結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年11月22日(木曜日)

折兼セミナー「白熱教室」の「お客様のために大切なこと」

昨日のブログで書いた。
イオンも必ず、
このセブン&アイへの対抗策を、
打ち出してくるに違いない。

そうしたら今朝の日経新聞の一面記事。
「イオン、100円の第三のビール
製造はサッポロ」

350ミリリットル税込み100円の第三のビール。
サッポロビールの製造、
イオンの専売商品。

新商品名は「サッポロ みがき麦」

従来のメーカー品より約1割安い。
年間4000万本の販売計画。
「セブンプレミアム 100%MALT」は、
サッポロビールが製造する通常の缶ビールで、
350ミリリットル198円、
500ミリリットル258円。

国内メーカーの通常ビールに関して、
PB受諾は初めてのこと。
こちらの方がインパクトは強いが、
セブン&アイが仕掛けたら、
イオンも応じる。
イオンが取り組めば、
セブンが追随する。

この関係はしばらく続きそうだ。

さて、毎日新聞の巻頭コラム『余禄』。
このところ私が引用する頻度が高い。

「インフレは歯磨きペーストのようなものだ」

元ドイツ連邦銀行総裁カール・オットー・ペールの言葉。

そのココロは、
「チューブを絞ればすぐ出てくるが
元に戻すのはとても難しい」

ペール総裁と対峙していたヘルムート・コール首相。
「政治家として連銀の金融政策を好ましく思ったことはあまりない。
だが、一市民としての自分は連銀の存在を喜ばしく思う」

コラムニストは言う。
「政治家と中央銀行の関係を示す至言だ」

ポール・クルーグマンらが説く「インフレ・ターゲット論」。
ペーストをしっかりコントロールして、
すこしずつチューブから出すのが、
最大のポイント。

さらに中央銀行は政府に対して、
インディペンデントな存在でなければいけない。

さて昨日は、名古屋。

㈱折兼主催のフードくるむセミナー。
「白熱教室」での講演。
場所は、名古屋駅前のミッドランドスクエア。
20121121165021.jpg
トヨタが所有する高層ビル。

その5階のミッドランドホールが会場。
開始時刻10時前には、
続々と参加者がやってきた。
20121121165146.jpg

折兼は中部エリアを地盤にする包装資材の総合商社。
この日は、取引先のスーパーマーケット、フードサービスなど、
取引先関係者250名が参集し、会場は満席。
20121121184805.jpg

はじめに折兼社長の伊藤崇雄さんが、近況報告。
20121121165229.jpg

折兼は、近年、支援体制を強化。
PB商品開発をはじめ、
ipadを使ったオーダーシステムの構築、
物流の効率化などが、
伊藤社長の下で、進められている。

そうした報告の後で、私の講演がスタート。
テーマは「お客様のためにいちばん大切なこと」
20121121165255.jpg

はじめに、秋のアメリカ視察で気づいたことの報告。
ウォルマートの「早仕掛け、早仕舞い」を紹介しつつ、
年末年始の取り組みは、
今週末の3連休が大事であることを強調した。

そして本題。

まず、皆さんに問いかけた。
お客様のためにいちばん大切なこととは何か?
一人ひとりが頭のなかでイメージしてほしい。

ハーバード大学マイケル・サンデル教授の白熱教室。
ちょっとそれを意識してみた。
20121121165323.jpg

そして、顧客とは何か、
ロイヤルカスタマーの効能と維持、
CS(顧客満足)とES(従業員満足)の合致などを語った。
20121121184814.jpg
もちろん最近、欠かさず紹介していることにも触れた。
スチュー・レオナードとイータリーの、
「アワー・ポリシー」の差異。
この差異こそが、「お客様のために大切なこと」。
これでなければいけないということはない。

最後は、中越地震後の往復メールを紹介。
十日町市在住の松村ひろみさんと私の交換書簡。
そして、感謝、元気、人間力経営。

最後の最後は、
「お客様のために一番大切なこと」は何か。
20121121165345.jpg
冒頭で約束した私なりの「意外な回答」を提示した。

理解し、納得していただけただろうか。
20121121165401.jpg
90分間のご清聴に、心から感謝。

講演が終わると、
すぐにやってきて質問してくれたのが、
杉浦大西洋さん。
豊橋の一期家一笑の名物バイヤー。
20121121165416.jpg
毎月欠かさず、
ユニークで温かい手作りの販促カレンダーを、
商人舎宛に送ってきてくれる。

勉強熱心な優秀な青年。
商人舎ファミリーの一人だ。

杉浦さんもほぼ毎日、ブログを書いている。
商人舎ホームページの、
「なんでもリンク集・知識商人の輪」にも、
一番新しいボタンでリンクさせてもらっている。
タイトルは「一期家一笑 ヒロシのブログ」

私の講演の「アワー・ポリシー」について、
考え方を披露してくれた。

㈱デライト社長の白井正樹さんとも久しぶりに懇親。
商人舎第5回USA研修会の団長を務めてもらった。
20121121165427.jpg
この日午前中に、京都の㈱マツモトの松本隆文社長一行が、
デライトの新店視察に訪れたらしい。
松本さんも白井さんも、本当に勉強熱心。
しかも、両社ともに業績がいい。

