結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年08月28日(水曜日)

髙島屋・肥塚見春代表取締役誕生と女性登用の歴史的皮肉問題

今日は勇んで、東京ドームへ。
20130828192043.jpg
後楽園ホテルで、会合。

と思ったら、とんだ勘違い。
明日でした。

そんなこともあります。

さて高島屋に、
初の女性代表取締役。

女性の年齢を記すのは失礼かもしれないが、
肥塚見春取締役、57歳。

なぜか日曜日の9月1日付で、
代表取締役専務に昇格。

髙島屋では、初めてのこと。

とは言っても、肥塚さんは、
岡山高島屋社長として、
今年2013年2月期に、
5期ぶりの黒字化を果たした。

それが評価され、
5月に本体の高島屋取締役へ昇格。
さらに3カ月で代表権を持つことになった。

髙島屋は女性の登用に積極的だ。

昨2012年には、
正社員数で、女性が男性を逆転。

昨日の商人舎magazine。
Daily商人舎の記事でも、
日本マクドナルドの原田泳幸社長兼CEOの後任は、
女性のサラ・カサノバさん。

日経新聞今日の夕刊一面トップでは、
「女性幹部 登用アピール」の記事。

上場企業が次々に、
女性の登用状況を開示し始めている。
「コーポレートガバナンス報告書」のなかで、
女性の取締役や監査役の人数を公表。
女性管理職数や今後の登用目標の公開も始まる。

この記事では小売業で、
百貨店のJフロントリテイリングが挙げられている。
10人の取締役のうち1人が女性。

1986年、
男女雇用機会均等法が施行。

このころ入社した女性社員は、
現在50歳前後。

経営幹部適齢期。

しかし帝国データバンクの今夏の調査。
課長以上の管理職に占める女性の割合、
10%未満の企業が81%。

あなたの会社はいかが?

わが商人舎は33%。

『日経ビジネス』の今週号。
第1特集は「女性昇進バブル」
こちらはずいぶん皮肉っぽい。

「我が社の救世主か 疫病神か」とサブタイトル。

――多くの企業が今春から、
女性管理職の“大量生産”に乗り出している。

しかし、社会環境未整備のままの
“女性昇進バブル”。

それが混乱をもたらし始めている。

記事のタイトルは、
「想定外の混乱続出」
「女で地獄と化す職場」
「女性部下イジメ地獄」
「男性差別地獄」
「ロールモデル地獄」
「制度ぶら下がり地獄」

日経ビジネスオンラインでは、
ジャーナリスト白河桃子さんにインタビュー。
「婚活」概念の生みの親。

――蓋を開けてみると実際は、
女性活用や両立支援を
これまでやってきた企業ほど、
混乱に直面しています。

――育児休暇や時短勤務など、
女性が働きやすい環境を整備したら、
せきを切ったように一度に産む人が増えて、
辞めない人が思っていた以上に出て、
今になってアップアップしているのです。

――時短勤務取得者は激増。
子持ち女性が働きやすい、
いわゆる「ママ部署」はもう
人数がパンパンで入れる余地がない。

――女性活用支援制度が、
かえって経営の重荷になっている。

民主的な組織を志向するほど、
民主主義から遠ざかっていく。

この皮肉。

白河さんの結論。
「男性の考え方、視点で
女性に優しくしようとした
から
失敗したのだと思います」

組織では女性に、
優しくなくていい。

みんなが自分の役目を果たせばいい。

――今の日本の昇進制度は、
男性と同じ働き方をして初めて
昇進できるシステムです。

――女性活用が進めば進むほど、
この制度は機能しなくなってきます。

故渥美俊一先生の言葉を思い出す。
「男並み女を登用すればいいんだ」

――昇進レースから降りる人が続出します。
男性は、そのような
「男と同じように戦う」ことをあきらめた人には
非常に優しい。

――今の女性活用制度の多くが、
「本当にこの人たちに残ってもらわなければ困る」
といったことを前提に設計されていないのです。

――だから、女性に優しい企業って、
根本的なところでは多様性を推進していない。

「女性に優しい」
「地球に優しい」
私はこの言い回し、大嫌い。

――今、女性活用推進企業で起こっている混乱は
「ぶら下がるという既得権益の争い」にほかならない。

――その結果、ハイパーに頑張る人と、
時短でそこそこ働く人と、
女性の働き方が二極化しています。

経営者に求められていること。
――女性を特別扱いして
枠に囲って延命する「女性活用」ではなく、
特別扱いしなくても普通に働けるよう、
働き方全体、残業、時間当たりの生産性、評価といった
働き方の根幹から改革すること。

白河さんがモデルになると挙げた事例。
――一番良い例は小学校、中学校などの教員です。
市場のあるところはそれで上手く回しています。
これに似た動きがもっと広がれば素晴らしいと思います。

これはつまり「代用教員制度」。
代替要員を容易に補充できるような
労働市場を整備すること。

ん~、どうだろうか。

今日、日程を間違えた東京ドームホテル。
UAゼンセン流通部門の第1回労使懇談会だった。

私はパネルディスカッションのコーディネーター役。
明日のディスカッションの時に、
パネラーに質問してみよう。

しかし、まことに皮肉な現象が
起こるところにこそ、
問題の本質が存在する。

歴史がそれを証明している。

〈結城義晴〉


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