結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年11月02日(水曜日)

大久保恒夫・林廣美両講師とニューヨークへ/マンハッタンのイノベーションに遭遇

11月に入って、2日。
こちらでは昨日のニューヨーク株式市場で、
ダウ工業株30種平均が1万1657ドル96セント。
前日よりも297ドル05セント下がった。
これはマイナス2.5%。

先月下旬の10月20日以来の安値。
「欧州不安」が再燃し、株式市場がすくみあがっている。

さて、11月。
祝日は、ふたつ。
明日の11月3日「文化の日」と、
第4週の水曜日11月23日の「勤労感謝の日」。

昨年に続き今年も、
文化の日、勤労感謝の日とも、
三連休とはならない。

一昨年は勤労感謝の日が月曜日で三連休。
一昨昨年は、すごかった。
文化の日が月曜日で三連休、
勤労感謝の日は日曜日で月曜が振り替え休日となり三連休。

商売はやはり三連休がいい。

去年、今年と、それがない。

ただし、毎年のことながら、
11月にはいくつもの節目がある。

文化の日に続いて、
11月8日(火曜日)が立冬。

夏至と冬至が1年を二つに分ける。
その真ん中は、秋分の日。
この秋分の日と冬至の真ん中が、立冬。
「冬の気配が立つ日」。

それから11月15日(火曜日)は、「七五三」。
ただし多くの場合、12日の土曜日、13日の日曜日に、
七五三のお祝いが行われる。

11月17日(木曜日)はボジョレーヌーヴォー解禁日。
西友では、17日午前0時から発売。
それも「マスター・オブ・ワイン」といわれるフィリッパ・カール監修のヌーヴォー。
各社とも趣向を凝らして、解禁日に臨む。

そして11月23日水曜日の「勤労感謝の日」。
新嘗祭(にいなめさい)の日を起源として始まり、
その趣旨は「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」。

私は毎年、勤労感謝の日は、
「商業にとって特別の日」だと言い続けている。
「勤労を感謝する日に勤労する」のが小売業・サービス業だからだ。

従って、11月の商人舎標語は、
毎年、恒例で、同じフレーズを使う。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」

朝、店のシャッターを開ける。
その時には、心に希望を。

昼、店にお客様を迎える。
ひたすら努力。

夕に、店を閉める。
夕ではなく、夜だったり、深夜だったり、
あるいは24時間営業の店があるから、
その場合には、その日の終わりの瞬間、
心から感謝。

毎日は、この繰り返し。

だから、「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」

勤労感謝の日が終わると、
クリスマス年末商戦に突入。
そんな11月。

私は、怒涛の10月が終わって、
ちょっと余裕が出る。
しかし第1週に帰国し、
第2週は立教大学大学院結城ゼミ生の卒業論文仮提出の締め切り。
12日土曜日です。
みなさん、頑張って。

翌第3週の15日、16日は、
コーネル大学RMPジャパン補講の日。
サミットのご協力で、
レイバースケジューリングの実習。
一番人気のある講座。
よろしく。

この週の金曜日18日は、
日本チェーンストア協会主催のパネルディスカッション。
「東日本大震災への製配販の対応」
私がコーディネーターで、
パネラーはイトーヨーカ堂、日清食品、三菱食品から。

第4週は講演などが入っていて、
第5週は29日から中国上海視察。

なんだかんだ言いつつ、
11月も忙しい。
「心を亡くさない」ように気を付けたい。

さて、今、ニューヨーク・マンハッタンのパーク・セントラル・ホテル。
昨日は、朝8時すぎに、
ワシントン・ユニオン駅に到着。
駅は改装中。
20111102190906.jpg

通勤客や旅行客が次々とやってくる。
20111102190916.jpg

ワシントンD.C.に3日間いて、
ニューヨークへ移動する。
20111102190941.jpg

今回はアムラック-56の列車の旅。
今年は列車旅行が多い。
先日はケルンからパリまで、
タリスの旅だった。
これもドイツ・ベルギー・フランスの農村が見られて、
とてもよかった。

マンハッタン・グランドセントラル駅までは、
3時間半の旅程。
20111102191000.jpg

始発電車だから、全員が同じ車両に乗り込む。
列車での移動は、心が落ち着く。
20111102193238.jpg

海辺を走り。
20111102191026.jpg

川を渡り。
20111102191035.jpg

12時半、少し遅れたが、
着きました。
グランドセントラル駅。
20111102191101.jpg

政治の街、ワシントンD.C.とは違うニューヨークの活気。
20111102191051.jpg

マンハッタン最初の視察店は、
超話題のイータリー。
20111102191121.jpg

昼時とあって、店内は超混雑。
20111102191139.jpg

TVクルーまでやってきて、ビデオ撮影。
20111102191154.jpg

われわれも、イータリーで昼食を楽しむ。
店内には10カ所のイートインスペースがある。
立って食べるスペース。
20111102191207.jpg

美味しいイタリアンとワイン。
20111102191216.jpg

ニューヨーカーの気分。
20111102191225.jpg

私たちは、店内レストランで、
席をとって、野菜料理を食べた。

これがおいしかった。
林廣美先生も、
「野菜料理に新たなヒントを得た」とご満悦。
20111102191237.jpg

次の視察は、
デュアン・リード・ウォールストリート店。
20111102191312.jpg

全米の話題の2店舗を真っ先に見る。
今回の研修会のテーマである「融合」を体感してもらうため。
20111102191338.jpg

百貨店のようなハイソサエティな売り場。
そこで展開される「フードとドラッグ」の融合。
20111102191351.jpg
すばらしい。

そして次に向かったのはディーン&デルーカ。
20111102191421.jpg

ニューヨーク・デリの繁盛店。
20111102191439.jpg
デリを中心にしつつ、
スーパーマーケットの部門構成をもつ。
しかしイータリーが出現してから、
やや古さを感じさせる。

店に入ってすぐに参加者は、
人気のショッピングバックのコーナーへ。
スタッフが商品を補充するほど、売上げに貢献。
「異常値」をたたき出した。
20111102191451.jpg

50メートルほどのところにあるユニクロ・ソーホー店。
20111102191506.jpg

ニューヨーク第1号店でのユニクロは、
すっかり定着。
ニューヨーカーが目の色変えて、
ヒートテックを買いあさる。
20111102191520.jpg

林先生も、ヒートテックをお買い上げ。
20111102191542.jpg

夕方になってしまったが、
定番のゼイバーズ。
20111102191609.jpg

「まあ、なんということでしょう!」
20111102191639.jpg
圧巻のチーズ売場。

最後は、驚きのマンハッタン内ショッピングセンター。
20111102191652.jpg
1000台は入るかという立体駐車場。

そして2階にターゲット。
ウォルマートと覇を競うスーパーセンターが、
マンハッタンに登場。
20111102191750.jpg

総面積が若干狭いので、
食品を絞り込んだ。
20111102191838.jpg
しかし牛乳など、品切れ寸前の売れ行き。
きちんとターゲットらしさを出した。

1階にコストコ。
20111102191920.jpg
これまたコストコの良さを失っていない。
両サイドの定番ラック売場はそのまま、
中央のシーゾナル売り場を大胆にカットし、
レジのそばに移動させた。
20111103034654.jpg
「絞り込み方はこうする」のお手本。