講演後に伊藤社長と記念撮影。
20121121165444.jpg

控室に戻って、モニターを見ていると、
最後まで会場に残って、
熱心にアンケートに記入している女性がいた。
20121121174735.jpg
どんなことを感じて、
何を書いてくれたのだろう。

講演会を終えるといつも、
充実感とともにそんな気分が湧き上がる。

講演の感想と言えば、
ウォルナットこと森川祐紀生さんから、
すぐにメールをいただいた。

森川さんは、
「胡桃の三流句」というブログを書いていて、
昨日の欄には早速、
「結城さんから元気を!」と題して紹介してくれた。
こちらも商人舎「知識商人の輪」に、
リンクさせてもらっている。

森川さんからのメール。

「結城さま

ボクは、スチュー・レオナードのほうですね」

あなたは、
スチュー・レオナード派か、
イータリー派か。

私が講義の際、
参加者に投げかけた言葉に対する森川さんの答え。

スチュー・レオナードの「Our Policy」。

Rule1 The Customer is Always Right!
原則1 顧客はいつも正しい。
Rule2 If the Customer is Ever Wrong, Reread Rule1.
原則2 たとえ、顧客が間違っていると思っても、原則1を読み返せ。

一方、イータリーの「Our Policy」。
1 The customer is not always right
顧客はいつも正しいわけではない。
2 Eataly is not always right
イータリーもいつも正しいわけではない。
3 Through our differences, we create harmony
顧客とイータリーの差異が調和を創り出す。

森川さんはスチュー派。

「久しぶりに結城さんの講演を聞かせて頂き、
元気をもらいましたよぉ~!
お声を掛けることができなくて、
申し訳ありませんでした。

『売る』店作り・商品でなく、
『売れる』店作り・商品を目指していかなければと思っておりますが、
やっぱ結城さんの言う、人間力経営が、
日に日に重要度を上げてきていますね。

ちょっと気になったことを言ってもいいですか?

人間力経営のところなんですが、
『心の力』を3番目に持って行ってはどうでしょうか?
能力があって、努力があって、
頭の力と技の力が高得点であっても、
キチンとした姿勢をお客様からお墨付きをもらえなければ、、、

と書きながら、まずは心がなければ、と思い悩んでますけど、、、

それと、『武装』という表現もちょっとだけ気になるかなぁ~

結城さんのご活躍とご健康を祈ってます」

私はすぐに答えた。

「森川さん

会いたかったです。
声かけてほしかった。

スチュー派。
いいですね。

王道です。

心の力。
やはり一番だと思います。

東日本大震災で、店も家も、
全部流されてしまった気仙沼の、
熊谷電気㈱の熊谷光良さん。

『建物も商品もみんな流されてしまいました。
しかしお陰様で、家族も社員も全員無事でした。
多くのものをなくしたけれど、
商売で大切なものはひとつも失っていない』

やはり心の力は、一番初めに必要だと思います。

頭の力、技の力は、
テクノクラートやスペシャリストを雇用したり、
パートナーになってもらったり、
場合によっては他力を活用できます。

理念武装、理論武装、技術武装。
『武装』は森川さんの言う通りかもしれません。

これはびっくりドンキー社長だった故庄司昭夫さんの概念です。

それが偶然にも私の心の力、頭の力、技の力と一緒だったので、
ずっと使っています。

庄司さんは、
商業界で理念武装し、
ペガサスクラブで理論武装し、
ペリカンクラブで技術武装した、
そう語っていました。

成長志向の経営者ならば、
『武装』と言ってもいいかもしれません。

御助言ありがとうござます」

私は「人間力経営」は、
三つの力によって成り立っていると考える。
1.心の力<理念武装>
2.頭の力<理論武装>
3.技の力<技術武装>

そして「人間力経営」とは、
三つの力の「掛け算の積」である。

森川さんの指摘は、
心の力を3番目にもって来てはどうか、とういうもの。
それと「武装」という言葉のニュアンスについて。

私の解は、メールの通り。

しかしこういった対話や対論が、
とても必要なこと。

森川さんに感謝したい。

さて講演の後は、
折兼の伊藤進康会長と伊藤社長、
そして午後の講演を担当する岩田松雄さんと、
昼食をご一緒した。
20121121165558.jpg
岩田松雄さんはスターバックスジャパンの元CEO。
現在は、リーダーシップ コンサルティング代表で、
執筆、講演で大活躍中。

岩田さんもほぼ毎日更新のブロガー。
「岩田松雄’s Official Message Blog」

来年1月9日に東北シジシーの新春講演会でもご一緒する。
今から、楽しみだ。

そして今回の「白熱教室」を担当してくれたのが、
秋田豊晴さん。
㈱折兼営業企画グループマネジャー。
20121121165617.jpg
秋田さんは、今秋の商人舎USA視察研修会specialコースに、
参加してくれた。

お世話になりました。

ミッドランドスクエア正面に飾られたクリスマスツリー。
20121121165630.jpg
最近、クリスマスツリーとのツーショットが多いような気がするが、
それでも力いっぱい講演して、
自分で講演しながら、元気と勇気が湧いてきた。

心から感謝。

<結城義晴>


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.