結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年03月09日(水曜日)

プルシェンコの「後悔」とフードサービスの「再生新戦略」

新聞各紙の社説や巻頭コラムで、
ウクライナのことが書かれていないと、
なんだか不満を感じてしまう。
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私もウクライナ・ストレスに陥っている。

21世紀にはいって22年目になるのに、
ウラジーミル・プーチンの暴挙は、
まったく20世紀的だ。

コロナは時間を早める。
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そう言ってきたが、
プーチンによって、
巻き戻しの時間が早まった。

ただし巻き戻されても、
プーチンとロシアの未来は暗い。

ロシアのスポーツ界。
プーチン寄りの態度を鮮明にする。

男子体操選手イワン・クリアク。
カタールのワールドカップにおいて、
平行棒の種目で銅メダルを獲得。

表彰台に立つときに、
レオタードの胸に「Z」の文字をつけた。
これはウクライナ侵攻のロシア側のシンボルで、
戦車や軍用車の側面などにペイントされている。

国際体操連盟が調査を進めている。

一方、エフゲニー・プルシェンコ。
フィギュアスケート男子の金メダリスト。
2006年トリノ冬季オリンピックのスター。
プルシェンコ
自身のインスタグラムに投稿。
「私はロシア人。人種差別をやめろ」
ロシア人への人種差別をやめろ、
と言っている。

「ロシア人であることを誇りに思っている。
ジェノサイド(民族大量虐殺)をやめろ。
ファシズムをやめろ」
これはウクライナに対する、
的外れのコメントだ。

誇りに思うことはいいけれど、
書いていることはプーチンそのもの。

私たちから見ると、
洗脳されているということになる。

ロシア国内ではそういった発言が、
あふれているのかもしれない。

一流のアスリートたちも、
やがて後悔することになるだろう。
ロシアの未来は明るくない。

私は大学時代、
第二外国語でロシア語をとって、
2年間勉強した。

それほど積極的に選んだわけではないし、
熱心に勉強したわけでもない。

ロシア語には6つの格があって、
その格変化を覚えるのが大変だった。
主格、 属格、与格、対格、造格、前置詞格。

もう、思い出したくない。

ロシア語のクラスには、
変な奴ばかりが集まっていた。

イトーヨーカ堂に入って、
販促のプロになった間中雄一君も、
確かロシア語クラスだった。

当時はソビエト連邦だったが、
何となくロシアに好感を持っていた。

将来、役に立つだろうなどという打算は、
まったくなかった。

ロシア文学の巨匠たちに対して、
それとなくあこがれもあったのだろう。

しかし今、
ロシアの未来は暗然としている。

さて日経新聞の社説。
「外食産業は再生へ新戦略を」

珍しくフードサービスを取り上げてくれた。

「新型コロナウイルスの感染拡大で、
最もダメージを受けたのが外食産業だ。
想定を超えた逆風だが、思い切って
事業構造を転換する機会でもある」

よくある「ピンチがチャンス」の論法だ。

日本フードサービス協会の発表。
2021年の外食売上高は、
コロナ前の19年比で16.8%減。

特に業態間の差が大きい。

21年のファミリーレストランは、
19年比で29.7%減、
パブ・居酒屋は同72.8%減。

「経営努力だけでは対応できないレベルだ」

有力チェーンの明暗もくっきり。

日本マクドナルドホールディングス。
21年12月期決算は増収増益の絶好調。

ロイヤルHDやすかいらーくHDは、
ひどい減収が続く。
居酒屋主力のワタミは40店閉鎖など、
追加リストラ策を公表した。

社説の決めつけ。
「マクドナルド一人勝ち」
マクドナルド

社説のマクドナルド分析。
「デジタルやデリバリーへの備えが
できていたことが大きい。
さらにごはん製品など
夜型メニューで新たなニーズをつかんだ」

ん~。

マクドナルドが、
ファストフード業態であることが、
絶好調の最大要因だ。

だから同じファストフード主体の、
日本KFCホールディングスも、
モスバーガーも絶好調。

マック一人勝ちではない。

ファミレスのロイヤルやすかいらーく、
居酒屋のワタミなどは、
接客を伴う業態だから、
悪いのは当たり前。

この社説には、
業態の概念が希薄だ。

「短期的な変化にも見えるが、
外食は構造的な変動に直面していた」

外食でも構造的な地殻変動はあった。

「少子高齢化や一人世帯の増加などにより、
ファミリー向けは停滞」

「居酒屋については、
若い世代の”宴会離れ”が進んでいた」

これは客層の問題で、
表層的な見方だ。

同じファミリー向けであっても、
食品小売業のロピアなど絶好調だ。

「仮にコロナが落ち着いても、
外食企業にとって過度な店舗依存ビジネスは
リスクが大きいことを突きつけられた」

そうだろうか。

外食産業の業態の本質は、
「場の提供」にある。

内食は家庭内で食べる。
外食は家庭外で食べる。
つまりレストランで食べる。

中食はその中間。

その本来の機能を強化せずに、
隙間に逃げてしまっては、
外食の存在価値がなくなる

「今後は時間と空間に縛られない
新たなビジネスモデルづくりが急がれる」

「時間と空間に縛られず」は、
わけがわからない。

「例えば脱・店舗型のビジネスだ」
これも浅い見方だと思う。

その場しのぎならば、
脱店舗も必要だろう。

「ロイヤルHDではネット宅配など
店舗以外での食体験の拡大を急いでいる」

「最近ではデリバリーに特化した
“ゴーストレストラン”という業態も増え始めた」

「ワタミも居酒屋を閉鎖しながら、
宅配やテークアウト型にシフトしつつある」

ワタミはあくまでも、
ワタミのブランド強化に努めねばならない。

それができれば宅配やテークアウトも、
より充実を図ることが可能となる。

ワタミ渡辺美樹会長兼社長。
「居酒屋はコロナ前水準には戻らない」
渡辺さんの言葉は正しい。
渡辺美樹②

ただしそれは、
宅配業やテークアウト業に、
業態転換することではない。
それはそれで克服困難なコストの壁がある。

現在の状況を見るだけでも、
外食はまず、
ファストフード化すべきなのだ。
現にそうしている企業も多い。

社説で外食を取り上げてくれるのは、
ありがたい。

しかし、深く考察してほしい。
外食の豊かで明るい展望を、
本質的な視点から描いてほしい。

深い考察がなければ、
ピント外れになる。
プルシェンコのように。

〈結城義晴〉


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