3階にベスト・バイ。
全米ナンバーワンの家電店。
20111102191934.jpg
全米チェーンストアランキング第9位。
年商371億ドル(3兆7100億円)、1312店。
20111103063452.jpg
3階にはギャップのオールドネイビー。
全米第1位のカジュアルファッションチェーンの低価格店舗。
20111102191946.jpg
ギャプは全米チェーンストアランキング第30位。
米国内年商117億1800万ドル、世界年商145億ドル。

オールド・ネイビーは、こういった大型店がいい。
そのパワーが発揮される。
20111103063504.jpg
かくして、マンハッタンに登場したパワーセンター。
大繁盛間違いなし。

私が保証するまでもない。

ディベロッパーの勝利。
すごい。

マンハッタンの商業機能が、
変わりつつある。

と、感動していたら、
急にサイレンが鳴って、
停電。

救急車まで出動した。
20111102192022.jpg

慌てて退避。
20111102192036.jpg
私はベスト・バイの店内にいたが、
真っ暗になって、サイレンが鳴り響いた。

ニューヨークだけに、
新手のプロモーションかと思ったら、
停電。

何が起こるかわからないニューヨーク。
刺激的な時空に身を置く。

それがまたいい。
(続きます)

<結城義晴>

2011年11月01日(火曜日)

ワシントンD.C.で訪れたWWWTとお客様と従業員の、お客様と従業員のための、 お客様と従業員による店づくり。

大久保恒夫。
㈱セブン&アイ・フードシステムズ社長、
㈱セブン&アイ・ホールディングス取締役。
20111102084159.jpg
林廣美。
日本フードサービス専門学院院長。
20111102083145.jpg
今、ワシントンD.C.でご一緒しているお二人。
明日の11月2日、それぞれがテレビにご出演。

大久保さんは、NHKのEテレ『仕事学のすすめ』
「こうして企業は再生する」と、
サブタイトルがつけられている。

林先生は『ひるおび』
こちらはTBS系で放映されるお昼の番組。
「総菜の達人直伝!」というコーナー。

是非、是非、ご覧下さい。

さて、そのお二人と、
「ジョージ君」こと浅野秀二先生、
そして結城義晴の4人が講師陣を務めるUSA研修会。

経営戦略SPコースと商品戦略MDコースが合流して、
ワシントンD.C.での二日目を迎えた。
20111101190516.jpg

すばらしい1日だった。

朝一番で、ウェグマンズを訪問。
20111102083803.jpg
言葉にならないほどいい店で、
しかもインタビューに答えてくれたマイク店長が、
またナイスガイ。
20111102083828.jpg
世界最高峰のレベルを示してくれた。

約束ばかりしている感じがするが、
この店の紹介は、帰国してからじっくりと。

そのあと、ウォルマートへ。
20111102083852.jpg
これが面白かった。
ふるいロゴが奥、
新しいロゴが手前。
両方のロゴが並ぶ店。

1962年にサム・ウォルトンが始めたディスカウントストア。

それが「ウォルマート」。
非食品総合ストア。

その後、1987年にハイパーマートUSAという実験が行われた。
これはフランスのカルフールをモデルにしたフルライン総合スーパー。
サム・ウォルトンも存命だった。

このハイパーマート実験は成功せず、
しかし翌1988年、ハイパーマートをコンパクトにして、
「スーパーセンター」がお目見え。

それ以来、日々、すさまじい改善改革が進められ、
スーパーセンターは最強のフォーマットとなった。

だからスーパーセンターは、
大きな意味で言えばハイパーマーケットという業態の、
ウォルマート仕様のひとつのタイプ。

訪れたのは、ディスカウントストアをスーパーセンターに、
まさに改装真っ最中の店だった。
20111102083840.jpg

ふるいディスカウントストアの部分の左サイドに、
ビニールの幕が張られている。
20111102083914.jpg
その向こう側で改装中。

旧店舗は営業している。
顧客も入っている。
そしてドライ食品の部分だけ、
オープン。
20111102083926.jpg

ビニールのなかをのぞいてみると、
什器が並んでいる。
20111102083938.jpg

もうすぐオープン。

隣に、BJ’sが並んでいる。
20111102083956.jpg
メンバーシップ・ホールセールクラブ第3位。
20111102084011.jpg
だからコストコやサムズ・クラブのようなパワーがない。
売場にそれがよく表れている。

三番目に訪れたのは、
ワシントンD.C.のダウンタウン。
セーフウェイ・ニューライフスタイルストア。
20111102084025.jpg
この店も繁盛していて、
ニューライフスタイルストアのなかでは、
上出来の店。

ここで食事。
20111102084035.jpg

そして9月にオープンしたばかりのホールフーズ。
20111102084120.jpg

キムさんが、かわいい扮装で、
出迎えてくれた。
20111102084140.jpg
「今日はハロウィン!」

地下1階と地上1階に2フロアの都市型小型店。
1階サービスデリとイートインのコーナーが、
月曜日というのに異常に混んでいた。
20111102084130.jpg
ホールフーズは、全米消費者から、
出店を待ち望まれている。

この店の詳細も、帰国してから紹介。
お約束が増えてきて、
11月も忙しくなりそう。

そのあと、トレーダー・ジョーへ。
20111102084049.jpg
ふるい古い店だが、
これまた素晴らしかった。

客数が多い。
一番大事なバロメーター。

そうするとよく売れる。

売れると発注する。
商品部からおすすめの新商品も、
どんどん並べる。

品ぞろえが豊かになる。
だからまたよく売れる。
積極的に、怖がらずに、
どんどん発注する。

だからまたまた品揃えが、
楽しく、面白く、
豊かになる。

またまた売れる。
それがこのトレーダー・ジョー。
20111102084108.jpg

『メッセージ』より「良い品をどんどん安く」。

「良い品をどんどん安く」
この言葉のもつ本来の強靭さは、
生態系のごとく循環の構造を有するところにある。

良い品を売る。
適切な品質を提供する。
すると、顧客は喜ぶ。
そんな顧客が増えると、品はどんどん売れる。

どんどん売れてゆけば、一品一品が安くなる。
売れれば売れるほど安くなる。
「利は売りにあり」で利益が生じる。

利益が、次の良い品をつくることに貢献する。
この新しい「良い品」によって顧客はもっと喜ぶ。
そしてますます、どんどん売れる。
ますますどんどん売れれば、さらに一品一品は安くなる。
安くなるから、いっそう大きな利益が生まれる。
それが、さらにさらに良い品をつくることに機能する。
こうして「良い品」のレベルは飛躍し、
「どんどん」の量は爆発し、
「安く」の水準は国際級になってゆく。

