SuperNews。

イズミnews|
システム復旧で5/1からECやアプリ利用再開

㈱イズミのシステム障害。
2月15日に発生したランサムウェア被害が原因だ。

ランサムウェアとは悪意のあるソフトウェア。
ファイルをロックして身代金を要求するために保持する。

イズミはこのランサムウェアの被害に遭った。
メールシステムを含む各種システムの使用を停止し、
連絡手段は電話・FAX・郵送となった。

イズミnews|
システム障害の完全復旧は5/1をめど

専門家に依頼して、
イズミらしく丹念に対処した。
その結果、予告通り5月1日に完全復旧した。

決算発表も遅れた。

「組織変更および人事異動」は、
実施日を3月1日付から5月16日付に変更した。

また3⽉7⽇に予定していた新店、
「ゆめマート新⼤村」開業は、
延期された。

何はともあれ、経営者、関係者、
ホッと一息といったところだ。

2024年2月期業績に及ぼす影響は、
軽微であると見込まれている。

私も専門ではない。
ランサムウェアを、
100%防御することは難しいらしい。

企業が取るべき重要度の高い措置は、
データをバックアップすることだ。

万が一、感染した場合にも、
バックアップに切り替えて、
身代金を払わなくても済む。

なんにしても、
イズミの皆さん、
お疲れ様でした。

〈結城義晴〉

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コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

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