結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年03月20日(日曜日)

年金生活者5000円支給と「平和ボケ産業」

年金生活者への給付金。

年金受給者を対象に、
「臨時特別給付金」の支給が検討されている。
一律5000円程度、1回限り。
対象者は約2600万人。
総額1300億円。

7月の参院選前の支給を目指すが、
名目は新型コロナウイルス対策の生活支援。

朝日、毎日、日経各紙が社説で批判した。

毎日新聞は3月17日朝刊。
「年金受給者に5000円案
選挙対策にしか見えない」

「今夏の参院選を前にした
露骨な”バラマキ”と言われても
仕方あるまい」

朝日新聞は3月18日。
「年金給付金
理のない施策、撤回を」

そして日経新聞は3月20日。
「与党は選挙のたびに給付金を配るのか」

「選挙の票を目当てに
有権者に給付金をばらまくような政策は
言語道断だ」

世界はウクライナ戦争の真っただ中にある。
その陰で姑息な選挙対策の金のバラマキ。

日本の政府と与党は平和ボケしている。
野党も五十歩百歩だ。

5000円は小学生のお年玉にも満たない。
高齢者たちも馬鹿にされたものだ。

だからといって5万円ならば、
喜んで支給を受けるか。

私も年金受給者の一人となっているが、
私たちの給付金の総額を、
ウクライナ支援に寄付しても足りない。

判断の自由はある。

COVID-19パンデミックの次に、
ウクライナのプーチン戦争が起こった。
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そこでは「自由の尊厳」が問われている。

政治思想史学者丸山真男。
1914年に生まれ、1996年に没した。
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「自由は置き物のように
そこにあるのでなく、
現実の行使によってだけ守られる、
いいかえれば
日々自由になろうとすることによって、
はじめて自由でありうる
ということなのです」

ウクライナの民は今、
自由になろうとしている。
それがすなわち自由でありうる、
ということだ。

丸山真男。
「その意味では、
近代社会の自由とか権利とかいうものは、
どうやら生活の惰性を好む者、
毎日の生活さえ何とか安全に過ごせたら、
物事の判断などは
人に預けてもいいと思っている人、
あるいはアームチェアから立ち上がるよりも
それに深々とよりかかっていたい
気性の持主などにとっては、
はなはだもって
荷厄介(にやっかい)なしろ物だといえましょう」
(『日本の思想』1961刊より)
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丸山真男は日本の政治学を、
学問として確立し、
戦後日本の民主主義思想を主導した。

私もアームチェアに深々と沈み込んで、
立ち上がりたくはないというときもある。

しかし毎日の生活さえ何とか安全に過ごせたら、
物事の判断など人に預けてもいいとは思わない。

だから年金受給者への5000円給付には、
腹立たしい気持ちでいっぱいだ。

ユヴァル・ノア・ハラリ。
その著『21Lessons』
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第3章は「自由」

「自由主義の物語は、
人間の自由をもっとも価値あるものとして
大切にする」

「あらゆる権限は最終的には、
個々の人間の自由意志から生じ、
自由意志は各自の感情や欲望や選択の中に表れると、
この物語は主張する」

ウクライナでは、
この自由が奪われようとしている。
いやロシアでも中国でも、
これらの自由が担保されているかどうかは、
極めて疑わしい。

ハラリ。
「政治では、
有権者がいちばんよく知っていると、
自由主義は信じている。
だから民主的な選挙を支持する」

「経済では、
顧客はつねに正しいと、
自由主義は断言する。
だから自由市場の原理を歓迎する」

「私事では、
他者の自由を侵害しないかぎり、
自分に耳を傾けたり、自分に忠実であったり、
自分の心に従ったりすることを、
自由主義は人々に勧める。
この個人の自由は、
人権の中に大切に謳われている」

この自由が、
毎日の生活の惰性の中で、
当然のように与えられるものだと、
勘違いしてしまう。

それが平和ボケである。

商業は人間産業である。
地域産業であるし、
平和産業である。

だが平和ボケ産業となってはいけない。

〈結城義晴〉

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