真理は、常に循環しつつ、構成要素そのものを高めていく。
真理は、この体系にこそ宿っている。
真理とは、自ら進化する構造を内包するものなのだ。

だから「良い品をどんどん安く」の一挙実現を図ると、失敗する。
三つの要素をいっぺんに果たそうとすると、挫折する。
仕事や商売の成長と発展に、短絡はない。

いつも三段論法で、一つ一つ確かめながらこつこつと積み上げる。
その蓄積のパワーが、循環の体系を拡大再生産に向かわせる。
循環と螺旋のイメージを解し、信じる者だけに、真理は味方するのである。

WWWTC。
Walmart ウォルマートに、
Whole Foods ホールフーズ、
Wegmans ウェグマンズに、
Trader Joes トレーダー・ジョー。

Costcoコストコこそなかったけど、
WWWTを訪れ、
しかもいずれも素晴らしい店で、
商売の真髄を教授され、堪能した。

その後、閑話休題。
ちょっとだけワシントンD.C.の観光。

まずリンカーン記念堂。
20111101190541.jpg

リンカーン像の前で、お決まりの写真。
20111101190707.jpg

ゲティスバーグの演説。
20111101190554.jpg

その最後のパラグラフ。
20111101190652.jpg
名誉ある戦死者たちが身を捧げた大義に、
私たちも一層、身を捧げること。
戦死者たちの死を決して無駄にしないこと。
神のお導きのもと、この国に自由をもたらすこと。
そして、人民の、人民による,人民のための政府を、
この地上から絶やさないこと。
これこそが、私たちの前に残されている大いなる責務なのです。

すばらしい。

感動した。

そのあとは合衆国国会議事堂へ。
20111101190808.jpg

見晴らしの良いポイントを見つけて。
20111101190753.jpg

お決まりの記念写真。
20111101190834.jpg

大久保さん、林先生、
そして㈱マルト社長の安島浩さんと。
20111101190849.jpg

もちろんジョージ君・浅野秀二先生とも。
20111101190902.jpg

急いでホテルに戻り、セミナー。
20111101192432.jpg

最初は、大久保恒夫講師。
20111101192444.jpg
「アメリカ小売業に学んだことを
どうやって日本に取り入れるか」

つぎは林廣美講師。
20111101192456.jpg
「アメリカのスーパーマーケットから学ぶ
店全体がお惣菜という店づくり」

最後に結城義晴。
「アメリカに学ぶポジショニング競争の本質」
20111102083131.JPG
何度でも言おう。
ポジショニング競争とは、
コンテスト型競争であって、
私たちが馴らされたレース型競争ではない。

アメリカで3時間3本立てのセミナー。

充実していた。
満足した。

そして私たちは、
ニューヨークに向かう。

お客様と従業員の、
お客様と従業員のための、
お客様と従業員による店づくりを、
求めて。
(続きます)

<結城義晴>

2011年10月31日(月曜日)

商人舎第10回記念USA研修会、ワシントンD.C.で経営戦略コース・商品戦略コース合流!

Everybody! Good Monday!
[vol44]

2011年第44週。
10月最終日が今日で、
今日はハロウィンで、
明日から11月第1週に入る。
20111031181859.jpg[マーケット・ストリート]
アメリカでは、
いま、ハロウィン・イベントの真っ最中。
20111031182043.jpg[HEB]

それでいて、11月第4木曜日、今年は24日の、
サンクスギビングデーの休暇を視野に入れつつ、
さらにその1カ月後のクリスマス商戦を見通す。
20111031182901.jpg[ターゲット]

アメリカでは秋の大プロモーションが、
3段階で用意されている。

私は日本でも、この3段階は、
大いに使えると思う。

①10月31日のハロウィン。
②11月23日の勤労感謝の日。
③12月25日のクリスマス。

さて、今、私はワシントン。
そう、アメリカ合衆国の首都。
20111031183607.jpg

商人舎第10回記念USA研修会は、
順調に進んでいて、
経営戦略specialコースは、
ダラスで巨大チェーンの最も激しい競争状況を学び、
ワシントンにやって来た。

ダラスでは、
ウォルマート・スーパーセンターの実験店プラノ店、
さらにスーパーセンターのエコストアHE型最新店、
20111102083343.jpg
そしてネーバーフッド・マーケットを巡った。
20111102083356.jpg
このタイプは、順次、ウォルマート・マーケットと名を変えていく。

さらにウォルマートのライバル・ターゲット、
20111102083409.jpg
ウォルマートのサムズ・クラブのライバル・コストコ。
どちらもがっぷり四つに組んで、
覇を競っている。

前者はハイパーマーケット(総合スーパー)での競争、
後者はメンバーシップ・ホールセール・クラブでの競合。

ダラス・プラノ地区のこの凌ぎあいは、
私たちの定点観測の対象。

しかもウォルマートではインタビューをくり返し、
逐次、改善改革の進展の様子を知ることができる。
20111030181500.jpg

ターゲットとコストコは、
「自らの強み」を活かして、
ウォルマートに堂々と立ち向かっている。

それがとてもいい。

だからウォルマートにもイノベーションの気概があふれてくる。

その後、クローガー・シグニチャーと、
20111102083421.jpg
セーフウェイ傘下のトムサム・ニューライフスタイルストア。
20111102083437.jpg
アメリカ二大ナショナル・スーパーマーケットチェーン。

そして話題の中心・ホールフーズ。
20111102083206.jpg

もう108店になったスプラウツ・ファーマーズマーケット。
20111102083507.jpg
この地のローカルチェーン・ユナイテッドのマーケット・ストリート。
20111030181449.jpg
ホスピタリティを最大の特徴に、
名だたる競合店たちのなかで、
ポジショニングを築こうとしている。

そしてテキサスに侵入し、
荒らしまわっているハードディスカウンター・アルディ。
20111102083222.jpg
もちろんHEBのフード&ドラッグとセントラルマーケットは、
初日に訪問して、元気づけられた。

ここには、大河ドラマのような、
役者勢揃いの競争があって、
私の解説の見せ所、聞かせどころ。

圧倒的に時間が足りない。

ダラスでは二度のセミナーを用意した。
二度目はメリッサ・フレミングさんと共演
フレミングさんは元HEB上級副社長で、
対ウォルマート作戦とプライベートブランド構築の立役者。
20111030181635.jpg
良いレクチャーだったし、
私の見解と一致。

