結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年03月14日(木曜日)

ウォルマート小型店115出店とニトリ「大企業病処方箋」6段階評価

考えてみると今日は、
ホワイトデー。
ひどく忙しくて、夜、
そのことに気がついた。

ホワイトデー商戦、
いかがだったろうか。

日経新聞夕刊に『フォークの時代』の連載。
音楽評論家の富沢一誠が綴っている。

第2回の今夕に登場するのは、
岡林信康と吉田拓郎。

「1960年代後半から70年代は、
怒れる若者の季節と呼ばれた」

「フォークの神様」岡林信康の代表曲は「友よ」。
岡林はこの歌で「反体制の英雄」となる。

吉田拓郎は若者全体にフォークを浸透させた。
拓郎は「若者の英雄」になった。

「反体制の英雄と若者の英雄」

岡林は「私たちの歌」、
拓郎は「私の歌」。

岡林の「私たちの望むものは」。
拓郎の「今日までそして明日から」、
「私は今日まで生きてみました」。

岡林の〈連帯感〉、
拓郎の〈共感〉。

富沢はこの二人を、
「フォークの核」と象徴的に表現する。

私は完全に拓郎世代だが、
仕事をするにあたっては、
〈連帯感〉と〈共感〉、
ともに欲しい。

連帯感を強要する向きが多いが、
共感に支えられていなければならない。

やはり日経新聞夕刊の『ウォール街ラウンドアップ』。

ジェフ・イメルトの「株主への手紙」を紹介。
米国ゼネラル・エレクトリック会長の予想。
「2013年は『リセット』時代の
典型的な1年になる」

「リセット」とはイメルト流の表現で、
「構造変化」を意味する。
例えば政府の役割の増大、
金融ビジネスの変質、
製造業への回帰といったこと。

日米ともに構造の変化が起こる。

そのアメリカのウォルマート。
米国事業プレジデントのビル・サイモンがコメント。
「小型フォーマットの出店を加速させる」
6万平方フィート(約1700坪)以下の店舗を、
今年度115店舗出店の予定。

ウォルマートが自ら「小型店」という場合、
6万平方フィート以下の店を示す。

ウォルマートはマルチ・フォーマット戦略を採用している。
第1に最大面積のフォーマットは、
7000坪まで広がったスーパーセンター。
衣食住薬の総合スーパー。

第2はメンバーシップホールセールクラブのサムズ。

第3は非食品総合ストアのディスカウントストア。
これは1996年以降、縮小し続ける。

第4が食品スーパーマーケットで、
バナーは「ネイバーフッドマーケット」。
約1200坪。

今後は「ウォルマート・マーケット」と称する。

そして第5がウォルマート・エクスプレス。
これが400坪くらいで、最新フォーマットの実験店。

「小型店」は第4と第5のフォーマット。

ビル・サイモンの発言では、
ネイバーフッド・マーケットは、
2016年までに500店舗を目標とする。
今年1月末の店舗数は、267。
昨年1月末、210店。
一昨年は184店、その前が154店、
その前が150店。

このところ、1年間に4店、30店、26店とつくってきて、
昨年度は57店の出店。

急速な出店を目標としている。

いちばん小型のエクスプレスは、
今年1月末で19店。

ウォルマートにとって、
小型店大量出店時代がやって来ている。

アメリカでも、スーパーマーケットやドラッグストア、
そしてダラーストアの閉店、退店が激しい。
その退店後に居抜きでの出店が可能となる。
それがウォルマートの小型店大量出店時代を支えることになる。

さて今日、最後の話題。
日経電子版の「経営者ブログ」。
似鳥昭雄さんが毎週金曜日に書いている。
ニトリホールディングス社長。

2週前のブログタイトルは、
「大企業病の克服は6段階評価」。

「ニトリは新興企業というイメージもありますが、
最近はちょっとした大企業病にかかっています」

このブログ、社内向けのメッセージだと感じた。
「商品の開発スピードが遅れたり、
お客様が求める『使う、買う立場』ではなく、
『作る、売る立場』からの商品づくりや発想になっています」

この大企業病への似鳥さんの処方箋。

第1は教育。
「社員に自己育成の時間を与えて、
ストアコンパリゾンや語学などの勉強をしてもらう」

その一環として第2に「評価制度」を変えた。

かつては5段階だった。

5段階では75%程度の人が3評価になる。
そして「それで満足してしまいます」。

しかも「4に近い3だと勘違い」する人間が多い。

そこで6段階評価にした。
結果、4よりも3評価の社員が増えた。

みんなびっくりした。
「4と思ったら、3だと」

似鳥さんは言う。
「みんな中の上が好きなんです」。

この評価法は面白い。

その上で第3に「配転教育」を施す。
「大企業病を克服するためには、
配転を早めていかないとだめですね」

しかしここから「連帯感と共感」が、
生まれて来なければいけない。
上意下達で、教育・評価・配転を施しても、
そこから連帯感と共感が熟成されなければ、
大企業病からは抜け出せない。

これは大企業に限らない。
「中小企業の大企業病」ほど、
恐ろしいものはない。

最後に似鳥さんの述懐。
「私がニトリからいなくなっても競争力を維持できるか、
今のうちに準備する必要があります。
米ウォルマート・ストアーズは、
創業者の死後もさらに成長しています」

「経営者の評価は
その死後の50~100年後に
決まるものだと思っています」

ウォルマートには、
驚くほど大企業病がない。

似鳥さんもそれを目指す。

私は新しいテーマへのチャレンジこそ、
大企業病への処方箋だと思う。

「小型店」の115店出店も、
ウォルマートの2013年度のチャレンジである。

〈結城義晴〉


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