結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年03月02日(土曜日)

「球春」に胸躍る季節、生協PBの「消費増税後値段据え置き措置」

3月2日。
明日はひな祭り。

売場はどの店も、
桃の節句一色。

春ですね。

さて今日から、
ワールドベースボールクラシック(WBC)開幕。
日本代表は三連覇を視野に入れる。

ナショナリズムを煽り立てることもできるだろうが、
野球ファンにとっては「球春」がいち早くやってくる。

今日から水曜日6日までが一次ラウンド。
日本はブラジル、キューバ、中国と闘って、
2番手までが二次ラウンド。
それが8日から12日まで。

WBCには16カ国が参加。
一次ラウンドは、4カ所に分かれて行われる。
福岡、台中(台湾)、サンフアン(プエルトリコ)、フェニックス(米国)。

上位2カ国が東京とアメリカのマイアミで二次ラウンド。

日本チームは一次が福岡、二次は東京。
地元で試合をするのだから、
これは盛り上がる。

そして決勝ラウンドが17日から19日まで。
こちらはアメリカ・サンフランシスコで開催される。

一方、春の甲子園大会3月22日から13日間。
第85回選抜高校野球大会。

プロ野球はセパ両リーグともに、
3月29日金曜日開幕。

だから甲子園の最後のピークと、
プロ野球開幕が重なって、
野球ファンには堪えられない春が展開される。

その先駆けが、今夜のWBC。
野球ファンは大いに楽しみたい。
それを商売に結び付けることも、
積極的に試みたい。

さて、来年4月の消費税増税に対して、
最初の動き。

それは全国の生活協同組合。
日経新聞の昨日の記事。

プライベートブランドの主力商品において、
消費税込みの販売価格を、
消費増税後も据え置く。

そのために日本生活協同組合連合会(日生協)が、
供給しているコープブランドの卸値を約5%引き下げる。
それを原資として各生協が消費増税後も、
増税前と同じ価格で提供する。

消費税の問題のひとつは、
「総額表示」の義務付けにある。
つまりは内税方式。

2004年から、これが義務付けられた。

私はそれを外税にすべきだと思う。
納税者にも税を納めていることを、
しっかり認識してもらって、
むしろ納税の義務を果たす行為に、
誇りを持ってもらうのがいいと思う。

それを生協が増税が正式決定する前から、
据え置きと発表するのは、
消費税対策を産業レベルで考え、対応することに対して、
なし崩し行為となる。

据え置き対象は、
「コープベーシック」310品目。
コープブランド約3800品目は年商4100億円。
ベーシックは500億円。

ちなみに全国の生協の年間売上高は3兆3000億円。
シジシージャパングループが4兆円を超えるから、
総年商では、イオン、セブン&アイ・ホールディングス、
そしてCGCの次に位置づけられる。

政府が軽減税率を導入しそうもないから、
「生協が自らそれをやろう」といった意図もあるのだろうが、
私はこの時期に、困った独断専行だと思う。

軽減税率とは、商品を「生活必需品と贅沢品」とに区分けし、
それを非課税にしたり、低税率にする方式。
当然、ベーシックな食料品はその筆頭になる。

生協は生協らしい考え方で、
自らコープベーシックを軽減税率化しようというのだろう。

セブン&アイの鈴木敏文会長は、
「増税分はそのまま転嫁できない」と発言しているが、
この「生協に追随する動き」が出る可能性があると、
日経新聞は書く。

しかしこれが大勢を占めるとなると、
「三方1%損」となりかねない。

大岡政談の「三方一両損」はよくできた話だが、
消費増税の三方損は、
製造業、卸売業、小売業。
それぞれが1%ずつ損をして、
増税前と同じ値段にする。

これを私は「三方1%損」と呼ぶ。

しかしそんなことを続けていたら、
消費税率が10%、15%、20%と上がって行った場合、
「三方3%損」から「三方5%損」まで、
エスカレートしていくことになる。

私は基本的に外税にして、
一般消費税を納めるという義務を、
国民に明確に意識しつつ、
誇りにしてもらうことが筋だと思う。
社会保障・税一体改革関連法案の趣旨を、
あくまで貫くためにもそれは必要だ。

小売業や卸売業、製造業は、
税とは関係なく、日常的にそれぞれの努力でコスト削減をし、
それを顧客に還元する。

こちらはこちらで、
正々堂々の競争をすればいい。

消費増税に絡めて、
「自分だけ、あるいは自分が最初に」という根性は、
よろしくないと考えるが、いかが?

球春に胸躍る3月。
水を差す行為は、ふさわしくない。

〈結城義晴〉


2 件のコメント

  • 結城先生へ
    消費税の外税表記には賛成です。軽減税率は消費税が8%段階では、主に流通業界のシステム切り替え問題で見送られましたが、10%段階では軽減税率は確実に導入される見込みです。
    軽減税率の問題は製造・卸・小売の3社が真摯に取り組む課題と思います。内税化してまうとどの商品が軽減税率の摘要品が消費者は区別できなくなってしまいます。

  • いまちゃん、ご意見、ありがとうございます。
    同感です。
    小売業界、卸売業界、製造業界を挙げて、
    外税方式への運動を展開すべきでしょう。
    小売りはその先頭に立つべきでしょう。
    いまこそ、協会や団体の結束力が問われます。

    こういった運動のために、
    各協会の協力や統合があるのです。

    ただ、統合するのではなく。
    会社の合併やM&Aも、
    ただ規模を大きくし、利益の拡大を狙うのではなく、
    それによって何をするかが最も重要なことです。

    今、政治的ノンポリシーは、
    頂けません。

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