当然のことだ。
毎年会って、講義を聴き、情報を交換しているのだから。

昨日、ダラスを後に、ワシントンD.C.へ。
朝5時半、暗いうちにホテルを出発。

ダラス・フォートワース空港で、朝日を拝む。
20111031185812.jpg
ニュースでは、ニューヨークには雪が降ったとか。

窓から見える風景にも、雪が混じっている。
20111031185826.jpg

それが緑に変わって、
ワシントンD.C.に到着。
20111031185838.jpg

空港には模型飛行機。
20111031185852.jpg

休む間もなく、
目指すはウェグマンズ
20111031185943.jpg

この店、素晴らしい。
一同、息を飲む。

ウェグマンズは2010年度年商55億9900万ドル。
100円換算で5599億円。
日本のスーパーマーケット第1位のライフコーポレーションよりも、
アークス&ユニバース連合軍よりも規模は大きい。
店数は76店舗。

1店平均、なんと7367万ドル(73億6700万円)。

その原動力は、第1に人。
ホスピタリティあふれ、イノベーションに燃える人財集団

第2は、店と商品。
ミールソリューションの最高峰
20111031190044.jpg
ウェグマンズが1986年に始めた「プリペアードフード」と、
1990年にスタートさせたフードサービス部門が、
世界のスーパーマーケットに進化を促した。

そして第3が、コンシステント・ロープライス
ウォルマート対策のエブリデーロープライス。

この店はきっと、年商100億円くらいは目指していると思う。

ウェグマンズを後に、
ブルームへ。
20111031190113.jpg

アメリカのスーパーマーケット業界第5位は、
ベルギー資本のデレーズ・アメリカ。
その中核はフードライオン。
10%台の低経費体質で1990年代後半に注目された、
あのフードライオン。

2004年に開発されたのが、このブルーム。
買い物簡便性を志向したアップスケールタイプ。
20111031190225.jpg
しかしこの地では、完璧な負け組。

ウェグマンズのあとで訪れたので、
その客数の違いに、一同、唖然。

決定的に欠けているのは、
フード&ドラッグではないこと。
だから隣にCVSファーマシーがはいっている。
20111031190253.jpg
これは完全な時代遅れ。

三番目は、このエリアナンバーワン占拠率のジャイアントフード
20111031190316.jpg
40%を超えるシェアで、
地域第1位の企業

この会社は1998年にオランダのアホールドに買収され、
現在、アホールドUSA傘下。

アホールドUSAは全米第4位のスーパーマーケット企業で、
デレーズ・アメリカのひとつ上。

アメリカのスーパーマーケット業界は、
第4位と第5位が外資ということになる。

そのジャイアントフードだが、
よく健闘している。
20111031190415.jpg
しかし店づくり、品ぞろえなど、
20世紀型のコンベンショナル・スーパーマーケットそのもの。

時代遅れ。

店舗奥主通路のサービス・デリと調剤部門が核だが、
青果、精肉、鮮魚など、ひどく弱い。
結局、ラガードの顧客がグロサリーを買いに来る店となっている。

ラガードとは伝統顧客とでも訳したらいいか、
保守的で、意地っ張りの顧客のこと。

最後に、ハリスティーター
20111031190446.jpg
205店舗で年商40億ドル(4000億円)クラスのローカルチェーン。
ただしノースカロライナに本社を持つラディック社の傘下にある。
アメリカのローカルチェーンは何らかの形で、
別資本のもとであることが多い。

インディペンデントとして、
自己資本で経営を続けることが難しいからだし、
安定した資本のもとで、
存分にス―パーマーケットを展開したほうが、
安全でもある。

このハリスティーターは、
21世紀アップスケール型に変身している。
20111031190542.jpg

部門ごとに「マーケット」と称してショップ形式をとり、
顧客囲い込み戦略を展開している。

そのため小型店、旧型店を次々に閉鎖し、
企業全体のイノベーションを志向中。

結局、ワシントン郊外のこのエリアは、
ウェグマンズとハリスティーターの21世紀タイプと、
フードライオン、ジャイアントフードの20世紀型との闘いの構図になっていて、
勝者は明らか。

図らずも、20世紀型はヨーロッパ資本の外資企業ということになる。

とてもいい学習素材が提供された1日となった。

一方、30日11時30分に成田から出発した
商品戦略MDコース
の面々。
11時間30分の長旅を終え、
元気にダラス・フォートワース空港に到着。
20111031135043.jpg
㈱廣甚の若い2人はもちろん、
㈱今治デーパートの佐伯誉さんも笑顔。

ダラスからは国内線に乗り換えワシントンD.C.へ。
その合間にダラスの空気を吸い込む。
㈱サンエーの皆さんと中込美津子さん(左)。
20111031135023.jpg

こちらのコーディネーターは林廣美先生
先生をかこんで、記念撮影。
20111031134953.jpg

ワシントンD.C.には午後3時過ぎに到着。
早速向かったのは、こちらもウェグマンズ。
その最新店。
20111031135109.jpg
ワシントンD.C.から北東に30分ほど行ったショッピングセンター立地の店。

周辺にはコストコ、JCペニーなど多くのナショナルチェーンが出店し、
まだまだ開発途上の商業エリアだ。
20111031135153.jpg

売り場のいたるところに、
コンシステント・ロープライスやセール品のPOPが張り出されている。
20111031135235.JPG

新店だけに、価格訴求は一段と強い。
20111031135211.JPG

ウェグマンズの前で再び記念撮影。
20111031135300.jpg

林先生の車中解説を聞きながら、再び市内へ。
20111031143846.jpg

二番目の視察はハリスティーター
20111031142943.jpg

この店の周辺には若い共働き世帯が多く、都市型の店。
20111031143018.jpg

2階がス―パーマーケット、
1階にファーマシーの変則的都市型店舗。
20111031143101.jpg

この時点で宵闇が迫り、体感温度もぐっと下がってきた。
今日の視察はこの2店舗で終了し、宿泊ホテルへ。
20111031143747.jpg

ホテルでSPコース、MDコースが合流。
そして、シーフード&ステーキレストランのピア・セブンへ移動。
ステーキ・ディナー・コースを食しながらの
楽しい合同懇親会

乾杯の発声は㈱マルトの安島浩社長
20111031150851.jpg

明日からの研修の充実を祈念し、声高らかにカンパイ!
20111031151028.jpg

参加企業の紹介と、
参加目的などを語ってもらいながら、
それぞれに懇親。
20111031151215.jpg

朝早いSPコース参加者も、長時間フライトのMDコースも、
疲れているはずだが、楽しんでくれた。
20111031152836.jpg

もちろん先生方も、みんなの話を真剣に聞き入った。
20111031151255.jpg

お酒が入り、リラックスしてきた。
20111031151141.jpg

最後はゲスト講師陣からのメッセージ。

初めに大久保恒夫さん
㈱セブン&アイフードシステムズ社長。
20111031150026.jpg

大久保さんの話は、熱かった。
自身の経歴を振り返りながら、
最後は小売商業の地位を上げるために、
皆で頑張ろうと締めくくった。
20111031150059.jpg

そして林廣美先生。
日本フードサービス専門学院学院長。
もちろん日本の惣菜マーチャンダイジング指導の第一人者。
スーパーマーケットの惣菜の現場で起こっている問題に触れ
明日から何を学ぶべきかを語った。
20111031150123.jpg
ちょっと長かった。
酒を飲みながら、大事な講義を聴いた気分。
20111031152901.jpg

そして現地コーディネーターの浅野秀二先生
商人舎サイトで連載中の『ジョージ君、アメリカに行く』が絶好調。
「健康になるとセクシーになる」
この話の続きは車中でもっと、語ってもらおう。
20111031150147.jpg

最後に私からも一言。
20111031150926.jpg
「ポジショにング競争の時代。
それはレース型競争ではない。
コンテスト型競争だ」

ホテルに戻って、
㈱むすんでひらいて社長の原田政照さん、林先生、浅野先生と。
原田さんは商人舎ツアー2度目の参加。
20111031151354.jpg

明日からは全員そろって、ワシントンD.C.へ。
ゲスト講師の講義も楽しみだ。

気合は十分。
体力は気力でカバー。

では今週も、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2011年10月30日(日曜日)

ジジとおとうさんのシゴト[2011日曜版vol44]

おとうさんは、
いません。
20111030181104.jpg

おとうさんというのは、
ユウキヨシハルさんのこと。
20111030181118.jpg

ナリタ空港。
20111030181151.jpg

アメリカのダラスに向かった。
20111030181202.jpg

ナリタで講義。
20111030181128.jpg

80分ほど。
20111030181213.JPG

それからのりこんで、
11時間。
20111030181224.jpg

今年、6回目になります。
20111030181138.jpg

ついたらバスのなかで、
すぐに講義。
20111030181307.jpg

それでもたのしそうです。
20111030181255.jpg

ボクはジジ。20111030181243.jpg

うちでまってます。
20111030181657.jpg

おとうさんは、ランチ。
20111030181318.jpg

それからインタビュー。
20111030181333.jpg

いつも、楽しそうです。
20111030181409.jpg

そして写真。
20111030181349.jpg

またインタビュー。
写真。
20111030181500.jpg

ここでもうれしそう。
20111030181418.jpg

そしてみんなで写真。
20111030181449.jpg

握手。
20111030181438.jpg

これもおとうさんのシゴトのひとつなんです。
20111030181646.jpg

講師のメリッサ・フレミングさん。
20111030181635.jpg

とてもいいおはなしだった。
20111030181624.jpg

ドラッカー先生が言っています。
「自分の目で見、耳で聞く」
20111030181613.jpg
それが大切なこと。

おとうさんのシゴトは、
それです。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年10月29日(土曜日)

寒い寒いダラスの初日はHEBセントラルマーケットとフード&ドラッグ橋頭堡店舗でローカルチェーンの日

ダラスは寒い。

驚くべきこと。

今年の夏は、干ばつで、
リック・ペリー知事が、
州民にこういったほどだった。
「3日間、雨乞いをしましょう」

それがハロウィンの前だというのに、この寒さ。

環境異変が起こっているのか。
それでも元気に視察を進める。

成田を発ったのが、金曜日の午後2時。
20111029211813.JPG

アメリカン航空の成田・ダラス便は、2時間も遅れた。
20111029211823.jpg

それでも安全な方がいい。
文句を言う者はいない。
20111029211834.jpg

ダラス・フォートワース空港で、
浅野秀二先生と落ち合って

すぐにHEBセントラルマーケットへ
20111029211853.jpg
テキサス州サンアントニオに本社を置くHEBは、
ローカル・スーパーマーケットチェーンにして、
テキサス州最大の非上場企業。

つまりインディペンデント・カンパニー。
これが大事なところ。
2011年全米チェーンストア・ランキング27位。
スーパーマーケット企業では全米6位。
2011年度の売上160億9100万ドル
100円換算で1兆6091億円。
前年比13.9%と絶好調だ。

HEBは3つの戦略フォーマットを展開する。
①EDLPの主力フォーマットであるフード&ドラッグ、
②非食品をプラスしたコンボ型のHEBプラス、
そして、③アップスケール・タイプの大商圏型セントラル・マーケット。

セントラル・マーケットは、
ワンウェイコントロール方式を採用している。。
お客をまんべんなく回遊させる売り場には、
フレッシュな生鮮、
豊富なプリペアード・フード&デリ、
世界中から集められたチーズとワイン・リカー、
スペシャルティなグロサリー商品などが、
これでもかと並ぶ。

屋内外に、カフェスペースが設けられており、
週末には地元演奏家のライブミュージックなども行われる。

われわれも着いてすぐに、屋外カフェで昼食。
20111029211905.jpg

それから屋外インタビュー。
20111029211930.jpg
実に丁寧に答えてくれた。
この店は8番目のアップスケール店舗。
店舗面積6万平方フィート(約1700坪)。

来年には3万平方フィートの実験店を出すそうだ。

そのあと店内ツアー。
部門ごと、カテゴリーごとに、
整理された解説を受けた。

試食のお奨めも受けた。
昼食後だったが、断らずに全部いただいた。
20111029211956.jpg

そして写真。
20111029212006.jpg

全員写真も。
20111029212019.jpg

疲れは見えないほど、気力充実。
20111029212029.jpg

次に向かったのが、HEBフード&ドラッグ
20111029212042.jpg

オースティン、サンアントニオで5割を超えるシェアを持つHEB。
アップスケールタイプのセントラルマーケットを、
ダラスに出していたが、いよいよ本命フォーマットを出店させた。

ウォルマートの牙城にして、
クローガーのドミナントエリア。
ここに撃って出るHEB。

今度は攻める側に回った。

その橋頭堡がこの店
20111029212428.jpg

大繁盛。
20111029212438.jpg

まず生鮮がいい。
20111029212209.jpg

バナナの売り方も丁寧。
20111029212221.jpg

すぐに食べられるバナナと、
少しおいて熟させるバナナ。
20111029212233.jpg
それをきちんと教えている。

SUSHIYAのコーナー。
20111029212250.jpg

フィッシュマーケットとミートマーケット。
20111029212300.jpg

奥主通路。
20111029212315.jpg

そして今やウォルマート以上のパワーを持つ
アイランド販促。
20111029212326.jpg

ファーマシーも地域からの信頼が厚い。
20111029212341.jpg

エブリデーロープライスを展開しながら、
クーポンを積極的に活用。
20111029212352.jpg

これがウォルマートにない販促。
20111029212402.jpg

インストアクーポン。
20111029212414.jpg

そして地域コミュニティとの密着。
20111029212455.jpg

1カ月間のコミュニティ内のスケジュールを張り出している。
20111029212506.jpg

今日の視察は、HEBの日。
ローカルチェーンの日。
20111029212519.jpg

HEBの橋頭保店舗が成功しているのを確認して、
私はうれしかった。

アメリカでも、
ローカルチェーンが隆々としている。

それをこの目で見て、この耳で聞いて、
自ら体験できたからだ。
(続きます)

<結城義晴>

2011年10月28日(金曜日)

円高メリットを活かし、ドラッカー「ポストモダンの七つの作法」に則ってアメリカに学ぶ旅に出発

いま、成田空港。
20111028121232.jpg

第10回商人舎USA研修会の結団式とセミナー

20111028121120.jpg

10時半集合で、1時半まで、
講義や打ち合わせ、顔合わせ。
20111028121157.jpg
昨日27日のニューヨーク外国為替市場、
円相場が一時1ドル75円67銭まで上昇、
史上最高値を更新

このところ、アメリカを訪れるたびに、
円が高くなる。

円高に関して、ふたつ。
第1は、日本経済の空洞化の問題
円高は輸出産業にとって、
決定的な痛手となる。

黙っていても、
自分たちがつくって、売る商品が高くなる。

コストを抑えるといっても限界がある。
だから必然的に海外に工場をつくったり、
拠点を移したり。

その分、国内の工場が縮小され、
場合によっては閉鎖される。
それを「空洞化」と称する。

しかし、この「空洞化」、
指をくわえて見ているわけにはいかない。
何らかの産業で「空洞」を埋めなければならない。

私はその役目が、
小売流通業・サービス業にあると思う。

3年前の2008年4月17日、
商人舎発足の会の記念講演の私のタイトルは、
「小売サービス業が日本を救う」
まったく、その通りになってきた。

空洞化を補い、日本経済を救うのは、
小売り流通業・サービス業である。

それが実現されたなら、
日本は住みやすい国となる。
観光にふさわしい国となる。
そのうえで、新しいテクノロジー産業が構築される。

その原動力となるのが、
小売サービス業である。

円高に関する第2のこと。
それは高くなった円のメリットを活かすこと
私は日本人の海外体験に向けるのが一つの方法だと思う。

日本人が日本人としての強みを自覚し、活かしつつ、
本当の国際人になる経験、体験を積まねばならない。
そのチャンスが、今だ。

小売流通・サービス業は欧米に学んできた。
我々は今こそ、欧米を、アジアを、体験すべきだ。

「もうアメリカに学ぶものはない」
10年も前からそんな声が、
小売業・消費産業の、それも識者のなかから、
ちらほらと聞こえ始めた。

私も直接、そんな発言を、
耳にしたことがある。

しかし聞いてみるとその人は、
もう10年もアメリカを訪れたことがなかった。

ピーター・ドラッカーの「ポスト・モダンの七つの作法」。
その第一にあるのが、
「聞く、そして見る」

ドラッカーは、〈イノベーションの原理〉を五つあげている。
第一は、機会を徹底して分析する。
第二は、自分の目と耳で確認する。
第三は、焦点を絞り、単純なものにする。
第四は、小さくスタートする。
第五は、最初からトップの座をねらう。

自分の目で見る、自分の耳で聞く。
それがイノベーションの基本態度である。

円高の今、多くの幹部・社員が、
自分の目で見、自分の耳で聞き、
自分で体験することができる。

「ポスト・モダンの七つの作法」の第二。
「分かったものを使う」
ドラッカーの言葉を使えば、
「既に起こった未来」
それを学ぶ。

例えばアメリカにも、
団塊の世代がある。

「団塊」とは呼ばず、
「ベビーブーマー」というけれど。

これは日本よりちょっと早い。
第二次世界大戦が終結して、
戦地から大量の兵士が戻ってきた。
そして、子づくりに励んだ。
母国が戦場とならなかった戦勝国のアメリカの方が、
イギリス、フランス、そしてドイツ、イタリアよりも、早かった。
もちろん日本よりも早かった。

その団塊の世代がまた30年後に、
ベビー・ブーマー世代をつくった。
これもアメリカが日本より数年、早かった。

アメリカの近代小売業は1850年代にスタートした。
1858年 ジョン・ワナメーカー、ペンシルバニアで最初の百貨店を開店。
1859年 ザ・グレイト・アメリカン・ティ・カンパニーが食品店を創業。
1879年 フランク・ウールワースが非食品のバラエティストアを発明。
1886年 リチャード・ウォーレン・シアーズ通信販売業スタート。
アメリカ小売業の近代はもう、
150年もの歴史を刻んで、
幾多のイノベーションの歴史を重ねてきた。

アメリカには消費の先行性とともに、
小売りシステムの先進性があるのだ。

その「既に起こった未来」を見る、聞く。
「分かったもの」を使う。
ドラッカーの「ポスト・モダンの七つの作法」。
第四は「欠けたものを探す」

日本に欠けたもの、それがアメリカにある。
探し物のすべてではないが、
アメリカには確かに、それがある。

さらにドラッカーの言葉。
「企業の目的と使命を定義する場合、
出発点は一つしかない。
顧客である。

顧客によって事業は定義される。
顧客を満足させることこそ、
企業の使命であり目的である」

それでいてドラッカーは、こうも言う。
「もっとも重要な情報は、顧客(カスタマー)ではなく、
非顧客(ノンカスタマー)についてのものである」

自分の目で見、自分の耳で聞くとき、
大切なのが、三つの目。
「虫の目」「鳥の目」「魚の目」

「虫の目」とは、現場を見る力。
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。

「鳥の目」は、大局を見る力。
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。

「魚の目」は、流れを見る力。
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。

そして、「四つ目の目」は、
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」である。

アメリカ小売業の競争は、
試験管の中の現象である。
ビーカーやシャーレの中の変化である。
純粋に市場原理に基づいたコンペティションが展開される。

日本やヨーロッパと比べて、
はるかに規制が少ないからだ。

しかしここに
「客観化・普遍化・理論化」の確かさが生まれる。

アメリカ小売流通業から学ぶのは、
この客観性、普遍性、理論性である。

もちろん日本に持ち帰って、
この客観的で普遍的なセオリーや経験則を、
日本独自のイノベーションに役立てたい。

ただしここでもドラッカーの「ポスト・モダンの七つの作法」の第三、
「基本と原則を補助線として使え」

イノベーションに必須の要件は、
堺屋太一言うところの「本気のプロデューサー」の存在である。
それは、「自ら、変わる」ことのできる人財である。

アメリカ消費産業に触発され、
アメリカ小売業に感動することによって、
人は、自ら、変わる。

商人舎研修の狙いは、ここにある。

昨夜は、商人舎チーフ・コーディネーターの鈴木敏と打ち合わせ。20111028081846.jpg

朝には、ゲスト講師の大久保恒夫さんと合流。
20111028121207.jpg

㈱マルト社長の安島浩さんも、
いわきからタクシーで合流。
20111028134205.jpg

まったく偶然のことながら、
月刊『マーチャンダイジング』主幹の日野真克さんとも遭遇。
20111028121148.jpg

なにかが起こりそうな今回のツアー。
まずは第1陣「経営戦略」スペシャル・コース出発。
20111028134216.jpg
2日遅れで、
商品戦略マーチャンダイジング・コースの第2陣が出発。
ワシントンで合流。

今年第6回目にして、
2011年最後のアメリカレポート。

極力、2012年の動向にアンテナを張りつつ、
お届けしようと思う。

乞う、ご期待。

<結城義晴>

2011年10月27日(木曜日)

作家・北杜夫「マンボウ」の死とセルコチェーン設立50周年記念の平富郎「競争こそ企業と経営を磨く砥石」

昨日のこのブログで、
「北風小僧の三太郎」がやって来たと書いたら、
それは「木枯らし1号」だった。

いよいよ、晩秋。

二十四節気の霜降(そうこう)が、
今年は今週月曜日の24日で、
立冬(りっとう)は2週間後の11月8日。

読んで字のごとく、
霜が降りて、
冬が立つ。

1年を24に割るのだから、
ほぼ半月。

霜降は「楓や蔦が紅葉し始めるころ」とされ、
さらに霜降から立冬までの間に吹く寒い北風を、
「木枯らし」と呼ぶ。

私は今日、
成田空港に入り、
明日出発。

今年、6度目の渡米。
9月28日にダラス、サンフランシスコを訪れ、
帰国してから5日おいて、
10月9日から、ケルン、パリだった。

今回はその後、時差が直らず、
体調は悪くはないが、
良くもない。

気を付けるといっても、
睡眠をとることしか手立てがない。
しかしまとまって眠る時間もないし、
時差ぼけで眠れない。

食欲は旺盛で、
気力も充実しているから、
睡眠不足は、
細切れの眠りで補う。

今回帰国したら、
まとめて眠り続けるとしよう。

そんなことを考えつつ、
いま、定宿の成田エクセルホテル東急に入った。

さて、北杜夫さんが亡くなった。
驚いたことに、
4大新聞の朝刊一面コラムすべてが、
北杜夫さんの逝去を取り上げた。

朝日新聞の『天声人語』
「小学生のころ、こんな俳句を作ったそうだ。
〈コオロギがコロコロと鳴く秋の夜〉。
大歌人だった父は面白半分に
それを見たが何も言わなかった、
とご本人は回想していた」

「かつて雑誌に『私の作品など茂吉の一首にも及ばない』と語っていた。
2年前にお会いしたときに問うと、
やはり頷(うなず)いておられた。
〈父より大馬鹿者と来書ありさもあらばあれ常のごとくに布団にもぐる〉は
若き北さんの一首。
天上で、大いなる父君と再会を果たしているころか」

読売新聞の『編集手帳』

「〈恋人よ/この世に物理学とかいふものがあることは/
海のやうにも空のやうにも悲しいことだ…〉
◆物理の答案用紙に書かれた詩は以下のようにつづく。
〈僕等には/クーロンの法則だけがあれば澤山(たくさん)だ/
二人の愛は/距離の二乗に反比例する/
恋人よ/僕等はぴつたりと抱き合はう〉
『斎藤宗吉』と名前の欄にあった。
旧制松本高校に在学していた頃の北杜夫さんである。
作家は処女作に向かって成熟していく――」

日経新聞の『春秋』
「重厚な大河小説から、ユーモアの効いた中間小説、ファンタジー、童話まで。
北さんが紡ぎ出した世界は多彩だった。
なかでも広く親しまれたのは
『どくとるマンボウ』の名前を冠したエッセーだろう。
軽妙洒脱(しゃだつ)の文章は、
厳格な印象の鴎外や茂吉とは対照的で、
日本の文学をずいぶん豊かにしたような気がする」

残念ながら『春秋』が一番つまらない。

私は今回は毎日の『余禄』に軍配を上げたい。
「北杜夫さんは子供時代、
雑誌の『少年倶楽部』や日記帳を入れていた押し入れに、
ちゃぶ台と懐中電灯を持ち込んでよく籠もった」

「父の斎藤茂吉にこんな歌がある。
『押入れにひそむこの子よ父われの悪しきところのみ受継ぎけらし』」

「『そう』の時は夜、明かりをつけた家を開け放ち、
集まる虫に網を振り回した北さんだ。
捕った虫は親しい昆虫収集家に贈った。
その収集家が沖縄県の新種の甲虫に北さんの名前をつけたと
報じられたのはつい先月である。
家人には大迷惑の虫捕りも、報われたようだ
▲学名ユーマラデラ・キタモリオイ、
和名マンボウビロウドコガネ。
この世の仕事を成し遂げ、
押し入れの中の夢見る少年は今
コガネムシとなって飛び立った」

これだけ看板コラムに取り上げられる理由は、
コラムニストがみな、
「マンボウ」世代に属するからだろう。

マンボウ世代だけれど、
マンボウ精神を受け継ぎつつ、
物書きを続けるのは難しい。

続けているのが、
毎日の『余禄』コラムニストということになるか。

そのことが面白い。

実は私も「マンボウ世代」。
若いころ、北杜夫ファンだった。

『幽霊―或る幼年と青春の物語』1960年。
『どくとるマンボウ航海記』1960年。
『夜と霧の隅で』1960年。
この時、杜夫33歳。
輝いていた。

『遥かな国遠い国』1961年。
『どくとるマンボウ昆虫記』1961年。
『南太平洋ひるね旅』1962年。
『船乗りクプクプの冒険』1962年。
私は夢中で読んだ。

『楡家の人びと』1964年。
『どくとるマンボウ青春記』1968年。
大河小説は重厚だった。

それからちょっと、マンボウから離れた。
そして1993年、『どくとるマンボウ医局記』。
このあたりで、「あれっ」と思った記憶がある。

つまらなく感じられた。

私が変わったのか、老いたのか。
北杜夫が変わったのか、尽きたのか。
時代が変わったのか。
バブル崩壊のあとだった。

作家は処女作が一番いい。
そんな説がある。

ある意味で、賛成。
しかしその輝いていたころの価値が、
損じられることは断じてない。

以って自戒とすべし。

享年84。
ご冥福を祈りたい。

合掌。

昨日は、協同組合セルコチェーン
設立50周年記念大会。

場所は新横浜国際ホテル。
20111027143343.jpg
1962年(昭和37年)5月に事業協同組合となり、
今年5月に50周年を迎えた。
中小規模のスーパーマーケット56社が主宰。
いわゆる小売主宰ボランタリーチェーンとして、50年。
加盟歴30年以上の企業は、15社に上る。

高度成長期の1970年代には、各地に地域本部を設け、
2000年代にはプライベートブランドを開発・展開。
2010年代に入り、「セルコライブネット」システムを開始。
これは売場のライブ映像を店舗に配信するサービス。

情報、知恵、ノウハウを共有する着実な活動を行ってきた。

もちろん、低成長時代に入った1990年代には、
中小スーパーマーケットの集まりだけに、
チェーン運営には会計的に厳しい面もあった。

「皆、手弁当で勉強をした」

当時の会長の平富郎理事相談役(㈱エコス会長)は振り返る。

現在は、加盟企業組織の協同組合セルコチェーンと、
本部機能の㈱日本セルコとの二本柱で、
ローカルスーパーマーケット56社476店の活動を支える。

震災のため、延期となっていた記念式典を、
昨日、やっと迎えた。

行政、加盟店、お取引先など、
関係者がお祝いに駆けつけ、会場は満席。
はじめにセルコチェーンの佐伯行彦理事長が開会のあいさつ。
㈱さえきホールディングス社長。
20111027143327.jpg

続いて経済産業省中小企業庁の岡本勇二さん、
㈱ライフコーポレーション会長兼CEOの清水信次さん、
㈱商工組合中央金庫東京支店長の中川祐一さん、
三菱食品㈱会長の中野勘治さんが来賓祝辞。

「メガバンクの誕生のように、
消費者にとって大きなことはいいことばかりではない。
地域社会に貢献しよう、
その職責を果たそうとしているセルコチェーンは大事」と清水さん。
20111027143335.jpg

三井食品の中野さん。
「イギリスのジャーナリスト、ビル・エモットは、
『製造業偏重だった社会から今までの軸を変える必要がある。
日本の長期資産を生かすべきだ』と語る。
日本は知力、助け合い、ふれあいという資産を持っている。
ライフラインサービスをに担う食品産業こそ、これからの軸になる」
20111027143349.jpg

その後、「50年のあゆみ」のDVD放映、
功労者、永年加盟組合員、永年賛助会員などの表彰などがあり、
㈱与野フードセンター社長の井原實副理事長が謝辞を述べ、
第一部の式典をしめくくった。
20111027143417.jpg
私も機関誌『セルコ・レポート』にもう20年近く、
隔月連載エッセーを書き続けている。
タイトルは『スーパーマーケットへの進言』。
私の窓口はずっと取締役管理部長の小野寺義夫さん。
編集は㈱タンクの石田京さん。
お二人とも表彰された。

第二部は場所を移して、記念講演。
20111027143436.jpg

基調講演は佐伯理事長。
「50年目の節目に これからのセルコチェーン」

20111027143442.jpg

「1兆円グループをめざし、
仲間企業との絆を深め、強い商品づくり・店づくりを推進したい」。
講演というよりも、代表としての強い意思表明だった。

記念講演は平理事相談役。
20111027143448.jpg
これが、とてもよかった。

「歴史を見ても、日本人は、
とことん追い込まれると強い。

劣悪な環境、過激な競争の中からこそ卓越した人が出る。
東北から、次の世代を担う大政治家、すぐれた経済人が誕生する」

「スーパー成長の絶対条件は、
人口増、インフレ、物不足だった。

1990年をピークに、今は真逆。それが時代背景」

「イオンはヨーカ堂にMDでは勝てないと、
坪100円の郊外の土地を買って出店した。
それが、モータリゼーションの波に乗り、成功した。
負けたことが、勝ちの要因に変わる」

「時代は止まっていない。
いま勝っている要因が、
将来負けの要因になるかもしれない。

だから、時代を見失わないよう。
トップの責任は重大だ」

「トップがまじめに頑張ればいいとだけ思っていては、
従業員がかわいそうだ。
時代の変革の時こそ、一番得意なものを捨て、
チャレンジしなければなければならない」

「スーパーマーケットに天才はいらない。
努力だけが必要。
社長は仕事量を減らすな。
寝る間を惜しんで学ぶことが大事」

「競争こそ、企業と経営を磨く砥石と思え」

「お客や取引先に迷惑をかけないで、
リスクの伴う改革をしよう。
究極のローコスト経営をせよ」

60分の講演時間。
70歳から健康のために夫婦で始めたゴルフにまで話が及び、
後半は「平ワールド」全開。

私は昨年夏、富士登山をご一緒した。
富士で、平さんの魂に触れた。

そして、第三部の祝賀パーティへ突入。
再び佐伯理事長。
「我々は戦う集団になる」
20111027143520.jpg

来賓の方々のあいさつ。
農林水産省食糧産業局食品小売サービス課の池渕雅和課長。
「ライブネットなど前向きな姿勢がセルコチェーンの原動力」
20111027143525.jpg

一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会会長の小川修司さん。
「バイタルマジョリティこそ中小企業である」
20111027143641.jpg

日本スーパーマーケット会長、㈱ヤオコー会長の川野幸夫さん。
「製配販、力を合わせてサプライチェーンを築きましょう」
20111027143652.jpg
ヤオコーは一時期、セルコ・チェーンの優等生だった。

国分㈱会長兼社長の國分勘兵衛さん。
「スーパーマーケットのボランタリーチェーンは、
食のライフラインを維持するもの」
20111027143658.jpg

田中茂治㈱日本アクセス社長。
「個の力には限界があるが、
セルコの横の協業、製配販の縦の協業で成長しよう」
20111027143709.jpg

伊藤忠食品㈱濱口泰三社長。
「世代、時代は変わっても、
お店の役割は変わらない」

20111027143729.jpg

三井食品㈱長原光男社長。
「震災で消費者は地縁の大切さ、地域スーパーの役割を実感した」
20111027143737.jpg

セルコチェーン大会では、
いつも卸売業のトップ全員が祝辞を述べるのが恒例。

この日のパーティでは組合員の紹介があった。
地区別に企業のトップが壇上にあがった。
北海道・東北地区。
20111027143747.jpg

企業数の多い関東・甲信越地区は2回に分かれて登壇。
20111027143753.jpg

20111027143803.jpg

北陸・関西地区。
20111027143808.jpg

四国・中国地区。
20111027143826.jpg

いよいよ、お祝いの鏡開き。
20111027143835.jpg

そして乾杯!
20111027143848.jpg

この後は、動きもままならないほど人、人、人が入り乱れて、
懇親に次ぐ懇親。

㈱たいらやの村上篤三郎社長と㈱寺岡精工㈱の寺岡和治社長。
20111027143857.jpg

㈱サンシャインチェーン本部の川崎博道社長(右)、
営業取締役の新井明さん(左)、
三洋電機販売㈱顧問の大崎公司さん。

20111027143904.jpg
新井さんは、2年連続で来年2月のアメリカ視察に参加してくれる。
楽しみだ。

大橋幸多さん(左から2人目)と三井食品㈱の皆さん。
20111027143913.jpg

商人舎ファミリーの皆さん、
コーネル・ジャパンの皆さんも、
多数参加していた。

そして平理事相談役と佐伯理事長。

20111027143927.jpg
50周年、本当におめでとうございました。

「競争こそ、企業と経営を磨く砥石と思え」

私はこの言葉が一番好きだ。
平富郎が最も輝いていたときの言葉。

それは今、後継者たちに、
受け継がれている。

おめでとう。
ありがとう。

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人
海外研修会
2026年USA研修会
国内研修会
第18回 ミドルマネジメント研修会

東北関東大震災へのメッセージ

商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2026年8月
« 7月  
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.